フラマトムとシーメンスの企業連合、フィンランドの新設計画で計測制御系を受注

2019年10月3日

モスクワで契約書に調印する3社の代表
©フラマトム社

 フィンランドの西海岸、ピュハヨキでハンヒキビ原子力発電所(120万kWのロシア型PWR)建設計画を進めているフェンノボイマ社は10月2日、同計画の主要な下請企業であるロシアのTITAN-2(T2)社が、主要な計測制御(I&C)系のサプライヤーとして仏フラマトム社と独シーメンス社の企業連合を選定し、契約を交わしたと発表した(=写真)。
 これにより、同計画における主要機器のサプライヤーはすべて決定したとフェンノボイマ社は説明。基本設計作業はすでに進展中だが、2021年までに建設許可を取得できるよう、予備的安全評価分析報告書をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に提出しなければならず、着工に向けてサプライ・チェーン全体の準備を整えるなど、作業がまだ多数残っているとしている。

 フェンノボイマ社は当初、160万~180万kWの原子炉建設を計画しており、2013年2月に160万kW級の「EU―ABWR」を提案する東芝に優先交渉権を与えた。しかし、同社はその後、採用設計の出力を100万kW~130万kWに変更。2013年12月には、同社株の34%購入を約束したロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社と、第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)シリーズ「AES-2006」の導入で原子炉供給契約を結んだ。
 同計画の総投資額について、フェンノボイマ社は放射性廃棄物の管理費や資金調達コストなども含めて65億~70億ユーロ(約7,600億~8,200億円)になると明言。投資判断を下した2014年春以降、見積額に変更がない点を強調した。「AES-2006」の参照炉としては、ロシアのレニングラード原子力発電所II期工事(LAES-2)を想定。同発電所ではすでに、1号機が2018年10月に営業運転を開始したほか、建設中の2号機についても2021年初頭の運転開始が見込まれている。

 今回の契約で、フラマトム社はプラントの安全系I&C、シーメンス社は運転システムのI&Cを供給する予定。また、I&C系の統合作業と技術管理は、ロスアトム社傘下のルスアトム・オートメテッド・コントロール・システムズ(RASU)社が実施することになる。フラマトム社はLAES-2のプロジェクト設計で同社製機器を納入した実績があり、今回の契約事項の中でも最も重要なのは、2015年にフェンノボイマ社が申請した建設許可の取得に必要な文書を確実に作成することだと述べた。
 フェンノボイマ社の主な出資企業は、電力多消費産業の約60社で構成されるボイマ・オサケイティエ・グループ。2012年には、その時点で唯一原子力発電所の運転経験があり、フェンノボイマ社株の34%を保有していた独E.ON社が、ハンヒキビ発電所建設計画から撤退した。STUKが審査する安全性と設計関係の文書については、その準備にサプライヤーが重要な役割を担うとフェンノボイマ社は説明している。

 (参照資料:フェンノボイマ社フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月2日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)