仏オラノ社、新しいウラン転換工場で産業規模の生産開始

2018年12月27日

©オラノ社

 仏国のオラノ社(旧アレバ社)は12月20日、南部ドローム県のトリカスタン・サイトに建設した新しいウラン転換工場「フィリップ・コスト・プラント」(=写真)が試験プログラムを完了し、産業規模の生産を開始したと発表した。
 同プラントは、トリカスタンとオード県マルベシの両サイトにおける施設の刷新計画「コミュレックスIIプロジェクト」の一部として、2006年に基本設計が始まった。総投資額11億5,000万ユーロ(約1,452億円)のうち、8億5,000万ユーロ(約1,072億円)が同プラントの建設用に支出されている。同プラントはまた、2017年末に新しい安全基準への適合性問題により閉鎖されたコミュレックスI工場を代替するもの。当初は年間7500トンほどの生産規模で操業し、2021年までに最大生産能力15,000トンまで設備を拡大していくとしている。

 新しい施設は、オラノ社の子会社であるコミュレックス社の初代社長、フィリップ・コスト氏にちなんで名付けられた。生産品である六フッ化ウランの封入用に最初のシリンダーを導入した9月10日付けで開所式が行われており、D.ジェニ=ステファン経済・財務大臣付副大臣(当時)をはじめ、オラノ社グループの国際的な顧客企業の幹部や、欧州各国の政府代表、議員ら約60名が出席した。
 オラノ社の発表によると、新施設は安全面や環境影響面、および性能面においても革新的な技術を採用。近代的で効率的な機器を装備していることから、ウラン転換市場における同社の立場は一層、強化されることになるとした。同施設はまた、同じトリカスタン・サイトにあるジョルジュ・ベスII濃縮工場とともに、毎年9,000万戸以上の世帯に供給する低炭素電力の生産に貢献。仏国内で安定した雇用を生み出すことにもつながるとしている。

 (参照資料:オラノ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの12月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」ほか)