WANOの会員支援ミッション、2017年の派遣数が過去最高に

2018年7月30日

 世界原子力発電事業者協会(WANO)は7月26日、会員支援プログラムの柱として派遣しているミッションの回数が、2017年は前年実績から15%と大幅に増加し、過去最高の246件に達したと発表した。
 この12か月ほどの期間には新規加入会員のサポートで大規模なイニシアチブも始めており、WANOの支援ミッションは2017年を通じて、作業管理や人的パフォーマンス、機器の信頼性、放射線防護、運転、保守管理、組織の効率性といった課題に幅広く取り組んできたと指摘。派遣サービスの利用回数が増加したことは、世界中の原子力産業界が高い安全性と信頼性の達成に全力を傾けていることの表れであり、会員サービスという点でWANOが正しい方向に進んでいることを示していると強調した。
 
WANOはチェルノブイリ事故後の1989年、世界の30か国/地域で約460基の商業炉を運転する事業者間で、安全性と信頼性の改善支援を行うために設立された非営利の国際組織。安全関係の良好事例の適用や運転経験等の情報交換、会員間の相互支援などを通じて、WANOと加入事業者は継続的に運転実績の改善を図っているほか、ベンチマークの評価も行っている。 
 会員である原子力発電所や事業者の要請に応じて支援ミッションを派遣する際は、ミッションの適用分野で専門的知見を有している会員の中からチーム・メンバーを選抜。ピア・レビューで特定された、あるいは発電所自身で割り出した課題について派遣先で審査を行うほか、高い実績を生み出せるよう派遣先スタッフと緊密に連携することになる。

 新しいイニシアチブでは、新規に建設される原子炉や、原子力産業界に新たに参入してきた事業者に対する支援の構成要素を開発している。これは、世界中の多くの地域で、原子力発電所の拡大計画が進展中であるとの認識に基づいている。原子炉の建設工事が始まる前に、または主要作業の契約を締結し次第、新規参入者がWANOに加入することは非常に重要だと指摘しており、これにより発電所の運転者はスタッフを十分訓練するとともに、運転開始時の発電所機能が安全性と信頼性の両面で基準に合致していることを保証する時間が得られるとした。
 また、支援ミッションの派遣を通じて、ピア・レビュー時に特定された「要改善分野(AFIs)」の課題解決を集中的にサポートしている。技術ミッションにおける目標の60%がAFIs課題の解決であり、多くは安全性と信頼性に関するもの。2017年は運転中原子炉関係の案件で、WANO会員全体の目標達成率が平均72%に達していた点を強調している。