増井理事長 高市新政権に“一貫性のある原子力政策”を期待
31 Oct 2025
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は10月24日、定例記者会見を行い、電気事業連合会による将来リプレース試算への所感や、「原子力産業セミナー2027」と「第11回東アジア原子力フォーラム」への参加報告などについて語った。
会見の冒頭、増井理事長は第46回原子力小委員会で電気事業連合会が提示した「将来的に必要な原子力発電所のリプレース規模に関する試算」について、「試算は穏当なもの。その上で、産業界が未来に希望を持てるよう、中期・長期それぞれの見通しを2段階で提示することが適切だろうと進言した」と述べた。また、同委員会で日本電機工業会が示した原子力産業の基盤維持・強化の取組みに関して、「人材の確保と定着、シニア人材の活用など、原子力産業の基盤維持対策の必要性」について進言し、「限られた人員でも現在と同じ成果を維持すべく、自動化・デジタル技術の活用が重要になる」と発言したことを報告した。
続いて、原子力産業界の人材確保を目的とした合同企業説明会「原子力産業セミナー2027」の実施を報告。今年は初めて福岡市でも開催し、参加者は3会場(東京・大阪・福岡)で計564名、出展企業数が前年より約10%増加したという。また、電気電子系や文系学生の参加が増えたことを受け、「参加学生の専攻分布や傾向について、今後さらに分析を進めたい」と述べた。
次に、韓国・慶州で開催された第11回東アジア原子力フォーラムへの参加を報告。ここでは、日本、中国、韓国、台湾の関係者が一堂に会し、原子力産業の現状と展望をテーマに意見交換した。
韓国からは原子力を維持する国家エネルギー政策の重要性と、安全性強化・資源の制約克服に向けた東アジア地域内での協力の必要性が説かれた。中国からは海外向け原子力事業の拡大方針が示された。台湾からは金山原子力発電所の廃止措置計画の進捗など、将来的な具体的なマイルストーンが発表されたという。日本からは増井理事長が「日本の新規建設プロジェクトにおける重要課題」と題して登壇し、新設に向けた課題と展望を発表した。
また同フォーラムの翌日から2日間にわたり、慶州市隣接地域の原子力関連施設などを訪問し、関係者と活発な意見交換を行ったと述べ、今後の同地域の関係者間の連携強化に期待を寄せた。
その後、記者から就任直後の高市首相に関連する質問が飛んだ。
「次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装を目指す」と所信表明演説で発言した高市首相について、「原子力に対する理解が深く、原子力の事業環境整備の進展にも意欲を示されており、非常に力強い存在だと感じる」と述べた。特に、事業環境整備の重要性を長らく進言している同協会にとって、同じ志を持った新首相への信頼は大きく、「政府には今後も一貫性のある原子力政策の推進を期待している」と述べた。











 
	 								 							 
	 								 							 
	 								 							