エジプトの原子力導入計画にサイト許可が発給

2019年4月16日

 エジプトで原子力発電の導入計画を担当する原子力発電庁(NPPA)は4月10日、同国北部エル・ダバにおける4基の原子炉建設計画に対し、エジプト原子力規制・放射線当局(ENRRA)から3月初旬にサイト許可を受領していたことを明らかにした。
 同サイトおよびサイト固有の条件が、原子力発電所建設における国内の要件と国際的な要件を満たしていることが確認されたもの。NPPAは、2026年の初号機起動を目指すエル・ダバ発電所・許認可プロセスにとって、大きなステップになったとしている。サイト許可は今後着工する4基すべてに適応する一方、次の段階である建設許可も含め、残りの許認可はすべてユニット毎の発給になる。

 同建設プロジェクトでは、120万kW級のロシア型PWR(VVER)4基の建設が計画されている。エジプト政府の電力・再生可能エネルギー省は2017年12月、プロジェクトを請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社との契約書に調印。昨年10月には米国のGEパワー社が、ロスアトム社の発電機器製造部門であるアトムエネルゴマシ社との合弁事業体を通じて、4基分のタービン系統機器を同プロジェクト用に納入すると発表した。
 建設サイトのエル・ダバは、地中海沿岸のアレキサンドリアから西に170kmの地点。完成した原子炉4基はNPPAが所有・運転することになっており、これらで急増する同国の電力需要に対応したいとしている。

 サイト許可の申請書は2017年にNPPAが提出していたもので、ENRRAは、原子炉の設置関係データのほかにサイト特性のデータ、原子炉の設計基準と概念、エジプト環境庁による環境影響声明書(EIA)の審査報告などを詳細かつ包括的に審査した。
 また、この審査活動を支援するため、エジプト政府は今年1月、国際原子力機関(IAEA)から「立地評価・安全設計レビュー(SEED)」ミッションを招聘。発電所の安全性に関わるサイト特性のほかに、地震や津波といった自然災害、外部からもたらされる人為的な災害にも、特別な注意が払われたとしている。

 (参照資料:NPPAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)