ハンガリーのパクシュⅡ期工事で仏独企業連合が自動プロセス制御システム納入へ

2019年10月24日

©ロスアトム社

 ハンガリーでパクシュ原子力発電所5、6号機(Ⅱ期工事)の建設計画を請け負っているロシアの原子力総合企業ロスアトム社は10月22日、同社の子会社を通じて、両炉用の自動プロセス制御システム納入契約を仏フラマトム社と独シーメンス社の企業連合と締結した(=写真)。

 同建設計画では今年6月、サイトにおける準備作業の一環として補助建屋や事務棟、倉庫など80以上の関係施設の建設工事が始まったが、建設許可はまだ発給されておらず、原子炉系統部分で最初のコンクリート打設が行われるのは早くても2021年になると見られている。
 仏独の企業連合は今回、競争入札の末に自動プロセス制御システムの製造と納入を請け負っており、このほかに、情報セキュリティ関係の要件遵守など、同システムの認証手続きも実施する。フラマトム社は長年にわたり、ロシアの原子力発電所で自動システム関係のプロジェクトに携わってきたため、計測制御(I&C)系関連で同社が蓄積してきた専門的知見を、欧州で建設されるロシア型PWR(VVER)にも活かしたいと述べた。

 パクシュ発電所はハンガリー唯一の原子力発電施設で、出力50万kWのVVER(VVER-440)4基により、同国の総発電量の約半分を賄っている。1980年代後半に運転開始したこれらの原子炉は、すでにVVERの公式運転期間である30年が満了、プラス20年の運転期間延長手続が完了している。
 Ⅱ期工事で建設される第3世代+(プラス)の120万kW級VVER×2基は、最終的にⅠ期工事の4基を代替することになる。ハンガリー政府は2014年1月、この増設計画をロシア政府の融資により実施すると発表。翌月に両国は、総工費の8割に相当する最大100億ユーロ(約1兆2,000億円)の低金利融資について合意した。同年12月には、双方の担当機関が両炉のエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約など、関連する3つの契約を締結している。

 実際の建設工事は、ロスアトム社のエンジニアリング部門「ASEエンジニアリング社」が進めていくが、自動プロセス制御システムの機器管理など、パクシュⅡ期工事の全段階における技術管理と統合作業については、ロスアトム社傘下の「ルスアトム自動制御システムズ(RASU)社」が担当。仏独企業連合と結んだ契約も、RASU社のA.ブッコCEOがロシア側を代表して調印しており、欧州の顧客が課される高い要件を確実にクリアできるよう、同企業連合とともに全力を尽くすと述べた。
 RASU社は原子力発電所の電気工事分野で、自動制御システムや統合工学ソリューションの開発経験を長年にわたって蓄積。パクシュⅡ期工事では、レニングラード原子力発電所Ⅱ期工事のVVER-1200を参考炉とし、自動プロセス制御システムの製造と納入、起動までのプロジェクトを包括的に実施することになる。

 (参照資料:ロスアトム社フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月23日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)