ウクライナ大統領、エネルギー・ミックスにおける原子力の意義 強調

2019年3月7日

©ウクライナ大統領府

 ウクライナのP.ポロシェンコ大統領は3月4日、南部ミコライフ州にある南ウクライナ発電コンビナートを視察し、「ロシアからの輸入天然ガスがなくても切り抜けられたのは、原子力発電による貢献が大きい」と述べるなど、国内エネルギー・ミックスにおける原子力の意義を強調した。

 南ウクライナ発電コンビナートでは、南ウクライナ原子力発電所の3基(各100万kWのロシア型PWR)に加えて、アレクサンドロフカ水力発電所とタシリク揚水発電所が立地。同コンビナート全体で発電する年間170億~200億kWhの電力量は、ウクライナの総発電量の約10%に及んでいるほか、商業炉全15基による総発電量の約20%に達している。
 大統領府の発表によるとポロシェンコ大統領は、「原子力の発電シェアが60~61%に増大した過去4~5年間はとりわけ、原子力発電所が国家のエネルギー供給保証と供給源の多様化に大きく貢献した」と指摘、原子力科学者に対して謝意を表明した。また、政府が同コンビナートにおける追加ユニットの建設を、最優先項目に決定したと述べた。これにより、原子力の発電シェアが一層高まり、ウクライナ経済もさらに競争力を増すことになると強調している。

 同国は1986年のチェルノブイリ事故直後、最高会議決定により新規原子力発電所の建設を中断したものの、国内の電力不足と国民感情の変化を受けて、1993年に建設モラトリアムを撤回した。近年はクリミアの帰属問題や天然ガス紛争などで、ロシアとの関係が悪化しており、ロシアからのエネルギー輸入依存から脱却するため、既存の原子力発電所用の原子燃料についても、ウェスチングハウス社などロシア企業以外からの調達を進めている。
 また、2017年8月にウクライナ内閣は、2035年までのエネルギー戦略「安全性とエネルギー効率および競争力」を承認。この中で原子力は、2035年まで総発電量の50%を供給していくと規定したほか、再生可能エネルギーで25%、水力で13%、残りが化石燃料火力という構成になっている。
 さらに、国営原子力発電公社のエネルゴアトム社は、米ホルテック・インターナショナル社が開発中の小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」をウクライナ国内で建設し、同技術を国産化することも目指している。両社は2018年3月に協力覚書を締結しており、エネルゴアトム社は国内の許認可手続きと、既存の原子力発電所内での建設を進める考えだ。

 (参照資料:ウクライナ大統領府、エネルゴアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)