海外NEWS
03 Feb 2023
219
モホフチェ3号機が送電開始 スロバキア
国内NEWS
03 Feb 2023
201
日・ミクロネシア会談 パニュエロ大統領が福島第一ALPS処理水に係る取組に理解
海外NEWS
02 Feb 2023
371
加アルバータ州 X-エナジー社製SMR導入に向け覚書締結
海外NEWS
01 Feb 2023
495
韓国電力 トルコにAPR1400の建設を提案
国内NEWS
01 Feb 2023
721
新潟県 福島第一原子力発電所事故に係る「3つの検証」完了へ
海外NEWS
31 Jan 2023
574
北米初のSMR建設に向け、加OPG社が関係企業と協力協定
国内NEWS
31 Jan 2023
737
高市内閣府大臣 次世代革新炉開発に向け人材育成の重要性を強調
海外NEWS
30 Jan 2023
476
カザフスタン 大型炉建設に向けフランスと協議継続
スロバキアで5基目の原子力発電所となるモホフチェ3号機(PWR、47.1万kW)が1月31日、定格出力の20%で国内送電網に初めて接続し、発送電を開始した。同機はスロバキアで約20年ぶりとなる新規炉で、スロバキア政府が34%出資する電力最大手のスロバキア電力(SE)が所有/運転している。2022年8月に規制当局から運転認可を取得した後、9月に燃料を装荷。同年10月に初臨界を達成し、その後は出力5~20%の様々なレベルで、タービン復水器や低圧熱交換器、給水系、蒸気発生器などの試験を行っていた。今後は出力35%~100%で第2段階の試験を実施し、設計通りのパラメーターを実証。最後はフル出力で144時間の連続運転を行った後に、営業運転へ移行する。同国では、モホフチェとボフニチェ2つの原子力発電所で出力50万kWのロシア型PWR(VVER)が2基ずつ稼働中。これら4基で総発電量の50%以上を賄っており、原子力は同国の基幹電源に位置付けられている。モホフチェ3号機の建設工事は、同型の4号機とともに1987年1月に開始されたが、格納容器がない第2世代のVVER設計であるため、安全性の改良とそれにともなう資金調達問題等で1992年から2008年まで建設工事が中断した。両炉の主要機器は最終的に、原子炉系とタービン系ともにチェコのスコダ社が供給する一方、計装制御(I&C)系は仏アレバ社と独シーメンス社、原子炉系の電気機器・システムはスロバキアのPPA社、その他の機器はロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社や英国のロールス・ロイス社が供給する。SE社によると3号機の送電開始は、同社がスロバキア政府に約束した「1,000kWhあたり61.2077ユーロ(約8,540円)」という低価格の発電を実現する上で有効。これは、欧州連合(EU)域内の一般家庭向け価格としては非常に安いレベルであり、新しい原子炉はスロバキアのエネルギー安定供給に貢献するとともに、CO2の排出量も大幅に削減して実質ゼロ化への道を拓くと強調した。同炉はまた、スロバキアにおける総電力消費量の約13%を賄うことから、同国では今年からエネルギーの自給が可能になる。3、4号機がともに完成した場合、SE社は年間で少なくとも500万トンのCO2排出を抑えることが出来ると予想。これら2基はそれぞれ、少なくとも60年間の稼働が見込まれている。このほか、同国の市場調査機関であるACRCが、SE社およびスロバキア外交政策協会(SFPA)からの委託で2022年6月から7月にかけて実施した世論調査によると、スロバキアでは10人中7人までが原子力を支持すると回答。最大60%の国民が、「原子力は安全な発電技術」と考えていることが明らかになっている。(参照資料:スロバキア電力の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
03 Feb 2023
219
カナダ・アルバータ州の外国投資誘致機関であるインベスト・アルバータ社(IAC)は1月30日、米X-エナジー社が開発した小型ペブルベッド型高温ガス炉「Xe-100」の州内建設を通じて、同州経済を活性化する可能性を探るため、同社のカナダ法人と了解覚書を締結した。具体的には、「Xe-100」のサプライチェーンの構築や、建設プロジェクトへの資本参加に関心を持つ地元コミュニティとの関係強化等に両社が共同で取り組む。IACはまた、X-エナジー社による現地事務所設置を支援する方針である。第4世代の原子炉設計である「Xe-100」は需要に応じて出力を変動させることが可能で、1基あたりの熱出力は最大20万kW、電気出力は8万kWである。565℃の高温蒸気を効率的に生産するなど、柔軟性の高いコジェネレーション(熱電併給)オプションにもなることから、オイルサンド開発や石油化学工業などの重工業を同炉のクリーンエネルギーで直接支えることが出来る。同社はまた、「Xe-100」を4基備えたプラントをアルバータ州で建設した場合、カナダでは同州を中心に最大3,800名分の雇用が生まれると予測。これには、建設地の地元請負企業やサービス企業、関係サプライチェーンでの雇用も含まれるとしている。X-エナジー・カナダ社のK.M.コール社長は「アルバータ州のエネルギー産業はカナダ全体の経済的繁栄にとって不可欠であり、当社はSMRを通じてCO2の排出量を抑え、州内のエネルギー産業や化学工業、鉱業などを支えていく」と表明。「Xe-100」の州内建設が成功すれば、アルバータ州にとってはビジネス・チャンスとなるため、州経済の多様化や健全化も持続的に進展するとしている。アルバータ州は2021年4月、カナダ国内のオンタリオ州とニューブランズウィック州およびサスカチュワン州の3州が2019年12月に締結した「多目的SMR開発・建設のための協力覚書」に参加。2022年3月には、これら4州でSMRの開発と建設に向けた共同戦略計画を策定している。アルバータ州ではまた、テレストリアル・エナジー社が開発した小型モジュール式・一体型溶融塩炉(IMSR)の建設を念頭に、IACが2022年8月に同社と覚書を交わしている。X-エナジー社の「Xe-100」については、オンタリオ州も同州を中心とするカナダ国内の産業サイトで幅広く利用する可能性を探る方針。州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は2022年7月、協力のための枠組み協定をX-エナジー社と締結している。(参照資料:X-エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
02 Feb 2023
371
韓国電力公社(KEPCO)によると、チョン・スンイル(鄭升一)社長兼CEOが1月30日、トルコでエネルギー・天然資源省のF.ドンメズ大臣と会談し、同国の2つ目の原子力発電所として韓国製第3世代PWRの「改良型加圧水型炉(APR1400)」(140万kW)を建設する予備提案書を提出した。発表文の中でKEPCOは建設サイトや基数に触れていないが、現地の報道では「トルコ北部のサイトで4基建設する」ことを提案したと伝えられている。この提案書に基づき、今後は両者が本格的な協議を開始し、プロジェクトの実行可能性を共同で調査する。最適な事業推進プランも作成する方針で、採用技術や資金調達方法などの点で合意した場合、実施に向けた覚書を締結すると見られている。KEPCOの説明によると、予備提案書の提出は昨年12月にトルコ側から協議の最初の段階として要請されたもの。KEPCO社長とトルコ・エネ相の会談では、韓国がトルコの原子力発電プロジェクトに参加する件について協議し、建設プロジェクトを進めるための手続きやリスクなど、主要項目についても話し合われた。予備提案書の中でKEPCOは、原子力発電所建設に関する優れた能力を韓国が有していると紹介したほか、建設プロジェクトの事業構造や建設期間、技術移転等について説明している。チョン社長はまた、トルコ訪問に先立つ1月16日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されたバラカ原子力発電所(APR1400×4基)関係のイベントに参加した。これにともない、「韓国製のAPR1400はUAEも含めた国内外で10基が安定的に建設・運転されており、技術力と安全性は十分に証明されている」と指摘。近年、西側諸国で建設されている最新設計の原子力発電所のうち、所定の予算内でスケジュール通りに建設を進め、顧客の信頼を得ているのはKEPCOだけだと強調している。トルコでは現在、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が地中海沿岸のアックユで、2018年4月から120万kWのロシア型PWR(VVER-1200)を4基建設中。黒海沿岸のシノップでも、日仏の合弁企業が一時期、110万kWのPWRを4基建設する計画を進めていたほか、2012年には北西部のイーネアダで3つ目の原子力発電所を建設する計画が浮上。中国の国家核電技術公司(SNPTC)がウェスチングハウス社との協力により、AP1000技術に基づく原子炉4基を建設する方向で、2016年にトルコ側と議定書を締結している。一方の韓国では、2022年5月に発足したユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が前政権の脱原子力政策を撤回。2036年までに原子力発電シェアを約35%まで増加させるエネルギー政策を公表したほか、原子力輸出については2030年までに10基の輸出を実現すると表明している。(参照資料:KEPCOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
01 Feb 2023
495
カナダ・オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は1月27日、ダーリントン原子力発電所内で計画している小型モジュール炉(SMR)の建設に向けて、関係企業3社と6年契約でチームを組む協力協定を締結した。この計画でOPG社は、北米初のSMRとして米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のSMR「BWRX-300」(30万kW)を、2028年第4四半期までに完成させる方針。今回の協力協定は、GEH社のほか同国でカナダ型加圧重水炉(CANDU)事業を手掛けるSNC-ラバリン社、および建設大手エーコン(Aecon)グループと結ばれており、送電網への接続が可能な北米のSMR建設では初の商業契約となる。同協定では、各社がそれぞれの分野で数十年にわたり蓄積してきた専門的知見とサービス経験を共有。OPG社はライセンス保持者として、SMRの運転員養成や先住民らコミュニティ対応など、プロジェクト全体の運営・監督責任を担う。GEH社は「BWRX-300」の開発企業として、その設計や主要機器の調達等に責任を持つ。また、SNC-ラバリン社はアーキテクト・エンジニアとして、設計・エンジニアリングや資機材調達など工程管理を担当。エーコン社は建設工事の請負企業として、建設計画の立案と工事関係実務サービスを実施する。ダーリントンでのSMR建設は、カナダでその他の州(サスカチュワン州とニューブランズウィック州、およびアルバータ州)が計画している同様のプロジェクトの先陣を切ることになる。ダーリントンは現時点で、カナダ原子力安全委員会(CNSC)から新たな原子炉建設を許されたカナダで唯一のサイトであり、OPG社は2022年10 月末に「BWRX-300」の建設許可申請書をCNSCに提出済み。その翌月からは、CNSCの「サイト準備許可(SPL)」に基づき、準備作業を始めている。 同社はこのほか、2016年に10年計画で開始したダーリントン発電所の4基(各CANDU炉、93.4万kW)の改修工事で、SNC-ラバリン社およびエーコン社とはすでに協力関係にあり、これまでに半分以上の作業がスケジュール通りに予算の範囲内で進展している点を強調した。今回の協力協定について、OPG社のK.ハートウィック社長兼CEOは「大規模プロジェクトに関する各社の経験を活用すれば、州民に信頼性の高い電力を提供できる」と指摘。SMRの建設を通じて、オンタリオ州では新たな雇用が創出されるとともに、様々な分野の電化や州経済の成長に必要なエネルギーを供給できると述べた。GEH社で先進型原子力部門を担当するS.セクストーン副社長は、「カナダのみならず世界中で当社のSMRを建設していく重要な節目になった」と表明。「BWRX-300」は、カナダ・サスカチュワン州のサスク・パワー社も2022年6月、州内で2030年代半ばまでに建設するSMRとして選定している。GEH社によると「BWRX-300」は米国でも関心が高く、テネシー峡谷開発公社(TVA)が2022年8月、テネシー州のクリンチリバー・サイトで同炉を建設する可能性に基づき、予備的な許認可手続きを開始した。また、ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー社が同国で2020年代末までに「BWRX-300」を建設することを念頭に、パートナー企業と同様の手続きを開始している。(参照資料:OPG社、GEH社、SNC-ラバリン社、エーコン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
31 Jan 2023
574
原子力発電の導入を計画しているカザフスタンで1月26日、B.アクチュラコフ・エネルギー大臣とフランス電力(EDF)のV.ラマニー上級副社長が会談。二国間協力協定の締結に向け協議を継続することで合意した。カザフスタン政府の発表によると、EDF側はフラマトム社が開発した欧州加圧水型炉(EPR)の出力縮小版「EPR1200」(120万kW)を、カザフ国内で建設することを提案している。カザフでは、旧ソ連時代にアクタウ市で建設されたソ連製の高速増殖炉「BN-350」(15万kW)で熱電併給と海水の脱塩が行われていたが、1999年4月に同炉が運転を停止して以降、原子力発電設備は存在しない。一方、生産量で世界第1位という豊富なウラン資源を背景に、同国は原子力産業の開発を進めていく方針。2014年に新設されたエネルギー省が中心となって、大型炉や小型モジュール炉(SMR)の建設機会を模索している。大型炉については、ロシアの国営原子力企業ロスアトム社の協力により建設する計画が何度か浮上したが、現在の候補企業としては、同社のほかにEDF、中国核工業集団公司(CNNC)、韓国水力・原子力会社(KHNP)の4社が上がっている。カザフ政府の発表によると、カザフ側は、国営原子力企業のカザトムプロム社が中国企業と合弁で運営している「ウルバTVS社」が、フラマトム社からの技術移転により製造した燃料集合体を2022年12月に初めて中国に納入した事実に言及。「フランスでは原子燃料製造の全工程が確立されている」と強調した。2022年7月には、カザフのエネルギー省やカザトムプロム社等の専門家で構成される代表団が、フランスにおける原子力発電所の建設や運転経験等を共有するため同国を訪問している。フランス財務省やエネルギー移行省が開催した会合、およびEDFとの交渉では、原子力発電所の建設プロジェクトに政府の資金や保証、民間投資を呼び込むための資金調達モデルについて調査。同調査団はまた、EPRが3号機(165万kW)として建設されているフラマンビル原子力発電所(1、2号機、各PWR、138.2万kW)を視察した。EPRとしては、2005年と2007年にフィンランドとフランスでそれぞれ、オルキルオト3号機(172万kW)とフラマンビル3号機が本格着工したが、初号機建設ならではの様々な課題から今なお建設中。しかし、これらより後に中国で着工した台山1、2号機(各175万kW)は、これらからの教訓を生かしてそれぞれ2018年12月と2019年9月に営業運転を開始した。また英国では、同じくEPRのヒンクリーポイントC原子力発電所1、2号機(各172万kW)が、それぞれ2018年12月と2019年12月から建設中である。(参照資料:カザフスタン・エネルギー省(カザフ語)の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
30 Jan 2023
476
米国防総省(DOD)の国防高等計画推進局(DARPA)は1月24日、米航空宇宙局(NASA)が計画している火星の有人探査用の先進的核熱推進ロケット(NTR)エンジンを共同で実証・開発するため、両者が協力協定を結んだと発表した。具体的には、DARPAの「迅速な月地球間活動のための実証ロケット(DRACO)プログラム」にNASAの宇宙技術ミッション本部(STMD)が協力し、NTRエンジンをDARPAの実験用宇宙船に組み込むための技術開発を推進。長期の宇宙飛行ミッション実現に向けてNTRエンジン搭載宇宙船の実証試験を、早ければ2027会計年度にも地球周回軌道上で実施する計画だ。両者の発表によると、大気圏外の深宇宙を宇宙飛行士が高速で移動することは、火星の有人探査実現のカギとなる技術であり、宇宙飛行士の負うリスクも軽減される。長期のミッションでは頑丈なシステムと多くの補給品が必要となるため、NTRエンジンのように一層迅速かつ効率的な輸送・移動技術の開発はNASAが月や火星で進める探査計画に有効である。また、NTRエンジンでは通信等に使用する高出力電力のほか高温熱も生産可能であるため、この熱で液体水素をガスに変えて推進力とすることができる。これにより、NTRエンジンの効率はこれまでの化学ロケット・エンジンとの比較で2~5倍に上昇、推力重量比は電気推進エンジンとの比較で約1万倍に上昇すると両者は予測している。このような開発の加速を目的とした今回の協力協定で、両者は双方が利益を得られるようそれぞれの役割や責任を分担。NASAが関係技術の開発を主導する一方、DARPAはNTR用原子炉関係の契約を受け持つほか、NTRエンジン・システムの宇宙船への統合や資機材の調達、スケジュールの設定など、プログラム全体を管理することになる。DARPAによると、米国でNTRの実験が最後に行われたのは50年以上前のことである。このような過去の開発で得られた教訓を元に、DARPAはDRACOプログラムで高濃縮ウランの代わりにHALEU燃料((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))を使用する予定。これにより、輸送上の課題を減らすことができると指摘している。DARPAのS.トンプキンズ長官は、「近代的な商取引や科学的発見、国家安全保障の点からも宇宙空間は非常に重要な領域だ」と説明。DRACOプログラムを通じて宇宙技術開発で大きな躍進を遂げることは、月面に多くの物資を効率的に輸送し人類を短時間で火星に送り届けるためにも、必要不可欠だと強調した。NASA・STMDのJ.ルーター本部長は、「航空宇宙材料の開発やエンジニアリングは近年目覚ましく進歩しており、原子力技術の宇宙利用に新たな時代が到来、実証試験を通じて月や火星への輸送能力は大幅に拡大される」と指摘した。(参照資料:NASA、DARPAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
27 Jan 2023
652
米ネブラスカ州の電力公社(NPPD)はこのほど、先進的な小型モジュール炉(SMR)の建設が同州内で決まった場合に備え、候補地の実行可能性調査(FS)を開始すると発表した。その結果から直ちに建設工事を始めるわけではないが、既存の商業炉と比べて安全かつ出力の増減が容易なSMRの建設候補地を、2024年の春ごろまでに4地点まで絞り込みたいとしている。米国ではJ.バイデン大統領が就任直後の2021年3月、コロナ禍の経済不況からの復興を目指す広範な経済対策として、各州政府や個別の機関・団体に総額1.9兆ドルの助成金を交付するという「米国救済計画法(ARPA)」に署名した。ARPAでネブラスカ州に割り当てられた助成金の中から、州政府は2022年4月に成立した州法(LB 1014)に基づき、100万ドルを今回のFSプログラムに充当すると決定。州内全域で先進的原子炉の立地点を新たに模索するオプションと、既存の発電施設で先進的原子炉の受け入れが可能なものについてFSを行うとした。州政府また、電力部門のCO2排出量を2005年比で30%削減するため、B.オバマ政権下の環境保護庁(EPA)が導入した「クリーン・パワー・プラン(CPP)」の目標を達成するには、新たな原子力発電設備の建設が有効だと指摘。これに向けて、適切な計画の策定コストも調査するとしている。助成金の実際の申請は、同州唯一の原子力発電所であるクーパー発電所(BWR、83.5万kW)の所有者であるNPPDが実施。同社の申請書はすでに今月6日、州政府の経済開発省が承認済みである。同FSの第一段階で、NPPDは地理的データや予備的な許認可基準に基づき、SMRの立地に最適の地点15か所を特定する。許認可基準の中でも、冷却水と送電網へのアクセスを重点的に考慮する方針で、この作業は今年の春までに完了させる。その後の第二段階では一層詳細な評価を行う予定で、原子力規制委員会(NRC)が審査の際に使用している環境面や建設関係の基準により、候補地点を4か所まで絞り込む。この段階の作業を完了するには、約1年を要するとNPPDは予想している。(参照資料:ネブラスカ電力公社、ネブラスカ州政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
25 Jan 2023
654
ポーランドのリスペクト・エナジー(Respect Energy)社とフランス電力(EDF)はこのほど、EDFが中心となって開発しているフランス製小型モジュール炉(SMR)「NUWARD」のポーランド国内での共同建設に向け、両社が協力協定を締結したと発表した。リスペクト・エナジー社は再生可能エネルギー専門の取引企業で、欧州の顧客にクリーン・エネルギーのみを販売している。今回、事業を原子力分野に拡大する第一歩として「NUWARD」を選択したもので、今後はEDFと協力して建設サイトの選定評価作業を実施するほか、同プロジェクトへの資金調達方法や事業計画の詳細等を策定する。一方のEDFは2021年10月、原子力発電の導入計画を進めるポーランド政府に対し、2043年までに同国の2~3サイトで、4~6基(出力合計660万~990万kW)の欧州加圧水型炉(EPR)を建設すると提案。今回のSMR建設計画はこの提案を補完する役割を担うと説明しており、これらの原子炉を通じてポーランド経済の脱炭素化やエネルギー供給保証の強化を支援していく考えだ。リスペクト・エナジー社のS.ヤブロンスキ会長は、「SMRの建設でポーランドのクリーン・エネルギーへの移行に貢献し、安全でCO2を排出しない電力の需要に応えていきたい」と表明。EDFと独占的な協力協定を結んだことで、同社は欧州初のSMRをポーランドで建設するという意欲的なプロジェクトを進められるほか、同社が保有する無炭素発電設備の拡大にもつながると指摘している。EDFで国外の原子力プロジェクトを担当するV.ラマニー上級副社長は、「当社が提供可能な大小2種類の原子炉でポーランドがエネルギーの輸入から脱却し、持続可能で低炭素な電力を生産できるよう貢献したい」との抱負を述べた。「NUWARD」はフランスで50年以上の経験が蓄積されたPWR技術に基づき、EDFがフランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)や小型炉専門開発企業のテクニカトム(TechnicAtome)社などと協力して開発中。出力17万kWの小型PWR×2基で構成される「NUWARD」プラントの合計出力は34万kWで、NUWARD企業連合にはフラマトム社も加わっている。2022年5月には、ベルギーの大手エンジニアリング・コンサルティング企業であるトラクテベル社が、同炉の概念設計の確認調査を請け負っており、EDFは今年から基本設計に入る予定。2030年にも実証炉の建設を開始するなど、競争力を備えたSMRとして世界市場に送り出す方針である。ポーランドでは現時点で様々なSMRの建設が計画されており、化学素材メーカーのシントス社は2021年12月、石油精製企業のPKNオーレン社と合弁事業体を設立して、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製SMR「BWRX-300」の建設に重点的に取り組む考えを表明。同国国営のKGHMポーランド採掘会社は2022年2月、米ニュースケール・パワー社のSMRを複数備えた「VOYGR」発電設備を2029年までに国内で建設するため、先行作業契約を締結した。また、ポーランド政府所有の電力会社であるエネア(Enea)グループは2022年6月、米国のSMR開発企業であるラスト・エナジー社のSMR導入を目指し、同社と基本合意書を締結している。(参照資料:リスペクト・エナジー社(ポーランド語)、EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
24 Jan 2023
665
米原子力規制委員会(NRC)は1月19日、ニュースケール・パワー社製の小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」(電気出力5万kW版)に対し、SMRとしては初の設計認証(DC)を発給した。米国での利用を許可するため、NRCがこれまでにDCを発給した炉型はウェスチングハウス(WH)社製AP1000などの大型炉も含めると7つ目。米エネルギー省(DOE)は2014年以降、ニュースケール社製も含め、様々なSMRの設計や許認可手続き、立地等に6億ドル以上の支援を実施してきたが、K.ハフ原子力担当次官補は、「SMRはもはや抽象的な概念ではなく、建設準備ができた現実のものになった」と指摘。「最も優れた技術革新の結果であり、我々はここ米国でその活用を開始する」と宣言した。ニュースケール社は2016年12月に「NPM」のDC審査をNRCに申請しており、NRCスタッフは2020年8月に同設計の技術審査を終えて最終安全評価報告書(FSER)を発行。翌9月には、同スタッフが当該設計について「技術的に受け入れ可能」と判断したことを意味する「標準設計承認(SDA)」を発給している。NRCはその後、DC審査の最終段階として、電気事業者が当該設計の建設・運転一括認可(COL)を申請する際、米国内で建設可能な標準設計の一つに適用する規制手続き「最終規則」の策定作業を進めていた。NRCの委員5名も2022年7月末にNRC全体の決定として、「NPM」が米国での使用を承認された初のSMRと票決していた。今回はこの最終規則の策定が完了し連邦官報に公表されたもので、同規則が発効する2月21日から「NPM」のDCも有効である。DCはその後15年間効力を持ち、さらに10年~15年間延長することも可能。今回のDC発給により、「NPM」のCOL申請審査ではDC規則で解決済みの課題に取り組む必要がなくなる。発電所の建設サイトに特有の安全性や環境影響について、残る課題のみに対処することになる。「NPM」の初号機については、ユタ州公営共同事業体(UAMPS)が単基の電気出力7.7万kW版の「NPM」を6基備えた設備「VOYGR-6」(出力46.2万kW)を、DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)内で建設する計画を進めており、最初のモジュールは2029年の運転開始を目指している。このため、ニュースケール社は今月1日、7.7万kW版の「NPM」についても、NRCにSDAの取得を申請した。UAMPSもINL内での用地調査を終え、2024年の第1四半期を目途に「VOYGR-6」のCOLを申請する予定である。米国内ではこのほか、ワシントン州グラント郡の公営電気事業者「グラントPUD」が2021年5月、ニュースケール社製SMRの性能を評価するため、同社と協力覚書を交わした。また、ウィスコンシン州のデーリィランド電力協同組合も2022年2月、同SMRを事業域内で建設する可能性を探るとして、了解覚書を締結している。国外では、カナダやチェコ、ウクライナ、カザフスタン、ルーマニア、ブルガリアなどの企業が国内でのNPM建設を検討中で、それぞれが実行可能性調査等の実施でニュースケール社と了解覚書を締結済み。ポーランドでは、国営のKGHMポーランド銅採掘会社が「VOYGR」設備をポーランド国内で建設するため、2022年2月にニュースケール社と先行作業契約を締結している。(参照資料:DOEの発表資料、連邦官報、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
23 Jan 2023
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ブルガリアのエネルギー省は1月17日、今年から2050年までをカバーする新しいエネルギー戦略を発表し、同国唯一の原子力発電所であるコズロドイ発電所(100万kWのロシア型PWR=VVER-1000の5、6号機のみ稼働中)と計画中のベレネ発電所で、原子炉を2基ずつ建設する方針を明確に示した。ブルガリアの国民議会(一院制)ではこれに先立つ12日、コズロドイ発電所で原子炉を新設する計画について票決が行われ、同発電所にウェスチングハウス(WH)社製のAP1000を導入するため、米国政府と政府間協力協定(IGA)の締結交渉を開始する方針案が112対45、棄権39で可決された。この方針に基づき、関係閣僚らは7号機の建設承認手続きと8号機の環境影響声明書作成の迅速化に必要な措置をすべて、3月1日までに講じることになった。同省のR.フリストフ大臣によると、ブルガリアのエネルギー部門は昨年、120億kWh以上の電力を近隣諸国に輸出して約30億ユーロ(約4,200億円)の利益を得るなど、同国経済全体に大きく貢献。このため、今後も同国が欧州の発電および電力輸出分野で主導的地位を維持するとともに、国家の安全保障やエネルギー供給を保証し、国内のエネルギー源を継続して活用していくことは同戦略における優先事項となる。このことはまた、欧州連合(EU)が目指す「2050年までにカーボンニュートラルを達成」への貢献とエネルギーの安定供給は同戦略の主要事項だと説明している。同相は具体的に、主力電源である褐炭火力を2030年まで継続的に使用するが、それ以降は使用量を徐々に減らしていき2038年で使用を停止すると表明。EUの脱炭素化目標達成を阻まぬよう、あらゆる方策を通じてCO2の排出量を削減していくとした。原子力を中心とする電源の新設もその一環であり、コズロドイ5、6号機が閉鎖された後の代替電源となる7、8号機を新たに建設するほか、2012年に一旦頓挫したベレネ原子力発電所計画を復活させ、新規に2基を建設するとした。同相は、ブルガリアには原子力関係のインフラ設備のほかに、経験豊富な人材や認可済みのサイトなど、原子力開発に必要な条件はすべて整っていると強調している。同国では現在、コズロドイ発電所の2基で総発電量の約35%を賄っている。ロシアとの協力により、1980年代からベレネ原子力発電所(VVER-1000×2基、各100万kW)の建設計画を進めていたが、2012年当時のブルガリア政府はコスト高を理由に同計画を中止した。その代わりとして、WH社製AP1000を採用した7号機の建設案を一時的に検討したが、資金不足のため進展せず、この件に関する関係者の合意は期限切れとなっていた。その後2019年3月、ブルガリア電力公社(NEK)はベレネ計画を再開するため、戦略的投資家やプロジェクト企業への出資企業を国内外から募集すると発表。同年12月にはエネルギー省が戦略的投資家の候補企業として、米GE社を含む外国企業5社に絞り込んでいる。同国政府はまた、2019年11月に米国政府と原子力を含む様々なエネルギー分野の協力を拡大することで合意しており、翌2020年10月には米国政府と民生用原子力発電分野における戦略的協力を加速するため、了解覚書を締結。コズロドイ7号機の建設については、閣僚会議が2021年1月、改めて検討する方針を承認していた。(参照資料:ブルガリア政府(ブルガリア語)、ブルガリア議会の発表資料、原子力産業新聞・海外ニュース、およびWNAの1月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
20 Jan 2023
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フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は1月17日、高レベル廃棄物(HLW)と長寿命の中レベル廃棄物(ILW-LL)を深地層処分する施設「Cigéo」の設置許可(DAC)申請書を、関係省庁に提出したと発表した。Cigéoは、同国東部のムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地区を含めた30km2の圏内に建設される予定。地下500mの深地層に合計8万3千m3の中・高レベル廃棄物を120年にわたり処分することになっており、総工費は約250億ユーロ(約3兆4,500億円)と見積もられている。この申請はフランス政府が2022年7月、Cigéo建設プロジェクトの公益性を認める宣言(DUP)を発出したのを受けて行われた。今後は原子力安全規制当局(ASN)が申請書を審査するほか、パブコメを募集。国民の安全と環境を防護する必須要素を備えた原子力基本施設(BNI)として、同施設を認定する政令(デクレ)が出されれば、これに基づきDACも発給される。今回のDAC申請でANDRAは、地層処分の可逆性と安全性の立証を目的とした「パイロット操業フェーズ」における地下設備のごく一部と、すべての地上設備の建設を申請。認められた場合は、放射性廃棄物を封入した最初のパッケージを受け入れるなど、限られた範囲での操業が許される。建設工事の開始は2027年頃を予定しているが、これに続くフェーズへの移行については議会審議を通じて決定される。「パイロット操業フェーズ」の報告書やASNの承認、および技術開発の進展状況等に基づいて、議会は全面的なCigéo設備の建設と操業フェーズへの移行の是非を判断することになる。フランスでは1991年の放射性廃棄物管理研究法に基づき、使用済み燃料の再処理で発生するHLWとILW-LLの最善の管理方策を約15年にわたり研究調査した。その結果、再利用可能な資源であるこれらの廃棄物の処分は、可逆性のある地層処分を基本とすることを2006 年の放射性廃棄物等管理計画法で規定。その実施にあたっては地下研究所の設置が義務付けられていたことから、政府は1998年に約30件の関心表明の中から、ムーズ県とオートマルヌ県の県境に位置するビュール地区を地下研究所の建設候補地に選定した。同地区では地下500mの位置に粘土層の地層が広がっており、2000年に始まった同研究所の建設工事と並行して、廃棄物の貯蔵に向けた研究も行われている。ANDRAは2005年、地下研究所の周辺250km2の範囲内に安全な深地層処分場の建設が可能という報告書を政府に提出しており、2009年末には、深地層処分場の設備を設置する可能性がある区域を特定して提案した。この件については、国家討論会委員会が公開討論を開催しており、政府は2010年に処分場地下設備の展開に向けた詳細調査の実施を了承していた(参照資料:ANDRAの発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
19 Jan 2023
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フランス議会の上院は1月17日、新規原子力発電所の建設手続きを迅速化する法案について、付属の経済問題委員会が11日に細かい文言の修正等を終えたことから、第一読会を開始すると発表した。同法案は、既存の原子力発電所サイト近隣における新規の原子炉建設と既存炉の運転継続にともなう行政手続きの加速を目的としたもの。24日にも上院全体の票決を行うとしており、その後は下院の国民議会が審議することになる。フランスではE.マクロン大統領が2022年2月初旬、CO2排出量を2050年までに実質ゼロ化するという同国の目標達成に向け、国内で改良型の欧州加圧水型炉(EPR2)を新たに6基建設するほか、さらに8基の建設に向けて調査を開始することを提案した。エネルギー移行省は複数の国民評議会と協議して、この方針に沿った法案を作成。2022年11月には閣僚会議が同法案を承認しており、大統領府はその際、法案のねらいは気候変動への対処に加えて、2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵攻により、エネルギーの供給保証が危機に瀕していることへの緊急対応だと説明していた。閣僚会議での承認を受けて、同省のA.パニエ=リュナシェ大臣は同じ日に同法案を議会上院に提出。上院ではその後、複数の付属委員会が同法案の文言に関する担当官の提案書や委員長の見解等について審議を実施しており、11日にはA.パニエ=リュナシェ大臣との擦り合わせも完了した。同法案が目指しているのは、国家のエネルギー計画の中心部分となる「民生用原子力発電の再活性化」に向けて、ウランの調達から廃棄物の管理に至るまで、法制面や財政面、組織面の必要条件を整えること。その具体策となるのが原子炉建設の承認手続きの簡素化であり、障害となるものの排除である。同法案を通じて、7月1日までに今後5年間をカバーするエネルギー関係の法規を作成し、脱炭素化の目標を設定。5年の間に大統領が表明した14基のEPR2の必要性について、公共財政や電力市場、事業者となるフランス電力(EDF)グループの状況といった側面で評価を行うほか、専門的スキルや安全・セキュリティという課題についても評価を行えるようにする。上院・経済問題委員会における法案審議では、再活性化の障害となる現在の目標「2035年までに原子力発電シェアを50%に削減するため、原子力設備を現状の6,320万kWに制限し、(2020年に閉鎖したフェッセンハイム原子力発電所の2基に加えて)12基を閉鎖する」を撤廃。新たな原子力戦略として、小型モジュール炉(SMR)やグリーン水素の製造装置など、様々な技術を取り入れるとした。また、洪水など地球温暖化関係のリスクやサイバー攻撃関係の新たなリスクに対し、原子炉の安全・セキュリティを強化することや、原子炉の建設計画を公益事業として認識してもらうため国民や関係自治体とのコミュニケーションを強化することなどを修正事項に盛り込んでいる。(参照資料:仏議会上院の発表資料(仏語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
18 Jan 2023
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岸田文雄首相は2月2日夕刻、ミクロネシアのデイビッド・W・パニュエロ大統領と総理官邸で会談。両国間の協力関係のさらなる発展に向けたコミットメントを確認する中で、福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水((トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水))の取扱いについても話し合った。〈外務省発表資料は こちら〉岸田首相は、「ALPS処理水の海洋放出は、環境および人の健康に害がないことを確保した上で実施されること、日本は引き続きIAEAのレビューを受けつつ、太平洋島しょ国・地域に対し、高い透明性をもって科学的根拠に基づく説明を誠実に行っていくこと」を説明。これに対し、パニュエロ大統領は、駐ミクロネシア日本大使によりALPS処理水に関して透明性ある説明がなされていることに謝意を表明。その上で、「以前に国連総会で述べたほどの恐れや懸念はもはや有していない。こうした説明によって、今や、われわれが共有する海洋資産および資源を傷つけないという日本の意図、技術力をより深く信頼している」として、ミクロネシア国内のALPS処理水に係る理解に向けた日本の取組を高く評価した。日本および大洋州の計19か国・地域の首脳が参加した第9回太平洋・島サミット(2021年7月、テレビ会議)で、菅義偉首相(当時)は、「国際基準を踏まえた規制基準を遵守してALPS処理水の海洋放出を行うこと、IAEAと緊密に協力し、科学的根拠に基づく説明を引き続き提供すること」を説明している。日本と太平洋島しょ国との首脳レベルの会談でALPS処理水について話し合われた最近の例としては、2022年9月の日・パラオ会談があり、その中で、パラオのスランゲル・S・ウィップス・Jr.大統領は、岸田首相による説明に対し、日本の「緊密な対話を継続する」との意向に歓迎の意を示した。ALPS処理水の海洋放出開始時期については、去る1月13日の関係閣僚会議で、「本年春から夏頃と見込む」とされ、政府では引き続きALPS処理水の性状や安全性に関し、関係省庁の連携による国際社会への戦略的な情報発信に努めている。外務省では、在京外交団向けテレビ会議説明会の他、昨年末にはユーロニュース社(フランスに拠点を置く欧州のニュース専門放送局)とタイアップし、専門家や福島の方々へのインタビューも交えた短編の解説番組を制作。ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、トルコ語、ペルシャ語、アラビア語など、多言語で全世界に放送されている。
03 Feb 2023
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会見を行う新潟県・花角知事(インターネット中継)新潟県が福島第一原子力発電所事故の検証のため設置している「健康と生活への影響にする検証委員会」の健康分科会(座長=鈴木宏・新潟大学名誉教授)は、1月30日の会合で、最終報告書を概ね了承した。県では、福島第一原子力発電所事故を受け、「事故原因」、「事故が健康と生活に及ぼす影響」、「万一事故が起こった場合の安全な避難方法」の3つの検証を有識者による委員会で進めてきたが、これですべての検証に係る報告書が出そろうこととなる。花角英世知事は2月1日の定例記者会見で、約5年半にも及んだ同分科会における地道な議論に対し謝意を表明。3つの検証は、県が柏崎刈羽原子力発電所再稼働の是非に係る議論開始の前提としており、今後、「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会」で、各報告書の総括が行われる運びだが、花角知事は「これからどういう議論の進め方をするかは、最終的に検証が終わったところで議論を始めたい」とし、明確な方向性は示さなかった。健康分科会の最終報告書では、事故の複合災害としての検証結果として、「原発の『安全神話』を過去のものとし、『想定外』が常に起こることを前提とした対応が常に求められる時代を迎えたことが明確になった」と指摘。原子力事故対応に当たる専門家や行政担当者への基本的要望として、「原子力事故データが国民に帰属するとの認識の保持、情報の透明性の担保、情報の解析に基づく活動への説明責任の遂行」をあげた上で、通常時対応、事故発生時緊急対応、事故後の中長期的対応に大別し、計26項目を提言。原子力事故の環境や健康への影響に関する「ヘルスリテラシー」の向上や、事故後、10年ごとの節目などを捉え、国内外アカデミアと市民を含む第三者組織による原子力事故対応活動の検証を継続することも求めている。
01 Feb 2023
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高市早苗・内閣府特命担当大臣(科学技術政策他)は、1月31日の閣議後記者会見で、次世代革新炉の開発・建設に向けて人材育成の重要性を述べた。政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」が昨年末に取りまとめた「GX実現に向けた基本方針」では、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む」とされている。高市大臣は、所管する原子力委員会が現在改定に向け検討を進めている「原子力利用に関する基本的考え方」の案文(12月23日~1月23日にパブリックコメント実施)で、「原子力の社会インフラ産業としての重要性、原子力発電や放射線利用を始めとしたキャリアパスが多様であることなどを、国や原子力関係事業者が発信していく」必要性が記載されていることに言及。原子力人材確保に関して、「複数機関の連携による教育基盤の底上げ、研究の重要性も指摘されている」とし、今後の次世代革新炉開発に向けて、「将来のビジョンを示せるよう、関係省庁が連携し産業界や大学と連携しながら、必要な人材確保に努めていきたい」と強調した。経済産業省および文部科学省では高速炉、高温ガス炉など、次世代革新炉開発に係る検討が進められており、内閣府(科学技術政策)においても現在、産業界からの参画も得た有識者会議で、核融合エネルギーの開発に向けた戦略策定について議論している。
31 Jan 2023
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原産協会の新井史朗理事長は1月27日、定例記者会見を行い、昨年末、政府が示した「GX実現に向けた基本方針」について、「非常に意義深い」と述べた。加えて、原子力の最大限活用を記載した同方針を支持するとともに、法制化などにより将来にわたってこれが維持・継続することを要望。次世代革新炉の開発・建設についても支持し、産業界からの投資を促す観点から、政府による支援、制度措置など、事業環境整備の早期具体化を要望した。〈関連の理事長メッセージは こちら〉2023年の原産協会の取組として、新井理事長は、原子力に対する理解促進福島復興支援人材確保・人材育成国際協力――の4点を列挙。「原子力発電の最大限活用には、原子力の優位性や、原子燃料サイクルの重要性、事業者の安全性追及への取組などについて、多くの方々に知ってもらうことが肝要」と、述べた上で、原子力が持つ価値の発信に取り組むとともに、立地地域との対話を通じて、理解活動に取り組んでいくことを強調した。福島復興支援に向けては、福島第一原子力発電所の廃炉作業の進捗、処理水の海洋放出などに対し、理解を深めてもらうよう、福島に関する情報発信、現地視察の実施、福島物産の紹介や販売協力を通じた情報提供提供に取り組むとしている。人材確保・人材育成については、企業説明会などを通じて、原子力が夢とやりがいのある魅力的な産業であることを、若い世代に知ってもらうとともに、産業界の原子力人材の確保を支援。「原子力人材育成ネットワーク」((産業界、学術界、地方自治体、行政庁からなる国内外の人材育成のプラットフォーム))を通じ、効率的、効果的、戦略的に人材育成の取組を進めていくとした。国際協力については、「高い技術と品質で定評のあるわが国の企業が海外のプロジェクトに参加できれば、技術力の維持・強化とともに、世界の原子力発電所の安全性向上に寄与できる」と述べ、わが国の原子力産業振興の一助となる情報発信やビジネス交流を行っていくとした。
30 Jan 2023
410
原子力発電環境整備機構(NUMO)はこのほど、地層処分の若年層に対する関心喚起に向け、アニメーション動画「地層処分って?」を制作。1月26日より特設サイトにて公開している。アニメーション動画は、原子力発電って、ゴミが出るの?地下に埋めて大丈夫?放射線の影響はないの?日本に処分できる場所なんてあるの?海外ではどうしているの?――の全5話構成。各話3~5分程度の短編で、順番に見ることも、関心のあるものだけを見ることもできる。高レベル放射性廃棄物の地層処分は地表から300m以深の安定した岩盤で実施されるが、アニメーション動画の利点を活かし、地下断面図上に、実際に見ることのできない地震の揺れや地下水の流れを表現していることなどが特徴だ。各話とも大人と子供の対話形式で進行し、各話の終わりに自身でも探求することを促している。各国の地層処分の状況を紹介する第5話の終わりでは、「地層処分は世界共通の国レベルでの課題でもあり、今まで電気を使ってきた私たちが自分事として考える必要がある」と述べている。NUMOでは、若年層を含む幅広い層向けに、地層処分に関心を持ってもらう契機となるコンテンツを随時、制作・公表している。
27 Jan 2023
723
原産協会は1月19日、日本工業倶楽部(東京・千代田区)で「原産シンポジウム」を開催。今回は、福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授の坪倉正治氏が「放射線の健康影響の基礎知識と原発事故後の健康課題」と題して講演を行うセミナー形式となり、会員企業・組織から約60名が参集した。坪倉氏は、もともと東京で血液内科医として医療に従事していたが、東日本大震災後は、福島県の相馬中央病院と南相馬市立総合病院を往復しながら、通常の診療に加え、ホールボディカウンターを用いた内部被ばく検査や住民への放射線影響に関する説明会など、被災地支援に取り組んできた。講演の中で、同氏は、発災後のおよそ12年間を振り返り、「どのような健康課題に住民は直面してきたか」を時系列的に整理。特に、避難後、施設に入所していた高齢者の死亡リスクが急増したことに関し、南相馬市内5施設の集計から「避難後3か月間以内で、実に25%の方々が亡くなった。これはすさまじい数だ」と指摘。仮設住宅への移住に伴うメンタル面・地域コミュニティの問題を始め、生活習慣病の増加、かかりつけ医との疎遠・がん検診の希薄化などを要因に掲げ、医療従事者の立場から「避難中に亡くなられる災害関連死を忘れてはならない」と強調した。発災から数年以降に関しては、介護サービスに係る地域間格差の他、偏見・デマの影響など、社会環境の変化に伴う要因にも言及。総じて、「健康問題を個人の意思や行動の帰結として捉えるのではなく、社会や周辺環境によって規定されている、と考えることが重要」と訴えかけた。さらに、福島第一原子力発電所事故に伴う放射線被ばくによる健康影響については、「リスク的にはゼロとはいえないが、健康問題をトータルでみた場合、中心となる放射線被ばくよりも、周辺の影響の方が爆発的に大きい」と強調。これまでにみられた被災地住民の健康状態悪化・回復のジグザグ傾向に関し、「半年から1年のタームで様々な環境変化が繰り返されてきた」ことを要因としてあげた上で、現状の行政支援システムから、避難指示解除以降の「戻りたくても戻れない人へのケア」の手薄さに懸念を示した。坪倉氏は、放射線の健康影響の基礎知識や福島県民の健康調査についても概説。同氏は、地元の学校に赴き生徒・教員に対し放射線に関する講義を行うなど、次世代層への普及・啓発に努めているが、「最近では震災を知らない子供たちが増えてきた。まず『なぜ学ぶのか』から説明しないといけない」と、課題をあげた上で、環境省が開設し若手中心で放射線の正確な情報発信に取り組む「ぐぐるプロジェクト」を課題解決に向けた一例として紹介した。福島第一原子力発電所事故による放射線影響の評価について、坪倉氏は、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の2020年報告書(2021年3月公表)を紹介。同報告書の主な結論として、「放射線被ばくが直接原因となるような将来的な健康影響はみられそうにない」ことなどをあげた。UNSCEARは科学的・中立的な立場から放射線の人・環境への影響調査・評価などを行う国際機関で、昨夏、2020年報告書の日本政府への手交のため来日した同組織のギリアン・ハース前議長は、取りまとめに当たった者として、「この報告書がもたらす主たる結論は堅固なもので、見通しうる将来に向け大きく変わるものではない」と、普遍性を強調している。
25 Jan 2023
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会見を行うIAEA・カルーソ氏(フォーリン・プレスセンターホームページより引用)福島第一原子力発電所のALPS処理水((トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水))の取扱いに関する国際原子力機関(IAEA)の規制レビューチームがこのほど来日。2022年3月に続き2回目となる規制レビューを完了し、20日、IAEA原子力安全・核セキュリティ局調整官のグスタボ・カルーソ氏は、記者会見を行い、「前回のミッションで出たほとんどの問題について考慮されていることを確認できた」として、原子力規制委員会の審査や認可プロセスの妥当性を首肯した。1月16日からの日程を終了し、フォーリン・プレスセンターで記者会見に臨んだカルーソ氏は、規制委員会へのヒアリングや現地調査の結果を踏まえ「国際的な安全基準に合致した形での放出に関する規制のコミットメントの現れだ」と評価。日本政府の関係閣僚会議は1月13日に、「海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査やIAEAの包括的報告書等を経て、具体的な海洋放出の時期は本年春から夏頃を見込む」としている。同氏は、海外メディア・在日大使館関係者からの質問に対し、国際安全基準の厳格さ・透明性を強調。「これから放出が行われるまでの検査活動にさらに注目していく」と述べ、今回のミッションに関する報告書を3か月以内に、本年半ばを目途にIAEAとしての包括的な報告書を公表することを表明した。ALPS処理水に関する理解醸成として、資源エネルギー庁では最近、国内向けのテレビCM放映・新聞広告掲載の他、韓国政府向けのテレビ会議説明会を実施。東京電力では、海外向けの処理水ポータルサイト(中国語・韓国語版)のリニューアルを昨年末に行っている。〈東京電力発表資料は こちら〉
23 Jan 2023
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包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)のロバート・フロイド準備委員会事務局長は1月19日、日本記者クラブで会見を行った。包括的核実験禁止条約(CTBT)は、すべての核兵器の実験的爆発または他の核爆発を禁止する核軍縮・核不拡散を進める上で、極めて重要な条約とされ、日本は1997年に批准し、2022年3月時点の批准国は172か国となっているものの、同条約の発効に必要な特定の44か国のうち、批准しているのは36か国にとどまっている。就任後、初の来日となり岸田文雄首相他との会談に臨んだフロイド事務局長は会見で、CTBTフレンズ((CTBT発効促進の機運を維持・強化する観点で2022年に日豪間で立ち上げられた非核兵器国によるグループ))を通じたCTBT未批准国への働きかけなど、これまでの日本政府による同条約発効の早期化に向けた取組を高く評価。「日本は核の攻撃を受けた唯一の国として、将来世代が核実験の脅威によって被害を被らないようにすること、核実験によって世界の安全保障が損なわれないようにすることに強いコミットを発揮している」と強調。条約の遵守状況の検証体制として維持・運営している国内10か所の監視施設および実験施設など、日本の技術面における貢献にも言及した。フロイド事務局長は、「核実験は1945年からCTBT署名開放の1996年までの間に2,000回を超えて行われたが、署名開放以降は12回以下にとどまっている」などと、CTBTの成果を示唆。最近1年間の批准国として、ガンビア、ツバル、ドミニカ、東ティモール、赤道ギニア、サントメ・プリンシペの6か国をあげた。一方で、昨今のウクライナ情勢にも鑑み「本当に不安をあおり立てる1年だった」と振り返り、「われわれは決して油断してはならない」と、核実験をなくす努力を怠らないことを改めて強調。北朝鮮の核開発問題に関して問われたのに対し、「2018年4月に北朝鮮は一時的に核実験を中止すると約束した。是非その約束を長期化して欲しい」として、同国によるCTBTへの署名がなされることを切望した。
20 Jan 2023
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財務省は1月19日、2022年の貿易統計(速報)を発表した。輸出額は98兆1,860億円で対前年比18.2%増、輸入額は118兆1,573億円で同39.2%増。その結果、貿易収支がマイナス19兆9,713億円(対前年比およそ10倍)と、過去最大の赤字額となったことに関し、松野博一官房長官は、同日の記者会見で、鉱物性燃料(石炭、石油、LNGなど)の輸入額増による主要因に言及した上で、「輸出を通じた成長は企業にとっても日本経済にとっても引き続き重要であり、しっかり支援していく」と述べ、所要の予算措置を図るとともに今後の動向を注視していく姿勢を示した。鉱物性燃料輸入額は、対前年比96.8%増の33兆4,755億円に上り、他の品目を大きく凌駕。中でも石炭は同178.1%増の顕著な上昇となっている。〈財務省発表資料は こちら〉2022年は、2月にロシアによるウクライナ侵攻が起こって以降、世界的なエネルギー供給危機となり、日本もエネルギー価格の高騰に見舞われた。政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」が昨夏に示した「日本のエネルギーの安定供給の再構築」によると、今夏・来冬以降に目指す原子力発電プラント17基の稼働により、約1.6兆円の国富流出が回避できると試算されている。
19 Jan 2023
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資源エネルギー庁は、アンケート形式のウェブコンテンツ「もしエネルギーがこうなったら模試」(もし模試)を1月30日まで公開している。「東大クイズ王」としてテレビ番組に出演している伊沢拓司さんらが中心となって運営されるメディア「Quiz Knock」(クイズノック)とのコラボレーション。「もし模試」では、日本のエネルギーにまつわる様々な「もしもの可能性」をテーマに7問を「出題」。「受験者」は、「もし1週間エネルギー(電気、ガス、石油など)が使えなくなったとしたら、何が一番困るだろう?」、「もし日本のエネルギーを自分たちで供給するとしたら、どんな方法があるだろう?」、「もしあなたがカーボンニュートラルを推進する立場にあるとしたら、まずどんなことから取りかかる?」などの問いに対し、与えられた選択肢の中から自身の考えに最も近いものを回答。回答後は、「受験者」の回答傾向と各選択肢に関する解説を見ることができる。同コンテンツは1月13日から公開されているが、例えば、「もし日本社会が再生可能エネルギーだけをつかうようになったら、どんなことが起きるのだろう?」との問いに対しては、「温室効果ガス削減に寄与するが、安定供給と経済効率性が悪くなる」との回答が71.0%で最も多かった(1月18日16時時点)。これに対し、解説では、「完璧なエネルギーがない中で、再生可能エネルギー比率を上げながら、『安全性』、『安定供給』、『経済効率性』、『環境適合』の4つのバランスを見ながら多様なエネルギー源を組み合わせる必要がある」と、エネルギー需給における「S+3E」の重要性を説いている。「もし模試」では、大学生・大学院生の「受験者」に対し、抽選でJERA姉崎発電所の見学と伊沢拓司さんとともに未来のエネルギー問題を考えるワークショップへの招待も予定している。
18 Jan 2023
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原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2022年の国内原子力発電所の設備利用率は18.7%(対前年比3.4ポイント減)となった。年内、新規制基準をクリアし新たに再稼働したプラントはなく、現存の計36基のうち10基・995.6万kWが稼働。いずれもPWRである。2022年は四国電力伊方3号機と九州電力川内1号機が年間を通じて稼働。川内1号機の設備利用率は106.8%に達した。近年、テロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の整備に伴い停止しているプラントもあるが、2021年に国内初の40年超運転に入った関西電力美浜3号機は、2022年7月に同施設の運用を開始し、9月に本格運転に復帰。この他、関西電力大飯3、4号機、九州電力玄海3号機も12月までに特重施設の運用を開始し発電を再開している。現在、特重施設の設置工事を含む定期検査により停止している玄海4号機は、2023年2月に発電を再開する予定。新規制基準適合性審査に係る設置変更許可に至ったものの再稼働していないプラントは7基、同審査中のプラントは10基となっている。美浜3号機に続く40年超運転が見込まれる関西電力高浜1、2号機は、それぞれ2023年6、7月に本格運転に復帰する見通し。2021年9月に設置変更許可に至った中国電力島根2号機については、2022年6月に島根県知事が再稼働に関し同意を表明している。*各原子力発電プラントの2022年運転実績(2022年12月分を併記)は こちら をご覧下さい。
17 Jan 2023
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西村康稔経済産業相は1月5~9日、米国を訪問。日本がG7議長国を務める年の幕開けに際し、「様々な通商・国際経済アジェンダについて、日本が議論をリードしていく必要がある」との考えのもと、ジェニファー・グランホルム・エネルギー省(DOE)長官ら、米国政府関係者と会談を行った。〈資源エネルギー庁発表資料は こちら〉西村経産相は1月9日、グランホルムDOE長官と会談し、世界のエネルギー安全保障を取り巻く状況を踏まえ、昨夏に立上げが合意された原子力協力を始めとする「日米クリーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブ」(CEESI)の強化について議論し共同声明を発表。DOEは、先般、日本政府が取りまとめた「今後の原子力政策の方向性と行動指針案」の重要性に留意。経産省とDOEは、小型モジュール炉(SMR)を含む次世代革新炉の開発・建設など、原子力協力の機会をそれぞれの国内および第三国において開拓する意向を示した。また、既設炉を最大限活用するとともに、同志国の間でのウラン燃料を含む原子力燃料および原子力部品の強靭なサプライチェーン構築に向けて取り組むとした。外交筋の報道によると13日に予定される日米首脳会談で、こうしたエネルギー協力に係る方向性が確認される見通しだ。
12 Jan 2023
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