
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)は9月16日、新たに令和8年度大学・高専機能強化支援事業に選定された28件の事業を公表。原子力分野では、茨城大学の「地域共創による次世代原子力デジタルツイン((現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術))人材育成」事業が採択された。NIAD-QEは2023年度から、成長分野における高度専門人材の育成に取り組む大学・高等専門学校(高専)を対象に、大学・高専機能強化支援事業を実施している。支援には「成長分野転換枠」、「大規模文理横断転換枠」、「高度情報専門人材育成枠」、「重点分野支援枠」があり、今回茨城大学は、「重点分野支援枠」で選定された。支援金額は最大約10億円。今回の事業で茨城大学は、2028年4月に同大学大学院理工学研究科博士前期課程に、定員20名の「次世代原子力デジタルツインプログラム(仮称)」を新設する。マルチフィジックス解析((コンピューターを用いて、複数の異なる物理現象が相互に影響しあう様子を同時にシミュレーションする手法))やAI等の情報技術を理解・統合して活用し、原子力設備の挙動解析や予測、安全評価、異常検知などを担う分野横断型の技術者・研究者の育成を目指す。
18 Sep 2026
274
原子力規制委員会は9月17日、定例会合を開催し、原子炉等規制法第62条の3に基づく事故故障等の報告(法令報告)に関する関係規則の解釈を変更することを了承し、10月1日から施行することに合意した。規制委は2025年8月の定例会合で、解釈の改善の方向性について既に了承しており、今回はそのうち、規則改正を伴わないものを先行して施行することとした。一方、規則改正を伴うもの、すなわち核燃料施設等の故障に関する報告要件や、原子力災害対策指針において原子力災害対策重点区域の設定を要しない施設に関する法令報告に関する改善については、引き続き検討を行う。今回の解釈変更は大きく分けると、①管理区域内における放射性物質の漏洩の報告要件について、試験研究炉と使用施設について実用炉等と同じ基準に統一する、②福島第一原子力発電所において、汎用品の交換等で復旧できる不具合は法令報告が不要であることを明確化し、また法令報告のタイミングについて、他施設で削除済みの事項を同様に削除する、③被ばく線量が線量限度を「超えるおそれ」に関する解釈の統一、④条文引用の表記整理――の4点。今回の変更は、解釈の改正や記載の適正化に当たることから、意見公募は行わず、10月1日に施行する。規制委は、国際原子力機関(IAEA)が今年実施した総合規制評価サービス(IRRS)の勧告で、グレーテッドアプローチ(リスクや重要度に応じて規制の厳しさを調整する)の規制プロセス全体への適用について指摘を受けている。今後、こうした規制制度に関する検討と法令報告との関係を整理し、規則改正を伴う見直しについて引き続き検討する。
18 Sep 2026
198
中部電力は9月14日、浜岡原子力発電所の基準地震動評価における不適切事案について、外部の専門家による調査委員会の調査報告書を公表するとともに、再発防止策の方向性を発表した。経営責任を明確にするため、勝野哲会長と林欣吾社長は9月30日付で辞任する。後任の社長には、10月1日付で取締役・専務執行役員の安井稔氏が就任する。また、同社は浜岡3、4号機(BWR、3号機:110.0万kW、4号機:113.7万kW)の新規制基準に係る原子炉設置変更許可申請などを取り下げることも決定した。同発電所の再稼働をめぐっては、2026年1月、中部電力が基準地震動評価の代表波選定において、審査会合での説明と異なる方法や意図的な方法で実施していた疑いがあることを公表し、調査委員会が調査を進めていた。報告書によると、原子炉設置変更許可申請で必要な地震動評価および基準地震動の策定において、定量的な基準によらず人為的に代表波を選定していたほか、実際には行っていない選定方法の証跡となるバックデータを事後的に作成し、規制委に実態と異なる説明を複数回行っていた。背景には、関係者が「安全性には影響がない」「技術的には正しい」などとして自らの行為を正当化する「独自の正当化理論」が存在したほか、高度の専門性に起因する統制機能の不全や社内のけん制機能の脆弱性などがあったと指摘した。中部電力は再発防止に向けた施策案として、経営ガバナンス改革、組織風土改革組織の設置、部門間ローテーションなどによる次世代人材の育成、原子力本部内への多様な視点の導入、外部専門家によるチェック・レビューの実施、内部監査の強化、内部通報への対応強化などを挙げた。また、調査委員会も、外部専門家による定期的な技術監査の実施や、監視・牽制機能の独立性確保などを提言している。なお、浜岡3、4号機については、信頼回復を最優先とし、そのうえで再申請をめざすとしている。日本原子力産業協会の増井理事長は、「原子力事業において、コンプライアンスと安全性確保は大前提であり、当協会としても極めて重く受け止めております。今後、会員各社・関係機関とともに社会からの信頼回復に努めてまいります」と述べた。
15 Sep 2026
723
近畿大学と関西電力は9月14日、原子力分野の包括連携協定を締結した。研究用原子炉などの教育・研究基盤を持つ近畿大と、原子力事業の知見や運営経験を持つ関西電力が協力し、原子力分野を担う次世代の人材育成と国内の原子力事業基盤の強化を目指す。協定では、関西電力が学生向けの講演・講義やキャリア形成支援を行うほか、研究面での連携、高等教育機関の学生を対象とした人材育成プログラムへの協力などに取り組む。また、研究炉の見学や講座などを通じ、地域住民に原子力について学ぶ機会を提供する。大学の原子力研究所の安定的な管理運営に向けては、関西電力が原子力業務経験者を紹介する人的支援も行う。一方、近畿大は研究炉や教員の知見を活用し、関西電力の社員教育を支援する。近畿大は1961年に運転を開始した日本初の教育用原子炉「UTR-KINKI」を保有。自大学の教育・研究に加え、国内外で原子力工学を学ぶ学生や教員、研究者を対象とした原子炉実習などに活用している。現在、国内の大学が保有する研究・教育用原子炉は、UTR-KINKIと京都大学の臨界集合体実験装置「KUCA」の2基のみ。京都大学の研究用原子炉「KUR」は今年4月に運転を停止した。今年3月の原子力委員会の会合では、近畿大学原子力研究所の若林源一郎副所長が、KURの運転停止を控え、「今後、近畿大学の原子炉の役割がさらに重要になる」と述べていた。
15 Sep 2026
685
経済産業省は9月11日、産業資源であるコンビナートや地域に偏在する脱炭素電源などを核に、新たな産業クラスターの形成を目指す「GX戦略地域」の第1弾を認定した。原子力や再生可能エネルギーを活用した産業団地の整備を目指す「脱炭素電源活用型」では、新潟県柏崎市など8地域10地点が選ばれた。 GX戦略地域制度は、2025年2月に閣議決定された「GX2040ビジョン」で示されたGX産業立地政策を具体化するため、同年8月に創設された。①コンビナート等再生型、②データセンター集積型、③脱炭素電源活用型――の3類型について地域を選定し、支援と規制・制度改革を講じる。また、④脱炭素電源地域貢献型では、脱炭素電源を活用し、電源立地地域に貢献する事業者の設備投資を支援する。 このうち「脱炭素電源活用型」は、再生可能エネルギーや原子力などの脱炭素電源を活用した産業団地を整備し、電源立地地域における産業立地モデルの創出を図るもの。今回、青森県(六ヶ所村、六戸町)、新潟県柏崎市、福井県(福井市、小浜市)、島根県松江市など8地域10地点が認定された。 柏崎市では、鯨波(くじらなみ)産業団地で原子力と再生可能エネルギーによる脱炭素電力100%の安定供給を目指す。首都圏に送電されている原子力発電の電力の一部を地域に安定供給することも検討している。 また、「データセンター集積型」では、鹿児島県(薩摩川内市)など9地域10地点を認定した。薩摩川内市は4月、「脱炭素電源活用型」の有望地域に選定されていたが、今回は「データセンター集積型」で第1弾の認定を受けた。同型の各地域の計画概要は後日公表される。 政府は8月26日のGX実行会議で、4月に選定した有望地域の中から、近日中にGX戦略地域の第1弾を認定する方針を示していた。その他の有望地域についても、引き続き事業計画を具体化し、計画の熟度が十分に高まった段階で順次認定する。
14 Sep 2026
1023
中国電力は9月10日、2030年度の運転開始を目指している島根原子力発電所3号機(BWR=ABWR、137.3万kW)について、原子力規制委員会(規制委)の新規制基準適合性審査で一通りの説明を終了した。今回の会合で中国電力は、シーケンス選定((重大事故対策の有効性を検証する際、対象とする事故の進展シナリオを選ぶこと))や確率論的リスク評価(PRA)などの指摘事項に回答。規制側から追加の指摘事項はなく、同電力の三村秀行副社長・電源事業本部長は、これまでの会合での規制側のコメントを踏まえ、適切に補正内容を確認し、品質管理を行った上で補正申請を速やかに行いたいとの意向を示した。翌11日には、これまでの審査内容を踏まえた補正書が規制委に提出された。今後は、補正書の確認後に、原子力規制庁が審査書案を作成し、規制委がとりまとめを行う。同案については、原子力委員会や経済産業大臣への意見聴取と意見募集(パブリックコメント)が実施され、それらの結果を踏まえて必要に応じて審査書を修正。規制委が了承すれば、原子炉設置変更許可が交付される。島根3号機の建設に関する本格的な動きは1995年の事前調査から始まり、2005年に着工した。当初は2012年3月の営業運転開始予定だったが、2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に、安全対策を講じるなどの対応を実施。2018年に新規制基準への適合性審査に係る原子炉設置変更許可申請を規制委に提出し、現在に至る。島根県の丸山達也知事は9月11日の定例記者会見で、記者から審査終了の受け止めについて聞かれ、規制委の中で必要とされている審査項目の全てが終了したことは一つの節目であるとし、今後審査書案や意見募集を注視していくと語った。
11 Sep 2026
876
日本原燃は9月7日、原子力規制委員会の審査会合で、六ヶ所再処理工場の竣工前に、過去の試験運転で発生した溶液・廃液を用いた確認運転を実施する方針を示した。竣工後に実施するとしていた方針を見直した。 再処理工場では、過去の試験運転で発生したプルトニウム濃縮液や高レベル濃縮廃液などが施設内に残っており、関連する主要設備も長期間停止している。確認運転では、これらの溶液・廃液を実際に使用する。 溶液処理では、長期間停止している主要設備の健全性を確認する。廃液処理では、まず模擬廃液を用いてガラス溶融炉の漏えい確認を行った後、実廃液を供給して処理運転を行い、ガラス溶融炉の処理能力や設備の健全性を確認する。 確認運転の実施に伴い、保安規定についても変更認可を申請する。同社は、確認運転に関する変更と新規制基準対応に関する変更の2段階で申請する方針。規制委側は、竣工前の確認運転と新規制基準適合との関係や、保安規定、使用前事業者検査に関する手続きを引き続き整理するよう求めた。 六ヶ所再処理工場は、7月末時点の総合工事進捗率が約99%で、使用済み燃料を実際に用いて設備性能などを確認する「アクティブ試験」も約96%まで進んでいるものの、竣工に向けた規制上の審査や検査が続いている。 新規制基準への対応では、2020年7月に事業変更許可を取得。その後、設備の詳細設計に当たる設計・工事計画の認可(設工認)の審査を進めてきた。現在は設工認の補正申請に向けて準備するとともに、工事や使用前事業者検査を並行して進めている。日本原燃は、2026年度中の竣工を目指している。
10 Sep 2026
1114
経済産業省は9月9日、「次世代革新炉の開発・建設に向けた技術開発・サプライチェーン構築支援事業補助金」の二次公募の採択結果を公表した。東芝、原子燃料工業、日本ギア工業、日本製鋼所の4社が選ばれ、原子燃料工業以外は一次公募に引き続いての採択となった。今回の支援事業では、一次公募・二次公募共通で、次世代革新炉の技術開発と次世代革新炉の開発・建設に向けた産業基盤強化を目的とする事業に、最大で27億円(補助率50%以内)の補助金を交付する。事業期間は最大3年度まで。東芝は開発を進める革新軽水炉「iBR」の炉内構造物について、技術開発および製造実証をサプライヤーとともに実施し、将来の炉内構造物製造に必要となる製造・供給能力および保守管理能力を構築、製造基盤の確立とサプライチェーンの維持・高度化を図る。そのほか各社の採択された 事業は以下のとおり。<東芝>次世代革新炉向け炉内構造物の開発及び製造実証(Phase2)<原子燃料工業>次世代革新軽水炉向けPWR/BWR高性能燃料に係る部材製造設備の製造実証事業<日本ギア工業>ウォームシャフト製造の内製化・自動化による安定供給体制の構築と高精度熱処理技術の確立<日本製鋼所>原子力用鍛鋼品製造量増大のための技術開発
10 Sep 2026
6692
東京大学大学院工学系研究科と原子力発電環境整備機構(NUMO)は9月8日、高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価技術の高度化と専門人材の育成を狙いとして、初の社会連携講座「地層処分AI・マルチフィジックス連携」を、10月1日に同大学に開設することで合意した。9月8日付で社会連携講座設置兼共同研究契約を締結している。高レベル放射性廃棄物の地層処分では、熱や化学反応など、複数の現象を解析する手法(マルチフィジックス解析((コンピューターを用いて、複数の異なる物理現象が相互に影響しあう様子を同時にシミュレーションする手法)))を用いて、長期にわたる安全性を評価する必要がある。今回の講座開設は、 ①AI・機械学習による計算・データ解析の高速化、②解析コードの比較検討を行う開かれた場の構築、③将来を担う人材の育成――を目的としている。放射性廃棄物の地層処分や、放射性核種によって汚染された環境の評価・修復のために、放射性核種やその他の有害物質の環境挙動を研究する斉藤拓巳教授(原子力専攻)が講座を担当する。実施期間は2029年9月30日までの3年間。さらに、NUMOは講座の中核的な取組みとして、他大学・民間企業・研究機関等の専門家が参加する解析コードの比較検討会を定期的に開催する。複数のTHMC連成解析コード((熱(Thermal)・水理(Hydraulic)・力学(Mechanical)・化学(Chemical)の現象が相互に影響しあう様子を解析するマルチフィジックス解析プログラム))で同じ課題を解き、その結果を比較して、知見を蓄積する。複数の専門家が参加する開かれた議論を通じて、安全評価の信頼性を高め、処分場の設計最適化に必要な技術力の強化につなげることが狙い。初回は11月25日に開催予定で、詳細については今後発表される。
09 Sep 2026
543
企業と学生の採用・就職活動支援と原子力産業界への理解向上を目的とした「原子力産業セミナー」(主催=原子力産業協会/関西原子力懇談会)が9月5日、東京都立産業貿易センター(東京・港区)で開催された。原子力産業新聞取材チームは、出展企業・機関のうち4社に、人材確保・育成に向けた取組みを聞いた。前回の木内計測、日本原子力発電に続き、今回は発電設備技術検査協会とアトックスの取組みを紹介する。■発電設備技術検査協会:第三者の立場から「安全」を支える発電設備技術検査協会は、7年ぶりに同セミナーにブースを出展した。発電設備の安全・健全性を評価する同協会の業務は、学生をはじめ一般には広く知られておらず、人材確保には厳しさもあるという。一方、エネルギーの安定供給や原子力発電所の再稼働への関心が高まるなか、第三者・中立的な立場から原子力発電所の安全を支える役割に魅力を感じる学生も増えているとして、こうした学生との接点拡大に期待を寄せる。人材確保に向け、今年から技術系学生を対象としたインターンシップも開始した。電力会社の協力を得て、再稼働した原子力発電所や技能訓練施設を見学するほか、モックアップを使った溶接検査の模擬体験や非破壊検査技術の体験なども取り入れた。配管内部の傷を見つけ出す検査を「宝探し」に例えるなど、学生に仕事の面白さを伝える工夫も凝らしている。1970年の設立以来、検査の専門家集団として溶接部の健全性評価や材料、非破壊検査などに関する知見・経験を蓄積してきた同協会は、これらを次世代に継承することを重要課題と位置付ける。安全は設備だけでなく、最終的には「人」によって支えられるとの考えから、現場を客観的に見極めるプロフェッショナルの育成を目指している。■アトックス:「ラストワンマイル」を担う強み2006年の同セミナー開始当初から出展を続けるアトックスは、近年、学生の原子力に対する意識に変化を感じているという。カーボンニュートラルへの関心の高まりやエネルギー問題が身近になったことに加え、原子力をめぐる前向きな話題が増えていることなどを背景に、原子力に対するネガティブな反応が減ってきたと指摘。企業説明会でも、原子力を主力とする企業という理由で敬遠されることが少なくなってきたとの感触を示す。放射線技術を中心に原子力産業とともに発展してきた同社が、自社の強みとして学生にアピールするのが「ラストワンマイル」だ。機械化・自動化が進むなかでも代替できない最終工程を人の手で担うなど、他社が手掛けていない領域で強みを発揮しているという。一方、近年はエンジニアリング部門にも業務を拡大し、放射線技術を応用した医療装置の開発にも取り組むなど、事業領域を広げており、同社はこうした変化に挑戦する意欲を持つ人材を求めている。学生に対しては、原子力産業は多様な技術や企業から成る総合技術産業であるとして、最初から選択肢を絞らず、広い視野で業界を見てほしいと呼びかける。また、若い世代が持つITリテラシーやAIなど新技術への適応力にも期待を寄せており、そうした力をエネルギー・原子力産業の発展に生かしてほしいとしている。
08 Sep 2026
743
石原宏高原子力防災担当大臣が9月6日、フィンランドのオルキルオト原子力発電所1-3号機(1,2号機: BWR, 92.0万kWe×2基、3号機: PWR=EPR, 166.0万kWe) と、同発電所近隣に立地する高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)の最終処分場(オンカロ)を視察するとともに、同発電所が立地するエウラヨキ町の関係者と意見交換を行ったことを、自身のX(旧Twitter)で報告した。今回の視察は、9月3日から5日にかけて行われた。石原担当大臣はオルキルオト原子力発電所と「オンカロ」のエリアツアーに参加し、同発電所と使用済み燃料封入施設の外観、そして地下約60mにある低中レベル放射性廃棄物(SFR)の処分場を視察したと報告。なお、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は操業開始直前ということもあり、内部の視察は行わなかった。オルキルオト・ビジターセンターでは、ポシバ社((国内で原子力発電所を運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社が使用済み燃料最終処分の実施主体として設立した事業体))の子会社であるポシバ・ソリューションズ社のM.ポホヨネン社長から、施設や事業の内容、エウラヨキ町との関係性について説明を受けた。また、エウラヨキ町では町議会議長、町理事会会長、町長と意見交換を行い、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)への高い評価や、「最も電化された自治体(The Most Electrified)」という地域ブランドの構築、住民理解の重要性などについて説明を受けたという。石原担当大臣は、今回の視察を通して、原子力関連施設の立地・運営への理解を得るために、立地地域との長期的かつ継続的なコミュニケーションを通じて、信頼関係を構築していくことの重要性を感じたと語り、日本における最終処分場の整備事業において、フィンランドの取組みは大いに参考になるとした。なお8月には、中道改革連合の泉健太衆議院議員も超党派の議員連盟によるフィンランド視察に参加するなど、国会議員によるフィンランドの最終処分に関する取組みを視察する動きがみられる。
08 Sep 2026
538
日立グループが顧客やパートナーとの協創に向けたきっかけ作りの場として継続しているイベント、「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」が9月4-5日に東京国際フォーラムで開催された。今回は「環境・幸福・経済成長が調和する『ハーモナイズドソサエティ』の実現」をテーマに、これまで日立グループが積み重ねてきた専門的な領域での知識やデータをAIと掛け合わせることで、幅広い業界との協創を加速させ、社会課題解決に向けた新たな価値創出につながる展示・講演が中心となった。その中で原子力については、小型モジュール炉(SMR)の「BWRX-300」、革新軽水炉の「Highly Innovative ABWR(HI-ABWR)」、高速炉技術、核融合炉技術、原子力メタバースプラットフォームの展示があった。BWRX-300は既に西側初の商用SMRとして、カナダのダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)サイトで建設が進められている。そのほかポーランドやアメリカでも建設が計画されており、海外での実績を積み、将来的には日本での導入も視野に入れている。一方、HI-ABWRでは、放射性物質閉じ込めシステムの開発を進めているという。外部環境への放射性物質の放出を抑えるための従来のフィルタベントシステムに加え、希ガス分離膜と、従来除去することが困難であった有機ヨウ素を除去可能な新ヨウ素除去フィルタを導入し、大気に放出する蒸気と水素から放射性希ガスと有機ヨウ素を除去し、過酷事故時でも住民の避難が不要な状況を目指す。核融合技術については、かねてから量子科学技術研究開発機構(QST)とともに主要な部品の開発・製作を進めており、国際核融合実験炉「ITER」の認証試験にも合格した実績があるが、近年は国内外の核融合スタートアップとの関わりも増えている。担当者によると、原子力メタバースプラットフォームも、実際に国内の原子力発電所で導入実績があり、実際のステークホルダー間での打ち合わせでも円滑なコミュニケーションに役立っているという。
07 Sep 2026
1092
企業と学生の採用・就職活動支援と原子力産業界への理解向上を目的とした「原子力産業セミナー」(主催=原子力産業協会/関西原子力懇談会)が9月5日、東京都立産業貿易センター(東京・港区)で開催され、企業・機関50社が出展し、例年並みの229名の学生らが訪れた。主に2028年卒の大学生・大学院生・高専生が対象で、今回で21回目の開催となる。同セミナーは今後、大阪(9月12日)、福岡(10月17日)に加え、今年初めて仙台(10月10日)でも開催される。東京を含む4会場合計で65社・機関、157ブースの出展を予定している。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、DXやGXの進展に伴う電力需要の増加などを背景に、原子力を最大限活用する方針が示された。既設炉の再稼働や長期運転に加え、次世代革新炉の開発・設置に向けた動きも進むなか、原子力産業界では将来を担う人材の確保がこれまで以上に重要となっており、企業・機関の採用ニーズも高まっている。原子力産業新聞取材チームは今回、出展企業・機関のうち4社に、人材確保・育成に向けた取組みを聞いた。2回にわたり、各社の取組みや学生に訴える自社の魅力を紹介する。■木内計測:「教育力」と「技術力」をアピール原子力発電所などの計装・制御を手掛ける木内計測は、「教育力」を人材確保の大きな強みとして打ち出す。同社によると、社員約400人が国家資格を1人平均4.7保有。昨年には、女性営業社員が電気工事士の資格を取得したといい、担当者は教育の成果を象徴する出来事だと強調する。また、学生には馴染みの薄いフィールド系の仕事について、大学や高専への訪問などを通じて理解促進に取り組むほか、5日間のインターンシップでは31.5時間を実技に充て、実際の仕事を体験する機会を設けている。担当者は「難しそうに感じるが、入り口はそんなに難しくない」としたうえで、繰り返し訓練しながら技術を磨き、一人前になるまで長い目で人材を育てる企業風土も同社の魅力としてアピールしている。同社では足もとの採用も好調で、特に高卒採用はここ数年の3~4名程度から、今年は14~15名程度を見込む。2025年度から給与水準を引き上げたことも奏功したとみている。また、東京都市大学、福井工業大学、近畿大学のエネルギー関連の学生団体をつなぎ、オンラインで定期的に交流する取組みも進める。自社だけでなくフィールド系の仕事そのものを学生に知ってもらうことを狙いとしており、担当者は、学生に対して知名度だけで企業を選ぶのではなく、原子力産業を現場で支える企業にも目を向けてほしいと期待を寄せた。フィールド系の仕事については、「自分がやって考えた結論が、そのプラントを直接的に支えているという実感を持てる」と魅力を語る。関西電力管内の原子力・火力発電所をはじめ、各地の原子力関連施設で業務に携わってきた技術力を背景に、原子力産業を現場から支える仕事の魅力を学生に訴えている。■日本原子力発電:原子力専業ならではの魅力を発信日本原子力発電では、発電所の再稼働を目指した準備が進むなか、人材需要が高まっており、会社として採用活動を強化している。担当者は、自身が入社した4年前と比べ、「原子力に対する学生の印象はだいぶ変わってきている」と指摘。エネルギー問題への関心の高まりなども背景に、原子力の必要性を理解する学生が増えているとの感触を示し、応募者も増加傾向にあるとした。一方、高卒採用については、震災前の水準には戻っておらず、東海地区でも厳しい状況が続くという。こうしたなか、同社では従来の採用活動に加え、YouTubeで社員インタビューなどの動画を公開するほか、自社の採用サイトも充実。新卒だけでなくキャリア採用も含め、幅広い層との接点づくりを進めている。学生にアピールする同社ならではの魅力の一つが、日本の原子力発電開発を草創期から担ってきた原子力専業の事業者であることだ。担当者は、原子力に確実に携われることに加え、会社の規模が比較的小さいことで上司との距離が近く、若手でも自らの提案を実現しやすいことを他社との差別化ポイントとして挙げる。また、再稼働に至っていないことによる採用面での難しさがあるなか、学生にはその先の原子力事業も積極的に伝えている。再稼働に加え、高速炉開発や敦賀3、4号機の建設予定地などにも触れながら、将来、幅広い原子力事業に携われる可能性をアピールしているという。次回は、発電設備技術検査協会、アトックスを紹介します。
07 Sep 2026
853
原子力規制委員会は9月2日の定例会合で、新たな人事戦略を策定した。従来の「職員の人材育成の基本方針」を見直し、新たに採用の方向性を盛り込んだ。採用から育成、配置、評価までを一体的に進める。 規制委では、一般行政職技術系の50代以上が約55%を占めるなど、職員の高齢化や中堅層の不足が課題となっている。特に検査分野では、職員178人のうち約7割が50代以上を占める。審査・検査分野では今後、多くの定年退職が見込まれる。 こうした状況を踏まえ新戦略では、採用面の具体策として、Web広告などの活用や大学・学会を通じた採用活動の強化を盛り込んだ。また、炉物理、原子燃料、機器耐震など、専門性の継承が課題となる分野を中心に、採用・育成を進める。 戦略策定には、国際原子力機関(IAEA)が今年実施した総合規制評価サービス(IRRS)の勧告も反映した。IRRSは、職員の流動性を維持・促進するための措置や、人事の柔軟性を高めることを求めた。今回の戦略では、独立性を担保しながら人材の流動性を確保する観点から、原子力規制庁職員を原子力利用の「推進」に関係する行政組織へ異動させない「ノーリターンルール」や再就職等規制に関する課題を整理することが盛り込まれた。 また、2027年度の機構・定員要求では、規制庁の体制強化に向け60人の増員を要求した。内訳は、再処理施設の本格稼働や福島第一原子力発電所の廃炉などへの対応が24人、新技術への対応が14人、DXの推進や専門人材の確保などが22人となっている。
04 Sep 2026
734
原子力規制委員会は9月3日、実用発電用原子炉およびその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査基準の一部改正案を公表。パブリックコメントの募集を開始した。現行の審査基準では、運転中保全(OLM)((米国での呼称:On-Line Maintenance(OLM))について、やむをえない場合を除いて、能動的に実施することが許可されていない。一方、原子力エネルギー協議会(ATENA)からの提案を受け、2025年4月から複数回にわたりOLM実施の現場実証が行われてきた。これらを踏まえ、2026年3月の原子力規制委員会で、AOT(Allowed Outage Time)((運転上の制限を逸脱した場合に要求される措置の完了時間))の範囲内でOLMを計画的に実施することが了承された。今回の改正案では、OLMを計画的に実施することを許容した上で、その際に事前に講ずるべき措置を規定する。改正案には、施設管理実施計画に基づきOLMを実施する場合、①AOT内に完了すること、②保全作業中に必要な安全措置を講じること、③あらかじめ確率論的リスク評価(PRA)等を用いて、安全措置の有効性を検証しておくことが規定されている。さらに、原子力規制庁の検査官が検査実施時に使用する基本検査運用ガイドにもOLM実施時の検査実施手順を新設する。パブリックコメントはwebまたは郵送で受け付けており、募集期間は10月2日まで。
03 Sep 2026
731
東京電力は9月2日、福島県双葉町に福島第一原子力発電所の廃炉作業を着実に進めることを目的とした技能訓練施設と環境試料の分析施設を開設することを発表した。同発電所から直線距離で約5kmの場所にある双葉北小学校旧校舎を活用する。双葉町が2026年5月に立ち上げた、「双葉北小学校旧校舎等利活用事業公募型プロポーザル」に東京電力が応募し、審査を経て優先交渉権者に選定された。敷地面積は約2万平方メートルで、鉄筋コンクリート造3階建ての旧校舎だけでなく、体育館やプールなどの解体跡地や校庭も活用対象。技能訓練施設では、福島第一の作業や現場環境を再現した訓練を目的に、放射線防護装備を着用した状態での作業や非常に狭い場所での作業を行える環境を整備する。また、分析施設では、福島第一構外で採取した生物や海水などの試料を分析し、セシウム137等の測定などを行う。東京電力は今後、計画の具体化に向け、双葉町との協議や手続きを進める。
03 Sep 2026
708
関西電力は9月1日、定期検査中の美浜3号機(PWR、82.6万kW)について、9月15日に送電を開始することを明らかにした。営業運転再開は10月上旬の見込み。美浜3号機は5月8日に高圧タービンからの蒸気漏れが確認され、原子炉を手動停止。6月16日から定期検査入りしていた。定期検査は計画通りに進捗しているという。蒸気漏れについてはその後の調査により、高圧タービン車室((蒸気発生器で発生した蒸気で回転するタービンの羽根(動翼)や固定翼(静翼)を覆うカバー))の上部車室閉止キャップのうち1つにあった、縦約1cm、横約8cmの損傷が原因と判明した。損傷部分のさらなる分析により、損傷のあった閉止キャップの内面に、流れ加速型腐食(FAC)((主に炭素鋼で発生する、流れの影響により金属表面の保護皮膜が水中へ溶出することで、腐食が加速する現象))が発生し、内面から外面に向けて減肉が進行して、損傷に至ったと推定された。これを踏まえ、今回の定期検査では耐腐食性を向上させた閉止キャップへの交換を行ったほか、高温・高圧の蒸気や水が流れる全ての機器を点検。また、新たな点検ガイドラインの策定などの対策も実施した。美浜3号機は12月1日に運転開始から50年を迎えるため、2025年12月に関西電力が原子力規制委員会に50年超運転に向けた長期施設管理計画を提出している。
02 Sep 2026
793
北海道電力は9月1日、泊発電所(PWR、91.2万kW)構内に雑固体廃棄物処理施設を設置するため、北海道並びに泊村、共和町、岩内町、神恵内村へ安全協定に基づく事前協議を申し入れたと発表した。固体廃棄物貯蔵庫に保管している雑固体廃棄物を安全に固型化処理し、搬出するための雑固体廃棄物処理施設を泊発電所構内に設置する計画。雑固体廃棄物は防護服、手袋、紙類、金属片などで、放射能レベルに応じて処理した後、固体廃棄物貯蔵庫に保管し、青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターへ搬出する。雑固体廃棄物のうち可燃物は、焼却してドラム缶に詰め、搬出する。不燃物は様々な材質や大きさのものが混在して保管されているため、その後の処理がしやすいように分別した後、必要に応じて切断や圧縮減容しモルタルで固型化しながらドラム缶に詰める。今回の雑固体廃棄物処理施設で対応するのは、不燃性の雑固体廃棄物のみ。雑固体廃棄物処理施設は鉄筋コンクリート造3階建てで、固体廃棄物貯蔵庫の西側、海抜39mの地点に建設する計画。充填固化体を年間1,000本以上処理することを見込んでいる。
02 Sep 2026
590
経済産業省・資源エネルギー庁は8月31日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分地選定に向けた文献調査を茨城県常陸大宮市に申入れた。文献調査が実施されれば、本州では初。文献調査は、処分地選定の最初の段階で、地域の地質に関する文献・データについて机上調査を行うもの。およそ2年程度の調査期間中、国から最大20億円が交付される。放射性廃棄物は一切持ち込まれない。公開された申入れ文書によると、2017年に経済産業省が作成した「科学的特性マップ」により、同市内には最終処分場の建設に適した特性が確認できる可能性が相対的に高い地域があり、高レベル放射性廃棄物等の最終処分場を設置し得る未利用地が存在しているという。さらに、資源エネルギー庁が原子力発電環境整備機構(NUMO)に調査の実施見込みを確認したところ、その見込みがあるとの回答があったほか、同市内の有志から文献調査を求める要望があったことも踏まえ、今回の申入れに至った。常陸大宮市の鈴木定幸市長はコメントを発表し、「私自身も、将来世代に責任あるまちづくりを進める観点から、最終処分の調査については、選択肢の一つになる可能性も考慮し、これまで情報収集に努めてきました」と説明。そのうえで、「まずは、この地域が適した地域であるか否か、文献調査を実施し、地下環境の適性について情報を得ることが、議論を始めていく第一歩になるのではないかと考えております」と述べた。文献調査の対象となっているのは現在、北海道寿都町、北海道神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村南鳥島の4町村。このうち、寿都町と神恵内村では文献調査が完了し、報告書が公開されている。今回のように国から文献調査の申入れを行ったのは南鳥島が初で、今回で2例目。
01 Sep 2026
773
福井県の石田嵩人知事は8月28日、臨時記者会見を開き、関西電力の美浜発電所(PWR、82.6万kW)と高浜発電所(PWR、82.6万kW×2基、87.0万kW×2基)の使用済み燃料乾式貯蔵施設(高浜は第一期)の設置について、立地地域の安全性向上にも寄与する点や六ヶ所再処理施設の進捗状況と見通しなどを踏まえ、建設を事前了解することを発表した。関西電力はこれを受け、美浜と高浜(第一期)の設計及び工事計画の認可(設工認)について、準備が完了次第、原子力規制委員会(規制委)に申請を行う予定であると発表した。関西電力は2024年2月に、福井県と美浜町、高浜町、おおい町に対し、安全協定に基づく事前了解願いを提出していた。また、関西電力は、2025年5月には高浜(第一期)、2025年10月に美浜の原子炉設置変更許可を規制委から取得した。なお高浜(第二期)の使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置については、原子炉設置変更許可申請を2025年6月に行った。乾式貯蔵施設とは、プールで一定期間冷却した使用済み燃料を、「キャスク」と呼ばれる金属容器に収容し、空気の自然対流によって冷却する方式の貯蔵施設。水や電源を用いないため、維持管理が比較的容易であり、海外で多くの使用実績がある。日本においては、乾式貯蔵施設での貯蔵はあくまで一時的なものとされており、使用済み燃料の再処理を前提としている。使用済み燃料の貯蔵量は、美浜で約100トン、高浜(第一期)で約240トンを予定している。会見終盤、石田知事は、今後、乾式貯蔵施設への使用済み燃料の搬入計画を厳格に確認し、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップを適切に確認、必要な対応を求めるとともに、国に対し責任を持って進捗管理を行い、事業者を指導監督するよう求めるとした。
31 Aug 2026
750
大阪府に本社を置く第一稀元素化学工業は8月25日、重要レアメタルの一種である「ハフニウム」の国内製造技術を確立したと発表した。2026年内に半導体用途などに向けたサンプル提供を開始し、生産規模拡大に向けた技術開発を経て、2028年の国内量産化を目指す。ハフニウムは、AI・データセンター向け半導体や航空宇宙分野などに用いられるレアメタル。原子力分野では、中性子を吸収する性質を生かし、原子炉の出力を調整する制御棒の材料として利用されている。自然界ではジルコニウム鉱石に微量に含まれるが、ジルコニウムとハフニウムは化学的性質がよく似ているため、分離・精製には高度な技術が必要で、国内での商用生産は事例に乏しいという。第一稀元素化学工業は、ベトナムの生産拠点でジルコニウム鉱石を精製し、中間原料となる「ジルコニウム中間体」を製造している。これを日本に運び、国内の生産拠点で最終製品となるジルコニウム化合物に加工している。今回確立した製造技術では、この中間体に微量に含まれるハフニウムを、液体から特定の成分を選択的に取り出す「溶媒抽出技術」を用いて国内で分離・精製する。同社は、ジルコニウム化合物を中心に、レアアース化合物などの無機化合物の製造・販売・研究開発を手掛けている。ハフニウムを分離することで、ジルコニウムの純度をさらに高めることも可能になるという。ジルコニウムは中性子を吸収しにくい性質などから、原子炉の燃料被覆管などに用いられている。
31 Aug 2026
695
政府の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」(議長=高市早苗首相)は8月26日、昨今の中東情勢を踏まえ、エネルギー需給構造の強靭化を目的とする政策パッケージ「パワーGX(POWERR GX((Policy Package for Wide Energy and Resources Resilience through GX」の略称)))」を取りまとめた。その中で原子力について、安全性を大前提とした最大限の活用を掲げたほか、高市首相は次世代革新炉の早期導入に向け、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の機能強化を改めて明言した。「パワーGX」では化石燃料の調達安定性の抜本的向上と、投資拡大によるエネルギー転換・供給力増強・効率向上が柱となっており、原子力分野では2040年代2~5基、2050年代11~14基という建て替え見通しを見据え、次世代革新炉の社会実装に向けた研究開発・投資判断を促す措置の具体化、最終処分などバックエンドの取組加速、規制体制の充実・強化を行うとした。その中で7月の原子力関係閣僚会議で決定した、NEDOの役割強化にも言及があった。さらに、産業資源であるコンビナートや地域に偏在する脱炭素電源等を核に、「新たな産業クラスター」の創出を目指す「GX戦略地域制度」についても続報があり、4月24日に一次審査の結果として決定した「有望地域」の中から、近日中に「GX戦略地域」の第一弾の認定が行われることが発表された。有望地域の中には、青森県六ヶ所村、茨城県日立市、新潟県柏崎市、島根県松江市、鹿児島県薩摩川内市などが含まれている。
28 Aug 2026
1256
原子力規制委員会(規制委)は8月26日、特定重大事故等対処施設(特重施設)と所内常設直流電源設備(3系統目)の設置期限を見直す関係規則の改正を正式決定した。 あわせて、意見公募に寄せられた152件の提出意見への回答案を了承した。 規制委は、提出意見を受けて参照先の表記を正す記載上の修正1点を加えたが、規則改正案の内容に実質的な変更はなかった。今回の改正では、特重施設などの設置までの経過措置期間を5年間のまま維持し、その起算点を本体施設の「設計及び工事の計画認可(設工認)」の日から「使用前確認日」に変更する。 規制委は、現行制度では過去12件のうち期限内に特重施設が完成したのは1件だったのに対し、新たな起算点を当てはめると9件が期限内に収まると説明。 意見公募では安全性への懸念も寄せられたが、規制委は、特重施設が完成しないまま運転できる期間は大幅には増えず、現行制度と比べ安全上の大きな差異はないとしている。見直しの対象は、現行制度に基づく経過措置期間が満了していない女川2号機、島根2号機、柏崎刈羽6号機など。 女川2号機の設置期限は2026年12月から2029年12月となる。一方、既に期限が満了した東海第二と柏崎刈羽7号機は対象外とした。 同日午後に行われた規制委と東北電力経営層との意見交換で、東北電力の石山一弘社長は、今回の見直しについて、過去の工事実績に基づく「規制の継続的な改善」との認識を示し、女川2号機の特重施設について「早期完成を目指していく」と述べた。
28 Aug 2026
911
政府は8月25日、福島第一原子力発電所事故後の福島県内の除染作業などで生じた除染土のうち、放射能濃度が比較的低く再利用が可能とされる「復興再生土」(放射能濃度が8,000Bq/kg以下)について、各府省庁の地方支分部局等で再利用する方針を示した。まずは、宮城県にある仙台合同庁舎と埼玉県にあるさいたま新都心合同庁舎での実施で調整している。首相官邸にて開催された、全閣僚が出席する「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議(第4回)」で明らかとなった。仙台合同庁舎とさいたま新都心合同庁舎の花壇などで計2立方メートル使用することを計画している。除染土は、法律により2045年3月までに福島県外で最終処分を完了するために必要な措置をとることが定められている。最終処分の量を可能な限り減らすため、復興再生土を公共事業などで活用する「復興再生利用」が進められている。2025年7月に復興再生土が首相官邸の前庭で芝生の基盤材として使用されたほか、2025年9~10月には環境省、復興庁等など9か所で、今年4月に防衛省など2か所で使用され、これまで計12か所での使用実績がある。これまで各所での工事後、空間線量率の測定を工事後1ヶ月間は週1回、その後1年間は月1回測定を行っている。施工前の同一地点の結果に対し、平均して0~+0.04μSv/hで、人体への影響を無視できるレベルという。全国知事会東日本大震災復興本部長でもある埼玉県の大野元裕知事は、8月25日に行われた定例記者会見で、今回の政府方針について意見を聞かれ、福島復興については、日本全体で取り組むべき課題と表現し、復興再生土の利用に関しては国や全国の自治体が自分ごととしてしっかりと向き合う必要があると述べた。その上で、安全で確実な施工や、モニタリングの情報開示など国民の理解を得る最大限の協力を求めたいと語った。
26 Aug 2026
703