米エンタジー社、廃止措置の迅速化でインディアンポイントの3基を譲渡へ

2019年4月24日

©エンタジー社

 米国のエンタジー社は4月16日、ニューヨーク(NY)州で保有・運転しているインディアンポイント原子力発電所(=写真)2、3号機(各100万kW級PWR)、および1974年に閉鎖済みの同1号機について、最後の1基が永久閉鎖した後の廃止措置を迅速化するため、発電所ライセンスなどをホルテック・インターナショナル社の子会社に売却することで両社が合意したと発表した。

 NY州では2016年8月、州北部で稼働する3つの原子力発電所への補助金プログラムを盛り込んだ温暖化防止政策が州議会で成立した。その一方で、NY市から40km圏内に立地するインディアンポイント発電所については、「大都市圏に近すぎる」としてNY州政府が早期の閉鎖を要求。エンタジー社は2017年1月、稼働中の2、3号機をそれぞれ、2020年4月と2021年4月までに永久閉鎖することで、州政府と合意していた。

 エンタジー社としては、自らが両炉を継続保有して廃止措置を実施するよりも、ホルテック社に売却した場合の方が数10年早く廃止措置を完了することができると期待。今回の合意が有効になるのは、3号機が永久閉鎖され、燃料が抜き取られた後のことになるが、ホルテック社は「停止後廃止措置活動報告書」と「廃止措置コスト見積」を準備するため、廃止措置の一層明確な日程表を策定していくことになる。
 ホルテック社はこれらの文書を、今年の第4四半期に原子力規制委員会(NRC)に提出すると見られている。エンタジー社では同発電所のライセンスと使用済燃料、廃止措置の債務と信託基金の譲渡手続を2021年第3四半期に完了させる方針。同手続ではNRCによる承認のほかに、州の公益事業委員会の承認や州政府・環境保全省の合意などが必要条件になるとしている。
 
 ホルテック社の計画では、同発電所から出る使用済燃料はすべて、発電所敷地内の鉄筋コンクリート製パッド上に同社が乾式貯蔵キャスクを製造して保管。これらには引き続き監視が付き、廃止措置期間中もモニターされるとした。ホルテック社は2017年3月、ニューメキシコ州南東部に使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CIS)を建設するため、許可申請書をNRCに提出。この施設が全米から使用済燃料を受け入れる準備ができるまで、あるいは米エネルギー省(DOE)が使用済燃料の引き取り義務を履行するまでは、インディアンポイント発電所の使用済燃料はNRCの監督・管理下に置かれることになる。
 廃止措置業務に関しては、ホルテック社は2018年にカナダのSNCラバリン社との合弁で、廃止措置の専門企業「コンプリヘンシブ・デコミッショニング・インターナショナル(CDI)社」を設立している。ホルテック社とCDI社はすでに、インディアンポイント発電所で廃止措置を実施するための総合請負契約で合意。CDI社は、世界中の官民の原子力部門で複雑なプロジェクトを管理した経験等に基づき、インディアンポイント・サイトの廃止措置を進める考えである。

 (参照資料:エンタジー社ホルテック社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)