米WCS社、オラノ社とのJVで中間貯蔵施設の申請審査再開へ

2018年3月16日

CISFの完成予想図©WCS社

 米テキサス州で使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CISF)建設計画を進めているウェイスト・コントロール・スペシャリスツ(WCS)社と協力企業の仏オラノ社(旧アレバ社)は3月13日、中断中の建設・操業許可申請審査を再開させるため、合弁事業体(JV)を設立する方針を明らかにした。
 WCS社は2016年4月、テキサス州アンドリュース郡の自社サイトにCISFを建設・操業するため、申請書を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。しかしその後、廃止措置や廃棄物処分を専門とするエナジーソリューションズ社が同社を買収する話が持ち上がったことなどから、WCS社は2017年4月、この売買取引が完了するまで審査の一時停止をNRCに要請。同年6月にデラウェア地区の連邦地方裁判所が同取引を禁止する裁定を下したのを受け、WCS社は専属一次請負業者として選定していたオラノ社とのJVにより、建設計画を進展させる考えを固めたと見られている。

 米国では2012年の有識者特別(ブルーリボン)委員会勧告に基づき、エネルギー省(DOE)が翌年、「地元との合意に基づいて最終処分場の立地を進めつつ、複数の集中中間貯蔵施設を建設する」との管理処分戦略を公表。最終処分場については、ネバダ州ユッカマウンテンでの建設計画が打ち切られた後、大きな動きが見られない一方、中間貯蔵施設関係ではWCS社による建設計画のほかに、ホルテック・インターナショナル社がニューメキシコ州南東部で計画している同様の施設の建設・操業許可申請について、NRCが3月から技術審査を開始している。

 今回の発表の中でオラノ社の米国法人は、使用済燃料のパッケージングや貯蔵、輸送で同社が蓄積してきた数十年間の経験を、WCS社による放射性廃棄物貯蔵施設の操業経験とJVで組み合わせることになると明言。現在、稼働中の原子力発電所や閉鎖済み発電所など、全米34州の70か所以上で使用済燃料が保管されているが、JVを通じてこの貯蔵に安全性と柔軟性をもたらすとともに、納税者負担も軽減することが出来ると強調した。

 WCS社はテキサス州の認可を受けて、米国で唯一の私営放射性廃棄物(低レベル)処分場をアンドリュース郡の自社サイトで操業中。米国内にある4つの民間低レベル処分場のうち、残り3つはエナジーソリューションズ社とUSエコロジー社がそれぞれ、州政府や連邦政府の土地を借り受けて操業している。
 WCS社の親会社であるVALHI社は、WCS社をエナジーソリューションズ社に売却することで、750万ドルという審査経費の負担軽減が図れると考えていたが、顧客の選択オプションが狭まることを懸念した司法省が両社の合併阻止を求めて提訴。連邦地方裁判所の取引禁止命令に対し、VALHI社を含む関係各社は、訴訟に係わる時間と経費がこれ以上拡大するのを怖れて控訴を断念した。