第63回IAEA総会始まる、竹本科学技術担当大臣、廃炉・汚染水対策で科学的根拠に基づく議論の必要性強調

2019年9月17日

 国際原子力機関(IAEA)の第63回通常総会が9月16日から20日まで、オーストリア・ウィーンで開催されている。
 総会の冒頭、出席者一同が7月に逝去した天野之弥事務局長に対する黙とうを捧げ哀悼の意を表した。
 9月11日の内閣改造により科学技術政策担当大臣に就任した竹本直一大臣(=右写真)が日本政府代表として総会に出席。代表演説でまず「平和と開発のための原子力」をIAEAのモットーとして掲げた天野氏の名前がIAEAサイバースドルフ研究所の施設に冠されることが決定したことを評価したうえで、天野氏の志と業績が後世に受け継がれ、国際社会の平和と安定の促進につながることを願うと述べた。
 我が国の原子力政策については、昨年11月に実施された福島第一廃炉に関するIAEAレビューミッション報告書に盛り込まれた助言にも触れながら福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組みを継続していくと強調するとともに、汚染水の浄化処理の結果生じる処理水の最終的な取り扱いについては検討中であるとした。対外的な説明努力に関しては、とくに事故発生後から継続して行ってきた外交団向け説明の実績にも言及し、今後も国際社会に対して透明性をもって説明していく姿勢を強調した。竹本大臣は、最近の事例を踏まえ、廃炉・汚染水対策に関し事実や科学的根拠に基づかない批判を受けているとしたうえで、我が国が公表している情報をもとに、すべての国が公正で理性的な議論を行うよう訴えた。
 総会初日、全体会合の終了間際の議論では、福島第一廃炉から生じる処理水の扱いをめぐって、日韓双方の代表が激しく主張。日本は科学的に透明性をもってIAEAや国際社会に丁寧に引き続き説明していくとした。