米国で建設中のボーグル3号機、「挑戦的作業計画」で2021年5月に完成する可能性も

2020年2月26日

©ジョージア・パワー社

 米国で約30年ぶりの新設計画としてA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各110万kWのPWR)をジョージア州で建設中のサザン社は2月19日、3号機の格納容器内では最後となる大規模なコンクリート打設が完了したと発表した。翌20日には2019年第4四半期の収益報告書を公表し、同社としては規制手続で承認された3、4号機の稼働開始日程の2021年11月と2022年11月を達成する十分な自信があるものの、「挑戦的作業計画」を進めることにより3号機は2021年5月に、4号機では2022年3月に前倒しすることも可能だと強調している。

 この建設プロジェクトではサザン社の最大子会社であるジョージア・パワー社が主要な出資企業となり、2013年3月と11月に3、4号機をそれぞれ本格着工。ほぼ同時期に着工したV.C.サマー2、3号機と同じく、ウェスチングハウス(WH)社製のAP1000設計を採用したが、初号機建設にともなう様々な問題やWH社による倒産申請などにより、両炉の完成日程は当初計画から約4年先送りされている。
ジョージア・パワー社を含む出資企業4社は2017年5月、プロジェクトのエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を放棄したWH社と新たな取り決めに基づく「サービス協定」を締結。この協定により、サザン社のもう一つの子会社で、両炉の運転を担当する予定のサザン・ニュークリア社が建設プロジェクトの管理業務を引き継いだ。
 2019年3月には、米エネルギー省(DOE)が同プロジェクトに対し、追加で37億ドルの政府融資保証適用を決定。ジョージア・パワー社は同年7月、3号機に装荷する157体の燃料集合体を発注した。

 サザン社の昨年第4四半期の収益報告によると、3号機では原子炉容器の蓋を開けた状態で行う試験が11月に始まったほか、中央制御室での試験準備も12月に完了するなど、予定していた主な作業項目がすべて成功裏に完了した。現在、3、4号機の建設進捗率はそれぞれ85%と63%で、プロジェクト全体の作業は84%完了している。
 同社は2019年4月、建設サイトにおける「挑戦的作業計画」を策定したが、これは基準となる現行の稼働開始日程(2021年11月と2022年11月)に余裕をもたせることが目的となる。同計画では、今年の末までに3号機の建設工事を90%完了という目標が設定されているが、同社のT.ファニング会長兼CEOによると、この計画を進めたことにより、2019年は結果的に主要な作業が大幅に進展した。
 また、プロジェクトのコストと日程を定期的に見直すなかで、同社は今月初頭、3つの重要な結論を導き出している。すなわち、(1)現行の稼働開始日程を達成する能力が同社に十分あることを確認、(2)「挑戦的作業計画」に示された3号機の稼働開始目標日程(2021年5月)と4号機の目標日程(2022年3月)を変更せず、同計画を継続的に活用していく戦略を支持、(3)プロジェクト全体の資本コスト予測に変更がないことを確認――である。
 同社はさらに、2020年の「挑戦的作業計画」に一層の改善を加えており、これによって、年末までに3号機で燃料を装荷し2021年5月に稼働開始するという目標の達成が可能になると説明している。

 (参照資料:サザン社の発表資料(1)(2)2019年第4四半期収益報告の電話会議記録、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)