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19 Mar 2026
297

中国 三澳1号機が送電開始
国内NEWS
18 Mar 2026
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IHIと米Xエナジー 高温ガス炉分野で協業へ MOU締結
海外NEWS
18 Mar 2026
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EC 初のSMR戦略 2030年代初頭に初号機運開めざす
国内NEWS
17 Mar 2026
489

インド太平洋地域での今後の原子力展開にむけ日米産業界が専門的議論
国内NEWS
17 Mar 2026
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原子力人材育成の中核に 原子力委員会で「UTR-KINKI」の教育・研究の取組みを報告
海外NEWS
17 Mar 2026
450

トルコ CANDU炉導入可能性にむけた調査へ
国内NEWS
16 Mar 2026
590

科学リテラシー向上に向けて 教員志望の学生らが学習指導案
国内NEWS
16 Mar 2026
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原産協会と米NEI インド太平洋地域の原子力協力で覚書締結

中国の浙江省温州市で3月12日、中国広核集団(CGN)の三澳(Sanaocun)発電所1号機(PWR=華龍一号<HPR1000>、120.8万kWe)が送電を開始した。今後、出力上昇試験や各種性能試験を経て、今年前半の営業運転開始をめざす。三澳プロジェクトは2007年にサイト調査を開始し、2015年に国家能源局が計6基の「華龍一号」を建設するサイト取得・整備作業等の実施を承認。I期工事の1-2号機はそれぞれ2020年12月、2021年12月に着工し、Ⅱ期工事の3号機も2025年11月に着工した。1号機については、2025年12月に国家核安全局(NNSA)が運転認可を発給し、今年2月14日に初臨界を達成していた。同プロジェクトが完成すると、温州市の現在の総電力消費量にほぼ匹敵する年間540億kWh超の電力供給が見込まれている。毎年、標準石炭換算で約1,635万トンの削減に貢献するという。現在、長江デルタ地域ではDeepSeekなどの世界有数のAI関連企業が集積し、スマート経済の急速な発展に伴い計算能力需要が急増し、エネルギー消費を継続的に増大させている。今年の全国人民代表大会では、「計算能力と電力の協調(算電協同)」が初めて政府活動報告に盛り込まれ、大規模なAI計算クラスターなど新インフラ整備の推進方針が明確に示された。三澳プロジェクトでは、作業現場の可視化・自動化を実現し、年間で約70万時間の作業工数を削減したほか、国内初となる全工程のデジタル化を導入。原子炉建屋では4万枚以上の配管検査用放射線フィルムをデジタル管理し、AIによる解析評価により欠陥検出率・重複検査の検出精度はいずれも95%以上を達成したという。また、原子炉冷却材主配管の溶接用設備や工法の国産化や、「レゴ式」の分解可能なプレハブ擁壁モジュール工法の導入により、建設コストの削減と工期短縮を図っている。
19 Mar 2026
297

欧州委員会(EC)は3月10日、小型モジュール炉(SMR)((軽水炉型SMRのほか、液体金属炉や熔融塩炉、高温ガス炉などの先進モジュール炉(AMR)およびマイクロ炉を含む。))の開発・導入を加速する初の戦略文書「欧州におけるSMRの開発および導入に向けた戦略(Strategy for the development and deployment of Small Modular Reactors (SMRs) in Europe)」を発表した。ECは、SMRを欧州の主要な産業開発プロジェクトの一つと位置づけ、2030年代初頭までに欧州で初のSMRの運転開始をめざす。SMRを、脱炭素化やエネルギー安全保障の強化に加え、欧州の産業競争力の強化にも寄与する技術としている。同戦略では、研究、サプライチェーン、許認可、人材育成、資金調達などの分野でEU加盟国や産業界、規制当局、投資家の協力強化を図る方針を示すとともに、SMR導入を促進するための9つの行動を提示。具体的には、技術開発やサプライチェーン、規制面などでの取組みとして、産業向け高温熱供給や海上利用などを想定した先進モジュール炉(AMR)の開発加速、燃料サイクルを含む欧州域内のサプライチェーン強化、同一設計の炉を複数導入するフリート・アプローチの推進と、それに伴う産業標準化の策定や許認可に関する規制協力などを打ち出した。これらの取組みは、EU加盟国間の協力強化や志を同じくする国との国際協力のほか、2024年2月に設立された欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)とも連携して進める。さらに、SMR導入を後押しするため、資金支援の枠組みも提示。EUの投資支援制度であるInvestEUやイノベーション基金などを活用し、初号機(FOAK)プロジェクトのリスク低減を図り、民間投資の呼び込みを進めるとしている。そのほか、革新的原子力技術に関するIPCEI(Important Project of Common European Interest)の枠組みを通じて、投資促進の方針も示した。また、SMRの製造拠点や関連産業を集積するSMRバレー(SMR Valley)の形成や、SMR導入に関心を持つEU加盟国が選定された炉型について規制や政策、経済面などで協力する枠組みのSMR連合(SMR Coalition)を設立する提案も示されている。ECはまた同日、原子力実証プログラム(PINC)を発表。同プログラムによると、EUにおけるSMRの設備容量は、2050年までに1,700万kWから5,300万kWに達する可能性があるとの見通しを示している。
18 Mar 2026
1850

トルコ原子力公社(TÜNAŞ〈TUNAS〉)は3月3日、加アトキンス・リアリス(AtkinsRéalis、旧SNC-ラバリン=SNC-Lavalin)社傘下にあるCandu Energy社と協力覚書(MOU)を締結した。トルコが将来、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)を導入する可能性について、詳細な実現可能性評価を行うことを目的としている。トルコは両国間の戦略的協力が、トルコのエネルギー・セキュリティーの強化、エネルギー源の多様化、原子力発電設備容量拡大という目標に沿った重要なマイルストーンであると位置づけている。この覚書は、トルコのA. バイラクタル・エネルギー・天然資源相がカナダを訪問中、同国のT. ホジソン・エネルギー・天然資源相との立会いの下で締結された。バイラクタル大臣は「エネルギー構成の多様化と原子力発電容量の増強につながる両国間の共同作業の可能性を我々は非常に重視している」と指摘。翌4日のカナダ探鉱者・開発業者協会(PDAC)の総会では、「2050年までに少なくとも2,000万kWeの原子力発電設備容量の達成に向けて、従来の大型炉と小型モジュール炉(SMR)の両方を含める必要がある」と述べ、原子力がカナダとの協力を推進する分野の一つであると強調した。アトキンス・リアリス社によると、今回の合意はトルコが原子炉3基を追加導入して原子力を拡大する計画を支援するため、CANDU炉導入の機会を探るもの。両者間で関連技術データ、情報、経験、ノウハウ、専門知識を交換・共有する計画だ。具体的には、様々なCANDU炉の評価で協力し、TÜNAŞが特定したサイトへの適合性を評価、トルコにおいてCANDU炉に適用される規制及び認可要件の評価も実施。加えて、資金調達・構造化オプション、所有権の取り決め、プロジェクト実施手法、現地化機会の評価、ならびに労働力開発及び人材要件を含む、潜在的なビジネスモデルを検討するという。現在、CANDU炉はカナダ、韓国、ルーマニア、中国で計27基が運転中。アトキンス・リアリス社は現在、第3世代+(プラス)炉である100万kWe級のCANDU炉の新型「MONARK」を開発中だ。2024年9月に概念設計段階は完了し、現在、カナダ原子力規制委員会による予備的な規制設計評価が進行中である。また、トルコ南部では、同国初の原子力発電所となるアックユ原子力発電所(ロシア型PWR=VVER-1200、×4基)がロシアの融資と協力の下、「建設・所有・運転(BOO)」方式を採用して建設が進められている。このほか、同国北部のシノップと、トラキア地域で大規模原子力発電所の建設を計画しており、2053年のネットゼロ目標達成にむけ、同年までに原子力発電設備容量を2,000万kWeまで引き上げ、原子力発電量のシェアを約30%にすることをめざしている。アックユ原子力発電所が完成すれば、原子力発電電力量は年間約350億kWhと見込まれており、これは2024年のトルコの総電力消費量3,479億kWhの約10%に相当する。なおTÜNAŞは2025年11月、韓国電力公社(KEPCO)と原子力分野における協力に関する覚書(MOU)を締結。トルコ北部で計画中のシノップ原子力発電所の建設スケジュールや事業条件についても意見交換を行っている。
17 Mar 2026
450

リトアニアのイグナリナ原子力発電所を運営しているアルトラ(Altra)社は2月25日、米国の首都ワシントンで、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社、ポーランドのSGE社とリトアニアにおけるGVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の導入可能性を評価するため、三者間覚書を締結した。「BWRX-300」導入に係る技術面および経済面での実現可能性を詳細に評価し、技術ソリューション、安全性および許認可要件、さらに経済的および市場的な側面を分析する。覚書署名式には、リトアニアのZ. ヴァイチウナス・エネルギー相、米エネルギー省のR. バーラン原子炉担当次官補代理らも出席。ヴァイチウナス大臣は、「リトアニアの原子力発電の経験、アルトラ社の専門知見、先進SMRを開発する米国パートナーの最新知識を結集し、リトアニアにおける次世代SMRの立地可能性を体系的に評価。エネルギー・セキュリティー、持続可能性、気候中立なエネルギー・経済目標にどのように貢献し得るかを判断する。再生可能エネルギーは現在も将来もリトアニアの明確な選択肢であるが、2050年までに完全な気候中立を達成するためには、SMRの可能性も評価しなければならない」と語った。アルトラ社のL. バウジスCEOは、「リトアニアには、原子力発電の実績があり、国家のエネルギー・セキュリティと長期的なシステムの安定性を強化する次世代ソリューションの議論にあたり有利な立場にある。BWRX-300は現在開発中の最も先進的なSMRの一つであり、将来のエネルギーソリューションとして分析評価するのは当然」と強調した。GVH社の先進原子力担当のS. セクストン上級副社長は、加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)と共に西側諸国初となる商用規模のSMRを建設する過程で得られる経験や、SGE社との協力が、リトアニアや他の欧州諸国でBWRX-300を展開配備する強力な基盤となっている」と述べた。欧州のSMR開発プラットフォームであり、BWRX-300の標準設計にも共同出資しているSGE社のR. カスプロウCEOは、「リトアニアのエネルギー移行には、電力システムの安全性を高め、長期的な経済発展を支える安定したゼロエミッション電源が必要。BWRX-300は、これらニーズに応えるために設計されており、数十年にわたる原子力発電の運用経験を踏まえ、安全性と信頼性を確保しつつ、クリーンでコスト競争力のある拡張可能な設計となっている」とし、今回の覚書締結の意義を強調した。SMRの導入検討は、2050年までにエネルギー自立と気候中立の達成を目指す同国の国家エネルギー戦略とも合致する。エネルギー省は2025年、アルトラ社などが参加する作業部会を設置し、先進原子力技術の役割について評価を進めている。なお、2025年のユーロバロメーター調査(欧州委員会が実施するEU公式の世論調査)では、リトアニア国民の57%が今後20年間の原子力の将来を肯定的に見ている。リトアニアでは、イグナリナ原子力発電所(軽水冷却黒鉛減速炉:RBMK-1500×2基、各150万kWe)が1980年代から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMK炉の安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。アルトラ社は現在、同発電所の廃止措置作業を実施中だ。閉鎖後、イグナリナ原子力発電所近傍のヴィサギナスに日立製作所が主導する新規原子力発電所プロジェクトも浮上したが、福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電に対する国民の支持は低下。2012年の原子力発電所の新規建設への支持を問う国民投票では否定的な意見が優勢となり、2016年10月の総選挙による政権交代を経て、翌11月にヴィサギナス・プロジェクトは凍結された。その後、リトアニアでは電力不足を補うため、電力供給源の多様化を図り、再生可能エネルギーの導入を促進。現在、総発電電力量の約8割を再生可能エネルギーで賄うものの、近隣諸国(スウェーデン、ラトビア)からの電力輸入量も多い。
13 Mar 2026
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スロベニア政府は 2月17日の閣議で、クルスコ原子力発電所の増設計画(JEK2 プロジェクト)に関する国家空間計画(DPN)の策定を開始することを承認した。これは同プロジェクトを正式に空間配置プロセスに組み込む最初の手続きであり、同国の電力システムの長期的な安定性や低炭素化に関わる重要なエネルギーインフラ計画の節目となる。DPNとは主に、プロジェクトをどこにどのように配置するか、また対象地域でどのような整備が行われるか、そして計画の基本的な条件はどうなるかを決定することを目的とする。DPNの策定は、環境・気候・エネルギー省の提案に基づくもので、2025年7月1日から10月30日までの4か月間にわたり公開協議が行われた。空間計画当局、地方自治体、経済界、NGO、住民らが議論に参加し、主要3都市で公開説明会も開催された。その結果、受け取ったすべての指針と意見に基づき、主要な専門調査項目が決定された。DPN策定に係る政府承認を受け、今後、天然資源・空間計画省が中心となり、技術面、空間計画面、環境面、地域開発面などから広範な専門調査・分析を実施、国境を越えた評価を含む包括的な環境影響評価も実施し、DPN草案を作成する。DPN草案の公開は2027年後半に予定されており、その際には一般からの意見も募集する。政府は2028年後半にDPNの政令の採択を予定。政令では、プロジェクトに関する土地利用計画、計画対象地域、建設・設計の条件、自治体の土地利用計画への指針を規定し、これが建設許可など次の段階の手続きの重要な基盤となる。JEK2プロジェクトは、国内で最も重要なエネルギー開発プロジェクトの一つであり、J. ノヴァク天然資源・空間計画相は、クルスコ発電所が立地するポザヴェ地域にとって大きな開発の機会になると強調。政府として、すべての重要な情報が利用可能になった時点で、このプロジェクトの是非を問う国民投票の実施を支持する考えを示した。当初は 2024 年 11 月に国民投票を実施する計画であった。しかし、プロジェクトの透明性や国民投票の合法性をめぐり環境団体などから批判が高まり、実施は見送られた。スロベニアでは現在、クルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kWe)が同国の総発電電力量の約35%を供給している。同発電所はGENエネルギアと隣国クロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivreda(HEP)が共同所有。スロベニアの電力需要は、2050年までに倍増することが予想されているが、2033年以降は総発電電力量の約3分の1を供給する火力発電所を閉鎖する計画。2043年にはクルスコ発電所の運転期間(60年)も満了する。
13 Mar 2026
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米エネルギー省(DOE)原子力局は3月3日、米国の先進原子力技術の研究開発を強化するため、全米の46プロジェクトを対象に、総額5,280万ドルを助成することを明らかにした。先進原子力技術開発や若手研究者の研究活動を支援し、米国の原子力ルネサンスを加速させたい考えだ。DOEは今回の助成が、2025年5月に発出された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」を推進し、研究インフラへのアクセス拡大と原子力人材の育成を後押しするものと位置づけている。原子力戦略分野担当のM. スコット次官補代理代行は、「これらプロジェクトへの支援は、米国の原子力技術、大学、将来人材への重要な投資。研究者や教育者が革新的な原子力研究を進め、科学的なブレイクスルーを実現できるよう、DOEは必要なリソースと資金の提供に取り組んでいる」と語った。今回の助成は、全米19州にある大学・国立研究所・企業を対象に、初期段階にある研究活動を以下2分野に焦点を置いて実施するもの。原子力研究開発(R&D): 43プロジェクトに対し、原子力研究開発と研究施設へのアクセスを支援。卓越した若手研究者育成プログラム: 原子力分野における新たな研究領域を開拓し、ミッションクリティカルな研究を推進する革新的研究・教育プログラムを開発する、優秀な若手大学教員3名を支援。今回の助成資金は、以下のプログラムから拠出される。Nuclear Energy University Program (NEUP)Integrated Research ProjectsNuclear Science User Facilities (NSUF)なお、DOE原子力局は昨年12月、原子力教育を強化するため、K-12世代(幼稚園から高校まで)や職業訓練学校、カレッジの学生を対象に、大学の研究炉へのアクセスを拡大し、原子力科学、工学、技術の認知度を高め、原子力分野への関心を促進することを目的に、3大学に59万ドル以上を助成することを明らかにしている。T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「本助成は、学生が原子力科学と工学を学び、将来的に原子力エネルギー分野でのキャリアを追求するために必要な訓練を受けるための入り口を提供するもの」と指摘。DOEによる原子力人材パイプラインを拡大する数多くの方策の一つであるとした。大学の原子炉共有・普及プログラムへの助成により、既存の研究炉を持つ大学が他の教育機関とリソースや施設を共有することを奨励する。DOEは以下の3大学の活動に対し、それぞれ最大20万ドルを助成する。ウィスコンシン大学マディソン校のミッドウエスト原子炉共有コンソーシアム: セミナー、短期コース、ワークショップを通じて原子力科学、工学、技術の認知度を高めるために、原子炉リソースを共有。ペンシルベニア州立大学の放射線科学・工学センターの原子炉共有アウトリーチプログラム: 教員ワークショップや実験を支援する助成を通じて既存の教育・アウトリーチプログラムを拡大。ノースカロライナ州立大学のPULSTAR原子炉アウトリーチ&シェアリング(K-12機関対象): 原子力に関心のある高校生向けの短期コースを開発し、労働力育成を促進。DOEは2009年以降、原子力分野における研究の推進と次世代の原子力分野のリーダー育成のために、学生や教員に累計10億ドル以上の資金を供与。今後も各種助成を通じて、大学やカレッジが原子力エネルギー研究開発施設へのアクセスを増やすための方法を模索し続けていくとしている。
12 Mar 2026
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フランス・パリで3月10日、フランス政府と国際原子力機関(IAEA)共催による第2回「原子力エネルギー・サミット」が開催された。原子力エネルギー利用に対する世界的な関心が高まる中、国家元首や政府首脳、国際機関や金融機関のリーダー、業界の専門家が一堂に会し、主要なエネルギーおよび気候課題に対処する上での民生用原子力エネルギーの役割について議論した。原子力は現在、世界の総発電電力量の約10%を占めており、多くの国で低炭素かつ安定した電源として、再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担っている。2025年9月、IAEAは5年連続で原子力拡大の予測を上方修正し、世界の原子力発電設備容量が2050年までに倍増する可能性があるとの見通しを発表。電力需要の増加、脱炭素化の必要性、エネルギー・セキュリティを背景に、同サミットは国際協力を強化し、民生用原子力の安全かつ持続可能な発展にむけた具体的な解決策を模索する重要な機会と位置付けられた。2024年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された前回のサミットをふまえ、本サミットでは原子力発電国と、原子力導入を検討している新興国との間で国際協力を推進するとともに、国家、国際機関、金融界、産業界間のパートナーシップを促進させて、気候目標に沿った、安全で経済的に実現可能な民生用原子力エネルギーの開発の基盤を築くことを目的としている。さらに、2026年春に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、最高レベルの安全、安全性、核不拡散の確保という国際的な公約に沿った原子力エネルギーの平和利用を強調している。サミット冒頭、フランスのE. マクロン大統領は、民生用原子力発電がエネルギー・セキュリティの確保に寄与しており、「フランスの2025年の原子力発電電力量は約3,700億kWhを記録し、900億kWh以上のカーボンフリー電力を輸出した。原子炉の国内における新規建設プログラムも前進している。より不安定で、断片化し、不確実な世界において、それは主権の選択であり、競争力の選択であり、未来への保証でもある。フランスはこの選択をした」と強調した。続けて、IAEAのR. グロッシー事務局長は、「原子力は、低炭素で天候や燃料供給の混乱の影響を受けにくい安定した電源として、エネルギー・セキュリティと電力システムの安定に寄与する。再生可能エネルギーの導入を支えるベースロード電源として、AIの普及などによる電力需要の増加にも対応可能。現在、約60か国が導入を検討しており、原子力の拡大には予測可能な政策、強固なサプライチェーン、資金調達、標準化の推進が重要となる。IAEAは国際金融機関と連携し、各国の原子力導入を支援している」と語った。欧州委員会のU. フォンデアライエン委員長は、欧州は、化石燃料を高価で不安定な輸入に完全に依存し、現在の中東危機はその脆弱性を痛烈に思い知らせたと言及。「1990年は欧州の電力の3分の1が原子力由来だったが、現在は15%程度に過ぎない。欧州が、信頼性が高く廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった」と述べた。「欧州には自国産の低炭素エネルギー源が必要だ。原子力と再生可能エネルギーの組み合わせが重要であり、原子力は24時間、年間を通じて電力供給が可能である」と原子力の優位性を強調。そのうえで、「欧州には主導権を握るための全てが揃っている。原子力分野には50万人の高度な技能を持つ労働者がいる。欧州が次世代原子力エネルギーの世界的拠点となるために、我々は迅速かつ大規模に前進する意欲がある」とし、「2030年代初頭までにSMRの欧州における実用化を支援するため、革新的原子力技術への民間投資を後押しする2億ユーロの保証枠を創設する」と新たなSMR戦略を明らかにした。その後、各国首相および政府首脳の声明が行われ、午後には、パネルおよび円卓会議で、エネルギー転換およびカーボンフリー電力へのアクセスにおける原子力の役割、特に新規導入を検討する諸国の原子力プロジェクトを支える資金調達、SMRを含む先進炉技術とイノベーション、産業利用の可能性のほか、燃料供給保証、使用済み燃料や廃棄物の管理、施設の建設・運営に必要なスキルやサプライチェーンの開発などについて議論された。なお、同サミットにおいて、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28、於UAE・ドバイ)で署名された、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にするという「原子力の三倍化宣言」にあらたに、ブラジル、ベルギー、中国、イタリアが署名した。今年3月初めに署名した南アフリカと併せ、署名国は38か国((アルメニア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、日本、カザフスタン、ケニア、韓国、コソボ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ナイジェリア、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、セネガル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国 (以上38か国)))に拡大した。
11 Mar 2026
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米GEベルノバ日立ニュクリアエナジー(GVH)社とポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は2月24日、GVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」のポーランド向けの汎用設計を進める契約を締結した。「Poland Generic Design Agreement(PGDA)」と呼ばれる契約締結後、OSGE社はBWRX-300の詳細設計の開発に投資。同設計は、ポーランド国内でSMRプロジェクトを進める際の基準設計(リファレンス設計)となる。契約署名式典に参加したポーランドのM. モティカ・エネルギー相は、「ポーランドは、SMR技術において欧州のリーダーとなる潜在力を持っており、今回の契約締結は、その目標に向けた重要な一歩。安定した脱炭素の電力システムと産業向けの予測可能な市場環境の確保に向け、ポーランドは大型炉とSMRの両方の開発を並行して進めている。SMRはエネルギー多消費型産業にとって重要なベースロード電源となり、電力価格の安定に寄与、国内の原子力サプライチェーンの成長を促す。電力需要が増加し続ける中、両方の技術の導入が不可欠である」と強調。同省のW. ヴロースナ次官兼エネルギー・インフラ担当政府全権代表も、「汎用設計は、同型の原子炉を標準化して多数展開するための基盤となり、建設コストを下げ、競争力を高めることができる。ポーランド企業が先進的な原子力プロジェクトに参加する大きな機会にもなる」と語った。OSGE社は、ポーランドの規制に適合した設計を同国内の複数の地点におけるBWRX-300の展開に適用し、設計の標準化とサプライチェーン整備を通じてコスト削減を実現、電力価格の低減に貢献したい考えだ。BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代BWR。2014年にNRCから設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)のダーリントン・サイトでBWRX-300初号機が2020年代末までに完成予定だ。原子炉圧力容器などの主要部品は製造中であり、現場工事は計画通りに進んでいる。米原子力規制委員会(NRC)は、テネシー峡谷開発公社(TVA)がテネシー州オークリッジ近郊に所有するクリンチリバー・サイトに米国初のBWRX-300を建設する申請を受理し、審査中である。
10 Mar 2026
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チェコと韓国は、チェコのドコバニ原子力発電所の増設プロジェクトの調整を行う閣僚級の共同運営委員会の設立で合意し、2月16日にチェコの首都プラハで初会合を開催した。同会合では、同プロジェクトのサプライチェーンにチェコ企業が参加する契約も締結された。チェコは既存のドコバニ発電所(ロシア製PWR=VVER-440×4基、各51万kWe)の隣に2基を増設する計画だ。2024年7月、韓国水力・原子力(KHNP)はドコバニとテメリン両原子力発電所における最大4基の増設プロジェクトの主契約者をめぐる優先交渉権を獲得し、2025年6月、プロジェクト会社のドコバニⅡ原子力発電会社(EDU II、政府が80%、チェコ電力ČEZが20%所有)とドコバニ発電所5・6号機向けにAPR1000×2基の増設契約を締結した。総事業費は1基あたり約2,000億コルナ(約1.5兆円)を想定。2027年には建設許可を取得し、2029年に建設を開始、2036年に5号機の稼働開始を見込んでいる。チェコのK. ハヴリーチェック産業貿易相兼第一副首相は、増設はチェコの家庭や企業が廉価で安定したエネルギーを確保するために不可欠とし、「ドコバニ増設プロジェクトは、前政権のもとで推進され、当時の工程表は今も維持されている。今後も予算とスケジュールを厳格に守る。チェコ企業の参画も重要。そのため、金長官とともに閣僚級の運営委員会を設立し、プロジェクトの進行、財務計画、チェコ企業の建設参加進捗を継続的に監督していく」と述べた。韓国の金正官・産業通商部長官は、「本プロジェクトは単なるインフラプロジェクトではなく、今後数十年にわたり両政府と企業間の強い連帯と協力の象徴であり、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所建設プロジェクトに続き、韓国の原子力発電所建設の競争力を世界に再び証明する機会となる」と述べ、テメリン発電所の増設でも協力することへの期待を示した。本運営委員会は、両産業省間で設立されたサプライチェーン・エネルギー対話(SCED)の枠組みの下で活動を開始。両国の産業大臣に加え、主契約者である韓国水力・原子力(KHNP)とプロジェクト会社であるドコバニⅡ原子力発電会社(EDU II)の代表が参加する。EDUⅡのP. ザボドスキーCEOは、「チェコ企業の参加は、数十年にわたる運転や保守の観点からも重要。停止期間や近代化への柔軟性、問題発生時の迅速な対応、自立した高い能力維持につながる」と指摘した。チェコは、プロジェクトへの自国企業の関与を建設完了までに60%達成を目標にしている。KHNPによると、現時点でチェコの約160企業がドコバニ5・6号機向けのサプライヤーとして登録手続きを行っているという。なお、今回締結された主な契約は以下のとおり。KHNP-ÚJV Řež : ÚJV Řež(原子力研究・技術企業)傘下のEnergoprojekt Prahaが許認可・ライセンス手続きを支援韓・斗山エナビリティ-斗山シュコダ・パワー(チェコ・プルゼニ): 蒸気タービンおよびタービン制御システムを供給(3,200億ウォン、約352億円規模)斗山エナビリティー社は、斗山シュコダ・パワー社との初の共同原子力新建設プロジェクトとして重要な節目であるとし、シュコダ・パワー社の豊富な製造経験と、韓国の原子力部品関連の専門知識を組み合わせた相乗効果をめざしている。150年以上の歴史を持つシュコダ・パワー社は、チェコ、スロバキア、フィンランドの3か国の原子力発電所向けに合計26基の蒸気タービンの供給実績を有しており、2009年に斗山グループが買収した。今回の初会合では、第三国市場での共同事業の可能性やテメリン発電所における増設、原子力分野の研究開発協力などについても協議したという。
10 Mar 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は3月4日、米先進炉開発ベンチャーのテラパワー社傘下のUS SFR Owner(USO)に対し、ワイオミング州に建設予定のケンメラー発電所1号機(ナトリウム冷却高速炉「Natrium」、34.5万kWe)の建設許可を発給した。商用炉としてはアルビン・W・ボーグル3・4号機(PWR=AP1000、125.0万kW×2基)以来、10年ぶりの建設許可発給。非軽水炉としては、40年以上ぶりとなる。NRCのホー・ニエ委員長は、「米国における先進原子力にとって歴史的な前進であり、厳格かつ独立した安全審査に基づき、適時かつ予見可能な判断を下すという当委員会の取組みを示すもの」と語った。テラパワー社は2024年3月、既存の石炭火力発電所近傍のサイトへのNatrium炉の建設を計画し、建設許可申請をNRCに提出。NRCは2024年5月に申請を受理し、正式な審査を開始、当初予定の27か月の審査スケジュールを短縮し、18か月未満で技術審査を完了した。なお、発電所の運転には別途、運転認可の申請とNRCによる承認が必要である。「Natrium」は出力34.5万kWeで、必要に応じて最大50.0万kWeまで出力を高める熔融塩を用いたエネルギー貯蔵システムを備えている。同1号機は、米エネルギー省(DOE)の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)を通じて官民連携により開発され、2030年に完成予定だ。Natrium炉およびエネルギー貯蔵システムについては、テラパワー社は2025年10月、英国の安全・環境基準への適合性を確認する包括的設計審査(GDA)に申請しており、2026年2月、英政府により受理された。GDAは、英国で初めて導入される炉型に対して実施される設計認証審査。Natrium炉にとっては、国際市場での展開を見据えた最初の規制上のステップである。テラパワー社は今後数か月間、エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)、原子力規制庁(ONR)、環境庁(EA)と連携し、最終的に英国へのNatrium炉導入に向けた取組みを推進していくとしている。
09 Mar 2026
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デンマークの原子力技術開発企業、コペンハーゲン・アトミクス社は2月9日、同社施設で実施している熔融塩ポンプおよび試験ループの2年間の連続運転の達成を発表した。同社によると、高温熔融塩環境下での長期耐久試験としては世界最長級としている。同社が開発中の小型トリウム熔融塩炉(MSR)に不可欠な主要機器の信頼性を裏付け、商用化や将来の規制審査に向けた重要な節目となる。同社は2010年代から熔融塩炉の開発を進め、2030年代初頭の商業展開を目指している。同社の原子炉はコンテナ型モジュールとして工場で製造され、1基あたり10万kWの熱出力を供給する設計。将来的に組立ライン方式による量産を想定し、1つの生産ラインで1日1基以上の製造を目標としている。2023年には英国の包括的設計審査(GDA)を申請しており、今回の長期連続運転実績は、こうした規制プロセスを見据えた技術的裏付けの一つとみられる。熔融塩炉では、液体燃料または冷却材を600度超の高温で長期間循環させる必要があり、ポンプの長期安定運転の実証は設計の妥当性を確認する基礎となる。今回の試験は核分裂反応を伴わないものの、実機で想定される条件を再現した統合試験設備で実施し、データを蓄積してきたという。また同社は2月19日、ノルウェーのレア・アース・ノルウェー社と基本合意書(LoI)を締結した。同社は欧州最大級のレアアース鉱床の一つとされるフェンスフェルテット鉱床の開発を進めている。同鉱床はレアアースとともにトリウムを含むことが知られており、合意は炉の燃料サイクルに関わるトリウム資源への将来的なアクセス確保を目的とする。今回の基本合意書では、両社が技術、商業、規制面で協力する枠組みを定めている。フェンスフェルテット鉱床ではレアアース採掘に伴い副産物としてトリウムが発生する。同社はトリウム資源へのアクセス確保を図る一方、レアアース開発側にとっても資源の有効活用となる。
09 Mar 2026
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米戦争省(国防総省)とエネルギー省(DOE)は2月15日、Valar Atomics社の試験用マイクロ炉Ward 250(燃料未装荷)を米空軍のC-17グローブマスターIII機に搭載し、カリフォルニア州のマーチ空軍予備役基地から、ユタ州のヒル空軍基地に輸送した。「Operation Windlord」と名付けられた同プロジェクトは、原子炉の空輸として米国史上初となる。Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWeのマイクロ炉。試験と評価のため、ユタ州にあるサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)へ運搬される。戦争省は、「Ward 250のようなマイクロ炉は、軍事基地のエネルギー安全保障を確保し、民間の電力網への依存を低減する。さらに、海外での軍事作戦においても、敵による燃料供給の途絶を懸念することなく米軍の活動を可能にする」と指摘。また、米国全体のエネルギー安全保障の向上にも資するとし、2025年5月に発出された一連の大統領令「原子力産業基盤の再活性化」、「エネルギー省における原子炉試験の改革」、「原子力規制委員会の改革」、「国家安全保障のための先進原子炉技術の配備」に沿った取組みであると強調している。調達・維持を担当するM. ダフィー戦争省次官は、大統領の原子力イニシアチブの推進には、エネルギー省と戦争省のパートナーシップが不可欠と述べ、「このパートナーシップにより、エネルギーレジリエンスと国家安全保障の強化、先進的な原子力技術の開発、評価、配備が可能になる」と評価。また、AIデータセンターや指向性エネルギー兵器、宇宙およびサイバーインフラなど、次世代の戦争に必要な能力に言及し、敵よりも速く動き、驚異的な速さで勝利させるシステムの構築には、軍独自のエネルギーインフラが必要、との認識を示した。そのうえで、「今日は、そのシステムの構築に向けた記念すべき一歩。産業基盤とそのイノベーション能力を支援し、必要とされる場所への回復力のある電力供給を加速する」と語った。DOEのC. ライト長官は、米国は今回のようなマイクロ炉の活用により原子力ルネサンスを目指しているとし、「米国の原子力ルネサンスは、民間資本と米国のイノベーションと決意をもって、迅速かつ慎重にボールを再び動かすことだ」と強調。今年7月4日までに3基の試験炉の臨界達成、順調に稼働することへの期待を示した。Valar Atomics社は2025年8月、DOEが支援する先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」に参加する10社の1社に選定された。翌9月には、同プログラムを支援する燃料製造ライン構築のパイロットプログラムに参加する4社のうちの1社にも選ばれている。また同月、USRELサイトにおいて、Ward 250の起工式を開催した。
05 Mar 2026
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IHIは3月13日、同社の横浜工場にて、米国のX-energy社(以下:Xエナジー社)と、高温ガス炉技術分野における協業の可能性を検討・推進することを目的とした非拘束の覚書(MOU)を締結した。同MOUは、翌3月14日~15日にかけて東京都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)にあわせた動き。今回のMOU締結は、Xエナジー社が開発を進める小型モジュール炉(SMR)の高温ガス炉「Xe-100」等のグローバル展開を見据え、原子炉系機器の設計、エンジニアリング、製造、サプライチェーン構築など、幅広く協業の可能性を検討する枠組みの構築が目的だ。IHIはXエナジー社との協業を通じて、先進原子力分野における技術開発とサプライチェーンの強靭化を進め、米国およびグローバル市場における先進原子力技術の商業化の推進に貢献していく考えだ。MOUの協業範囲の対象は、原子炉圧力容器や原子炉内構造物、蒸気発生器の圧力容器および内部構造物、クロスベッセルなどの主要機器。Xエナジー社はプレスリリースで、IHIは、現在の米国では商業規模での確保が難しい高度な原子力製造能力を有していると評価。同社のExecutive Vice PresidentのD. バティア氏は、「原子力の大規模展開には、単一のサプライヤーだけでは対応しきれない生産能力と専門性が求められ、これを前進させるには志を同じくする国際的なパートナーによる連携が不可欠だ」とコメント。そのうえで、「IHIとの協業機会を模索できること、そして日本の優れた製造技術と米国のイノベーションを組み合わせ、共通の目標の実現を目指せることを期待している」と意欲を示した。
18 Mar 2026
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3月14、15日に都内で開催されたインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)の会期中、2つの原子力関連セッションが開かれ、今後の同地域での原子力の展開をめぐり日米産業界関係者による活発な議論が行われた。「インド太平洋地域のエネルギー安全保障と経済成長を支える原子力」と題する14日のパネルには、増井原産協会理事長、M.コースニック米原子力エネルギー協会(NEI)理事長、ウルバヌス米エネルギー省(DOE)次官補代理、Radiant Nuclear社のバランワルCEO、GEベルノバの田中ディレクターが登壇した。パネルの中で増井理事長は、日本の原子力には設計から運用に至る原子力バリューチェーン全体にわたる統合的な能力、約8万人の従事者に加え政府関係者や研究者を含む豊富な人的資源、100年にわたる原子力ビジネスサイクルに長期的にコミットできる能力の3つの優位性が備わっているとした上で、異なるステークホルダーが長期にわたり協力し合うことで、新規導入国に対して技術と専門知識の両面から包括的な支援を提供できる点を強調。インド太平洋地域で原子力の展開が成功するためには、地元産業をサプライチェーンに早期に取り込み、日米を始めとした同志国が支援することが重要としたほか、導入国が技術選択する際には、設計の成熟度、実際のプロジェクトの有無、サプライチェーンの準備状況の指標からなる「展開可能性」に基づき判断すべきと指摘した。コースニック氏は、世界的に原子力が特別な転換期にあるとした上で、データセンターやAI利用など、急速に増加する電力需要を満たせると述べ、インド太平洋地域の様々な市場規模に対応可能な原子力技術の拡張性について、「Nuclear for You(あなた方に適した原子力)」を提供できることが強みだと強調した。バランワル氏は、同社がTRISO燃料を使用した1,000kW出力の可搬型マイクロ炉をテネシー州の施設で年間50基製造可能だとしたほか、2029年までにインド太平洋地域に同炉を展開する見通しを示した。GEベルノバの田中氏は、原子力が単なる興味の対象から不可欠なものへと変わってきていると指摘。カナダOPG社がBWRX-300のSMRプロジェクトを進めていることで、インド太平洋地域の関心が大きく高まったと強調した。翌15日には、前日のパネルにおける議論の内容を深掘りし、出された意見をIPEM参加閣僚に報告することを目的した「ディープダイブ・セッション」が行われた。コースニックNEI理事長、増井原産協会理事長、日米のメーカー、エンジニアリング企業、燃料企業から関係者が参加した。セッションでは3つの質問が用意され、出席者がそれぞれ自社の経験をもとに回答する形で行われた。インド太平洋地域における原子力発電開発を加速させ、初期段階で成功したプロジェクトが継続するために、政府と産業界にはどのような役割がありどのように協力できるかとの質問に対しては、政府には適正な規制の実施、財政支援、人材育成、リスク軽減における役割が期待されるとの意見のほか、新規導入国への展開にあたっては、ステークホルダー間での建設リスク共有や規制のハーモナイゼーションが重要との意見も出された。続いて、原子力導入の急速な拡大を支援し地政学的リスクを軽減するため、同志国間でのサプライチェーン協力を加速させるには、どのような措置が必要かをめぐり意見が交わされた。日本には技術力のある中小企業サプライヤーが多く存在するため、将来のインド太平洋地域への小型モジュール炉(SMR)展開での日本のサプライヤーの貢献を期待しているとの発言のほか、インド太平洋地域における原子力サプライチェーンの発展を加速させるためには、段階的なアプローチが必要とした上で、初号機の納入を確実に成功させることが不可欠であり、資金調達やサプライチェーン開発など、あらゆる段階において最初からすべてを現地化するのではなく、初期段階ではリスク低減が不可欠との意見も出された。インド太平洋地域全体で原子力発電導入を成功させるために、政府、産業界、規制当局において必要となる最も重要な変化や対応は何かとの質問に対しては、各国政府が異なる種類の原子炉に関心があるとしても、標準化し同じアプローチで原子力発電所を建設することが重要との指摘がなされたほか、インド太平洋地域で高品質重視のサプライヤーパートナーを見つけられるかが地域全体の原子力展開の成功の鍵とする意見も出された。
17 Mar 2026
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原子力委員会は3月3日の第9回定例会議で、近畿大学の研究用原子炉「UTR-KINKI」を活用した教育・研究の取組みについて、同大学原子力研究所の若林源一郎副所長(教授)から説明を受けた。今回の報告は、同大学の取組みを共有し、エネルギーの安定供給やカーボンニュートラルの実現に向けた安全な原子力研究の在り方を検討するため、議題として取り上げられた。UTR-KINKIは、同大学原子力研究所が保有する実験用の原子炉であり、教育、訓練及び研究用に広く活用されている。「UTR」とは「University Teaching and Research Reactor」の頭文字を取ったもので、研究用として設計されたため、定格熱出力が1W(約0.24カロリー毎秒)という小出力の原子炉である。放射線量は非常に低く、運転中でも炉心を直接観察できるほか、周辺で見学や作業を行うことができる点が特長のひとつだ。1961年に運転を開始した日本初の教育用原子炉だが、元々は、1959年に東京・晴海で開催された東京国際見本市にて、米国原子力委員会が原子力の平和利用を紹介するデモンストレーションとして展示した教育用原子炉が原型となっている。この展示を見学した近畿大学初代総長の世耕弘一氏が、「日本の将来のエネルギー問題の解決には原子力が不可欠である」との強い信念から、大学で原子力技術者を育成する必要性を感じたことがきっかけとなり、同原子炉の導入が決まったという。現在、日本の大学が保有する研究・教育用原子炉は、近畿大学の同1基と、京都大学の研究用原子炉KURと臨界集合体実験装置KUCAの計3基のみ。さらに、2026年4月にはKURが運転停止となる予定であることから、若林氏は「今後、近畿大学の原子炉の役割がさらに重要になる」と述べた。若林氏によると、近畿大学では、他大学で原子力を専攻する学生らにもUTR-KINKIを活用する機会を提供しているほか、中高生を対象とした研修会、理科の教員向け研修、企業研修、外国人研修などで幅広く利用されており、年間の見学者は約1,000人にのぼるという。また、「特に中高生向けの研修会では、定員を大きく上回る応募があり、原子力分野に関心を持つ若者が多いことがうかがえる」と述べた。そして、UTR-KINKIは研究機関の研究者にも施設を開放しており、放射線検出器の開発研究での利用が多く、その他、医療用装置の開発や福島第一原子力発電所の廃炉研究などにも役立てているという。また、同大学では現在、UTR-KINKIにおける高濃縮ウラン燃料の撤去及び低濃縮化が進められていることにも言及。これは、2022年9月に、核不拡散・核セキュリティの更なる強化に向け、日米間が連携していくことで一致した声明に基づくもので、今後も近畿大学では、文部科学省と協議しながら、低濃縮化を進めつつ同原子炉の運転を継続する方向で進めているという。若林氏は、UTR-KINKIは日本の原子力教育にとって重要な教育インフラであり、「こうした施設を新たに整備することは容易ではない」と強調。そのうえで、「既存施設をできるだけ長く維持し、教育と研究に活用していくことが重要だ」と述べた。一方で、原子炉施設の維持は私立大学にとって大きな負担となっているほか、ANECなどの支援制度はあるものの、主に学生支援にとどまり、「施設維持や人員への直接的支援は十分ではない」とコメント。同インフラの維持は一大学だけの問題ではないと述べ、国全体の課題として、政府や産業界による支援が必要だと訴えた。
17 Mar 2026
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2026年3月7日、静岡大学の大矢恭久准教授らが企画した「STEAM教育手法を活用し、エネルギー・環境問題を基盤とした原子力人材育成」の2025年度の総合討論会が新潟薬科大学新津駅東キャンパスで開催された。同討論会は文部科学省国際原子力人材育成イニシアティブ事業の一環で、日本全国の教育系大学らが連携し、エネルギー・環境問題のリテラシーの高い教員の養成を目指すプロジェクトだ。今年度は教員(主に理科系)を目指す学生が26名参加した。学生たちは前日、柏崎刈羽原子力発電所を見学。その後、新潟市内で北海道教育大学釧路校の森健一郎教授による「STEAM教育の理論と実践」についての講義を受けた。STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、リベラルアーツ(Liberal Arts)、数学(Mathematics)の統合的なアプローチを重視するものであり、特に日本の教育現場においては、文系理系の垣根を取り払った、分野横断的な学びを強化する手法として注目されている。森教授によると、STEAM教育は元々STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育として広まった概念に、Art(芸術・リベラルアーツ)が加わることで、より社会的・文化的側面を含む枠組みとして発展したという。講義では、社会問題を考える際の姿勢として、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルの言葉「冷たい頭脳と温かい心」の考え方が紹介された。これは、科学的・論理的に分析する力と、人々の感情や価値観への共感を両立させることが重要だという考え方である。「例えば、ゴミ処理場の建設にあたって、科学的合理性だけでなく住民感情など多様な要素が絡み合うことが往々にしてある。そのため、複数の視点を往復する思考が必要だ」と森教授は述べた。さらに森教授は、主要教科という入試由来の見方にとらわれるのではなく、各教科が持つ本来の役割を理解することが教科横断的な学びにつながると指摘した。最後に森教授は、「教師の役割は完成された知識を与えることではなく、ものの見方というレンズを提供し、学習者の世界の見え方を変えることだ」と強調。冷静な論理と他者への共感を往復しながら社会課題を考える力を育てることこそ、STEAM教育の目指す方向だとまとめた。翌日のポスターセッションでは、26名の学生たちが前後半に分かれ、STEAM教育を活用したエネルギー教育の学習指導案を発表した。同紙では、原子力発電に関連する指導案を作成した学生らへのインタビューを試みた。まず、話を伺ったのが、宮崎大学教育学部の増岡直路さん。増岡さんは「原子力は怖いのか」と題した技術・家庭科の学習指導案を作成した。増岡さんは「原子力発電は、福島第一原子力発電所事故の影響などから、危険・怖いといった印象を持つ人も少なくない。しかし、自然界にはもともと放射線が存在しており、医療や温泉など、日常生活の中でも放射線は利用されている」と指摘。こうした事実を踏まえ、原子力発電をはじめとする各エネルギー技術の利点とリスクの両面について、気づきを与える授業構成を作成したという。そして、放射線の利用例としてラドン温泉などを取り上げることで、放射線と安全性の関係について考察を促し、適切な利用であれば健康に問題がない場合もあることを理解し、技術を感情的に捉えるのではなく、科学的根拠をもとに判断する力を育むことを目指す学習指導案を作成した。科学的には正しいと理解されていても、感情的には受け入れがたいと感じる人は少なくないが、理性と感情の間に生じるこのギャップに対し、どのように折り合いをつけていくのかを学べる授業となるという。感情やイメージだけに左右されるのではなく、科学的根拠に基づいて技術の安全性や社会的役割を考える姿勢が必要とされている。同じく宮崎大学教育学部の鎌田康輔さんは、「未来エネルギーを設計!データで考える原子力」と題した学習指導案を作成。各発電方法の原理を科学的に理解した上で、電力需要や予算、二酸化炭素排出量などの条件を設定し、エネルギーミックスの最適解を考えさせる授業だ。トレードオフや最適化の視点を学ぶことが可能で、将来のエネルギー計画を自分たちで設計する探究型学習になっている。鎌田さんによれば、同指導案を通じて、発電方法をめぐる議論を、感情や印象だけで判断するのではなく、データを基に合理的に考える力を養うことが狙いだという。宮城教育大学教職大学院の佐々木春花さんは、高レベル放射性廃棄物の処分問題を扱った学習指導案を作成。エネルギーミックスや原子燃料サイクル等の基礎知識から学習し、高レベル放射性廃棄物の最終処分方法の調査・議論・発表を段階的に行う構成だ。佐々木さんは、大学在学中に青森県六ヶ所村を訪問し、日本原燃の職員から同事業に関する説明を受けた経験があり、それが当指導案の作成のきっかけになったという。「現地で話を聞いたことで、高レベル放射性廃棄物の処分方法が地層処分に至った経緯を深く理解することができた。その経験を活かして子どもたちが考えるきっかけにしたい」と展望を語った。島根大学教育学部の玉木愛梨さんは、「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み 今後の日本の電源構成を考えよう」と題した学習指導案を作成。中学校の社会科(地理)の教科書に掲載された各国の電源構成や排出量のグラフを読み取り、国によって電源構成が大きく異なることに気づかせたうえで、「日本ではどのような電源構成が望ましいのか」を考える探究課題を設定した指導案になっている。各国の資源、地形、気候などの特徴を整理しながら電源構成の背景を分析する力を身に付ける狙いがあるという。その後、地形や気象条件の制約がある日本における実現可能な電源構成を言語化する段階的な思考プロセスを設計している。玉木さんは、島根県の発電事情に言及したほか、松江市に立地する島根原子力発電所があることから、同県ではエネルギーについて学習しやすい環境にあるのではないかと語った。そして、「私自身が好きだった教科のひとつである地理の視点を軸にしながら、STEAM教育の概念を取り入れて指導案を作成した」と説明。また、情報は集めるだけでなく再構築して初めて自分の考えになるという同STEAM教育の可能性を言及した。各学生とも、STEAM教育の要素・概念については、科学(Science)と技術(Technology)の区別が難しい場面があるといった意見や、A(アート)の扱いについて、感情や価値観、時には政治的な要素も関わるとし、科学や技術と比べると理解しづらい側面があるとの意見が挙がった。一方で、教育内容を構造的に整理する枠組みとして有効だと指摘する声や、理科に対して「計算が多くて難しい」「覚えることが多い」と感じる子供たちが他教科との関連を意識することで、理科への興味を高める契機になるとの声が寄せられた。多様な視点を取り入れることで、生徒の理解や関心、そして考える力を養う授業づくりにつながるのではないかとの期待が示された。今回の総合討論会では、STEAM教育の意義が改めて示され、実際に学習指導案に採り入れやすい概念だとの認識が多数を占めた。同原子力人材育成イニシアティブ事業のプログラムディレクターを務めた名古屋大学大学院工学研究科の山本章夫教授は講評で、当日のポスター発表について、「着眼点が多様で非常に興味深く、多くの気づきを得ることができた」と評価した。また静岡大学の大矢恭久准教授が主導する本プログラムには毎年参加し、「今年も大変楽しませてもらった」と述べた。また、福島第一原子力発電所の事故から約15年が経過し、エネルギー情勢や国際情勢の変化を背景に原子力に対する社会の受け止め方も変化しつつあるとの認識を示した上で、「重要なのは事実に基づいて議論できる資質を持つ学生を育てること」と強調した。一方で、科学的に正しいと考えられている事象だからといって、それを一方的に押し付ける姿勢では、社会の理解は得られにくいとも指摘。例えば、「放射線治療を避けて代替療法を選ぶ人が身近な家族に居た場合どう向き合うか」という問いを紹介し、「第三者として議論をするのと、自分の身近な問題として考える場合では状況は大きく異なる。唯一の正解があるとは限らない」と述べた。そのうえで、「自分の頭で考え、判断できる人材を育ててほしい」と参加した学生らに呼びかけた。原子力に対する立場についても「賛成でも反対でも構わないが、考え抜いたうえで自分の立場を持つことが重要だ」とし、今後、次世代の学生を育てる教育者としての役割に期待を寄せた。
16 Mar 2026
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インド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(IPEM)に出席した日本原子力産業協会(原産協会)と米原子力エネルギー協会(NEI)は14日、インド太平洋地域における原子力発電の展開に向けた産業界の連携強化を目的とする協力覚書(MOU)を締結した。原産協会は1994年のNEI発足以来、長年にわたり交流・協力関係を築いてきた。2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、両団体が原子力関連サイドイベントを共催するなど実績を重ねている。近年、特に小型モジュール炉(SMR)技術を中心にインド太平洋地域で原子力発電への関心が高まっていることを背景に、今回、両組織間で正式な覚書を締結することとなった。覚書では、インド太平洋地域の協力に資する政策対話や情報交換の促進のほか、政府や国際機関などと連携し、同地域における原子力の開発・利用を支援することなどを盛り込んでいる。原産協会の増井理事長は「両者の協力は30年以上にわたり実りある関係を築いてきた。これまで正式なMOUがなくても協力関係がごく自然に発展してきたことの表れでもあるのだと思う」と述べたうえで、「今回、インド太平洋地域での協力を盛り込んだMOUの締結により、将来に向けてさらに緊密に連携していきたい」と語った。またNEIのM.コースニック理事長は「両者の正式な協力枠組みが整い、米国にとって戦略的に重要なインド太平洋地域に重点が置かれたことは、今後の活動にとって非常に有益なものになる」と述べた。
16 Mar 2026
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インド太平洋エネルギー安全保障閣僚ビジネスフォーラムが3月14、15の両日、東京都内で開催され、インド太平洋地域16か国のエネルギー担当閣僚や政府・企業関係者が参加した。日本と米国が共同で主催し、米国からはD.バーガム内務長官、L.ゼルディン環境保護庁長官、日本からは赤澤経済産業相が出席した。開会セッションでは、米通商開発庁(USTDA)のT.ハーディ副長官兼最高執行責任者(COO)が冒頭挨拶を行った。開会セッション後には覚書の署名式が行われ、企業間の協力覚書(MOU)が相次いで締結された。まず、三菱電機、米ホルテック・インターナショナル、韓国ヒュンダイE&Cの3社が、小型モジュール炉(SMR)の東南アジア展開に関する協力覚書を締結した。続いて、GEベルノバと日立製作所が、東南アジアにおけるSMR「BWRX-300」の導入に向けた市場開発や商業機会の検討で協力する覚書を締結した。両社はそれぞれの合弁会社を通じて協力し、同地域でのSMR導入の可能性を分析するとともに、日本企業を含むサプライチェーン構築を検討する。エネルギー需要の拡大が見込まれる東南アジアで、脱炭素電源としての原子力活用を後押しする狙いがある。日立製作所の稲田康徳常務執行役(原子力ビジネスユニットCEO)は「日立は長年にわたりGEベルノバとのパートナーシップを通じて培ってきた知見を生かし、原子力産業に貢献してきた。東南アジアにおけるBWRX-300の導入検討を進めることで、こうした取り組みをさらに発展させていきたい」と語った。
16 Mar 2026
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高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、赤沢亮正経済産業大臣が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、小笠原村議会では3月10日、同件に関する質疑が行われた。小笠原村の渋谷正昭村長は、今後の対応について「議員や村民の意見を踏まえ、総合的に判断したい」と述べた。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。同村では3月14日に父島で、15日には母島で、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)らとともに住民向けの説明会を開催する。同議会では同日、平野悠介議員が国からの申し入れの経緯について質問。これに対し渋谷村長は、本土出張の際に国から地層処分の必要性や文献調査の内容について説明を受けていたとし、2月9日には南鳥島を対象とする文献調査の実施を小笠原村に説明したいとの要請があったことを明らかにした。その後、3月3日に経済産業省から正式な申し入れがあったという。渋谷村長は文献調査について、「将来的に候補地となり得るかどうかを確認する最初の段階の調査で、文献のみを用いて東京都(本土)で実施するものであり、いきなり小笠原村の地面を掘削するものではない」と説明した。そして、「文献調査は対話活動の一環として位置づけている」と経済産業省から説明を受けたと語った。また、今週末に住民説明会が予定されていることから、「説明会が終わるまで自身の考えを表明することは控えたい」と述べ、メリット・デメリットについての見解の表明も差し控える考えを示した。そして平野議員の「住民説明会だけで十分な説明が果たせるのか」といった質問に対し、渋谷村長は、文献調査の申し入れを受けた直後からSNSなどで様々な情報発信があり「中には誤解が含まれていると感じるものもあった」と述べた上で、村民には地層処分の仕組みや必要性、文献調査の詳細について理解したうえで意見を寄せてほしいとの考えを示した。渋谷村長によると、小笠原村では情報提供の取組みとして、ホームページへの情報掲載や住民説明会の案内の配布を実施。そして、すでにNUMO担当者が来村しており、「住民説明会の開始前でも住民の質問や意見に対応できる体制を整えている」(渋谷村長)。また、同日の村議会では、文献調査の受け入れ後に概要調査や精密調査へと段階が進む可能性や、文献調査に伴う自治体電源立地地域対策交付金への同村の依存を懸念する意見も出された。これに対し渋谷村長は、自身の判断の基本姿勢について言及。広大な海域に複数の島を抱える自治体の首長として、国の政策への貢献も考える必要があるとの認識を示した。また南鳥島については、近年レアアースの話題などで注目されることはあったものの、村民にとっては遠い存在だった側面があると指摘。今回の申し入れを契機に、南鳥島について理解を深め、村民1人ひとりが村の将来像である「心豊かに暮らし続けられる島の実現」を考える契機になってほしいと語った。一方で、平野議員は、電源立地地域対策交付金が同村の住民の福祉の充実につながる可能性に言及したほか、原子力発電の商用運転開始から60年が経過し、社会のさまざまな活動が原子力による電力に支えられてきた現実を踏まえ、「小笠原村の住民にとっても無関係とは言えない」との考えを示した。そして、HLWの処分問題は「日本国民として避けて通れない課題」であり、社会全体で向き合う必要性を指摘する。一方で、同村として文献調査については、慎重な議論と判断が必要との認識も示した。
11 Mar 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は3月5日、定例記者会見を行った。増井理事長は冒頭、経済産業省資源エネルギー庁が昨年12月に募集を開始した電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WGの取りまとめ(案)に関するパブリックコメントについて、日本原子力産業協会として同案に対する意見を2026年1月28日付で提出したことを紹介した。まず同件について増井理事長は、第7次エネルギー基本計画で、原子力発電を含む脱炭素電源への投資促進に向け、政府の信用力を活用した資金調達の仕組みを検討する方針が示されたことに言及。これを受け、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が資金を貸し付けるスキームの具体化が議論されていると説明し、こうした制度設計に関し、主に次の5点を要望したという。まず1点目は融資条件について。政府の信用力を活用する制度である以上、民間金融機関のように利潤確保を前提とする必要はなく、可能な限り低金利で資金を供給する仕組みとすべきだとした。2点目は融資額の上限について「事業費の3割程度」が目安とされているが、原子力発電は投資規模が極めて大きいことから、案件ごとの事情に応じて柔軟に条件を設定できるよう求めた。3点目は、事業者に帰責性のない事象や事業者が自主的な安全性向上を進めていく際には巨額の資金が必要と考えられることから、さまざまなケースに対応できる融資の仕組みを検討すべきだと進言した。4点目は債務保証制度の導入について、米国の一部の州では政府による債務保証制度が整備されている例を挙げ、日本でも同様の制度の導入を提案した。5点目は原子力損害賠償制度について、日本では事業者が原則として無限責任を負う制度となっており、事業者の予見可能性を向上させるためにも、早急な制度の見直しを求めた。次に、増井理事長は4月14日、15日の2日間にわたり開催する第59回原産年次大会の詳細を説明し、同席した記者に参加を呼びかけた。今年の同大会のテーマは「原子力の最大限活用を支える人材戦略」で、開会セッションの基調講演では、海外機関であるOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)と共同開催することになっており、W.D.マグウッド事務局長が登壇する予定だという。また特別講演では、日本原子力産業協会の三村明夫会長が「未来を選択する会議」の共同代表として、日本の人口減少の現状と対応策について講演するほか、原子力委員会の上坂充委員長からも、原子力人材に関する講演が行われる。同大会では、原子力人材の確保・育成をテーマに複数のセッションを実施。原子力発電所の新規建設を進める場合に必要な人材の規模や職種について、各国の調査結果などを紹介しながら、人材需給のギャップの実態を共有する予定だ。また、人口減少により人員確保が難しくなる中、限られた人員で高品質な業務を維持するための取組み、また、業務の標準化技術の活用などについて議論する。そして、「廃炉に挑む原子力人材の叡智と情熱」と題した福島セッションでは、東京電力の副社長が福島第一原子力発電所の廃炉の進捗状況や人材育成の取り組みを紹介するほか、廃炉分野に関わる若手技術者や高専・高校の教員、学生らが参加し、今後の廃炉作業への思いや展望を共有するという。会見の後半、記者との質疑応答では、高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡る南鳥島での文献調査の動きに関する質問が寄せられた。経済産業省から小笠原村への文献調査に関する申し入れについて、増井理事長は「大変注目すべき動きであり、今後の進展に期待している」と述べた。何より、国から申し入れが行われた点について、画期的な動きだと評価した。そして、文献調査に進んだ関係自治体が増えることで、全国的な議論に期待を寄せた。増井理事長は、南鳥島は人が居住する地域から離れていることや、太平洋プレート上に位置し地盤が比較的安定している可能性を指摘する専門家の見方を紹介。「日本で処分場を検討する際、まず検討すべき場所のひとつだとする意見もある」とコメント。一方で南鳥島は東京本土から約2000km離れており、輸送やコスト面の課題についても言及。建設資材などは海上輸送に頼る必要があり、他の候補地と比べて諸々のコストは高くなる可能性があるとした。また、高レベル放射性廃棄物の輸送には相応の警備体制が必要になると指摘している。そのうえで「本土から大きく離れた地点を処分場とすることには利点と課題の双方がある」との認識を示した。
10 Mar 2026
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経済産業省資源エネルギー庁と日本原子力産業協会は3月9日、東京都内で「第4回原子力サプライチェーンシンポジウム」を開催した。政府、電力会社、プラントメーカー、エンジニアリング企業、IT企業などから約500名が参加し、次世代炉開発やサプライチェーン強化、人材育成など原子力産業基盤の維持・強化に向けた取り組みについて議論した。開会挨拶で小森卓郎経済産業大臣政務官は、「原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用していくことが不可欠」と述べ、安全と地域の理解を大前提に既設炉の再稼働や次世代革新炉の開発・建設を進める政府の方針を改めて示した。基調講演を行った資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏も、データセンターや半導体産業の拡大により電力需要が増加するなか、総発電電力量に占める原子力シェアについては2040年度に2割程度とする見通しを示し、その実現には既設炉の再稼働に加えて次世代炉の導入が必要になるとの認識を示した。日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員長の木藤俊一氏(出光興産会長)は、AIやデジタル化の進展に伴い電力需要が増加する中、安価で安定したエネルギー供給が経済成長に不可欠として原子力の役割が一層重要になるとの認識を示した。また、2050年に原子力シェア2割を維持するには、約40基の設備が必要になるとの試算を紹介し、既設炉の再稼働に加えて次世代炉によるリプレースや新設を進める必要があると指摘した。Amazon Web Services(AWS)のクゥィント・サイモン公共政策統括責任者も登壇し、今後、24時間安定して電力を供給できる電源が不可欠になると述べ、原子力の役割を示唆した。AWSは2040年までにネットゼロを達成する目標で、日本での32プロジェクトを含め、世界28か国で700以上のカーボンフリー電源プロジェクトに投資、総発電設備容量は4000万kW以上に達している。原子力では、米ワシントン州で、2030年代初頭の運開を目指し、4基、約32万kWのSMRプロジェクトに参加しており、高品質な日本の精密加工技術は世界の原子力建設において重要な役割を担うとの見解を示した。次世代炉開発に関するセッションでは、国内メーカー各社の取り組みが紹介された。三菱重工業は次世代革新軽水炉「SRZ-1200」の開発状況を説明し、基本設計が概ね完了したことを報告した。日立GEベルノバニュークリアエナジーはSMR「BWRX-300」の開発状況を紹介し、カナダなど海外でのプロジェクトが進んでいることを説明した。東芝エネルギーシステムズは革新型ABWR「iBR」の安全設計を紹介したほか、IHIと日揮グローバルは米NuScale PowerのSMRプロジェクトへの参画状況を説明した。三菱電機も計装制御システムなど原子力プラントを支える技術を紹介した。サプライチェーン強化に関するパネルセッションでは、原子力産業基盤の維持に向けた課題が共有された。電気事業連合会は、将来的に原子力設備容量が減少する可能性を指摘し、2040年代にはリプレースが必要になるとの見通しを示した。原子力エネルギー協議会(ATENA)は製造中止品への対応やオンラインメンテナンスの導入などの取り組みを紹介した。日立GEベルノバは一般産業用部品を原子力用途に適用する「汎用品グレード格上げ(CGD=Commercial Grade Dedication)」の取り組みを説明し、供給途絶対策の一つとして普及を進めていく方針を示した。エンジニアリング企業からは人材不足の課題も指摘された。太平電業は原子力プラント建設経験者が減少している現状を説明し、技術伝承の重要性を強調した。また三菱総合研究所はAIなどデジタル技術を活用した発電所入構手続きの効率化に関する研究を紹介し、作業環境改善の可能性を示した。人材育成に関するセッションでは、産学官の連携による人材確保の取り組みが紹介された。経済産業省は原子力人材育成協議会を設置し、産学官連携による人材育成政策を進めていることを説明。文部科学省は大学連携による教育プログラム「ANEC」を紹介し、今後産業界との協力が重要となると指摘した。原子力規制庁も規制分野における人材確保の課題を説明し、産官学連携の必要性を強調した。閉会挨拶で日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、第7次エネルギー基本計画の閣議決定から1年で、次世代炉の開発・設置に向けた政策議論が具体化していると指摘。投資判断を可能にする事業環境整備の議論や規制当局との意見交換、さらに電力会社によるリプレース検討の動きなど、原子力をめぐる取り組みが着実に進展しているとの認識を示した。また今回のシンポジウムにおいて、経済界やIT企業からも原子力への期待が示されたことに触れ、次世代炉開発の進展や海外プロジェクトへの参画が国内サプライチェーンの維持にも重要であるとの理解が共有されたと述べた。その上で、原子力サプライチェーンを維持強化するためには、将来の原子力発電規模や建設計画の見通しを示すことが重要であると指摘。加えて、人材確保と育成は原子力の最大限活用を支える基盤であり、産業界と教育機関、政府が連携して取り組む必要があると述べ、シンポジウムを締めくくった。今回の議論を通じて浮かび上がったのは、原子力の将来を左右するのは炉型技術だけではなく、それを支える産業基盤であるという点である。日本の精密加工技術や品質管理は、世界の原子力サプライチェーンの中核を担う潜在力を持つ。次世代炉の実装が視野に入りつつある今、政策の方向性と産業界の挑戦が噛み合えば、日本の原子力産業は再び新たな発展の段階に入る可能性を秘めている。
10 Mar 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は3月1日、全国の教育関係者を対象とした「全国研修会」を日本科学未来館(東京都江東区)にて開催した。この日は、全国から23団体・178人の教育関係者が一堂に会した。 NUMOでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業について、学校の授業で扱う際の教材研究や授業づくりを支援する「授業研究支援事業」を長年実施している。全国研修会は、その取り組みの一環で、今年度で11回目の開催となった。学校の教諭らが児童・生徒に授業内容を分かりやすく伝えるための切り口や工夫、教材研究の成果などが共有され、現場で活用できる知見を持ち寄る機会となっている。 研修会の冒頭、挨拶に立ったNUMOの山口彰理事長は、今年度の授業支援事業の実績として、約400名の教育関係者の協力によって、約500クラス、約5万2,000人の児童・生徒に授業が実施されたことを報告。関係各位に改めて謝意を述べた。 研修会ではまず、「高レベル放射性廃棄物の地層処分 これからの授業展開の可能性~学校教育の新たな潮流を踏まえて~」をテーマにパネルディスカッションを開催。その後、教育関係者による授業実践や取組みの紹介が行われたほか、会場では各ブースでポスターセッションも行われた。ポスターセッションに出展した日本原子力産業協会の担当者は、出展の目的について「協会の活動や制作している冊子などのツール、見学会、ボードゲームといった取組みを知ってもらう場とするとともに、先生方と直接会話できる貴重な機会として例年参加している」と説明した。会場では、今夏(2026/8/3)に予定している教員向け福島第一原子力発電所見学会に関心を示す声が寄せられたほか、展示していたボードゲームにも多くの関心が集まったという。同担当者は「実際に授業で使ったことがあるという先生もおり、印象に残った」と振り返った。研修会終了後、山口理事長は、教育関係者らのプレゼン(口頭発表)を振り返り、地層処分そのものではなく関連する題材をきっかけとする授業の工夫について言及。「エネルギーや環境といった広いテーマを土台に据えたり、クリアランス金属など身近なテーマを入り口にする発想は非常に良い切り口だ」と評価した。そして、参加した教員らの教材研究の水準の高さや多様なアイデアに感銘を受けたと語った。さらに地層処分が廃棄物問題などを含む横断的なテーマであることにも触れ、総合的な学習などの枠組みで扱う意義を指摘した。また、地層処分は社会科や理科の授業で扱う内容であることに加え、健康影響の観点から保健体育とも関係する分野だと指摘。出前授業など外部の専門機関との連携についても触れ、学校教育の中で専門家が関わり、継続的に情報提供できる仕組みが重要だとの認識を示した。
05 Mar 2026
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日本原子力学会若手連絡会とWashington Policy and Analysis(WPA)は2月20日、日米の若手原子力人材による交流イベント「NEXTGEN NUCLEAR TALKS」を開催した。同イベントは、WPAが実施する「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」の一環として企画されたもの。WPAは、米国ワシントンDCに拠点を置くエネルギー分野のコンサルティング会社で、1988年に設立された。創設者兼会長は、米国エネルギー省(DOE)の元副長官であるウィリアム・マーティン氏。同氏は幅広いネットワークを活用し、米国政府や原子力業界、日本政府・電力業界などの関係機関と広く関係を持ち、日米間の原子力分野における政策や産業の橋渡し役として連携や支援を行ってきた。こうした日米間協力活動の一環として、WPAが実施しているのが「サンタフェ・リーダーシップ・プログラム」だ。米国の若手原子力リーダー(20代~40代)らが日本を訪問し、原子力関連施設や政府機関などを視察するとともに、日本の同年代の若手人材との交流を通じて相互理解を深め、日米間の長期的な信頼と協力関係の構築に繋げる狙いがある。同プログラムは2016年に開始され、今年で10回目を迎えた。今年も、さまざまな分野から選ばれた米国の次世代リーダーを日本に招き、原子力関連施設の視察や関係機関との意見交換を行い、日本の原子力政策や原子力産業の現状について理解を深めた。イベント当日は、プログラムの概要説明の後、マーティン氏が開会挨拶を行い、続いて日米の原子力分野が直面する主な課題について、日本原子力学会若手連絡会長の川合康太氏とWPAのレア・ブース(Lea Booth)氏が、双方の視点から講演を行った。川合氏はまず、日本では、脱炭素とエネルギー安全保障を実現する柱として原子力が再評価されている一方で、福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電所の長期停止によって産業基盤が弱体化し、若手人材の不足や熟練技術者の減少、サプライチェーンの縮小などさまざまな課題に直面していると指摘。一方のブース氏は、米国でもボーグル3、4号機 (PWR=AP1000、125.0万kWe×2基)の建設において、建設期間の長期化やそれに伴う建設コストの増加により、大型炉の建設への慎重姿勢が強まっていることや、電力市場の自由化と資金調達、また燃料調達における課題を挙げた。その後、参加者は3グループに分かれ、「日本の原子力開発が直面する最大の課題は何か」「日米の原子力協力で最も有望な分野は何か」などのテーマに沿った意見交換が実施され、課題解決、そして日米協力の可能性について議論した。同イベントの終了後、川合氏は、「日米の若手人材が同じ立場で率直に議論できる点に意義があった」と述べ、こうした地道な交流や情報共有の積み重ねが、日米の信頼関係を支える基盤になると語り、今回のような若手人材の交流の場を今後も増やしていくことの重要性を強調した。
04 Mar 2026
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原子力規制委員会の山中伸介委員長は2月18日の定例会見で、特定重大事故等対処施設(特重施設)の現行の経過措置の在り方を見直す方向で検討していると明らかにした。特重施設は、意図的な航空機衝突などの状況に備えて、重大事故等への対策として用意している可搬型設備などに加え、信頼性を更に向上させるためのバックアップ対策として設置することが求められている施設を指す。経過措置期間は、2013年の新規制基準施行時に5年と設定され、2016年の規定改正以後、起算点を新規制基準施行日から各プラントの設計及び工事計画の認可(設工認)日に変更したが、期間自体は引き続き5年であった。規制委は、同制度の運用開始から約10年が経過したが実際に5年以内に完成した例がほとんどないため、規制委は経過措置そのものの考え方を議論する必要があるとの認識を示した。山中委員長は、特重施設が完成している12基の実績を検証した結果「5年では完成しないことが多いと明らかになった」と指摘。これまで、「運用上のルールであるため遵守すべきだ」との立場を取ってきたが、これまでの実績が積み重なった以上を鑑み、「何らかの変更を行う必要があるだろうというのが規制委としての結論だ」との見解を示した。ただし、具体的な延長や制度変更を決定した事実はないと強調。あくまで検討段階であるとした。記者からは「特重施設なしで運転する期間が延びるのではないか」「規制緩和に当たるのではないか」との指摘があった。これに対し山中委員長は、特重施設は「完成の有無によってリスクが著しく上下する性質の施設ではない」と説明。その上で、守れないルールを形式的に押し通すことが規制として適切かどうかは検討すべきだと述べ、今回の議論は「規制緩和ではなく、継続的な規制の改善である」との認識を示した。一方で昨年、事業者側から建設業界の労働環境の変化等を理由に、特重施設の3年間の設置期限延長要望があったが、これについては「働き方改革の影響は他律的要因には当たらない」との認識を示した。規制委は今後、必要に応じて事業者側に事実確認を行った上で、経過措置期間、起点の変更や期間の扱い、適用範囲などについて議論する。
03 Mar 2026
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