韓国で2基目のAPR1400、新古里4号機に運転許可

2019年2月4日

新古里3、4号機©韓国水力・原子力会社(KHNP)

 韓国原子力安全委員会(NSSC)は2月1日、韓国原子力安全技術院が実施した審査の結果等に基づき、同国で25基目の商業炉となる新古里原子力発電所4号機(PWR、140万kW)に対して、運転許可の発給を議決したと発表した。

 同炉は、2016年12月に営業運転を開始した新古里3号機と同じく、140万kW級PWRの最新設計「APR1400」を採用している。これは、米コンバッション・エンジニアリング(CE)社(現在はウェスチングハウス社に統合)の130万kW級PWR設計「システム80+」をベースに、韓国電力公社(KEPCO)の指揮の下、韓国の原子力産業界が約10年かけて開発したもの。新古里4号機では、2015年11月に冷態機能試験が完了したのに続き、温態機能試験も2016年4月に完了。原子力安全委は今後、新古里4号機への燃料装荷や試運転など、使用前検査を通じて安全性を徹底的に確認するとしている。
 なお、「APR1400」設計は、韓国内で同様に建設中の新古里5、6号機と新ハンウル1、2号機に採用されているほか、韓国が初めて輸出に成功したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所(4基)にも使われている。

 新古里4号機の建設プロジェクトでは、2007年9月に地盤の掘削計画が承認された後、2009年8月に原子炉建屋部分で最初のコンクリート打設が行われた。当初は2014年9月の完成を予定していたが、2013年5月に安全系制御ケーブルの安全評価結果が偽造されていたことが判明。取り替え作業が必要になり、運転開始のスケジュールは大幅に遅延した。
 また、2016年9月と2017年11月には、慶尚北道の慶州と浦項で大規模な地震が発生。観測史上最大級の地震であったことから、耐震性の再評価を含めた全体的な安全性の確認に7年が費やされた。

 NSSCは同日の会議で、新古里4号機が原子力安全法21条に基づく許可基準を満たしていることを確認。さらに、達成すべきいくつかの条件を提示した上で運転許可の発給を決めたもので、それらは(1)加圧器安全弁で設計変更を行うなど、蒸気漏れの低減措置を完了させる、(2)火災リスクに関しては複数の分析結果を反映させ、今年6月までに分析レポートを提出する、(3)最終安全解析報告書の中で適用された技術基準が、1981年版の火災防護基準だった部分については、すべて2001年版の基準に変更する――となっている。

 (参照資料:韓国原子力安全委の発表資料、韓国水力・原子力会社(KHNP)のHP、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)