第4回「新しい原子力へのロードマップ」会議における産業界共同声明の発表について

一般社団法人日本原子力産業協会

日本原子力産業協会は、2026年9月17~18日にフランスのパリにて開催されたOECD原子力機関(NEA)および米国政府が主催する第4回「新しい原子力へのロードマップ」会議に出席し、カナダ原子力協会(CNA)、仏原子力産業協会(GIFEN)、韓国原子力産業協会(KAIF)、米原子力エネルギー協会(NEI)、英国原子力産業協会(NIA)、欧州原子力産業協会(NE)、世界原子力協会(WNA)とともに、共同声明を発表しました。

同会議では、NEA加盟国等の政府高官および産業界の幹部が一堂に会し、原子力政策、SMR、ファイナンス、燃料供給等、今後の原子力発電プロジェクトの展開に焦点を当てた議論が行われました。

この機会に発表された共同声明は、各国政府に対し、経済、エネルギー安全保障、環境面での目標を達成するため、原子力発電所の運転期間延長、出力増強、再稼働、新たな原子力施設の設置等、原子力の利用拡大を可能にする措置を講じるよう求めています。

政府および産業界関係者(写真 OECD/NEA)
産業界団体からの参加者(写真 OECD/NEA)

【共同声明】

Roadmaps to New Nuclear ― Nuclear Industry Statement


【共同声明仮訳】

第4回「新しい原子力へのロードマップ(Roadmaps to New Nuclear)」会議 原子力産業界の声明

OECD諸国の原子力産業を代表する業界団体として、我々は、2026年にOECD原子力機関(NEA)と米国エネルギー省が共催する「新しい原子力へのロードマップ」会議に4年連続でパリに参集した。我々は、全人類の利益のために原子力技術の平和利用を推進するという決意を改めて表明する。地政学的環境の変化やエネルギー安全保障への懸念が高まる中、我々は以下の取り組みに引き続き尽力する。

  • 原子力施設を安全かつ効率的に運転し続けること
  • 産業競争力を強化し経済成長を促進するため、信頼性が高く手頃な価格でレジリエントな電力と熱を供給すること
  • 各国がエネルギー安全保障と自立の強化、および気候変動目標の達成を目指す中で、クリーンな原子力エネルギーの拡大を支援すること

我々は各国政府に対し、経済、エネルギー安全保障、および環境面での目標を達成するため、原子力発電所の運転期間延長、出力増強、再稼働、そして新たな原子力施設の設置など、原子力の利用拡大を可能にする措置を講じるよう求める。

  1. 特性に基づいた一貫性のある長期エネルギー政策の推進 — エネルギー政策においては、各エネルギー源の持つ異なる特性やシステム上の価値が認識されるべきである。原子力エネルギーは、その信頼性、供給調整能力、レジリエンス、エネルギー安全保障、経済性、環境パフォーマンス、そして産業競争力や経済成長への貢献といった観点​​から評価されるべきである。各国政府は、原子力への投資、導入、および継続的な利用に必要な信頼感をもたらす、整合性があり予測可能かつ長期的に安定した政策、市場、資金調達、および規制の枠組みを構築すべきである。
  2. エネルギー安全保障とレジリエンスの確保 — エネルギー安全保障には、多様な電源構成、強靭なサプライチェーン、燃料価格の変動や供給途絶および地政学的リスクの低減が求められる。原子力は信頼性が高く、高設備利用率での稼働が可能であり、長期的な運用や燃料供給源の多様化が図れることから、エネルギー安全保障を強化する。各国政府は、原子力エネルギーを、長期的なエネルギー安全保障およびレジリエンス戦略の中核的要素として認識すべきである。
  3. 資金調達へのアクセスの促進 — 原子力エネルギーには、その長期的な価値を認識し、運転継続や出力増強、新規発電、燃料サイクル・インフラ、サプライチェーンの能力強化を含む原子力バリューチェーン全体への投資を可能にする、予測可能かつ安定的で技術特性に適した資金調達および市場の枠組みが必要である。資金調達のアプローチは、各国の事情を反映し、官民の仕組みを活用したものであるべきである。関連する制度が整備されている場合、原子力は、クリーンエネルギー投資、気候変動ファイナンス、持続可能な金融(サステナブル・ファイナンス)の枠組み、およびクリーンエネルギー調達の仕組みに対して、公平なアクセスが付与されるべきである。
  4. 国際的な規制協力の強化 — 国際的な規制協力は、安全、セキュリティ、および保障措置に関する厳格な基準を維持しつつ、原子力エネルギーの安全かつ確実で効率的な導入を支援するものであるべきである。この協力は、規制の調和、信頼できる規制機関による設計評価や承認への依存度の向上、および標準化された原子炉設計のより効率的な許認可プロセスの実現を促進するものであるべきである。
  5. 強靭かつ信頼できる原子力サプライチェーンの強化 — 強固で強靭、かつ信頼できる原子力サプライチェーンは、戦略的資産であり、原子力導入の実現に向けた不可欠な基盤である。政策は、燃料の供給や製造から、建設、運転、保守、廃棄物管理、専門的サービスに至るまで、原子力バリューチェーン全体にわたり十分な能力を確保できるよう支援すべきである。特に、既存の原子力発電所の稼働維持や今後の導入拡大に不可欠な燃料やその他の重要な能力について、国際協力を通じて供給源の多様化、強靭性、および供給の安全性を強化する必要がある。
  6. スキル、産業能力、イノベーションの構築 — 熟練した労働力、強固な産業能力、そして継続的なイノベーションは、原子力エネルギーの長期的な成功にとって不可欠である。政府と産業界は、既存の原子力発電所の稼働維持および将来の導入拡大を支えるために必要な、教育・訓練、研究、製造、および知識基盤を強化すべきである。イノベーション政策は、原子炉、燃料、廃棄物管理、産業用熱利用、水素製造など、原子力のライフサイクル全体および多岐にわたる技術・用途にわたる進展を支援するものであるべきである。

結論
原子力は、エネルギー安全保障、信頼性、経済競争力、産業能力、そして環境面でのパフォーマンスに対し、重要かつ独自の貢献を果たすことができる。したがって原子力産業界は、原子力エネルギーが公正に競争し、エネルギーシステムやより広範な経済に対して果たすあらゆる貢献が適切に評価されうる、特性に基づいた予測可能かつ長期的に安定した政策環境を支持するものである。規制の効率化、資金調達、人材・技術、イノベーション、そして強靭なサプライチェーンの強化に向けた国際協力を推進することで、各国は自国の優先課題に最も適した原子力技術を導入できるようになるはずである。

2026年9月17日

<参考>
第1回 「新しい原子力へのロードマップ」会議における産業界共同声明の発表について

第2回 「新しい原子力へのロードマップ」会議における産業界共同声明の発表について

第3回 「新しい原子力へのロードマップ」会議における産業界共同声明の発表について



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