
原子力委員会は5月13日、日本原電執行役員の神谷昌伸氏より、「敦賀発電所2号機の再稼働審査に係るこれまでの経緯と追加調査について」の報告を受けた。同2号機は、1987年2月に営業運転を開始し、2011年5月まで約24年間稼働していたが、福島第一原子力発電所の事故を受けて運転を停止している。同機は2024年11月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査において、敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の後期更新世以降の活動性を否定できない(約12~13万年前)こと、また、K断層が原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性を否定できないことが指摘され、「新規制基準に適合しない」との判断がなされた。しかし日本原電は、安全性を確認した上で同機の再稼働を目指す意向を示している。神谷氏によると、同社では社外専門家の意見も参考にしながら、昨年10月より「K断層の分布と性状」、「K断層の活動性と連続性」、「その他破砕帯等の地質データ取得」に関する調査を実施している。そのために、発電所敷地内でのボーリング調査、立坑・横坑の掘削によって岩盤を直接観察する調査等を進めており、すでに立坑工事は工期終盤に入り、来月には横坑掘削が始まる予定だという。同社では、調査を通じてK断層等の性状をより詳細に調査し、再稼働に向けた再申請のためのデータを収集する方針だ。同委員会の後半、追加調査、そして、審査における当該断層の評価や追加調査の在り方について意見が交わされた。原子力委員らから、K断層の活動性や連続性をめぐる評価について、「どの範囲まで調査し、どのようなデータを示せば、当該断層の活動性や連続性を否定できるのか」「どういったデータを示せば再稼働に向けて必要なデータを揃えることが達成できたと言えるのか」との指摘があった。これに対し神谷氏は、追加調査やデータを着実に積み重ねながら、総合的に評価していく考えを示した。また、調査地点についても、「限られた調査地点から総合的に評価する必要があり、どこの地点を選定するのかが重要になる」と述べた。また、2年程度を見込んでいる追加調査の進捗について神谷氏は、「おおむね順調に進んでいる」とコメントした。さらに、長期の運転停止が続く原子力発電所の再稼働をめぐる地元の反応について神谷氏は、日本原電と地元自治体が築いてきた関係性に言及しつつ、「当該地域にはさまざまな意見があるが、規制側・事業者側の双方が、透明性をもって再稼働に向けたプロセスを進めていくことが重要だ」と強調した。また他の委員は、福島第一原子力発電所事故以降、原子力を巡るリスク評価が多角的に進められているとの認識を示したうえで、原子力発電所の再稼働を実現するためには、社会的なコンセンサス形成に向けた不断の努力が重要であり、引き続き丁寧な説明や対話の継続を日本原電に求めた。その他、追加調査で得た知見を、同様の課題を抱える他電力会社と共有すること等が提案され、神谷氏は、各社に共通する課題を整理し、議論を進めていく意志を明らかにした。
18 May 2026
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全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の令和8年度総会が5月14日、都内で開催された。全原協の総会は、原子力発電所などが立地する会員・準会員の首長ら(28市町村)が出席し、前年度の事業・収支決算報告や新年度の事業計画案などを審議するとともに、国に対する原子力・エネルギー政策に関する提言について議論する場となっている。第1部では、全原協会長を務める敦賀市の米澤光治市長は冒頭挨拶にて、中東情勢不安定化等によるエネルギー安全保障上の課題に言及した上で、「脱炭素効果の高い原子力を活用していくことが重要だ」と強調。一方、中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動をめぐる不適切事案について、「国民の信頼を裏切る行為であり誠に遺憾」と述べ、事業者による原因究明と再発防止、国による厳格な指導・審査徹底を求めた。また総会では、2026年度の活動方針として、①被災地の復興、②安全規制・防災対策、③原子力政策、④立地地域対策、の4項目が重点項目に掲げられ、具体的要望事項を国や関係機関に対して要請していくことで了承された。そして、全原協が昨年度立ち上げた「バックエンド問題に関する検討委員会」(委員長:女川町の須田義明町長)が取り纏めた「高レベル放射性廃棄物最終処分に係る提言書」の提出が了承された。同提言書では、文献調査・概要調査に進む際、都道府県知事や市町村長の反対があれば次段階へ進めない現行プロセスについて、「自治体負担が過大」と問題提起。国が主体的に候補地選定を進めること、また、制度・運用そのものの見直しを求めることで一致。これらを「原子力政策の最前線に立つ地元からの切実な声」として、国に対し真摯な対応を求めた。総会後半では、井野俊郎経済産業副大臣、清水真人文部科学大臣政務官が出席したほか、多数の国会議員、内閣府、原子力規制庁、国土交通省などの関係者らが出席し、立地地域との意見交換に臨んだ。今回の意見交換では、9市町村が発言。それぞれの発言後、関連機関の担当職員から回答があった。燃料サイクル政策に関しては、むつ市の齋藤友彦副市長が発言。同市に立地する中間貯蔵施設について、「原子燃料サイクル政策を支える国家的インフラ」と強調。一方で、「バックエンド施設の重要性に対する理解は十分とは言い難い」と述べ、国に対し、「燃料サイクルを支える全ての施設が公平に扱われるよう」求め、制度的支援の在り方について見解を示した。また、立地地域の産業振興策を巡っては、女川町の須田善明町長が発言。企業誘致向けに運用されている「F補助金」(原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業)について、地勢的制約から用地確保が難しい地域では「活用したくても活用できない自治体が少なくない」と指摘。「既存企業支援を後押しするF補助金と同等の制度が存在しない」点に言及し、新たな制度構築の必要性を訴えた。原子力防災を巡っては、石巻市の渡邉伸彦副市長が発言。既存の建物を改修した放射線防護対策施設について、雨漏りなど経年劣化が進行している現状を説明し、「放射線防護機能そのものに影響を及ぼしかねない」と指摘。その上で、既存施設の修繕にも交付金を適用できるよう、制度要件の緩和を要望した。発電所の廃止措置を巡っては、東海村の山田修村長が発言。東海発電所の廃止措置に触れながら、国に対し、廃炉技術や知見共有の必要性とその情報共有の仕組みづくりに関する考えを示した。そして、原子力発電所の再稼働と法の解釈を巡って、刈羽村議会の廣嶋一俊議長と柏崎市の櫻井雅浩市長が踏み込んだ提言を行った。廣嶋議長は、特重施設の設置期限延長方針について、「合理的な判断だ」と評価した一方、既に期限を迎えていたことを理由に対象外となった柏崎刈羽原子力発電所7号機について、「そのロジックを理解できない」と疑問を呈した。その上で、「柏崎刈羽7号機が再稼働できないことは宝の持ち腐れに等しい」と訴えた。また櫻井市長は、同発電所の再稼働の議論を振り返り、第7次エネルギー基本計画に盛り込まれた「立地地域の理解」について、「どの範囲を立地地域とするのか整理されていない」と述べた。同発電所の再稼働を巡っては、新潟県全域で公聴会や意見聴取が実施された一方、「県内には発電所から150km離れた自治体もある」と指摘。福井県や北海道など他地域の原子力発電所に当該距離を当てはめた場合の距離感にも言及し、「都道府県単位で一律に地元合意を求めることが合理的なのか疑問だ」と述べた。その上で、「原子力規制委員会が法に基づき安全性を認めたプラントが長期間稼働できないのは異常だ」と指摘し、これらが長引けば「国家的損失に等しい」との認識を示した。総会の終盤、原子力政策の推進と立地地域支援をめぐって、美浜町の戸嶋秀樹町長が発言。同じく福井県のおおい町の中塚寛町長が、F補助金や電源三法交付金の使途柔軟化など、意見を述べた。また、原子力防災インフラを巡って、同県の高浜町から西嶋久勝町長が発言。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生した事例に触れ、「避難道路の多重化・強靭化は喫緊の課題だ」と訴えた。その上で、国道27号の青葉トンネル改良事業や、舞鶴若狭自動車道の4車線化について早期整備を要望。また、高浜発電所へ通じる県道の老朽化対策や、通信インフラ強化への支援も求めた。
15 May 2026
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関西電力は4月30日、2029年3月期まで3年間の中期経営計画を発表し、原子力分野では、美浜発電所のサイト内でのリプレースに向けた自主調査の実施、次世代革新炉の技術開発、原子燃料サイクルの推進を進めるとした。経営計画の中で、ゼロカーボン電源を強みの一つと位置付け、原子力事業を今後も最大限活用したい考えだ。そして、2040年に向け、需要増加や脱炭素化に対応する電源基盤の構築を進める方針を示した。更に原子力事業において、DXやAIの活用による業務効率化も進める。その中で、安全確保、効率化、人材育成を実現することを目標とする。今後3年間の具体的な施策としては、現場ネットワーク・発電設備の3Dマップの全プラント順次導入と活用、許認可データ基盤の整備・活用推進、AIの利活用による現場業務改善の定着を挙げた。美浜発電所について、昨年11月にはリプレースを見据えた地質調査が再開されており、2段階に分けられた調査は2030年ごろまで段階的に実施される予定。
14 May 2026
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国際原子力機関(IAEA)の職員と専門家で構成されるIAEAタスクフォース※1がこのほど来日し、福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に関する安全性及び規制面のレビュー(安全性レビュー)を、5月11日に開始した。また、同日、外務省にてオープニングセッションが開かれ、日本側から、外務省、原子力規制委員会、経済産業省、東京電力の関係者が出席した。安全性レビューは5日間の日程で実施され、今回はALPS処理水に関連するモニタリング活動に重点を置いたレビューが行われるという。2023年8月のALPS処理水の海洋放出開始後、IAEAタスクフォースによる「安全性レビュー」はすでに5回(2023年10月、2024年4月、2024年12月、2025年5月、2025年12月)実施されており、今回で6回目となった。オープニングセッションでは冒頭、外務省の松本恭典氏(軍縮不拡散・科学部審議官)が、「ALPS処理水の海洋放出が安全かつ着実に進められていることを、大変心強く感じている。また、IAEAが中立的かつ客観的な立場で継続的にレビュー活動を実施していることに対し、深く感謝申し上げる」と述べ、改めて謝意を表明した。また、経済産業省の宮﨑貴哉氏(大臣官房福島復興推進グループ原子力事故災害対処審議官)は、今後もIAEAによる同レビューを通じ、国際安全基準に沿ったALPS処理水海洋放出の安全確保に万全を期す考えを改めて表明。あわせて、IAEAと連携しつつ、国内外に向けた透明性の高い情報発信を継続し、理解促進に努めていく方針を示した。東京電力の佐藤学執行役員は、「2023年8月以降、計19回のALPS処理水放出を実施してきたが、いずれも安全かつ計画通りに進めてきた」と説明。また、IAEAによる同レビュー活動に加え、SNSを通じた情報発信や、IAEA常駐検査官・職員による監視活動が「透明性向上につながっている」と述べた上で、客観性と透明性の維持に向け、今後も常に改善に努めていく姿勢を強調した。同レビューを総括しているIAEAのグスタヴォ・カルーソ調整官は、今後もIAEAがALPS処理水の放出に関する独立した監視機関の中心的役割を担うと説明。モナコやオーストリア・ザイバースドルフ、ウィーンのIAEA環境研究所およびIAEA福島ALPSラボにおいて、各種試料(処理水、希釈水、海洋環境サンプルなど)に関する分析、検証を継続し、分析・検証結果を国内外へと発信すると述べた。またカルーソ調整官によると、2025年から海洋環境、地下水、気象条件に関する追加モニタリングも開始しており、2026年には追加措置プログラムも本格化すると説明した。カルーソ調整官は、「IAEAは今後も、独立性、科学的根拠、透明性に基づくモニタリングを継続していく」と述べた上で、福島で行われているALPS処理水の放出が関連するすべての国際安全基準と整合していることを、引き続き検証していく考えを示した。※1 IAEAタスクフォースには、IAEAからは独立した立場で参加するアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、韓国、マーシャル諸島、ロシア、英国、米国、ベトナム出身の11名の専門家が含まれる
13 May 2026
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経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)のW.D.マグウッド事務局長は4月15日、第59回原産年次大会に合わせて行われた記者会見で、世界的な原子力回帰が進む中、日本の原子力産業が国際的に極めて重要な役割を担うとの見方を示した。一方で、今後急増が見込まれる原子力機器・設備需要に対し、世界全体の供給能力が不足する可能性にも強い懸念を表明した。マグウッド事務局長は、世界各国がエネルギー安全保障や脱炭素化の観点から原子力を再評価していると説明。特に、各国が2030年代半ばを見据えて新規原子力発電所計画が相次ぐ中、製造基盤や人材などサプライチェーンの整備が追いついていないとの危機感を示した。「日本の原子力産業がこの15年間でより強くなったと評価しているが、今後どのような役割が期待されるのか」との質問に対し、事務局長はNEAが約2年前に日本で実施した「国別安全文化フォーラム」に言及。「日本の安全文化の現状について非常に深く理解することができた。ここ数年の進展には非常に強い印象を受けた」と述べ、日本の原子力産業の改善を高く評価した。その上で、「世界的な原子力回帰が進む中、日本の製造業への依存は今後一段と高まる」と強調。特に、圧力容器や蒸気発生器といった大型機器に加え、タービン発電機などのBOP機器分野でも、日本企業の存在感が大きいとの認識を示した。一方で、「今後数年間にわたり生じる需要に対して、(機器や設備の)供給能力が十分ではない可能性がある」と指摘。各国のエネルギー担当閣僚との対話では、「2030年代半ばまでに新規原子力発電所を建設したい」との声を多く聞くとした上で、「現在の世界全体の供給能力では、それを支えるには不十分だ」と述べた。また、メーカー側には生産能力増強に向けた設備投資が必要となる一方、「多くの企業は、本当に市場が立ち上がるのかという確実なシグナルを待っている」と説明。さらに、「新規プロジェクトを検討する際、最初に日本の同業者へ連絡する」と述べ、原子力産業界における日本企業への信頼の高さを示唆した。 会見ではこのほか、人材不足や小型モジュール炉(SMR)の初号機リスク、地政学リスクなどについても質問が出た。人材面では、OECD諸国全体で科学技術分野に進む若者の数が退職者数を補えていない状況にあると説明。特に日本については、少子化が長期的課題になっているとした上で、「人材育成に重点的に取り組む必要がある」と指摘した。また、SMRについては、「コストそのものよりも不確実性が大きな課題」と説明。初号機建設には大きなリスクが伴う一方、MicrosoftやGoogleなどの大手IT企業が、そうしたリスクを引き受ける“ファーストムーバー”として重要な役割を担う可能性があるとの見方を示した。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえた原子力施設の安全性については、「原子力施設は極めて堅牢」としつつも、「武力紛争時に原子力施設を保護するための国際的な枠組みは、現状では不十分」と指摘。将来的には、新たな国際的合意形成が必要になるとの見方を示した。福島第一原子力発電所の廃炉については、「多くの安全上のリスクは既に低減または除去されている」と評価。英国セラフィールドや米国ハンフォードの例を挙げながら、「こうしたクリーンアップには数十年単位の時間が必要」と説明した。その上で、「慎重な分析なしに問題解決を急ぐ方がむしろ懸念される」と述べ、日本政府や東京電力による現在の段階的対応に信頼感を示した。
13 May 2026
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IHIは5月8日の決算説明会で、2026年度からの中長期経営計画を公表した。エネルギー分野では原子力事業を成長分野の一つに位置づけ、生産体制や人材の強化、次世代炉分野への投資を進める方針を示した。同社はエネルギー分野における2040年に向けた成長シナリオとして、原子力事業に関し、国内原子力分野での基盤強化を打ち出した。その実現に向け、原子力発電所の再稼働に備えた生産体制および人員の強化、六ケ所再処理工場の竣工対応と運転・技術支援、再処理から廃棄物処理・最終処分までを含む事業体制の構築を目指す。同社は原子力事業を、投資を加速することで売上高を伸ばす「成長事業」の一つに位置付け、国内のみならず海外市場も視野に入れた上で、生産力を強化する。同日に発表された同社の2025年度決算説明資料においても、今後2026年度から2028年度にかけて、原子力事業を含む成長・育成事業に優先的に資金を配分すると説明。原子力事業の具体的な投資テーマとして、圧力容器や鋼製モジュールの製造技術力・生産性向上や小型モジュール炉(SMR)などの次世代原子炉の開発を挙げた。同社は今年3月、米国のX-energy社と高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結。昨年は、ルーマニアのSMR計画向けにでの鋼製モジュールのモックアップ製作を受注するなど、同社は近年、SMR関連や高温ガス炉分野で海外案件への関与を進めている。
12 May 2026
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AI(人工知能)の研究の国内第一人者である、東京大学松尾・岩澤研究室発のスタートアップ企業である株式会社EQUES(エクエス)は5月8日、原子力産業向けAI事業の構想を発表した。同社は、目指す事業内容として、AIを使用したロボットによる原子力施設の保守・点検作業の実施、設備やセンサーのデータを学習したAIによる施設の異常の早期検知などを挙げている。原子力産業においては、安全基準のクリアにあたって判断の根拠の提示が重要となっているが、同社の今回の事業では「説明可能なAI(Explainable AI)」を使用することで、AIがなぜその思考・判断に至ったのか明示出来るようにし、厳格な規制への対応に挑戦するという。原子力施設での保守・点検作業については、巡回点検ロボット、画像解析AI、遠隔支援AIなどとの連携を、異常の早期検知については、デジタルツイン((現実の発電設備などを仮想空間上に再現し、動作や変化を事前に検証する技術))やリアルタイム解析との連携を視野に入れるとしている。同社がエネルギー分野へ参入するのはこれが初めて。今後、原子力事業に留まらず、エネルギープラントやインフラ保守におけるAI導入を狙う。今年3月に米マイクロソフト社がエヌビディア社と連携して、原子力分野の全工程を対象としたAI活用の枠組みを発表したほか、米エネルギー省(DOE)はAI活用推進プログラム「ジェネシス・ミッション」を進めるなど、原子力産業におけるAIの活用には注目が集まっている。
11 May 2026
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日本独自のヘリカル型核融合炉の開発を目指すHelical Fusion(ヘリカルフュージョン)は4月28日、都内で記者会見を開き、「公式パートナー制度」を新設し、その第一弾として、ニチアス、長谷虎紡績、瀬野汽船の3社の参画決定を発表した。同社は現在、最終実証装置「Helix HARUKA」の製造・建設を岐阜県土岐市の核融合科学研究所(NIFS)内で進めており、2030年前後の統合実証を目指している。すでに全国各地の企業と協力関係を構築している同社は、今後、一定の基準を設けた「公式パートナー制度」を通じて、連携企業のさらなる拡大を図る方針だ。公式パートナーは、事業・技術面での連携、一定規模以上の資本提携の両要件を満たす企業を対象とし、最終実証装置「Helix HARUKA」や将来的な発電初号機「Helix KANATA」の製造・建設を主体的に推進する役割を担う。同社の田口昂哉CEOは公式パートナーについて、「主体的にリスクテイクし、自分ごととして覚悟を持って共に進めるパートナーと位置付けている」と説明。また、「さらなる輪を広げていきたい」と述べ、今後の公式パートナーの拡大に意欲を示した。また、田口CEOは、フュージョンエネルギー産業を「日本の産業構造転換に繋げたい」と抱負を示した。半導体やスマートフォン産業を例に、「日本は優れた部品や素材を持ちながら、全体を統合するインテグレーターの立場を十分に取れてこなかった」と指摘。その上で、同分野では単なる要素技術の供給にとどまらず、システム全体を統合し完成品を提供する「インテグレーター」や「プラットフォーマー」として主導権を握ることで、「日本全体の産業構造改革、国内ものづくり産業の再活性化、地域創生につなげていきたい」と述べた。さらに、公式パートナーに参画したニチアスの亀津克己社長、長谷虎紡績の長谷享治社長らも登壇し、最終実証装置「Helix HARUKA」における具体的な役割について説明。ニチアスは高温・極低温環境下に対応する断熱・シール技術、長谷虎紡績はロケット用途にも用いられる耐熱繊維素材などを通じた貢献を紹介した。あわせて会見では、同社が開発を進める「Helix HARUKA」の内部構造映像を初公開。さらに、約27億円の資金調達を完了したことも明らかにし、東京都の「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」を含めた累計調達額は約98億円に達したという。
08 May 2026
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原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2025年度の国内原子力発電所の平均設備利用率は33.6%、総発電電力量は972億3,191万kWhで、それぞれ対前年度比1.3ポイント増、同4.0%増となった。いずれも新規制基準が施行された2015年度以降で最高の水準を更新した。2025年度には、柏崎刈羽6号機(2026年2月16日送電再開、同4月16日営業運転再開)がABWRとして初めて新規制基準をクリアし、再稼働した。これにより、再稼働した原子力発電所は、女川2号機、柏崎刈羽6号機、美浜3号機、高浜1~4号機、大飯3-4号機、島根2号機、伊方3号機、玄海3-4号機、川内1-2号機の計15基・1,460.9万kWとなった。再稼働していないものも含めた国内の原子力発電プラントは、前年度と同じく計33基・3,308.3万kWとなっている。国内の長期運転プラントは、高浜2号機が2025年11月14日に運転開始から50年に達し、同1号機に次いで国内2基目の50年超運転入りとなった。また、川内2号機が同年11月に40年超運転入りした。これにより、再稼働済みプラントのうち40年超運転は計6基となっている。なお、原子力発電所の高経年化対策に関して、「GX脱炭素電源法」に基づく新たな規制が同年6月6日に施行された。2025年度に最も高い設備利用率を記録したのは、大飯原子力発電所4号機で95.0%。これに美浜3号機の88.8%、島根2号機の87.9%が続き、柏崎刈羽6号機を除いた稼働中の全ての原子力発電所の設備利用率は70%を超えた。※2025年度の各プラントの稼働状況はこちらをご覧ください。
07 May 2026
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福井県の石田嵩人知事は4月28日、経済産業省を訪問し、「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化及び原子力発電所立地地域の振興」に関する要望書を、赤沢亮正経済産業大臣に手交した。石田知事は、エネルギー政策は国民生活の安定や産業の発展、国家の安全保障に直結する重要事項だと強調したうえで、第7次エネルギー基本計画に基づく原子力政策の明確化と着実な実行が求められているとの認識を示した。そして、福井県に立地する原子力発電所15基のうち、運転中が7基、廃止措置中が7基(敦賀2号機が停止中)である現状に触れ、同県が安全対策や使用済み燃料対策、立地地域の振興などの分野で全国に先行したさまざまな取り組みを進めていると説明。そのうえで、半世紀以上にわたり、国策である原子力政策に志を持って協力してきた県の首長という立場から、現場の声や課題を踏まえたエネルギー政策を要望した。要望書には、「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化」と「原子力発電所立地地域の振興」の2項目が示された。「エネルギー政策の実行・原子力発電所の安全対策の強化」について石田知事は、4点を要請した。まず、2050年以降を見据えた原子力政策の将来像を明確化し、安全投資や人材確保を後押しするよう求めた。次に、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの着実な実行と、事業者間連携による搬出の加速を要請。あわせて、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた国の厳格な審査と進捗管理を求めた。乾式貯蔵については発電所内の一時措置であることを国が説明し理解を得る必要性を指摘したほか、使用済みMOX燃料については仏での実証研究を踏まえた技術開発の加速と具体策の提示を求めた。このほか、国民理解の促進と、安全対策への投資を支える事業環境の整備を求めた。また、「原子力発電所立地地域の振興」では3点を要請。避難道路整備のための別枠財源の確保や、北陸新幹線(小浜・京都ルート)の早期認可・着工、舞鶴若狭自動車道の4車線化などを挙げ、これらが有事の安全確保にも資すると強調した。あわせて、クリアランス制度推進に向けた関連事業者への支援具体化と、電源三法交付金の充実も求めた。これに対し赤沢大臣は、電力需要の増加を踏まえ、「原子力と再エネの二項対立ではなく、双方を最大限活用することが重要」と述べ、エネルギー安全保障の観点からも、脱炭素電源を最大限活用することが不可欠との認識を示した。その上で、原子力の将来像に関する議論を深めるとともに、事業環境整備を進める考えを表明。使用済み燃料対策では、関西電力のロードマップの着実な実行と事業者間の連携強化の重要性を指摘。六ヶ所再処理工場の竣工に向けて国として進捗管理と支援を行う方針を示した。さらに、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する理解促進に取り組むとともに、使用済みMOX燃料については日仏協力のもとで実証研究を進め、2030年代後半の技術確立を目指すとした。立地地域振興や、クリアランス制度の活用、電源三法交付金のあり方についても関係省庁と連携し対応していく考えを示し、電源三法交付金のあり方についても検討を進める考えを示した。そして最後に、「福井県の皆様の声をしっかり受け止め、政策に反映していく」と述べた。
01 May 2026
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三菱総合研究所(MRI)は4月15日、「高レベル放射性廃棄物最終処分地選定への提言 実行性のある選定プロセス構築に何が必要か?」と題したコラムを公表。高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分地選定プロセス(文献調査→概要調査→精密調査→処分地選定)の実態と課題を明らかにしたうえで、意思決定を地域任せにしない環境整備に向けた方策を提言した。同コラムは冒頭、現行の最終処分地選定プロセスの制度化から25年以上が経過した現在も、文献調査の実施地点が3地点(※コラム執筆時、現在4地点)に留まっていることに言及。なぜ現行プロセスでは、「文献調査地点が広がらないのか」「選定プロセスが次段階(概要・精密調査)へ進まないのか」の2点を課題に挙げ、停滞状況にある現状を憂いた。その理由のひとつとして、選定プロセスの進展が実質的に地域の発意や意思決定に委ねられている点にあると記された。国が定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」では、文献調査の受け入れや次段階への移行には、「国が都道府県知事や市町村長の意見を聴き、これを尊重しなければならない」と定められた規定(尊重規定)が存在し、調査の進展が地域の判断に大きく左右される構造であると指摘した。無論、この尊重規定は、選定プロセスの可逆性と地域による実質的な拒否権を担保するもので、地域の意向に反して国が一方的に進めることを避けるための規定であるが、同コラムでは、この尊重規定を踏まえつつ、調査地点の拡大とプロセスの進展を進める方策を3点、提言した。【意思決定を地域任せにしない環境整備に取り組む方策】①国として積極的な申し入れや意思の提示を行い地域の意思決定の一助とすること②責任の分担方策の導入と地域インセンティブに関する議論機会の設定③柔軟性のある調査ステップへの見直し同コラムでは、この状況を打破するカギは「地域の意思決定の一助」にあるとし、国が主体的に関与し、地域の意思決定を後押しする必要性を挙げた。今年1月、赤沢経済産業大臣が全都道府県知事に対し、処分地選定に向けた調査について「地域任せにすることなく、国の責任で協力を求めていく」とした文書を発出。そして、今年4月、新たに東京都小笠原村での文献調査の実施が決定。同件は、国が主導して地方自治体に文献調査を申し入れ、受け入れが正式に決定した初の事例となり、まさに、国が主導してHLWの処分地選定プロセスを進めていく姿勢の表れであり、一歩前進したと評している。コラムを執筆したMRIの防災・レジリエンス政策本部の小野寺将規氏と、インフラ・都市政策本部の伊原隼人氏は、南鳥島の特殊性を加味すると、必ずしも後続地域への調査申し入れ・選定プロセスの進展がスムーズに進むとは限らない可能性にも言及する。また、最終処分法における尊重規定は、「概要調査地区等の所在地を定めようとするときは…」と規定されており、文献調査から概要調査、概要調査から精密調査、精密調査から処分地選定、といったタイミングで発生するものだと解釈されると指摘。そのため、今回の小笠原村の事例のように、文献調査申し入れ時、厳密には尊重規定の適用対象外と考えられるため、法令上の観点で構造の変化、大きな影響は無いものと言える。こうした事例を今後、増やしていけるかがカギとなる。MRIは2点目として、責任の分担と地域インセンティブに関する議論の必要性を指摘。調査受け入れの判断は地域に大きな影響を及ぼすことから、特定の個人や組織に責任が集中しない仕組みが求められるとし、住民や議会などの意見を意思決定の前提に位置付けるなど、地域参画の枠組みを組み込むことを提言した。また、処分場受け入れに伴うリスクを踏まえ、地域振興策などについて国と議論・調整できる場の整備も必要だと訴えた。当該自治体は文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円の交付金を得ることが可能だが、そうした金銭的なインセンティブ以外の提示も重要だと訴えた。そして第3に、調査ステップの柔軟化を挙げた。現行の3段階の処分地選定プロセスについて、文献調査と概要調査を一体的に扱うなどの見直しを行うことで、より実態に即した情報に基づく判断が可能になるとし、地域の要望に応じた柔軟な運用を検討すべきだと記した。
28 Apr 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は4月8日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に用いるオーバーパックの製作技術について、今後の技術展望を取りまとめた報告書を公開した。検討の結果、炭素鋼製および銅コーティング型のいずれについても、既存の産業技術を活用して製作可能であることが確認され、処分システムの実現性を支える重要な技術基盤が整いつつあることが示された。オーバーパックとは、ガラス固化体を入れて密封する金属製の容器を指し、ガラス固化体と地下水の接触を防ぐ役割を担うもの。ガラス固化体の放射能や発熱の影響が大きい初期段階において、閉じ込め機能を確実に維持するために必要で、その性能確保こそ、地層処分の安全性を支える重要な要素となる。そのためNUMOでは、品質を確保した上で、より効率的にオーバーパックを製作する技術が求められており、長年、研究が進められてきた。オーバーパックの材料は、腐食特性や材料強度、耐放射線性、調達性やコスト、使用実績など、様々な観点から検討され、これまでのところ鉄(炭素鋼製)が有力候補である。一方で炭素鋼を標準設計の材料としつつも、代替材料として腐食に強い銅を表面にコーティングする技術(銅コーティング型)も長年検討され、最近はこの溶接方法の効率化の検討が進んでいた。同報告書によれば、炭素鋼製と銅コーティング型のいずれの方式についても、一般産業で確立された技術を活用することで製作が可能であり、必要な技術基盤はすでに整っていることが確認されたという。さらに、複数のガラス固化体を収納する大型のオーバーパックについても、既存の製作・接合技術を基本に適用可能であることが確認され、将来的な処分作業の効率化や設計の幅の拡大につながる知見が得られたと記された。NUMOはあわせて、ガラス固化体の設置方式として検討している「横置き・PEM方式」の高度化についても言及。同方式では構造の見直しにより、オーバーパックおよび緩衝材の重量を従来比で約3分の1に軽減できる可能性が示されており、設備の小型化や搬送・設置作業の効率化につながるとみられる。NUMOは、これらの技術的知見を今後の処分事業や安全評価に反映し、操業時の安全性を確保しつつ、より柔軟な処分場設計の実現につなげていく方針。
27 Apr 2026
743
量子科学技術研究開発機構(QST)と日本原子力研究開発機構(JAEA)は4月13日、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR) ※1が、2月12日に公表した最新の報告書「UNSCEAR 2024年報告書 (Volume.2)」において、JAEAが開発した宇宙線挙動解析モデル「PARMA」が採用されたと発表。あわせて、QSTが同モデルを用いて算出した公衆の宇宙線被ばく線量も同報告書に採用された。高精度な「世界の宇宙線被ばく線量地図」の作成に両機構が大きく貢献し、世界の公衆被ばくにおける影響評価の基礎データへの利用が期待されるという。同報告書によると、自然放射線源からの世界平均年間実効線量は約3.0mSv(ミリシーベルト)と推定される。地球上では、自然放射線による被ばくは日常的に生じており、その線量の把握はリスク評価の基礎となっている。UNSCEARは自然放射線による被ばく線量を最新の科学的知見に基づき、適宜見直しを行ってきた。自然放射線のうち宇宙から飛んでくる宇宙線は、高度や緯度、太陽活動によって大きく変動するため、従来の評価手法では十分に反映しきれず、以前から、世界平均線量が過大に評価される課題が指摘されてきた。しかし、JAEAが開発したPARMAモデルは、大気中での宇宙線の挙動を物理学的に精緻にシミュレーションし、あらゆる条件下での線量を解析的な数式で与えることができるという。この、画期的なモデルを用いることで、地球上のあらゆる地点における高度や緯度・経度、さらには日付に対する宇宙線強度や被ばく線量を導き出すことが可能になった。同報告書はこのPARMAモデルを、「現在利用可能な最も信頼性の高いモデル」と位置付けており、QSTはこれを用いて、地球上の居住地域を1km四方のグリッドで約3,000万地点の宇宙線被ばく線量を解析。人口分布データも組み合わせることで、世界各地の実態に即した線量評価を行った結果、「世界の宇宙線被ばく線量地図」が完成。報告書の基礎データとして全面的に採用された。なお、宇宙線による全世界平均の年間実効線量は、従来の0.38mSv/年から0.30mSv/年へと見直された。今回、日本発の解析モデルが採用されたことで、宇宙線による被ばく線量の評価精度は一段と向上。こうした成果は、日本の放射線科学分野における国際的な存在感を示すとともに、今後の放射線防護や被ばく評価の高度化につながるものとして期待される。※1 1955年設立。日本を含む31の加盟国から任命された科学分野の専門家で構成され、人やその環境が受ける放射線被ばくのレベル、影響、リスクについて評価し報告が任務。
23 Apr 2026
798
東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月20日、高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分に関する文献調査について、国の申し入れを受け入れる考えを表明した。翌21日、経済産業省を訪れ、赤沢経済産業大臣に回答書を手交。これにより、南鳥島での文献調査の受け入れが正式に決まった。文献調査を実施する自治体は、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き、南鳥島が国内で4例目。他の3地点と異なり、南鳥島は全域が国有地で、民間人は居住していない。また、国が主導して地方自治体に文献調査を申し入れ、受け入れが正式に決定した初の事例となる。渋谷村長は会談の冒頭、3月3日の赤沢大臣の申し入れ以降、村民や議員との意見交換に加え、村内外から多様な意見が寄せられたことに言及。そのうえで、「賛否を一つに絞るのではなく、寄せられた意見をそのまま国に返すべきだと考えた」と述べ、文献調査の実施可否について「国の責任で判断すべき」との認識を改めて示した。さらに渋谷村長は、4月13日に同村が公開した「文献調査申し入れに対する村長見解」に記された5つの要請事項の順守を徹底するよう、赤沢大臣に直接要請した。そして、住民説明会が1度行われたのみであることや、村民が抱く風評被害への懸念等に触れ、「引き続き情報提供の場を設けるとともに、住民が理解を深める機会を確保してほしい」と強調した。渋谷村長が提示した5つの要請事項は、次のとおり。①エネルギー政策や処分方法に関する長期的な検討の継続②他地域への調査拡大③住民向け説明会や専門家による情報提供の強化④遠隔地である地理的条件への配慮・風評被害対策⑤文献調査が最終処分場の建設決定に直結しないことの明確化これに対し赤沢大臣は、エネルギー政策の基本である「S+3E(安全性+安定供給、経済効率性、環境適合)」のバランスをふまえ、責任ある政策を進めていく考えを示した。そのうえで、最終処分については将来世代への負担軽減の観点から、減容化に向けた技術開発を着実に進めるとした。また、諸外国の事例もふまえ、科学的に適地を選定するためには多角的な調査が必要との認識を示すとともに、対象地域の拡大に向けて今後も国が前面に立って取り組む考えを示した。さらに、新たな説明会の場を設けるなどして「村民の理解促進に努める」とコメント。加えて、南鳥島の地理的条件をふまえ、誤解が生じないよう正確な情報発信に取り組む考えを示したほか、文献調査が最終処分施設の建設決定に直結するものではないことを改めて明確にした。そのうえで赤沢大臣は、「今後の文献調査の実施にあたっては、これら5つの要請事項を踏まえ、小笠原村の皆様と丁寧にコミュニケーションを取りながら進めていきたい」とし、「国の判断を受け入れていただいたことに心より感謝申し上げたい」と述べた。一方、文献調査を実施する原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長は21日、ウェブサイト上で、村民説明会などへの参加を通じてHLWの議論に向き合ってきた小笠原村民に謝意を示した。そのうえで、HLWの最終処分は社会全体で解決すべき課題であると強調し、今後は国と連携しながら、小笠原村から示された要請事項に誠実に対応していく考えを示した。あわせて、村民らの疑問や不安に丁寧に応え、理解の深化に努めていく方針を示している。
22 Apr 2026
1031
関西電力は4月20日、大飯発電所1、2号機(PWR、117.5万kWe×2基)の廃止措置計画の変更認可を原子力規制委員会に申請。低レベル廃棄物の推定発生量が大幅減となった。同1、2号機の廃止措置は2019年度に開始され、2048年度までの約30年で完了する計画。現在は廃止措置の第1段階(解体準備)の終盤にあたり、2027年度以降に第2段階の原子炉周辺設備の解体撤去が本格化する見通しだ。今回の変更認可申請は、第1段階の進捗や、これまでに実施した残存放射能調査の結果を踏まえ、今後の工程や廃棄物処理の見直しを行うもの。残存放射能調査とは、原子炉の運転に伴い施設内に残る放射性物質の分布や量を把握するもので、汚染状況の評価や、管理区域内設備の解体撤去工法、放射性廃棄物の処理方法の検討に活用されている。今後、関西電力は2038年度以降に第3段階(原子炉領域の解体)、2045年度以降に第4段階(建屋等の解体撤去)へと移行する計画。また、使用済み燃料については、1、2号機の使用済み燃料ピットに貯蔵されている分を2037年度までに搬出する方針としている。そして、今回の変更認可申請で注目されるのが、廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物の推定発生量の変化だ。前述の残存放射能調査結果等を踏まえた放射性固体廃棄物の推定発生量の見直しを実施したところ、放射性物質として扱う必要のない「クリアランス」の推定発生量が、当初推定の約1.3万トンから約3.9万トンへと大幅に増加し、約3倍に拡大する見通しとなった。それに伴い、低レベル放射性廃棄物についても内訳に変化がみられ、放射能レベルの極めて低い区分(L3)は当初の申請量よりも大幅に減少する見込み。一方で放射能レベルの比較的低い区分(L2)は増加する予想に変更されたが、全体としては、低レベル放射性廃棄物の総量の推定発生量は減少した。今回の変更申請では他にも、使用済み燃料ピット水(使用済み燃料プールの水)の冷却が不要となることに伴い、使用済み燃料貯蔵設備の機能について、従来の冷却・浄化機能から浄化機能のみに変更。また、非常用ディーゼル発電機や燃料取替用水タンクについては、廃止措置計画における性能維持施設から削除するなど、設備の合理化が図られることとなった。
21 Apr 2026
1211
OECD/NEAとの共催で行われた第59回原産年次大会のセッション4では、「国際的視座から原子力人材課題を解く」をテーマに、原子力人材の確保・育成をめぐる課題が議論された。セッション冒頭の「ファイヤーサイドチャット」に続き、産業界、政府、海外機関の関係者が登壇し、国内外の取り組みや課題認識を共有した。モデレーターを務めた黒﨑健教授(京都大学複合原子力科学研究所所長)は、日本の原子力を取り巻く環境が大きな転換点にあると指摘。第7次エネルギー基本計画において原子力は「最大限活用」と位置づけられ、2040年の電源構成において一定の役割を担うことが明確化された一方で、これを支える人材の確保と育成は深刻な課題となっているとした。福島第一原子力発電所事故後の約15年にわたる停滞により、研究開発力と人材の双方が十分に回復していない現状にある。また、日本全体で人口減少が進む中、働き手の減少と原子力分野における業務量の増加が同時に進行していると指摘し、「仕事は増えるが人は減る」という構造的なジレンマに直面していると指摘した。こうした状況は原子力分野に特有のものではないが、安全対策強化などにより業務負荷が増している同分野では特に顕著であるとした。産業界の立場から登壇した吉村真人氏(原子力人材育成ネットワーク 戦略WG主査/日立製作所)は、原子力人材育成戦略ロードマップの検討を通じて浮かび上がった課題を説明した。人材育成に関する施策は整理されているものの、実行段階に至っていないケースが多いとし、その要因として、必要なリソースの確保の難しさ、関係機関間での優先順位の不一致、さらには将来の人材需要の不確実性を挙げた。その上で、優先度の高い施策を特定し、実行を担う「司令塔機能」の必要性を強調し、人材需給の分析と施策の実行を一体的に進める体制の構築が不可欠との認識を示した。こうした議論を通じて、司令塔機能の具体化が今後の焦点として浮かび上がった。文部科学省の有林浩二氏(研究開発局 原子力課長)は、教育面の基盤が弱体化している現状を具体的なデータで示した。原子力関連学科の入学者数は1990年代と比較して大きく減少し、教員数も減少傾向にある中、特に若手教員の減少が顕著である。また、試験研究炉の減少により実習機会も制約を受けており、個別大学での一貫した人材育成が困難になっていると指摘した。こうした状況への対応として有林氏は、全国の大学や研究機関が連携し教育資源を共有する「ANEC(先進的原子力教育コンソーシアム)」の取り組みを紹介。同プログラムでは、参加学生の約7割が原子力関連分野へ進学し、約6割が関連企業へ就職するなど一定の成果を上げているとし、今後は他分野の学生への裾野拡大や産業界との連携強化が課題になるとの認識を示した。一方、海外の取り組みとして、ソアジグ・ドレヴィヨン氏(フランス原子力職業大学 国際関係・高等教育担当部門長)は、同国の人材確保戦略を紹介した。フランスでは原子力産業が約25万人規模に達し、今後10年間で約10万人の新規人材が必要だという。このため、教育・訓練・採用を一体的に進める「スキルロードマップ」を策定し、職業情報の可視化や原子力職業週間(業界見学や就職イベントを集中的に実施)の開催、奨学金制度の整備など、多面的な施策を展開していると説明した。また、NEAのタチアナ・イヴァノワ氏(原子力科学・教育部長)は、原子力人材の不足は世界共通の課題であると指摘した。原子力発電の拡大に伴い、建設・運転・燃料サイクルなどあらゆる分野で人材需要が増加している一方、多くの国で人材の高齢化が進んでいるとし、教育・訓練の高度化や国際連携の強化が不可欠であるとの認識を示した。パネル後半の学⽣との質疑応答では、会場から多数の学生の手が挙がった。⽂系学生の役割や、他分野から参入する際の心理的ハードル、さらには留学生が直面する国籍の壁など、若者ならではの等身大かつ切実な問いがパネリストに直接投げかけられ、白熱した議論が交わされた。これに対し登壇者からは、「原⼦⼒は技術者に限らず、社会科学の知見も不可欠な総合分野である」との力強いエールが送られるとともに、まずは原⼦⼒に関する理解を社会に広げることが重要であるとの意⾒が相次いだ。黒﨑氏は総括として、若年層の参加が増え、議論の雰囲気が変化してきている点を評価した上で、原子力分野が従来の「閉じた世界」から社会全体へ開かれた存在へと変わる必要性を強調。信頼の回復と社会的理解の醸成が人材確保の前提であり、「原子力村から社会へ」という意識転換が求められているとした。最後にNEAのW.D.マグウッド事務局長は、原子力人材の不足は短期間で解決できる問題ではなく、長期的な取り組みが必要であると指摘した。若年層への早期教育の重要性に加え、エンジニアのみならず社会科学分野の人材も含めた多様な人材の確保が不可欠であるとし、政府、産業界、教育機関が一体となった対応の必要性を強調した。
20 Apr 2026
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OECD/NEAとの共催で行われたセッション4の冒頭では、NEAのW.D.マグウッド事務局長と、日本原子力産業協会(JAIF)の増井秀企理事長による対談「ファイヤーサイドチャット」が行われた。原子力人材の確保をめぐる課題をテーマに、各国に共通する問題の構造や若年層への訴求の重要性について認識が共有された。対談は、その後に続くパネル討論の導入としての位置づけである。対談の中で増井理事長は、日本における原子力を取り巻く状況について、再稼働の進展や新設に向けた機運の高まりなど前向きな動きに触れつつも、「最大の課題は人材」と指摘。日本では年間約90万人規模で人口減少が進んでおり、この規模は原子力産業全体の労働力を大きく上回っている。また、JAIF会員企業の約8割が人材不足を感じているとの調査結果にも言及し、問題の深刻さを強調した。これに対しマグウッド事務局長は、人材問題は各国に共通する課題であるとの認識を示しつつ、不足人材の内訳は国ごとに異なるとの見解を示した。米国では原子力分野への学生流入は一定規模を維持している一方、溶接など技能職分野での人材不足が顕在化している。欧州では長期的な原子力業界停滞により原子力専業の高スキル人材が弱体化しており、再構築には時間を要する状況にあるとした。そして日本については、福島第一原子力発電所事故の影響により、原子力分野への関心が低下し、人材の流出が生じたとの見方を示し、課題が一層深刻化していると指摘した。議論はその後、日本特有の構造的課題へと移った。増井理事長は、事故後の安全対策強化に伴い、設計、審査、製造、保守などの業務が増加している一方で、人材は減少していると述べ、「業務量の増加と人材減少が同時に進行する構造的なジレンマ」に直面していると説明した。そしてこの課題への対応としては、人材の確保と生産性向上の双方が不可欠とし、とりわけ日本では新卒採用が中心であることから、若年層の確保がカギになるとの認識を示した。JAIFが主催する就職イベント「原子力産業セミナー」への参加企業は増加しているものの、参加学生数は横ばいにとどまっている現状も紹介され、若者の関心を引きつける難しさが共有された。一方で、より多くの学生にリーチするため、開催地を従来の東京/大阪のみならず、昨年は福岡、さらに今年は仙台へと拡大していくなどの、積極的な取り組みも報告された。若年層へのアプローチについてマグウッド事務局長は、学生が重視する要素として「将来性」と「社会的意義」の2点を挙げた。すなわち、安定した職業としての見通しに加え、その仕事が社会にどのように貢献するのかを明確に示すことが重要であると指摘した。原子力の役割が十分に伝わっていない現状を踏まえ、専門家が学校現場で直接語る機会を増やすことが有効だと強調した。増井理事長はJAIFが実施している大学生向け「出前講座」を紹介。短時間の講義でも受講前後で認識が大きく変化するなど高い効果が確認されている一方、対象は全体のごく一部にとどまるとし、「効果は高いが規模が限られる」という課題を指摘した。くわえて、電力会社など複数の組織が類似の取り組みを個別に実施している現状に言及。こうした取り組みを業界大で連携させることで、より大きな効果を生み出せるのではないかと指摘した。分散した活動から統合的な枠組みへの転換、すなわち「分断から協調へ」の移行が求められているとの認識である。マグウッド事務局長もこの点に同意し、教育コンテンツを集約しオンラインで共有する仕組みの重要性に言及。質の高い情報に対する需要は存在するものの、それを体系的に提供する体制が整っていないとし、日本は産業としてのまとまりがあることから、こうした取り組みを進めやすい環境にあるのでは、との見方を示した。その上で、「重要なのは宣伝ではなく、正確でバランスの取れた情報提供である」と述べ、メリットと課題の双方を提示し、若者が自ら判断できる環境を整える必要があると強調した。
20 Apr 2026
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東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月13日、南鳥島における高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分に関する文献調査の実施可否について、国が判断すべきとの見解を示した。渋谷村長は、電力の安定供給を必要とする現代社会において原子力発電は不可欠との認識を示した上で、HLWの最終処分施設についても将来的に必要になると指摘。「地域任せにすることなく国の責任で取り組むのであれば、国が判断すべきだ」と述べ、文献調査の実施可否については国が主体的に決定すべきとの考えを示した。そして、国が文献調査の実施を決定した場合には、村として以下の5項目を要請するとした。①地層処分が現時点で有力な処分方法であることを踏まえつつも、廃棄物の新たな処理方法や発生抑制に向けた研究開発を継続的に進めること②他自治体へも文献調査の申し入れが行われるまで、小笠原村でも次段階の意見表明は行わないこと③村民に対する理解促進活動や意見交換の実施を継続し、専門家を交えたテーマ別の議論の場を設け、説明機会の充実を図ること④風評被害への懸念を踏まえ、小笠原諸島と南鳥島の地理的条件や位置関係について、国およびNUMOが国内外に向けて適切に発信すること⑤文献調査の実施が、処分施設の建設決定を意味するものではないことを明確にすること渋谷村長としては、調査の必要性を含めた判断は国の責任で行うべきとの認識を改めて強調するとともに、他自治体への申し入れ拡大を通じて、地層処分を巡る国民的議論が深まることへの期待も示した形だ。赤沢亮正経済産業大臣は翌14日、渋谷村長の示した見解について、「小笠原村の対応に感謝したい」と述べた。そのうえで、渋谷村長が示した見解は村内の多様な意見を踏まえたものとの認識を示し、「国として重く受け止めている」とした。今後の対応については、渋谷村長が正式な回答をした際に、「直接話を伺ったうえで、国として責任を持って対応していく」とした。
17 Apr 2026
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「第59回原産年次大会」2日目には、「廃炉に挑む原子力人材の叡智と情熱」と題した福島セッション(セッション3)が行われた。福島第一原子力発電所の廃炉が長期に及ぶ中、作業は新たな段階に入りつつあり、それを担う次世代人材の確保・育成が重要な課題として改めて浮き彫りとなった。東京電力ホールディングス・福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、燃料デブリの分析や試験的取り出しの進展により、「現場の軸足が燃料デブリの取り出しに移りつつある」と指摘。これまでの処理水対策や使用済み燃料の取り出しなど、リスク低減に向けた主要な取り組みは一定の方向性が見えてきた一方、今後は「極めて困難で不確実性の高い」デブリ取り出しという新たなフェーズに入るとの認識を示した。こうした廃炉の段階の変化に伴い、人材への要請も質的に変化している。小野氏は、高度な技術課題に対応する高度専門人材と、長期にわたり現場を支える人材という「二層の人材」の必要性を指摘。遠隔操作や高線量環境下での作業など、高度技能を要する業務の増加を見据え、教育訓練環境の強化や海外の廃止措置経験者の活用に言及した。続くパネルディスカッションでは、福島で学び、働く若者が登壇し、廃炉とのかかわり方を自らの言葉で語った。福島工業高等専門学校4年の橋本拓真さんは、ロボット分野への関心から廃炉分野に進路を広げた経緯を説明。初めて福島第一原子力発電所を訪れた際には、「映像で見ていた景色でも、実際に見ると重みが違った」と語り、現場での体験や技術者との対話を通じて進路意識が具体化したとした。一方、当初は廃炉に距離を感じていたという声も共有された。福島県立小高産業技術高校3年の森山來星(らいる)さんは、震災後の復興が身近である環境で育ちながらも、当初は廃炉に対し「危ない、終わりが見えないもの」との印象を持っていたと振り返った。その後の学びや現場見学を通じて認識は変化し、「廃炉は未来の安全をつくるプロジェクト」との現場の言葉に共感。将来は電気工事士として廃炉に関わることを志していると述べた。また、廃炉関連事業に携わる株式会社ビーエイブルの伊藤斐菜(ひな)さんは、入社当初は廃炉への関心が高かったわけではないが、業務を通じて現場への関心を深め、自ら希望して工事部へ異動した経緯を紹介。現在はドローンを活用した構内車両管理に従事し、作業工程を支える役割を担っているとした。その上で、地元出身者が現場に関わることが、外部人材との信頼関係構築や地域の安心感につながるとの認識を示した。教育現場からは、福島県立相馬高校の高村泰広教諭が、普通科の生徒に原子力や廃炉への関心を持たせる難しさに触れつつ、現場見学や対話の機会を通じて理解を深める取り組みを紹介した。議論では、若い世代の関心喚起には現地見学や体験の機会に加え、「身近な人の声」が重要であるとの認識が共有された。震災の記憶が薄れる中、福島県内においても廃炉への関心が必ずしも高くない現状が指摘され、橋本さんは、同世代でも関心に差があり、発電所の位置すら十分認識されていないケースがあると語った。その対応として、修学旅行などでの現地見学の活用や、東京電力のウェブサイトを通じたVR体験を入り口とする提案も示された。モデレーターを務めた福島工業高等専門学校の鈴木茂和教授は、廃炉人材の育成には、学生たちが実際に現場を見て働く人の話を直接聞く機会を増やすことに加え、教員自身の理解深化も重要であると総括。国/産業界/教育機関の連携により、若い世代が廃炉に触れる機会を拡充する必要性を指摘した。福島第一原子力発電所の廃炉は世界でも前例のない長期プロジェクトであり、技術的な挑戦の側面を持つ分野でもある。作業が新たな段階に移る中で、その意義と魅力をいかに伝え、人材の裾野を広げていくかが、今後の進展を左右するカギとなる。
17 Apr 2026
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原子力産業における人材不足とデジタル変革をテーマとしたセッション2では、各社からAIやデータ活用に加え、ロボティクスやオープンイノベーションを軸とした取り組みが相次いで紹介された。かつて課題とされてきた属人化や紙ベースの情報管理に対し、変革は着実に進みつつある。一方で、その多くはなお途上にあり、現場への定着や運用での課題も浮かび上がった。セッションを通じて見えてきたのは、「変革は始まっているが、次の段階への移行が問われている」現状である。各社に共通する「変革への着手」セッションでは、欧米の事業者、メーカー、IT企業、建設業など、多様なプレイヤーが登壇した。立場は異なるものの、共通していたのは、過去の構造的課題を前提とした上で、それを変革しようとする明確な意思だった。フランス電力(EDF)では、これまでのドキュメント中心の情報管理からの脱却を掲げ、「クラウドやAIを活用したデジタル基盤の再構築を進めている」(アイハン ユルドゥズ・EDF原子力・火力デジタルトランスフォーメーション部門 統括ディレクター)。紙やPDFに依存した情報管理の限界を認識し、データとして活用可能な形へ転換することで、業務効率と意思決定の高度化を図るという。日立製作所の大坂雅昭氏(原子力ビジネスユニット 原子力事業統括本部 デジタルイノベーション本部長)は、原子力分野における技術伝承の課題に対し、ナレッジマネジメントとAIを組み合わせたアプローチを提示した。ベテランに依存していた知識を体系化し、次世代へ継承する仕組みを構築することで、属人化からの脱却を目指すという。すでに「使ってもらう段階に入りつつある」(同氏)とし、実運用への移行が進み始めていることが示された。日本電気(NEC)の千葉雄樹氏(デジタルプラットフォームサービス BU AIテクノロジーサービス事業部門 主席プロフェッショナル AIチーフナビゲーター)は、生成AIの進展を踏まえつつも、「技術先行」の限界を指摘した。AIは多様な課題に適用可能である一方で、「何に使うか」が設計されていない場合、価値創出につながらないというのだ。実際、AI活用は「うまくいっている企業とそうでない企業の二極化」(同氏)が進んでいるとされ、技術そのものよりも、業務プロセスやデータの設計が重要であることが強調された。一方、建設分野から登壇した村上陸太氏(建設RXコンソーシアム 会長/竹中工務店 顧問 エグゼクティブ・フェロー)は、人手不足という共通課題に対し、ロボティクスやデジタル技術を活用した「共創」による解決の必要性を強調した。個社ごとに技術開発を行う従来の在り方から、業界横断で技術を持ち寄り、実装につなげていく取り組みが進められているという。また、米国企業のウェスチングハウス(WE)やThe Nuclear Company(TNC)からは、原子力建設の現場における複雑性と人材不足を背景に、AIやデジタル技術に加え、ロボティクスや高度な製造技術を組み合わせた最適化の可能性が提示された。WEのルー・マルティネス・サンチョ氏(最高技術責任者)は、「どれだけ技術が進んでも、人間が中心にいるという原則は変わらない」と述べ、AI時代においても人材と知識の重要性を強調した。また、TNCのスーマントラ・ゴーシュ氏(バイスプレジデント)は、「原子力は技術や政策の問題ではなく、いかにプロジェクトを実行するかが本質だ」と指摘し、大規模プロジェクトにおける経験の継承と標準化の必要性を訴えた。各社の取り組みは一見異なるようでいて、本質的には共通している。AIやデータ活用に加え、ロボティクスの導入や企業・業界をまたいだオープンイノベーションなど、変革のアプローチは多様である。こうした取り組みを通じて進められているのは、ドキュメント中心の業務からデータ活用へ属人化した知識から体系化されたナレッジへ個別最適から全体最適へといった、「これまでの構造」そのものを変えようとする試みである。もっとも、これらの取り組みはまだ完全に定着したとは言い難い。日立製作所の事例に見られるように、技術は「ようやく使われ始めた段階」にあり、NECが指摘するように、AI活用も成果にばらつきがある。EDFにおいても、デジタル基盤の再構築は進行中であり、完成には至っていない。つまり、各社は確実に前進しているものの、その多くは依然として「途上」にあるのだ。「実装」のカギはどこにあるのかこうした状況について、モデレーターを務めた澤円氏(元・日本マイクロソフト業務執行役員)は、セッション後のインタビューで次のように語った。「どんなにいいプランや仕組みがあっても、人間の“気合”がないと前に進まない」さらに同氏は、この「気合」について、セッション終盤で村上氏が、デジタル技術やロボティクスを活用した共創の取り組みを紹介する中で示した視点に言及しながら、次のように説明した。「村上さんのおっしゃった、“面白がる、楽しむ”というキーワードそのものだと思います」課題を前にしたとき、それを負担としてではなく、自ら関わる対象として捉えられるかどうか。澤氏は、その姿勢こそが変革を前に進める原動力になると強調した。そして澤氏は、原子力における社会受容の問題にも言及。原子力においては、技術や業務の変革に加え、社会との関係も重要な論点である。澤氏は、「人は知らないものを恐れる」と指摘し、知識の共有と理解の深化が不可欠であると述べた。また、自身がこれまで「原子力」というタグを持たない立場であったことに触れつつ、「今回で(私も)“当事者”になりました」と語り、原子力は社会と対立するものではなく、社会をより良くするための力であり、その実現には多様な人材を巻き込み、「当事者」の裾野を広げていくことが重要だと指摘。デジタル化やAI活用が進む中でも、こうした理解の拡大とコミュニティの広がりを通じた信頼関係の構築が、引き続き意義を持つと強調し、「多くの人を巻き込んで、原子力コミュニティを大きくしていきましょう」と呼び掛けた。変革は始まっている——そして次の段階へセッションを通じて明らかになったのは、原子力産業がすでに変革に着手しているという事実である。各社は過去の課題を認識し、それに対する具体的な対応を進めている。しかし、それらを現場に定着させ、再現性のある形で運用していくには、さらなる取り組みが求められる。技術と制度の整備が進む中で、最終的に変革を前に進めるのは人である。そして、その変革を持続的なものとするためには、専門領域の内側にとどまらず、外部からの視点も取り込みながら当事者を広げていくことが不可欠であり、その原動力となるのが「楽しむ力」である。原子力DXは確実に進んでいる。その真価が問われるのは、まさにこれからなのだ。
16 Apr 2026
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東京電力は4月16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働に向け、午前7時から、営業運転直前の工程にあたる総合負荷性能検査を実施。午後4時過ぎに使用前確認証等を交付され、営業運転を開始した。同機が営業運転に入るのは14年ぶり。総合負荷性能検査は、原子炉が定格熱出力に到達し、運転状態が安定した段階で、使用前事業者検査の最終段階として実施される。原子炉圧力や蒸気の流量、熱出力などのデータを記録し、プラント全体が正常に機能しているかを総合的に確認する。あわせて、原子力規制委員会が使用前確認を行い、事業者による検査が適切に実施されているかを確認。これらの結果、問題がないと判断され、規制委から使用前確認証が交付され、営業運転へと移行。赤沢亮正経済産業大臣は4月14日の会見で、同6号機の再稼働について、「東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、さらには脱炭素電源の確保の観点から極めて重要だ」と述べ、「大きな節目であり重要な一歩」との認識を改めて示していた。また、中東情勢の緊迫化を受け、「原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源」と位置付け、再稼働の意義を改めて強調した。大臣は、6号機の再稼働によって、ホルムズ海峡経由で輸入しているLNGの年間約3割を節約する効果があると指摘。今後の電力需要の増加を見据え、「原子力と再生可能エネルギーの双方を活用していく」とする第7次エネルギー基本計画の方針に変化はないと述べた。
16 Apr 2026
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第59回原産年次大会・セッション1「原子力産業が直面する人材の課題と展望」では、グローバルで原子力への期待が再び高まる中、その前提となる人材確保・育成が各国共通の課題として浮き彫りになった。海外プロジェクトの教訓や人材需給ギャップの分析を踏まえ、わが国の人材戦略や産官学連携のあり方について議論が行われた。 セッション冒頭、モデレーターの小原徹教授(東京科学大学総合研究院)は、2011年3月の震災以降、日本国内の原子力発電所の新規建設の途絶により、人材確保が困難になるとともに、経験者の高齢化・退職により、技術継承に懸念が生じていると指摘。新規建設に向けたリードタイムを見据え、サプライチェーンと一体となった人材育成や確保が急務であるとした。 フランス原子力産業協会(Gifen)のオリヴィエ・バール氏は、フランスでは大規模な原子力拡大プログラムに伴い、今後10年間で年平均約10,000人の増員が必要とされる一方、政府による明確なロードマップ提示により応募者不足は生じていないと説明。人材育成においては、ニーズに基づく教育制度の整備やメンター訓練を通じたスキル向上・定着支援に取り組んでいると述べた。 米国原子力エネルギー協会(NEI)のエリン・ハルトマン氏は、米国では原子力拡大の気運が高まる一方で、大量退職による技能継承の空白が懸念されていると指摘。特に専門技術職の確保が課題であり、コミュニティカレッジとの連携や、デジタルツインや仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用した訓練などにより人材育成の強化を図っているとした。 各国の課題認識には違いもみられた。三菱総合研究所の鈴木清照氏は、日本では建設経験の喪失に伴う技術継承機会の減少が課題であるとし、人材の需給ギャップの定量化と職種の可視化の必要性を強調した。まずは電気事業者を対象とした分析を行い、今後はメーカーやサプライヤーにも拡張する必要があると述べた。 三菱重工業の三牧英仁氏は、採用拡大に取り組む一方で、エンジニアの約7割が原子力学科以外の出身である現状を紹介。工業高校向けの技術指導や工場見学会を通じた、技能職人材の確保に取り組んでいるが、高卒技能者の確保が今後の課題になるとの認識を示した。 後半のパネル討論では、議論は「人材」と「サプライチェーン」に大きく収斂した。特に印象的だったのは、バール氏が「問題の本質は人材不足ではなくシステムにある」と指摘した点で、政府の明確なロードマップと教育・現場訓練の組み合わせが重要であると強調した。一方、ハルトマン氏は、人材育成が機能するためには具体的なプロジェクトの存在が不可欠であり、「仕事が見えなければ人材は育たない」と強調した。鈴木氏は、日本では特にサプライチェーンの下層(部品・材料分野)で人材不足が深刻であるため、階層構造を踏まえた対策が必要と指摘。三牧氏も、人材確保には明確な長期見通しが不可欠であるが、日本では原子力政策において長期・定量的なロードマップが不足していると述べ、産官学の役割分担の明確化が重要であるとした。 また、技術伝承については、作業プロセスの標準化や中小企業への支援の重要性が指摘されたほか、三菱重工は生成AIを活用し熟練者と非熟練者の作業差を可視化する新たな取り組みを紹介した。海外調達をめぐっては、フランス側がローカル連携の重要性を強調する一方、米国側は国際サプライチェーンの活用継続を示すなど、アプローチの違いも浮き彫りとなった。日本側からは、国内案件を通じた建設システムの再構築が基本であるとの認識が示された。 最後に小原教授は、今回の議論には重要な示唆が多く含まれており、産官学が連携して人材基盤強化に取り組む必要がある、とセッションを締め括った。
15 Apr 2026
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「第59回原産年次大会」が4月14日、東京国際フォーラムで開幕。国内外より約850名が参加した。15日までの2日間、「原子力の最大限活用を支える人材戦略」を基調テーマに議論が進められる。同⼤会は、人材問題に焦点を当てると同時に、初めて経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)と共催し、広く国際的な視点を交えつつ、⼈材確保・育成の現状と課題、そしてその解決に向けた産学官の連携について議論を深める。冒頭、挨拶に立った日本原子力産業協会の三村明夫会長は、足元の中東情勢の緊迫化について言及し、エネルギー供給リスクが顕在化した際に、社会や経済への影響の大きさが改めて浮き彫りになったと指摘。三村会長は、原子力について「国内におよそ3年分の燃料を保有するなど、高い安定供給性と自律性を有する準国産エネルギーであり、天候に左右されない脱炭素電源」と位置付け、その重要性を改めて強調した。また、欧州においても原子力回帰の動きが見られることから、「原子力からの転換は戦略的誤りだった」との認識や、「原子力三倍化」宣言に象徴されるように新増設の動きが加速していると紹介した。また、国内動向については、柏崎刈羽6号機(ABWR、135.6万kWe)の営業運転再開や、泊3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働に向けた動きについて言及。さらなる人材確保に向けて具体的な取り組みが広がっているとした一方で、これらを支える事業環境の整備が急務であるとの認識を示した。こうした状況を踏まえ、本大会の基調テーマを「原子力の最大限活用を支える人材戦略」とした理由について三村会長は「人材の確保と育成こそが今後の原子力政策実現に向けた最大のボトルネックとなりうる」との強い危機感があるためだと説明。人口減少に伴う労働力不足が見込まれる中で、革新炉の開発や既設炉の長期運転、廃炉、バックエンドといった多様な分野で担うべき業務が拡大していく構造にあると指摘した。続いて、小森卓郎経済産業大臣政務官が登壇。小森政務官はまず、先月、東日本大震災から15年を迎えたことに触れ、福島第一原子力発電所の事故の経験や教訓を「エネルギー政策の原点」と位置付けた上で、「反省と教訓をひとときも忘れず、安全性向上に向けた不断の改善を重ね、国民の信頼を着実に積み重ねていくことが重要」と強調した。そして、高市内閣の手掛ける成長戦略においても、次世代革新炉やフュージョンエネルギーが中核に位置付けられているとし、今後は設備投資や研究開発を含めた官民の積極的な投資を引き出していく考えを示した。小森政務官は最後に、本大会のテーマである人材戦略について、「震災以降、原子力を支える人材基盤は弱体化している」との認識を示した上で、「原子力産業基盤を支える人材構造を持続可能な形へ再構築する転換期にある」と強調。「国として原子力政策を全力で前に進めていく」と述べるとともに、本大会が今後の人材育成の在り方に関する議論の深化につながることへの期待を示し、挨拶を締めくくった。続く基調講演では、OECD/NEAのW.D.マグウッド事務局⻑が登壇し、原子力を取り巻く国際的な動向と人材課題について講演した。まず、マグウッド事務局長は「OECD/NEAが65年の歴史を有する中で、現在ほど特別な時代はない」と述べ、世界的に「新たな原子力時代」が到来しつつあるとの認識を示した。その背景として、電力需要の増加やエネルギー安全保障の強化、化石燃料依存の低減といった複合的な要因を挙げ、「多くの国で原子力の位置付けが再評価されている」と指摘した。OECD諸国に加え、グローバルサウスを含む各国で原子力発電の導入・拡大を志向する動きが広がる中、各国に共通する認識として、信頼性の高い電力へのアクセスが経済成長の成否を左右する重要な要素であると強調。安定的かつ適正なコストで電力を確保できるか否かが、国家の経済基盤を大きく左右するとの見方を示した。その上で事務局長は、企業経営者、金融関係者らを集めた会合を通じ、資金調達やサプライチェーンといった「具体的な課題とその解決策について議論を進めている」と言及。原子力発電コストの不確実性やSMRの経済性の不透明さを背景に資金調達の難しさを指摘した。そして事務局長は、原子力の将来を左右する最大の鍵は「人材である」と強調した。このため、教育や情報発信の重要性が一層高まっているとし、OECD/NEAで手掛けている若手人材育成プログラムを通じて、次世代の担い手確保に取り組んでいることを紹介した。続く特別講演では、日本原子力産業協会の三村会長が再登壇し、日本が直面する構造的課題である人口減少問題について講演した。会長は、人口減少の深刻な実態と社会経済への影響、対応の方向性を示した。同氏が議長を務める民間組織「未来を選択する会議」の活動を紹介しつつ、現状のまま推移すれば2100年には総人口が現在の約1億2400万人から約6300万人へ半減し、高齢化率も40%に達するとの見通しを提示。その上で、従来の少子化対策の限界を指摘し、「危機意識の共有」を前提に、人口減少の緩和を図る「定常化戦略」と、生産性向上を軸とする「強靭化戦略」を一体的に進める必要性を強調した。最後に原子力委員会の上坂充委員長が登壇。「国際的視点に立った日本の原子力人材育成」と題し、原子力人材育成における日米欧の高等教育システムの比較、国際標準に基づく人材育成のあり方について講演した。欧米では修士段階で体系的な講義・演習が重視される一方、日本では専門教育の強化に課題があると指摘。米国や欧州の教育手法・制度の詳細を紹介したほか、東京大学原子力専攻専門職大学院やIAEAの国際原子力マネジメントアカデミーを例に、実務と連動した教育や国際連携について紹介した。加えて、中高生段階からの教育の重要性にも触れ、大学における魅力ある研究の推進と併せて、若年層の関心喚起を図る必要性を指摘した。
14 Apr 2026
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福井県原子力発電所所在市町協議会は4月10日、経済産業省の井野俊郎副大臣に、原子力政策等に関する要請書を手渡した。同協議会の西嶋久勝会長(高浜町長)は、井野副大臣に対し、「立地地域として今後も国のエネルギー政策に協力し、国民経済を支える役割を果たしていきたい」との考えを示した上で、燃料サイクルの停滞や高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する具体的な道筋が十分に示されていない現状に言及し、「将来に対する不安を感じている」と懸念を表明した。さらに、原子力発電所の立地地域にとって、将来にわたる確かな安心の確保が原子力との共生に繋がると強調。エネルギー政策を持続可能な形で進めていく観点から、要請書を提出するとともに、国の見解を求めた。同要請書ではまず、政府が掲げる「原子力の最大限活用」について、国民理解の醸成と安全確保の徹底を求めた。また、原子力人材の確保及び育成について、発電所の運転員のみならず、原子力研究に関わる人材の確保と育成を喫緊の課題と位置づけ、運転員に加え研究分野を含めた人材基盤の強化を要請した。さらに、燃料サイクル政策の着実な推進とともに、関西電力の使用済み燃料対策ロードマップの確実な履行を求め、国と事業者が一体となった対応の必要性を強調した。原子力防災については、避難時に不可欠な道路・橋梁の整備と強靱化を要請。能登半島地震で道路寸断や孤立集落が発生したことを踏まえ、補助制度の拡充や別枠予算の確保など、実効性ある財政措置を求めた。財政面では、電源三法交付金の見直しをはじめ、各種交付金・補助制度の充実を要請。廃炉に伴う交付金の緩和措置の延長や、固定資産税の見直しにも言及した。そして、廃炉の進展に伴う地域経済への影響を踏まえ、中長期的な支援の必要性も強調。企業誘致や産業振興に加え、医療・福祉を含めた総合的な地域支援の充実を求めた。これに対し井野副大臣は、エネルギー安全保障の重要性が高まる中で、原子力を「準国産エネルギーとして安定供給に資する重要な電源」と位置付けた。一方で、燃料サイクルや最終処分の進展の遅れについては「立地地域に心配をかけている」と認め、課題の前進と対話の強化に取り組む方針を示した。
13 Apr 2026
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