トランプ政権の2020会計年度予算要求、廃棄物処分プログラムに1億1,600万ドル

2019年3月12日

 米・共和党のD.トランプ政権は3月11日、今年10月から始まる2020会計年度の予算教書「より良いアメリカのための予算」を議会に提出し、ネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済燃料等の最終処分場計画と中間貯蔵プログラムに、1億1,600万ドルを要求していることを明らかにした。米原子力規制委員会(NRC)によるユッカマウンテン計画の許認可活動再開には、別途3,800万ドルを計上。堅実な中間貯蔵プログラムの実施等により、放射性廃棄物管理に対する同政権の誓約履行を改めて立証するとしている。

 トランプ大統領は就任当初の2017年3月、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)予算要求で、最終処分場建設計画の許認可活動再開および中間貯蔵プログラムの開発に1億2,000万ドルを提案。翌2018年2月の2019会計年度(2018年10月~2019年9月)予算教書でも同額の要求を行ったが、どちらにおいても最終的にユッカマウンテン関係予算は盛り込まれなかった。

 今回、2020会計年度のエネルギー省(DOE)予算として、同政権は2019会計年度の要求額より11億ドル増(※最終的に成立した2019年度法案のレベルからは11%減)の317億ドルを要求している。信頼性の高い適正価格のエネルギー源に一層の投資(23億ドル)を行うとともに、国立研究所等で革新的な科学技術の研究開発(55億ドル)を前進させ米国の国家安全保障を促進。これにより、米国におけるエネルギー自給への道筋と歴史的な経済成長の継続を保証していく方針である。
 23億ドルを充当する具体的な活動としては、エネルギー・セクターの部門間協力や共同活動、開発・統合を挙げたほか、エネルギーの貯蔵と供給保証、信頼性や回復力(レジリエンス)を追求していくと指摘。ユッカマウンテン関係の1億1,600万ドルに加えて、原子力局(NE)の活動予算も、2019会計年度から6,700万ドル増の8億2,400万ドルを要求していることを明らかにした。

 また、サバンナリバー・サイトにおけるMOX燃料製造加工工場建設プロジェクトの中止にともない、DOEは今後、余剰プルトニウムの希釈・処分に向けて予算を精力的に充当。米国からのプルトニウム撤去を促すため、サバンナリバー・サイトとロスアラモス国立研究所の主要設備で投資を行うとした。
 さらに、将来的にエネルギー関係のブレイクスルーを可能にするような国立研究所インフラや試験用架台にも投資していく方針で、世界的なレベルの維持が優先されるインフラや試験用架台を厳選。例として、次世代商業炉で使用する新型燃料や資機材の試験開発用に、1億ドルをかけて多目的(高速)試験炉(VTR)を建設する計画である。

 このほか、NRCは2020会計年度予算として、2019年度予算に1千万ドルを上乗せした9億2,100万ドルを要求した。ユッカマウンテン処分場の3,800万ドルを含む核物質と廃棄物の安全確保に1億6,570万ドルとしたほか、原子炉の安全性確保に4億4,950万ドル、新型原子炉技術の規制インフラ開発継続のための1,500万ドルを計上している。

 (参照資料:米大統領府エネルギー省NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)