米オイスタークリーク原子力発電所が永久閉鎖

2018年9月19日

 米国のエクセロン・ジェネレーション社は9月16日、ニュージャージー(NJ)州で過去49年にわたり安全かつ信頼性の高い運転を続けていたオイスタークリーク原子力発電所(BWR、64.1万kW)を、同日の正午頃に永久閉鎖したと発表した。
 当初計画では2019年12月まで同発電所の運転を継続するとしていたが、今月で現行の運転サイクルが終了することから同社は今年2月、閉鎖日程を前倒しする方針を表明していた。今後数週間以内に原子炉からは使用済燃料が抜き取られ、貯蔵プールに安全に保管されることになる。米国内で最も古い同発電所の永久閉鎖により、米国の商業炉の基数は98基となった。

 1969年12月に営業運転を開始した同発電所では2009年に運転期間の延長申請が承認され、2029年まで合計60年間稼働することが可能だった。しかし、NJ州の環境保護局(DEP)は2010年1月、冷却水が取放水されていたバーニガット湾の生態系を保護するため、取放水関係の認可を更新する条件として冷却塔の設置を義務付けると明言。その建設等に7億~8億ドルの経費がかかることから、エクセロン社は同年12月、州政府との合意事項として、冷却塔を建設しない代わりに同発電所を2019年12月までに閉鎖させるとしていた。

 今年7月になると、米国籍のエネルギー総合ソリューション企業であるホルテック・インターナショナル社が、同発電所など数年以内に早期閉鎖が予定されている商業炉3基について、廃止措置作業を行うために事業者からサイトごと発電所を購入することになったと発表。オイスタークリーク原子力発電所についてはすでに、発電所と土地および使用済燃料の所有権も同社が購入することでエクセロン社と合意済みであり、廃止措置用にエクセロン社が設置していた信用基金もホルテック社に移転されることになった。
 売買手続は米原子力規制委員会(NRC)による認可の移転承認などを待って、2019年にも完了させる計画で、それ以降はホルテック社がサイト全体の廃止措置作業と開放作業をすべて管理。同社が今年7月にカナダのSNC-ラバリン社と合弁で設立した廃止措置専門企業「コンプリヘンシブ・デコミッショニング・インターナショナル(CDI)社」は、60年かかるとされていた同発電所の廃止措置を50年以上前倒しし、8年以内にすべて終えるだけの装備があると強調している。

 エクセロン社の発表によると、同発電所は商業運転を開始して以来、約2,000億kWhの電力を発電。約半世紀近くにわたって約60万戸の世帯に十分な電力を供給した。また、同発電所が賃金や税金その他で地元コミュニティに及ぼした経済効果は約30億ドルに相当するとしたほか、1億4,000万トン以上のCO2排出量削減にも貢献したと指摘。これは、約3,100万台の車両が排出するCO2と同等の量だと指摘している。

  【参照情報】エクセロン社発表資料、原産新聞・海外ニュース、
  WNAの9月18日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」、ほか