米デュアン・アーノルド原子力発電所が2020年後半に早期閉鎖へ

2018年7月31日

©ネクストエラ・エナジー・リソーシズ社

 米アイオワ州でデュアン・アーノルド原子力発電所(DAEC)(BWR、59.7万kW)(=写真)を70%保有するネクストエラ・エナジー・リソーシズ(NEER)社は7月27日、2034年まで運転認可が残存する同発電所を2020年の後半に永久閉鎖することになったと発表した。最終決定するまでには今後、州の公益事業委員会等から承認を得る必要がある。
 同州の公益事業体であるアライアント・エナジー社がNEER社と結んでいたDAECの電力購入契約(PPA)を5年短縮し、2020年までとすることで両社が合意したもので、閉鎖後のDAECは廃止措置プロセスに入る予定。DAECの代替電力としてアライアント・エナジー社は、NEERが保有する4つの風力発電設備から電力を購入するほか、NEER社も2020年末までに、州内全域で既存の、あるいは新しい再生可能エネルギー設備に合計約6億5,000万ドルを投資する計画である。

 NEER社によると、州内で唯一の原子力発電設備であるDAECの早期閉鎖により、アライアント・エナジー社の州内の顧客は約21年間にエネルギー・コストを約3億ドル節約することが可能。同発電所の発電容量を部分的にリプレースすることになる風力発電への追加投資も、これらの顧客に大きな経済的恩恵をもたらすとの考えを強調した。同社はまた、DAECのサイトに、新たに太陽光や天然ガスの発電施設、電池貯蔵施設を建設することも検討中である。
 しかし、これまでDAECを米国内でも高実績の発電所に押し上げてきた約500名の熟練従業員のことを考慮すると、永久閉鎖は難しい決断だったとNEER社のA.ピメンテル社長兼CEOは述べた。閉鎖にともない、従業員やその家族、および地元自治体に及ぶ影響を最小限にするには、長期間の廃止措置プロセスを進めることが重要だと説明。同州における継続投資で新たな雇用を創出するのと並行して、これにより数百名分の雇用を何年にもわたり同発電所で維持できるとの認識を示している。
 この件ではアライアント・エナジー社も、PPAの短縮と引き替えに、NEER社従業員の早期退職金1億1,000万ドルを2020年9月に同社に支払うことに同意。DAECの従業員は廃止措置プロセスの開始に向けて、今後約7年間かけて徐々に削減される計画である。

 なお、このような両社の発表について、DAECに20%出資している電力共同組合のセントラル・アイオワ・パワー・コーポレーティブ(CIPCO)は同日、「ある程度楽観視しつつも慎重な見方をしている」ことを明らかにした。

 DAECは現在、CIPCOが扱う電力量の35%を供給しているが、同組合はすでに10年前、風力や太陽光設備が大規模に増設されていくのにともない、将来は一層クリーンなエネルギーに移行する方針を決定。今や同社が供給するエネルギーの60%以上が無炭素電源によるものであり、原子力は同組合が進める低炭素電源の多様化で重要部分を担っている。
 CIPCOによると、低価格な天然ガスやコストが低下した再生可能エネルギーが電力卸市場の効率化を推し進めたため、原子力発電には課題が突き付けられることになったが、同組合が扱っている電力量の3分の1を一夜にしてリプレースすることは出来ない。予期していたよりも早く廃止措置コスト等の財政負担がかかることになり、クリーンで安全かつ信頼性の高い主要な電源も失われることから、CIPCOとしては同組合に加盟している州内13の電力協同組合や地方自治体などの顧客に、どのような短期的悪影響が及ぶのか憂慮。この方針を決めた2社に対しては、一部所有者であるCIPCOも含めて、DAECの運転と所有権に関わる関係者すべてと話し合って欲しいと呼びかけている。