米原子力産業界、世界市場での地位奪還に向けトランプ大統領と協議

2019年2月15日

 米国で小型のペブルベッド高温ガス炉を開発中のX-エナジー社、および核燃料企業のライトブリッジ社は2月13日、両社を含む米原子力産業界の大手企業幹部らが前日、D.トランプ大統領からホワイトハウスに招かれ、世界の原子力市場で米国サプライヤーがリーダーシップを取り戻し、他国との競争に打ち勝って契約を受注していくための方策を協議したことを明らかにした。

 この会合の開催は、原子力関係のコンサルティング企業、IP3インターナショナル社を創設したJ.キーン氏が手配したと言われている。同社のウェブサイトからリンクされた一般紙報道によると、同会合にはウェスチングハウス社やGE社、エクセロン社に加えて、小型モジュール炉(SMR)や革新的原子炉を開発中のニュースケール社とテラパワー社、濃縮ウラン供給企業のセントラス・エナジー社のトップも参加。米国で開発された新型炉やSMRなど、次世代原子炉を今後、海外市場に幅広く販売していくため、連邦政府の承認を求めるとともに、中東その他の地域の新設プロジェクトでロシアや中国、フランスなどとも競合できるよう、財政面での支援も要請したとしている。

 ライトブリッジ社の発表によると、原子力産業界の幹部らはこの会合で、核不拡散や安全・セキュリティ面で強固な基準を世界市場にもたらすため、米国の産業界がいかに貢献しているかを説明した。参加者らはまた、米国の原子力サプライヤーが保有する長所が、海外案件で米国企業が勝利する際、極めて重要となる国内の産業基盤にどれほど寄与しているか議論したという。
 同社のS.グラエ社長兼CEOは、「エネルギー産業はどこの国においても重要なインフラを象徴するものであり、このような世界的規模の分野で米国がリーダー的立場を維持するために、様々な意見を共有できる機会というのは貴重だ」と述べた。また、強固な国内産業基盤は国家の安全保障や経済政策などとも連携しており、技術革新や近代的なインフラ、質の高い生活といったものを促進していく上で、役に立つという考えにも同意するとしている。

 一方、X-エナジー社のJ.C.セルCEOは、固有の安全性を有する同社の新型炉技術であれば炉心溶融の危険性もないため、世界市場で米国の産業界が地位を回復することに貢献できると述べた。世界人口が爆発的に増加し、経済も拡大していくなか、我々は深刻なエネルギー危機に陥る危険性があると指摘。その上で米国の原子力産業界は、米国におけるエネルギー供給保証と国家安全保障のために、また世界に対して最も高い安全基準を保証していくためにも、世界の原子力産業界でリーダーシップを取り戻さねばならない。そのためにも、米国の原子力産業界は大統領を支持し、大統領が要請するように、世界の原子力技術レースで勝利していくとの考えを表明している。

 (参照資料:X-エナジー社ライトブリッジ社IP3社の発表資料、およびWNAの2月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)