英廃止措置機構、放射性廃棄物の管理で総合戦略を公表

2018年8月1日

 英国内で17の原子力サイトの廃止措置や除染、放射性廃棄物の管理等に責任を負う政府外公共機関の原子力廃止措置機構(NDA)は7月30日、管轄施設から発生する放射性廃棄物すべてを対象とした管理戦略となる「統合廃棄物管理戦略」をビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)とともに公表し、10月末までの予定で公開協議に付した。
 NDAが2016年の戦略で誓約していたように、同戦略はNDAによる放射性廃棄物管理でさらなる効率化と合理化を図るため、極低レベル廃棄物(VLLW)から高レベル廃棄物(HLW)に至るまで、廃棄物全体について総合的に盤石かつ持続可能な管理インフラを構築することを目的としている。NDAが取りまとめている放射性廃棄物インベントリ報告書では、廃棄物量の90%以上が燃料サイクル施設や閉鎖済みの原子力発電所など、NDAの管轄サイトから発生したものだが、同戦略はその他の放射性廃棄物発生者や管理施設の操業者、管理サービス事業者、規制当局、地方自治体などにも関係する内容。英国所有のHLWについては、2006年の政府決定どおり、ガラス固化体に転換した上で最終的に深地層処分とすることが明記されている。

 今回の戦略の適用地域はスコットランドを除く英国全土で、これによりNDAは、この分野で必要とされている総合的位置付け、一層の明確さを示すことができると説明。安全で環境にも優しく、コスト面でも有利な管理ソリューションを保証する上で、柔軟な意思決定を行う枠組となるほか、廃棄物の性質に重点を置いたリスク・ベースの管理アプローチや、カテゴリー分けの難しい廃棄物の管理方法を推し進める。また、NDAの使命遂行に資する適切でタイムリーな管理インフラがもたらされるよう、統合プログラムも盛り込むとした。
 具体的には、各廃棄物の管理期間全体を(1)計画立案と準備作業、(2)処理とパッケージング、(3)貯蔵、(4)処分――に区分しており、それぞれの段階における戦略的な考え方と優先事項を明示。戦略の実行に際して必要となる統合プログラムは、低レベル廃棄物(LLW)用プログラムの成功例に基づいて策定することになる。
 統合プログラムの狙いは、廃棄物の発生者がこれを柔軟かつ効果的に管理するとともに、バランスの取れた管理ソリューションを開発できるよう、廃棄物管理の活動と文化に変化をもたらすこと。最初に取り組む分野は、低レベルと中レベルの境界にある廃棄物の管理、廃棄物の管理文化、パッケージングなどで、これらにおける重要度の高い段階で同プログラムを実行に移す。こうしたことを通じて、産業界全体の調整、管理期間中の全コスト低減――といった恩恵が得られるとNDAは説明している。