
国内NEWS
17 Apr 2026
415

文献調査「国が判断を」 小笠原村長意向
国内NEWS
17 Apr 2026
546

【第59回原産年次大会】廃炉新段階で人材確保 廃炉に魅力を見出す若手の声
国内NEWS
16 Apr 2026
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【第59回原産年次大会】AIは現場を変えられるか——原子力DXが直面する“次の一手”
国内NEWS
16 Apr 2026
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柏崎刈羽6号機が営業運転開始 14年ぶり
国内NEWS
15 Apr 2026
808

【第59回原産年次大会】原子力産業が直面する人材の課題と展望
国内NEWS
14 Apr 2026
826

【第59回原産年次大会】OECD/NEAと初共催 人材戦略を議論
海外NEWS
13 Apr 2026
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米ホルテックのSMR 英GDAステップ2を完了
海外NEWS
13 Apr 2026
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セルビア 原子力導入をめぐり仏EDFと協議

米ホルテック・インターナショナル社は3月31日、同社が開発する小型モジュール炉(SMR)「SMR-300」(PWR, 30万kWe)が英国の包括的設計審査(GDA)のステップ2(実質的な技術評価段階)を完了したことを明らかにした。GDAとは英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査で、原子力規制庁(ONR)が設計の安全性とセキュリティの観点から、環境庁(EA)およびウェールズ自然保護機関(NRW)が環境影響の観点から、英国の基準を満たしているかを、規制プロセスの早い段階から、立地サイト特定後の建設申請とは別に評価する。本GDAにより、SMR-300の安全性、設計、セキュリティ、保障措置に、英国の規制要件に対する根本的な不備はなく、導入準備が整っていると結論付けられた。SMR-300は2024年8月にGDAのステップ1(GDA範囲とスケジュールの合意段階)を完了している。ホルテック社は現時点で、GDAのステップ3(詳細評価)の実施を求めていない。ホルテック社はこの規制上のマイルストーンを足掛かりに、英EDFエナジー社と提携して、英国ノッティンガムシャー州にある旧コッタム石炭火力発電所サイトにSMR-300を建設し、データセンターと併設する計画だ。両社は今後、英政府による先進原子力プロジェクトを推進する政策パッケージ「先進原子力フレームワーク(Advanced Nuclear Framework)」を活用していくとしている。ホルテック社は本プロジェクトコストを約110億ポンドと見積り、数千人の高レベルの雇用の創出と、地域社会への長期にわたる経済効果を見込んでいる。ホルテック社は米ミシガン州のパリセード・サイトでパイオニア1-2号機(SMR-300採用)の2030年代初めの稼働をめざし、初期サイト準備作業を実施中。米英両国の規制当局間では2025年9月、規制を効率化し、先進原子力導入を安全に加速させるための新たな規制合意が締結されており、その後押しも受けながら、英国における効率的な許認可取得と政府による開発支援により、本プロジェクトを迅速に実施していく方針である。長年にわたる米原子力規制委員会(NRC)との事前申請の協議を経て、ホルテック社は2025年末、パイオニア1-2号機の建設許可申請(CPA)の第一部を提出した。NRCは今年2月、同申請を正式に受理し、安全評価および環境影響評価を2027年初めから半ばまでに完了させる見込みであるいう。ホルテック社のグローバルクリーンエネルギー部門トップであるR. スプリングマン氏は、「GDAステップ2における規制当局の評価は、SMR-300国際展開プログラムにとってリスク低減の重要なマイルストーン。設計および安全アプローチがNRCの規制要件に加え、国際的な規制当局の期待にも合致していることを示しており、SMR-300は世界的に展開可能な設計だ」と語った。ホルテック社は、英国のGDAプロセスを参考にして国内での許認可手続きの加速をめざす複数国の規制当局とも積極的に連携しており、英国のみならず、他欧州やアジア諸国でもプロジェクトを展開していきたい考えだ。
13 Apr 2026
583

セルビアのD. ハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー大臣は3月13日、フランス電力(EDF)のB. フォンタナ会長兼CEO一行と会談。セルビアにおける原子力分野における協力の継続について協議した。セルビアでは2024年11月、エネルギー安全保障の確保に向けて、エネルギー法改正法案が採択され、旧ユーゴスラビア時代の1989年、チョルノービリ事故から3年後に施行された原子力発電所建設のモラトリアムが、35年ぶりに解除されている。ハンダノヴィッチ大臣は、セルビアではまだ原子力開発に必要な法制度および組織的枠組みが整っていないため、その分析と整備も協力分野の一つであると指摘。原子力プログラム実施のための組織(NEPIO)については近い将来に設立されることも明らかにした。加えて、原子力発電所の建設とプログラム開発が、経済成長の促進、サプライチェーンの形成、雇用創出をもたらすとし、人材面では国内専門家の活用に加え、特に教育・訓練の強化を重視しており、海外での人材育成実績のあるEDFとの協力に期待を寄せた。さらに、ハンダノヴィッチ大臣は4月7日、原子力発電導入計画の第1段階における調査準備に関して、省庁間専門家作業部会の分科会リーダーらと協議。政府が原子力発電導入計画について十分な情報に基づく意思決定を行うために必要なすべての調査を完了させ、2032年までに炉型選定と建設契約の入札に向けた準備を整え、2040年以降に原子力発電所を稼働させる考えを示した。なお、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は2月23日、セルビアのA. ブチッチ大統領ならびにハンダノヴィッチ大臣と会談。原子力分野における協力拡大、ロスアトムの海外プロジェクトへのセルビア企業の参加、ロシアの大学におけるセルビア人学生への原子力関連分野の教育・研修機会の提供について協議。リハチョフ総裁は、ロシアは小規模から大規模プロジェクトまであらゆる原子力ソリューションをセルビアに提供する用意があると述べた。
13 Apr 2026
518

仏パリに拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ社は3月25日、米国における鉛冷却高速炉(LFR、48万kWt)および関連するMOX燃料製造施設の設置に係る将来的な許認可取得に向け、米原子力規制委員会(NRC)との事前申請の協議(pre-application engagement)を開始したと発表した。同社はこれに先立ち、2月下旬に意向書(Letter of Intent)を提出しており、今回の協議開始は米国市場参入に向けた規制プロセスへの本格的な着手となる。今回の協議は、LFRおよび燃料製造施設の設計や安全アプローチについて、NRCとの認識を早期にすり合わせるとともに、核物質の保有・使用・輸送を含む将来の許認可申請に向けた規制戦略の明確化を図るもの。事前段階から規制当局と対話を重ねることで、審査の予見可能性を高める狙いがある。鉛冷却高速炉は、冷却材に鉛を用いる第4世代炉の一つで、ナトリウム冷却炉と比べて化学的安定性が高いとされる。一方で、NRCにとって鉛冷却技術の審査経験は限られており、今後の審査は長期化する可能性がある。今回の取り組みは、将来的なLFRの許認可に向けた先例となる可能性もある。ニュークレオは欧州でも開発を進めており、フランス中部では出力3万kWe級の原型炉「LFR-AS-30」の建設を計画、2032年までの稼働を目指している。また、同炉の燃料となるMOX燃料製造施設についてもフランス国内での整備を構想している。なお、今回の動きは、ニュークレオ社と米国の先進炉・燃料サイクル開発企業オクロ(Oklo)社との戦略的パートナーシップの一環。ニュークレオ社は2025年10月、オクロ社が開発する発電所向けに、米国内での先進燃料製造・供給インフラ開発に関する共同契約を締結、最大20億ドル規模を投資する計画を発表しており、NRCとの早期協議を通じて、米国でのプロジェクトの許認可取得に向けて規制の予見可能性を高めていく方針である。
10 Apr 2026
652

フィンランド政府は3月12日、新原子力法案を議会に提出した。原子力施設の安全性を確保しつつ、より柔軟な規制体系を構築して許認可プロセスを簡素化。プロジェクトのリスクを管理し、小型モジュール炉(SMR)などの新技術の利用促進を目的とする。現行の原子力法は廃止され、放射線法や刑法を含む14の法律が改正予定である。経済・雇用省は法改正により、原子力発電への投資を促進したい考えだ。また、より柔軟な許認可手続きを導入し、これにより、エネルギー消費地に近接したSMR発電所が実現可能になるという。新規発電所プロジェクトにおいて、社会全体の公益への適合性に関する最初の包括的な評価は、現行のものよりもより一般的な性質を持つ「原則決定」により内閣が行う。但し、最大熱出力5万kWt以下の原子力発電所プロジェクトについては、経済・雇用省が評価するという。ムルタラ気候・環境相は、「フィンランドには、原子力発電のような炭素排出ゼロで、低廉かつ安定供給が確実なエネルギーが常に必要。今回の法改正により、様々な技術の選択肢や技術の進歩への適応が可能になる。同時に、多様な原子力施設プロジェクトについて、開発者のリスク管理や原子力施設への投資の予見性を向上させ、資金調達の環境を改善を図っていく」と述べ、不必要に詳細な技術的規制を緩和する一方で、安全性、供給の確実性、核物質の管理面では、当局による監督を強化するとしている。新法は2027年1月1日に施行予定。現行の政権期間中に、改正された規則に基づき原則決定の申請を行うことが可能。
10 Apr 2026
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中国の浙江省寧波市で4月4日、中国核工業集団公司(CNNC)の金七門(Jinqimen)第Ⅰ原子力発電所2号機(PWR=華龍一号「HPR1000」、120万kWe)が着工した。「華龍一号」は、中国が第三世代炉として独自に開発した量産型建設における主力炉型。同発電所1-2号機の建設計画は2023年12月に国務院常務会議で承認され、国家核安全局(NNSA)が2025年8月5日、両機の建設許可を発給。同サイトでは2号機と同型の1号機が2025年8月に着工している。それぞれ2030年、2031年に送電を開始する計画だ。金七門プロジェクトは全6基の「華龍一号」を建設する計画であり、全基が稼働すると合計設備容量は約720万kWeとなる。年間発電量は550億kWhに達する見込みで、年間約4,500万トンのCO2削減に貢献するという。
09 Apr 2026
593

韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は3月9日、次世代のカーボンフリー船舶を開発するため、米国船級協会(ABS)と、大型コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(Joint Development Agreement: JDA)を締結した。本契約により、16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級のコンテナ船に特化した、原子力電気推進システムの技術的実現可能性を評価。海運業界の脱炭素化基準を満たすため、コンテナ船向けに最適化された原子力電気推進システムの基本設計、電子製品仕様の選定、動力設備のレイアウト設計などで協力する。特に、最大10万kWe級の安定供給が可能な小型モジュール炉(SMR)を船舶動力源として利用したい考えだ。加えて、衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保できるよう強化された安全基準を設計に反映。国際海事機関(IMO)の規定および国際原子力機関(IAEA)の安全基準に適合する船内電力システムを適用することで、国際規制への適合性と運航の信頼性を確保する方針である。またHD現代は、長時間の航海および高速運航が求められる大型コンテナ船向けに、ツインスクリュー(Twin Screw)プロペラ推進システムを適用し、推進力と機動性の向上を図る。また、エンジンモーターをプロペラに直接連結する直結推進方式を採用し、動力伝達過程で発生するエネルギー損失を最小限に抑え、運転効率を高める計画だ。電力消費の大きい冷凍・冷蔵貨物輸送用のリーファーコンテナの積載拡大も可能となり、荷主の輸送需要に柔軟に対応するという。ABSのM. ミューラー北太平洋事業開発担当副社長は「本協業は、大型コンテナ船向けの原子力電気推進システムの可能性を検証する極めて重要なプロジェクト。HD現代の造船技術とABSの海事安全分野におけるエンジニアリングのノウハウを組合わせ、次世代推進ソリューションの安全性、効率性、環境性能を総合的に検証する」と語った。一方、KSOEのB. クォン電動化センター長は、「環境に優しい船舶の需要増加に応え、原子力電気推進システムの研究開発を拡大し、技術競争力を強化していく」と意欲を示した。HD現代は2025年2月、米ヒューストンで開催された「New Nuclear for Maritime Houston Summit」で、15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船の設計モデルを初公開した。今回、共同開発するコンテナ船はそれを上回る規模となる。同年9月に伊ミラノで開催された「Gastech 2025」において、KSOEとHD現代重工業(HD HHI)は、電気推進システムを搭載した16,000 TEUコンテナ船の概念設計について、ABSから基本設計承認(AiP)を取得し、開発の第1フェーズを完了している。
09 Apr 2026
567

インド南部のタミルナドゥ州にあるカルパッカム原子力複合施設で4月6日、国産の高速増殖原型炉(PFBR)が初臨界を達成した。完全に稼働すれば、インドはロシアに次いで、世界で2番目の商用高速増殖炉を運用する国となる。PFBRは、原子力省(DAE)傘下のバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム(BHAVINI)が所有・運転する、出力50万kWeのナトリウム冷却高速増殖原型炉。DAE傘下の研究開発センターであるインディラ・ガンジー原子力研究センター(IGCAR)がPFBRの技術開発および設計を担当。2004年10月に着工、2024年3月に燃料装荷が開始された。PFBRの初臨界により、インドは3段階からなる長期原子力発電計画の第2段階に入った。インドの原子力発電開発計画は、国内で豊富なトリウムを燃料とする「トリウム・サイクル」が開発初期からの一貫した基本方針。第1段階は従来の重水炉・軽水炉、第2段階は高速増殖炉、第3段階は改良型重水炉を基軸とする。第2段階にあるPFBRはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用。PFBRの炉心はウラン238のブランケットに囲まれ、高速中性子は、核分裂しにくいウラン238を核分裂性のプルトニウム239に変換し、これにより原子炉は消費する燃料よりも多くの燃料を生産する。またPFBRは、将来的にはブランケットにトリウム232を使用するように設計されており、核変換により、トリウム232はウラン233に変換されて増殖し、これがインドの原子力計画の第3段階にある改良型重水炉(AHWR)の燃料に利用される。これにより、燃料資源の利用効率が大幅に向上し、限られたウラン埋蔵量からはるかに多くのエネルギーを引き出すことが可能になる。またPFBRにより、使用済み燃料を再利用するクローズド・サイクルが完成するため、持続可能性が向上し、廃棄物の減容や有害度を低減し、大規模な地層処分施設の必要性を回避できるという。高速増殖炉は現在の加圧重水炉群と将来のトリウム系原子炉の導入との間のつなぎとして重要であり、将来的には同国の豊富なトリウム資源を活用して長期的なクリーンエネルギー発電を実現していく方針である。
08 Apr 2026
2577

米航空宇宙局(NASA)は3月24日、今後の宇宙開発計画に関する施策を発表し、原子力推進宇宙船を2028年末に打ち上げる方針を示した。将来的な火星探査など深宇宙ミッションを見据え、長距離輸送能力の強化を図る。同計画は、NASAが打ち出した一連の施策の一環。米エネルギー省(DOE)と連携し、原子力電気推進(NEP)を採用する惑星間宇宙船「スペース・リアクター1(SR-1)フリーダム」を、2028年末までの打ち上げを目指し開発する。機体には小型原子炉を搭載し、発電した電力により推進装置を動かす。従来の化学推進に比べ、長期間にわたり効率的な推進が可能となるほか、太陽光が弱い深宇宙環境においても、安定した電力供給が可能な点が特徴である。SR-1フリーダムにはヘリコプター型の無人探査機「スカイフォール」を搭載する。火星到達後にこれを展開し、表面の観測・探査を実施する構想とされる。「SR-1」は探査機の長距離輸送を担い、現地での探査は無人機が担う構成とすることで、探査活動の効率化を図る。米専門メディア「SpaceNews」によると、原子炉の燃料にはHALEUを用い、数十kW級の発電能力が想定されている。米国では、月面探査計画「アルテミス」を軸に宇宙開発が進められており、4月には有人月周回ミッションの打ち上げに成功するなど、探査活動は具体的な段階に移行しつつある。一方、火星を含む深宇宙探査に向けては、従来技術では輸送期間や搭載能力に制約があることが課題とされており、原子力の活用は長年検討が続けられてきた。計画はその実証に向けた取り組みとなる。また、NASAとDOEは今年1月、月面における原子力電源の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結しており、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を示している。
08 Apr 2026
836

米原子力規制委員会(NRC)は4月2日、カリフォルニア州のディアブロキャニオン原子力発電所(DCPP)1-2号機(PWR、各119.7万kWe)の20年間の運転期間延長を認可した。これにより米国の商用炉の運転認可更新の件数は100件に達した。DCPPはカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社が所有・運転する。1号機は1985年5月、2号機は1986年3月に営業運転を開始。今回の認可更新により、各機の運転認可期限は、それぞれ2044年11月2日、2045年8月26日となる。DCPPによる発電電力量は現在、カリフォルニア州の総発電電力量の約10%、クリーンエネルギーの約20%を占める。DCPPは州最大のクリーンエネルギー源であるだけでなく、州全体で2045年までにピーク電力需要が2,000万kWe以上増加すると予想される中、安定供給が可能で、電力システムの信頼性向上に資する電源とみなされている。今回のNRCの審査と並行して、カリフォルニア州公益事業委員会、州土地委員会、カリフォルニア州沿岸委員会、およびセントラルコースト地域水質管理委員会など各機関による審査・承認も行われた。NRCはDCPPが今後20年間の運転継続が安全かつ環境的に適合していると判断したが、PG&E社は、2030年以降の運転継続には、カリフォルニア州議会の対応が必要になるとの見通しを示している。■これまでの経緯PG&E社は2016年、電力需要の減少ならびに州の太陽光・風力発電の増強目標により、2024年11月に1号機、2025年8月に2号機を閉鎖することで環境団体や労組と合意。州の規制当局は2018年に同合意を承認した。しかし、2020年の熱波による州全域の計画停電と2022年に発表された新たな需要予測を受け、電力供給の安定確保とクリーンなエネルギー供給のために、カリフォルニア州議会は2022年9月、DCPPの2030年までの稼働を支持する法案を可決し、G. ニューサム知事(民主党)が署名・成立した。2023年11月、PG&E社はカリフォルニア州議会の指示により、NRCにDCPPの運転認可延長を申請した。なおNRCの規定では、運転認可の更新申請は現行認可が満了する少なくとも5年前までに提出しなければならない。NRCは2023年2月、同規定の適用免除を求めるPG&E社の要請書を審査した上で、同社が2023年末までに20年の運転認可延長を申請することを条件に、適用を免除した。また、米エネルギー省(DOE)も2022年11月、早期閉鎖のリスクにさらされている商業炉を短期的に救済するために設置した「民生用原子力発電クレジット(CNC)プログラム」で、DCPPを最初の適用対象に認定。両機の運転期間の5年延長に向けて、最大11億ドルの拠出を発表していた。
07 Apr 2026
804

加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は3月25日、加原子力安全委員会(CNSC)に、ダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトで建設工事が進行中の米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMR「BWRX-300」(30万kWe)初号機の運転認可を申請した。同機は2025年4月にCNSCから建設許可を発給されている。また併せて、同サイトでの低・中レベル放射性廃棄物貯蔵施設の操業許可を申請した。OPG社は同日の3月25日、同機の原子炉建屋の基礎工事(コンクリート打設)に係る最初の規制ホールドポイント(RHP-1)の解除も申請していたが、CNSCは3月30日、RHP-1解除のために規定されたすべての前提条件を満たしていると結論づけ、解除を承認。これによりOPG社は原子炉建屋の基礎工事を開始することが可能になる。RHPとは建設許可の取得時に設定された段階的な条件で、許可取得者は事前に規制当局による承認を受けなければならない。DNNPの初号機の建設許可においては、3つのRHP、①原子炉建屋の基礎工事、②原子炉圧力容器の設置、③燃料未装荷の設備一式のフルスケール試験- が定められている。DNNPでは、G7諸国で初めてとなる4基構成の商用SMRを建設予定。OPG社は初号機の建設を2029年末までに完了させ、2030年末までに送電を開始したい考えだ。後続の2~4号機の建設は、2030年代半ばの完了を見込んでいる。
06 Apr 2026
1095

スウェーデンの小型モジュール炉(SMR)プロジェクト開発企業シャーンフル・ネキスト(KNXT)社は3月23日、スウェーデンの新法「原子力施設の政府承認に関する法律」に基づく、同国初となる申請をJ. ブリッツ雇用大臣兼気候・環境担当代理大臣に提出した。KNXT社は、スウェーデン南部のバルデマーシュビーク(Valdemarsvik)のマルメ(Målma)SMR パークに出力30万kWe級のSMR×4~6基を建設する計画だ。2029年から2030年までの着工を見込んでいる。政府は2035年までに少なくとも250万kWe、2045年までに1,000万kWeの新規原子力発電設備容量を建設するという目標を掲げており、マルメSMRパークの建設が完成すれば、2035年までの政府目標を達成するために必要な原子力発電設備容量の多くをまかなうことができると指摘している。政府は3月5日、新規原子力発電所の建設を容易にするための沿岸部における原子力発電所の建設候補地の拡大、新規原子力施設に対するより適切な許認可審査、およびウラン採掘・製錬に係わる施設を原子力施設とみなさないようにする、原子力施設の定義に関する法改正を伴う3つの法案を議会に出すことを決定した。新規原子力施設向けの許認可審査にあたり、現行の制度に比べて予見可能性を高め、新規原子力発電所の導入加速を目的に、政府および関係自治体による早期の承認を可能にする新法を提案しており、今回のKNXT社の申請はこの新法に沿ったもの。この許認可審査に関する改正は2026年6月17日に発効予定であり、政府は2026年3月10日以降の申請は新制度適用として受付けている。マルメSMRパーク・プロジェクトは、KNXT社が同国南部全域でSMR導入に向けて開発を進めているサイト群である「ReFirm South」プログラムの一環。すでに発電設備容量が逼迫している同国南部では、電力需要の増加が見込まれており、KNXT社は消費地に近接してSMRを設置することで電力網の負担を軽減し、化石燃料に依存しない電力供給の安定性を高めたい考えだ。KNXT社は、他のReFirmサイトについても、プロジェクトが同程度の進捗に達した時点で、今年後半に追加申請を行う予定である。なおKNXT社は3月初め、スウェーデンの原子力関連技術サービス企業であるスタズビック(Studsvik)社による買収を発表。スタズビック社はこれにより、既存の原子力施設向けの技術サービスに加え、新規建設プロジェクトまで事業領域を拡大する。KNXT社のプロジェクト開発力とスタズビック社の技術基盤の統合により、スウェーデンにおける新規原子力プロジェクトの実現に向けた体制強化が図られる見通しであり、今回の申請とあわせ、同国の原子力導入政策が具体的な事業段階へ移行しつつあることを示す動きといえる。
06 Apr 2026
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米マイクロソフト社は3月24日、エヌビディア社と連携し、原子力分野の設計・許認可・運用に至る全工程を対象としたAI活用の枠組みを発表した。従来ボトルネックとされてきた許認可手続きの効率化を前面に打ち出しており、原子力プロジェクトの開発期間短縮につながる可能性がある。設計段階ではデジタルツイン((現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術))や高精度シミュレーションを活用し、設計変更の影響を迅速に評価する。許認可段階では生成AIが文書作成や不整合の検出を支援し、申請手続きの効率化を図る。さらに建設段階では工程やコストのシミュレーションを通じた施工管理の高度化、運用段階では異常検知や予知保全による稼働率向上を見込む。また、設計から運用までのデータとシミュレーションを統合することで、各工程の進捗や設計内容、コスト情報の一元管理を可能とし、事業者や規制当局による確認作業の効率化と意思決定の迅速化につなげるとしている。こうした民間主導の動きと並行し、米国では政府・研究機関を巻き込んだAI活用の実証も進んでいる。ニューヨークに拠点を置く原子力分野向けAI開発企業、Everstar(エバースター)社は3月26日、マイクロソフト社、米エネルギー省(DOE)、アイダホ国立研究所、アルゴンヌ国立研究所との連携を発表した。DOEが主導するAI活用推進プログラム「ジェネシス・ミッション」の一環で、原子力分野におけるAI活用の具体化を図る。エバースター社は、同社開発のAIプラットフォーム「Gordian」を用い、DOEの安全解析報告書を米原子力規制委員会(NRC)の許認可申請書に相当する形式へ変換する実証を実施。同社によると、従来は専門家チームが4~6週間を要していた作業を、1日で完了したとしている。エバースター社では許認可分野での活用が実証段階に入りつつあり、マイクロソフト社が提示するAI活用の枠組みと合わせ、AIの適用範囲が設計・許認可といった中核領域におよび始めたことで、原子力プロジェクトの開発期間やコスト構造に影響を与える可能性がある。
06 Apr 2026
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東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月13日、南鳥島における高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に関する文献調査の実施可否について、国が判断すべきとの見解を示した。渋谷村長は、電力の安定供給を必要とする現代社会において原子力発電は不可欠との認識を示した上で、HLWの最終処分施設についても将来的に必要になると指摘。「地域任せにすることなく国の責任で取り組むのであれば、国が判断すべきだ」と述べ、文献調査の実施可否については国が主体的に決定すべきとの考えを示した。そして、国が文献調査の実施を決定した場合には、村として以下の5項目を要請するとした。①地層処分が現時点で有力な処分方法であることを踏まえつつも、廃棄物の新たな処理方法や発生抑制に向けた研究開発を継続的に進めること②他自治体へも文献調査の申し入れが行われるまで、小笠原村でも次段階の意見表明は行わないこと③村民に対する理解促進活動や意見交換の実施を継続し、専門家を交えたテーマ別の議論の場を設け、説明機会の充実を図ること④風評被害への懸念を踏まえ、小笠原諸島と南鳥島の地理的条件や位置関係について、国およびNUMOが国内外に向けて適切に発信すること⑤文献調査の実施が、処分施設の建設決定を意味するものではないことを明確にすること渋谷村長としては、調査の必要性を含めた判断は国の責任で行うべきとの認識を改めて強調するとともに、他自治体への申し入れ拡大を通じて、地層処分を巡る国民的議論が深まることへの期待も示した形だ。赤沢亮正経済産業大臣は翌14日、渋谷村長の示した見解について、「小笠原村の対応に感謝したい」と述べた。そのうえで、渋谷村長が示した見解は村内の多様な意見を踏まえたものとの認識を示し、「国として重く受け止めている」とした。今後の対応については、渋谷村長が正式な回答をした際に、「直接話を伺ったうえで、国として責任を持って対応していく」とした。
17 Apr 2026
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「第59回原産年次大会」2日目には、「廃炉に挑む原子力人材の叡智と情熱」と題した福島セッション(セッション3)が行われた。福島第一原子力発電所の廃炉が長期に及ぶ中、作業は新たな段階に入りつつあり、それを担う次世代人材の確保・育成が重要な課題として改めて浮き彫りとなった。東京電力ホールディングス・福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、燃料デブリの分析や試験的取り出しの進展により、「現場の軸足が燃料デブリの取り出しに移りつつある」と指摘。これまでの処理水対策や使用済み燃料の取り出しなど、リスク低減に向けた主要な取り組みは一定の方向性が見えてきた一方、今後は「極めて困難で不確実性の高い」デブリ取り出しという新たなフェーズに入るとの認識を示した。こうした廃炉の段階の変化に伴い、人材への要請も質的に変化している。小野氏は、高度な技術課題に対応する高度専門人材と、長期にわたり現場を支える人材という「二層の人材」の必要性を指摘。遠隔操作や高線量環境下での作業など、高度技能を要する業務の増加を見据え、教育訓練環境の強化や海外の廃止措置経験者の活用に言及した。続くパネルディスカッションでは、福島で学び、働く若者が登壇し、廃炉とのかかわり方を自らの言葉で語った。福島工業高等専門学校4年の橋本拓真さんは、ロボット分野への関心から廃炉分野に進路を広げた経緯を説明。初めて福島第一原子力発電所を訪れた際には、「映像で見ていた景色でも、実際に見ると重みが違った」と語り、現場での体験や技術者との対話を通じて進路意識が具体化したとした。一方、当初は廃炉に距離を感じていたという声も共有された。福島県立小高産業技術高校3年の森山來星(らいる)さんは、震災後の復興が身近である環境で育ちながらも、当初は廃炉に対し「危ない、終わりが見えないもの」との印象を持っていたと振り返った。その後の学びや現場見学を通じて認識は変化し、「廃炉は未来の安全をつくるプロジェクト」との現場の言葉に共感。将来は電気工事士として廃炉に関わることを志していると述べた。また、廃炉関連事業に携わる株式会社ビーエイブルの伊藤斐菜(ひな)さんは、入社当初は廃炉への関心が高かったわけではないが、業務を通じて現場への関心を深め、自ら希望して工事部へ異動した経緯を紹介。現在はドローンを活用した構内車両管理に従事し、作業工程を支える役割を担っているとした。その上で、地元出身者が現場に関わることが、外部人材との信頼関係構築や地域の安心感につながるとの認識を示した。教育現場からは、福島県立相馬高校の高村泰広教諭が、普通科の生徒に原子力や廃炉への関心を持たせる難しさに触れつつ、現場見学や対話の機会を通じて理解を深める取り組みを紹介した。議論では、若い世代の関心喚起には現地見学や体験の機会に加え、「身近な人の声」が重要であるとの認識が共有された。震災の記憶が薄れる中、福島県内においても廃炉への関心が必ずしも高くない現状が指摘され、橋本さんは、同世代でも関心に差があり、発電所の位置すら十分認識されていないケースがあると語った。その対応として、修学旅行などでの現地見学の活用や、東京電力のウェブサイトを通じたVR体験を入り口とする提案も示された。モデレーターを務めた福島工業高等専門学校の鈴木茂和教授は、廃炉人材の育成には、学生たちが実際に現場を見て働く人の話を直接聞く機会を増やすことに加え、教員自身の理解深化も重要であると総括。国/産業界/教育機関の連携により、若い世代が廃炉に触れる機会を拡充する必要性を指摘した。廃炉は世界でも前例のない長期プロジェクトであり、技術的な挑戦の側面を持つ分野でもある。作業が新たな段階に移る中で、その意義と魅力をいかに伝え、人材の裾野を広げていくかが、今後の進展を左右するカギとなる。
17 Apr 2026
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原子力産業における人材不足とデジタル変革をテーマとしたセッション2では、各社からAIやデータ活用に加え、ロボティクスやオープンイノベーションを軸とした取り組みが相次いで紹介された。かつて課題とされてきた属人化や紙ベースの情報管理に対し、変革は着実に進みつつある。一方で、その多くはなお途上にあり、現場への定着や運用での課題も浮かび上がった。セッションを通じて見えてきたのは、「変革は始まっているが、次の段階への移行が問われている」現状である。各社に共通する「変革への着手」セッションでは、欧米の事業者、メーカー、IT企業、建設業など、多様なプレイヤーが登壇した。立場は異なるものの、共通していたのは、過去の構造的課題を前提とした上で、それを変革しようとする明確な意思だった。フランス電力(EDF)では、これまでのドキュメント中心の情報管理からの脱却を掲げ、「クラウドやAIを活用したデジタル基盤の再構築を進めている」(アイハン ユルドゥズ・EDF原子力・火力デジタルトランスフォーメーション部門 統括ディレクター)。紙やPDFに依存した情報管理の限界を認識し、データとして活用可能な形へ転換することで、業務効率と意思決定の高度化を図るという。日立製作所の大坂雅昭氏(原子力ビジネスユニット 原子力事業統括本部 デジタルイノベーション本部長)は、原子力分野における技術伝承の課題に対し、ナレッジマネジメントとAIを組み合わせたアプローチを提示した。ベテランに依存していた知識を体系化し、次世代へ継承する仕組みを構築することで、属人化からの脱却を目指すという。すでに「使ってもらう段階に入りつつある」(同氏)とし、実運用への移行が進み始めていることが示された。日本電気(NEC)の千葉雄樹氏(デジタルプラットフォームサービス BU AIテクノロジーサービス事業部門 主席プロフェッショナル AIチーフナビゲーター)は、生成AIの進展を踏まえつつも、「技術先行」の限界を指摘した。AIは多様な課題に適用可能である一方で、「何に使うか」が設計されていない場合、価値創出につながらないというのだ。実際、AI活用は「うまくいっている企業とそうでない企業の二極化」(同氏)が進んでいるとされ、技術そのものよりも、業務プロセスやデータの設計が重要であることが強調された。一方、建設分野から登壇した村上陸太氏(建設RXコンソーシアム 会長/竹中工務店 顧問 エグゼクティブ・フェロー)は、人手不足という共通課題に対し、ロボティクスやデジタル技術を活用した「共創」による解決の必要性を強調した。個社ごとに技術開発を行う従来の在り方から、業界横断で技術を持ち寄り、実装につなげていく取り組みが進められているという。また、米国企業のウェスチングハウス(WE)やThe Nuclear Company(TNC)からは、原子力建設の現場における複雑性と人材不足を背景に、AIやデジタル技術に加え、ロボティクスや高度な製造技術を組み合わせた最適化の可能性が提示された。WEのルー・マルティネス・サンチョ氏(最高技術責任者)は、「どれだけ技術が進んでも、人間が中心にいるという原則は変わらない」と述べ、AI時代においても人材と知識の重要性を強調した。また、TNCのスーマントラ・ゴーシュ氏(バイスプレジデント)は、「原子力は技術や政策の問題ではなく、いかにプロジェクトを実行するかが本質だ」と指摘し、大規模プロジェクトにおける経験の継承と標準化の必要性を訴えた。各社の取り組みは一見異なるようでいて、本質的には共通している。AIやデータ活用に加え、ロボティクスの導入や企業・業界をまたいだオープンイノベーションなど、変革のアプローチは多様である。こうした取り組みを通じて進められているのは、ドキュメント中心の業務からデータ活用へ属人化した知識から体系化されたナレッジへ個別最適から全体最適へといった、「これまでの構造」そのものを変えようとする試みである。もっとも、これらの取り組みはまだ完全に定着したとは言い難い。日立製作所の事例に見られるように、技術は「ようやく使われ始めた段階」にあり、NECが指摘するように、AI活用も成果にばらつきがある。EDFにおいても、デジタル基盤の再構築は進行中であり、完成には至っていない。つまり、各社は確実に前進しているものの、その多くは依然として「途上」にあるのだ。「実装」のカギはどこにあるのかこうした状況について、モデレーターを務めた澤円氏(元・日本マイクロソフト業務執行役員)は、セッション後のインタビューで次のように語った。「どんなにいいプランや仕組みがあっても、人間の“気合”がないと前に進まない」さらに同氏は、この「気合」について、セッション終盤で村上氏が、デジタル技術やロボティクスを活用した共創の取り組みを紹介する中で示した視点に言及しながら、次のように説明した。「村上さんのおっしゃった、“面白がる、楽しむ”というキーワードそのものだと思います」課題を前にしたとき、それを負担としてではなく、自ら関わる対象として捉えられるかどうか。澤氏は、その姿勢こそが変革を前に進める原動力になると強調した。そして澤氏は、原子力における社会受容の問題にも言及。原子力においては、技術や業務の変革に加え、社会との関係も重要な論点である。澤氏は、「人は知らないものを恐れる」と指摘し、知識の共有と理解の深化が不可欠であると述べた。また、自身がこれまで「原子力」というタグを持たない立場であったことに触れつつ、「今回で(私も)“当事者”になりました」と語り、原子力は社会と対立するものではなく、社会をより良くするための力であり、その実現には多様な人材を巻き込み、「当事者」の裾野を広げていくことが重要だと指摘。デジタル化やAI活用が進む中でも、こうした理解の拡大とコミュニティの広がりを通じた信頼関係の構築が、引き続き意義を持つと強調し、「多くの人を巻き込んで、原子力コミュニティを大きくしていきましょう」と呼び掛けた。変革は始まっている——そして次の段階へセッションを通じて明らかになったのは、原子力産業がすでに変革に着手しているという事実である。各社は過去の課題を認識し、それに対する具体的な対応を進めている。しかし、それらを現場に定着させ、再現性のある形で運用していくには、さらなる取り組みが求められる。技術と制度の整備が進む中で、最終的に変革を前に進めるのは人である。そして、その変革を持続的なものとするためには、専門領域の内側にとどまらず、外部からの視点も取り込みながら当事者を広げていくことが不可欠であり、その原動力となるのが「楽しむ力」である。原子力DXは確実に進んでいる。その真価が問われるのは、まさにこれからなのだ。
16 Apr 2026
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東京電力は4月16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午前7時から、営業運転直前の工程にあたる総合負荷性能検査を実施。午後4時過ぎに使用前確認証等を交付され、営業運転を開始した。同機が営業運転に入るのは14年ぶり。総合負荷性能検査は、原子炉が定格熱出力に到達し、運転状態が安定した段階で、使用前事業者検査の最終段階として実施される。原子炉圧力や蒸気の流量、熱出力などのデータを記録し、プラント全体が正常に機能しているかを総合的に確認する。あわせて、原子力規制委員会が使用前確認を行い、事業者による検査が適切に実施されているかを確認。これらの結果、問題がないと判断され、規制委から使用前確認証が交付され、営業運転へと移行。赤沢亮正経済産業大臣は4月14日の会見で、同6号機の再稼働について、「東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、さらには脱炭素電源の確保の観点から極めて重要だ」と述べ、「大きな節目であり重要な一歩」との認識を改めて示していた。また、中東情勢の緊迫化を受け、「原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源」と位置付け、再稼働の意義を改めて強調した。大臣は、6号機の再稼働によって、ホルムズ海峡経由で輸入しているLNGの年間約3割を節約する効果があると指摘。今後の電力需要の増加を見据え、「原子力と再生可能エネルギーの双方を活用していく」とする第7次エネルギー基本計画の方針に変化はないと述べた。
16 Apr 2026
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第59回原産年次大会・セッション1「原子力産業が直面する人材の課題と展望」では、グローバルで原子力への期待が再び高まる中、その前提となる人材確保・育成が各国共通の課題として浮き彫りになった。海外プロジェクトの教訓や人材需給ギャップの分析を踏まえ、わが国の人材戦略や産官学連携のあり方について議論が行われた。 セッション冒頭、モデレーターの小原徹教授(東京科学大学総合研究院)は、2011年3月の震災以降、日本国内の原子力発電所の新規建設の途絶により、人材確保が困難になるとともに、経験者の高齢化・退職により、技術継承に懸念が生じていると指摘。新規建設に向けたリードタイムを見据え、サプライチェーンと一体となった人材育成や確保が急務であるとした。 フランス原子力産業協会(Gifen)のオリヴィエ・バール氏は、フランスでは大規模な原子力拡大プログラムに伴い、今後10年間で年平均約10,000人の増員が必要とされる一方、政府による明確なロードマップ提示により応募者不足は生じていないと説明。人材育成においては、ニーズに基づく教育制度の整備やメンター訓練を通じたスキル向上・定着支援に取り組んでいると述べた。 米国原子力エネルギー協会(NEI)のエリン・ハルトマン氏は、米国では原子力拡大の気運が高まる一方で、大量退職による技能継承の空白が懸念されていると指摘。特に専門技術職の確保が課題であり、コミュニティカレッジとの連携や、デジタルツインや仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用した訓練などにより人材育成の強化を図っているとした。 各国の課題認識には違いもみられた。三菱総合研究所の鈴木清照氏は、日本では建設経験の喪失に伴う技術継承機会の減少が課題であるとし、人材の需給ギャップの定量化と職種の可視化の必要性を強調した。まずは電気事業者を対象とした分析を行い、今後はメーカーやサプライヤーにも拡張する必要があると述べた。 三菱重工業の三牧英仁氏は、採用拡大に取り組む一方で、エンジニアの約7割が原子力学科以外の出身である現状を紹介。工業高校向けの技術指導や工場見学会を通じた、技能職人材の確保に取り組んでいるが、高卒技能者の確保が今後の課題になるとの認識を示した。 後半のパネル討論では、議論は「人材」と「サプライチェーン」に大きく収斂した。特に印象的だったのは、バール氏が「問題の本質は人材不足ではなくシステムにある」と指摘した点で、政府の明確なロードマップと教育・現場訓練の組み合わせが重要であると強調した。一方、ハルトマン氏は、人材育成が機能するためには具体的なプロジェクトの存在が不可欠であり、「仕事が見えなければ人材は育たない」と強調した。鈴木氏は、日本では特にサプライチェーンの下層(部品・材料分野)で人材不足が深刻であるため、階層構造を踏まえた対策が必要と指摘。三牧氏も、人材確保には明確な長期見通しが不可欠であるが、日本では原子力政策において長期・定量的なロードマップが不足していると述べ、産官学の役割分担の明確化が重要であるとした。 また、技術伝承については、作業プロセスの標準化や中小企業への支援の重要性が指摘されたほか、三菱重工は生成AIを活用し熟練者と非熟練者の作業差を可視化する新たな取り組みを紹介した。海外調達をめぐっては、フランス側がローカル連携の重要性を強調する一方、米国側は国際サプライチェーンの活用継続を示すなど、アプローチの違いも浮き彫りとなった。日本側からは、国内案件を通じた建設システムの再構築が基本であるとの認識が示された。 最後に小原教授は、今回の議論には重要な示唆が多く含まれており、産官学が連携して人材基盤強化に取り組む必要がある、とセッションを締め括った。
15 Apr 2026
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「第59回原産年次大会」が4月14日、東京国際フォーラムで開幕。国内外より約850名が参加した。15日までの2日間、「原子力の最大限活用を支える人材戦略」を基調テーマに議論が進められる。同⼤会は、人材問題に焦点を当てると同時に、初めて経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)と共催し、広く国際的な視点を交えつつ、⼈材確保・育成の現状と課題、そしてその解決に向けた産学官の連携について議論を深める。冒頭、挨拶に立った日本原子力産業協会の三村明夫会長は、足元の中東情勢の緊迫化について言及し、エネルギー供給リスクが顕在化した際に、社会や経済への影響の大きさが改めて浮き彫りになったと指摘。三村会長は、原子力について「国内におよそ3年分の燃料を保有するなど、高い安定供給性と自律性を有する準国産エネルギーであり、天候に左右されない脱炭素電源」と位置付け、その重要性を改めて強調した。また、欧州においても原子力回帰の動きが見られることから、「原子力からの転換は戦略的誤りだった」との認識や、「原子力三倍化」宣言に象徴されるように新増設の動きが加速していると紹介した。また、国内動向については、柏崎刈羽6号機(ABWR、135.6万kWe)の営業運転再開や、泊3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働に向けた動きについて言及。さらなる人材確保に向けて具体的な取り組みが広がっているとした一方で、これらを支える事業環境の整備が急務であるとの認識を示した。こうした状況を踏まえ、本大会の基調テーマを「原子力の最大限活用を支える人材戦略」とした理由について三村会長は「人材の確保と育成こそが今後の原子力政策実現に向けた最大のボトルネックとなりうる」との強い危機感があるためだと説明。人口減少に伴う労働力不足が見込まれる中で、革新炉の開発や既設炉の長期運転、廃炉、バックエンドといった多様な分野で担うべき業務が拡大していく構造にあると指摘した。続いて、小森卓郎経済産業大臣政務官が登壇。小森政務官はまず、先月、東日本大震災から15年を迎えたことに触れ、福島第一原子力発電所の事故の経験や教訓を「エネルギー政策の原点」と位置付けた上で、「反省と教訓をひとときも忘れず、安全性向上に向けた不断の改善を重ね、国民の信頼を着実に積み重ねていくことが重要」と強調した。そして、高市内閣の手掛ける成長戦略においても、次世代革新炉やフュージョンエネルギーが中核に位置付けられているとし、今後は設備投資や研究開発を含めた官民の積極的な投資を引き出していく考えを示した。小森政務官は最後に、本大会のテーマである人材戦略について、「震災以降、原子力を支える人材基盤は弱体化している」との認識を示した上で、「原子力産業基盤を支える人材構造を持続可能な形へ再構築する転換期にある」と強調。「国として原子力政策を全力で前に進めていく」と述べるとともに、本大会が今後の人材育成の在り方に関する議論の深化につながることへの期待を示し、挨拶を締めくくった。続く基調講演では、OECD/NEAのW.D.マグウッド事務局⻑が登壇し、原子力を取り巻く国際的な動向と人材課題について講演した。まず、マグウッド事務局長は「OECD/NEAが65年の歴史を有する中で、現在ほど特別な時代はない」と述べ、世界的に「新たな原子力時代」が到来しつつあるとの認識を示した。その背景として、電力需要の増加やエネルギー安全保障の強化、化石燃料依存の低減といった複合的な要因を挙げ、「多くの国で原子力の位置付けが再評価されている」と指摘した。OECD諸国に加え、グローバルサウスを含む各国で原子力発電の導入・拡大を志向する動きが広がる中、各国に共通する認識として、信頼性の高い電力へのアクセスが経済成長の成否を左右する重要な要素であると強調。安定的かつ適正なコストで電力を確保できるか否かが、国家の経済基盤を大きく左右するとの見方を示した。その上で事務局長は、企業経営者、金融関係者らを集めた会合を通じ、資金調達やサプライチェーンといった「具体的な課題とその解決策について議論を進めている」と言及。原子力発電コストの不確実性やSMRの経済性の不透明さを背景に資金調達の難しさを指摘した。そして事務局長は、原子力の将来を左右する最大の鍵は「人材である」と強調した。このため、教育や情報発信の重要性が一層高まっているとし、OECD/NEAで手掛けている若手人材育成プログラムを通じて、次世代の担い手確保に取り組んでいることを紹介した。続く特別講演では、日本原子力産業協会の三村会長が再登壇し、日本が直面する構造的課題である人口減少問題について講演した。会長は、人口減少の深刻な実態と社会経済への影響、対応の方向性を示した。同氏が議長を務める民間組織「未来を選択する会議」の活動を紹介しつつ、現状のまま推移すれば2100年には総人口が現在の約1億2400万人から約6300万人へ半減し、高齢化率も40%に達するとの見通しを提示。その上で、従来の少子化対策の限界を指摘し、「危機意識の共有」を前提に、人口減少の緩和を図る「定常化戦略」と、生産性向上を軸とする「強靭化戦略」を一体的に進める必要性を強調した。最後に原子力委員会の上坂充委員長が登壇。「国際的視点に立った日本の原子力人材育成」と題し、原子力人材育成における日米欧の高等教育システムの比較、国際標準に基づく人材育成のあり方について講演した。欧米では修士段階で体系的な講義・演習が重視される一方、日本では専門教育の強化に課題があると指摘。米国や欧州の教育手法・制度の詳細を紹介したほか、東京大学原子力専攻専門職大学院やIAEAの国際原子力マネジメントアカデミーを例に、実務と連動した教育や国際連携について紹介した。加えて、中高生段階からの教育の重要性にも触れ、大学における魅力ある研究の推進と併せて、若年層の関心喚起を図る必要性を指摘した。
14 Apr 2026
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福井県原子力発電所所在市町協議会は4月10日、経済産業省の井野俊郎副大臣に、原子力政策等に関する要請書を手渡した。同協議会の西嶋久勝会長(高浜町長)は、井野副大臣に対し、「立地地域として今後も国のエネルギー政策に協力し、国民経済を支える役割を果たしていきたい」との考えを示した上で、燃料サイクルの停滞や高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する具体的な道筋が十分に示されていない現状に言及し、「将来に対する不安を感じている」と懸念を表明した。さらに、原子力発電所の立地地域にとって、将来にわたる確かな安心の確保が原子力との共生に繋がると強調。エネルギー政策を持続可能な形で進めていく観点から、要請書を提出するとともに、国の見解を求めた。同要請書ではまず、政府が掲げる「原子力の最大限活用」について、国民理解の醸成と安全確保の徹底を求めた。また、原子力人材の確保及び育成について、発電所の運転員のみならず、原子力研究に関わる人材の確保と育成を喫緊の課題と位置づけ、運転員に加え研究分野を含めた人材基盤の強化を要請した。さらに、燃料サイクル政策の着実な推進とともに、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの確実な履行を求め、国と事業者が一体となった対応の必要性を強調した。原子力防災については、避難時に不可欠な道路・橋梁の整備と強靱化を要請。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生したことを踏まえ、補助制度の拡充や別枠予算の確保など、実効性ある財政措置を求めた。財政面では、電源三法交付金の見直しをはじめ、各種交付金・補助制度の充実を要請。廃炉に伴う交付金の緩和措置の延長や、固定資産税の見直しにも言及した。そして、廃炉の進展に伴う地域経済への影響を踏まえ、中長期的な支援の必要性も強調。企業誘致や産業振興に加え、医療・福祉を含めた総合的な地域支援の充実を求めた。これに対し井野副大臣は、エネルギー安全保障の重要性が高まる中で、原子力を「準国産エネルギーとして安定供給に資する重要な電源」と位置付けた。一方で、燃料サイクルや最終処分の進展の遅れについては「立地地域に心配をかけている」と認め、課題の前進と対話の強化に取り組む方針を示した。
13 Apr 2026
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原子力委員会は3月24日の定例会議で、昨年夏にマレーシアのバンギで開催された「第2回国際原子力科学オリンピック(INSO)」について、東京大学の飯本武志教授から報告を受けた。INSOでは日本代表の高校生4名が全員がメダルを獲得した。飯本教授は、INSO創設の背景として、IAEAのアジア太平洋地域技術協力プログラム(TCP)において、多くの国で原子力分野の人材育成体制が十分に整っていないという問題意識があったと説明。2010年代前半から中高生向け教育強化の議論が進み、2024年にフィリピン・クラークで第1回大会が開催されたと述べた。その上で、「成果はメダルではなく、原子力の平和利用への理解深化や国際連携の促進、人材育成にある」と強調。参加者には知識だけでなく、コミュニケーション能力や主体的な発信力の向上を期待する考えを示した。委員からは、全員メダル獲得を評価する声とともに、参加学生の動機が純粋な探究心に基づく点を評価する意見が上がった。質疑では、今後の継続的な運営に向けた課題についても議論が行われた。委員からは「高いレベルの大会に挑戦する高校生の存在自体が大きな発見」との指摘があり、挑戦を支える仕組みづくりの必要性を問う声も上がった。これに対し飯本教授は、認知度向上と裾野拡大が課題であり、現状は関係者のネットワークに依存していると指摘。大学や研究機関にとどまらず、民間も含めた展開が必要との認識を示した。会議には、金メダルを獲得した田中優之介さん(私立東海高等学校3年 ※当時)も出席し、「原子力を知る入り口として取り組みやすく、実物を見ることで理解が深まった」と振り返った。また、海外選手との交流を通じて「多くのつながりが生まれ、大きな財産となった」と述べた。上坂充委員長は、「今回得た経験やネットワークを今後に活かしてほしい」と期待を示し、INSOについて「国際的なネットワーク形成と次世代人材の育成の観点から意義深い」と評価した。
10 Apr 2026
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四国電力は4月7日、伊方発電所のさらなる安全性向上に向け、同発電所前面の海域における地質調査を実施すると発表した。発電所前面の海域(約2km×10kmの範囲)にて、海底ボーリング調査および海上音波探査を行い、地質データを収集する。調査期間は4月中旬から9月の予定。今回の調査は、発電所のリスク評価手法である確率論的リスク評価(PRA)※1の高度化に資する取り組みの一環だ。特に、同発電所前面の伊予灘(沖合6~8km)に分布する中央構造線断層帯について、活動時期などに関する地質データの拡充と知見の深化を図ることを目的としている。同社はこれまでも、従来の安全対策に加え、PRAを活用した自主的な改善活動等を継続しており、その成果を「安全性向上評価」として原子力規制委員会へ提出してきた。同3号機(PWR、89万kWe)では2025年5月に4回目となる安全性向上評価を届け出済みだ。<詳しくはこちら>また、同社はPRAの精緻化にも取り組んでおり、最新の米国の手法に準拠した確率論的地震ハザード解析を導入。地震発生確率を踏まえた揺れの強さを評価することで、安全対策の効果を比較し、施設全体の安全性を総合的に評価できるという。今回の海域調査により、こうした同ハザード解析の精度向上も図ることで、地震時の同発電所に内在するリスクをより正確に把握し、発電所の安全性を一層高めていく考えだ。※1 PRA(Probabilistic Risk Assessment)とは、原子力施設等で想定される事故の発生頻度と影響を定量的に評価し、リスクを把握する手法
09 Apr 2026
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日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)は3月26日、科学ジャーナリスト賞創設20周年記念の高校生作文コンクール(共催:東京都市大学、東京理科大学理数教育研究センター)の入賞3作品の表彰式を開催した。同コンクールは、指定された課題図書を読み、科学技術の発展や社会の在り方について自らの考えを作文にして表現するもの。課題図書には、「情報パンデミック あなたを惑わすものの正体」(読売新聞大阪本社社会部)、「江戸の骨は語る 甦った宣教師シドッチのDNA」(篠田謙一)、「生命の星の条件を探る」(阿部豊)の3冊が指定され、応募者はこれらを踏まえ、自身の考えや提案を論じた。入賞したのは、Harrow International School Appi Japanの大塚蓮さん、吉祥女子中学・高等学校の辻本伸子さん、福井南高等学校の世継真奈美さんの3名。大塚蓮さんは、「骨が僕に語りかけたこと」と題した作文の中で、骨に興味を持ったきっかけや、課題図書の著者である篠田謙一氏との出会いを通じ、自身の科学への関心がどのように広がってきたかを論じた。大塚さんは科学を好きな理由について、「分からなかったことを知る面白さ」や「身近な疑問が解決する楽しさ」の積み重ねにあると説明。こうした探究心が現在の自身を形作り、研究や知識の拡大につながっていると述べた。辻本伸子さんは、「情報洪水の渦の中で」と題した作文を発表。自身の新聞委員会での活動を通じ、「分かりやすく情報を伝える方法」を模索する中で、メディアや言語の伝達機能等に関心を広げ、探究活動に取り組んだという。探究では、X上で拡散された情報の収集・分析や、陰謀論が支持される背景等を考察。さらに、課題図書『情報パンデミック あなたを惑わすものの正体』から、「人は不安や孤独を埋めるために誤情報を手にする場合がある」との示唆を踏まえ、誤情報を信じる人々へ一方的に説得するのではなく、「相手の声に耳を傾けることや対話が重要だ」と話した。世継真奈美さんは、「情報の海のなかで」と題した作文を発表。世継さんが在籍する福井南高校では、長年にわたりクリアランス金属の理解促進活動に取り組んでおり、自身もその活動に参画し、原子力発電のバックエンドに関する探究活動を行っている。過去に同校が実施した高校生向けの意識調査では、原子力を学ぶ媒体として「メディア」が「学校の授業」を上回る結果となり、世継さんは「影響力の大きさを実感した」とする一方、「その影響が十分に意識されていないのではないか」と課題を指摘した。一方、SNSの普及により複雑な問題が単純化されやすく、原子力のバックエンドに関しても極端な意見が拡散されやすい現状に言及し、「科学リテラシーの向上が重要」と強調した。さらに、課題図書『情報パンデミック あなたを惑わすものの正体』の中で記された「科学的根拠に基づいた情報であっても自らの思いから外れると否定につながる」という一節が印象に残ったと述べ、これまでの経験と課題図書を通じて得た新たな気づきを整理し、「今後取り組むべき方向性が明確になった」と今回の作文コンクール入賞に伴う手応えを語った。また、表彰式に同席していた同校の浅井佑記範教諭(受賞者の所属ゼミ担当教諭)は、世継さんの入賞について、「彼女の好奇心の強さと、さまざまな活動に主体的に取り組む姿勢」を評価した上で、「自身が深く熱心に携わってきたテーマだからこそ、課題図書を踏まえ、科学技術や社会の在り方を自分の言葉で深く考察できたのではないか」と語った。そして、生徒の科学リテラシー向上に向けて意識して取り組んでいることとして、どんなテーマであっても、いずれの場合(立場の違い)も盲目的に受け入れるのではなく、「条件や前提を踏まえて考える姿勢が重要だ」と指摘。「多様な意見に目を向け、自分の頭で判断する力を身につけてほしい」と語った。
08 Apr 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は4月3日の定例記者会見で、自身が参加した原子力小委員会(経済産業省)や原子力科学技術委員会(文部科学省)での発言内容や、協会の取組みについて説明した。増井理事長は冒頭、3月31日の第48回原子力小委員会において専門委員の立場から、①原子力人材育成の司令塔機能、②革新炉建て替えに関する手続きの明確化、③高レベル放射性廃棄物の処分の3点について意見を述べたことに言及した。人材育成の司令塔機能の創出について増井理事長は、原子力人材育成ネットワークに司令塔機能を担わせる方向で検討が進んでいることを紹介し、自身もこれに賛同していると強調。人材育成分野が政策の柱として位置付けられたことについて「極めて適切な見直し」と評価した。次に、次世代革新炉の建て替えに関する手続きについて、増井理事長は原子炉設置変更許可申請以前のプロセスに不明確な点が残っていると指摘。公開ヒアリングの要否や運用の整理に加え、福島第一原子力発電所事故以前に手続きが進んでいた案件の取り扱いについて合理的な制度の整備を求めた。また、高レベル放射性廃棄物処分については、国が東京都小笠原村に文献調査を申し入れたことについて、「国が主体的に関与した画期的な動き」と高く評価した。続いて増井理事長は、3月30日に開催された文部科学省の原子力科学技術委員会での自身の発言を取り上げ、原子力損害賠償制度の見直しについて改めて言及。現行の無過失無限責任の制度では、投資判断の障害となるとした上で、過去の議論にとらわれず、十分な時間をかけて事前検討を進める必要性を強調した。また、東京都内で3月に開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラムを契機に、日本原子力産業協会が米国の原子力エネルギー協会(NEI)と協力覚書(MOU)締結したことを報告。NEIとともに、インド太平洋地域における原子力開発支援を筆頭に、今後の連携強化を図ると述べた。昨今の中東情勢の緊迫化を受けて、原子力発電が持つ意義について問われた増井理事長は、「電力会社のウラン調達先は多様であること」「国内に一定量の燃料備蓄が存在すること」を挙げ、「原子力はエネルギー安全保障の観点から一定の耐性を有する電源」との認識を示した。さらに、イラン国内の原子力施設への攻撃リスクについては、「国際条約上許されない行為であり、強く懸念している」とした上で、国際法の遵守が揺らぎつつある現状への危機感を露わにした。このほか、日本原燃の再処理工場の竣工目途や、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた動き、フランスとの高速炉分野での協力について、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の進捗など、多岐にわたる質疑があり、それぞれ見解を示した。
07 Apr 2026
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九州電力は3月26日、純粋持株会社体制へ移行する方針を正式に決定したと発表した。グループを統括する親会社「キューデンホールディングス株式会社」を2026年10月1日に設立する。2026年6月に開催予定の定時株主総会での承認を前提に、段階的に体制移行を進めるという。キューデンホールディングスの社長には、九州電力の現代表取締役社長執行役員の西山勝氏が就任し、事業子会社へと移行する九州電力の取締役社長には中村典弘氏が就任する。大手電力9社のうち、純粋持株会社体制へと移行するのは九州電力が初。同日、記者会見には西山氏・中村氏の両社長が登壇。西山社長はキューデンホールディングスと名付けた理由について、「各所でお客様から『キューデンさん』と呼んでいただくことが多く、この名称自体が当社グループのブランドを象徴している」と説明。その上で、「今後は九州の電力事業にとどまらず、成長分野を含めた新たな事業にも挑戦し、九州の電力会社という枠にとらわれない姿勢を、この名称に込めた」と述べた。また、2027年4月にグループ再編を行うことも併せて発表し、九州電力送配電、九電みらいエナジー(再エネ)、QTnet(情報・通信事業)、キューデン・インターナショナル(海外事業)、九電都市開発(新設)の主要6社を中核とする体制を構築するという。新体制への移行は、「全体最適視点でのグループ経営」と「各事業の自律的かつ迅速な運営」の両立を狙いとしたもので、キューデンホールディングスの主な事業内容は、グループ全体の経営戦略策定や経営管理となる。事業子会社へと移行する九州電力は、原子力発電事業を含む国内の電気事業にフォーカスする。キューデンホールディングスの役割について問われた西山氏は、「グループ全体の成長を見据え、どのようにマネジメントしていくかが重要になる」とコメント。その上で、「経営管理にはアクセルとブレーキの双方が不可欠であり、どの分野を伸ばし、どこを抑えるかといったバランスを適切に取っていく必要がある」との考えを示した。なお、東京電力や中部電力も持株会社体制を取っているが、原子力事業はホールディングスが自ら担っている。一方で、キューデンホールディングスは同2社とは異なり、新体制へと移行後も、原子力事業を九州電力(子会社)が担う。このような事例も大手電力9社で初となる。原子力発電所を持つ主体が持株会社(キューデンホールディングス)ではなく子会社(九州電力)となることや、それに伴う責任のあり方について問われた西山社長は、「国内の電気事業を担う九州電力(子会社)が多様な電源を保有し、安定的に電力を供給するのが基本的な姿で、電源ごとに分ける必要はないと考える」との認識を示した。その上で原子力の安全性については、「事業者である九州電力が安全確保の責任を負うことは大前提」と強調。一方で、「キューデンホールディングスが別の視点から原子力の運転状況を監視・監督することで、チェック機能が強化される。監督する目が増えることはむしろ良いことだろう」と述べた。また、西山社長は、新たに九州電力の社外取締役にも就任する予定で、ガバナンスの実効性を確保していく方針を説明した。また、西山社長は、「今回の体制移行を通じて各事業に責任と権限を委ねることで、事業ごとの成長を促し、グループ全体としてキャッシュフローの積み上げを図ることができる」と説明。その上で、「各事業が成長すれば利益も積み上がり、その結果として原子力事業に投入できるリソースも拡大していくだろう」と述べ、新体制への移行は原子力発電事業を含めたグループ全体の持続的成長に繋がると強調した。
06 Apr 2026
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