英国の環境保全技術開発に中国CNNCの傘下組織が参加

2019年6月25日

©CNNC

 中国核工業集団公司(CNNC)は6月24日、英国イノベーティブ・フィジクス社(IPL)が民生用原子力技術分野で進めている研究開発に、CNNC傘下の中核環保有限公司(CEPC)と中国輻射防護研究院が参加することになったと発表した。
 IPL社はセンサー技術や人工知能(AI)、パターン認識など、日々進化する技術の研究開発を専門とする企業。放射性物質の検知などが可能な最先端AI技術をオーダーメードで開発してきた。
 今回は放射線の検知・管理技術の向上など、原子力産業に関わる同社の主要な技術開発5件にCNNCが協力し、すべての研究開発プロセスと成果について知的財産権を共有する内容で了解覚書を締結した。この枠組合意に基づいて両者は戦略的な協力関係を長期的に構築し、共同で強化した両者の能力を中国その他の国で環境保全に役立てることになる。

 両者の覚書は、英中両国の第10回経済・財政対話がロンドンで開催されたのに合わせ、英国国際貿易省のG.ホリングベリー貿易政策担当閣外相と中国国家原子能機構の張建華・副主任の立ち会いの下、17日付けで調印された。この会合では、総額にして5億ポンド(約683億円)以上の商取引や契約に向けた覚書等が約70件締結されたが、IPL社とCEPCの協力は、2014年に英中両国政府、およびCNNCと英国NIS社が民生用原子力分野全般の協力強化で結んだ了解覚書を実行に移すプロジェクトとなる。

 英中両国の原子力協力としてはこのほか、中国広核集団有限公司(CGN)が2015年10月、英国サマセット州で進められているヒンクリーポイントC原子力発電所(160万kW級の欧州加圧水型炉×2基)建設計画に対し、33.5%出資することで事業者のEDFエナジー社と合意している。CGNはその際、EDFエナジー社がサフォーク州で検討中のサイズウェルC原子力発電所(160万kW級の欧州加圧水型炉×2基)建設計画にも20%の出資を約束。さらに、エセックス州のブラッドウェルB原子力発電所建設計画に対しては、中国製の第3世代設計「華龍一号」を輸出することになった。
 英原子力規制庁(ONR)はすでに2017年1月、英国仕様の「華龍一号」(UK-HPR1000)について包括的設計審査(GDA)を開始。同年11月には全4ステップ中の第1ステップを、2018年11月には第2ステップを完了している。

 (参照資料:CNNCの発表資料、IPL社がリンク付けした報道資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)