中国CNNCがSMRの実証炉建設プロジェクトに着手

2019年7月22日

プロジェクトの着手を祝って海南省人民政府が主催したセレモニー©CNNC

 中国核工業集団公司(CNNC)は7月19日、海南省の自由貿易試験区で、出力10万kWの多目的小型モジュール炉(SMR)「玲龍一号」の実証炉建設プロジェクトに着手すると発表した。

 CNNCは2010年、仏国のPWR技術をベースに開発した100万kW級原子炉設計「ACP1000」の小型版として、第3世代設計となる「ACP100」の研究開発を正式に開始。同設計は2016年4月、SMR設計としては初めて国際原子力機関(IAEA)の一般原子炉安全レビュー(GRSR)をパスしており、福建省莆田市で実証炉2基が建設されると見られていた。
 しかし近年は、60万kW級PWR「CNP600」が稼働する海南省昌江原子力発電所の近隣にSMRの建設サイトを移し、設計の呼称も「玲龍一号」としたことが明らかになっている。

 発表によると、CNNCは習近平国家主席のガイダンスに沿って、海南県との戦略的協力関係を深めていく。新たな原子力発電所を建設することで関連産業を精力的に開発し、原子力技術産業都市を構築。これらは、海南島全体の社会経済の発展にも貢献するとしている。
 CNNCの説明では、「玲龍一号」には既存のPWR技術に基づいて統合型原子炉設計や受動的安全システムを導入しており、安全性の技術レベルは第3世代に達している。発電規模の柔軟性や経済性、遠隔地や山間部など特殊なサイトにおける順応性も高く、中小規模の電力供給網に対応。プロセス熱の供給や離島の海水脱塩にも利用できるなど、様々な条件下の地域やユーザーのエネルギー需要を満たすことが可能で、中国経済の持続的な発展に大きく寄与するとした。
 CNNCは商業用「玲龍一号」の実証プロジェクトを通じて、SMRの設計・機器製造・建設・運転に関する技術を確証するとともに、SMR原子力発電所の操業で貴重な経験を蓄積していく方針。将来のエネルギー市場において、その他のエネルギー源や大型原子力発電所を補うだけでなく、商業用SMRの市場も開拓する考えである。

 なお、CNNC以外では、中国広核集団有限公司(CGN)が2016年11月、熱出力20万kWの海上浮揚式原子力発電所「ACPR50S」を開発するため、実証炉(6万kW)の原子炉容器購入契約を東方電気と締結。2020年の発電開始を目指して、正式着工している。

 (参照資料:CNNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)