
海外NEWS
08 Jul 2026
223

中国CGNの太平嶺2号機が送電開始
海外NEWS
08 Jul 2026
281

ドイツ元原子力発電所所長ら 政府に閉鎖発電所の運転再開を要請
国内NEWS
08 Jul 2026
355

規制委 検査官の振る舞いに対するガイドライン作成と事業者の相談窓口設置へ
国内NEWS
08 Jul 2026
357

富岡町海水浴場 25年ぶりに海開き決定
海外NEWS
07 Jul 2026
649

NEA「原子力エネルギー見通し」を発表 3倍達成は「変革シナリオ」のみ
国内NEWS
07 Jul 2026
406

双葉町 ウクライナ自治体と協力・パートナーシップ意向協定締結
海外NEWS
06 Jul 2026
509

スウェーデン政府 SMR開発会社の株式60%取得へ
海外NEWS
06 Jul 2026
612

米DOE 原子力サプライチェーン再建に向けた融資を発表

中国の広東省恵州市で7月4日、中国広核集団(CGN)の太平嶺(Taipingling)原子力発電所2号機(PWR=華龍一号「HPR1000」、112.6万kWe)が送電を開始した。広東・香港・マカオ大湾区初となる「華龍一号」採用の原子力発電所である。国家核安全局(NNSA)は2019年12月、同1-2号機の建設許可を発給。2号機は2020年10月に着工。先月6月25日に初臨界を達成している。今後、一連の試験を経て性能をさらに検証し、2026年下半期の営業運転開始を予定している。年間90億kWh以上の発電が見込まれている。1号機は、今年4月に営業運転を開始している。太平嶺原子力発電所プロジェクトでは、3期に分けて建設が進められ、最終的に6基の華龍一号を建設する計画。総投資額は1,200億元(約2.8兆円)を超えると見込まれている。太平嶺サイトでは、3号機が2025年6月、4号機が2026年5月にそれぞれ着工した。華龍一号は、中国が独自開発した第3世代炉で、別名「HPR1000」。中国の主力輸出炉としても位置付けられている。中国核工業集団(CNNC)が輸出したパキスタンのカラチ原子力発電所2-3号機で稼働しているほか、2024年末にはチャシュマ5号機が新たに着工している。
08 Jul 2026
223

ドイツの親原子力NGOであるNukleariaは6月25日、自身のウェブサイトにドイツの元原子力発電所の所長や原子力専門家らが、F. メルツ首相、K. ライヒェ経済・エネルギー相、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のJ. シュパーン院内総務に宛てた共同書簡の全文を公開した。書簡の中で、ドイツの脱原子力政策は戦略的な誤りだったとする政権幹部の見解や最近の世界的な原子力回帰への潮流も踏まえ、国内の原子力発電所の運転再開の後押しを要請している。共同書簡は同国のタブロイド新聞BILDで報じられたもの。署名には、原子力発電所の計画や建設、運転、安全に関して数十年の経験を持つ、エムスラント、ビブリス、フィリップスブルクの元原子力発電所の所長や責任者、経験豊富な原子力技術者、科学者らが連なる。彼らは書簡の中で、最近閉鎖された原子力発電所の運転再開は技術的観点から可能であり、合理的であると主張。運転再開がドイツに再び競争力のある産業用電力価格を提供し、供給の安定性を強化すると同時に、気候目標を支える機会になるとみている。既存プラントの改修と運転再開は国内での原子力産業基盤の維持に加え、小型モジュール炉(SMR)や核融合などの将来の技術との互換性に不可欠であると指摘している。さらに、同様のドイツ設計の原子炉がスペイン、スイス、オランダ、ブラジル、アルゼンチンで稼働・建設中で、関連するノウハウや経験は維持されており、発電所の閉鎖後も人材や送電網などのインフラなどが残っているため、必要に応じて再整備・拡充可能としている。なお、運転再開の可能性に関する技術的根拠として、米国のエネルギーコンサルタント会社ラディアント・エナジー・グループ社が取りまとめた報告書「ドイツの原子炉運転再開: 実現可能性と展望」を参照したと紹介。同報告書では直近に閉鎖された原子力発電所の運転再開の実現可能性やスケジュール、収益性を検証しており、Nukleariaも報告書の作成に協力している。報告書では、「ドイツにおける原子力の段階的廃止は不可逆的だと言われているが、それは事実ではない」と明言、閉鎖された14基の原子炉について設備の状態や運転再開費用、必要期間を評価した。その結果、閉鎖が直近の5基は約41~50か月で運転を再開でき、最初の運転再開は2031年頃に可能と分析している。最適なプラントでは、発電コスト(LCOE)は平均約37ユーロ/MWhと試算。既存設備や一部の人材・インフラを活用できるため、新設よりも安価かつ迅速に電源を確保し、政府による補助金を必要とせずに国際競争力のある電力価格の実現が可能であり、運転再開は投資対象としても魅力的なものになると分析している。また、設備の近代化や場合によっては、出力増強したうえで数十年にわたる運転継続ができ、将来的な大型炉やSMR、核融合開発に向けた人材・産業基盤の形成にもつながると主張。さらに、ドイツ国民の大多数がエネルギーミックスにおける原子力発電の維持を支持していると強調している。一方で、運転再開の実現には政治判断が不可欠であるとし、原子炉の解体が進む前に解体作業を一時停止し、原子力法の改正や規制手続きの見直しが必要であるとしている。運転再開の実現性やコスト、法制度上の課題について今後も政府機関や独立した研究機関による検証の必要があるものの、技術的・経済的に実現可能であり、政策転換があれば比較的短期間で実現できると結論付け、その決定は、解体による損傷を避けるために速やかに下すべきと勧告している。2000年、当時のG. シュレーダー政権はドイツの原子力発電の段階的廃止を決定。2011年の福島第一原子力発電所事故後、A. メルケル首相は原子力発電所の段階的廃止を再確認した。2022年、O. ショルツ政権は冬季のエネルギー供給不足を乗り切るために3基(エムスラント、イザール2、ネッカー2)の短期間の運転期間延長を決定し、2023年4月には全閉鎖、脱原子力政策が完了した。以後、ドイツでは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの発電能力の不安定さ、ウクライナ問題や中東情勢に起因する石油・ガスの供給不安、エネルギー価格の高騰を踏まえ、原子力への復帰が合理的かどうかについて繰り返し議論が続いている。2026年3月、パリ近郊で開催された原子力エネルギーサミットで、欧州委員会(EC)のU. フォンデアライエン委員長は、欧州が信頼性の高い廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった、と述べた。ライヒェ経済・エネルギー相も、脱原子力の選択は戦略的誤りであったと同月末の米国での国際会議で発言。メルツ首相も過去に、脱原子力の選択は重大な誤りであったとの見解を表明、今回のEC委員長の発言に個人的に同意はしつつも脱原子力の決定を今から覆すことはできないとし、エネルギー政策の最適化に取り組んでいくとの意向を示した。共同書簡は、エネルギー供給の安定性や競争力、ドイツの産業拠点としての地位をめぐる議論が新たな勢いを得ている時期に提出された。「脱工業化が続くか、原子力発電が再び手頃で信頼性が高くクリーンな電力を供給するかは政治判断の問題」として、政府に対し、経済的にも技術的にも、現実的かつ合理的な運転再開の必要性を訴えている。
08 Jul 2026
281

経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)は6月3日、「原子力エネルギー見通し:2050年以降の世界の設備容量」(Nuclear Energy Outlook: Global Installed Capacity to 2050 and Beyond)を発表した。本報告書は、世界の原子力プロジェクトの動向を俯瞰したうえで、既設炉の長期運転(LTO)、大型炉の新設、小型モジュール炉 (SMR) の導入の現状と見通しを整理するとともに、2050年までの世界の原子力発電設備容量の拡大可能性を4つのシナリオで分析している。報告書は、ロシアによるウクライナ侵攻以降のエネルギー安全保障への関心の高まりや各国の脱炭素政策、電化やデジタル化に伴う電力需要増を背景に、原子力が再び各国のエネルギー・産業政策の中心に位置づけられつつあると指摘。加えて、AIやクラウドサービスの普及を背景に拡大するデータセンターなどの新たな産業需要家が、安定的な低炭素電源・熱源として原子力に関心を強めていることも、今後の市場環境を左右する要因の一つとして挙げた。報告書で示された主なポイントは、以下のとおり。2050年の原子力発電設備容量を4シナリオで分析世界の原子力発電設備容量は現在約4億kWeで、このうち約78%をOECD加盟国が占める。報告書は2050年までの設備容量について、低位シナリオ(Low Scenario)で3.47億kWe、現状推移シナリオ(Current Trends Scenario)で6.19億kWe、野心的シナリオ(Ambitious Scenario)で8.83億kWe、変革シナリオ(Transformative Scenario)で13.24億kWeに達すると試算した。COP28で表明された「原子力3倍化」目標1を上回るのは、4つのうち変革シナリオのみとしている。変革シナリオでは、米国の「2050年までに原子力発電設備容量を現在の規模から4倍化する」目標や、インドの「2047年までに1億kWeを導入する」との目標を織り込んだうえで、既設炉のLTOや大型炉の建設加速、SMRの大規模展開を前提としている。一方で、このシナリオを実現するには、これまでの実績を大きく上回る導入ペースが必要になるとも指摘。特に、OECD諸国では、プロジェクト遂行能力や産業基盤、資金調達のいずれにおいても、大幅な能力向上が求められると強調した。既設炉の長期運転が2040年見通しの鍵報告書によると、OECD諸国では2040年までの運転期間延長認可を取得していない原子力プラントが5,000万kWeを超える。1970~80年代に建設された既設炉が多く、今後のLTOの判断が、世界の原子力発電設備容量の将来見通しを左右すると分析した。また、運転期間を60年、さらには80年まで延長できれば、安定した低炭素電源を維持しながらエネルギー安全保障の強化につながるほか、大規模な代替電源を短期間で確保する必要も回避できると指摘。さらに、多くの炉型では設備改修や保守により技術的な大きな支障なく長期運転が可能であり、LTOは利用可能なクリーン電源の中で最も低コストな電力供給手段だとしている。新設の重心は非OECD諸国へ移行2025年時点で、建設中・計画中・提案中の新規原子力プロジェクトは計3.13億kWeに達し、その55%を非OECD諸国が占める。このうち、建設中の約7,000万kWeでは約80%が非OECD諸国に集中しており、中国だけで3,300万kWe超を占めている。一方、提案段階や将来見込みの案件ではOECD諸国の比率が高く、欧州や北米では近年、政策転換を背景に新規計画が相次いでいる。ただし、こうした計画を実際の建設・運転開始へ着実に結びつけられるかが今後の焦点になるとした。SMR導入拡大には量産体制などが課題報告書ではまた、SMRも4つのシナリオすべてで検討対象としているが、低位シナリオでは実証案件による限定的な導入にとどまる一方、変革シナリオでは、2050年までに世界のSMR設備容量が1.5億kWe超に達する可能性があると試算した。ただし、その実現には大量生産の確立や規制の標準化、需要の集約などが前提となり、こうした条件が十分に整うのは2040年代以降となる公算が大きいことから、2050年までのSMR導入にはなお一定の制約があるとみている。OECD諸国はサプライチェーンと人材基盤の早急な強化が急務また報告書は、OECD諸国では過去25年間に新規建設が低迷したことで、サプライチェーンや人材基盤が弱体化し、今後の原子力導入拡大の制約になっていると分析。変革シナリオでは2030年代半ば以降、同時建設中の原子力発電設備容量が最大3億kWeと、OECD諸国の過去最高水準の約2倍に達すると見込んでいる。また、導入拡大には、志を同じくする国との協力や産業界の連携強化に加え、プロジェクトごとの建設から複数案件を計画的に進める「プログラム方式」への転換が必要と指摘。標準化や経験の蓄積による建設コスト低減につながるとしている。資金面では、OECD諸国の新規原子力向け年間投資額が、過去10年間の平均約120億ドルから、野心的シナリオでは年平均680億ドル、変革シナリオでは年平均1,430億ドルへ拡大し、2030年代には年間2,000億ドルに達する可能性があると試算。世界的な導入目標の達成には、政策公約を実行可能なプロジェクトへ落とし込み、サプライチェーンの強化や資金確保、大規模かつ迅速な原子力導入を可能とする事業実施体制の構築が不可欠だと結論づけている。2050年までに世界の原子力発電設備容量を現在の規模から3倍に拡大する目標 ↩︎
07 Jul 2026
649

スウェーデン政府は6月25日、ヴェーロー半島にあるリングハルス原子力発電所3-4号機(PWR、各110万kWe級)の近隣サイトで新規建設計画を進めるプロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」社の株式60%を取得し、筆頭株主となることを決定した。政府は、官民連携による原子力開発を本格化させる方針。ビデバーグ・クラフト社は、国営電力会社バッテンフォール(Vattenfall)が新規建設に向けて2025年4月に設立したプロジェクト会社。政府による株式取得前は、バッテンフォールが80%、産業企業連合インダストリクラフトが20%の株式を保有。政府は今回の措置により、バッテンフォールの持ち株から60%を取得するため、最終的にバッテンフォールとインダストリクラフトはそれぞれ20%を保有する。政府は2026年春の改正予算で、スウェーデン議会(リクスダーゲン)に対し、ビデバーグ・クラフト社の株式60%を最大18億スウェーデンクローナ(約300億円)での取得と将来の資本注入の許可を求め、議会が6月9日にこれを承認した。株式の正式な移転は、2027年後半に行われる見込み。ビデバーグ・クラフト社は今年6月に、英ロールス・ロイスSMR社製のSMR(PWR, 47万kWe)の採用を決定し、同サイトに3基のSMR建設に向けた詳細な計画策定を進めている。同社は、2025年12月に政府に対し国家補助を申請。国家補助制度は、多額の投資と高いリスクを伴う新規建設に対して、低利な政府融資の利用による資金調達コストの削減や原子力発電自体のコスト削減を目的とするもので、2025年8月から施行されている。このほど、政府融資や差金決済契約(CfD)、リスクと利益を分担する国家補助の基本条件も合意された。政府は今後、欧州委員会(EC)へ国家補助の承認を申請し、2027年後半の承認を見込んでいる。なお、原子力発電はリードタイムが長く、将来の政権交代などに伴う政策変更による政治リスクを抱える。このため政府は2025年10月、投資家の予見可能性を高め、政治リスクの低減と新規建設への民間投資を促すため、将来の政治的決定により原子力が中止又は廃止された場合の国による補償制度の在り方を検討する調査委員会を設置した。同調査委員会は6月30日、中間調査報告を発表。報告では、政治的理由による事業中止の場合、許認可を申請した事業者に対し、①事業で発生した実費および中止後に生じる必要経費(政府支援分を除く)、②投下資本について、本来得られるはずだった合理的な収益、③試運転開始後に運転開始前で廃止となった場合、20年間の運転を前提とした合理的な将来収益――などの補償を認めることを提案している。なお、補償制度の法的枠組みや補償の具体的な要件、補償額の詳細な算定方法などは、2026年末に提出予定の最終報告で示される予定。
06 Jul 2026
509

米エネルギー省(DOE)のエネルギー主導融資局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)は6月23日、米国の商用原子力サプライチェーンの再建に必要な長納期機器の調達資金を支援する、総額175億ドル(約2.8兆円)に上る条件付き融資を実施すると発表した。同融資制度により、米国で唯一、運転実績のある第3世代+(プラス)の大型炉であるウェスチングハウス(WE)社のAP1000(PWR, 125.0万kW)×10基の建設を支援する。DOEからの融資はWE社の特別目的会社(SPV)を通じて実施される見込み。SPVは全米で最大5社の電力会社・エネルギー企業と提携し、同融資制度の下で、1サイトに2基建設する。各プロジェクトはWE社と提携企業の共同所有となり、SPVは原子炉圧力容器や蒸気発生器などの長納期機器を2基分まとめて固定価格契約で調達する。これにより、建設・運転を最大3年前倒しするとともに、大量一括発注方式によるコストの削減、サプライチェーンの大幅な効率向上が見込まれている。2025年5月に発令された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」で設定された、2030年までに設計済みの大型炉10基の着工という目標を後押しするものとなる。なおDOEからの融資を受けるにあたり、WE社と提携企業はそれぞれ5億ドルずつ(合計10億ドル)自己資本を拠出する必要があり、各プロジェクトの機器調達は、自己資本の拠出時期などに応じて段階的に進められる。また、DOEが最終的な融資契約を締結・融資を実行する前に、WE社とその所有者、提携企業は一定の技術的、法的、環境的、および財務的条件を満たす必要がある。DOEによると、WE社はすでに建設予定地が特定されている候補企業7社と基本合意書(Letter of Intent)を締結しているが、企業名やサイトは明らかにされていない。WE社は2025年10月、株主である資産運用会社ブルックフィールド社(51%)とウラン供給大手カメコ社(49%)とともに、米商務省と原子力発電所の新設を推進する戦略的提携を締結。政府は融資面や許認可面で支援し、米国全土で少なくとも800億ドル規模のAP1000の新規建設を想定している。DOEは2024年時点の約1億kWeから2050年までに4億kWeへ原子力発電設備容量を拡大する目標を掲げており、多くの措置の実施を通じて、次世代の技術開発を加速させ、国内サプライチェーンを再建したい考えだ。
06 Jul 2026
612

米原子力新興企業のDeployable Energy社は6月30日深夜、アイダホ国立研究所(INL)において、同社が開発するマイクロ炉「Unity」のゼロ出力臨界((原子炉において、熱出力がほぼゼロ(核分裂による熱がプラントの温度に影響を与えない極めて低い出力レベル)の状態で、核分裂の連鎖反応が持続する状態(臨界)に達すること。))試験を成功裏に完了した。これにより、2025年5月に発令された大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」で設定された期限である7月4日(独立記念日および建国250周年)までに少なくとも3基の先進炉を臨界に到達させるという目標が達成された。今月初めには、Antares Nuclear社の「Mark-0」と、Valar Atomics社の「Ward 250」が、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)の下でゼロ出力臨界を達成している。Deployable Energy社のUnityは、国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)がアイダホ国立研究所(INL)で運営する「Nuclear Energy Launch Pad」イニシアチブの下、初めて臨界を達成した原子炉。同イニチアチブは、RPPをさらに発展させた取組みで、DOEによる認可を活用した先進炉の認証・建設・実証を迅速に進め、その先の実用化・商用化に向けて支援する制度である。Unityは、コンパクトな0.1万kWe級の水減速・ガス冷却式の原子力バッテリー。遠隔地のコミュニティ、緊急対応活動、防衛任務、重要インフラのレジリエンス強化、産業用エネルギー需要など、幅広い用途への活用が想定されている。Unityは、プロジェクト開始から約150日の短期間で初臨界を達成した。今後は段階的な試験プログラムへと移行する。原子炉物理特性のさらなる検証、負荷追従運転の確認、固有安全性の検証、定格出力運転の実証などが含まれる。試験期間中に収集されたデータは、継続的なシステムの検証、性能の最適化、および今後の米原子力規制委員会(NRC)からの許認可取得および商用化に向けた取組みに活用される。DOEのC. ライト長官は、「昨夜、多くの人が実現不可能だと考えていたスケジュールで重要なマイルストーンを達成した。Unityのような先進的な原子力技術は、次世代の産業を支え、エネルギー安全保障を強化し、米国が世界の原子力イノベーションをリードし続けることを可能にする」と語った。
03 Jul 2026
914

英EDFエナジー社は6月23日、米ホルテック・インターナショナル社と共同で、英国ノッティンガムシャー州にあるコッタム石炭火力発電所の跡地に小型モジュール炉(SMR)の建設を提案する文書を英政府に提出した。ホルテック社製SMR-300(PWR, 30万kWe)×4基の2030年代初めの完成を目指し、併設するデータセンター向けに電力を供給する計画である。両社は、プロジェクト開発の推進に向けて合弁企業の設立でも合意。ホルテック社はプロジェクトコストを約110億ポンド(約2.4兆円)と試算している。プロジェクトでは、EDFエナジー社の原子力発電所の運営・開発経験と、ホルテック社の原子炉安全技術、製造ノウハウなどを生かし、英国のエネルギー安全保障強化と地域経済の活性化を図る考え。コッタム発電所は、ノッティンガムシャー州の東端、コッタムにあるEDFエナジー社が所有する200万kWeの石炭火力発電所。50年以上の運転期間を経て2019年に閉鎖された。同発電所跡地は、送電網や重要インフラがすでに整備されており、地域のエネルギー関連の雇用基盤もあることから、石炭から原子力への転換に適した立地とされている。今回の共同提案は、SMR-300が英国の包括的設計審査(GDA)を完了し、基本的な安全面やセキュリティ面、環境面について、英原子力規制庁(ONR)を含む規制当局から評価を得たことを前提にしている。ホルテック社が米ミシガン州で韓国の現代E&C社と建設計画を進めるパイオニア発電所の2基のSMR-300は、FOAK(First of a Kind: 初号機)であり、現在、米原子力規制委員会(NRC)が建設許可申請を受けて審査中である。英国のコッタム・プロジェクトは、それに次ぐSOAK(Second of a Kind)となる。今後は、英ONRと米NRCの連携により、米国の初号機建設で得られる知見や経験が英国のコッタム・プロジェクトに反映され、英国での建設・運転リスクの低減と円滑なプロジェクト推進を目指す。
03 Jul 2026
485

カナダ政府は6月22日、電力需要の増加やエネルギー安全保障、2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、同国初となる「原子力戦略」を発表した。本戦略では、原子力を安定した低排出電源として位置付け、2050年までに原子力関連の人材を倍増させ、数十億加ドル規模の民間投資を促進し、国内産業の競争力強化を目指している。カナダでは現在、オンタリオ州とニューブランズウィック州のカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)17基が同国電力の約13%を供給。原子力産業の経済貢献は年間220億加ドル(約2.5兆円)に上る。また同国は2024年時点で、世界第2位のウラン生産国で、世界生産量の約24%を占め、その約90%が他国に輸出されている。70年以上にわたり培ってきたCANDU炉技術やウラン資源、サプライチェーンや技術者、安全規制体制といった独自の強みを基盤に、新規建設や既設炉の活用、ウラン開発、医療用アイソトープや核融合を含む先端技術の研究開発を推進する計画だ。また、最新CANDU炉の設計開発や、小型モジュール炉(SMR)の先駆けとなるダーリントン新原子力プロジェクト(DNNP)への支援を通じて、原子力分野におけるリーダーシップを強化する方針である。同戦略は、①国内での新規原子力発電所建設の推進、②世界市場における原子力技術・サービスの輸出拡大、③ウラン生産・燃料供給の強化と放射性廃棄物の長期管理、④核分裂・核融合を含む新たな原子力技術の開発を柱に構成される。今後は州政府、先住民、産業界、大学などと連携しながら実施し、エネルギーの安定供給と経済成長を両立させる原子力大国としての地位強化を目指している。カナダ原子力協会(CNA)は同戦略の発表を受け、政府は原子力を単なる電源としてではなく、カナダの経済、エネルギー、地政学的未来を形作る戦略的国家資産とする歴史的な一歩を踏み出したと評価している。世界市場へのカナダの原子力技術展開に関連して、同国のアトキンス・リアリス(AtkinsRéalis)社は6月24日、CANDU炉の米国市場展開に向けて、米原子力規制委員会(NRC)に許認可取得プロセス開始の意向通知書(Notice of Intent)を提出した。同社はCANDU炉技術の独占商業権を所有。米国におけるデータセンターやAI、先進製造業の拡大、電化の進展に伴う電力需要増加を背景に、実証済みの大型CANDU炉の導入を図る方針である。同社によると、CANDU炉は世界で34基の建設実績と約1,000炉年の運転経験を有し、天然ウラン燃料を使用、運転停止せずに燃料交換が可能。医療用コバルト60などの放射性同位体の生産にも寄与する。同社は米国の電力会社や州政府、データセンター事業者などと導入可能性を協議し、既存の原子力サイトを中心に展開を検討している。海外からの濃縮ウラン供給に依存しない燃料仕様により、米国のエネルギー安全保障や燃料サプライチェーンの強化にも貢献したい考えだ。
02 Jul 2026
1045

米国のElementl Power社は6月18日、オハイオ州南東部メイグズ郡で、最大150万kWe規模の先進原子力発電所の開発を進めると発表した。同社はGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(30万kWe)の採用を計画しており、GVH社と先行作業協定(Early Works Agreements: EWA)を締結した。Elementl社は2022年設立の独立系発電事業者で、先進原子力プロジェクトの開発を手掛ける。規制下にある電力会社や独立系発電事業者、技術サプライヤーと協力し、2035年までに米国で合計発電設備容量1,000万kWe以上の原子力発電の実用化を目標としている。2025年5月には、大手IT企業Google社と、サイト候補3地点で先進的原子力プロジェクト開発の準備向けに初期段階の資金提供に関する契約を締結。サイト候補地や契約金は明らかにされていない。各プロジェクトは少なくとも60万kWの発電設備容量を有し、Google社はプロジェクト完了後に、オフテイカーとして電力購入の優先権を持つ。Elementl社は今回のBWRX-300の採用にあたり、オハイオ州の公共電力会社American Municipal Power社から約2.8㎢の建設予定地を取得。まずは60万kW分について系統運用者PJMへ系統接続を申請しており、審査結果は年内に示される見通し。建設費は民間資金で賄い、電気料金への転嫁は行わない方針である。初号機の建設は、最終投資決定と米原子力規制委員会(NRC)やオハイオ州の規制当局の承認を条件に2030年に開始、2034年の運転開始を目指しており、建設から運転開始後まで数千人規模の雇用創出が見込まれている。オハイオ州・地域の行政機関や経済団体、建設業界からも、電力安定供給や地域経済の活性化、雇用拡大に寄与するプロジェクトとして期待を集めている。
01 Jul 2026
1103

米国の大手電力会社コンステレーション社は6月23日、小売大手ウォルマート社と長期の電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。契約に基づき、イリノイ州で運転するドレスデン・クリーン・エネルギー・センター(旧・ドレスデン原子力発電所2-3号機、各BWR, 90万kWe級)から電力を供給する。原子力発電の大口需要が、大手IT企業やAIデータセンターにとどまらず、大規模な小売・物流産業へと広がりを見せている。電力供給規模は約17.6万kWeで、設備効率の改善を通じた出力増強分3万kWeを含む。ウォルマート社は、2029年および2030年からそれぞれ開始される2件の15年間の電力購入契約を通じて、電力を調達。これにより、ドレスデン発電所で設備効率の改善に向けた投資が可能となり、発電量の増加が見込まれる。出力増強は、新規建設と比べて短期間かつ低コストで発電容量の追加が可能な手法。ウォルマート社は、よりクリーンで安定した電力を確保し、地域の電力インフラ強化にも貢献したい考えだ。出力増強による追加電力は、イリノイ州ベルビディアで建設中の同社の最新鋭の生鮮食品物流センターに供給される。なお今回の契約は、同社にとって初の原子力PPAであり、米国では大手小売企業と原子力発電所との間で締結される先行事例でもある。ドレスデン発電所は2025年12月、米原子力規制委員会(NRC)から2号機が2049年、3号機が2051年まで、それぞれ80年間の運転認可を取得した。地域に安定した脱炭素電力を供給するとともに、1,100人以上の雇用を支えている。両社はイリノイ州に長年にわたり拠点を置いており、今回の契約を地域社会への長期的な貢献を示す取組みと位置付けている。
30 Jun 2026
554

海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は6月17日、米国の原子力機器・燃料サービス企業であるBWXテクノロジー(BWXT)社が開発した小型モジュール炉(SMR)「mPower」を浮揚式原子力発電所(Floating Nuclear Power Plants: FNPP)へ搭載するための実行可能性調査(F/S)を開始したと発表した。mPowerは、電気出力約19.5万kWeの第3世代+(プラス)の一体型加圧水型炉。コアパワー社は同炉を海上に設置するFNPPに統合できるか、技術・規制・事業面から検討する。FNPPは造船所で建造され、完成後に電力需要の高い地域や送電網が未整備の地域へ曳航・配備することを想定。陸上の原子力発電所に比べて、建設リスクの低減や量産化によるコスト削減のほか、迅速な電力供給が期待されている。特に、用地確保が難しい地域やインフラ整備に長期間を要する地域への電力供給手段として注目されている。今回の調査では、両社間の技術情報の共有をはじめ、システム設計、運用コンセプトの策定、製品要件の定義、規制対応の検討、海洋用途への適用、経済性の分析などを実施する。本調査は、コアパワー社のM. ボーCEOが、2025年2月に発表した2030年代半ばまでにFNPPの市場投入をめざす米国主導の海事民生用原子力プログラム「リバティ(Liberty)」の一環。ボーCEOは、世界的な電力需要の急増に対し、従来型インフラの整備速度では対応が難しくなっていると指摘。そのうえで、市場をリードする米国が持つ原子力技術、産業基盤、海事分野の強みを活用し、FNPPの実用化を加速させたいとしている。本調査はコアパワー社の資金で実施され、今後の設計開発、規制当局との協議、事業スキームの構築、そして商業化に向けた次のステップを判断するためのベースとなる見込みである。なおコアパワー社は、デンマークのコンテナ船大手のマースク(Maersk)社、英国のロイド船級協会(LR)、オランダのロッテルダム港と共同で、原子力推進商船(コンテナ船など)の主要なEU港への寄港に関する安全性および規制上の考慮事項について調査。このほど発表された調査結果において、既存の港湾安全管理の枠組みは原子力推進商船の受入れに活用できる一方で、原子力特有の規制、安全・セキュリティ対策、緊急時対応、責任・保険制度の整備や社会的受容性の確保に向けた取組みが必要であると示された。また、国際海事機関(IMO)の現行規則は旧来の原子力船を前提としているため、将来の民間商業用原子力推進船の実用化に向けた近代化を提言している。
30 Jun 2026
645

トルコのアックユ原子力発電所1号機(ロシア製PWR=VVER-1200, 120.0万kWe)が6月22日、完成した。同機では同日より、冷態機能試験が開始された。冷態機能試験を数週間実施し、その後、温態機能試験を経て、原子炉を起動する。同1号機のスタッフは1,930人で、その40%以上がトルコ人。ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)などの専門工科大学を卒業し、現在、ロシアのシミュレーターや原子力発電所で研修や実習を受けているという。アックユ原子力発電所は、トルコで建設中の初の原子力発電所。ロシア設計の第3世代+(プラス)のVVER-1200×4基から構成される、総工費約200億ドルのプロジェクト。同プロジェクトは「BOO(建設・所有・運転)」方式を採用し、ロスアトム傘下のAKKUYU NÜKLEER社がプロジェクト実施主体である。1号機は2018年に建設許可を取得して、着工。2~4号機もそれぞれ2020、2021、2022年に着工している。全4基の運転により年間発電電力量は350億kWh、原子力シェアは約10%に達すると見込まれている。運転サイクルは18か月。原子炉の耐用年数は60年とされ、さらに20年の運転延長も可能とされている。1号機は今年末までに送電を開始する予定。当初は、トルコ建国100周年となる2023年の稼働開始を見込んでいたが、COVID-19のパンデミックや経済制裁による機器調達への影響などを受けて遅延した。トルコは2050年までに、アックユ発電所を含め、同国北部のシノップとトラキア地域で大型炉12基(計1,500万kWe)を建設し、さらに小型モジュール炉(計500万kWe)を追加導入して、原子力発電設備容量を2,000万kWeに増強することを目指している。
29 Jun 2026
730

原子力規制委員会(規制委)は6月26日開催の検査制度に関する意見交換会合で、発電所などで規制検査を行う検査官の振る舞いに関する相談窓口を設置するとともに、検査官に求められる振る舞いをガイドラインに明文化する方針を示した。規制委は今年2月に川内原子力発電所所長らとの面談を行った際に、過去の検査官の恫喝ともとれる言い方や、技術的な根拠を示さない振る舞いなどを認め、謝罪していた。相談窓口は原子力規制庁検査監督総括課内に設置予定で、メールで相談を受け付ける。相談を受けた後、検査官や事業者に対する情報収集が行われ、事業者が相談を行ったことに対して報復と受け取られかねない対応を行わないよう、当該検査官にも指導が行われるという。その後、特定された事実に基づいて検査官に対して指導が行われ、改善が見られない場合は配置換えや職務転換などの措置も行われる見込み。さらに、検査官に求められる振る舞いが規制委の検査運用ガイドに記載される。「検査官に求められる振る舞い」という事項が新設され、「事実に基づく独立した技術的判断」と「相互尊重」を全体の方針とし、①事実に基づく独立した技術的判断、②客観性を疑われる可能性のある行為の禁止、③事業者の保安活動への配慮、④事業者との対等なコミュニケーション――の4項目を記載予定。具体的には、検査官の業務は確認した事実関係に基づく法令等への適合の可否であり、法令等への適合の方法を考えるのは検査官の仕事ではないことや、発電所内中央制御室での運転員の業務を妨げないような行動を心掛けること、「最低な」などの極端な形容詞を使って事業者のパフォーマンスを述べないこと、明示的にも暗示的にも事業者に高圧的に接しないことなどが盛り込まれている。同会合では規制委の対応を歓迎する声が多く上がった一方、「良い取組みだが、検査官を委縮させることは避けるべき」といった意見や、米原子力規制委員会(NRC)が発行した、NRC職員の振る舞いや意思疎通に関する資料である「OEDO(Office of Executive Director for Operations) Procedure-0235」を引き合いに出して、「今回の案では検査官の振る舞いについて否定的な表現をしているが、肯定的な表現とすべきではないか」との意見も出た。
08 Jul 2026
355

福島県富岡町は7月6日、富岡海水浴場を25年ぶりに開設すると発表した。同海水浴場は、富岡漁港の整備や東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により長らく休止していた。海水浴場の開設期間は7月18日(土)から8月9日(日)までの23日間で、富岡漁港の南側に開設される。監視員の配置や救護所の設置、緊急対応体制の構築などの安全対策も実施。開設の前日である7月17日(金)には安全を祈願する「海開き神事」を行うとともに、富岡町立にこにここども園に通う園児を対象としたイベントも開催予定。富岡町の山本育男町長は四半世紀ぶりの海水浴場開設を「富岡町にとって誠に感慨深く、大きな喜び」と表現。「町民の皆様はもちろん、町外からも多くの皆様にお越しいただき、富岡の新しい夏を楽しんでいただければ幸い」とコメントした。
08 Jul 2026
357

福島県双葉町とウクライナ北部スラブチッチ市が6月26日、協力・パートナーシップ意向協定を締結した。双葉町とウクライナとの交流は、独立行政法人国際協力機構(JICA)によるウクライナ復興・復旧プロジェクトの一環として始まり、2024年以降、双葉町にはウクライナ政府および自治体の視察団が3回訪れている。今回の協定は、こうした交流をふまえ、スラブチッチ市側から2026年3月頃に締結の打診があったことを受けて実現した。スラブチッチ市は、ウクライナのキーウ州にある、チョルノービリ原子力発電所事故後、避難者らの居住先として建設された計画都市。同発電所から約50km東に位置する。協定締結はオンラインで行われ、双葉町の伊澤史朗町長とスラブチッチ市のユーリー・フォミチェフ市長が、①教育および文化(教育機関および組織間での経験交換等を通した文化交流)、②持続可能な開発に向けた共同プログラムおよびプロジェクトの実施、③環境保全、④エネルギー効率の向上、⑤グリーンエネルギーの促進、⑥保健医療の充実――の6分野で協力する協定書に署名した。具体的な協力内容については、今後協議・検討していく。今回締結した意向協定書は覚書のような位置づけとなっており、各分野での具体的な協力内容の検討が進んだ段階で、正式な協定を結ぶ予定。時期は未定。また今後、ウクライナ情勢が落ち着けば、双葉町側がスラブチッチ市を訪れる可能性もあるという。
07 Jul 2026
406

日本維新の会は7月2日、経済産業省の赤澤亮正大臣に「エネルギー安全保障に関する提言」をとりまとめ、提出した。提言は大きく6項目で構成され、このうち原子力関連では、「原子力発電と核燃料サイクル」と「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」を掲げている。「原子力発電と核燃料サイクル」の中では、「安全を高めながら、利活用を進めていく」と題して、規制当局と事業者との対話の促進や、審査の見通しの早期共有、運転中保全活動(オンラインメンテナンス)の実施、規制当局の人材育成強化などを進言した。さらに、IAEA・総合規制評価サービス(IRRS)ミッションで指摘されたノーリターンルールなどの規制人材の流動性の問題については、規制の独立性の確保のために、規制庁の幹部職員が規制側と推進側を行き来することは現状通り認めるべきでないとする一方、若手および中堅については視野と経験の獲得のためにルールを緩めるべきとの立場を示した。そのほか、電気事業法による原子力発電所の60年の運転期間制限の廃止や長期サイクル運転の実現なども求めている。「次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化」の中では、電力需要の増加から原子力発電所の新増設の検討が必要と明記。原子力発電所の新設に向けた資金調達について、公的融資や長期脱炭素電源オークションの改善など、あらゆる制度・支援措置を検討すべきとしている。また、小型モジュール炉(SMR)などの次世代革新炉の規制基準の整備にあたっては、規制当局、事業者、メーカーの技術的な意見交換を必要に応じて開催すべきと提言した。今回の提言では、エネルギー価格高騰への対応に向け、経済効率性を重視する姿勢を打ち出しており、「やれることは全てやる」という基本姿勢が強調されている。
06 Jul 2026
718

電気事業連合会(電事連)が制作した中学生向け教材「探究!どうする日本のエネルギー」が、(公財)消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2026」の企業・業界団体部門で優秀賞を受賞した。6月30日、都内で表彰式を兼ねたシンポジウムが開かれた。 コンテストは、学校などの教育現場で活用できる消費者教育教材を発掘・普及することを目的に1997年から実施されている。行政部門、企業・業界団体部門、消費者団体・NPO部門の3部門があり、企業・業界団体部門では応募15点の中から5点が優秀賞に選ばれた。 今回受賞した教材は、今年3月に公開した「探究!どうする日本のエネルギー」の動画、教師用手引書、生徒用ワークシートで構成される。電事連の教育支援サイト「ENE-LEARNING(エネラーニング)」から無料でダウンロードできる。 教材は中学校の地理の授業での活用を想定し、第7次エネルギー基本計画を踏まえて制作された。資源に乏しい日本における電気の安定供給とCO2排出削減の両立をテーマに、生徒自身がエネルギーミックスのあり方を考える内容。ワークシートを通じて、生徒が自ら考え、その内容を言語化しながら議論できる構成となっている。受賞教材では金融教育や情報リテラシーに関するテーマが目立つ中、唯一、エネルギー問題を扱う教材として選ばれた。 電事連は昨年も「エネルギーアカデミー 探究編」で同部門の優秀賞を受賞しており、2年連続の受賞となった。教材の制作を担当した電事連広報部の手塚宏樹氏は「中東情勢などの影響もあり、エネルギー問題への関心が高まっている」と話した。 今回の優秀賞は最終審査に向けた選考を兼ねたもので、全部門で優秀賞を受賞した20教材を対象に、全国から募集した評価教員が約半年間、実際の授業で活用した上で評価を行う。その結果を踏まえ、来年5月に内閣府特命担当大臣賞など各賞が決定される予定だ。 手塚氏は「まずは教材の存在をより多くの方に知っていただきたい。今後、新たなエネルギー基本計画などの動きがあれば、内容の更新をはじめ、最新の情報を分かりやすく提供していきたい」と今後の展望を語った。
03 Jul 2026
498

九州電力は7月2日、来年7月に運転開始から30年を迎える玄海原子力発電所4号機(PWR, 118.0万kW)について、長期施設管理計画を策定し、原子力規制委員会(規制委)へ提出した。原子炉等規制法に基づき、原子力発電所が運転開始から30年を超えて運転を継続する場合に、事業者は原子炉施設の経年劣化などを管理するための点検方法やその結果、劣化の予測・評価方法などを記載した長期施設管理計画を策定し、規制委の認可を受ける必要がある。また、長期施設管理計画は30年経過後も、10年を超えない期間ごとに規制委の認可を受けなければならない。玄海発電所では既に3号機(PWR, 118.0万kW)が、昨年3月に長期施設管理計画の認可を受け、30年を超えて運転を継続している。
03 Jul 2026
492

自民党の資源・エネルギー戦略調査会は6月25日、「自律的で強靭なエネルギー供給構造の構築に向けた提言」をとりまとめ、高市首相に提出した。提言は大きく3つの視点で構成されており、2番目に「原子力の活用やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギー導入加速化を通じたエネルギー自給率の向上」が挙げられている。提言の中で特に原子力に対して、①中長期的な原子力発電の見通し・将来像の提示、②脱炭素電源が安定して発電収入を確保できる環境整備、③廃炉段階の事業環境、④核燃料サイクルの確立や最終処分場建設に向けた取組みの促進、⑤再稼働や次世代革新炉の開発・設置に向けた審査の合理化、検査の効率化による設備稼働率の向上、⑥次世代革新炉・フュージョンエネルギーの早期社会実装に向けた、公的な支援体制の抜本的な強化――の6項目で言及。原子力を含めた発電事業収入の予見性確保に向け、長期脱炭素電源オークションの着実な実施や、需要家と発電事業者によるコーポレートPPA(電力購入契約)等の推進を主張した。廃炉に関しては、先進技術導入による円滑化の推進や廃棄物の処理・処分の加速に向けた国から電気事業者への支援などのほか、クリアランス物のリサイクル利用拡大も訴えた。再稼働および次世代革新炉の開発・設置に対して、安全性の確保を大前提に、審査プロセスの合理化に取組むことを求め、具体的にはハザード審査(地盤・地震・津波等)を先行実施する仕組み作りを挙げた。提言では、日本の原子力の強みは自国のサプライチェーンで建設・運転する技術を有している点とした上で、今後について、「『国策民営』の形で推進されてきたが、現下のエネルギー情勢を踏まえ、さらに国が一歩前に出てこの強みを生かす政策を打っていかなければならない」と指摘している。
02 Jul 2026
1009

東京電力と新潟県は6月26日、東京電力から新潟県への資金拠出に関する確認書を締結したと発表した。昨年10月16日の新潟県議会連合委員会で東京電力が、新潟県内での地域経済の活性化や安全・安心な暮らしのための基盤整備を進めるため、約10年間で1,000億円規模の資金拠出を表明していた。資金拠出は、柏崎刈羽原子力発電所の発電電力量の実績に応じた寄附として行われる。前年度における同発電所の発電電力量(送電端)の実績値が100億kWh以上の場合、寄附額は115億円、90億kWh以上100億kWh未満の場合は100億円、80億kWh以上90億kWh未満の場合は85億円、80億kWh未満の場合は70億円となる。これを受け、新潟県は拠出された資金の活用案を策定。柏崎刈羽原子力発電所の立地に伴う安全・防災対策の実施に約400億円、原子力災害対策重点区域かつ電源立地地域対策交付金の対象外地域への支援に約300億円、地域・産業の振興に約300億円としている。今後、県議会6月定例会(会期は7月21日まで)で同案が審議される予定。
01 Jul 2026
684

日本原子力産業協会の増井秀企理事長は6月26日、理事長会見を行い、記者団からの質疑に応じた。増井理事長は会見冒頭、6月5日に開催された原子力小委員会での自身の発言を紹介した。「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の改定案に、中期目標(2040年代までに約220万~550万kW)と長期目標(2050年代までに約1,270万~1,600万kW)が基数とともに明記されたことについて、「産業界としても、未来への希望と長期的展望を持つことができ、大変意義深い」と評価した。また対米投資に関する協議では、数百億ドルから1,000億ドル規模の原子力案件が複数取り上げられていることに触れ、我が国の原子力産業の技術・製品・サービスが活用される大きな機会になるとの期待を示す一方、コストオーバーランなどの事業リスクや米国の制度・政策リスクへの懸念を表明。日本企業に過度な負担が生じないよう、日米双方で十分に協議が行われることを期待した。続いて、nucleareurope2026(欧州原子力産業協会 年次大会)への参加を報告。欧州では、原子力は安定供給と脱炭素に加え、欧州の産業基盤の競争力を支える電源と位置づけられており、欧州全体で課題解決に取り組む姿勢を強く感じたと述べた。また、欧州全体で原子力分野の技術や人材、サプライチェーンを支える体制を強化する「Nuclear Airbus」構想を紹介し、利用可能なクリーンエネルギーを総動員しなければ、欧州は経済的な競争力を維持できないという強い危機感が共有されていると説明。さらに、オランダやポーランドなど、欧州各国における原子力新設の最新動向についても紹介した。会見後半では、欧州で導入されている差金決済取引(CfD)モデル((事前に定めた基準価格と市場価格の差額を精算する仕組み))について、記者から「コスト超過となった場合にCfDモデルがリスクを吸収できるのか」との質問があった。これに対し増井理事長は、「リスク要因を過度に織り込むと基準価格が高くなり、国民の理解を得ることが難しくなる」と述べ、制度設計に当たっては十分な試算を行う必要性を指摘した。加えて、ルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所の改修工事でCfDモデルが活用される事例も紹介。運転実績や機器交換の経験を通じて、より精度の高い基準価格の設定に繋がるとの見方を示した。また、記者から、行動指針改定案で示された長期目標に対し、現在の日本の電気事業者の状況を鑑み、リスク補償の仕組みについて問われた増井理事長は、現在検討されている電力広域的運営推進機関(OCCTO)を通じた融資制度について、30%とされている融資上限や金利の高さが課題との認識を示した。そのうえで、融資上限を過半以上にすることに加え、民間金融機関の融資決定後にOCCTOが融資を決定する仕組みではなく、OCCTOが先に融資の枠組みを示し、それに民間金融機関が参加する協調融資の仕組みが重要との考えを示した。
30 Jun 2026
586

政府は6月24日の経済財政諮問会議で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の骨子案を示し、次世代革新炉を成長産業と位置付けた。2040年度までに官民合わせて5兆円を投資し、約11兆円の経済波及効果を想定。研究開発やサプライチェーン強化、人材育成を投資対象とした。資料の中で次世代革新炉は、2050年には年間1,000億ドル規模の世界市場に成長すると見込まれる。次世代革新炉への建て替えを進めることが、我が国のエネルギー安全保障や安定・脱炭素電源の確保に寄与するとした。また、達成すべき戦略的な目標として、サプライチェーンの維持・強化、国内での次世代革新炉へのリプレースを効率的かつ迅速に進められる持続可能な産業構造が挙げられた。そして官民投資促進に向けた課題として、①サプライチェーンや人材など産業基盤の劣化、②投資環境・事業の予見性向上、③研究開発基盤の劣化――を指摘。対応策として、サプライチェーンの製造能力強化や、産官学による原子力人材育成の司令塔整備、長期脱炭素電源オークション制度の活用・改善、グレーデッドアプローチに基づいた予見性の高い規制・審査制度の構築、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を念頭に置いた資金供給機能の強化などを盛り込んだ。あわせて政府は、核融合についても2040年度までに3.1兆円の官民投資を見込んでいる。
29 Jun 2026
1572

原子力委員会は6月23日、令和7年度版の「原子力白書」を公表した。白書冒頭の「特集」では「次世代に向けた核燃料サイクルの展望」をテーマとし、核燃料サイクルの意義や技術、国内外の動向等が記された。テーマの選定理由について原子力委員会は、エネルギー安全保障への関心の高まりを挙げ、核燃料サイクルの実現は①海外資源への依存度を低減、②高レベル放射性廃棄物の減容化と有害度低減の2つの効果があると強調。原子力委員会は「国民に正しく理解していただくことが重要」と説明した。また、核燃料サイクルに対する国民理解について、「仕組みが複雑で分かりにくい側面がある」と説明。全体像や各工程の役割を理解するには一定の知識が必要であり、今回の白書ではできるだけ平易な表現で情報を整理することを心掛けたという。原子力委員会は、核燃料サイクルの確立はエネルギー安全保障の強化や将来世代の負担軽減につながる重要な取組みであると強調。その上で、安全確保と平和利用を大前提に、国際原子力機関(IAEA)の保障措置や透明性の高い情報発信を通じて国際社会への説明責任を果たしながら、国際協力の下で取組みを着実に進める必要があるとした。また、核燃料サイクルの将来像を見据えた長期的な戦略のもとで研究開発を推進するとともに、人材育成や技術継承を通じてサプライチェーンを含む技術基盤を維持・発展させることの重要性も指摘した。なお、白書の本文は9章立てとなっており、令和7年度の原子力利用を巡る幅広い分野の最新動向を取り上げている。また、15本のコラムを収録し、AI活用、放射線の宇宙利用、STEAM教育など、多様なテーマを紹介。本紙も多く引用されている。
26 Jun 2026
913

福島県大熊町で6月22日、「特定帰還居住区域」の一部において立入規制が緩和された。規制緩和の対象は、野上2区、下野上1区のほぼ全域と熊2区、熊3区、町区の一部で、面積は約200ヘクタール(約2平方キロメートル)、世帯数は179。大熊町での規制緩和は初めて。「特定帰還居住区域」とは、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域(特定復興再生拠点区域を除く)に、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進め、避難指示を解除し、住民の帰還・居住が可能と定められた区域を指す。立入規制が緩和されたエリアではバリケードがなくなり、自由に通行することが可能になった。大熊町の吉田淳町長は「今回の規制緩和は、当該地域の方々の利便性向上のみならず、町の復興に向けた大きな前進と受け止めている」とコメントした。また、今回の立入規制の緩和にあたり、インフラの復旧など一定の要件を満たす場合、生活を再開するために自宅の清掃等の帰還準備が必要な住民などが宿泊を行うことが出来る準備宿泊の受付も始まった。準備宿泊には事前申請が必要で、大熊町と内閣府原子力災害現地対策本部が確認を行った上で宿泊が可能になる。1回の準備宿泊で認められる期間は約3週間。
26 Jun 2026
453