
海外NEWS
04 Feb 2026
205

インド エネルギー政策草案を発表
国内NEWS
04 Feb 2026
177

JAEA 超高温下の構造変化を直接観測
海外NEWS
03 Feb 2026
620

WNA 世界の原子力発電開発の長期見通しを発表
海外NEWS
03 Feb 2026
391

英国 民間船舶の原子力利用へ向けコンソーシアム
海外NEWS
02 Feb 2026
367

スロバキア 米国と原子力協力協定を締結
海外NEWS
02 Feb 2026
455

中国 徐圩原子力発電所第1期が着工 熱供給主目的に
海外NEWS
30 Jan 2026
573

米廃炉会社 閉鎖サイトでの新設に向けて許認可申請へ
国内NEWS
30 Jan 2026
497

NUMO SNS配信番組でフィンランド特集

インド電力省は1月20日、新たな国家電力政策(NEP)2026の草案を発表。公開協議を開始した。草案は、「先進インド構想(ヴィクシット・バーラト)」の開発戦略を支えるため、電力部門の構造改革を打ち出したもの。2025年度連邦予算や、同年12月に成立した原子力関連法(SHANTI法)で示された原子力発電開発目標とも整合する内容となっている。最終決定され次第、2005年に制定されたインド初のNEPに代わるものとなる。NEP 2005は、需要供給不足、電力アクセスの制限、インフラの不十分さなど、電力部門の根本的な課題に対応し、その後、インドの電力部門は変革的な進展を遂げ、設置された発電容量は民間部門の参加により4倍に増加、1人当たりの電力消費量は2024年度に1,460kWhに達した。一方で、配電部門における累積赤字や未払いの負債、電気料金が実際のコストを十分に反映していない部門もあり、その結果、産業向けの電気料金の高騰を招き、インド産業の国際競争力を弱める要因となっている。草案では、2030年までに1人当たりの電力消費量を2,000 kWh、2047年までに4,000 kWh以上へ引き上げる目標を掲げた。あわせて、2030年までに排出原単位を2005年比45%削減し、2070年までにネットゼロ排出の達成というインドの気候変動に関する公約を果たす考え。低炭素電源への移行と手頃な価格による電力供給の信頼性を重視し、原子力発電の拡大、再生可能エネルギーの統合、送電網の近代化、財政的持続可能性など、主要な電力部門の改革を提案している。NEP 2005では、官民連携による原子力発電開発を想定していたものの、民間部門の参入に対する政策上の障壁と多額の初期資本要件のため進展は限定的であった。2025年度連邦予算では、2047年までに原子力発電設備容量1億kWeを達成する目標を設定、2025年12月のSHANTI法の制定に伴い、中央政府と民間部門が連携した原子力開発の促進が期待されている。NEP 2026の草案では、原子力発電をクリーンで信頼性が高い持続可能な電源と位置づけ、インドの長期的なエネルギー安全保障を支える重要な選択肢とした。また、小型モジュール炉(SMR)の設置、バーラト小型炉の開発、および先進的原子力の開発を進めるとともに、原子力関連プロジェクトをグリーンボンドによる資金調達の対象とする方針を示している。さらに、既存原子力発電所のサイト拡張(ブラウンフィールド開発)、可能な場合は、石炭利用の自家発電設備を原子力への置き換え、同一設計の原子炉をまとめて建設する方式(フリート方式)の導入、原子炉サイズの標準化と国内サプライチェーンの構築によるコスト削減、閉鎖された旧火力発電所サイトを原子力サイトとして再利用するなどの施策の検討についても指摘している。また、大規模な商業・産業用(C&I)電力需要家による原子力発電の利用を奨励し、将来の原子力発電所については、出力を柔軟に調整できる設計を導入、太陽光や風力などの変動性再生可能エネルギー(VRE)との統合についても検討するとしている。なお、発電設備容量の拡大、送配電インフラの整備には2032年までに50兆ルピー(約86.5兆円)、2047年までに200兆ルピー(約346兆円)が必要になるとし、「エネルギー安全保障とエネルギー移行の成否は、低コストで多様な資金調達手法を確保できるかに左右される。再生可能エネルギーや原子力プロジェクトは、多額の初期投資を要する一方、運用コストは低い」と言及している。2026年度予算案では、原子力発電プロジェクトに必要な物資の輸入に対する現行の基本関税免除を2035年まで延長し、出力に関わらず全ての原子力発電所への拡大が提案されている。
04 Feb 2026
205

世界原子力協会(WNA)は1月20日、初の「世界原子力発電見通し」(World Nuclear Outlook Report)を発表した。各国政府が定めた目標を詳細に分析するとともに、世界の原子力開発に関する包括的な情報をとりまとめた。WNAは、各国政府が自らの公約を達成するために迅速かつ持続的な行動をとることを条件に、2050年までに世界の原子力発電設備容量の三倍化が可能であると結論している。WNAによると、各国政府の目標が達成されれば、世界の原子力発電設備容量は2050年までに14.46億kWe(グロス)に達し、2023年にUAE・ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)以降、30か国以上が支持した原子力の三倍化宣言で設定された約12億kWeの目標を上回る可能性があると予測。これには、各国による既存炉の運転期間延長、建設中の原子炉の完成、計画および提案されたプロジェクトの実現が織り込まれている。目標値を上回る設備容量の拡大は、気候・エネルギー安全保障戦略の中核として原子力に対する国際的な支持が高いことの表れであるとしている。本見通しで示された主な調査結果や提言は以下のとおり。○世界の原子力発電設備容量の見通し各国政府が発表した原子力の新規建設に関する計画と目標に、既存炉の運転期間を最長80年間に延長、現在計画・提案されている原子炉の建設と組み合わせると、2050年までに14.46億kWeの原子力発電設備容量が実現するとしている。なお、既存の殆どの原子炉の運継継続と建設中の原子炉の完成により、2030年までに設備容量は5.02億kWeに達すると予測。計画中のプロジェクトが2035年までの容量拡大を牽引し、提案中・潜在的・政府主導の計画が2035年以降の容量増加を占める。WNAは、2050年に原子力発電設備容量を稼働させる計画がある50か国を特定している。2050年までに予測される原子力発電設備容量のうち、中国、フランス、インド、ロシア、米国の5か国で約9.8億kWe近くを占める見込み。新規参入国は2050年までに1.57億kWeの原子力発電設備容量を目指すとしており、従来の原子力発電国以外での関心の高まりが浮き彫りになっている。また、原子炉の運転期間延長は、2050年予測の設備容量の4分の1以上に貢献する可能性がある。経年による設備利用率の低下は見られない。永久閉鎖した原子炉の平均稼働年数は増加傾向にあり、2024年には48年に達した。運転期間延長は、追加的な低炭素電力を確保する最も費用対効果の高い方法の一つである。また、予測される2050年の設備容量の達成には、年間の追加設備容量を1,440万kWe/年(2026-2030年)、2,230万kWe/年(2031-2035年)、4,902万kWe/年(2036-2040年)、5,160万kWe/年(2041-2045年)、6,530万kWe/年(2046-2050年)と引き上げていくことが必要となる。なお、2046年-2050年にかけて必要となる年間6,530万kWeの設備容量は、1980年代に見られた過去最高の建設ペースの約2倍である。一方で、政府目標は野心的だが願望的なものでもあり、計画中または提案中の原子炉の全てが必ずしも建設段階に進むわけではない。政府目標には、特定済みのプロジェクトによる裏付けもないものもあり、政策やその他政府措置による公約水準も国により大きく異なる。○エネルギー需要増への対応としての原子力2050年までに電力・エネルギー需要に重大な影響を与える5つの主要な世界的動向として、①電力供給のない7.5億人に供給を拡大、②2050年までに98億人に達すると予測される世界人口のエネルギー需要を公平な方法で充足、③各国が化石燃料から低炭素電源へ移行する中、経済の全分野における電化を加速、④デジタルインフラやデータ集約型プロセスによる電力消費の増加、⑤代替的な低炭素熱源により、削減が困難な分野の脱炭素化、などがある。気候変動と持続可能性の整合性から、エネルギー需要の増大に応える原子力拡大の必要性は高まる一方である。○政府、金融機関、産業界への提言(政府向け)長期的な投資を可能にし、技術レベル、労働力、サプライチェーンを維持するための、持続可能で実行可能な原子力政策の策定および事業環境整備。技術的に可能な限り、60~80年の運転期間延長プログラムを支援、早期閉鎖を回避。原子力が他の低炭素電源と同様に公平に扱われるよう電力市場を改革。許認可・立地選定・資金調達メカニズムの迅速化を支援。(金融機関向け)原子力およびその他の低炭素電源を同等の基準により評価、技術中立的な融資を実施し、資金調達枠組み、保証、多国間パートナーシップを通じて、新興経済国における原子力導入を支援。(原子力産業界向け)燃料サイクルインフラを含む製造・サプライチェーン能力の拡大。コスト削減と建設期間短縮に向けた、シリーズ建設の最適化。熱利用など発電以外の用途も含む、2035年以降のエネルギー需要に対応する大規模導入戦略の策定。
03 Feb 2026
620

英国のロイドレジスター(ロイド船級協会)は1月19日、民間商船での運用を前提とした原子力船舶の実用化に向け、「海上原子力コンソーシアム(Maritime Nuclear Consortium)」を設立したと発表した。原子力技術に加え、国際基準の策定など制度面の整備を進めることで、海運の脱炭素化をめぐる国際競争において主導権を確保する狙いがある。国際海運分野での温室効果ガス(GHG)について、国際海事機関(IMO)が2020年に公表した調査によれば、2018年時点における国際海運全体のGHG排出量は約9.2億トンと世界全体の約2.5%を占める。海上輸送の需要は今後も増加が見込まれる中、2023年7月、IMO加盟国は、2050年頃までに国際海運からのGHG排出をネットゼロとする新たな削減目標に合意し、海運業界に対応を求める方針を明確にした。今回設立された海上原子力コンソーシアムには、以下の6社が参加している。・ロイドレジスター:事務局・ロールス・ロイス:原子炉設計・バブコック・インターナショナル・グループ:船舶設計・建造・サポート・グローバル・ニュークリア・セキュリティ・パートナーズ:核セキュリティおよび保障措置・スティーブンソン・ハーウッド:法務・規制・ノーススタンダード:保険コンソーシアムは当面の取り組みとして、先進型モジュール炉(AMR)の設計適合性声明(SoDA)の策定プロセスの確立、原子力船を対象とした新たな船級認証制度の策定、軍事転用を防ぎ透明性を確保する制度設計、事故リスクに対応した保険制度の構築、産業界・政府向けの導入手引きの公表などをあげている。ロールス・ロイス社の新型原子力・特別プロジェクト部門の担当ディレクター、J. トンプソン氏は、「さまざまな分野でエネルギー転換が迫られており、その解決策の一つとして原子力がますます注目を集めている」と指摘。その上で、今回のコンソーシアムによる連携は、原子力船をめぐる将来の国際基準策定に向けた重要な第一歩になるとの認識を示した。原子力船は、英国においても海軍で数十年にわたり利用されているほか、世界各国の海軍では700基以上の船用炉が稼働するなど、一定の技術的実績を有する。一方、これらは国家管理下での運用を前提としており、国際航路を行き交う民間商船への適用には制度面の整備が不可欠とされる。コンソーシアムは、新型炉設計に対応した制度整備を通じて、英国が海運分野における原子力利用で主導的立場を確立することを狙っている。
03 Feb 2026
391

米国を訪問したスロバキアのR. フィツォ首相は1月16日、米国と民生用原子力協力協定を締結した。同協定には、ボフニチェ原子力発電所における米国製の120万kWe級原子炉の新設計画も盛り込まれており、両国の戦略的パートナーシップを深化させ、欧州のエネルギー安全保障を強化するものと位置づけられる。同協定の下、両国は原子力の先進技術、サプライチェーン分野でのパートナーシップ、安全・セキュリティの良好事例共有、人材育成、長期プロジェクト計画など幅広い分野で協力する。フィツォ首相は、「本協定は、両国がエネルギーの将来、その安全性、持続可能性、技術的成熟度について共通の戦略的思考を共有している明確なシグナルでもある」と言及。原子力がスロバキアにとり、安全保障、脱炭素化への移行、経済競争力における支柱であるとし、スロバキアの原子力シェアは半分以上であり、気候目標の達成と価格が安定した信頼性の高いエネルギー供給を可能にすると強調した。同首相はさらに、ボフニチェ原子力発電所の新規炉の運転開始時期を、2040年~2041年との見通しを示した。なお同首相は以前、米ウェスチングハウス社製AP1000を採用する考えを表明していた。スロバキア政府は2024年5月にボフニチェ5号機(最大120万kWe)の新設を承認している。新設の資金調達に向け、今回の協定締結を機に、両国の輸出入銀行間で原子力プロジェクトの資金調達、情報交換などに係る協力協定も締結された。また、スロバキア国営バックエンド企業のヤビス(JAVYS)は1月上旬、入札を通じて、ロスチャイルド&カンパニーを財務アドバイザーに選定したと発表。ロスチャイルド社は欧州連合による国家補助承認手続きに向けてプロジェクトの財務スキームの準備など、プロジェクトがスムーズに実施できるように支援する。同社は英国のサイズウェルCやチェコのドコバニ発電所の建設計画など、欧州での原子力プロジェクトにも長年の経験を有している。一方のヤビスはスロバキア経済省が100%出資しており、原子力発電所の廃止措置のほか、ボフニチェ・サイトにおける新設プロセスの管理責任を負っている。スロバキアでは小型モジュール炉(SMR)導入に向けた動きも活発化している。1月15日、スロバキアの首都ブラチスラバで、SMR導入に関する初の包括的な実行可能性調査(F/S)完了報告が発表された。米国が主導する石炭火力発電所からSMRによる原子力への転換プログラムである「プロジェクト・フェニックス(Project Phoenix)」の一環として、米エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社、スロバキア経済省、スロバキア電力が協力して実施したもので、同F/Sにより、同国がSMRを責任あるかつ効率的に展開するための適切なサイト、技術的専門知識、インフラを備えており、戦略的にSMRを展開できる立場にあると結論づけられた。プロジェクト・フェニックスは、米国務省のプログラム「SMR技術の責任ある活用に向けた基本インフラ(FIRST)」によって支援されている。同F/Sでは、国際原子力機関(IAEA)の勧告に基づき、外部リスク、地質工学的な条件、環境および安全面、立地条件など100以上のパラメータから評価したほか、ボフニチェ、モホフチェ、ヴォヤニ、USスチール・コシツェの候補サイト4か所について地震安定性、水源と送電網へのアクセス、環境影響に基づいて評価。4か所すべてがSMR導入の基準を満たしているとしたほか、世界有数の炉メーカーによるSMRをレビューし、多くがスロバキアの条件に技術的に適合し、国際的な安全基準を満たしているとしている。
02 Feb 2026
367

中国・江蘇省で1月16日、中国核工業集団(CNNC)の徐圩(Xuwei)原子力発電所第1期プロジェクトが開始された。同プロジェクトは、「華龍一号(HPR1000)」×2基(PWR、各122.2万kWe)と、高温ガス炉(HTGR)×1基(約66万kWe)で構成される。工業用熱(高温蒸気)の供給を主目的とし、余剰の熱エネルギーを電力供給にも活用する複合型の原子力施設となる。このうち同日、「華龍一号」を採用した1号機で先行して原子炉関連施設の初のコンクリート打設が行われた。徐圩第1期プロジェクトは、2024年8月に中国国務院常務会議で承認された。従来の、発電を主とし余剰熱を利用する方式とは異なり、工業用蒸気の需要(加熱負荷)を起点に運転条件を設定するのが特徴だ。発電量は蒸気需要に応じて調整されることになる。華龍一号で大量の蒸気を生成し、これを高温ガス炉の熱で再加熱することで、工業用熱として十分な温度を確保すると同時に、発電にも利用する設計としている。第1期プロジェクトが完成すれば、近隣の連雲港石油化学工場に対し、大規模な熱供給を行う計画だ。石油化学工場では従来、化石燃料によるボイラー熱が主流であったが、同プロジェクトは低炭素電源による大規模な熱供給を実現する試みとなる。CNNCによると、完成後は年間約3,250万トンの工業用蒸気と115億kWh超の電力を供給する見込みで、約1,960万トンのCO2排出量削減効果が見込まれている。なお、華龍一号の出力については、1月16日のCNNCによる公告で、過去に公表されていた120.8万kWeから122.2万kWeへの変更が発表された。
02 Feb 2026
455

米エナジー・ソリューションズ社は1月15日、同社が所有する旧キウォーニ原子力発電所(PWR、59万kWe)サイトにおいて、新規建設に向けた許認可申請の計画に関する意向通知書(Notice of Intent: NOI)を米原子力規制委員会(NRC)に提出したと発表した。同社は米ユタ州を拠点に、原子力発電所の廃止措置や環境復旧サービスを手掛けている。現在、事前サイト許可、建設許可、または建設・運転一括認可の申請について評価中であり、2028年6月までに申請書を提出する意向を示している。ウィスコンシン州に立地するキウォーニ原子力発電所(PWR、59万kWe)は1974年6月に営業運転を開始、2013年5月に永久閉鎖された。エナジー・ソリューションズ社は2021年5月、同発電所の所有者兼運転者のドミニオン・エナジー社から、廃止措置の実施を目的に同発電所を買収。翌5月から主要な廃止措置・除染の作業を開始している。完了までに7~8年がかかると見込まれており、並行して新規建設の申請準備を進めるという。同社は2025年5月、ウィスコンシン州を拠点に電力や天然ガスの供給を手掛ける同州最大の電力会社WECエナジー・グループ(WEC)と協力してキウォーニ・サイトでの新たな原子力発電の導入可能性の検討を開始することを明らかにした。現在、将来的な許認可申請を見据え、サイトの適合性を実証するため、WECとの連携の下、計画立案に加え、必要となる調査項目や範囲を整理するスコーピング活動、さらに詳細なサイト調査を含む、体系的かつ多段階の取り組みを進めている。採用炉型については明らかにされていないが、エナジー・ソリューションズ社は2024年12月、米国に本社を置くカナダ発の原子力企業テレストリアル・エナジー社と協力覚書を締結している。覚書で両社は、エナジー・ソリューションズ社が廃炉プロセスで取得した旧原子力発電所サイトにおいて、テレストリアル社が開発するSMRである一体型熔融塩炉(IMSR)の設置と展開の検討で協力することになっている。エナジー・ソリューションズ社は、キウォーニ原子力発電所のほか、ネブラスカ州フォートカルホーン発電所、カリフォルニア州サンオノフレ発電所、ペンシルベニア州スリーマイル・アイランド発電所2号機の廃止措置を実施中(同機はエナジー・ソリューションズ社の傘下企業が所有)。ウィスコンシン州ラクロス発電所とイリノイ州ザイオン発電所の廃止措置作業はすでに完了している。ウィスコンシン州では、データセンターによる電力需要の急増が見込まれており、超党派の州議会議員らが今後数年間にウィスコンシン州により多くの原子力発電を導入することを提唱。ウィスコンシン州議会上院は2025年5月、州の公共事業委員会に原子力発電の立地調査の指示を承認する法案を可決した。ウィスコンシン州では、他にポイントビーチ原子力発電所1-2号機(PWR、各64万kWe)が1970年代から稼働しており、同州における原子力発電シェアは約15%(2024年実績)。両機は2025年9月、NRCから2度目の運転認可を得て、80年運転が可能になった。
30 Jan 2026
573

仏パリに拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ社は1月15日、同社が開発する鉛冷却高速炉(LFR)の原子力安全プログラムに関する詳細を2025年12月に仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)に提出したことを明らかにした。今回の提出はフランスにおける事前許認可プロセスの一部であり、将来の原子力施設の設置許可申請(DAC)に先立ち、ASNRが原子炉設計と安全対策の主要要素を独立して審査し、安全性の改善点を特定する手続きとなる。ニュークレオ社は、同社が開発する第4世代の鉛冷却高速炉「LFR-AS-30」(3万kWe)をフランス中部のアンドル=エ=ロワール県で、フランス電力(EDF)が運転するシノン原子力発電所(PWR、95.4万kW×4基)に隣接したサイトに建設する計画。発電に加え、先進的な研究サービスや医療用同位体の生産も提供する予定であり、2031年までの稼働を目指している。ニュークレオ社のS.ブオノCEOは、「この重要なマイルストーンは、ASNRとの技術的対話によって強化された、長年にわたるエンジニアリングと研究開発の成果。当社は現在、海外の他の原子力安全規制当局との連携や将来の国際展開を支える枠組みも構築している。また、伊ENEAブラジモーネ研究センターにある研究開発プログラムを通じて技術的検証を進めており、設計条件の妥当性を確認するためのデータを取得し、今後提出予定の認証関連資料の裏付けとして活用する」と語った。原子力安全プログラムの詳細提出は、2024年12月の先進燃料製造施設向けの提出に続くもの。LFRの燃料となるMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料製造施設については、フランス東部のオーブ県ノジャン地区に建設する計画である。同施設はモジュール施設として設計されており、必要に応じて生産能力を拡大、最終的には3つの生産ラインを含む可能性があり、最初のラインは2030年に稼働を予定している。ASNRによる審査を経て、両原子力施設のDACを2027年末までに関連当局に行う計画である。欧州連合(EU)圏内の原子力安全を監督する欧州原子力共同体(ユーラトム)と保障措置設計に関する協議を2025年12月に開始した。また、原子力施設を悪意ある行為から保護するための要件について、フランス国家安全保障当局による審査も受ける。両原子力施設プロジェクトは、2025年6月に公開討論国家委員会(CNDP)の決定により公開討論の対象となり、2026年中に開催される予定。ニュークレオ社は現在、将来の原子炉の運転特性をさらに分析するため、非核反応炉のモックアップである「プレカーサー」(PRECURSOR)(熱出力1万kW、電気出力約0.3万kW)を建設中。プレカーサーは2026年末までに、イタリアのENEAブラジモーネ研究センターで完成予定である。同社は英国において、「LFR-AS-200」(20万kW)の包括的設計審査(GDA)を申請し、2025年6月、先進モジュール炉(AMR)として初めて受理された。しかし同年7月、使用済み燃料の再利用を支持し、AMRへの具体的な支援を提供する地域に経営資源を集中させる方針を決定し、英国でのLFR開発プログラムを一時停止、事業活動を大幅に縮小することとした。事業縮小の背景には、ニュークレオ社が2021年に英国に本拠地を置いて以来、英国のプルトニウム備蓄をLFR燃料としてリサイクル利用する構想を念頭に、英政府による明確な支援を必要としていたことがある。しかし、英政府からは他の小型モジュール炉(SMR)への支援や資金提供はあるものの、LFRへの具体的支援の可能性が他地域と比べて低かったとしている。ただし、英国での拠点は縮小して維持し、将来的に英国におけるAMRの見通しが改善した場合には活動を拡大する計画だという。
28 Jan 2026
627

米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は1月13日、月面原子炉の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結し、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を明確にした。2025年12月にはD. トランプ大統領がエネルギー・宇宙政策関連の大統領令に署名しており、今回の協力は、50年以上にわたる両機関の協力関係をさらに強化するものとなる。宇宙探査ではこれまでも原子力が活用されてきた。放射性同位体熱電発電機(RTG)は、放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号でも用いられ、現在に至るまで40年以上電力を供給している。一方、RTGは出力規模が小さく、人が長期滞在する拠点や大規模設備の運用には十分とは言えない。月では約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になるとされ、今回のパートナーシップにより開発が加速するとみられる。NASAのJ. アイザックマン長官は「人類の月への再訪と長期滞在、さらに火星やその先への探査には、原子力エネルギーの活用が不可欠だ」と述べた。DOEのC. ライト長官も、両機関の連携が技術的飛躍につながるとの認識を示した。NASAが2025年12月に公表した月面における電力戦略に関する白書では、探査期間の延長や乗員数の増加に伴い、外部からの電力補強が不可欠になるとの見解が示された。月面電力システムは月探査にとどまらず、将来の火星探査への適用も視野に入る。火星においても、環境条件に左右されにくい電源の重要性が指摘されている。またNASAは1月27日、原子力によるロケット推進エンジンの実用化に向け、実機と同規模の試験装置を用いた検証テストを完了したと発表した。原子炉の熱で推進剤を加熱し、噴射することで推力を得るこのエンジンについて、NASAは現在の化学ロケットに比べ、速度や持続性の面で利点があるとしている。エネルギー技術としての原子力が、宇宙開発をどのように支えていくのか、今後の技術開発と政策動向が注目される。
28 Jan 2026
984

米ニューヨーク州のK. ホークル知事(民主党)は1月13日、2026年一般教書演説の中で、炭素排出ゼロの電力供給と送電網の信頼性確保に向け、原子力発電を推進すると表明。新たなイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)を確立するため、州内での原子力発電の新規開発規模を500万kWeに拡大する方針を示した。ホークル知事は2025年6月、州営のニューヨーク電力公社(NYPA)に対し、州の脱炭素化目標を支援するため、同州北部に少なくとも合計100万kWeの先進原子力発電設備容量の追加を要請していた。今回、電力系統の信頼性強化を目的に、州政府機関に対して400万kWeの追加導入を指示した。原子力信頼性基盤は、新設の公共事業局(DPS)によって策定され、現在、ニューヨーク州で稼働する約340万kWeの原子力発電設備容量と既に発表された100万kWeの開発計画と合わせると、将来的に合計約840万kWe規模となる見込み。ニューヨーク州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイトで計4基の原子炉を運転している。同知事は演説で、「当初、合計100万kWeの原子力発電所を建設するという目標を設定したが、私が信じるのはただ1つ。大勝負に出るか、撤退するかだ。500万kWeは、過去30年間に米国全土で建設された原子力発電所の中でも最大規模である。ニューヨーカーの準備を確実にするために、原子力労働力の開発プログラムを開始し、クリーンエネルギーの未来を共に築くことができるようにする」と原子力拡大への意欲を示した。同知事は2025年12月、熟練労働力の開発に向けて、今後4年間で年間4,000万ドルの資金を提供すると発表。これにより、技術系高校、コミュニティカレッジ、大学、労働組合などと提携し、先進的な原子力エネルギー分野での就業に備えるための技術研修、再訓練、履修、見習いプログラムを開発する。ホークル知事からの少なくとも合計100万kWeの先進原子力発電設備容量の追加要請を受け、NYPAは2025年10月、先進原子力開発の潜在的なホストコミュニティと開発事業者の情報提供要請(RFI)を開始した。RFIのうち1件は、NYPAの先進原子力プロジェクトの誘致に関心のあるニューヨーク州北部のコミュニティを対象とし、もう1件は、原子力プロジェクトの開発、建設、運転またはサービス提供の経験を持つ開発事業者を対象としている。NYPAは2026年1月7日、開発事業者候補から23件、同州北部のコミュニティから8件の回答を得たことを明らかにした。NYPAは現在、これら回答を審査中であり、その情報を2026年の原子力対策の指針として活用する予定である。なお2025年12月、NYPAと加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、協力覚書(MOU)を締結。大型炉および小型モジュール炉(SMR)を含む先進原子力技術の開発に関する協力枠組みを確立するもので、今後、情報共有や技術革新、人材育成、資金調達および経済性評価などで協力を進めていく。また、両者間の電力取引を強化する機会を模索するとしている。
27 Jan 2026
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英ロールス・ロイスSMR社は1月20日、米エンジニアリング企業のアメンタム(Amentum)社と、小型モジュール炉(SMR)の初導入に向けた、主要な提供パートナーとしての協力契約を締結した。アメンタム社は、英国およびチェコにおける初号機導入プロジェクトの全体管理や監督、施工管理、実行体制の構築などを担い、プロジェクトの司令塔役を果たす。アメンタム社は原子力分野において、新設や運転支援、廃止措置など幅広いプロジェクトに携わってきた実績を有する。ロールス・ロイスSMR社のC. チョラトンCEOは、「強力なパートナーと協働することで、国際市場でSMRプロジェクトを展開できる体制が整った」とコメントした。このほか、ロールス・ロイスSMR社は1月14日、スウェーデンの建設大手スカンスカ(Skanska)社と、SMR向け免震ベアリング基礎(aseismic bearing pedestal)の実証モデルの納入契約を締結している。スカンスカ社はスウェーデン最大手の建設・プロジェクト開発会社で、英国にも拠点を有し、幅広い分野でインフラ事業を手がけている。免震ベアリング基礎は、SMR発電所の構造物と地盤の間に設置され、地震発生時の地盤の動きを隔離することで建物の安全性を高める重要な構造要素となる。今回のプロジェクトは、英ドンカスターにあるスカンスカの製造施設で進められ、プロトタイプの製造および実証試験が行われる予定としている。英国では2025年6月、政府が同社のSMRを同国初のSMRプロジェクトにおける優先技術として選定。同年11月には、北ウェールズのアングルシー島ウィルヴァを、ロールス・ロイスSMR(47万kWe)×3基の建設予定地として決定している。現在、同SMRは英国規制当局による包括的設計審査(GDA)の最終段階にあり、2026年8月までの審査完了を目指している。最終投資決定は2029年に行われる予定で、英国における初号機は2030年代半ばの送電開始を目標としている。最初の輸出先としてはチェコが想定されている。チェコ電力(ČEZ)によるSMR導入計画が進行中で、同社は英国に先駆け、2024年9月に当該SMRを将来の導入候補として選定した。2030年代に テメリン・サイトで初号機を運転開始する計画で、チェコ国内では合計300万kWe規模の導入が見込まれている。
27 Jan 2026
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米エネルギー省(DOE)原子力局は1月14日、傘下のアイダホ国立研究所(INL)に使用済み燃料研究センター(Center for Used Fuel Research)を設立したと発表した。これによりINLは、使用済み燃料管理に関する研究・開発・実証を担う主導機関に正式に指定された。同センターでは、長期保管条件下における使用済み燃料の安全な乾式貯蔵と輸送に関する応用研究を実施。商業炉およびDOE管理下の使用済み燃料について、最終処分前の安全な貯蔵および輸送に対する国民の信頼向上を目的とした技術的知見の蓄積を進める。INLは75年以上にわたり、燃料の開発、試験、認証を実施しており、今後は使用済み燃料の安全な長期貯蔵や輸送に関して公益事業者、規制当局、連邦政府機関が必要とする実証データの提供拠点となる。DOEはこの取組みについて、エネルギーと環境に関する米国の喫緊の課題を解決するための新たなコミットメントであり、使用済み燃料の最終処分に関するDOEの法定責任に直接対応するものであるとコメント。また、2025年4月にDOEとアイダホ州が合意した1995年和解協定の一部免除がなければ実現し得なかったと説明している。1995年の和解協定では、DOEがアイダホ州から遺留廃棄物を除去するマイルストーンを設定し、INLに商業炉からの使用済み燃料の搬入を禁止していたが、2025年4月、アイダホ州は和解協定の一部免除に合意。INLが商業炉の高燃焼度の使用済み燃料キャスクと国内大学の研究用原子炉から限定的な使用済み燃料を持ち込むことを認めた。これにより現在、ノースアナ原子力発電所に貯蔵されている高燃焼度の使用済み燃料キャスクをINLに搬出し、乾式貯蔵の研究を行うことが可能になった。搬出は2027年に行われる予定である。なおDOEは、同センターは使用済み燃料の安全な保管・輸送に関する問題に専念し、処分や再処理技術に関する直接的な研究は行わないとしている。INLは「ハブ・アンド・スポーク」(Hub and Spoke)モデルを通じて広範かつ多様な協力を調整。INLが中央ハブとなり、DOE傘下の他の国立研究所、産業界、大学、海外パートナーがスポークを形成し、幅広い関係者と効果的に協力する。大学はDOEの原子力エネルギー大学プログラム(NEUP)などのプログラムを通じて参加し、専門知識や人材育成への貢献が期待されている。海外パートナーとは、得られた教訓を共有、重複研究を避け、相互利益とベストプラクティスにおける整合性の確保に向けて連携するとしている。
26 Jan 2026
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フィンランドのヘルシンキ市が保有するエネルギー企業Helen(ヘレン)社は1月12日、原子力プロジェクトの開発を目的とした完全子会社「Helen Ydinvoima(ユディンボイマ)」を設立した。新会社は、ヘルシンキにおける原子力発電所建設の前提条件に関する調査を担い、将来的な投資判断に向けた準備を進める。2月初旬に業務を開始する予定。ヘレン社は現在、地域暖房向けの熱供給源として小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を検討しており、2024年9月にSMR導入プログラムを開始した。2025年11月には、SMRの建設候補地としてヘルシンキ市内の3か所を選定し、詳細調査を開始している。新会社の取締役会長には、J. タンフア氏が就任した。同氏は30年以上にわたり原子力業界に携わり、フィンランドの原子力事業者Teollisuuden Voima Oyj(テオリスーデン・ボイマ:TVO)社で、同国最新の原子力発電所であるオルキルオト3号機(EPR、166万kWe、2023年営業運転開始)の建設を指揮した実績を有する。また、CEOには、ヘレン社で発電部門ディレクターを務め、原子力・エネルギー分野で長年の経験を有するP. トロネン氏が就任している。ヘレン社のSMR導入プロジェクトでは現在、設備サプライヤー選定に向けた競争入札が進行中。また、事業スキームやパートナーシップモデルの検討を進めている。産業界や他のエネルギー企業との協業の可能性についても検討を進めている。今回の子会社設立により、同社は2030年までを目標とする地域暖房の脱炭素化に向け、フィンランド国内初となるSMRの建設・稼働の可能性を本格的に検討していく。
26 Jan 2026
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日本原子力研究開発機構(JAEA)は1月26日、大型放射光施設「SPring-8」を用いて、3000℃を超える超高温条件下で物質の構造変化をリアルタイムに観測する新たな分析技術を開発したと発表した。原子燃料の安全性評価に不可欠とされながら、これまで実験的な観測が困難だった超高温領域での挙動を直接捉えることが可能となり、安全性の高い燃料開発への貢献が期待される。原子力発電では冷却機能が失われた場合、燃料の温度が急上昇し、周囲の材料を溶かす恐れがある。このため、超高温環境下でも安定性を保つ燃料の開発が重要課題となってきた。しかし、燃料や被覆管が溶融するような3000℃級の超高温領域を実験的に直接観測することは極めて難しく、これまでは理論解析による推定に頼らざるを得なかった。今回、JAEAなどの研究チームは、SPring-8の高輝度X線を活用し、試料を3000℃超の超高温状態に維持したまま照射する分析手法を開発した。模擬燃料を用いた実験では、材料が高温で溶融し、化学反応を経て再び固化するまでの過程を、原子レベルで連続的に観測することに成功した。これにより、安全性の高い原子燃料の開発への貢献に加え、航空宇宙分野などで求められる耐熱材料の研究開発への応用も期待されるという。
04 Feb 2026
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原子力発電環境整備機構(NUMO)は、マイナビニュースのX(旧Twitter)が放送する家族会議型バラエティー『竹山家のお茶の間で団らん』にて、第7弾となるタイアップ企画動画を、1月30日までに公開した。2022年度からシリーズで配信している同番組の21回目の放送となった今回は、フィンランドが舞台だ。「竹山家inフィンランド 世界一幸せな国を巡る」と題し、同番組MCのカンニング竹山氏が、街を走るトラムやサウナ、地元のレストランを訪ねるなど観光の要素を交えながら、同国が抱えるエネルギー問題に触れ、環境について考える構成となっている。また、クイズ形式の企画も盛り込み、楽しみながら視聴できる内容に仕上がっている。スタジオでは、「竹山家」メンバーの篠田麻里子さん、越智ゆらのさんの他に、新沼凛空さん、栗栖あに華さん、宝持沙那さん、松田実桜さんがゲスト出演している。高レベル放射性廃棄物の世界初の地層処分場「オンカロ」が試験操業中の同国では、現在、本格操業に向けて最終局面を迎えている。番組では、カンニング竹山氏がオンカロの立地するユーラヨキを訪問。町長へのインタビューを通じて、原子力関連施設の立地を契機に同町で産業集積が進んでいる現状などを紹介した。さらに、事業主体であるポシバ(Posiva)社やオンカロを取材し、処分地決定に至るまでのプロセスや課題、将来の地域ビジョンについて、竹山氏ならではの分かりやすい語り口で伝えている。
30 Jan 2026
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東京電力は1月26日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で策定した第5次総合特別事業計画(第5次総特)が国から認定されたことを公表した。同社は同計画において、コスト削減の具体額や実施手法に加え、脱炭素電源による供給比率の目標、さらには他社とのアライアンスに関する方針・目標を明確に打ち出した。記者会見には、小早川智明代表取締役社長、山口裕之代表執行役副社長、酒井大輔代表執行役副社長が出席。会見の冒頭、小早川社長は「廃炉作業が前人未踏の領域へ移行しつつあることに加え、GX・DXの進展に伴う電力需要の変化、物価高などによる投資や費用の増加により、当社を取り巻く事業環境は大きく変化している」と説明した。また小早川社長は、経営の原点を福島第一原子力発電所の事故に伴う「福島への責任の完遂」と「安定供給責任の全う」に置き、これら2点が企業の存立基盤に直結するとの認識を改めて示した。その上で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)が再稼働した場合でも、廃炉事業と経済事業の双方において抜本的な改革がなければ、両責任の両立は極めて難しいと述べ、同社が岐路に立っているとの危機感を示した。続いて、酒井副社長が第5次総特の基本方針について説明した。計画策定の背景として、①福島第一原子力発電所の廃炉工程の進展と燃料デブリの取り出しという最難関の段階に入っていること、②GX・DXの進展やエネルギー安全保障への要請の高まりを受け、電力需要が拡大していること、③物価高の影響でキャッシュフローが悪化し、成長投資が制約されていること、の3点を挙げた。まず、①の廃炉事業の完遂に向けて最大の難所となる燃料デブリの取り出しに備え、現場主義を重視しながら、経営判断、事業遂行能力、組織体制の3本柱で廃炉事業の抜本改革(遂行能力の向上)を進める考えを明らかにした。そして、②の対応として、データセンター需要をはじめとするデジタル需要を国内に取り込むため、系統接続の早期化や他社との連携を進め、2040年度までに首都圏のデータセンター需要の伸び率で世界トップクラスを目指すとした。そして、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を着実に進めるとともに、2040年度までに供給する電力のうち6割以上を脱炭素電源で賄うことを目標に掲げた。③の財務面については、悪化するキャッシュフローと厳しい資金状況からの脱却を喫緊の課題に位置付け、短中期的には、第三者資金の活用を含む経営の合理化や投資抑制、資産売却を進め、2025年度から2034年度までに累計約3.1兆円のコスト削減を見込む。また、不動産などの資産売却を通じて原則3年以内に約2,000億円規模の資金捻出を目標とした。さらに中長期的には、第三者とのアライアンスを通じて成長投資の原資を確保し、自立的な資金調達力の回復を目指す方針を示した。同社は、経済事業の収益基盤拡大に向け、自社が保有していない技術やノウハウの獲得が必要との認識を示し、アライアンスの重要性を改めて強調。期限を区切ってパートナー候補から広く提案を募集し、具体的な連携の枠組みについて協議・交渉を進める方針を明らかにした。
28 Jan 2026
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は1月23日、定例記者会見を行った。今年4月に開催予定の第59回原産年次大会の詳細を公表したほか、昨年12月に自身が参加した原子力小委員会での発言内容についても報告。会見後半では柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)の再稼働や、中部電力における基準地震動策定データの不適切な取扱事案などに関する質問にも応じた。まず増井理事長は、第59回原産年次大会のテーマを「原子力の最大限活用を支える人材戦略」とし、4月14日、15日の2日間にわたって開催する旨を紹介した。今回の大会は3つの柱を軸に構成され、海外からゲストを招いて国際的な視点から原子力分野の人材課題を議論するとともに、最新技術を活用した省人化や業務効率化に関する国内外の事例紹介、さらに多くの学生の参加を促し、原子力業界に対する率直な受け止めや意見を直接聞く場とする方針を示した。次に増井理事長は、昨年12月の原子力小委員会で議論されたGX行動指針の改訂をめぐり、原子力分野に関する3つの意見を表明したと説明した。1点目に、原子力発電の将来像について、中期と長期の二段階で明確に位置付ける必要性を指摘し、産業界が長期的な展望を持てるような目標設定を求めた。2点目に、次世代革新炉の開発・建設に関し、投資回収を可能とする制度設計や政府の信用力を活用した融資など、実効性ある制度構築の必要性を訴えた。3点目に、人材確保や育成について、GX行動指針の共通重要課題に位置付け、すでに設定された6つの重要項目に追加する形で「第7の柱」として整理することを提案したという。会見の後半、記者との質疑応答・意見交換では、柏崎刈羽6号機の再稼働に関する質問が寄せられた。同6号機の再稼働に伴う警報のトラブルについて増井理事長は、警報の事象は2つあるとし、「1つ目は起動前の制御棒引抜試験にて、2つ目は原子炉起動後の制御棒を操作する過程で起きた」と整理した上で、「前者は運転開始時の設定エラー、後者は部品の故障に近いものと推定している」とコメント。その上で、「警報が出たこと自体が直接安全性に影響を及ぼすものではないが、通常とは異なる状態である」と説明し、東京電力に対しては、今後も慎重な姿勢で作業を進めること、少しでもリスクがある事態に直面した場合には、安全最優先で停止する対応が適切だとの考えを示した。また、中部電力のデータ不正事案について増井理事長は、原因は調査中であるとし断定的な評価は避けるとした上で、調査の焦点として、①不適切なデータ操作に至った「動機」、②データを扱っていた担当者の範囲や、国の審査会合に提出する過程で、どの程度の関係者が関与し、どのような形で意思決定が行われたのかという「構造上の問題」、③こうした事案を招いた背景としての「職場の環境」の3点を挙げた。そのうえで、増井理事長は「中部電力には、しっかりと調査を進めてほしい」と述べ、徹底した原因究明を求めた。
27 Jan 2026
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千葉大学教育学部で開講されている「ディベート教育論」の講義が1月15日、マスメディア向けに公開された。同講義では、高レベル放射性廃棄物の処分という社会的に難度の高いテーマを題材に、学生による本格的なディベートが行われた。同講義を担当するのは、教育学部長の藤川大祐教授。ディベート教育論は、現代的な課題を扱ったディベート実践の経験を通じて、生徒らの論理的思考力等の育成を図ることを目的とし、2012年度から継続して実施されている。今回は「日本は高レベル放射性廃棄物の地層処分計画を撤廃し、地上で管理を義務づけるべきである。是か非か。」を論題に、学生約50人を、1チーム4〜5人の12チームに分け、計6試合(ディベート)を実施。当日はその5試合目が公開された。公平性確保のため、試合順や賛否の立場はくじ引きなどで決定。学生らは事前に、原子力発電環境整備機構(NUMO)や日本原子力産業協会(JAIF)、日本原子力研究開発機構(JAEA)らによる講義を受け、バックエンド事業や高レベル放射性廃棄物に関する基礎知識を習得した上で議論に臨んだ。当日のディベートは、「HLWの地上管理」を主張する肯定側の立論からスタート。その後、否定側の質疑、立論、それに対する肯定側の質疑を経て、それぞれ否定側と肯定側が2回ずつ反駁の機会が設けられた。肯定側からは、地上管理方法の技術改善が進むことで、将来世代が廃棄物の管理・処分方法を選択できる可能性に言及。また、地上管理施設の保守作業等を通じ、地域雇用の創出や産業形成、関連企業の集積につながり、地方創生にも寄与するのではないかと訴えた。それに対し否定側は、地上管理における安全性への懸念や、有事の際の責任の所在について言及。地層処分による管理面や費用面での優位性を主張した。ディベート終了後、聴講していた学生らによる投票が行われ、議論がより優れていたサイドが選定された。同日は肯定・否定側それぞれ18対18の同数となり、藤川教授は「均衡した結果となり、非常に優れた議論であったことの証左となった」とコメントした。また、全体講評として「チームとして十分な準備を感じられ、初めて本格的にディベートに取り組む参加者が多い中でも、難しいテーマに真剣に向き合った点は評価できる」と述べ、両チームの健闘をねぎらった。藤川教授はディベートを振り返り、「肯定側の、将来世代の選択肢の増加や地域の発展の可能性という立案自体は悪くなかったが、最終的に問題になると予想される安全性を上回るほどのメリットを主張できていなかったと感じた。ここが勝敗を分けた要因になった」と総括し、総合的には否定側が優勢だったとの見解を示した。一方で否定側の課題として、将来世代の負担に関するコスト比較については、十分な数値が示されなかった点を挙げた。その上で立論について、「見出しが長く、何の話をしているのか分かりづらい場面があった」と指摘。後の反駁や引用を見据え論点を明確に示すためにも、見出しは簡潔に整理すべきだと強調。特に肯定側のメリットとして掲げていた「地域の発展」という論点が途中で曖昧になった点を課題として挙げ、「相手の議論がずれた場合でも、自ら軌道修正し、一貫した主張を続けることが重要だ」と述べ、論点整理と一貫性の重要性を強調した。藤川教授によると、近年、同授業において生成AIを活用するようになったことで、大きな変化がもたらされたという。以前は準備が不十分なグループも見られたが、現在はAIを活用することで、調査やディベートの構成まで、初期段階から完成度の高い原稿を準備するチームが増えたと指摘し、授業全体の底上げが進んでいると語った。
26 Jan 2026
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経済産業省の赤澤亮正大臣は1月16日、全国の都道府県知事に対し、原子力利用に伴う課題解決に向けた協力を求めるレターを発出した。レターでは、昨年末に東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)および北海道電力泊3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働について、それぞれ新潟県の花角英世知事、北海道の鈴木直道知事らが理解を示したことに触れ、これまでのプロセスに関わった全ての関係者に対し、謝意を表明した。今回のレター発出の背景には、再稼働の意義やバックエンド対策の重要性について、電力消費地の住民理解を求めるべきとの声が寄せられたことがある。これを受け、政府として原子力利用に伴う課題解決への協力を全国の自治体に呼び掛けた。レターでは、住民理解の促進や立地地域とのさらなる連携を要請するとともに、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、電力消費地を含めた調査地域の拡大に向けた国の取り組みへの理解を求めている。赤澤大臣はバックエンド対策について、「国として責任を逃れることのできない大変重要な課題」と述べ、これまで以上に積極的に取り組む姿勢を示した。また、理解醸成に向けて、国が前面に立って取り組む姿勢を強調したほか、高レベル放射性廃棄物の処分地選定については、各地域の判断だけに頼るのではなく、国が責任を持って協力を求めていく考えを示している。また同日、赤澤大臣は中部電力浜岡原子力発電所における不正事案にも言及し、国民や立地地域に不安と懸念を与えていることを深刻に受け止めているとコメント。経済産業省として中部電力に厳正に対応するとともに、他の電力事業者に対しても安全最優先の徹底を要請したことを明らかにした。さらに赤澤大臣は1月23日の記者会見で、柏崎刈羽6号機の再稼働について、「東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、脱炭素電源の確保の観点から、国のエネルギー政策上極めて重要である」と述べた。21日の同6号機の原子炉起動についても、「極めて重要な一歩だ」と評価した。一方で記者からは、同6号機の制御棒の引き抜き作業中に不具合が発生し、原子炉を停止したことについて問われた赤澤大臣は、「制御棒1本の操作について不具合を示す警報が発生し、原因調査に時間を要する見込みであることから、東京電力が計画的に原子炉を停止したものと承知している」と説明。その上で、「工程ありきではなく、各作業を丁寧に確認しながら慎重に対応することが重要だ」と述べ、着実な対応を求めた。
23 Jan 2026
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東京電力は1月21日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子力規制委員会から原子炉起動後に実施する設備健全性確認(使用前事業者検査を含む)に向けた原子炉の試験使用承認を受けたと発表。これを受けて同社は、同日午後7時ごろ制御棒の引き抜き操作を開始し原子炉を起動した。福島第一原子力発電所の事故以来、東京電力の原子力発電所が稼働するのは初。原子炉起動後、制御棒を順に引き抜き、同日午後8時半ごろに臨界を達成した。同社は、同6号機の再稼働を当初1月20日に予定していたが、1月17日の制御棒の引き抜き試験の際、警報が発報されない不具合が確認され、起動作業を一時延期していた。同社によると、本来、制御棒を1本引き抜いた状態で別の制御棒を選択すると、誤操作防止のための引き抜き防止機能が作動し警報が発報する仕組みとなっているが、17日の試験時には警報が発報しなかったため、試験を中断し、引き抜いていた制御棒を全て元の位置に戻したほか、制御棒の操作ができないよう電源を遮断していた。そして翌18日、全ての制御棒に対し同様な不具合がないか、警報の確認試験を実施。当該制御棒に設定されていたペアロッド設定に誤りがあることが判明したため、その後設定を正しく修正した上で、引き抜き防止機能が正常に作動し警報が発報することを確認し、運転上の制限から復帰していた。そして1月21日、全ての制御棒で警報が正常に作動することを確認したため、同件を同日午後、原子力規制庁に説明。原子力規制委員会から6号機の原子炉を起動することを認める「試験使用承認書」を受け取っている。同社は、約14年振りの運転となる同機の運転に際し、設備の健全性確認を慎重に進めている。1月22日には、再び制御棒を引き抜く作業を一時中断。制御棒の引抜操作時に、1本の制御棒の操作監視系の警報が発生したことが理由だと公表している。なお、プラント状態は安定しており、外部影響はない。
22 Jan 2026
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日本原子力学会は1月9日、報道関係者を対象とした交流会を開催した。交流会は、同学会の社会・環境部会が毎年実施しているもので、今年は、近年注目が高まる小型モジュール炉(SMR)をテーマに設定。エネルギー総合工学研究所・原子力技術センター原子力チームの都筑和泰氏を講師に招き、世界のSMRの開発動向や技術的特徴、導入を巡る課題に関する解説が行われた。SMRについて都築氏はまず、現地で一から組み立てるのではなく、工場で製造し、現地で据え付ける方式を採ることで、建設コストの低減や工期短縮が期待できる点を強調した。モジュール化の程度は設計によって異なるものの、近年では原子炉本体も工場で製造する設計が登場していることや、ロシアの浮体式原子炉のように、船舶に搭載して運用する方式などが紹介された。また、軽水炉の小型化自体に特段の技術的な革新性はないとしつつも、安全性と経済性を両立させる工夫がSMR普及の鍵になると指摘。「既存技術の活用や設計改善、量産効果などを通じたコスト低減が重要になる」とコメントした。さらに、開発の方向性については、「安全性を前面に打ち出す設計」と「構造を簡素化してコスト低減を狙う設計」という2つの流れがあると説明した。SMRの開発計画は2025年時点で100件超に増加しているものの、現在、多くは初期検討段階にとどまっていることを踏まえ、新たな産業としてはまだ立ち上がり段階にあるとも指摘する一方、中国やロシアでは実証段階に近い案件が多く、米国では設計の検討が活発化しているなど、各国の開発状況に違いがある現状を説明した。将来展望については、日本のように既に送電網が整備された国の大型原子力サイトにおいては、SMRの優位性が限定的になる可能性があるとも指摘した。その一方で、大型炉では電力供給が過剰となる地域や途上国、工場における熱・電力・水素の複合利用、データセンター用途などではSMRの適性が高いと述べた。特にAI向けデータセンターについては、都市近郊に立地する必要がなく、送電制約も踏まえれば、SMRを設置して直接電力を供給する形は合理的だとの見方を示した。その一方で、原子力安全に対する社会的な懸念や核セキュリティ対策が大きな課題であるとも指摘。そのうえで、成功事例が生まれれば、そこから普及が広がる可能性は十分にあるとの見通しを示した。さらに、SMRや原子力への社会的理解を広げるためには、「安全性の強調だけでは不十分だ」と述べ、エネルギー安全保障や脱炭素、コストといった観点を総合的に示し、日本にとって原子力が果たす役割を丁寧に説明する必要があるとした。原子力によって一定の電力供給を確保できれば、エネルギー自給率の低さに起因する非常時においても、医療や決済インフラなど社会の基盤機能を維持できる可能性があるとして、こうした現実的な視点に基づく議論の重要性を強調した。
20 Jan 2026
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中国電力は1月15日、「第40回自治体説明会」を開催し、島根原子力発電所2号機(BWR、82.0万kWe)でのMOX利用計画について、島根県や松江市、出雲市、安来市、雲南市、鳥取県、米子市、境港市など関係自治体の執行部に対し、計画内容を説明した。MOX燃料の利用は、限られた資源を有効活用する手段の一つであるだけでなく、「使用目的のない余剰プルトニウムを保有しない」とする国際公約を履行する上でも重要である。これまでに国内外でのべ7,000体以上での使用実績があり、運用経験が蓄積されている点も導入を後押しする要因となっている。中国電力は島根2号機において、定期的な燃料交換時に使用済みとなったウラン燃料の一部をMOX燃料に置き換え、ウラン燃料と併用して運転する計画を進めている。装荷するMOX燃料は、同号機の全燃料560体のうち最大228体以下とする。MOX燃料は、日本国内向けに製造・管理されていたものを調達する方針で、新規製造に比べ早期の確保が可能となるほか、国内に保有するプルトニウムの有効利用にもつながるとしている。対象燃料はフランスのオラノ社で製造され、当初は中部電力浜岡原子力発電所向けに準備されていたものを転用するという。同社はすでに2008年に原子炉設置変更許可を取得しており、今後は設計・工事計画認可や保安規定変更認可の申請を行い、国の審査を受ける予定だ。なお同日の説明会では、稼働を目指す島根原子力発電所3号機(ABWR、137.3万kWe)の新規制基準適合性(設置変更許可申請)に係る審査状況についても、併せて説明が行われた。
16 Jan 2026
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関西電力は1月9日、大飯発電所3、4号機(PWR、118万kWe×2基)における樹脂処理設備の設置と、高浜発電所3、4号機(PWR、87万kWe×2基)での高燃焼度燃料の使用計画について、原子力規制委員会に原子炉設置変更の許可申請を行ったと発表した。本計画をめぐり同社は2025年11月18日、福井県、おおい町および高浜町に対し、「原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書」に基づく事前了解願いを提出。その後、原子炉設置変更許可申請の手続きについて、関係自治体から了承を得ていた。樹脂処理設備は、一次冷却材などの浄化に使用されたイオン交換樹脂を処理する装置で、樹脂に吸着した放射性物質を適切に処理・管理することを目的としている。一次冷却材系統などの脱塩塔で使用されるイオン交換樹脂は、使用に伴い性能が低下するため定期的に取り替えられ、取り替え後は使用済み樹脂貯蔵タンクで保管されている。今回の計画では、タンク内に保管されている使用済み樹脂を計画的に処理することで、発電所構内に保管する放射性廃棄物の量を低減し、管理の安定化を図る。設備は3、4号機共用とし、放水口付近に樹脂処理建屋を新設し、その内部に処理設備を設置する。建屋は鉄筋コンクリート造で、主要寸法は縦約33メートル、横約34メートル、高さ約19メートル。設置工事は2027年度から2035年度にかけて実施し、2036年度の運用開始を予定している。設備構成は、美浜発電所や高浜発電所、大飯1、2号機に設置済みの廃樹脂処理設備と同様の方式とする。一方、同社は高浜発電所3、4号機において、燃料利用の高度化を目的に高燃焼度燃料の使用を計画している。高燃焼度燃料は、核分裂を起こしやすいウランの割合を高めることで、燃料をより長期間使用できるようにした燃料で、燃料の使用期間が延びることで燃料交換頻度が低下し、使用済み燃料の発生量抑制が期待される(事業者および申請書上の表記は「使用済燃料」)。具体的には、これまで使用してきた最高燃焼度4万8,000MWd/tの燃料(高燃焼度化ステップ1)から、最高燃焼度5万5,000MWd/tまで使用可能な高燃焼度燃料(高燃焼度化ステップ2)へと切り替える。高浜発電所では、現行燃料を1990年から使用してきた。同社によると、高燃焼度燃料の装荷時期は、3号機が2030年度ごろの定期検査以降、4号機が2031年度ごろの定期検査以降を予定しており、取替燃料として順次使用を開始する。
15 Jan 2026
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柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に向けた議論が進む中、新潟県は12月24日、原子力災害時の避難路整備の進捗状況を紹介する専用ページを新たに開設した。この避難路は、原子力災害時の住民避難の実効性を高めるため、原子力発電所の周辺からUPZ(緊急防護措置準備区域)圏外へ円滑に避難することを目的としている。原子力発電所を中心として6方向へ放射状に延びる経路の整備を進める予定だ。県が主導して行う整備は、地震や豪雨、豪雪などが同時に起こる複合災害を想定し、未改良区間の道路改良や橋梁の耐震補強、土砂災害警戒区域における法面対策などを進め、自然災害時でも通行可能な状態を維持する。加えて、冬期の避難を想定し、拡幅用除雪車両の増強や消融雪施設、監視カメラの設置などを通じて除雪体制を強化する。未改良区間の道路改良について県は、平常時の交通に大きな支障はないものの、6方向へ放射状に延びる幹線道路には、路肩の狭さや線形不良、山間部を中心とした2車線未確保区間など、避難時の大量通行を想定した場合に課題となる区間が存在するため、道路改良を進めるという。また、橋梁の耐震基準についても基本的な対策は完了しているが、さらなる大規模地震に備えた高度な耐震補強を行う予定だ。そして、豪雪時のスタック(自動車のタイヤが雪道にはまり動けなくなる状況)発生による渋滞を防ぐため、発生リスクの高い区間に消融雪施設を設置し、路面や通行状況を把握する監視カメラを導入する。また、国道252号、291号、352号、353号では、拡幅区間に対応した除雪車両の増強など除雪体制を強化し、冬期の安定した道路交通の確保を進める。あわせて、避難時間の短縮と円滑な移動を図るため、高速道路の活用も重視し、新たにインターチェンジや緊急進入路の整備を検討し、広域避難に対応できる交通ネットワークの構築を目指す。これらは柏崎市が実施する。さらに、柏崎市街地における避難時の交通集中を緩和する観点から、国が主導し国道8号バイパスの整備を進め、市街地を通過せずに避難できるルートの確保を図るという。新潟県では、こうした整備を着実に進めるため2025年12月24日現在、内閣府の「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」を活用し、現地踏査や各種調査を通じて対策内容を検討する業務を、県内69か所で実施している。
14 Jan 2026
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岩手県一関市は1月8日、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の影響を低減するための除染作業で発生した、除去土壌(以下:除染土)の埋め立て処分工事を開始した。除染土の埋め立ては、岩手県内で初の事例となる。一関市ではこれまで、公園、スポーツ施設、教育施設など公共施設366か所の敷地内に除染土を埋設保管してきた。しかし2025年3月、国が「福島県外における除去土壌の埋立処分に係るガイドライン」を策定したことを受け、同市は同ガイドラインに基づき、除染土を恒久的に埋め立て処分する方針を決定。昨年12月には、市のウェブサイトで工事の実施概要を公表していた。今回の埋め立て処分では、市内の花泉運動公園多目的競技場と室根支所資材置場の2か所を処分場所に指定。工期は2026年3月まで、事業費は544万円(2025年度)とされている。来年度以降は、教育施設など子どもが日常的に利用する施設から優先的に、除染土の移動と処分を進める方針だ。除染土をめぐっては、2025年7月、福島県の大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で保管されていた除染土が、首相官邸の前庭や霞が関の省庁敷地内の花壇などで再利用され、社会的な関心を集めた経緯がある。国が定めた同ガイドラインでは、福島県外で発生した放射性セシウム濃度が比較的低い除染土については、地下水汚染防止の観点から、容器への封入や遮水工といった特別な対策は原則不要とされている。一方で、埋め立て作業中の粉塵の飛散や流出を防ぐため、散水やシート養生などの抑制措置を講じることが求められるほか、悪臭、騒音、振動によって周辺の生活環境に影響が生じないよう配慮することも規定されている。また、埋め立て場所には囲いを設け、除染土の埋め立て場所であることを明示する表示を行う必要がある。作業終了後は、開口部をおおむね30センチ以上の土壌などで覆って閉鎖するとともに、敷地境界で空間線量率を定期的に測定し、除染土の量や放射能濃度などの記録を作成・保存することが義務付けられている。
13 Jan 2026
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