ウクライナの原子力発電所の状況 #30


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第107号(現地時間2022年9月28日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所 (ZNPP) の近くで今週、動物によって3回の地雷爆発が引き起こされ、大きな被害は出なかったと見られるものの、ZNPPの潜在的な原子力安全のリスクが再び浮き彫りになったことを現地で確認した。

現地時間の今朝午前6時、ZNPPの外周フェンスから約50メートルのところで地雷が爆発した。

また、昨日午前に発生した2回の爆発も、フェンス外側の地雷が敷設されたエリアを移動した動物が原因である可能性が高いことが確認された。IAEAは昨日、爆発は原子炉の安全に不可欠な冷却システムのために貯水池から水を送る水路の近くで発生し、その原因は不明であると報告した。この爆発では原子炉タービン建屋の窓ガラスが割れている。

IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、過去2か月間、ZNPPまたはその近くでの頻繁な砲撃に加え、今週のZNPP近くでの地雷爆発について深い懸念を表明した。

グロッシー事務局長は、9月1日にZNPPへのIAEA専門家チームを率いた直後に発表された報告書の中で、「軍事行動による物理的被害に起因する原子力事故を防止するための暫定措置が急務となっている。これは、原子力安全/セキュリティ保護エリアの早期設定によって達成することができる」と述べている。

先週ニューヨークで事務局長は、原子力安全/セキュリティ保護エリア設定の合意・実施を目指したロシアとウクライナとの協議を開始し、26日のIAEA総会でも、両国との協議を継続する用意があることを述べている。


https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-107-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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