韓国でAPR1400設計の新古里4号機が送電開始

2019年4月26日

新古里4号機の初併入を祝うKHNP社スタッフ
©KHNP社

 韓国水力・原子力会社(KHNP)は4月25日、南東部の蔚山広域市蔚州郡で建設中の新古里原子力発電所4号機(PWR、140万kW)が初めて送電網に接続され、22日の午後5時40分頃から送電を開始したと発表した。
 同炉は、韓国電力公社(KEPCO)がアラブ首長国連邦(UAE)に輸出した原子炉4基と同型の140万kW級最新PWR「APR1400」を採用。同設計として2016年12月に、初めて営業運転を開始した新古里3号機に次いで2基目となる。段階的な出力上昇試験や性能保証試験などを実施した後、8月中旬にも本格的な商業運転に入るとしている。

 2017年5月に発足した文在寅政権は、脱原子力政策を国内で段階的に進めていき、2038年までに商業炉を14基まで削減する計画である。ただし、2009年から2013年にかけて着工済みの新古里4号機と新ハンウル1、2号機の建設工事は継続。2017年4月に着工したばかりの新古里5号機と、当時建設準備中だった同6号機についても、中立の公論化委員会の勧告に基づき、予定どおり完成させることが決定している。
 また、原子力発電所の輸出について、同政権は積極的に産業界を支援していく方針を表明。UAEでの受注成功例を弾みに、政府と産業界および金融機関が力を結集して推進する考えである。

 新古里4号機は、2017年に永久閉鎖された古里1号機(PWR、58.7万kW)を含めると、韓国で完成した26番目の商業炉である。APR1400設計は、元々は米コンバッション・エンジニアリング(CE)社が開発した「システム80+」設計がベース。韓国の主力設計として、現在12基が稼働する100万kWの韓国標準型PWR「OPR1000」は、「システム80+」設計に基づいて開発された。その後、OPR1000で蓄積した運転経験と技術から、安全性と経済性、および運転・保守管理の利便性を大きく発展させたのがAPR1400である。

 新古里4号機は2009年8月に本格着工したものの、制御ケーブルの安全評価が偽造されていたことが2013年に判明。当初2014年9月に予定されていた完成は、ケーブル交換およびその他の作業により大幅に遅れた。原子力安全委員会は今年2月、同炉に対して運転許可を発給。これを受けて燃料が装荷されており、4月8日には初めて臨界条件を達成していた。

 (参照資料:KHNP社(韓国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)