米エネ省、「高レベル放射性廃棄物」という用語の解釈を変更

2019年6月10日

 米エネルギー省(DOE)は6月7日、「高レベル放射性廃棄物(HLW)」という用語の新しい解釈を一般に公表するため、補足通知書を連邦官報宛てに送付したと発表した。
 DOEはこれまで廃棄物の放射能レベルとは無関係に、核兵器開発にともなうスラッジやスラリーなど、使用済燃料の再処理後に排出された廃棄物のほとんどをHLWとして管理してきた。しかし、今後はレベルの低いものを現行の保管場所から取り出して、最終的に安全な処理方法へと道を拓く方針。ただし、解釈が変更されても、放射性廃棄物に関する現行の政策や法的要件、許認可および取り決めについて、変更や改定が行われることはない点を強調している。

 DOEは昨年10月、1954年原子力法とその修正法、および1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)と修正法に基づく法定用語の新しい解釈について、90日間のパブリック・コメント要請文書を連邦官報に掲載。これまでに、一般国民や連邦議会議員、州政府・地方自治体、および米原子力規制委員会(NRC)などから、合計5千件以上のコメントが集まった。
 このコメント要請文書と今回の補足通知書によると、再処理により出る廃液の何種類かはHLWとしての分類に含まれないかもしれず、放射性物質の特性に応じた処分を受けるべきものだったとしている。しかし、これまで画一的なアプローチが取られていたため、HLWの処分スケジュールは数十年遅れている。また、処分には数十億ドルのコストがかかるとしており、廃棄物は恒久的処分策が取られないままサウスカロライナ州サバンナリバー・サイト、ワシントン州ハンフォード・サイト、アイダホ州の国立研究所といったDOE施設に数十年間、保管されている。

 得られたコメントに基づきDOEは、「HLWに含めない再処理後廃棄物」の基準として、(1)クラスC廃棄物の制限値を超えない低レベル廃棄物、(2)処分の際に深地層処分場を必要としないもの――を設定した。廃棄物がどのように生成されたかではなく、含まれている放射性物質の特性に応じて定義付けを行う方針。DOE施設内に放置されているレベルの低い廃棄物を、国民の健康や環境、地域コミュニティの安全性を保ちつつ、安全かつ責任ある方法で処理するための新しい方法を模索するとした。
 新解釈を既存の廃棄物にどのように適用するかの判断や、廃棄物が実際に非HLWとして処分されるかについては、今後のアクション次第となる。いずれにおいても、影響を受けるステークホルダーとの適切な協議を通じて、サイト毎の特徴に基づいたアクションが実行されるとしている。

 (参照資料:DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)