仏電力、米国で保有する3原子力発電所の所有権 売却へ

2019年11月21日

 フランス電力(EDF)は11月20日、所有していた米コンステレーション・エナジー・ニュークリア・グループ(CENG)の株式49.99%を、共同保有者であるエクセロン・ジェネレーション社に売却する方針を表明した。これにともない、CENGが米国内で保有する3サイト・5基(約400万kW)の商業炉についても、両者の今後の交渉次第ですべての所有権がエクセロン社に渡ることになる。
 CENGはコンステレーション・エナジー(CE)社の原子力発電子会社であり、EDFが2009年にCE社株を購入した際、CE社とEDFの合弁事業体として設立された。エクセロン社は2011年にCE社を買収しており、CENGに関しては、CE社が確保していたCENG株の50.01%をエクセロン社が引き継いだ。また、5基の商業炉(ニューヨーク州のR.E.ギネイ発電所とナインマイルポイント発電所1、2号機、およびメリーランド州のカルバートクリフス発電所1、2号機)についても、エクセロン社が2014年にEDFと結んだ「共同運転サービス協定」に基づき、同率の所有権に加えて運転認可がエクセロン社に譲渡されていた。 
 一方のEDFは、4億ドルの特別配当金を受け取ることになったほか、2016年1月1日から2022年6月末までの期間、CENG株を市場の適正価格でエクセロン社に売却できる権利「プット・オプション(売付け選択権)」を得ていた。

 EDFは今回、このオプションを行使するとエクセロン社に伝えたもので、理由としては「中核部分を除いた資産売却計画」の一部であると説明。取引価格は同オプションの契約条項に沿って後日決定されるが、取引を完了するにはニューヨーク州公益事業委員会、連邦エネルギー規制委員会(FERC)、および原子力規制委員会(NRC)の承認が必要になる。
 このためエクセロン社は、規制関係のこれらの手続で1~2年、あるいはそれ以上の期間を要する可能性があると説明。同社のC.クレーン社長兼CEOは、「これら5基の運転を引き継いで以降、当社の管理モデルによって全体的な運転効率と実績が向上するなど、EDFと当社には多くの利益がもたらされたが、今後はEDFが保有する株式の購入プロセスで同社と連携していきたい」と述べた。また、取引価格の交渉で両者が合意に至らなかった場合、第三者の調停により決定されるとしている。

 なお、EDFは2007年、CE社との折半出資による合弁事業体「ユニスター・ニュークリア・エナジー(UNE)社」を設立しており、仏アレバ社(当時)製の欧州加圧水型炉(EPR)を北米市場で販売することを計画していた。UNE社は、同設計を採用したナインマイルポイント3号機、およびカルバートクリフス3号機の建設計画について、建設・運転一括認可(COL)をNRCに申請したほか、米国企業と共同で進めていたキャラウェイ2号機とベルベンド1号機の建設計画についても、同様の申請を行った。
 しかし、2010年にUNE社からCE社が撤退し、外国資本であるEDFの100%出資企業となったのに加え、2014年に巨額の損失を計上した仏アレバ社の米国法人が、EPRの米国版の設計認証(DC)審査について一時停止を2015年2月にNRCに要請。これらのCOL申請は2016年9月までにすべて、取り下げられている。

 (参照資料:EDFエクセロン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月20日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)