トルコのアックユ2号機に部分的建設許可が発給

2018年12月19日

 トルコ初の原子力発電設備となるアックユ発電所の建設を請け負っているロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は12月14日、トルコ原子力庁(TAEK)から2号機(PWR、120万kW)の部分的建設作業許可(LWP)が発給されたと発表した。
 今年4月にTAEKが1号機(PWR、120万kW)の建設で全面的な許可を発給したことから、2023年の運転開始を目指して建設作業が進行中。2号機についても、ロスアトム社が起ち上げた事業会社のアックユ原子力発電会社(ANPP)がLWPの発給を申請するため、TAEKに予備的安全解析報告書(PSAR)や確率論的安全評価書(PSA)などを提出していた。
 今回の発給を受けて、ANPP社は原子炉系統の安全性に関わる部分を除いたすべての部分で、建設工事や機器の据え付け作業が可能になり、具体的には、基礎抗の掘削やエンジニアリング調査などを実施する予定。その後は全面的な建設許可が発給されるのを待って、正式着工となる原子炉建屋部分の最初の基礎コンクリート打設を行う計画である。

 地中海沿岸のアックユ発電所建設プロジェクトでは、2010年5月にトルコとロシア両国が締結した政府間協力協定(IGA)に基づき、第3世代+(プラス)の最新鋭120万kW級ロシア型PWR(VVER)が4基建設される。ロスアトム社は、これら4基が完成すれば年間350億kWhの電力が60年間にわたって供給されるとしたほか、稼働期間はそれぞれ20年間延長される可能性があるとしている。
 投資総額は200億ドルを超える見通しだが、同プロジェクトでは原子力発電分野としては世界で初めて「建設・所有・運転(BOO)」方式を採用。投資額のすべてをロシアが負担し、トルコ電力卸売会社(TETAS)は発電電力を12.35セント/kWhで15年間購入して返済することになる。
 ANPP社は発電所の設計・建設から運転・保守、廃止措置、放射性廃棄物管理、損害賠償まで責任を負うものの、トルコおよび第三国の企業が同社株式の49%までを取得することが可能。この関係で、トルコの大手エネルギー施設建設企業であるとともに売電・送電事業も扱っている3社の連合体が昨年6月、ANPP社に49%を出資することでロスアトム社と合意した。しかし、その後の交渉で最終合意に至らず、今年2月に同連合体がこの計画から撤退したことをトルコの国営メディアが伝えている。

 (参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)