ロシアが中国の田湾発電所増設計画と高速炉建設支援で実施契約

2018年11月8日

©CNNC

 ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は11月7日、中国における田湾原子力発電所増設計画の実施と高速実証炉建設計画の支援で、同社のエンジニアリング部門が6日に中国核工業集団公司(CNNC)と複数の契約を締結したと発表した(=写真)。
 両者は今年6月、両国首脳立ち会いの下でこの件に関する協力の枠組契約を北京で締結しており、今回の契約はこれを実行段階に移すことを目的としたもの。ロスアトム社は田湾発電所で、第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)設計を採用した7、8号機を増設するとともに、中国福建省の霞浦で昨年末に本格着工した出力60万kWの高速実証炉「CFR600」に対し、機器・サービスなどを提供することになる。

 今年6月の枠組契約で、ロスアトム社は高速炉建設計画の支援に加えて、江蘇省の田湾発電所で2基、遼寧省沿岸部に位置する新規サイトの徐大堡でも同型のVVERを2基建設するとしていた。CNNCの発表によると、今回結ばれた実施契約は4件で、田湾関係は「7、8号機の技術設計契約」。残り3件はCFR600関係で、ロスアトム・グループに所属するOKBMアフリカントフ社とCNNC直属の国際貿易企業の間で締結された。具体的には、ロシア側が「機器・サービスを供給する実施契約」と「設計文書を審査する実施契約」および「(関係する)ソフトウェア・ライセンスの使用権に関する実施契約」となっている。

 田湾発電所では現在、100万kW級のVVER設計(AES-91シリーズ)を採用した1、2号機が稼働中。これに加えて、同型の3号機が今年2月に営業運転を開始したほか、4号機も10月から送電を開始している。5、6号機については、CNNCが仏国の技術を国産化して開発した第3世代のPWR設計「ACP1000」が採用されており、2015年と2016年からそれぞれ建設中である。
 
 中国では核燃料サイクルを確立することで、持続可能な原子力発電の開発利用を目指しており、2011年7月に電気出力2.5万kW(グロス)の高速実験炉「CEFR」が北京南部で送電を開始。その後は実証炉として、ロシアから出力80万kWの高速炉「BN-800」を2基導入する計画と、自主開発技術による建設計画を並行して進めていたが、現在では自主技術の「CFR600」開発に重点が置かれている。CNNCでは同炉の完成を2023年に予定している。

 (参照資料:ロスアトム社、CNNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)