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Google 原子力発電プロジェクト3サイト開発に資金提供

08 May 2025

桜井久子

Ⓒ Google  Ⓒ Elementl Power

米大手IT企業のGoogle社は57日、米国の先進原子力プロジェクト開発会社Elementl Powerと先進的原子力プロジェクトのサイト開発への資金提供を約した契約を締結した。

Elementl Power社は2022年設立の先進原子力プロジェクトの開発および独立系発電事業者。クリーンなベースロード電力へのアクセスを望むが、原子力資産を所有または運用は望まない顧客に対して、ターンキー型の開発、融資および所有ソリューションを提供し、先進炉展開時の行き詰まりの解消を目指している。資本と顧客の需要を結びつけ、米国において安全で信頼性が高く、安価な次世代原子力プロジェクトの開発を加速したい考えだ。

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社は、規制下にある電力会社、独立系発電事業者、技術サプライヤーと協力し、2035年までに米国で合計設備容量1,000kWe以上の原子力発電を実用化させる目標を掲げており、Google社との契約はそれを支援するものとの位置付け。今回のGoogle社との契約では、先進原子力エネルギー開発向けにプロジェクトサイト候補3地点を事前に配置。Google社はElementl社がこれら3つのサイト候補地で先進的な原子力プロジェクトを準備するための初期段階の資金を提供する(資金額は未公表)。各プロジェクトは少なくとも60kWの発電設備容量を有し、Google社はプロジェクト完了後に、オフテイカーとして電力購入の優先権を持つ。Elementl社は電力会社や規制下にある電力パートナーと協力しながら、Google社と新しいプロジェクトを推進。候補炉型、EPC(エンジニアリング/調達/建設)やその他のプロジェクトパートナーの評価も継続しつつ、開発を加速するためサイトの優先付けをしていくとしている。

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社のC. コルベルトCEOは、「新規原子力プロジェクトの建設に必要な資本を動員するには、このような革新的なパートナーシップが必要であり、安全かつ安価なクリーンなベースロードの電力供給と企業が長期的なネットゼロ目標を前進させるのに不可欠」と強調。Google社のデータセンターエネルギー担当のA. ピーターソン・コリオ氏は、「当社は事業を展開する地域の電力網強化に尽力しており、先進的な原子力技術は信頼性の高いベースロード電力を24時間365日提供可能。Elementl社との協力により、AIと米国のイノベーションに迅速に対応する能力が向上する」と期待を示した。

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