
国内NEWS
24 Dec 2025
843

柏崎刈羽6号機 来月にも再稼働
国内NEWS
24 Dec 2025
392

東京電力 「原子力災害対策充実に向けた考え方」に基づく取り組みを公表
海外NEWS
24 Dec 2025
408

スウェーデン 新規建設の資金調達を初申請
海外NEWS
24 Dec 2025
372

ウレンコUSA LEU+を初生産
海外NEWS
24 Dec 2025
317

台湾 米ホルテック製乾式貯蔵施設を設置へ
国内NEWS
24 Dec 2025
374

ムロオシステムズ カザフ国立原子力センターと協力枠組み
海外NEWS
24 Dec 2025
298

ノルウェー 放射性廃棄物施設で22自治体に関心の有無を確認
国内NEWS
23 Dec 2025
453

新潟県議会 花角知事の信任決議を可決 再稼働関連の補正予算も成立

スウェーデンの新規原子力発電プロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」は12月23日、ヴェーロー半島における小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトに係る資金調達とリスク分担に関する申請書をスウェーデン政府に提出した。これは、同国で今年施行された新制度に基づく初の申請となる。ビデバーグ・クラフト社は、スウェーデン国営電力会社バッテンフォールが、国家補助申請のために今年4月に設立したプロジェクト会社で、ヴェーロー半島での新規炉の開発・所有を目的とする。スウェーデン議会(リクスダーゲン)は今年5月、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案「新規原子力発電プラント建設の資金調達とリスク分担に関する法案」を採択した。本制度は、低利な政府融資の利用により、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減を目的としている。新法は今年8月1日に施行されており、ビデバーグ・クラフト社による今回の申請が制度運用の第一号案件となる。なおバッテンフォールは11月に、同国の産業コンソーシアムであるインダストリクラフト(Industrikraft)と、自社が運転するリングハルス原子力発電所での新規原子力発電プラント増設に向け、共同投資および協力を行うことで合意。インダストリクラフトを構成する国内主要企業17社のうち9社が、ビデバーグ・クラフト社の株式20%を保有する契約をバッテンフォールと締結している。バッテンフォールは、リングハルス3-4号機(PWR、各110万kWe級)に隣接して建設を計画しているSMRについて、供給候補4社から米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と英ロールス・ロイスSMR社の2社に最終候補を絞りこんでいる。ビデバーグ・クラフト社はGVH社製であれば5基、ロールス・ロイスSMR社製であれば3基の、合計出力約150万kWeを建設予定である。現在、両社について集中的な評価を実施中であり、最終的なサプライヤーの決定は2026年に予定しているという。プロジェクトに適用される条件に関する交渉は、スウェーデン政府が申請を受理後に開始される。政府とビデバーグ・クラフト社間で合意に達した場合、政府は欧州委員会に国家補助の承認を申請することとなる。
24 Dec 2025
408

ウレンコUSA社は12月11日、ニューメキシコ州ユーニスにある同社濃縮プラントで、濃縮度8.5%のU-235を初生産した。米国の商用ウラン濃縮施設でこの濃縮度の生産は初めて。U-235を5~10%に濃縮した低濃縮ウランプラス(LEU+)の生産能力を実証したもので、2026年半ばに顧客向けの商業生産を開始する予定だ。ウレンコUSA社は2025年9月、ユーニス濃縮プラントのすべての遠心分離機でU-235濃縮度最大10%以下のウランを生産する認可を米原子力規制委員会(NRC)から取得した。これにより、米国で初めて商業用のLEU+を生産可能な施設となった。LEU+は、既存の軽水炉フリートにおいてより長い運転サイクルを可能にし、運転・保守コストの低減や、事故耐性燃料(ATF)などの新型燃料設計の展開を後押しするとされる。また、小型炉向けの先進燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の原料としても活用可能で、将来的なHALEU生産への布石となる点も注目される。同社は2024年10月、2027年までに生産能力を約15%増の約700tSWU/年の拡張プロジェクトを発表。その一環として、2025年中に新型遠心分離機カスケード3基を追加設置。このうち3基目となるカスケードが12月16日にLEUの生産を開始した。各カスケードとも予定より早く稼働を開始。米国市場で拡大する需要に対応するとともに、ロシアからの濃縮ウラン輸入への依存を排除する米政府の取組みを支援する。ウレンコUSA社は、2010年に操業開始した米国唯一の商業規模の濃縮ウラン製造企業。米国の商用原子力発電所の濃縮需要の約1/3を供給している。
24 Dec 2025
372

米国のバックエンド大手ホルテック・インターナショナル社は12月8日、台湾で閉鎖済みの金山(Chinshan)および國聖(Kuosheng)両原子力発電所(いずれもBWR)において、屋内型の乾式使用済み燃料貯蔵施設を設置するためのターンキー供給契約を、厳格な入札プロセスを経て、台湾電力(TPC)と締結したと発表した。ホルテック社は、本プロジェクトをアジア太平洋地域における最も重要な使用済み燃料貯蔵関連の調達案件の一つと位置づけている。同社は35年以上前にも両発電所での湿式貯蔵プロジェクトでTPCと協力した実績がある。今回の契約下でホルテック社は、150体以上の多目的キャニスター型の乾式貯蔵システムおよび関連機器を供給するほか、両発電所サイトで屋内型の乾燥貯蔵施設の設計、設置、試運転サービスを提供する。これらの施設は、台湾の環境および原子力規制当局によって認可を受ける予定。採用される乾式貯蔵システムは米国における適合証明(Certificate of Compliance)に基づき、ブラジル、メキシコ、スロベニア、スペインなど複数の規制当局によって既に認可・運用実績があるという。なお、ホルテック社は台湾のエンジニアリングおよび建設会社と協力するほか、現地に地域オペレーションセンターとして機能する、ホルテック台湾を設立する。金山発電所と國聖発電所は、いずれも台湾北部に立地するBWR。与党・民進党政権の掲げる「2025年の脱原子力国家(非核家園:原子力発電のないふるさと)の実現」政策により、金山1、2号機はそれぞれ2018年12月、2019年7月に閉鎖。國聖1、2号機は2021年12月、2023年3月に閉鎖された。なお台湾電力は、國聖発電所は運転再開の可能性があると評価しており、運転再開の計画を2026年3月に、核能安全委員会(原子力安全委員会)に提出する予定。
24 Dec 2025
317

ノルウェー原子力廃止措置局(NND)は12月10日、放射性廃棄物貯蔵施設の立地決定プロセスへの参加について、国内22自治体に対し関心の有無を確認する書簡を送付した。現時点で特定の候補地を決定するものではなく、「放射性廃棄物施設の立地に関するさらなる調査、対話、計画プロセスへの参加に関心があるかどうか」を把握することを目的としている。ノルウェーは原子力発電所を保有していないが、過去に研究炉を運転していた。ハルデン市のエネルギー技術研究所(IFE)のハルデン炉(BWR、2.5万kWt)は2018年6月、オスロ近郊リレストロム市のシェラー地区にある研究炉「JEEP-II」は2019年4月に閉鎖されており、これらに伴い発生した放射性廃棄物の管理・処分が課題となっている。NNDは、低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、使用済み燃料の貯蔵施設、廃棄物を選別・処理・加工する施設、さらに地層処分を含む最終処分場など、複数の施設整備を計画している。今回対象となった22自治体は、地質の安定性、自然災害のリスク、交通アクセス、事業実現性などを含む18の評価基準に基づき選定された評価適地。ハルデン市やリレストロムも含まれている。立地選定プロセスは、①施設と評価基準の定義②適地の特定③詳細調査による特性評価④立地の推奨―の4段階で構成されており、現在は第2段階に位置づけられている。今回の要請に対し、参加を希望しない自治体は特段の対応行う必要はなく、NNDが返答を受け取らなかった自治体は、受け入れ検討を希望していないものと見なされる。一方、参加を表明した自治体については、今後さらに調査や対話が進められる。NNDのコミュニケーション担当ディレクター、M. アンドレアッソン氏は、「これは自治体に対し、具体的な場所や施設について最終的な『是非』を問うものではない。将来のプロセスに参加する意思があるかを確認するためのものだ」と説明している。ノルウェーでは近年、原子力の導入に向けた議論が進展している。2024年6月には将来的な原子力発電導入の可能性について幅広く検討・評価する政府委員会を設置。さらに2025年4月には、国内企業が提案した小型モジュール炉(SMR)導入計画について、建設の可否の前提となる環境影響評価(EIA)プログラムの策定を関係機関に委託するなど、制度面の整備が進められている。
24 Dec 2025
298

米ニューヨーク州は12月16日、最新の州エネルギー計画を公表した。計画は、州のエネルギー関連の指針と位置づけられ、現行のエネルギーシステムと2040年までの将来のエネルギー需要に関する評価結果に基づく提言を盛り込んでいる。電力供給において原子力が重要な役割を果たすとの認識を明確にし、脱炭素目標の達成や安定した電力供給、電力料金の抑制を両立するためには、再生可能エネルギーだけでなく、原子力を含む多様な電源構成が不可欠としている。同計画は、州が策定し、実行主体としてニューヨーク州電力公社(NYPA)が中心的な役割を担う。電力需要の増加が見込まれる中で「手頃で、信頼性が高く、クリーンな電力供給」の確保を目的とする。既存の原子力発電所については、長年にわたりゼロエミッション電源として州の電力供給を支えてきたと評価し、今後の継続運転を支援する政策の重要性を指摘した。さらに、「責任ある先進原子力開発のためのマスタープラン」の下、公的主体であるNYPAが新たな原子力発電所について、技術、立地、財務の観点から評価を進めることも盛り込んでいる。州はゼロエミッション達成目標を2040年と定めており、原子力の長いリードタイムを踏まえ、早期着手が不可欠としている。こうした方針の具体策として、ニューヨーク州のK.ホークル知事は12月9日、原子力インフラの残る同州北部で先進原子力を支える人材育成を進めるため、NYPAが今後4年間で総額4,000万ドル(約60億円)の資金を投入すると発表した。これは同日、NYPA理事会により承認されている。知事は今年6月、電力需要の増加を背景に、州北部で少なくとも合計100万kW以上の先進炉を導入する目標を示しており、資金投入はこの取り組みをさらに前進させる。NYPAは来年以降、工業高校やコミュニティカレッジ、大学、労働組合などと連携し、原子力技術に関する講座や見習い制度を通じて、先進原子力分野に就業する労働者の育成を進める。NYPAのJ.E. ドリスコルCEOは、「州のクリーンエネルギーへの移行は、地域住民の雇用が伴わなければ成功しない。これまで再生可能エネルギー分野を支えるために年最大2,500万ドル(約38億円)を投資してきた実績を基に、先進原子力を支える人材の育成を進めていく」とコメントしている。
23 Dec 2025
440

韓国のサムスン重工業(SHI)は12月15日、米国船級協会(ABS)から小型モジュール炉(SMR)「SMART100」を2基搭載した浮体式原子力発電プラットフォーム(Floating SMR: FSMR)の基本設計承認(AiP)を取得したと発表した。SMART100は韓国原子力研究院(KAERI)、韓国水力・原子力(KHNP)、サウジアラビアのアブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市公団 (K.A.CARE)が共同開発する小型モジュール炉(SMR)の一体型PWR。2024年9月に韓国原子力安全委員会(NSSC)から標準設計承認(SDA)を取得した。AiPは、新造船の設計や技術を審査し、国際規制や安全基準に適合すると評価するプロセスであり、実際の船舶開発の第一歩。ABSは船舶の安全基準を制定し、技術的妥当性を認証する国際的な船級機関である。今年9月にはサムスン重工業とKAERIが共同で開発した熔融塩炉(MSR)を搭載したLNG運搬船がABSからAiPを取得している。SMART100は一体型PWRであり、2012年にSDAを取得したSMART(System-integrated Modular Advanced Reactor)の出力を増強(熱出力33万kW→36.5万kW、電気出力10万kW→11万kW)した改良版。SHIが開発するFSMRは、原子炉と発電設備の配置に区画設計方式を適用したのが特徴で、SMRが配置された区画だけ設計を変更することで、多様な種類のSMRの搭載が可能。KAERIはSMART100を陸上用途から洋上用途へ転用した。
23 Dec 2025
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欧州委員会(EC)は12月9日、ポーランド初の原子力発電所導入プロジェクトへの同国政府による、国家補助を承認した。同プロジェクトの総投資額は名目ベースで約420億ユーロ(約7.8兆円)と見積もられ、ポーランドのエネルギー分野における史上最大の投資案件であると同時に、欧州連合史上最大級の国家補助対象の1つでもある。ポーランド初となる原子力発電所は、同国北部のポモージェ県ホチェボ自治体内のルビアトボ–コパリノ・サイトで、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000(125万kWe)×3基で構成。2030年代後半に運転を開始する予定である。ポーランド政府はECに対し2024年9月に、同プロジェクトの建設および運転の実施主体となる国有特別目的会社(SPV)のPEJを支援する計画を通知。ECは同年12月に正式な調査を開始した。EUでは加盟国による特定の企業に対する国家補助は域内競争を不当に歪める可能性があるとして原則禁止されており、一定の条件を満たす場合にのみ、ECの承認を受けた上で例外的に認められている。ECは12か月足らずで国家補助を承認したが、ポーランド政府とECの迅速で建設的な協力の結果、これまでの同様の調査と比べてほぼ半分の期間であるという。なお、プロジェクト支援メカニズムは、主に以下の3つから構成される。プロジェクト費用の約30%をカバーする国による投資家(ポーランド原子力発電会社: PEJ)への資本出資国による融資保証(保証料は無料、債務融資の100%をカバー)発電所稼働段階における差金決済契約(CfD)ポーランド政府はECの懸念に応え、国内市場での競争を過度に歪めないようにCfDの条件を調整。契約期間を発電所の運転予定期間の60年から借金返済期間の40年に短縮し、電力購入契約(PPA)や相対による長期売電契約(フォワード取引)の取引価格をすべてCfDの精算対象に含めることで、過剰補助を防ぐこととした。また経済的・技術的に合理性があれば、柔軟な出力調整運転を行うこととし、発電量の最大30%はPPAオークションで、残り70%を取引所(電力市場)で販売し、透明性を確保する。なお、ECが検証した財務モデルは、ストライクプライス(権利行使価格)が1MWhあたり500ズロチ(約22,000円)以下と仮定している。今回のECの承認を受け、今後は国の予算からPEJへの資金移転、米WE社とベクテル社のコンソーシアムとの建設契約の締結が行われる。
23 Dec 2025
469

フランス電力(EDF)は12月18日、パンリー、グラブリーヌ、ビュジェイ各原子力発電所に、改良型欧州加圧水型炉(EPR2、165万kWe)を2基ずつ、計6基建設する計画について、費用見積を理事会に提出した。費用見積は合計728億ユーロ(約13.5兆円)で、2026年第1四半期に新原子力発電に関する省庁間代表団(DINN)の監査を受ける予定。理事会は、EPR2建設計画に向け、2026年に27億ユーロ(約5,000億円)の予算を承認した。パンリー発電所におけるEPR2初号機の稼働開始予定は2038年で、後続炉は12か月から18か月の間隔で稼働を開始する見通しだ。2025年3月、フランスのE. マクロン大統領が議長を務める閣僚級の「原子力政策評議会(CPN)」で決定されたとおり、同建設計画は国家による支援措置の対象となる。EDFは2025年11月19日、欧州委員会に対して支援措置の承認を申請しており、2026年末の最終投資決定を目指す。支援措置には以下が含まれる。建設費の少なくとも半分を国が優遇融資で支援差金決済取引(CfD)の実施政府とEDFのリスク分担EDFグループのB. フォンタナ会長兼CEOは、「EPR2建設計画の予算案の策定は、EDF、その子会社、およびすべての産業パートナーが、スケジュールとコストを管理するという決意の表れだ」と述べ、同計画がフランスのエネルギーと産業の主権、そして今後数十年にわたるエネルギー移行へ貢献するだろうとの展望を示した。■フラマンビル3号機が全出力運転を達成フラマンビル3号機(EPR、165万kWe)は12月14日、出力100%に達し、最大電力166.9万kWeを記録した。この100%出力への段階的引き上げは、12月12日に原子力安全・放射線防護局(ASNR)が出力80%超えを承認したことを受けて実施された。同機は2024年12月21日に送電を開始している。初めて出力100%に達したことで、設備のフルパワーでの試験、測定の実施、および全ての機能が正常に動作していることの確認が可能となる。数週間にわたり、起動試験の一環として、さまざまな出力レベルでの試験を続けるとともに、発電所内部の変電設備に対する試験も実施される。
22 Dec 2025
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米サウスカロライナ州営電力のサンティー・クーパー社は12月8日、建設が中断されているバージル・C・サマー原子力発電所2、3号機(ウェスチングハウス<WE>社製AP1000)の売却を視野に、完成に向けた6週間の初期実行可能性調査(F/S)を実施することで、カナダの資産運用会社であるブルックフィールド・アセット・マネジメント社と覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。ブルックフィールド社は、WE社の大口株主。電力需要の急増と州の支援を受けて、サンティー・クーパー社は今年1月、V. C. サマー発電所2基の買収と完成に関する提案募集を実施すると発表。10月には、ブルックフィールド社との独占交渉に関する意向表明書(LOI)を締結した。サンティー・クーパー社は現時点で、両社が最終投資決定(FID)を下し、両機の完成が約束されれば、27億ドルの現金を受領するとともに、営業運転開始後に最大25%の所有権取得を目指し、それに比例した設備容量も確保するとしている。但し、最終的な所有比率は両機の完成に要する最終コストに応じて調整される可能性がある。同社のJ. ステイトンCEOは「顧客が負担してきた負債を大幅に減らす現金支払いを含む強力な取引交渉を実施し、これら2基から追加の資本コストなしで将来的に電力供給を受けることができる」と述べた。建設時のコスト超過に起因する負債は顧客が負担しており、「今年1月に開始したこのプロセスにおいて、顧客の救済は2つの最重要目標のうちの1つ」と説明。さらに同氏は、もう1つの最重要目標としてサウスカロライナ州への貢献を挙げ、「200万kWe以上の信頼性の高い排出ゼロの電力を生み出すだけでなく、サウスカロライナ州は米国の原子力ルネサンスの最前線に立つことになる」と今回のMOU締結の意義を強調した。MOUでは、ブルックフィールド社が初期のプロジェクト実行可能性を決定する期限を2026年6月26日と定めており、FIDまでに約18〜24か月を要すると見込まれている。ブルックフィールド社は同日までにサウスカロライナ州の企業や労働力の活用、教育機関との連携、労働力開発への投資、地域社会と利害関係者との関わりを考慮した経済開発計画の草案を作成する予定。サンティー・クーパー社は同社と協力し、F/S評価に必要な作業のほか、FID達成に必要な詳細な建設計画・分析を進めるとしている。WE社は12月9日、V. C. サマー発電所でのAP1000×2基完成による経済的影響に関して、コンサルティングファームの英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による調査結果を発表した。同調査によると、両機の7年間の建設段階でサウスカロライナ州に73億ドル以上の国内総生産(GDP)をもたらし、年間7,300もの高レベルな雇用を生み出すとしている。両機が稼働を開始すれば、年間16億ドルのGDPと、運転期間80年間で4世代にわたり2,700以上の雇用を支えると見込む。
22 Dec 2025
497

フィンランドの小型モジュール炉(SMR)開発企業、ステディー・エナジー(Steady Energy)社と、韓国最大の地域熱供給会社である韓国地域暖房公社は12月5日、熱供給専用のSMR分野での協定を締結したと発表した。今回の協力を通じ、石炭やガスの燃焼に依存しない原子力由来の熱供給技術について検討を進める。ステディー社は、熱供給専用SMR「LDR-50(出力5万kWt」」を開発中。高さは約10メートルの地下建設型で、都市部の既存施設への導入を想定している。一方、韓国地域暖房公社は、韓国国内で約190万世帯に暖房用の熱を供給しており、都市部の脱炭素化に向けた新たな熱源の導入を模索している。人口密集地域での安定的な熱供給が課題となる中、原子力を活用した熱供給への関心が高まっている。ステディー社のT. ナイマンCEOは、「人口1,000万人を超えるソウルでは、ヘルシンキにおけるSMR導入の進捗に注目が集まっている」と述べた。また、都市部では規模の制約により大型の熱供給プラントの立地が難しく、脱炭素化の障壁となっているとの認識を示した上で「特に設備を地下に建設する点が注目されており、密集した都市部でもクリーンな熱を供給できる」と、同社技術の利点を強調した。同社はすでにフィンランド国内で15基分の契約を締結しており、設計はフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)の評価を受けている。商業炉については2028年までに建設準備段階に到達することを目指す。これに先立ち、ヘルシンキ市中心部の旧サルミサーリ石炭火力発電所跡地に実証用のパイロットプラントを建設する計画も進め、今年7月には同プラント向けに3,200万ユーロ(約50億円)を調達したと発表している。
22 Dec 2025
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インド国会の冬季会期中の12月17日、「インドの変革にむけた原子力の持続可能な利用と発展に関する法案」(Sustainable Harnessing and Advancement of Nuclear Energy for Transforming India: SHANTI)が国会(下院)で可決された。インド政府で原子力や科学技術を担当するJ. シン閣外専管大臣が12月15日に提出した。同法案は、1962年原子力法と2010年原子力損害民事責任法(CLNDA)を廃止し、原子力部門に対する民間参加への開放を含む、原子力の安全かつ確実な利用およびそれに関連する強固な規制枠組みの形成を提案するもの。法案は12月12日に閣議決定されており、今後、上院で審議・可決後、大統領の承認により成立する。政府は、エネルギー自立の強化に向けた持続的な研究開発により、国産の重水炉(PHWR)導入や燃料サイクル確立に向けた動きの進展など、責任ある方法で原子力計画を運営することが可能になったと指摘。原子力発電設備容量の大幅強化により、クリーンなエネルギー安全保障を支援し、エネルギー集約産業であるデータセンターなどの新たなニーズに信頼性の高い電力を供給する方針である。法案により、これまで原子力省(DAE)によって厳しく制限された原子力の複数の分野(原子力発電所の建設、所有、運転、廃止措置や、燃料製造、燃料または使用済み燃料の輸送・貯蔵、輸出入、取得・所持、重要鉱物の探査や採掘など)が民間を含む事業体が認可を受けたうえで、開放される見込み。但し、濃縮、再処理や高レベル放射性廃棄物管理を含む、使用済み燃料の取扱い、重水の生産などは政府またはその完全所有機関が原則として専管する仕組みとしている。1962年原子力法は、民間部門による原子力発電参入を禁止しており、原子力省(DAE)傘下のNPCILとバラティヤ・ナビキヤ・ビデュト・ニガム社(BHAVINI、高速炉の建設と運転の事業者)の2つの国営企業に限定。2015年の法改正により、インド国営火力発電会社(NTPC)のような政府系公社がNPCILとの提携が可能になっていたものの、抜本的な原子力部門の開放の必要があった。その背景には、インドの長期的なエネルギーおよび気候目標がある。政府は、2070年ネットゼロに向けて、独立100周年となる2047年までに現状の十倍以上となる、1億kWeの原子力発電設備容量を達成するという目標を掲げている。この目標達成のため、インドを世界の原子力エコシステムへの貢献者として位置付ける一方で、固有の原子力資源をより十分に活用し、官民双方の積極的な参加を可能にする必要性を強調。官民パートナーシップや合弁事業を含む官民双方の参加を促進し、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力発電設備の大規模展開を念頭に置いている。運用レベルでは、同法案は、原子力発電またはその利用に関与する事業体に対する許認可および安全認可に関する規定とともに、停止または取消の明確な根拠を定めている。加えて、医療、食料・農業、産業、研究などの分野における原子力および放射線利用を規制対象とする一方で、研究開発およびイノベーション活動については、許認可要件から除外する方針を示している。同法案はまた、原子力損害に関する現実的かつ実用的な民事責任の枠組みへと見直すとともに、原子力規制委員会(AERB)に法的地位を与え、安全、セキュリティ、保障措置、品質保証、緊急時対応に係る体制を強化。さらに、原子力救済諮問委員会(Atomic Energy Redressal Advisory Council)の設置や重大な原子力損害事案に対応する原子力損害賠償請求委員会(Nuclear Damage Claims Commission)の創設など、新たな制度的枠組みを規定し、これら判断に対する控訴審については、電力上訴審判所(Appellate Tribunal for Electricity)がその役割を担うとしている。また、これまで海外サプライヤーによるインドでの原子力発電所建設の大きな障壁とされてきたCLINDAの供給者責任条項を見直し、保険や政府の補償枠組みを整え、原子炉建設を後押しする方針である。N. モディ首相は11月下旬、原子力分野において民間部門が強力な役割を担う基盤を築く改革を行っていると演説の中で表明。これにより、SMR、先進炉、原子力イノベーションにおける機会を創出し、インドのエネルギー安全保障と技術的リーダーシップをさらに強化するだろうと展望を示した。政府は、法律の改正により、インドのエネルギー移行、技術進歩、国際的義務に沿って、原子力ガバナンスを近代化したい考え。■インドのSMRの建設計画シン大臣は法案提出に先立ち、両院議会への複数の答弁書でSMR建設計画について明らかにしている。政府は、2025年2月に国会承認された2025年度連邦予算(2025年4月~2026年3月)において、SMRの研究開発を推進する「原子力エネルギーミッション」に2,000億ルピー(約3,400億円)を割当て、2033年までに少なくとも国産SMR×5基の運転開始をめざす方針を示した。現在、バーバ原子力研究所(BARC)で、3種類の実証用SMRであるBSMR-200(PWR、20万kWe)、SMR-55(PWR、5.5万kWe)、水素製造用の最大0.5万kWthの高温ガス冷却炉を設計・開発中であり、BSMR-200とSMR-55の先行炉をマハラシュトラ州にあるタラプール原子力発電所サイトに建設、高温ガス冷却炉をアンドラ・プラデシュ州にあるBARCのビザグ・キャンパスに建設を提案しているという。答弁書の中で、SMRは特に、安定的な電力供給が要求される産業の脱炭素化において有望な技術と強調。閉鎖予定の火力発電所のリプレース、エネルギー集約型産業向けの自家発電所や遠隔地でのオフグリッド適用を想定しているとした。なお政府はすでに、22万kW級重水炉(PHWR)の「バーラト小型炉(BSR)」の導入について、民間企業と連携する方針を表明している。これを受け、NPCILは2024年12月、現行法制度の下で提案依頼書(RFP)を発出し、産業向け自家発電用BSRの設置に関心を持つ国内企業に参加を呼びかけている。より多くの企業からの参加を促すため、提出期限が2026年3月31日まで延長された。
19 Dec 2025
641

米国の新興原子力企業ディープ・フィッション(Deep Fission)社は12月4日、同社が開発した小型モジュール炉(SMR)である「Gravity」のサイトとして、カンザス州南東のパーソンズにあるグレートプレーンズ工業団地を選定したと発表した。同炉は地下1マイル(約1.6km)、幅30インチ(約76cm)のボーリング孔に設置するPWR(1.5万kWe)で、今年8月に米エネルギー省(DOE)の原子炉パイロットプログラムの対象に選定された。同プログラム下で試験炉の実証成功後、同サイトで本格的な商業プロジェクトを推進する計画だ。パイロットプログラムはDOE傘下の国立研究所以外の場所でDOEの管理権限の下、原子力法に基づく規制手続きを簡素化し、先進炉設計の試験と研究開発の実施を促進する取組み。ディープ・フィッション社は12月3日、同プログラム下で試験炉の建設と運転を行うため、DOEとその他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)を締結した。DOEの認可を条件に、2026年7月4日(米国独立記念日)までに初号機の建設を完了し、臨界達成を目指している。今回、グレートプレーンズ工業団地のオーナーであるグレートプレーンズ開発公社と同プログラムにおける協力ならびに同サイトでの本格的な商業プロジェクト開発に係る基本合意書を締結。12月9日には起工式が挙行された。サイト面積約60㎢のグレートプレーンズ工業団地は、産業・エネルギー開発向けのエリア。ディープ・フィッション社は、サイト内で事業を拡大し、今後数十年にわたり工業団地にエネルギーを供給する可能性がある。「Gravity」は、原子力、石油・ガス、地熱分野での実証をベースに設計。発生した熱は地下深部にある蒸気発生器に伝わり水を沸騰させ、非放射性の蒸気が急速に地表に上昇、そこで標準的な蒸気タービンを回して発電する。検査が必要と判断された場合、原子炉に取り付けられたケーブルにより、原子炉を地表に持ち上げることが可能。モジュール設計により、出力を最大150万kWeまで拡張可能で、産業現場、データセンター、遠隔送電網、商業ハブ全体を対象に柔軟に展開できるという。また既製部品と低濃縮ウラン(LEU)を利用し、サプライチェーンの合理化を追及。原子炉は地下1マイルに設置され、地下深部の地質が自然封じ込めの役目を果たす立地アプローチにより、安全性とセキュリティを強化、土地の占有面積を最小限に抑え、コストの削減をねらう。同社のコストモデルでは、従来の原子力発電所と比べて全体コストを70~80%削減し、発電コスト(LCOE)は5〜7セント/kWhと推定している。
19 Dec 2025
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東京電力は12月24日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子炉起動予定日を2026年1月20日、営業運転開始予定日を2026年2月26日とした使用前確認変更申請書を原子力規制委員会へ提出した。あわせて、6号機の運転開始に伴い共用設備を使用する必要があるため、7号機(ABWR、135.6万kWe)も使用前確認変更申請を提出したことを公表した。同社では、両機について、原子力規制委員会による使用前確認を受けるため、2024年9月に使用前確認申請書を提出し、同年11月には燃料装荷までの工事工程を反映した変更申請を行った。その後、2025年6月21日に燃料装荷を実施し、燃料装荷後の健全性確認(水とガスの漏洩・制御棒の動作・非常用冷却設備の動作確認)および使用前事業者検査(国の定めた安全基準等を満たしているかを事業者自身が確認する検査)を同年10月28日までに完了。起動に向けた技術的な準備は整っていた。その後12月22日に、新潟県議会が柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の再稼働容認を表明した花角英世知事を信任する決議案を可決。翌23日、花角知事が赤澤経済産業大臣に再稼働の地元同意を正式に伝達し、再稼働に向けた議論は最終段階に入った。今後、原子力規制委員会から試験使用の承認が得られ次第、同社では、原子炉起動後の使用前事業者検査を含む設備の健全性確認を進めるという。原子炉起動から営業運転開始までの主な工程は以下の通り。まず、2026年1月20日を予定日として原子炉を起動。制御棒を引き抜き、原子炉内で核分裂反応を開始した後、原子炉の出力を徐々に上昇させる。この過程で、原子炉冷却系や制御系などが設計どおり機能しているかを確認する。次に、原子炉で発生した熱を用いてタービンを起動し、その後、発電機出力をおよそ50%まで段階的に引き上げる。この時点で一度中間停止を行い、主要機器の設備状態を詳細に点検する。中間停止後は、再び原子炉を起動し、同様に出力を上昇させ、タービンを再起動したうえで発電機出力を高め、最終的に原子炉の定格熱出力を約100%まで到達させる。定格出力に達した後は、総合負荷性能検査を実施。これらの工程を経て、2026年2月26日に営業運転を開始する予定としている。同社は、「引き続き安全を最優先に、原子力規制委員会の検査に真摯に対応しながら、各工程を着実に進めていく」とコメントしている。
24 Dec 2025
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東京電力は12月19日、「原子力災害対策充実に向けた考え方」に係る同社の取り組みについて、最新の進捗を反映した内容を公表した。これは、2016年に経済産業大臣から要請を受けた「原子力安全対策および原子力災害対策に関する取り組み」を整理したもので、前回公表(2024年12月20日)以降の進捗を反映し、現在の状況を取りまとめたものである。今回は、福島第一原子力発電所の廃炉や福島第二原子力発電所の廃止措置の進展、柏崎刈羽地域における緊急時対応の見直し、福島県内のヘリポート設定の追加など、原子力災害対策の実効性の向上に向けた内容が盛り込まれた。第1章では、事故収束活動の体制や各原子力発電所の現状、安全対策の状況を整理し、第2章では、原子力災害発生時における事業者の役割や支援体制に加え、福島第一原子力発電所事故の責任を踏まえた賠償、復興推進に関する取り組みを示した。主な変更点は以下の通り(一部抜粋)①福島県内ヘリポートの設定を追加②福島第一の廃炉作業の進捗を踏まえ更新③福島第二の廃止措置計画の進捗を踏まえ更新④協力企業と連携した輸送訓練を追加⑤柏崎刈羽地域の緊急時対応取りまとめを踏まえ更新⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化を追加⑦2025年度新潟県および福島県の原子力防災訓練の反映変更点の概要は以下の通り①福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の2か所をヘリポートの拠点として設定。さらに、協力企業と連携し、楢葉ヘリポートおよび平ヘリポートの計2か所の運用を始めている。②2024年度には、汚染水対策で発生量を1日約80~90㎥まで抑制し、2025年目標を前倒しで達成。燃料デブリについては、2024年の9月に2号機で試験的取り出しを開始し、11月には採取に成功した。今回公表された資料には、改訂のポイントとして、これら2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業の内容の反映のほか、原子炉格納容器内部の調査作業の具体的化が盛り込まれた。③44年にわたる廃止措置計画のうち、現在は第1段階(解体工事準備期間)にあり、管理区域外設備の解体や管理区域内の調査を進めている。今後は、これらの成果を踏まえ、第2段階への移行を目指す。④協力企業と連携し、事故収束活動に必要な資機材の輸送訓練を継続的に実施。従来のトラックによる陸上輸送に加え、資機材をより迅速に現地へ搬送するため、ヘリコプターを活用した航空輸送訓練も実施し、対応力の強化を図る。⑤柏崎刈羽地域では、要配慮者の避難を支援するため、同社から福祉車両や要員を提供する。具体的には、要配慮者を搬送可能な福祉車両31台を配備するとともに、各車両に運転手と補助員を配置し、計62名を派遣する体制を整備。また、空間放射線量率が高い区域から住民が避難する際には、検査・除染要員を派遣し、車両や住民への放射性物質の付着の有無を確認する。付着が認められた場合には除染を実施し、その際に発生する汚染水や汚染付着物についても、同社が責任を持って処理する。⑥新潟県内の避難計画の実効性向上に資する取組強化に向けて、同社が除排雪体制の強化や屋内退避施設の環境整備に協力。具体的には、除雪車両の増強、消融雪施設の設置、監視カメラの設置、指定避難所の空調設置や断熱性向上を図るという。⑦2025年10月・11月に、新潟県にて災害対策本部の運営訓練をはじめ、福祉車両を用いた要配慮者の搬送、PAZ内住民の避難訓練やUPZ内住民の一時移転訓練などを実施した。また、柏崎市、燕市、見附市では、放射線に関する講座や避難退域時検査のデモンストレーション体験など、自治体ごとの個別訓練にも参加。2025年11月、福島県にて災害対策本部運営訓練や避難退域時検査訓練に加え、医療中継拠点の設置・運営訓練、甲状腺被ばく線量モニタリング、安定ヨウ素剤の配布訓練などに参加したことが追記された。
24 Dec 2025
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ムロオシステムズ(東京都中央区)は12月19日、カザフスタン国立原子力センター(NNC)と、使用済み燃料および放射性廃棄物管理分野での協力枠組みに関する覚書(MOU)を締結した。MOUは、12月19日から2日間にわたって開催された「中央アジア+日本」対話・首脳会合に合わせ締結された。NNCは、カザフスタンにおける原子力利用に関する研究や人材育成を担っており、今回のMOUでは、廃棄物の管理手法や関連施設の運用などに関する情報交換や技術協力を盛り込んだ。主に放射性廃棄物処理センターの運営や廃止措置に関するノウハウ提供などを想定している。技術的な実施や専門的支援については、ムロオシステムズの完全子会社であるNUKEM社が担う。ムロオシステムズは昨年10月、NUKEM社を買収。NUKEM社は、放射性廃棄物管理や使用済み燃料対策、廃止措置などを手がけ、ドイツで初めて商業用原子力発電所の廃止措置を成功させた実績を有する。ムロオシステムズがデータセンター事業などを展開する中で、安定かつ安価な電力供給が可能な原子力に関心を持ち、原子力分野への進出を決断したという。カザフスタンでは将来的な原子力利用をめぐる検討が進んでおり、旧ソ連からの独立後初となる原子力発電所の建設計画も進められている。ムロオシステムズの潘忠信社長は、「カザフスタンは世界最大級のウラン産出国であり、日本も多くのウラン資源を輸入している。同国に原子力発電やバックエンド分野が整えば、一国で完結した燃料サイクルを構築できる可能性があり、周辺国を含めた原子力エネルギーのハブとしての役割も期待できる」との認識を示した。このほかムロオシステムズは同日、ウズベキスタン原子力規制庁(Uzatom)および同国デジタル技術省ともMOUを締結した。原子力安全や規制対応などに対する技術的助言やエンジニアリング、コンサルティングを協力内容とし、小型モジュール炉(SMR)の電力を活用したデータセンター構想についても検討対象としている。原子力分野とITを組み合わせた国際展開を通じ、同社は中央アジア地域での存在感を強めたい考えだ。
24 Dec 2025
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新潟県議会は12月22日、柏崎刈羽原子力発電所6・7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働容認を表明した花角英世知事を信任する決議案を可決した。これに先立つ、19日の同議会常任委員会では、同6号機の再稼働に関する補正予算案が賛成多数で可決されている。花角知事は11月21日、同発電所6、7号機の再稼働に関する国からの理解要請について、「国の対応を確認した上で、新潟県として了解する」と表明。その上で、自身の判断は県政への信頼に基づくべきだとして、県議会に対し職務継続への信任を求める考えを示していた。「自身の職務継続について、県議会の信任を得られるか、あるいは不信任とされるのか、判断を仰ぎたい」と述べ、県議会へ知事職継続への信任を求める意向を示していた。花角知事は、容認判断の理由として、同6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格し安全性が確認されていること等を挙げ、「リスクを完全にゼロにはできないが、ただ漠然とした不安や合理性のない理由で再稼働を止めることはできないと考えていた」と説明していた。また、赤澤亮生経済産業大臣は12月19日、閣議後の記者会見にて「同発電所の再稼働は、東日本における電力供給の脆弱性の解消、電気料金の抑制、脱炭素電源の確保といった観点から、国のエネルギー政策上、極めて重要である」とコメント。政府として、原子力防災の充実・強化や東京電力のガバナンス強化、地域の実情や要望を踏まえた地域振興策について、丁寧な説明を重ねながら、再稼働に対する理解が進むよう取組みを具体化していく考えを示した。
23 Dec 2025
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国際原子力機関(IAEA)によるALPS処理水海洋放出の安全性を検証するレビューミッションが、12月15日から19日にかけて実施された。今回のレビューミッションは、海洋放出開始後5回目。IAEAのグスタヴォ・カルーソ原子力安全・核セキュリティ局調整官ら6名のスタッフと、専門家9名(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、米国、ベトナム、ロシア:以下IAEAタスクフォース)が来日。IAEAによると、これまで公表してきた過去4回の報告書と同様に、一連の対応は国際的な安全基準に沿っており、問題は見つからなかったと結論付けた。なお、同レビューミッションは、2021年7月に日本政府とIAEAの間で署名された「ALPS処理水の取扱いに関する安全面のレビュー付託事項(TOR)」に基づき行われている。12月17日にはIAEAタスクフォースが福島第一原子力発電所訪問し、東京電力から最新の状況について説明を受けた。現地では、ALPS処理水移送建屋や放水立坑をはじめとする海洋放出関連設備のほか、2025年度中に解体開始が予定されるJ8エリアのタンクや、すでに解体が完了しているJ9エリアの確認が行われた。さらに、IAEAタスクフォースは、ALPS処理水の測定や分析を担う化学分析棟およびIAEA福島ALPSラボラトリーを訪れ、分析体制や運用状況を確認したという。12月18日および19日には、経済産業省と東京電力がIAEAタスクフォースに対し、ここ1年のALPS処理水の放出実績や、海洋放出開始以降に実施してきた海域モニタリングの結果を説明。また、あわせて、IAEAの国際安全基準に基づく放出開始後の取組み状況に関する報告がなされ、これらを踏まえた議論が行われた。日本政府(経済産業省)はHPにて、IAEAによるレビューを通じて国際安全基準に沿った取組みを継続し、ALPS処理水の海洋放出の安全確保に万全を期す考えを示した。また、IAEAと連携しつつ、国際社会に対する透明性の高い情報発信を続け、国内外の理解促進に努めるとしている。
22 Dec 2025
412

北海道の鈴木直道知事は、12月10日の第4回北海道議会定例会予算特別委員会総括質疑において、泊3号機(PWR、91.2万kWe)の再稼働同意を表明した。12月18日には、経済産業省の赤澤亮正大臣と会談し、同機の再稼働同意を正式に伝達。安全対策や電気料金の値下げ、インフラ整備の支援策等を要望した。赤澤大臣は「要望を受け止め、地域の実情を踏まえたエネルギー政策を進めていく」と表明している。判断の理由として鈴木知事は、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえた新規制基準に適合していると認められたこと、また、北海道およびUPZ(緊急防護措置を準備する区域)内13町村の防災・避難計画を一体化した「泊地域の緊急時対応」が国の原子力防災会議で了承された点を挙げた。また、再稼働によって電気料金の引き下げが見込まれること、安定した電力供給が確保されること、脱炭素電源の確保に伴う道内経済の成長や温室効果ガス削減につながることも判断材料になったという。さらに、北海道経済連合会からも同3号機の早期再稼働実現を要望するコメントが寄せられたことや、これまで開催してきた道内各地で開かれた説明会を通じて寄せられた道民の意見、岩宇4町村長の判断、後志管内16市町村からの意見、道議会での議論などを踏まえ、総合的に熟慮を重ねた結果、今回の判断に繋がったという。鈴木知事は、現時点で再稼働の方向性を示すことで、企業の投資判断における予見性が高まり、道内への投資促進や雇用拡大に繋がる可能性にも期待を寄せた。今後、国や北海道電力に対し、必要なインフラ整備を含め、北海道への産業集積に向けた積極的な取り組みを求めていく方針だ。一方で鈴木知事は、「原子力発電所の安全追求に終わりはない」との認識を強調。発電所の安全対策や防災対策に関する道民の不安や懸念については、同意後も継続して対応するとしている。道としても原子力防災対策を一層強化していく考えを示している。また、最終処分を巡る議論について「文献調査の議論が原子力発電所の立地地域などに限られている現状には強い問題意識がある」と述べた。その上で、電力の恩恵は都市部を含む広範な地域が受けているにもかかわらず、そうした地域では十分な議論が行われていないとして、「これは北海道だけの問題ではない」との認識を示した。一方で、現時点で文献調査から概要調査へ移行する場合には、引き続き反対する考えに変わりはないことも強調した。
19 Dec 2025
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原子力関連施設が多く立地している青森県は12月12日、「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金」を活用した地域振興の具体的な事業内容を公表した。交付金総額40億円のうち、約6.6億円の充当先の内訳が公開され、防災関連設備の整備や観光施設の整備、看護学科に特化した大学の運営費等に充てられる。残る約33.4億円については、今後策定される予定だ。同交付金は、原子力発電施設等の稼働状況が相当程度変化した県を対象に、地域振興を目的として国から交付金が交付される制度。各都道府県が策定した地域振興計画に基づき交付される仕組みで、制度の根拠は「原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金交付規則」(経済産業省告示第222号)に定められている。青森県には、建設中も含め、東北電力および東京電力の東通原子力発電所、大間原子力発電所(電源開発)、六ヶ所再処理工場(日本原燃)、使用済み燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵)などが立地し、これら施設が今回の交付金の対象施設となっている。同県は、これらの施設の再稼働等に向けた動きが進む一方で、稼働延期や停止の長期化といった状況に伴い、立地地域が将来像を描きにくい状況が続いてきた。こうした状況を踏まえ、国、青森県、立地市町村、事業者が一体となり、地域と原子力施設が共生する将来像を描く場として、2023年11月に「青森県・立地地域等と原子力施設共生の将来像に関する共創会議」が設置(資源エネルギー庁が主催)された。2024年10月の第3回会議では、20~30年後を見据えた地域の将来像や基本方針、具体的な取組を示す工程表がとりまとめられ、これに基づき、交付金の配分の前提となる地域振興計画が策定、2025年11月に経済産業省から承認を受けた。計画によると、六ヶ所村で、津波発生時の住民避難を円滑に進めるための誘導標識や目標地点標識の整備等に4,000万円が充てられる。さらに、原子力災害への対応可能な医療体制の構築・強化を目的に、総事業費約14億円で弘前大学が整備を進める「放射線安全総合支援センター」に対し、1億円を支援する。むつ市では、看護師不足の解消を目的に、看護学科に特化した「八戸学院大学むつ下北キャンパス」の運営支援に、約1.9億円を充てる。その他、農林畜産業の高度化を目指す「しもきたハイテクフードバレー推進事業」に3,000万円。むつ市役所本庁舎の未整備エリアを改修し、関係機関との連携の強化、情報収集・分析・発信機能の向上等、迅速かつ効果的な災害対応のための体制を確立することを目的とした「むつ市デジタル防災センター」の整備に200万円が充てられる。その他、東通村では、名所である尻屋埼灯台周辺に、観光施設や駐車場を整備する計画があり、総事業費約7億円のうち3億円が交付金で賄われるという。交付金の総額は40億円で、1会計年度あたりの交付上限は10億円。地域振興計画が認められた会計年度から最長10年間交付される仕組みで、青森県では2025年度から2034年度までの活用を見込んでいる。
18 Dec 2025
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電気事業連合会(電事連)は12月12日、中学生を主な対象とした次世代層向け教育コンテンツ「エネルギーアカデミー ~エネルギーの資源篇~」と題した動画を、電事連のエネルギー・環境教育支援サイト「ENE LEARNING(エネラーニング)」と公式YouTubeチャンネルにて公開した。エネルギー資源の有効活用の重要性という切り口から、電力の安定供給のために、限りある資源をどのように活用していくかが重要であるかを解説している。なお、同動画は、学習指導要領における中学3年生の理科の単元に沿って作成されている。前述のENE LEARNINGにて、ワークシートや指導案も公開された。同動画では、火力・再生可能エネルギー・原子力発電等各エネルギー資源の可採年数のグラフを用いて、それぞれの役割や長所を整理した上で、需要と供給を一致させる電力システムの重要性を解説。安定供給の観点から複数の電源を組み合わせるエネルギーミックスの重要性も改めて紹介している。また、原子燃料サイクルの仕組み、高レベル放射性廃棄物等の最終処分といった原子力のバックエンドの概要を、専門家の解説と現地取材を交えて分かりやすく紹介。動画内ではエネルギーアカデミーの生徒役が、ユニバーサルエネルギー研究所代表取締役社長の金田武司氏とともに、日本原燃の六ヶ所原燃PRセンターを訪問したほか、原子力発電環境整備機構(NUMO)の職員の解説を通して、地層処分の考え方や国内外における取組み状況が紹介され、原子燃料サイクルの仕組み等を分かりやすく学べる構成となっている。電事連は、次世代を担う若年層に対し、エネルギーを「使う」だけでなく、「資源としてどう活用し、使い終えた後をどう考えるか」という視点を伝えることで、エネルギー問題を自分事として考えるきっかけに繋げていくことを狙いとしている。今後もエネルギーを巡る課題について、特定の立場に偏ることなく情報発信を強化していく考えだ。
17 Dec 2025
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日本原子力産業協会の増井秀企理事長は12月12日の定例記者会見で、同協会が手掛ける業界動向調査である「原子力発電に係る産業動向調査2025」の報告や、先月ブラジルで開催された「COP30」、フランスで開催の「WNE2025(世界原子力展示会)」への参加報告等を行った。はじめに増井理事長は、「原子力産業動向調査2025」の結果について、景況感を示すグラフは全体として右肩上がりで推移しており、「原子力産業がやや元気を取り戻してきている状況が読み取れる」と指摘した。実際、景況感は年々改善しており、1年後の見通しについても多くの企業が「さらに良くなる」と回答するなど、産業界として今後の回復基調を見込んでいることが明らかになった。一方で、課題として人材不足を挙げ、同調査によると「人手不足を感じているか」との問いに約8割が「感じている」と回答。「当該年度に十分な人材を採用できたか」という設問でも、「課題が残った」とする企業の割合が年々増加しているとし、「人材確保が難しくなっている実態が浮かび上がった」と述べた。但し、今後の人材採用や配置について「拡大する」と回答した企業も増えており、「人材の需要は引き続き高い水準にある」との見方を示した。続いて、11月にブラジルのベレンで開催されたCOP30への参加を報告。大会全体を通して、原子力がCOPの場で重要な地位を担うようになってきたことを強く感じたという。また、フランスのパリで開催されたWNE2025への参加報告では、日本として初めて「日本パビリオン」を設置し、9社が参加したことを紹介。日本企業が一体となって存在感を示す場となり、会期中は企業間交流や製品紹介が活発に行われ、各社のビジネス機会の拡大にもつながったとの認識を示した。今年最後の定例会見にあたり、増井理事長はこの1年を振り返り、「原子力産業界にとって大変良い年だった」と総括した。とりわけ、2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で「原子力の最大限活用」が明記され、「原子力依存度低減」という文言が削除された点について、「業界全体に前向きな勢いをもたらした」と評価した。
16 Dec 2025
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京都フュージョニアリングは12月3日、島津製作所と共同で核融合発電施設向けターボ分子ポンプ(TMP)の試作機を開発したと発表した。同試作機はトリチウム環境下での運転が想定され、同社がカナダで建設中のUNITY-2(燃料を絶えず供給するための装置・システムを統合した試験プラント)での性能試験に使用されるほか、核融合発電関連企業や研究機関へも供給されるという。核融合は、トリチウム(三重水素)や重水素といった水素同位体を燃料とし、核融合反応を利用して熱を取り出し、莫大なエネルギーを生み出す発電技術。核融合発電プラントを安定的に稼働させるためには、燃料供給を絶えず行う必要があり、燃料であるトリチウム(三重水素)等を、炉心から排気・分離・循環する技術が求められる。同社はこの技術を、「フュージョン燃料サイクルシステム(Fusion Fuel Cycle System)」として世界に先駆けて開発を進めている。同システムでは、真空状態に保たれた炉心から未反応のトリチウムや重水素、核融合反応によって生じたヘリウムを含むガスを排気し、トリチウムや重水素を燃料として回収・再利用する。この工程の中核を担っているのが高性能な真空技術であり、この度、開発されたターボ分子ポンプ(TMP)等、トリチウム環境下での運転に耐えられる真空ポンプが活躍する。TMPは、トリチウムによる潤滑油の劣化リスクを避けるため、ポンプ内の回転体を磁力で浮かせて非接触で支持する磁気軸受型を採用。また、ポンプ内部はトリチウム暴露による劣化防止素材を使用し、トリチウムや重水素等の軽いガスにも優れた排気能力を発揮する機構を備えた。
15 Dec 2025
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京都大学発のベンチャー企業で、核融合発電に直結する技術開発を強みとする京都フュージョニアリングは11月27日、2030年代の核融合発電実証を目指す民間主導の産学連携プロジェクト「FAST(Fusion by Advanced Superconducting Tokamak)」全体の統括を担うStarlight Engine株式会社と、「FAST」の概念設計を完了し、その設計情報をまとめた「概念設計報告書(Conceptual Design Report:CDR)」を公開した。核融合発電装置の概念設計の完了は国内企業として初だという。ここでの概念設計とは、核融合発電実証プラントの設計プロセスにおいて、技術的・工学的な実現可能性や安全性、経済性を評価し、プロジェクトの方向性とプラントの基本仕様を定める段階を指す。京都フュージョニアリングによると、今後は建設を見据えた工学設計への移行と工学的な研究開発の加速に加え、サイト選定や整備、許認可手続き、長納期品の調達などを進め、2028年以降の建設開始につなげていく。今回取りまとめた概念設計は、以降のすべての活動の起点となる重要なプロセスであり、その成果をまとめたCDRは今後のプラント設計の基盤として中核的な役割を担うという。同社は、2035年に実証試験に入り、2042年ごろの商業発電を見込んでいる。FAST(Fusion by Advanced Superconducting Tokamak)は、核融合反応を用いた発電の実証を目的に、日本国内で進められているフュージョンエネルギープロジェクト。トカマク型を採用し、技術的な成熟度が高く、コストやリスクの管理が可能な点を重視し、商業化を見据えた現実的なアプローチを取るのが特長だ。複数の大学や企業が参加し、核融合研究の第一線で活躍する研究者がすでに数多く参画している。さらに、国内の主要大学と共同研究契約を結び、プラズマ設計からプラント開発に至るまで、幅広い研究・技術開発を進めている。「FAST」プロジェクトの始動から約1年という短期間で概念設計を取りまとめたことについて、同社の小西哲之代表取締役会長は、予定通りに短期間で完了したことに安堵感を示すとともに、「国内の専門家を結集し、高温超電導マグネットや液体増殖ブランケットシステム、高効率なトリチウム燃料サイクルシステムなど、商業プラントに不可欠な新技術を取り込んだ革新的な設計に仕上げられた」と評価した。また「安全設計や許認可、サイト選定に向けた準備も順調に進んでいる」とし、今後の建設に向けた工学設計段階では、金融機関やゼネコンなど幅広い業界との連携実績を有する同社の特長を生かし、事業活動と両立させながらプロジェクトを推進していく考えを示した。
12 Dec 2025
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環境保全をテーマとする国内最大級の展示会「SDGs Week EXPO 2025 (エコプロ )」(日本経済新聞社など主催)が12月10日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で始まった。原子力発電環境整備機構(NUMO)は今年も出展し、3回目となる今回は「地下探査で地層処分の謎を掘り進める」をテーマに、地層処分の仕組みを紹介する展示を行った。エコプロでは、環境問題をはじめ社会課題の解決に向けた企業の取り組みが紹介されている。展示会はSDGsの各目標に対応する形で構成され、ビジネスマッチングに加え、小中学生の環境・防災学習の場としても活用されている。今年は約550団体が出展し、主催者は3日間で約6万5,000人の来場を見込む。NUMOのブースは「地下探査」をコンセプトに構成されている。まず「地上」ゾーンで日本のエネルギー利用の現状や各発電方式の特徴を説明し、続いて「地下」ゾーンでは高レベル放射性廃棄物の地層処分の仕組みや海外での取り組み状況を紹介した。地層処分は原子力発電を利用する国にとって共通の課題であり、クイズを交えて来場者に分かりやすく説明することで理解促進を図った。初日の10日は授業の一環として多くの小中学生が見学した。社会科見学で訪れた小学生からは「自分たちの便利な暮らしの裏で、このような取り組みが行われていることを知って驚いた」、「多くの人が工夫しながら難しい課題に取り組んでいると分かった」といった声が聞かれた。来場した都内の工業高校の生徒は「地層処分の記事をインターネットで読んだことがあり関心があった。ガラス固化体1本を埋設するにも難しさがあると知り、これから大変だと思った」と話した。高レベル放射性廃棄物の地層処分を巡っては、調査受け入れ自治体や地域住民の間で議論が続く。2024年11月には北海道寿都町と神恵内村の文献調査報告書が公表されたほか、佐賀県玄海町でも文献調査が進められている。しかし、北海道知事は関連条例に基づき反対の立場を示している。NUMOの広報担当者は「調査を受け入れた3つの自治体だけの課題ではなく、国民全体で向き合う必要がある。多くの人に現状を知ってもらいたい」と述べた。ブースには例年3日間で約4,000人が来場しており、今年も関心の高まりを実感しているという。展示は12日まで開催される。入場は無料(事前登録制)。開催時間は午前10時〜午後5時。
11 Dec 2025
870