国内NEWS
04 Jun 2025
208
川内発電所 廃棄物搬出設備の運用を開始
海外NEWS
04 Jun 2025
293
米大手電力会社とMeta 20年間の電力調達契約を締結
国内NEWS
03 Jun 2025
578
規制委 女川と高浜での乾式貯蔵施設設置を許可
海外NEWS
03 Jun 2025
374
IAEA アフリカ・ケニアでSMRスクールを発足
海外NEWS
03 Jun 2025
482
加企業 小型高速炉の導入に向けて協力
海外NEWS
02 Jun 2025
754
米ニュースケール社製SMR 増強版で2回目の「標準設計承認」取得
国内NEWS
02 Jun 2025
458
原産協会・増井理事長 年次大会を総括
国内NEWS
30 May 2025
878
IHIがSMR向け鋼製構造物を公開
米大手電力会社のコンステレーション社とIT大手のMeta社は6月3日、コンステレーション社がイリノイ州で運転するクリントン原子力発電所(BWR、109.8万kWe)からの電力を20年間購入する電力購入契約(PPA)を締結した。契約額は未公表。本契約は2027年6月に開始され、イリノイ州のゼロ・エミッション・クレジット(ZEC)((クリーンエネルギー発電事業者に対して、その発電した電力量に応じて一定のベネフィットを提供するもの。廃止予定だった原子力発電所の運転延長など、原子力発電もこれに含められるのが一般的である。))プログラム終了後も、同発電所の継続的な運転を支援することになる。同発電所の電気出力を3万kWe増強するとともに、地元では1,100人の高レベルな雇用を維持し、年間1,350万ドルの税収の確保が予想されている。コンステレーション社のJ. ドミンゲスCEOは、「昨年、当社が発表したクレーン・クリーン・エネルギー・センター(スリーマイル・アイランド1号機)の運転再開計画は多くの関心と圧倒的な支持にもかかわらず、重要な問題が見落とされていた。それは、そもそもなぜこのような価値のある発電所を閉鎖してしまったのかということ。閉鎖によって、地域社会の雇用と税収が失われ、大気汚染は拡大、電気料金が上昇した」と述べ、「Meta社はこの重要な問題を提起してくれた。既存発電所の運転期間延長と出力増強への支援は、新たなエネルギー源を見つけることと同じ影響力がある」と契約締結の意義を強調した。Meta社のU. パレク・グローバルエネルギー部門長は、「クリーンで信頼できる電力確保は、当社のAIの野望を前進させ続けるために必要不可欠。クリントン発電所の運転を維持し、エネルギー分野における米国のリーダーシップ強化に向けた重要な要素であると示していきたい」と語った。クリントン原子力発電所(別名:クリントン・クリーン・エナジー・センター)は、イリノイ州で1987年に運転を開始、最も稼働率の高い原子力発電所の一つであったが、長年にわたる赤字で、運転認可期限である2027年を待たずに、2017年に早期閉鎖が予定されていた。同発電所の閉鎖は、イリノイ州のエネルギー法案である「未来エネルギー雇用法(Future Energy Jobs Act)」の制定によって阻止され、同法により、2027年半ばまで同発電所を財政的に支援するZECプログラムが設立された。今回のPPA契約は、実質的にZECプログラムに代わる市場ベースの解決策であり、料金支払者の追加負担なしに同発電所の長期的な運転を保証することとなる。コンステレーション社は2024年2月、米原子力規制委員会(NRC)に同発電所の20年間の運転期間延長(60年運転)を申請済み。本PPA契約の締結により、20年運転の継続が保証される中、コンステレーション社は同サイトでの改良型原子炉または小型モジュール炉(SMR)の開発に向けて、NRCに既存の事前サイト許可(ESP)の有効期間を延長申請するか、新たな建設許可を求めるか、戦略を検討中である。Meta社は自社データセンターの効率的な運用を最優先し、電力の100%をクリーンで再生可能なエネルギーで賄うとともに、新興のエネルギー技術の研究開発にも取り組んでいる。同社は、AIの進化に伴い、将来の電力需要の増大が予想される中、信頼性が高く安定した供給が可能な電源として原子力の価値を認識。原子力プロジェクトが地域経済を支えるとともに、米国のエネルギーリーダーシップの強化に資するとの考えから、新たな原子力発電の促進にも注力している。その一例としてMeta社は2024年12月初め、合計電気出力100万〜400万kWの原子力発電プロジェクトの早期開発を目的とするに事業提案依頼を実施。電力会社、開発者、原子力技術メーカーなど、さまざまな参加者から50を超える提案が寄せられた。提案では、全米20以上の州で多様な技術オプション、取引条件、サイトの提示を受け、原子力開発を迅速に進め、実行可能性が高く、タイムラインの確実性が見込める場所を優先し、複数の州で有力な原子力プロジェクト候補を既に選定済み。現在、最終的な協議を進めており、年内にも完了する見通しだ。この他、Meta社は今年3月、大手IT企業を含む14社による「2050年までの世界の原子力発電設備容量を少なくとも3倍に増やす」という目標を支持する誓約書に署名している。
04 Jun 2025
293
国際原子力機関(IAEA)原子力エネルギー局は5月13日、小型モジュール炉(SMR)とそのエネルギーミックスにおける潜在的な役割について、各国政府、規制当局、業界関係者への情報提供を目的とした新たなイニシアチブとして、SMRスクールを発足、実施したと明らかにした。初回のスクールは5月5日~9日にかけて、ケニア政府主催で首都ナイロビにて開催された。アフリカ諸国に焦点をあて、ケニアをはじめ、ガーナ、ニジェール、ナイジェリア、ウガンダ、ザンビアで原子力プログラムを実施している組織の公務員、政策立案者、管理者など28人が参加した。スクールでは、技術開発と実証、法的枠組み、利害関係者の関与、安全性、セキュリティ、セーフガードなど、SMRの主要な側面をカバー。参加した各国高官らは、将来の原子力導入に向けた理解を深めた。ケニア国営企業の原子力発電・エネルギー機構(Nuclear Power and Energy Agency: NuPEA)のS. エセンディCEO代理は、「ケニアは、原子力の新規参入国として、クリーンで手頃な価格のエネルギーへのアクセスのギャップを埋め、産業の成長を支え、再生可能エネルギーの野心を補完する上で、SMRの重要な役割を認識している」と述べ、「このスクールは、技術チーム、規制当局、将来のリーダーに、原子力技術を責任ある形で展開するためのノウハウを提供する触媒となる」とその意義を強調した。ナイジェリア原子力委員会のR. A. オグノラ氏も、「技術的な発表、議論、経験の共有により、SMRの展開と規制上の考慮事項について理解が深まった」「安全かつ効果的な原子力プログラムの構築を支援する出版物やサービスについて学ぶことができた。この知識は、原子力発電プログラム開発のマイルストーンを進める際の有益な情報となる」と評価した。アフリカでは原子力発電が拡大しつつあり、IAEAは各国が安全かつセキュアな原子力エネルギーに必要なインフラ整備を支援している。エジプトは4基のロシア製大型炉からなるエルダバ発電所(VVER-1200)を建設しており、南アフリカはアフリカ大陸で唯一稼働するクバーグ発電所(PWR、97.0万kW×2基)に加え、原子力発電プログラムの拡大を計画している。更に多くのアフリカ諸国が、エネルギーミックスの一環でSMRの導入を検討しているところだ。大型炉の数分の一のサイズのSMRは、世界中で現在開発が進められており、中国とロシアは既に初プラントを配備している。2023年にドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で原子力発電の拡大に関する世界的なコンセンサスが浮上する中、SMRを太陽光や風力などの再生可能エネルギーと並行して取り組み、開発の初期費用を抑え、柔軟性を持つ原子力発電としてより身近な選択肢になることが期待されている。 IAEAのD. ハーン・プラットフォームコーディネーターは、「各国がエネルギーと開発の課題に向けてクリーンで信頼性の高いエネルギーの解決策を求める中、原子力エネルギー、特にSMRの選択肢がますます注目されている」と指摘。「IAEA SMRスクールは、この有望な新技術の開発と展開に関連する一連の問題について各国がより深く理解するため重大なギャップを埋めることを目的としている」と付け加えた。次回のIAEA SMRスクールは、タイ・バンコクで、7月21日~25日に開催され、アゼルバイジャン、カンボジア、エストニア、ヨルダン、カザフスタン、クウェート、マレーシア、モンゴル、サウジアラビア、セルビア、タイ、ウズベキスタンからの参加者を迎える。8月25日~29日には、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催され、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ジャマイカ、パラグアイ、ペルーからの参加者が予定されている。
03 Jun 2025
374
カナダを拠点とするARCクリーン・テクノロジー社は5月13日、カナダの新興エネルギーインフラ開発企業のニュークレオン・エナジー(Nucleon Energy)社とMOUを締結した。ニュークレオン社がカナダ・アルバータ州および米国・テキサス州で進める熱電併給施設および発電施設の開発において、ARC社製の先進SMR設計「ARC-100」(ナトリウム冷却小型高速炉)の設置可能性を共同で検討する。今回のMOU締結は、ARC社にとって北米における商業展開戦略の新たな重要な一歩であり、重工業や電力網の脱炭素化に向けたニュークレオン社のクリーンエネルギーサイトの開発方針に沿ったもの。両社はニュークレオン社が現在開発中の発電サイトへのARC-100の導入をはじめ、北米での複数展開を視野に設置候補地の評価で協力し、カナダと米国での規制手続きを進めていく考えだ。ARC-100は、第4世代のナトリウム冷却・プール型の高速中性子炉で、電気出力は10万kW。電力とプロセス熱の両方の用途向けに設計されており、石油・ガス、精製、化学分野などにおける脱炭素化イニシアチブに適している。同炉の技術は、米エネルギー省(DOE)傘下のアルゴンヌ国立研究所で30年以上運転された「実験増殖炉Ⅱ(EBR-Ⅱ)」で実証済みだ。ARC社はARC-100の導入計画について、カナダのニューブランズウィック・パワー(NBパワー)社と提携、同社のポイントルプロー発電所(Candu炉、70.5万kWe)サイトで進めている。NBパワー社は2023年6月、同サイトにARC-100を1基建設するため、サイト準備許可(LTPS)をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。ARC-100は現在、CNSCが実施する正式な許認可申請前の任意の設計評価サービス「ベンダー設計審査(VDR)」の第2段階(許認可上、障害となる点を特定)にある。
03 Jun 2025
482
米国のニュースケール・パワー社は5月29日、米原子力規制委員会(NRC)から、同社製の小型モジュール炉(SMR)のニュースケール・パワー・モジュール(PWR型NPM、7.7万kWe)の標準設計承認(SDA)を取得した。NRCに2023年1月にSDAを申請、同7月に受理されていた。ニュースケール社は、米国でSMR設計の設計承認を受けた唯一のSMR開発企業であり、2020年9月のNPM(5万kWe)の設計に対するSDA取得に続き、今回で2回目。今回の7.7万kWe版の承認は、5月28日のNRCスタッフによる最終安全評価報告書(FSER)の発行に基づくもの。出力を増強した7.7万kWe版の設計は、当初、顧客であったユタ州公営共同事業体(UAMPS)が希望する出力レベルに応じて、同NPMを6基搭載した原子力発電設備VOYGR-6(合計出力46.2万kWe)の建設を念頭に置いていたものの、2023年11月に経済性を理由に同建設計画は打ち切りとなっている。今回のSDA発給により、ニュースケール社の独占的なグローバル戦略パートナーで、同社のSMRの商業化、流通、展開の独占権を有するENTRA1エナジー社は、同SMRを内蔵したENTRA1エナジー・プラントにより、オフテイカーや消費者に信頼性の高いカーボンフリーのエネルギーを供給していく計画だ。初号機は2030年までの導入目標としている。7.7万kWe版の設計は、すでに承認された5万kWe版のNPMを部分的にベースにし、運転システムと安全機能において、対流や重力などの自然の受動的安全機能を継続して採用。固有の安全性能により異常な状況下で原子炉を自動停止し、人の介入や追加の注水、外部からの電力供給なしで原子炉の冷却が可能である。また、出力増強とモジュール数の調整により増加する容量ニーズに対応、プラントの建設と運用の全体的な経済性も向上している。当初は今夏の終わりに承認される予定だったが、NRCの審査プロセスが早期に完了した。なお、ニュースケール社は2016年12月に5万kWe版の設計認証(DC)審査をNRCに申請しており、2017年3月にNRCは受理。その後、米国内で建設可能な標準設計の一つとして認証適用するための規制手続き「最終規則」の策定の完了を受け、2023年1月にSMRとしては初となるDCが発給された。DCの発給により、今後、建設運転一括認可(COL)や建設許可の申請(CPA)において設計に関する審査を受ける必要がなくなるため、審査の大幅な合理化が期待される。米エネルギー省(DOE)はこれまで、ニュースケール社のSMRプラント設計と許認可取得活動に5.75億ドル(約825億円)以上を支援しているという。ニュースケール社のJ. ホプキンスCEOは、「今回のSDA発給は、ニュースケール社だけでなく、業界全体にとって歴史的な出来事。当社は10年以上にわたり、厳格な安全基準で国内外に認められるNRCと設計承認に向けて協力してきた。当社はENTRA1社と、クリーンで信頼性が高く、安全なエネルギーをオフテイカーと消費者に幅広く供給していく」と語った。ニュースケール社のSMRはモジュール統合型のPWRで、7.7万kWの電力、25万kWの熱を生成するNPMを最大12基連結。顧客のニーズに合わせて柔軟に拡張可能である。発電、地域暖房、海水淡水化、商業規模の水素製造、その他のプロセス熱として供給し、世界中の多様な顧客にサービスを提供する体制を整えているという。ニュースケール社は現在、ルーマニアのロパワー・ニュークリア(RoPower Nuclear)社が計画する、NPM(7.7万kWe)を6基備えた合計出力46.2万kWeのSMRプラントの基本設計(FEED)作業を実施中。また製造パートナーである韓国の斗山エナビリティ社と協力して12基のNPMを製造中で、受注の拡大を目指している。
02 Jun 2025
754
アラブ首長国連邦(UAE)の首長国原子力会社(ENEC)と米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社は5月27日、UAEのアブダビで、GVH社製のSMRであるBWRX-300の国際展開に向けて、包括的なロードマップの評価と策定で協力するMOUに調印した。MOUは、次世代原子力技術の評価と潜在的な展開を加速するために創設されたENEC社のADVANCEプログラムの一部。ENEC社はバラカ原子力発電所(韓国製APR1400×4基)以外にも、クリーン電源である原子力による、エネルギー安全保障と持続可能性の推進のため、UAE国内外での投資、協力、展開の機会の開拓に重点を置いている。今回のMOUは、2023年にドバイで開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の際に締結された協力の覚書に続くもの。両社は、原子力が急増する電力需要を満たす重要なソリューションであるとの共通認識のもと、サイトの特定、許認可手続き、投資と商業化戦略、サプライチェーンの開発など、ロードマップの策定において協力を深化し、国際展開の機会を探っていく計画だ。今回のMOUにはENEC社のM. アルハマディCEOとGEベルノバ社の電力部門M. ジンゴーニCEOが世界公益事業会議への出席を機に調印。ENEC社のアルハマディCEOは、「先進炉によるUAEおよび国際市場での展開を加速するため、GVH社との協力の前進を嬉しく思う。両社のノウハウを結集し、安全で効率的かつ品質主導の原子力の展開に向けたロードマップを策定していく」と語った。ジンゴーニCEOは、「SMRは、エネルギーの安全な未来において重要な役割を果たす。カナダと米国でBWRX-300のプロジェクトが進められており、ENEC社との協業はUAEとの関係をさらに強化するものだ」と述べた。GVH社製BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代BWR。2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。5月8日、カナダのオンタリオ州はダーリントン・サイトへのBWRX-300初号機の建設計画を承認。5月20日には、米テネシー峡谷開発公社(TVA)は、米国初となるBWRX-300の建設許可を申請している。
30 May 2025
739
韓国水力・原子力(KHNP)は5月20日、新ハヌル3号機(PWR=APR1400、140.0万kW)を着工した。新ハヌル3、4号機は2023年6月に産業通商資源部(MOTIE)から実施計画の承認を受け、発電所建設のための用地取得工事を実施。2024年9月には原子力規制機関の韓国原子力安全委員会(NSSC)から建設許可を取得し、主要建物の基礎掘削工事を開始していた。新ハヌル3号機は、2032年に完成する予定。KHNPのJ. ファンCEOは「新ハヌル3、4号機の建設を安全に、スケジュール通り、予算内で実施する目標を達成し、世界の原子力発電所建設市場で、韓国の原子力産業の地位をさらに高めるよう最善を尽くす」と述べた。新ハヌル3、4号機をめぐっては、KHNPが2016年1月、NSSCに両機の建設許可申請を行ったが、当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領による脱原子力政策下で、2017年の「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に基づき、建設計画が一時白紙化されていた。2022年5月に就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の政権下で両機の新設計画が復活した。新ハヌル3、4号機は韓国製の第3世代の140万kW級PWR設計「改良型加圧水型炉(APR1400)」を採用し、すでに運転中のセウル1、2号機(旧名称:新古里3、4号機)、新ハヌル1、2号機(旧名称:新蔚珍1、2号機)および建設中のセウル3、4号機(旧名称:新古里5、6号機)を含めると、韓国国内における7、8基目のAPR1400となる。 海外では、韓国が初めて海外に輸出したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で同炉(計4基)が採用され、全基が運転中である。韓国では、2025年2月に産業通商資源部(MOTIE)が「第11次電力需給基本計画」を発表、原子力発電を拡大する方針を示した。同計画では、セウル原子力発電所3、4号機と新ハヌル原子力発電所3、4号機の建設プロジェクトは計画どおりに進められ、運転期間が満了となる原子炉の運転期間延長と並行して、2038年までに新規大型炉2基と小型モジュール炉(SMR)1基の建設が計画されている。
30 May 2025
517
米ユタ州を拠点に原子力発電所の廃止措置や環境復旧サービスを手掛ける、エナジー・ソリューションズ社は5月13日、同社が所有する旧キウォーニ原子力発電所(PWR、59万kWe)サイトにおいて事前サイト許可(ESP)を申請する方針を明らかにした。初期計画とスコーピング、詳細なサイト・環境調査を開始する。ウィスコンシン州に立地する、キウォーニ原子力発電所は1974年6月に営業運転を開始、2013年5月に永久閉鎖された。エナジー・ソリューションズ社は2021年5月、同発電所の所有者兼運転者のドミニオン・エナジー社から、廃止措置の実施を目的に同発電所を買収。翌5月から主要な廃止措置の作業を開始し、完了までに7~8年がかかると見込まれている。今回ESPを取得する主な狙いは、電力会社が原子炉新規建設の投資判断をする前に、サイト特有の安全性や環境影響、緊急時計画について予め原子力規制委員会(NRC)から事前承認を得ることにある。エナジー・ソリューションズ社は、WECエナジー・グループ(WEC)と協力し、ウィスコンシン州での次世代の原子力発電の建設に取り組んでいくこととしている。WECエナジー・グループは、ウィスコンシン州を拠点に電力や天然ガスの供給を手掛ける、同州最大のエネルギー会社。両社は現在、新しい原子力発電をキウォーニ・サイトで稼働させるため連邦政府の承認を求める「複数年」計画の初期段階にある。エナジー・ソリューションズ社のK. ロバックCEOは、「データセンター、人工知能、産業の成長によるエネルギー需要の増加に伴い、信頼性の高い無炭素電源の必要性はかつてないほどに高まっている。当社の原子力許認可とプロジェクト管理のノウハウを活用し、ウィスコンシン州の新規原子力発電の初期計画段階においてWECを支援していきたい」と抱負を語った。この発表を受け、A. ジャック州上院議員は、「キウォーニ発電所での原子力発電の再開を長年提唱してきた私は、ウィスコンシン州とわが国が緊急に必要としているクリーンで信頼性の高いエネルギーを優先する計画の具体化に勇気づけられる。地域への投資により経済的活力を回復し、長期的なエネルギー安定供給の確保のため、コミュニティを結集していきたい」と語った。エナジー・ソリューションズ社は2024年12月にカナダのテレストリアル・エナジー社と協力覚書を締結している。両社は、エナジー・ソリューションズ社が廃炉プロセスで取得した旧原子力発電所サイトにおいて、テレストリアル社が開発するSMRである一体型熔融塩炉(IMSR)の設置と展開の検討で協力することになっている。エナジー・ソリューションズ社は、ウィスコンシン州キウォーニ原子力発電所のほか、ネブラスカ州フォートカルホーン発電所、カリフォルニア州サンオノフレ発電所、ペンシルバニア州スリーマイル・アイランド発電所(2号機)の廃止措置を実施中。ウィスコンシン州ラクロス発電所とイリノイ州ザイオン発電所の廃止措置作業は完了している。ウィスコンシン州では、データセンターによる電力需要の急増が予想されており、超党派の州議会議員らが今後数年間にウィスコンシン州により多くの原子力発電を導入することを提唱。ウィスコンシン州上院は5月15日、州の公共サービス委員会に原子力発電の立地調査の指示を承認する法案を可決した。これを受け、法案提出者のひとりである、J. ブラッドリー州上院議員は、「ウィスコンシン州は、可能な限り早期に原子力発電の拡大を推進する準備を整えておく必要がある。州が成長し、将来の世代にわたって経済を活性化させるための大きな利点となる可能性がある」と述べた。ウィスコンシン州には、他にポイントビーチ原子力発電所1-2号機(PWR、各64万kWe)が1970年代から稼働している。同州における原子力発電シェアは約16%(2023年)。2020年11月にはNRCに、2度目となる運転認可の更新申請をしている。認可されれば80年運転が可能になる。
28 May 2025
623
国際社会でも、原子力はエネルギーに関する議論において、これまでの脇役から主役へと位置付けが変化している。ロシアと中国が国内外で積極的に原子力発電所建設を進める一方、カナダ、日本、英国などの西側諸国も原子力によるエネルギー自立をめざす動きがある。脱原子力国のイタリアでは、原子力発電再開に向けた検討が本格化し、ドイツでも、現在、大多数の国民が原子力プログラムの再開を支持している。最近の報道によると、ドイツはもはや、原子力発電をEU法上で再生可能エネルギーと同等に扱うことに対し、これまでのように阻止しない姿勢へと転じると報じられている。さらに、従来から原子力推進国である、ブルガリア、ルーマニア、インドなども新たな原子力発電所の建設を進めている。翻って米国では、ポーランドにおける同国初の原子力発電所建設に向け、ウェスチングハウス(WE)社とベクテル社が提携している。いまや多くのリーダー、政策立案者、起業家にとって、原子力は最優先のテーマであることは明白だ。我々は、原子力の世界的リーダーとなるために競争している。もし連邦政府のリーダーらが既存の政策やプログラムを維持しないのなら、アメリカは後れをとることになろう。米国では過去1年間で、2基のプラント再稼働申請2基の第1回目の運転認可更新(60年)6基の第2回目の運転認可更新(80年運転)25以上の新たなプロジェクトが進行中今後、少なくとも8件の建設許可申請書、4件の運転認可申請書の提出が見込まれており、これにより、5か所のサイトで建設開始、今後2年間で2基のマイクロ原子炉の運転が可能となる。また、ミシガン州にあるホルテック社のパリセード原子力発電所(PWR, 85.7万kW)は再稼働間近、ネクストエラ(NextEra)社は、アイオワ州のデュアン・アーノルド原子力発電所(BWR, 62.4万kW)の運転再開の可能性を模索している。原子力産業界が今、必要としていることは、業界内のすべてのステークホルダーが一丸となって行動することである。そのためには、「調整」「最適化」「加速」という3つのステップが必要だ。第一に「調整」。この一環として今年2月、大統領は、公的および民間の利害関係者を結集し、閉鎖炉の運転再開から新しい原子炉の建設まで、幅広い課題に取り組む「国家エネルギードミナンス(支配)評議会(National Energy Dominance Council)」を立ち上げている。第二に「最適化」。NEIは昨年、マイクロ原子炉の審査プロセスについて、5年間かかる可能性があるところ、6か月に合理化するロードマップをNRCに提出した。引き続き、規制プロセスの合理化に向け、多くの改革を求めていく。第三に「加速」。将来の新規建設に向けては、燃料供給を含むサプライチェーンの整備が不可欠である。また、国内の原子力人材確保に向け、全国の学校、大学、インターン制度を通じた原子力教育とSTEM教育の拡充が必要である。AIをリードする者は、世界をリードする。そして、AIの進化の速度が、新規建設の速度によって制約を受けないようにすることは、国家的な緊急課題である。将来にわたって、グリッドのクリーン性と信頼性を保証できる、唯一の現実的なエネルギー源は、原子力である。原子力こそが、スマートで戦略的な答えなのだ。
28 May 2025
718
スウェーデン議会(リクスダーゲン)は5月21日、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案を採択した。新法は今年8月1日に施行、同日から申請が可能となる。同法案は「新規原子力発電プラント建設の資金調達とリスク分担に関する法案」と題し、2025年3月下旬、E. ブッシュ副首相兼エネルギー・企業・産業担当相、ならびにN. ウィクマン財務次官・金融市場相が議会に提出した。新規建設への投資が収益を生み出すまでの長いリードタイムを勘案し、リスク分担がない場合の民間融資に伴う資金調達コストは、プロジェクトの総コストのかなりの部分を占める。政府の低い借入コストにより、信用リスクを政府に転嫁することで資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減がねらい。議会は、国家補助が、政府と企業の間でリスクと利益の共有を管理するメカニズムの整備を念頭に、新規建設と試運転、および建設前の設計他の準備に向けて、資金調達コストを引き下げるため、低利の借入コストである政府融資の提案を認めた。なお、補助を受ける企業は投資額の全額の借入は出来ず、原子炉の稼働まで売電収入がないため、融資と株式資本の注入で賄う必要がある。融資額は、原子炉が稼働した時点から、原子炉の予想される運転寿命以内に分割返済しなければならない。また議会は、新規炉の運転時に市場リスクを軽減するため、運転事業者と政府による双方向の差金決済取引(CfD)制度の導入の提案も承認。これは、新規炉のフル稼働が許可されてから適用される。但し国家補助の条件として、新規建設は同一サイトで、合計電気出力が少なくとも30万kW以上の場合のみと規定し、特別な理由がある場合は30万kW未満であっても、政府が補助の実施を決定できるとしている。また、補助の範囲を大型炉4基分(約500万kW)に限定し、プロジェクト会社の申請を受けて政府が決定することに加え、プロジェクト会社の株式を他の民間企業や政府が取得し、共同所有者になる可能性にも言及している。N. ウィクマン財務次官兼金融市場担当相は、「これは、新規建設にあたり、公的資金と納税者の資金に対して責任を負う歴史的な発表。原子力発電の拡大は、価格の安定性の向上とシステムコストの削減をもたらし、新規建設を検討する企業だけでなく国民の家計にもメリットがある。新規建設は気候目標の達成とともに、より高い経済成長、より多くの雇用など、より良い条件への道を開くものだ」と期待を示した。スウェーデンは現在、家庭や企業向けの不安定な電力価格と電力システムの不均衡という大きな問題に直面している。これに対処し、化石燃料を使わないベースロードを拡大する必要から、2022年9月に総選挙を経て、翌10月、40年ぶりに原子力を全面的に推進する中道右派連合の現政権が誕生。2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップが発表された。これには、カーボンフリーの電力を競争力のある価格で安定して供給することを目的に、社会の電化にともない総発電量を25年以内に倍増させるため、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉で最大10基分を新設することなどが盛り込まれている。また、2024年1月には、環境法の一部改正法が発効、新たなサイトでの原子炉の建設禁止や国内で同時に運転できる原子炉基数を10基までとする旧・制限事項が撤廃されている。
27 May 2025
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米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長は5月20日、会員企業やその他の原子力関係者らを招いて毎年開催している「Nuclear Energy Policy Forum」で、原子力産業界の現状に関する講演を行った。同理事長によると、AIやデータセンターからの急速な電力需要増を背景に、大手IT企業が全米で約3,000万kWの原子力導入にコミットしており、その規模は今後さらに拡大する見通しだ。また、連邦政府の原子力支援策が後押しとなり、2024年の原子力分野における民間取引額は、過去4年間の合計額を上回ったという。一方で、原子力発電の維持・拡大には、政策支援の継続が不可欠だと強調。なかでも、原子力税額控除(nuclear tax credits)が維持されなければ、原子力の展開は大幅に減速し、あるいは計画そのものが方向転換を迫られる可能性があると警鐘を鳴らした。同理事長の講演概要は、以下のとおり。♢ ♢この20年間、電力需要は停滞していたが、今、状況は変わりつつある。米国の製造業やイノベーション、人工知能、あらゆる分野でより多くの電力が求められている。AI競争を勝ち抜くうえで必要な大規模データセンターには、来年末までに2,800万kW規模の電力が必要だ。原子力産業界は、これまでの漸進的な成長から、信じられないほどの成長へと転じようとしている。原子力への超党派による支援も続いている。C. ライト米エネルギー省(DOE)長官は、就任わずか3日目に「商業用原子力発電を解き放つ(unleash commercial nuclear power)」という長官命令に署名。これは現政権が、原子力エネルギーの価値を、セキュアで強靭、安価かつ豊富で、今後ますますクリーンなエネルギーシステムの一部として、認識していることの証左だ。原子力産業界も準備を整えている。TVA(テネシー峡谷開発公社)は今朝、GEベルノバ日立社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の建設許可申請書を提出した。また、ベクテル社、デューク・エナジー社、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社を含むパートナー連合とともに、DOEによる8億ドルの助成金を申請している。ドミニオン・エナジー社は昨年、ノースアナ原子力発電所(PWR、100万kW級×2基)の運転期間延長(80年運転)の認可を取得。加えて、IT大手アマゾンと連携し、SMRの活用に向けた検討を進めている。エンタジー社は、急増する産業部門の電力需要に対応すべく、新設および出力増強を検討中であり、同社は、ミシシッピー州に新たな原子炉建設のための事前サイト許可(ESP)を取得している。コンステレーション社は昨年、マイクロソフトと提携し、かつて運転していたスリーマイルアイランド(TMI)1号機を「クレーン・クリーンエネルギーセンター」として再稼働させる計画を発表した。IT大手では、グーグル、メタ、アマゾンが、世界の大手金融機関14社とともに、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にすることを誓約した。これまでに、グーグルはケイロス・パワー社と500万kW相当の電力購入契約を締結。アマゾンは、X-エナジー社への5億ドルの投資を主導し、500万kWの原子力導入をめざしている。メタも、400万kW分の原子力による電力調達をめざし、提案依頼書(RFP)を発行している。さらに今月には、エレメントル・パワー社は、先進型原子炉の3つのプロジェクトサイトを開発する契約をグーグルと締結した。このように、IT企業と原子力事業者による新たなパートナーシップは、全米で約3,000万kWの原子力導入に向けたコミットメントとなっており、その規模は今後も拡大していく見込みだ。原子力分野への投資熱も高まっている。NEIが毎年開催する資金調達サミットには、今年は3年前の第1回開催時の2倍の参加者が集結。さらに、2024年の原子力分野における民間部門の取引額は、過去4年間の合計を上回る水準となった。こうした民間投資の増加は、公的支援の強化と軌を一にしている。米議会は昨年、ロシア依存の低減をめざし、国内燃料サプライチェーンの強化を目的に約30億ドル、また次世代原子炉の実証支援向けに約10億ドルを拠出。加えて、許認可審査の効率化を含む、クリーンエネルギーの多用途かつ先進的な原子力展開の加速化法(ADVANCE法)も可決した。連邦政府による原子力支援策として、先進的原子炉実証プログラム(ARDP)や融資プログラム局(LPO)、そして原子力税額控除などがある。これらの政策は、原子力発電の維持・拡大に不可欠であり、今後も維持されるべきである。中でも、原子力税額控除は、良質な雇用、コミュニティの繁栄、そして国家安全保障を支えている。もし議会がこの税制措置を維持できなければ、原子力の展開は大幅に減速するか、あるいは完全に方向転換を余儀なくされる可能性がある。これは、米国の未来を前進させるうえで絶対に避けなければならない。ADVANCE法は、原子力規制委員会(NRC)に対して、安全性を確保しつつ、審査プロセスの効率性も重視するよう求めるもの。NRCは昨年、2021年以来初となる第2回目の運転認可更新(subsequent license renewals)を承認した。対象となったのは、エクセル・エナジー社のモンティセロ原子力発電所(BWR, 69.1万kW)であり、当初24,000時間を要すると予想されていた審査時間は、最終的に16,000時間で完了。審査時間は3分の1に短縮された。このような効率性は、例外ではなく、ルールとする必要がある。州レベルでも支援が拡大している。―テネシー州では、ケイロス・パワー社が2基の新実証炉のうちの1基を建設中。―ワイオミング州では、テラパワー社が同州で最初の商業用原子炉を建設中。―コロラド州は、原子力をクリーンエネルギーと認める法案を可決。―テキサス州は、全米最大規模となる可能性のある、原子力エネルギー基金(Nuclear Energy Fund)を創設中。―アイダホ州では、国防総省(DOD)が国内初のマイクロ原子炉の一基を建設中。(つづく)
27 May 2025
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米トランプ大統領は5月23日、原子力エネルギー政策に対する連邦政府のアプローチの再構築を目的とした一連の大統領令に署名した。人工知能(AI)産業、製造業、量子コンピューティングなどの最先端のエネルギー集約型産業での電力需要増に対し、豊富で信頼性のある電力を供給するのがねらい。エネルギー安全保障を確保するとともに、米国の原子力業界の世界的な競争力維持と国家安全保障の強化のため、2050年までに原子力発電設備容量を現在の約1億kWeから4倍の4億kWeとし、このために必要となる原子力の規制緩和を迅速に行う方針だ。具体的には、第3世代+(プラス)炉や先進炉の展開の促進、既存の原子力施設の継続的な運用と適切な拡大を促進しつつ、時期尚早に閉鎖された、または部分的に完成している原子力施設の再活性化を掲げている。そのため米エネルギー省(DOE)が原子力産業界と協業して、2030年までに既存の原子力施設の設備容量を500万kWe増強するほか、新規の大型炉10基の建設に着手することを、DOEの優先作業に設定している。ホワイトハウスで23日に行われた署名式には、国家エネルギードミナンス(支配)評議会の議長を務めるD. バーガム内務長官やP. ヘグセス国防長官のほか、原子力業界の幹部も同席。バーガム長官は「一連の大統領令が、50年以上続いた原子力業界に対する過剰な規制の時計の針を巻き戻す」「米国の電力需要が急増する中、既存の原子力フリートを拡大し、先進炉への投資により、信頼性の高い電力を供給、電力網を強化して、米国のエネルギードミナンスを拡大する」と強調した。なお、一連の大統領令は以下の4つに関するもの。原子力産業基盤の再活性化エネルギー省における原子炉試験の改革原子力規制委員会の改革国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入C.ライトDOE長官は、「あまりにも長い間、米国の原子力産業は、お役所仕事や時代遅れの政府の政策によって妨げられてきた。AIの出現と大統領の国内製造業強化政策によって、米国の民生用原子力エネルギーは絶好のタイミングで解き放たれている。原子力は、米国にとって最大の追加エネルギー源となる可能性を秘めており、さまざまな規模で運用が可能だ。大統領令は、民生用原子力産業の束縛を解き放つものだ」と語った。ホワイトハウス科学技術局のM. クラツィオス局長は、「過去30年間、原子炉の新設がなかったが、それも今日で終わる。今回の大統領令は、ここ数十年で最も重要な原子力規制改革にむけた措置。強固な米国の原子力産業基盤を回復し、国内の原子燃料サプライチェーンを再構築し、米国が世界の原子力エネルギーを牽引していく。米国のエネルギー安全保障と、AIやその他の新興技術における継続的な優位性にとって重要である」と述べた。大統領令は、DOE傘下の国立研究所における原子炉の設計試験の申請とレビュープロセスの合理化により、迅速な原子炉の商業化を促している。また、国防総省やDOEが、軍事施設や連邦所有地で先進炉の建設にあたり、テストを通して実証された原子炉設計については、原子力規制委員会(NRC)が迅速に承認するなどの規制緩和も示している。AIデータセンターや重要な防衛施設に対する、安全で信頼性の高い原子力による電力供給確保は、AIをめぐる世界的競争、ひいては国家安全保障において不可欠との認識もある。さらにDOEに対し、原子燃料の海外依存を回避するため、国内のウラン採掘と転換・濃縮能力の拡大計画や国内燃料サイクルの強化にむけた勧告を指示するほか、原子力拡大政策を支える労働力の拡大、NRCの改革の必要性を示している。特にNRCに対しては、許認可申請の迅速な処理と革新的な技術の採用を促進するため、政府効率化省との協業によるNRCの再編成、さらに民生用原子力発電の認可と規制に際し、安全性、健康、環境要因に関する従来の懸念のみならず、原子力発電が米国の経済と国家安全保障にもたらす利益を考慮するよう指示。NRCにタイムリーな許認可を出すように要求することで規制上の障壁を取り除きたい考えだ。新規炉は原子炉の種類に関わらず、建設と運転の認可プロセスの簡素化により、数年かかる審査プロセスを18か月に短縮、既設炉の運転期間延長の最終決定は1年以内と期限を定めるなど、許認可の迅速化を指示している。
26 May 2025
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米国の原子力開発ベンチャー企業であるテラパワー社は5月8日、ワイオミング州ケンメラーで自社が開発するNatrium炉について、米原子力規制委員会(NRC)がプロジェクト全体の建設許可申請の審査を継続する一方で、同社による「エネルギー・アイランド」の建設を可能にする例外措置を認めたことを明らかにした。テラパワー社のC. レベスクCEOは、「当社のNatrium炉の設計は、原子炉を発電設備から切り離す革新的なもの。今回のNRCの承認により、建設スケジュールの短縮と材料費の削減が可能になる。Natrium炉は増大するエネルギー需要に対応するために最速で展開でき、最も費用対効果の高いソリューションの1つだ。原子力部の建設許可申請でNRCと引き続き協力していく」と語った。この例外措置の承認は、2024年9月のテラパワー社からの要請による。エネルギー・アイランド内の特別な取り扱いを必要としない、安全関連以外のすべての「構造物、システム、および部品」(SSC=Structures, Systems, and Components)を、連邦規則にある「建設」の適用範囲の定義から除外するもの。その後、NRCとテラパワー社間で協議が重ねられ、NRCはNatrium炉のエネルギー・アイランドでの特定の活動は、公衆の健康と安全に過度のリスクをもたらすものではないと結論。掘削中の杭の打ち込み、地下準備、埋め戻し、コンクリートまたは擁壁の設置や、基礎の設置、または特別な取扱いを必要としないSSCの現場組立、架設、製造、または試験を進めることを認めた。なお、NRCはこの例外措置は最終的な原子炉の建設許可の発給を約束するものでないとし、テラパワー社も建設許可が後に却下される可能性を考慮して、SSCの設置をしていくとしている。テラパワー社は、2024年3月にはNRCに建設許可申請(CPA)を行った。NRCとの間ではCPAおよびトピックレポートの提出に関して1年以上にわたるレビューが行われ、NRCは最近、レビューのスケジュールを前倒ししている。また、初号機建設サイトのある米ワイオミング州からは州レベルの建設許可を得ており、2024年6月に起工式を挙行、非原子力部の建設工事を開始した。「ニュークリア・アイランド」(原子力部)の着工は早くて2026年、送電開始は2030年を予定している。Natrium炉は、熔融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えた34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉。貯蔵技術は、必要に応じてシステムの出力を50万kWeに増強し、5時間半以上を維持することができる。これにより、Natrium炉は再生可能エネルギーとシームレスに統合され、テラパワー社はより迅速に費用対効果の高い電力網の脱炭素化を実現させたい考えだ。
26 May 2025
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九州電力は6月3日、川内原子力発電所(PWR、89.0万kW×2基)で設置工事を進めてきた「廃棄物搬出設備」の工事が完了し、運用開始したことを発表した。同設備は、原子力発電に伴って発生する低レベル放射性廃棄物のうち、雑固体廃棄物と呼ばれる金属類などを、安全かつ効率的に処理・搬出するためのもの。「圧縮固化処理棟」と「固体廃棄物搬出検査棟」から構成され、廃棄物を圧縮した後、モルタルで固化し、「充填固化体」として搬出する仕組み。年間約1,500本のドラム缶を処理する計画だ。搬出先は、青森県六ケ所村にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターで、2027年度以降の搬出開始を予定している。なお、液体の低レベル放射性廃棄物については、川内原子力発電所の運転開始当初から固化設備を導入し、アスファルトで均質・均一に固化した上で搬出を行ってきた。今回の新設備の導入により、固体廃棄物についても、発電所のサイト内で充填固化体として搬出できるようになり、廃棄物の処理体制が強化される。九州電力は運用を開始するにあたり、「地域の皆さまに安心し、信頼していただけるよう、引き続き、低レベル放射性廃棄物の計画的な搬出に取り組んでまいります」とコメントしている。
04 Jun 2025
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原子力規制委員会(NRA)は5月28日、東北電力女川原子力発電所2号機(BWR、82.5万kW)と関西電力高浜発電所構内における、使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置計画を許可した。東北電力は2024年2月に、関西電力は2024年3月に、乾式貯蔵施設設置に向けた原子炉設置変更許可をそれぞれ申請していた。乾式貯蔵施設とは、プールで一定期間冷却した使用済み燃料を、「キャスク」と呼ばれる金属容器に収容し、空気の自然対流によって冷却する方式の貯蔵施設である。水や電源を用いないため、維持管理が比較的容易であり、米国やスイスをはじめとした海外で多くの実績がある。貯蔵はあくまで一時的なものであり、使用済み燃料の再処理を前提に行われているが、燃料の搬出先となる日本原燃の再処理工場の完成が延期(2026年度竣工予定)となっており、使用済み燃料の保管能力の確保は各電力会社にとって喫緊の課題であった。日本国内では、すでに日本原電東海第二発電所で乾式貯蔵が実施されているほか、東京電力と日本原電が共同出資したリサイクル燃料備蓄センター(青森県むつ市)にも昨年、使用済み燃料の搬入が開始されている。また、今回認可を受けた女川および高浜は、発電所構内の乾式貯蔵施設としては新規制基準施行後、四国電力伊方発電所、九州電力玄海原子力発電所に続き、3、4か所目の合格となった。
03 Jun 2025
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は5月30日、定例の記者会見を行い、4月に開催された「第58回原産年次大会」の総括をはじめ、最近の海外出張の報告や今後の取組みについて説明した。増井理事長はまず、4月8日、9日に開催された原産年次大会の総括が30日に公表されたことを受け、その概要を報告。「原子力利用のさらなる加速―新規建設の実現に向けて」を基調テーマとして掲げた同大会について、「安定したサプライチェーンと人材確保、国による明確なビジョンと戦略が不可欠という認識が改めて共有された」と総括した。さらに、海外登壇者を招いたセッションでは、海外の成功事例や教訓を踏まえた課題と対応策の議論を通じて、「新規建設の重要性を改めて発信する機会となった」と振り返った。記者から、「国内外の若手技術者による講演や、学生パネリストを交えたグループディスカッションに特に大きな盛り上がりを感じたが、この熱気をどのように一般の人に伝えていくか」と問われたのに対し、増井理事長は、「当協会が長年実施している出前授業が果たす役割は大きい。エネルギー問題への関心が高まるような施策を、これからも進めていきたい」と今後に意欲を示した。 また、増井理事長は、4月15日~17日にカナダ・オタワで開催されたカナダ原子力協会(CNA)の年次大会に参加。さらに、4月29日~30日に韓国・ソウルで開催された「第40周年記念韓国原子力産業協会(KAIF)年次大会」にも出席し、それぞれの参加概要を報告した。韓国では、日本の原子力発電の現況を発信するとともに、国際展開を志向する会員企業を海外企業に紹介したことなどを説明した。このほか、中国核能行業協会(CNEA)主催の「中国原子力開発フォーラム―2025年国際サミット春(CNESDS)」や、同時開催された「第16回中国原子力産業国際展示会(CIENPI)」にも参加。JAIFブースの出展に加え、CNEA協力のもと、中国の原子力関係施設への視察を行ったことも明らかにした。
02 Jun 2025
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IHIは5月27日、神奈川県横浜市の自社工場で、原子炉建屋の壁として使われる鋼製構造物の試作品を報道陣に公開した。これは、米国のニュースケール社がルーマニアで建設予定のSMRプロジェクトに使用されるもの。SMRは従来の原子炉よりも小型で、1基あたりの電気出力が30万kW以下。機器やシステムは工場で製造し、モジュール化して立地サイトに搬送することで、プレハブのように現地で組み立てることができる。そのため、量産化が容易で、工期短縮やコスト削減が期待されている。データセンターの急増などで電力需要が高まる中、CO₂を出さない脱炭素電源として世界的に注目されている。同社はこれまでの原子炉圧力容器の製造などで、高い技術を保有しており、同社はこうした海外案件を通じて技術継承や人材育成を図る狙いがある。また、国際的な原子力サプライチェーンの構築にも取り組む。同社は「これらの事業を通じて、技術力の維持・強化や、国内サプライチェーンの拡大にも貢献していきたい。さらに次世代革新炉に対するグローバル展開を推進し、国内外の原子力の安全・事業の発展と、2030年代には売上1,000億円を目指していく。」とコメントを発表している。
30 May 2025
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電気事業連合会は、5月20日、俳優の今田美桜さんが出演する新テレビCM「電気とひとの物語・冷蔵庫あけたら」篇、「電気とひとの物語・この撮影も」篇(各30秒)を、全国で放映開始した。また、5月27日から、新Webムービー「伝わるのは今だ-episode1-」の配信をスタートさせている。先行して公開されたテレビ CM では、日常のなかにある電気のありがたさや、そこに込められた人の思いをやさしく伝える内容となっている。新Webムービーでは、今後の電力需要の増加を見据え、CO₂を排出しない原子力や再生可能エネルギーの活用、火力の脱炭素化といった課題への取り組みを、ドラマ仕立てで紹介。日本のエネルギー自給率が約15%と低い現状を背景に、各電源をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の重要性を訴える内容となっている。今田さんがシリアスな表情を崩さずに、若干強引気味に説明するシーンがコミカルで、SNS上では早くも話題になっているようだ。Webムービーの最後には「エネルギーのこと、知ってほしいのは今だから」というメッセージが添えられており、若い世代をはじめ、多くの人にエネルギー問題を身近に感じてもらいたいという思いが込められている。また、電事連では安全性を最優先に、「安定供給」「経済効率性」「環境への適合」の3要素を同時に満たす「S+3E」の実現を掲げており、新しいテレビCMとWebムービーを通じて、こうした取り組みを伝えている。
28 May 2025
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日本原燃は5月21日、青森県六ヶ所村にあるウラン濃縮工場について、設備の設計および工事計画の認可申請を原子力規制委員会(NRA)に提出した。申請の対象は、年間150トンSWU(分離作業単位)の処理能力を持つ「2号カスケード設備(RE-2C)」を含む複数の設備。今後、老朽化した機器を新型の遠心分離機などへ更新し、安全性と効率の向上を図る。今回の申請では、新型遠心分離機の導入に加えて、耐震評価、追加の安全対策を実施。また、ウラン化合物を取り扱う六フッ化ウラン処理設備や高周波電源設備、放射線監視設備、非常用設備についても同様に設備更新や追加の安全対策が行われる予定だ。今回、申請分の設備は2028年度中の完成を見込んでいる。
23 May 2025
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中国電力は5月21日、運転中の島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kWe)に係る「長期施設管理計画」が、原子力規制委員会(NRA)から認可されたと発表した。同機は、2024年4月に、高経年化技術評価制度に基づき長期運転に関する認可を受けた。その後、原子炉等規制法の改正に伴い、運転開始から30年を超えて原子力発電所を運転する場合、経年劣化に関する評価を行い、今後実施すべき具体的な保全活動をとりまとめた長期施設管理計画を申請し、原子力規制委員会から認可を受けることとなった。今回は、原子力規制委員会が2025年5月14日までに行った審査内容に基づく補正を経て、正式に認可されたもの。島根2号機は1989年2月に営業運転を開始。すでに運転開始から36年が経過しており、長期施設管理計画の対象期間は、制度施行日である2025年6月6日から、運転40年目を迎える前日である2029年2月9日までとなっている。
22 May 2025
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日本原子力発電は5月19日、廃炉作業中の敦賀発電所1号機(BWR、35.7万kWe)の廃止措置工程について、完了時期を当初計画の2040年度より7年延期し、2047年度の完了を目指す方針を明らかにした。あわせて、同発電所が立地する福井県及び敦賀市に報告するとともに、原子力規制委員会(NRA)に廃止措置計画の変更届を提出した。敦賀1号機は、1970年3月に営業運転を開始した国内初の商業用軽水炉で、2017年から廃炉作業が進められている。廃止措置は3段階で構成されており、現在は第1段階にあたる「原子炉本体等解体準備期間」にある。すでに、解体で発生する廃棄物を効率的に移送するルート確保のため、原子炉建屋、タービン建屋内の設備や軽油貯蔵タンク等の解体、撤去工事を実施中で、2026年度から原子炉本体の解体に着手する計画だった。しかし、原子炉格納容器の一部であるサプレッション・チェンバの解体を予定していたメーカーが、事情により受注を辞退。その後、別のメーカーを選定したが、解体用装置の開発に時間を要することから、廃止措置の完了時期を延期することになった。日本原子力発電は「引き続き安全確保を最優先に、敦賀1号機の廃止措置を着実に進めるとともに、丁寧な情報発信に努めていく」とのコメントを発表している。
21 May 2025
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九州電力は、5月19日、2035年度までの長期経営計画を説明する記者会見の場で、従来の原子力発電所より安全性を高めた「次世代革新炉」の開発・建設を検討することを発表した。6月に代表取締役社長に就任予定の西山勝取締役常務執行役員は、「原子力を検討していくことは、エネルギー事業者として必須。ただ、具体的に検討していくためには、(資金調達など)さまざまな前提条件が揃わなくてはいけない」と説明し、慎重に判断する姿勢を示した。同社は現在、川内原子力発電所1・2号機(PWR、89.0万kWe×2基)と玄海原子力発電所3・4号機(PWR、118.0万kWe×2基)の計4基を所有、運転している。政府が2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、廃炉を決めた原子力発電所の代替として、同一事業者が発電所のサイト内に新設することを「建て替え」として容認。玄海原子力発電所1・2号機(PWR、55.9万kWe×2基)の廃炉を進める同社にとって、新設への道が開かれた形となっていた。具体的な新規建設サイトへの言及はなかったが、川内原子力発電所3号機(APWR、159.9万kWe)の建設予定サイトが次世代革新炉の設置場所の候補とみる向きも多い。
20 May 2025
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九州電力は5月19日、玄海原子力発電所(PWR、118万kWe×2基)において、使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置工事を開始した。既存の燃料プールに加え、乾式貯蔵方式を導入することで、中間貯蔵手段の多様化と貯蔵余裕の確保を図る。2027年度の運用開始を目指している。同施設では、15年以上冷却した使用済み燃料を金属製の乾式貯蔵容器に封入し、専用の建屋に貯蔵する。最大960体の燃料集合体を貯蔵可能で、施設は地中構造を含む高さ約30メートル、幅約50メートル、奥行き約60メートルの規模となる。使用済み燃料を封入する貯蔵容器は、金属製の多重構造となっており、空気の循環によって冷却される設計だ。乾式貯蔵方式は、冷却に水や電源を必要としない構造から、地震や津波などの自然災害時にも高い安全性を確保できるとされ、国内外での導入が進んでいる。玄海発電所の乾式貯蔵施設については、2019年1月に原子炉設置変更許可を申請。2021年4月に許可されると、その後2024年6月に設計・工事計画の認可を申請し、今年4月30日には最終的な認可を得ていた。
20 May 2025
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新潟県は5月16日、柏崎刈羽原子力発電所6,7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)において事故が発生した場合の、被ばく線量シミュレーションを公表した。シミュレーションは、原子力規制委員会(NRA)の検討チームが実施した手法をもとに、気象条件など柏崎刈羽地域の実情に合わせて行った。7日後のベント実施や、6・7号機が同時に事故を起こすケースなど、計6通りのシナリオを想定。事故発生後の時間経過に伴う被ばく線量の変化や、防護措置の実施タイミングをそれぞれのケースごとに分析し、IAEAが定める各種基準と比較評価した。今回のシミュレーションでは、発電所から2.5キロメートル圏内では、避難や屋内退避を必要とする100ミリシーベルト/週の実効線量に達する可能性があること、また、4.5キロメートル圏内では、安定ヨウ素剤の服用が推奨される50ミリシーベルト/週に達する場合があることが示された。いずれもフィルタベントを使用した複数のケースで確認されている。一方、発電所から概ね30キロメートル圏内のUPZ(緊急時防護措置準備区域)では、被ばく線量が、IAEAの基準値には達しないことが確認された。屋外にいた場合でも被ばく線量は十分低く、特に鉄筋コンクリート造の施設など屋内退避を行うことでさらに被ばく線量が低減されると分析した。今回の結果は、6月1日、7日に開催する県民への説明会にて説明される予定となっている。
19 May 2025
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原子力規制委員会(NRA)が4月30日、北海道電力の泊3号機(PWR、91.2万kW)について、再稼働に向けた安全対策が新規制基準に適合すると認めた審査書案を了承したことを受け、同電力は5月15日、札幌市で開催された道の原子力専門有識者会合で、同審査書案について説明を行った。今後、北海道電力は、有識者の指摘を踏まえ、3号機の再稼働に向けて必要な対策を盛り込んだ、一般向け説明資料をとりまとめ、公開する方針だ。なお、審査書案は、5月30日までパブリックコメントに付せられている。会合では、前回有識者から要望があった道民向けの説明資料について、北海道電力が、基準津波、対津波設計方針、基礎地盤と周辺斜面の安定性評価、重大事故等対処施設などの項目ごとに、より分かりやすく、内容を充実させた説明を実施。一方で、一部有識者からは、更なる情報の深掘りを求める声が上がった。津波の年超過確率、制御棒の自重落下やホウ酸水を使った原子炉出力抑制、審査対応状況に関する記載などに関して、さらに分かりやすい説明を求める意見が出された。現在、北海道では、次世代半導体の量産を目指す新工場建設や、国内最大級のデータセンターが建設予定。今年1月に電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公表した最新の需要想定報告書によると、北海道エリアの需要電力量(送電端)は、2024年度(推定実績値)の292.14億kWhから2034年度には328.95億kWhへと大幅な増加が見込まれている。
16 May 2025
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