フィンランド政府がオルキルオト3号機に運転認可 発給

2019年3月8日

©フィンランド雇用経済省

 フィンランドの雇用経済省は3月7日、欧州初の「欧州加圧水型炉(EPR)」となるオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)(PWR、172万kW)(=写真)を建設中のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)に対し、原子力法に準じた運転認可を発給すると発表した。

 これは、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が2月25日に提出した意見書のなかで、「OL3の運転認可発給を阻むような安全上の問題は見受けられない」と明記したことに基づいている。TVOは同日、「フィンランドで新規の原子力発電所に運転認可が発給されるのは、1979年以来初のことであり、間違いなく歴史的な決定である」と発表。2005年の着工以降、予想外に長期の時間が費やされたプロジェクトだが、運転認可の発給は発電開始に向けた重要なステップであり、電力の供給保証やCO2の排出量抑制、エネルギー輸入量の削減など、建設計画決定当時の期待に同社が応えるためものだと強調した。
 また、フィンランドでは現在、電力需要の約27%を国内の商業炉4基が供給中。TVOはOL3の起動により、原子力の発電シェアは約40%まで上昇するとの見通しを示している。

 現時点でTVOは、OL3の商業運転開始を2020年初頭に予定。設計上の運転期間は60年だが、運転認可の有効期限は同社の申請書、およびOL3の廃棄物を中間貯蔵する施設の操業許可期限に基づき、当面2038年の12月末までとなっている。起動に向けた準備や作業の監督をSTUKが行っているところで、燃料の装荷認可発給に先立ち、原子炉の安全運転に関わる要件すべてを満たすための点検もSTUKは実施する。
 TVOはまた、1次系の試験運転時に探知された加圧器サージラインの振動についても、燃料装荷前の解決を求められている。STUKはTVOが提案した解決策を審査した上で、改修作業の監督も行う計画。同作業の完了を見届けるとともに、解決策が有効であるかについても確認することになる。
 TVOはさらに、運転認可発給の条件として、2028年末までに最初の定期安全審査をOL3で実施し、STUKの承認を得なければならない。審査範囲は、国内外の審査関係勧告や慣行、STUKが定める規制や要件に従って決定される。

 雇用経済省は、OL3の起動を地球温暖化防止の観点から待望していたとし、CO2の排出量削減に大きく貢献するとの認識を表明。フィンランドにおける発電電力はすでに、8割近くが低炭素電源によるものだが、OL3が稼働することでこの割合は85%まで上昇するとした。
 また、原子力発電で最も重要なことは発電所の安全性を保証することだとした上で、OL3の設計はそのための設計が全面的に施されている世界でも初のものであり、放射性廃棄物の管理システムは1、2号機用の中間貯蔵施設が発電所内ですでに稼働していると強調。同炉の使用済燃料を含めた廃棄物の最終処分場についても、TVOがフォータム社と共同出資するポシバ社が建設中である点を指摘している。

 (参照資料:フィンランド雇用経済省、TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)