IAEAが調査団派遣 イランの核開発疑惑問題で

2012年1月27日

国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は19日、加盟各国に対する年頭所感の中で「2012年の最優先事項はイランの原子力開発計画における平和利用性に国際的な信用を取り戻すことだ」と明言し、今月末にもH.ナッカーツ保障措置担当事務局次長を団長とする調査チームを同国に派遣する考えを明らかにした。IAEAにとってイラン問題は保障措置上、最も重要な課題。同事務局長は疑惑解明のため、イランと建設的に向き合うと確約するとともに、同国側も同様に建設的な協議に応じると信じていると述べた。

核開発疑惑が高まるイランに対しては、国連安保理事会の度重なる制裁決議に加えて、2010年以降、米国と欧州連合が歩調を合わせた制裁措置を決定するなど緊張が高まっている。IAEAも09年にイランから第2ウラン濃縮工場の存在を通達されて以来、同国の濃縮活動が研究炉用燃料製造など平和利用に限定されるよう複数の代替案を提示。保障措置により原子力の軍事転用を監視する機関として事態の打開に奔走していた。