電事連会長 電力トップ間で原子力の自主的安全性向上について確認したことを報告

2016年3月22日

 八木誠電気事業連合会(電事連)会長は3月18日の定例会見で、原子力の自主的安全性向上に向けた取り組みと、今冬の電力需給について報告した。
 まず、東日本大震災から5年を迎えたことに触れ、原子力事業者は、福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないという強い決意のもと、新規制基準の内容を踏まえながら、安全性向上に向けた対策を検討・実施してきたことを説明。より高い次元の安全性確保に向けて着実に取り組みを進めること、今後の更なる復興の進展に期待するとともに着実な廃炉作業の進捗に向けて引き続き業界全体で支援することを強調した。
 原子力の自主的安全性向上について、原子力安全推進協会と原子力リスク研究センターも同席し、電力9社と日本原子力発電、電源開発の各社社長間でこれまでの取り組みや課題について確認したことを報告。具体的には、「リスク情報が経営判断に反映される仕組みの導入」や「確率論的リスク評価(PRA)の構築に向けた体制整備」、「緊急時の対応能力の維持・向上」などに取り組んだほか、原子力安全推進協会によるピアレビューや、原子力リスク研究センターが保有する知見なども活用しながら、安全性向上に向けて歩んできたとした。今後は、これまでの取り組みを通じて明らかになった課題などを踏まえ、「原子力リスク研究センターとも連携したPRAの高度化や基礎基盤の整備」、「原子力安全推進協会によるピアレビューや発電所総合評価システムにより生み出されるピアプレッシャー」などを通じて、更なる安全性の向上とリスクの低減に向けて積極的に取り組むことに意欲を見せた。また、林経済産業大臣から3月17日に要請を受けたことを踏まえ、事故発生時の収束活動に加えて被災者支援活動についても体制の充実を図るとともに、取り組みについて丁寧に説明したいとの考えを示した。
 今冬の電力需給については、12月から2月にかけて、平均気温が前年より高めに推移したとして、10社合成の最大電力は、1月25日の1億4,259万kWで、昨年と比べ536万kW(3.6%)減となったと発表した。これに対する供給力は1億6,559万kWで使用率は86%となり、節電の協力および各社の最大限の供給力対策により、安定供給を維持できたと述べた。しかしながら予断を許さない厳しい状況に変わりはなく、ベースロード電源である原子力発電が、一定の役割を果たしていくことが必要であると強調した。