インド原子力規制委員会、カクラパー1、2号機冷却材トラブル解決と発表

2018年9月6日

 インド原子力規制委員会(AERB)は8月31日、カクラパー原子力発電所1、2号機(各22万kW、加圧重水炉)での冷却材漏れ事象への対応として行ってきた冷却材チャンネルの交換が完了したと発表した。

 同発電所は、インド西海岸に位置するグジャラート州に立地、カナダの加圧重水炉技術をベースにインドが独自開発した加圧重水炉(PHWR)を採用している。インドでは、運転中の22基の原子炉のうち18基までがPHWRである

 カクラパー2号機が2015年7月に、1号機は2016年3月に冷却材チャンネル集合体から冷却材である重水が漏れたため停止し、冷却材チャンネル全体の交換作業を行ってきていた。
 AERBは、同事象発生後、平行して原因究明のため専門家チームによる実験的、分析的な独自調査をインド各部門の研究施設で行ってきた。また、非破壊による現地の冷却水系統の詳細な検査も完了した。これらすべての調査結果として、システムに使用されている炭酸ガス中の不純物(炭化水素)が、冷却材チャンネルの外面に浅い局部的腐食スポットあるいは水素の生成をもたらしたとしている。

 カクラパー1、2号機で冷却材チャンネルの問題が起こったことで、インド国内のすべてのPHWRで検査が行われたが、同種の問題は認められなかったことから、両炉のみの腐食現象と結論づけられた。
 しかし、定期検査中に局部腐食検出を必要条件として加えることによって、冷却材チャンネルに関する検査プログラムの向上につながることになったとしている。
 現在、カクラパー2号機においては、運転再開に向けた諸活動の評価が進められている。

  (参照情報:WNAの9月4日付WNN(ワールド・ニュークリア・ニュース)、
   AERBウェブサイト、原産新聞海外ニュースほか)