世界の原子力発電プラントの運転期間の状況について

2025年5月19日

世界では近年、気候変動やエネルギー・セキュリティの観点から、安全性を大前提に、既存の原子力発電所を活用する動きが活発化しています。国際エネルギー機関(IEA)は、喫緊の課題であるCO2の削減やエネルギーの安定供給には、原子力発電の活用は不可欠であり、既存の原子力発電プラントを40年を超えて運転することは、低炭素電源の中では経済性が最も高いと指摘しています。

当協会はこのほど、世界で40年以上稼働する原子力発電プラント(表)世界の運転中原子力発電所の運転期間別基数(表)をとりまとめました。当協会の調べによれば、2025年1月1日現在、世界の原子力発電プラントは計33か国・地域で436基が運転中で、そのうち40年以上運転しているプラントは計21か国・145基あり、さらには50年以上運転をしているプラントは計7か国・34基あります。また、世界全体でみると、約33%が40年を超え、2/3が30年超運転をしています。

米国の原子力発電プラントは全部で94基ありますが、その多くが運転開始当初の運転期間である40年を超えて、20年の延長が承認され、現在運転中です。これに加えて20年の運転期間をさらに追加し、合計80年間の運転継続をめざす動きも米国では一般的になりつつあります。現に2025年4月時点で、12基が80年運転の認可を取得しています(うち2基は、環境影響再評価完了まで80年運転認可の効力が一時停止中)。

米国で長期運転する原子炉の運転実績も良好です。米国原子力学会(ANS)の最近の調査によると、直近3年間(2022~2024年)の、最も古い10基の原子炉の平均設備利用率は93.15%、上位20基では91.67%となっており、長期運転においても高い運転実績が維持されていることが示されています。なお、米国の原子力発電所の平均運転年数は約43年です。

OECD原子力機関(NEA)によると、各国のプラントの運転期間延長に対するアプローチ(表)は様々ですが、米国では40年間の運転後、20年毎の運転期間延長が可能であり、その更新回数に制限はありません。フランスや英国では、10年毎の定期安全レビュー(PSR)を行い、安全上の義務を履行する限り、運転の制限はありません。

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