(NEA/IAEA) ウラン資源見通しを公表

2010年7月22日

 OECD/NEAとIAEAは7月20日、「ウランの生産と需要はともに増大するが、ウラン資源は現状の消費率で100年以上供給できる量がある。」とする報告書を発表した。
 今回の報告書「Uranium 2009: Resources, Production and Demand」(通称:レッドブック、2年毎に発行)によると、経済的に採掘できる確認埋蔵量は、前回の報告書(2007年版)に比べ15.5%増の約630万トンになっている。
 近年のウラン価格の上昇傾向(2007年半ば以来価格が下落しているにもかかわらず)、増大する採掘コスト、および新規原子力発電所の建設・計画需要の拡大見通しを反映して、高コスト・カテゴリー($100/ポンドU3O8以下)が、1980年以来初めて復活した。
 NEAは「全体の確認埋蔵量は増加したものの、採掘コスト増により低コストで生産できるウランはかなり減少した」とコメント、さらに「原子力は、価格競争力を持ち、温室効果ガスを排出しないベースロード電源であり、エネルギー・セキュリティーを高めることができると認識する国が増えたことにより、原子力設備容量拡大の見通しは増えたものの、どの程度拡大するかは確定していない」としている。
 IAEAでは、原子力発電所は現在の375GWから2035年に500〜785GWに拡大すると見通している。この見通しであれば、ウラン需要は、現在の年間66,500トンから2035年には87,370〜138,165トンになる。
 NEAは、「今回の報告書では、IAEAのハイシナリオ(2035年)の場合であっても、ウラン消費量は確認埋蔵量の半分以下である」と述べ、「ウランの需要増大にあわせて鉱山開発をタイムリーに環境に持続可能な形で進めていく必要がある」と結論付けている。また、「将来のウラン需要に対応して、時間枠を考慮した開発が進められるように、強気のウラン市場が必要である」ともしている。
 2007年以来、ウラン市場価格は下降にあるが、2008年における世界のウラン探査・採掘経費は16億ドルを超えている。これは2006年比133%の伸びである。世界のウラン主要産出国は、新たな資源探査と新しい生産センター操業の取組の前進にあわせて、経費支出を増大させている。
 NEAは「過去に見られたと同様、探査での投資増は、重要な新規ウランの発見と資源の確認につながった」また、「市場の動きが改善されれば、追加の探査が行われ、経済的にも魅力的な追加確認埋蔵量の発見につながる」としている。
 さらにNEAは、「現在の技術をもって需給が見通されているが、新型炉の開発や燃料サイクル技術の進展は、長期のウラン需給に影響を与え、場合によっては数千年の供給も可能になる」ともしている。
(2010年7月20日付WNN)


(原産・国際部まとめ)