COP30・原子力関係活動参加報告
原産協会は11月10日~11月22日にブラジル・ベレンで開催された国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に役職員3名を派遣しました。現地でのCOP公式サイドイベントの共催及び登壇、原子力の気候変動対策への貢献を訴えるNuclear4Climate(N4C)へのサポート等を通じて、各国からの参加者等に対し原子力に関する訴求活動を行い、日本国内関係者向けの取材や情報発信を原産新聞や公式SNSを通じて実施しました。また、COP参加を機にブラジル原子力産業協会(ABDAN)と協力覚書(MOU)を締結し、新たなパートナーシップを構築。わが国の原子力産業界の発展に資する活動を展開しました。
〇 COP30公式サイドイベントの共催
原産協会は、COP公式サイドイベント「Meeting the growing demand for clean electricity and heat with nuclear energy」を世界原子力協会(WNA)、カナダ原子力協会(CNA)、欧州原子力産業協会(nuclareurope)と共催しました。2023年にUAEのドバイで開催されたCOP28における、2050年までに世界の原子力設備容量を3倍化するとの国際宣言の進展状況(COP30では新たにルワンダ、セネガルが参加し、支持国は33カ国に拡大)と、クリーンエネルギー移行における原子力の役割をテーマに意見交換が行われました。
当該イベントでは当協会理事の東京大学有馬客員教授が基調講演を行い、ウクライナ戦争や中東情勢の緊迫化、深刻化する気候変動と電力価格の高騰を背景に、エネルギー安全保障・脱炭素・価格抑制を同時に満たす現実的な選択肢として原子力が再評価されていると指摘。日本が第7次エネルギー基本計画で原子力と再エネを組み合わせる「包括的アプローチ」に転じたことは、世界的な潮流と軌を一にすると述べました。また後半のパネルディスカッションでは、増井理事長が登壇し、原子力の位置付けが国際的にも明確になったことで、「世界的な推進機運と各国間の協力強化を促す契機となり、日本の産業界にはサプライチェーン維持や輸出拡大への期待が生まれている」と述べました。


〇 WNAパビリオンへのサポート・貢献
WNAは、COP30メイン会場にある国・国際機関エリア(Blue Zone)でパビリオンを設置し、当協会は同パビリオンにて行われた有識者へのインタビュー(増井理事長・有馬理事が回答、インタビューの様子はWNAホームページに掲載予定)、及びサイドイベントへ参加しました。また、同パビリオンにおいては各国の参加者とのネットワーキングなどを会期中に継続して実施しました。


〇 「Nuclear4Climate」(N4C)パビリオンへのサポート・貢献
N4Cは、世界150以上の原子力学協会と団体により立ち上げられた国際的イニシアチブであり、原産協会は一年目の2015年から毎年COPに向けて参画・協力活動を行っています。例年に引き続き、当協会はN4Cに対して、各国の原子力産業団体と合同で無料展示ブースの提供、N4CのボランティアメンバーたちにCOP参加パスの提供を行いました。さらに、N4CがCOP開催前に発行するポジションペーパーの日本語版を作成し、原産協会のWebサイトに掲載しています。
会場ではN4Cブースを拠点に若手を中心としたメンバーが会場内でネットゼロ達成に向けた原子力の果たす役割について積極的にPR活動を実施、原子力の気候変動対策への貢献を訴え「世界がネットゼロを達成するには原子力が必要」とのメッセージを発信しました。ブース周辺では多くの参加者が足を止め、N4Cメンバーたちとのコミュニケーションをとる様子が見られました。


〇 IAEAおよびIYNCパビリオンへのサポート、ネットワーキング
当協会は現地参加期間中にIAEAパビリオンおよびIYNCパビリオンで開催されたイベントに積極的参加したほか、それぞれの幹部とも今後の活動について意見交換を行った。


〇 原産協会が行ったCOP30関連の国民理解促進活動
- 原産協会WebサイトにN4Cポジションペーパー(英・日版)を掲載(11/12)
- 原産新聞記事『COP30公式サイドイベント 原子力3倍化へ 増井理事長「日本の政策転換に追い風」』を掲載(11/19)
- 理事長メッセージ「COP30、定着した原子力の役割」を発信(11/25)
- 理事長会見にてCOP30での原産協会の活動を紹介予定
- 原産協会SNS(X)を通じての活動内容の情報発信
〇 原産協会が現地で行ったその他の活動
- ABDAN(ブラジル原子力産業協会)とのMOU締結
- Angra発電所(リオデジャネイロ州アングラ・ドス・レイス市に所在する原子力発電所)への訪問及び視察。
- 各国原子力産業団体代表らとの交流及び今後の協力体制の確認
- 国内外の原子力関係者との交流及び情報交換
〇 (参考)今回COPにおける特徴的なイベント
- 「原子力3倍宣言」に新たに2か国(ルワンダ、セネガル)が署名し、賛同国は計33か国となった。
- COP開催期間中、WNAが「World Nuclear Outlook 2025」を発表。現時点で50以上の国が原子力を導入計画に含めており、既存炉の運転延長に加え、建設中炉の完工、提案炉の実現というシナリオで「2050年に1,428GW超の原子力容量」が見えてきた、という数字を示した。
- COP30会場において40以上の原子力関連イベント(公式サイドイベント及びパビリオンエリアでのイベント)が開催され、昨年に引き続き、英国やカナダ等の国のパビリオンでの開催や、他分野(再エネ関連団体等)とコラボレーションしたものも複数確認できた。




(JAIFはN4Cに枠を提供)






<参考>
〇 理事長メッセージ「COP30、定着した原子力の役割」
https://www.jaif.or.jp/mes/message/president_column167_251125
〇 COP30公式サイドイベント 原子力3倍化へ 増井理事長「日本の政策転換に追い風」
https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/30978.html
〇 原子力発電の復活が鮮明に WEO2025
https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/30947.html
〇 ブラジル原産(ABDAN)とのMOU締結について
https://www.jaif.or.jp/international/cop30-abdan/
〇 Nuclear for Climate(N4C)がCOP30ポジション・ペーパーを発表
https://www.jaif.or.jp/cop30_position_paper/
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)