チェコ環境省、ドコバニ増設計画の環境影響評価を承認

2019年9月3日

©CEZ社

 チェコの国営電力CEZ社は8月30日、ドコバニ原子力発電所(=写真)の増設計画に関して同社が提出していた環境影響評価(EIA)を環境省が承認したと発表した。
 同社はドコバニ発電所で経年化が進んだ既存炉4基(各51万kWのロシア型PWR)の閉鎖に備えて、容量の大きい新規原子炉を1基か2基、発電所の2期工事として増設する方針。EIAの提出を通知する文書も含めて、同手続の開始に必要な文書を2016年7月に環境省に提出するとともに、その実行準備も開始していた。EIAが承認されたことを受けて、同社は建設に向けた準備作業が大きく進展したと評価。建設契約に関する入札が2020年末までに実現するよう、この準備作業をさらに進めていくとしている。

 チェコ政府は2015年5月に公表した「国家エネルギー戦略」のなかで、原子力発電シェアを当時の約35%から2040年までに60%近くまで上昇させる必要があると明記。同戦略のフォロー計画としてこの翌月に閣議決定した「原子力発電に関する国家アクション計画(NAP)」では、化石燃料の発電シェアを徐々に削減していくため、原子力と再生可能エネルギーが重要な役割を果たすと強調していた。
 NAPはまた、既存のテメリンとドコバニの両原子力発電所で1基ずつ、可能であれば2基ずつ増設する準備の必要性を指摘。ドコバニ発電所では特に、既存炉が2035年から2037年の間に運転を終了するため、優先的に増設を行うとしていた。

 テメリン発電所では投資金の回収問題により、3、4号機の増設計画が2014年に頓挫した。一方のドコバニ発電所については、政府が今年7月、CEZ社グループの100%子会社を通じて2期工事の建設資金を調達するという投資家モデルを承認している。
 CEZ社は今回環境省が承認したEIAに、住民との協議や公開ヒアリングから得られた質問等に対する詳細なデータを盛り込んだとした。これには、天候条件が最悪となった場合のダレンツェ・ダムからの取水に関する説明も網羅。CEZ社はそのような状況下でも、既存炉と新規の1基(120万kW級)を同時に稼働させることは可能だとしている。

 CEZ社としては、今後もドコバニ発電所で既存炉の運転と増設計画の準備作業を継続するが、サイト近隣の自治体や住民からはEIAに対するコメントを多数収集した。年末までは合同集会の開催も予定しており、EIAの結果を直接知ってもらう機会になったとしている。

 (参照資料:CEZ社(チェコ語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)