第63回IAEA総会への参加(ブース展示およびIAEA  幹部との懇談)(2019.09.16~20)

2019年10月24日

原産協会は、2019年9月16日(月)~20日(金)の期間、オーストリア・ウィーン市のVienna International Centre(VIC)で開催された国際原子力機関(IAEA) の第63回総会にオブザーバーとして参加するとともに、政府および民間関係機関と連携協力のもとでの日本ブース展示をとりまとめ、わが国の原子力についてアピールを行いました。また同期間中、IAEA幹部との会談を積極的に行い、日本の原子力の現状や今後の展望についての発信に努めつつ、サイドイベントへの出席や他国の参加者との交流を通じて情報収集を行いました。

日本ブース全体概要

参加機関

・公式参加8機関:内閣府、日本原子力産業協会、東芝エネルギーシステムズ、日立GEニュークリア・エナジー、三菱重工業、東京電力ホールディングス、量子科学技術研究開発機構(QST)、日本原子力研究開発機構(JAEA)

・部分参加5機関:外務省、文部科学省、経済産業省、環境省、国際廃炉研究開発機構

基本テーマとねらい

 近年同様、基本テーマを「Life, Safety and Prosperity」とし、総会参加者およびIAEA職員に対し「日本は人々のくらしと安全を守り繁栄のために原子力の平和利用を進める」ということを訴求するほか、原子力イノベーションを促進する政策的取り組みや、各機関の「従来型から革新している」技術を紹介するなど、様々な展示物の組み合わせにより「イノベーションを目指す姿」をアピールしました。

ブース展示内容

①模型展示物

②パネル展示
日本のエネルギー政策、原子力イノベーション推進事業の紹介(経済産業省、文部科学省)

映像放映
・福島第一関連映像(経済産業省、JAEA、東京電力、三菱重工、東芝ESS)
・各機関からの原子力関連映像

特設ウェブサイト

今年も「Green Exhibition」促進のため、紙資料やノベルティの配布は必要最低限とし、日本ブース資料をダウンロードできる特設ウェブサイト(*)を設けました。また、サイト周知のためにビジネスカードも現地で配布しました。

*URL: https://www.jaif.or.jp/IAEA2019/

来訪者

展示ブースへの来訪者数は延べ約700名となり、主な来訪者は、竹本直一 科学技術政策担当大臣(日本政府代表)、岡芳明原子力委員長、ほか主要原子力発電国や新規導入国、その他開発途上国の各国代表団、IAEA職員・コンサルタント・専門家等(モクタールIAEA事務次長やアフガニスタン大使)でした。

展示オープニングセレモニー

初日の昼、昨年に引き続いて日本ブースのオープニングセレモニーを行い、約100名の参加者を集めることができ、大盛況でした。今年の来賓としては政府代表の竹本大臣が参加し、発電のほか医療、環境保全など、原子力が暮らしを豊かにする潜在力は大きいといった内容でスピーチしました。その後、高橋理事長の発声により、総会と日本ブース展示の成功を祈念して、福島・浜通り産の日本酒「太平桜」で乾杯を行いました。

IAEA幹部との懇談概要

今回の総会参加にあわせ、原子力エネルギー局、原子力安全・セキュリティ局、原子力科学応用局、管理局担当IAEA事務局次長4名と面会を行いました。原産側からは最近の動きとして、エネ基、再稼働状況と特定重大事故等対処施設(特重施設)問題、福島第一発電所廃炉の状況、ATENAの設立、世論調査、人材育成活動などについて紹介、質疑応答を行いました。

チュダコフ原子力エネルギー局担当事務局次長

チュダコフ次長からは、原子力発電所における特定重要事故等対処施設(特重施設)の建設遅延の問題に心配を示したほか、福島の処理水問題で、基準値以下のトリチウムの放出は世界的にも普通に行われているのに何年もタンクに貯めて置くような状況が続いていることに懸念を示していました。

レンティッホ原子力安全・セキュリティ局担当事務局次長

レンティッホ次長も特重施設問題に関心を示し、発電所は難しい課題に直面しているとの認識を示したほか、これまで規制庁に対して規制評価を実施してきたことや福島県に対しても助言を行ってきたこと、今後も要請に応じて、(寿命延長の審査実施も含めて)安全規制面での専門的助言をしていく用意があるとの発言がありました。

モクタール原子力科学応用局担当事務局次長

モクタール次長からは、IAEAと日本は原子力科学・応用の分野で大きな協力関係を築いているほか、日本の11大学・研究機関と核医学教育に関する協定を締結したことを紹介しました。また、コストフリーエキスパートとして働く日本人職員のIAEAに対する多大なる貢献にも併せて感謝しました。

ヘイワード管理局担当事務局次長

ヘイワード次長からは、次世代を惹きつけるために、SMRは今後の日本が注力していく一つの選択肢になると述べました。また、IAEAは来年日本で開催されるWNU-SIを強くサポートしており、ホストである日本からも多くの若者が参加し、今後の政策決定を担う人材や将来の顧客となり得る世界各国からの参加者とのコネクションを広げて欲しいとのコメントがありました。

以上

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