GX脱炭素電源法の一部の施行にあたって
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 増井 秀企
GX脱炭素電源法の一部が6月6日に施行されることに伴い、電気事業法と原子炉等規制法が改正される。
原子力発電所の運転期間を40年とし一回に限り最長20年の延長を認める規定は、従前の原子炉等規制法から電気事業法の規定へと変わり、安全規制の観点ではなく利用政策の観点からの制限であることが明確になる。高経年化炉が“老朽化”して安全性に劣っているかのような誤解が生まれないためにも今回の法改正は重要である。
一方、原子炉等規制法における高経年化炉に対する安全規制はこれまでよりも厳格化される。運転開始から30年を超える場合、事業者には、10年以内毎に「長期施設管理計画」を定めて原子力規制委員会の認可を受けることが義務付けられる。
また、今回の電気事業法の改正に合わせて、運転期間のカウントから他律的な要素で停止していた期間(法令の変更に対応するため運転を停止した期間など)が除外されることにより、この条件に当てはまる場合は60年を超える運転も可能となる。
原子力産業界は今回の制度整備について、安全を大前提として原子炉の最大限活用に道を開く重要な取り組みであり「S+3Eの原則」の観点からも大きな意義があることから、歓迎している。
事業者には、運転期間の延長に向けて原子力規制委員会に認可された「長期施設管理計画」に沿ってしっかりと安全を確保するとともに、その取り組みを地元の皆さまをはじめ国民に丁寧に説明していただきたい。
以上
<参考>
「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」
https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230912004/20230912004.html
「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(令和5年6月7日法律第44号)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/21120230607044.htm
理事長メッセージ「40年運転制限問題にどのように向き合うか~事業者は国民に説明を尽くすべき~」(2015年6月17日)
https://www.jaif.or.jp/mes/message/president_column48_150617/
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