仏規制当局、一定の条件下でフラマンビル3号機のRV使用を承認

2018年10月12日

 2015年に原子炉容器(RV)上蓋と下鏡の鋼材組成で異常(炭素偏析)が認められた仏国で建設中のフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)(PWR、163万kW)について、原子力安全規制当局(ASN)は10月10日、炭素偏析が最も激しい部分における熱劣化のモニタリング試験やRVの詳細な管理を運転中に行うなど、一定の条件下であればRVの使用を承認すると発表した。
 ただしRVの上蓋については、現状レベルの見識では詳細管理の有効性を確認できないため、使用を2024年末までに制限する方針。昨年10月に公表した見解を踏襲した形だが、今年7月にフラマトム社が提出した追加情報についても、「詳細な管理が実行されるなら、この異常によりRVが使用できなくなることはない」とした昨年10月の結論に、疑問は呈されないと強調している。

 FL3は仏国で初めて建設される欧州加圧水型炉(EPR)で、RVはアレバ社(当時)傘下のクルーゾー・フォルジュ社が鍛造したもの。炭素偏析は鋼材の機械的強度を弱め、ひび割れ等の拡大に耐えられない可能性があった。ASNによると、アレバ社はその後、事故時も含めたあらゆる運転状況下で、鋼材の機械的強度が十分であることを実証するアプローチを実行。同社と事業者のフランス電力(EDF)が、放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の支援を得て提出した同アプローチの分析結果から、ASNは昨年10月に今回と同様の見解を表明していた。

 RVの使用承認についてASNは、9月3日から24日までの期間、決定案をウェブサイト上でパブリック・コメントに付していた。その結果と、技術的リスク防護高等審議会(CSPRT)の専門家グループが下した結論を受けて、今回の発表を行ったもの。
 なお、FL3の建設工事では今年2月から3月にかけて、主蒸気管を含む2次系配管の溶接部で「品質にバラツキ」のあることが判明。今年7月の段階で、EDFは燃料の初装荷日程を2019年第4四半期に再設定したほか、総工費も目標額から4億ユーロ増の109億ユーロ(約1兆4,200億円)に改定している。

(参照資料:ASNの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)