中国:華龍1号の運転員訓練用シミュレータが福清発電所に設置

2018年9月18日

 中国核工業集団公司(CNNC)は9月14日、中国が独自に開発した華龍1号のフルスコープシミュレータが予定より115日早く、福清原子力発電所に設置されたと発表した。
 CNNCの子会社である中核武漢核電運行技術公司(CNPO)が開発したこのシミュレータにより、運転員の訓練が可能となり、運転員の業務実施開始および継続的なトレーニングの両面で、重要な役割を果たす。フルスコープシミュレータは一般的には「デジタルバーチャルコマンド」とも呼ばれ、さまざまな国際的に高度なシミュレーション技術を使用し、原子力発電所の運転を平常時と緊急時の両方の状態でシミュレートすることができる。CNPOは、シミュレータについて独立した知的財産権を所有、最新のプラットフォームとソフトウェアを使用し、福清5号機の中央制御室を正確に再現している。5号機自体の中央制御室は、先月完成、最終ディスプレイパネルは8月4日午前に設置されたと8月7日に中国核工業23建設有限公司(CNI23)によって発表されている。
 CNNCは、福清発電所において、すでに4基の第2世代改良型100万kW級PWR設計「CP1000」を採用して、合計436万6000kWの営業運転を2017年9月までに開始済み。これに続く第2期工事として、5、6号機には、中国が輸出用の第3世代設計と位置付ける「華龍1号」を採用、2015年5月と12月に着工し、2019年と20年の運転開始を目指している。
 「華龍1号」は、CNNCと中国広核集団有限公司(CGN)が双方の第3世代PWR設計を融合して開発、中国では、福清発電所のほかにCGNが広西省で建設中の防城港3、4号機(各115万kWのPWR)で同設計が採用され、福清5、6号機と同じ2019年と20年運転を目途に建設が進んでいる。
 これら4基は、本格的な海外輸出に先立ち、国内での実証を行うことを目的としている。
 華龍1号については2016年3月、CNNCとCGN両社は、同設計の海外展開を目的として折半出資の合弁事業体「華龍国際核電技術有限公司」を発足。現在までにCNNCが国外で建設する最初の取り組みとして、パキスタンのカラチ原子力発電所2、3号機(各110万kW)が建設中、さらにアルゼンチンで建設される5基目の原子炉に華龍1号を採用することで、国営原子力発電会社と協力枠組み協定を締結。一方のCGNは、英国のブラッドウェルB原子力発電所建設計画で華龍1号採用のための包括的設計審査(GDA)が進展中となっている。

  (参照情報:WNAの9月17日付WNN〈ワールド・ニュークリア・ニュース〉、
   CNNC、CGN、CNPO、CNI23の各ウェブサイト、原産新聞海外ニュースほか)