世界気象機関の「温室効果ガス年報」:2018年に世界のCO2濃度が過去最高に

2019年11月29日

 国際連合の専門機関の1つである世界気象機関(WMO)は11月25日、「全球大気監視(GAW)プログラム」における2018年の観測結果を解析した「温室効果ガス年報」を公表し、同年に世界では大気中の温室効果ガスの平均濃度が、解析を開始して以来最高値に達したことを明らかにした。

 産業革命(1750年)以前に大気中のCO2濃度は約278ppmだったが、2018年は407.8ppmに拡大。メタンと一酸化二窒素についても同様の解析結果が見られ、WMOはこれら3種の温室効果ガスが人間の活動と密接に結びついていること、陸上の生物圏や海洋とも強い相互作用がある点を指摘。このような長期傾向が続いていけば、将来世代は気温の上昇のみならず、さらに異常な気象や海面の上昇、海洋と陸上の生態系破壊といった、一層深刻な気候変動影響に直面すると警告している。
 米海洋大気庁(NOAA)の年次温室効果ガス指標でも、1990年から2018年までに長寿命の温室効果ガス(LLGHG)による「放射強制力(地球温暖化や寒冷化を引き起こす潜在的な能力)」が43%増加した、とWMOは引用。LLGHGのうち約80%をCO2が占めるという事実を強調した。
 WMOのP.ターラス事務局長は、「パリ協定の様々な誓約で各国が合意したにも拘わらず、大気中の温室効果ガス濃度は低下するどころか、上昇が鈍化する兆しさえ見られない」とコメント。パリ協定の合意を直ちに実行に移すとともに、人類の将来的な繁栄に向けて、温室効果ガスの排出を抑制する意欲を向上させる必要があると訴えている。

 GAWプログラムは、2008年から2015年までのGAW戦略計画に基づいて策定されており、大気中の温室効果ガスやその他の微量成分を組織的に観測・解析することが目的。参加国が報告した観測データは、日本の場合、気象庁が「温室効果ガス世界資料センター」で管理・配布している。
 WMOが実施した2018年の観測結果の解析によると、世界平均濃度はCO2の407.8ppmのほかに、メタンと一酸化二窒素がそれぞれ1,869ppbと331.1ppbだった。これらの値は産業革命以前のレベルに対し、それぞれ147%、259%、123%の増加となったが、2017年から2018年のCO2濃度の増加量(年平均2.3ppm)は、2016年から2017年の増加量に非常に近く、過去10年間の平均年間増加量(2.26ppm)とほぼ同じであるとした。
 メタンと一酸化二窒素については、2017年から2018年の濃度の増加量が2016年から2017年の増加量、および過去10年間の平均増加量より大きかった。これらとCO2の3種類は、長寿命温室効果ガスの中でも最も影響が大きく、フロン11とフロン12を合わせれば、放射強制力全体の約96%に達するとしている。

 WMOはまた、CO2は大気中の人為起源の温室効果ガスの中で最も重要であり、LLGHGによる放射強制力全体の約66%がCO2によるものだと指摘。過去10年間の放射強制力の増加分については約82%、過去5年間では約81%がCO2によると述べた。
 大気中のCO2濃度は2018年に産業革命以前の147%に増加しているが、これは主に化石燃料の燃焼とセメント生産、および森林伐採とその他の土地利用変化からの放出によるものとWMOは説明。2009年から2018年の間、人間活動によって放出されたCO2のうち、約44%が大気、22%が海洋、29%が陸上に蓄積されたが、化石燃料の燃焼により大気に残留するCO2の比率は、CO2吸収源の大きな自然増減によって年々変動するため、世界全体での変化傾向は確認されていないとしている。

 (参照資料:WMOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月25日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)