米国とポーランド、原子力含むエネルギー供給保証の協力強化で共同宣言

2018年11月12日

米エネ省のR.ペリー長官(左)とポーランド・エネ省のK.トゥホジェフスキ大臣©ポーランド・エネルギー省

 ポーランドと米国、双方のエネルギー省は11月9日、先進的原子力技術も含めたエネルギー供給保証協力の強化で、8日に「共同宣言」に署名したと発表した。
 エネルギーに関する両国間の戦略的対話構想の下、民生用原子力協力の実現に向けた作業グループを設置するなどの点で両者は合意。ポーランドの原子力発電所導入計画に米国が協力する可能性についても、両国のエネ相が協議した。ポーランドはまた、これに基づきロシアからのLNG輸入への依存を軽減するため、国営のLNG企業が米国企業から長期でLNGを輸入する契約を締結。ポーランドはこの合意により米国との戦略的連携を深め、エネルギー供給で自立を果たすための基盤とする方針だ。

 今回の「共同宣言」は、今年の9月18日にポーランドのA.ドゥダ大統領と米国のD.トランプ大統領が調印した共同声明に基づいている。まずロシアを念頭に置いて、「いくつかの国ではエネルギーを政治的、経済的な強制の手段として用いている」と指摘。両国は「エネルギーを決して兵器として使うべきではない」との考えを共有した。その上で、(1)民生用原子力、(2)サイバー・セキュリティ、(3)天然ガス供給、(4)精炭技術、(5)エネルギーの効率化とスマート・グリッド、(6)送電網の強靱性(レジリエンス)と同期操作、(7)燃料の貯蔵・輸送管理――の分野で協力していくとした。

 民生用原子力分野については、双方の原子力産業界が発電所の建設で協力するとしており、関係する支援インフラやサービス、供給チェーン開発、既存炉に対するメンテナンスとサービスの提供についても協力を促進する。
 また、両国の原子力企業は互いに原子力発電所の新設機会を模索するために協力し、資機材の調達では国際的な良好事例に倣っていくと明記。既存の、あるいは新規であっても、原子力発電所のパーツや関係するサービスの調達でこの方式を取るとしており、原子力発電所や関連プログラムへの資金調達については、申請条件などを調査する方針である。
 「共同宣言」ではさらに、ポーランドで建設する新型原子炉も含めて、将来にわたり民生用原子炉を国際的に手配できるよう図っていくと明言。これにより、信頼性の高い燃料・サービスが確保されるとしたほか、民生用原子力インフラの開発促進においては、国際原子力機関(IAEA)のガイダンスや基準、および欧州原子力共同体(ユーラトム)の規制に基づく民生用原子力技術の適切な活用、人的資源の育成・訓練が含まれるとしている。

 (参照資料:ポーランドと米国のエネルギー省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)