
ベトナムのファム・ミン・チン首相がモスクワ公式訪問中の3月23日、同首相とロシアのM. ミシュスチン首相立会いの下、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁とベトナムのチャン・バン・ソン政府官房長官の署名により、ベトナムにおけるニントゥアン第一原子力発電所の建設協力に関する政府間協定が締結された。本協定は発電所建設に必要な法的枠組みを整備し、今後数十年にわたるロシアとベトナムの原子力分野での協力の方向性を定めるもの。同協定では、原子力発電所建設プロジェクトの実施における条件および主要な協力分野を規定しており、ロシア設計のPWR=VVER-1200×2基を採用した総発電設備容量240万kWeとなる発電所の建設を想定。参照モデルは、ロシアのレニングラード第Ⅱ原子力発電所1・2号機(VVER-1200採用、各2018年、2021年に運転開始)である。ロスアトムのリハチョフ総裁は、「これは単に原子炉2基を建設するための協定ではない。ベトナムのエネルギー自立を強化し、経済成長の新たな機会を切り開く長期的な産業パートナーシップの礎である」と語った。ロシアのVVER-1200は国内外で運用されており、ロスアトムの原子力輸出の中核をなしている。ロシアとベトナムは多方面で長年にわたる協力関係を築いており、原子力はその中でも重要な位置づけ。ニントゥアン第一プロジェクトに加え、両国はベトナムにおける原子力科学技術センター(CNST)建設プロジェクトも実施しており、ロシア設計の研究炉を建設する計画である。今年4月には同センターの実現可能性調査(F/S)が完了し、建設契約に関する協議が開始される予定。また、ロシア製燃料を使用するダラット研究炉が順調に稼働し、医療用同位体を供給している。さらにベトナムは、ロシアのウリヤノフスク州ディミトロフグラードにある原子炉科学研究所で建設中の多目的ナトリウム冷却高速中性子研究炉(MBIR, 15万kWth、2027年稼働予定)を基盤とする国際コンソーシアムへの参加にも関心を示している。加えて、北極海航路を活用した物流、ロスアトム傘下の極東海運会社であるFESCO輸送グループによるコンテナ輸送、積層造形技術(3Dプリンティング)、エネルギー貯蔵システムなど、新たな分野での協力が有望視されている。ベトナム国会は2024年11月、国内電力需要の拡大を受け、ニントゥアン原子力発電プロジェクト再開の政府提案を承認。原子力発電開発を含む改正電力法も承認された。同プロジェクトではロシアと日本がベトナムに協力して、それぞれ第一および第二原子力発電所(各200万kW)を建設する計画だったが、経済状況を理由に2016年11月に全て白紙となっていた。
27 Mar 2026
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先進炉および燃料技術開発に取組む、米X-エナジー社は3月19日、米電力会社タレン・エナジー社と、ペンシルベニア州を中心に系統運営機関PJM管内で、合計100万kWe級の小型モジュール炉(SMR)「Xe-100」導入を評価する基本合意書(LOI)を締結した。両社は、4基構成のXe-100発電所を3か所以上で導入し、電力の信頼性を支え、製造業の米国内回帰、データセンター、および電化に伴う増大するエネルギー需要を満たす機会を模索する。Xe-100はX-エナジー社が開発中の高温ガス冷却炉で、出力は8万kWe。本LOIに基づき、両者は実現可能性調査、立地評価、およびプロジェクト実行枠組みを含む初期段階のプロジェクト開発を実施する計画だ。具体的な立地条件は未確定だが、両社は既存のインフラ、送電網、および労働力を活用し、Xe-100の導入により、化石燃料利用の発電から原子力発電への移行を実現したい考えだ。Xe-100は電力供給に加え、565℃の熱および蒸気を安定供給可能で、同州の産業や石油・ガス分野で幅広く応用できる。また、Xe-100では空冷システムの効率的利用により水使用量が大幅に削減できる見込みで、従来の軽水炉と比較して立地選定の柔軟性を高めるという。燃料には、米エネルギー省(DOE)が高い耐久性を有する燃料と位置付けるTRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料を使用。運転時や事故時を含むあらゆる状況での極端な高温にも耐えられるよう設計されており、次世代型の固有安全性を確保する。Xe-100は4基から12基のパッケージプラントとしての展開を想定しているが、各原子炉はそれぞれ独立して運転開始が可能。エンドユーザーは1基ずつ段階的に容量を導入でき、新規発電を需要の伸びに合わせ、電力供給を実際の負荷拡大に適合させることができる。タレン社は今回の提携について、重要な送電インフラと地域経済を維持しつつ、ベースロード容量を強化し、PJM市場において増大するエネルギー需要を満たすための重要な一歩になると評価している。X-エナジー社は現在、米国および英国における商業パートナーシップを通じて、1,100万kWe超の新規原子力発電プラントを開発中。電力会社、産業顧客、ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)向けにXe-100を系統連系と同規模のエネルギーソリューションとして推進しており、米国の大手化学メーカーであるダウ(Dow)社、大手テック企業のAmazon社や英国のエネルギー供給会社のセントリカ(Centrica)社とすでに導入や投資、電力購入をめぐって合意している。燃料部門では、X-エナジー社の傘下にあるTRISO-X社がテネシー州オークリッジにおいて、自社が開発するTRISO-X燃料の製造施設TX-1の建設プロジェクトを進めている。米原子力規制委員会(NRC)は2月13日、10 CFR Part 70 に基づき、TRISO-X社の2つの商業施設(「TX-1」および「TX-2」)をカテゴリーⅡ((カテゴリーIIは、一定量の核物質を扱う施設に適用される規制区分で、厳格な物理的防護と核不拡散対策が求められている。))の燃料製造施設として初認可した。米国では約50年ぶりの新規燃料製造施設となる。これにより、TRISO-X社は同2施設において、高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)を使用したTRISO-X燃料の製造を当初40年間のライセンスの下で行うことが可能となる。TX-1の建設は、X-エナジー社が参加する、DOEが先進炉展開の加速を目的に創設した先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の一環であり、燃料製造開始を2028年初めに見込む。TX-2は現在設計段階にあり、X-エナジー社製SMRの1,100万kWe超の新規導入や他のSMR開発企業を支えるために、TRISO燃料の生産能力を大幅に拡大する。TX-1およびTX-2での本格的な生産により、米国史上初めて安定した商業用TRISO燃料供給源を確立し、米国および同盟国の原子燃料サイクルにおける大きな需給ギャップを埋め、エネルギーおよび国家安全保障を支えたい考えだ。
25 Mar 2026
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米ニューヨーク州選出のM. ローラー下院議員(共和党)は3月6日、米エネルギー省(DOE)のC. ライト長官と、同州ブキャナンに立地する閉鎖済みのインディアンポイント原子力発電所を訪問。ローラー議員は、同発電所の再建と運転再開を呼びかけた。同議員は、2021年の同発電所の閉鎖がニューヨーク州の電力コスト上昇や電力網への負担増につながったと指摘。実際、閉鎖以降、ニューヨーク州の電気料金は全国トップとなる上昇率58%を記録している。閉鎖に加え、環境規制による化石燃料利用抑制のため、天然ガスパイプラインのような重要インフラの建設・拡張が妨げられたという。また同議員は、「ミシガン州のG. ホイットマー知事(民主党)が、信頼できる電源を失う経済・エネルギー損失を認識し、パリセード原子力発電所は数か月後にも運転再開される。閉鎖後に運転再開する全米初の原子力発電所になる見込みで、約80万世帯に安全でクリーンかつ信頼性の高い100万kW以上の電力を供給する。ミシガン州にできて、ニューヨーク州にできない理由はない。エネルギー価格を下げるためには包括的なアプローチが必要であり、インディアンポイントの運転再開はその達成に大きく貢献する」と主張した。ライト長官も、「インディアンポイント発電所の閉鎖によりニューヨーカーの電気料金が上がった。米国がAIでリーダーシップを発揮するには、原子力発電は信頼性が高く、安全で重要な電源。ローラー議員と私は、有害な政治的選択によって信頼性の高いエネルギー源を閉鎖するコストに焦点を当てるためにこの発電所を訪問した」と語った。インディアンポイント1号機(28.5万kWe)は1962年に運転開始。1974年に2号機(106.2万kWe)、1976年に3号機(107.6万kWe)が運転を開始し、1号機は1974年に閉鎖された。同発電所はニューヨーク市の北約40kmに位置し、重大事故時の影響や運転の安全性に懸念を示したA. クオモ前知事(民主党)が早期閉鎖を要求。その後、所有/運転者であったエンタジー社が2017年、卸電力価格低迷による経済性低下を主な理由に、2号機を2020年4月まで、3号機を2021年4月までに予定より前倒しで閉鎖することで州政府と合意した。同2・3号機の閉鎖後の2021年5月、全3基はエンタジー社から、廃止措置事業者であるホルテック・インターナショナル社に売却された。一方、ニューヨーク州のK. ホークル知事(民主党)は今年1月、2026年施政方針演説の中で、炭素排出ゼロの電力供給と送電網の信頼性確保に向け、原子力発電の推進を表明。新たなイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)を確立するため、州内で新規に500万kWe規模の原子力発電を開発する方針を示している。
25 Mar 2026
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ノルウェー政府は2月11日、同国西部のアウレとハイムで計画されている小型モジュール炉(SMR)を用いた原子力発電所の建設プロジェクトについて、環境影響評価(EIA)を実施することを決定した。これにより、同国における原子力発電導入に向けた検討が、制度的なプロセスに入りつつある。計画では、アウレ自治体とハイム自治体の境界に位置するタフトイ(Taftøy)工業団地に複数のSMRを設置する。最大出力150万kW、年間最大125億kWhの発電を想定している。2023年、ノルウェーの新興エネルギー企業ノルスク・シェルネクラフト社が、エネルギー省に対しSMR発電所建設に向けたEIAの実施を提案した。同国政府はこれを受け、2025年4月に水資源・エネルギー局(NVE)、放射線・原子力安全局(DSA)、国民保護局(DSB)の3機関に対し調査プログラム策定を要請。3機関は同年9月、ノルスク社の提案を踏まえた評価プログラム案を作成した。同案は越境環境影響評価を定めたエスポー条約に基づく国際協議を経て正式決定された。EIAはこのプログラムに基づいて実施される。T. アースランド・エネルギー大臣は、「今回の評価プログラムの確定はEIAの最低要件を定めるもので、原子力発電の導入を決定したことを意味するものではない」と述べた。ノルスク社のJ. ヘスタマー会長は、「今後はEIAの実施計画を策定し、原子力発電所のメリットと課題を明確にするとともに、地域住民や関係者がどのように関与できるかを示していく。EIAの一部作業はすでに開始されており、周辺住民や自治体などとの建設的な対話を期待している」と説明している。ノルウェーでは電力の大半が水力と風力でまかなわれており、これまで発電用原子炉は保有せず、OECD共同研究プロジェクトとして有名な「ハルデン炉」など研究炉のみを運転してきた。2019年までにそれらもすべて閉鎖されている。しかし近年は電力需要の増加を背景に、国内では原子力導入に向けた議論が進められている。ノルスク社は複数の候補地でSMR導入の可能性調査を進めており、国内各地を対象とした10件のプロジェクトについて報告書を提出している。今回の計画はその第1号プロジェクトとなる。
25 Mar 2026
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ドイツの核融合スタートアップ「プロキシマ・フュージョン」社は2月26日、ドイツの電力会社RWE社、ドイツ南部バイエルン州、ドイツのマックス・プランク・プラズマ物理研究所(IPP)と、世界初となる「ステラレータ方式」の商用核融合発電所「Stellaris」を建設にむけて覚書を締結した。建設サイトは、RWE社がバイエルン州で廃止措置中のグンドレミンゲン原子力発電所サイトを想定している。プロキシマ社は2023年4月にIPPからスピンアウト。ドイツ北東部グライフスバルトにあるIPPのステラレータ方式の実験装置ヴェンデルシュタイン(Wendelstein)7-Xで得られた知見を活用し、実用化に向けた準備を進めていく方針だ。ステラレータ方式は、複雑にねじれたコイルで強力な磁場を発生させ、ドーナツ状のプラズマを安定して閉じ込める技術で、設計は難しいものの、トカマク方式と比較すると連続運転で安定して動作するように設計できるという。本覚書では欧州における商用核融合実現に向けた具体的な道筋を示しており、最初のステップとして、バイエルン州ガーヒングにあるIPPの近くに、実証用のステラレータ型核融合装置アルファ(Alpha)を建設する。アルファを2031年に稼働させ、核融合技術の実証・検証、実環境での試験を通じて、開発サイクルを短縮させ、次段階である商用発電所ステラリス(Stellaris)の建設を加速させたいとしている。両プロジェクトにより、欧州のメーカーや技術者向けに数千もの雇用とサプライヤー契約を生み出すことになる。最終的には、核融合を欧州のエネルギーシステムの一部とし、輸入化石燃料エネルギーへの依存低減を目標としている。この覚書の下で、プロキシマ社が設計・調達・建設(EPC)を担当し、マックス・プランク研究所がプラズマ物理など理論面を主導、RWE社が発電所建設・運用のノウハウを提供する。建設コストはアルファ・プロジェクト単独で20億ユーロと試算されており、プロキシマ社が資金承認を条件に、アルファの建設コストの20%を民間投資家から調達予定だ。RWE社は出資の意向を示しており、バイエルン州政府は予算上の制約を条件に、最大4億ユーロの出資を約束している。また、ドイツのハイテク・アジェンダ((2025年7月、ドイツ政府は技術革新と経済競争力の強化などを目的とした国家戦略「ハイテク・アジェンダ・ドイツ」を閣議決定。研究・テクノロジー・イノベーション政策を再構築し、より一層の付加価値の創出、競争力、主権の確立を目指し、総額55億ユーロの投資を予定。))の下、連邦政府による支援を獲得したい考えだ。連邦政府は、2025年10月に承認した「核融合アクションプラン」において、商用核融合の加速にむけて2029年までに20億ユーロの公共投資を計画している。プロキシマ社のF. シオルティーノCEOは、今回の覚書締結を研究レベルから産業レベルへの転換点と指摘。バイエルン州のM. ゼーダー首相は、核融合は無限に近いクリーン電源であり、電気自動車やAIによる電力需要増に対応可能である、と期待を寄せている。なお前日の2月25日、プロキシマ社は、30社以上の欧州および国際的な企業を結集する産業コンソーシアム「アルファ・アライアンス」の立上げを発表。同アライアンスは、製造、システム統合、サプライチェーンの調整を通じて、アルファの実現だけでなく、将来の商業用ステラレータに必要なサプライチェーンと産業能力の構築を目的とする。加盟企業は、核融合システムの産業化と大規模展開に必要な、材料、部品、組立、インフラにわたる能力を提供。日本からは、京都フュージョニアリングとフジクラが参加している。
24 Mar 2026
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米エネルギー省(DOE)原子力局(NE)は3月12日、既存の原子力インフラを活用し、より多くの電力供給を目的とする新たなイニシアチブ「商用炉の段階的拡大に向けた取組み(Utility Power Reactor Incremental Scaling Effort: UPRISE)」を開始した。既存炉の出力増強、休止状態の原子炉の運転再開、停滞したプロジェクトの完遂を通し、2029年までに最大500万kWeの設備容量を増強し、増大するエネルギー需要と国家のエネルギー安全保障を支えることをめざしている。UPRISEでは、実証済みの原子力技術の活用と規制プロセスの合理化により、原子力発電の成長を加速させ、イノベーションの促進を計画。米国のエネルギー需要は、製造業の成長と人工知能を支えるデータセンターの電力需要により、今後数年間で増加が予測されている。トランプ政権は米国の原子力発電設備容量を2024年の1億kWeから2050年までに4億kWeへ拡大させることを目指しており、2025年5月に発出された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」においては、DOEに2030年までに500万kWeの原子力発電設備容量の増強と大型炉10基の着工を指示している。UPRISEは、原子力発電設備容量を大幅に増加させるために最も費用対効果が高く、迅速な方法として、ライセンス更新による運転期間延長、出力増強、休止施設の運転再開、先進燃料などの最新技術による運転効率の最適化に焦点を当て、2027年までに250万kWe、2029年までに500万kWeの原子力発電設備容量の増強を達成したい考えだ。当面の取組みとして、サプライチェーンの準備状況の検証、出力増強や設備のアップグレードのためにプラント設備の評価を行い、投資判断に向けた経済モデルの検証を行うという。なお、この取組みにより、規制プロセスの効率化に向けた研究、燃料技術、および人材育成の取組みも支援し、将来の原子力導入の基盤としていく方針である。DOEのR. バーラン次官補代理(原子炉担当)は「これは米国の原子力フリートの復活となるだろう。UPRISEを通じて、DOEは2030年までに国内原子力発電を500万kWe増強するという目標を達成すべく産業界と協力する」と語った。2026年後半には、UPRISEを通じて、NE局と融資部門は、原子力発電所の所有者とエンドユーザー間の協同契約を促進するためのマッチメイキングワークショップを開催する予定。DOEの融資プログラムは、かつてアルビン・W・ボーグル原子力発電所3・4号機の建設を支援し、現在はパリセード原子力発電所とクレーン・クリーン・エナジー・センター(スリーマイル・アイランド原子力発電所)1号機の運転再開を支援している。DOEは自身のリソース、業界のノウハウ、規制改革を連携し、今後10年間で原子力発電設備容量を大幅に増加させていく方針である。
23 Mar 2026
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中国の浙江省温州市で3月12日、中国広核集団(CGN)の三澳(Sanaocun)発電所1号機(PWR=華龍一号<HPR1000>、120.8万kWe)が送電を開始した。今後、出力上昇試験や各種性能試験を経て、今年前半の営業運転開始をめざす。三澳プロジェクトは2007年にサイト調査を開始し、2015年に国家能源局が計6基の「華龍一号」を建設するサイト取得・整備作業等の実施を承認。I期工事の1-2号機はそれぞれ2020年12月、2021年12月に着工し、Ⅱ期工事の3号機も2025年11月に着工した。1号機については、2025年12月に国家核安全局(NNSA)が運転認可を発給し、今年2月14日に初臨界を達成していた。同プロジェクトが完成すると、温州市の現在の総電力消費量にほぼ匹敵する年間540億kWh超の電力供給が見込まれている。毎年、標準石炭換算で約1,635万トンの削減に貢献するという。現在、長江デルタ地域ではDeepSeekなどの世界有数のAI関連企業が集積し、スマート経済の急速な発展に伴い計算能力需要が急増し、エネルギー消費を継続的に増大させている。今年の全国人民代表大会では、「計算能力と電力の協調(算電協同)」が初めて政府活動報告に盛り込まれ、大規模なAI計算クラスターなど新インフラ整備の推進方針が明確に示された。三澳プロジェクトでは、作業現場の可視化・自動化を実現し、年間で約70万時間の作業工数を削減したほか、国内初となる全工程のデジタル化を導入。原子炉建屋では4万枚以上の配管検査用放射線フィルムをデジタル管理し、AIによる解析評価により欠陥検出率・重複検査の検出精度はいずれも95%以上を達成したという。また、原子炉冷却材主配管の溶接用設備や工法の国産化や、「レゴ式」の分解可能なプレハブ擁壁モジュール工法の導入により、建設コストの削減と工期短縮を図っている。
19 Mar 2026
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欧州委員会(EC)は3月10日、小型モジュール炉(SMR)((軽水炉型SMRのほか、液体金属炉や熔融塩炉、高温ガス炉などの先進モジュール炉(AMR)およびマイクロ炉を含む。))の開発・導入を加速する初の戦略文書「欧州におけるSMRの開発および導入に向けた戦略(Strategy for the development and deployment of Small Modular Reactors (SMRs) in Europe)」を発表した。ECは、SMRを欧州の主要な産業開発プロジェクトの一つと位置づけ、2030年代初頭までに欧州で初のSMRの運転開始をめざす。SMRを、脱炭素化やエネルギー安全保障の強化に加え、欧州の産業競争力の強化にも寄与する技術としている。同戦略では、研究、サプライチェーン、許認可、人材育成、資金調達などの分野でEU加盟国や産業界、規制当局、投資家の協力強化を図る方針を示すとともに、SMR導入を促進するための9つの行動を提示。具体的には、技術開発やサプライチェーン、規制面などでの取組みとして、産業向け高温熱供給や海上利用などを想定した先進モジュール炉(AMR)の開発加速、燃料サイクルを含む欧州域内のサプライチェーン強化、同一設計の炉を複数導入するフリート・アプローチの推進と、それに伴う産業標準化の策定や許認可に関する規制協力などを打ち出した。これらの取組みは、EU加盟国間の協力強化や志を同じくする国との国際協力のほか、2024年2月に設立された欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)とも連携して進める。さらに、SMR導入を後押しするため、資金支援の枠組みも提示。EUの投資支援制度であるInvestEUやイノベーション基金などを活用し、初号機(FOAK)プロジェクトのリスク低減を図り、民間投資の呼び込みを進めるとしている。そのほか、革新的原子力技術に関するIPCEI(Important Project of Common European Interest)の枠組みを通じて、投資促進の方針も示した。また、SMRの製造拠点や関連産業を集積するSMRバレー(SMR Valley)の形成や、SMR導入に関心を持つEU加盟国が選定された炉型について規制や政策、経済面などで協力する枠組みのSMR連合(SMR Coalition)を設立する提案も示されている。ECはまた同日、原子力実証プログラム(PINC)を発表。同プログラムによると、EUにおけるSMRの設備容量は、2050年までに1,700万kWから5,300万kWに達する可能性があるとの見通しを示している。
18 Mar 2026
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トルコ原子力公社(TÜNAŞ〈TUNAS〉)は3月3日、加アトキンス・リアリス(AtkinsRéalis、旧SNC-ラバリン=SNC-Lavalin)社傘下にあるCandu Energy社と協力覚書(MOU)を締結した。トルコが将来、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)を導入する可能性について、詳細な実現可能性評価を行うことを目的としている。トルコは両国間の戦略的協力が、トルコのエネルギー・セキュリティーの強化、エネルギー源の多様化、原子力発電設備容量拡大という目標に沿った重要なマイルストーンであると位置づけている。この覚書は、トルコのA. バイラクタル・エネルギー・天然資源相がカナダを訪問中、同国のT. ホジソン・エネルギー・天然資源相との立会いの下で締結された。バイラクタル大臣は「エネルギー構成の多様化と原子力発電容量の増強につながる両国間の共同作業の可能性を我々は非常に重視している」と指摘。翌4日のカナダ探鉱者・開発業者協会(PDAC)の総会では、「2050年までに少なくとも2,000万kWeの原子力発電設備容量の達成に向けて、従来の大型炉と小型モジュール炉(SMR)の両方を含める必要がある」と述べ、原子力がカナダとの協力を推進する分野の一つであると強調した。アトキンス・リアリス社によると、今回の合意はトルコが原子炉3基を追加導入して原子力を拡大する計画を支援するため、CANDU炉導入の機会を探るもの。両者間で関連技術データ、情報、経験、ノウハウ、専門知識を交換・共有する計画だ。具体的には、様々なCANDU炉の評価で協力し、TÜNAŞが特定したサイトへの適合性を評価、トルコにおいてCANDU炉に適用される規制及び認可要件の評価も実施。加えて、資金調達・構造化オプション、所有権の取り決め、プロジェクト実施手法、現地化機会の評価、ならびに労働力開発及び人材要件を含む、潜在的なビジネスモデルを検討するという。現在、CANDU炉はカナダ、韓国、ルーマニア、中国で計27基が運転中。アトキンス・リアリス社は現在、第3世代+(プラス)炉である100万kWe級のCANDU炉の新型「MONARK」を開発中だ。2024年9月に概念設計段階は完了し、現在、カナダ原子力規制委員会による予備的な規制設計評価が進行中である。また、トルコ南部では、同国初の原子力発電所となるアックユ原子力発電所(ロシア型PWR=VVER-1200、×4基)がロシアの融資と協力の下、「建設・所有・運転(BOO)」方式を採用して建設が進められている。このほか、同国北部のシノップと、トラキア地域で大規模原子力発電所の建設を計画しており、2053年のネットゼロ目標達成にむけ、同年までに原子力発電設備容量を2,000万kWeまで引き上げ、原子力発電量のシェアを約30%にすることをめざしている。アックユ原子力発電所が完成すれば、原子力発電電力量は年間約350億kWhと見込まれており、これは2024年のトルコの総電力消費量3,479億kWhの約10%に相当する。なおTÜNAŞは2025年11月、韓国電力公社(KEPCO)と原子力分野における協力に関する覚書(MOU)を締結。トルコ北部で計画中のシノップ原子力発電所の建設スケジュールや事業条件についても意見交換を行っている。
17 Mar 2026
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リトアニアのイグナリナ原子力発電所を運営しているアルトラ(Altra)社は2月25日、米国の首都ワシントンで、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社、ポーランドのSGE社とリトアニアにおけるGVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」の導入可能性を評価するため、三者間覚書を締結した。「BWRX-300」導入に係る技術面および経済面での実現可能性を詳細に評価し、技術ソリューション、安全性および許認可要件、さらに経済的および市場的な側面を分析する。覚書署名式には、リトアニアのZ. ヴァイチウナス・エネルギー相、米エネルギー省のR. バーラン原子炉担当次官補代理らも出席。ヴァイチウナス大臣は、「リトアニアの原子力発電の経験、アルトラ社の専門知見、先進SMRを開発する米国パートナーの最新知識を結集し、リトアニアにおける次世代SMRの立地可能性を体系的に評価。エネルギー・セキュリティー、持続可能性、気候中立なエネルギー・経済目標にどのように貢献し得るかを判断する。再生可能エネルギーは現在も将来もリトアニアの明確な選択肢であるが、2050年までに完全な気候中立を達成するためには、SMRの可能性も評価しなければならない」と語った。アルトラ社のL. バウジスCEOは、「リトアニアには、原子力発電の実績があり、国家のエネルギー・セキュリティと長期的なシステムの安定性を強化する次世代ソリューションの議論にあたり有利な立場にある。BWRX-300は現在開発中の最も先進的なSMRの一つであり、将来のエネルギーソリューションとして分析評価するのは当然」と強調した。GVH社の先進原子力担当のS. セクストン上級副社長は、加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)と共に西側諸国初となる商用規模のSMRを建設する過程で得られる経験や、SGE社との協力が、リトアニアや他の欧州諸国でBWRX-300を展開配備する強力な基盤となっている」と述べた。欧州のSMR開発プラットフォームであり、BWRX-300の標準設計にも共同出資しているSGE社のR. カスプロウCEOは、「リトアニアのエネルギー移行には、電力システムの安全性を高め、長期的な経済発展を支える安定したゼロエミッション電源が必要。BWRX-300は、これらニーズに応えるために設計されており、数十年にわたる原子力発電の運用経験を踏まえ、安全性と信頼性を確保しつつ、クリーンでコスト競争力のある拡張可能な設計となっている」とし、今回の覚書締結の意義を強調した。SMRの導入検討は、2050年までにエネルギー自立と気候中立の達成を目指す同国の国家エネルギー戦略とも合致する。エネルギー省は2025年、アルトラ社などが参加する作業部会を設置し、先進原子力技術の役割について評価を進めている。なお、2025年のユーロバロメーター調査(欧州委員会が実施するEU公式の世論調査)では、リトアニア国民の57%が今後20年間の原子力の将来を肯定的に見ている。リトアニアでは、イグナリナ原子力発電所(軽水冷却黒鉛減速炉:RBMK-1500×2基、各150万kWe)が1980年代から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMK炉の安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。アルトラ社は現在、同発電所の廃止措置作業を実施中だ。閉鎖後、イグナリナ原子力発電所近傍のヴィサギナスに日立製作所が主導する新規原子力発電所プロジェクトも浮上したが、福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電に対する国民の支持は低下。2012年の原子力発電所の新規建設への支持を問う国民投票では否定的な意見が優勢となり、2016年10月の総選挙による政権交代を経て、翌11月にヴィサギナス・プロジェクトは凍結された。その後、リトアニアでは電力不足を補うため、電力供給源の多様化を図り、再生可能エネルギーの導入を促進。現在、総発電電力量の約8割を再生可能エネルギーで賄うものの、近隣諸国(スウェーデン、ラトビア)からの電力輸入量も多い。
13 Mar 2026
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スロベニア政府は 2月17日の閣議で、クルスコ原子力発電所の増設計画(JEK2 プロジェクト)に関する国家空間計画(DPN)の策定を開始することを承認した。これは同プロジェクトを正式に空間配置プロセスに組み込む最初の手続きであり、同国の電力システムの長期的な安定性や低炭素化に関わる重要なエネルギーインフラ計画の節目となる。DPNとは主に、プロジェクトをどこにどのように配置するか、また対象地域でどのような整備が行われるか、そして計画の基本的な条件はどうなるかを決定することを目的とする。DPNの策定は、環境・気候・エネルギー省の提案に基づくもので、2025年7月1日から10月30日までの4か月間にわたり公開協議が行われた。空間計画当局、地方自治体、経済界、NGO、住民らが議論に参加し、主要3都市で公開説明会も開催された。その結果、受け取ったすべての指針と意見に基づき、主要な専門調査項目が決定された。DPN策定に係る政府承認を受け、今後、天然資源・空間計画省が中心となり、技術面、空間計画面、環境面、地域開発面などから広範な専門調査・分析を実施、国境を越えた評価を含む包括的な環境影響評価も実施し、DPN草案を作成する。DPN草案の公開は2027年後半に予定されており、その際には一般からの意見も募集する。政府は2028年後半にDPNの政令の採択を予定。政令では、プロジェクトに関する土地利用計画、計画対象地域、建設・設計の条件、自治体の土地利用計画への指針を規定し、これが建設許可など次の段階の手続きの重要な基盤となる。JEK2プロジェクトは、国内で最も重要なエネルギー開発プロジェクトの一つであり、J. ノヴァク天然資源・空間計画相は、クルスコ発電所が立地するポザヴェ地域にとって大きな開発の機会になると強調。政府として、すべての重要な情報が利用可能になった時点で、このプロジェクトの是非を問う国民投票の実施を支持する考えを示した。当初は 2024 年 11 月に国民投票を実施する計画であった。しかし、プロジェクトの透明性や国民投票の合法性をめぐり環境団体などから批判が高まり、実施は見送られた。スロベニアでは現在、クルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kWe)が同国の総発電電力量の約35%を供給している。同発電所はGENエネルギアと隣国クロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivreda(HEP)が共同所有。スロベニアの電力需要は、2050年までに倍増することが予想されているが、2033年以降は総発電電力量の約3分の1を供給する火力発電所を閉鎖する計画。2043年にはクルスコ発電所の運転期間(60年)も満了する。
13 Mar 2026
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米エネルギー省(DOE)原子力局は3月3日、米国の先進原子力技術の研究開発を強化するため、全米の46プロジェクトを対象に、総額5,280万ドルを助成することを明らかにした。先進原子力技術開発や若手研究者の研究活動を支援し、米国の原子力ルネサンスを加速させたい考えだ。DOEは今回の助成が、2025年5月に発出された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」を推進し、研究インフラへのアクセス拡大と原子力人材の育成を後押しするものと位置づけている。原子力戦略分野担当のM. スコット次官補代理代行は、「これらプロジェクトへの支援は、米国の原子力技術、大学、将来人材への重要な投資。研究者や教育者が革新的な原子力研究を進め、科学的なブレイクスルーを実現できるよう、DOEは必要なリソースと資金の提供に取り組んでいる」と語った。今回の助成は、全米19州にある大学・国立研究所・企業を対象に、初期段階にある研究活動を以下2分野に焦点を置いて実施するもの。原子力研究開発(R&D): 43プロジェクトに対し、原子力研究開発と研究施設へのアクセスを支援。卓越した若手研究者育成プログラム: 原子力分野における新たな研究領域を開拓し、ミッションクリティカルな研究を推進する革新的研究・教育プログラムを開発する、優秀な若手大学教員3名を支援。今回の助成資金は、以下のプログラムから拠出される。Nuclear Energy University Program (NEUP)Integrated Research ProjectsNuclear Science User Facilities (NSUF)なお、DOE原子力局は昨年12月、原子力教育を強化するため、K-12世代(幼稚園から高校まで)や職業訓練学校、カレッジの学生を対象に、大学の研究炉へのアクセスを拡大し、原子力科学、工学、技術の認知度を高め、原子力分野への関心を促進することを目的に、3大学に59万ドル以上を助成することを明らかにしている。T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「本助成は、学生が原子力科学と工学を学び、将来的に原子力エネルギー分野でのキャリアを追求するために必要な訓練を受けるための入り口を提供するもの」と指摘。DOEによる原子力人材パイプラインを拡大する数多くの方策の一つであるとした。大学の原子炉共有・普及プログラムへの助成により、既存の研究炉を持つ大学が他の教育機関とリソースや施設を共有することを奨励する。DOEは以下の3大学の活動に対し、それぞれ最大20万ドルを助成する。ウィスコンシン大学マディソン校のミッドウエスト原子炉共有コンソーシアム: セミナー、短期コース、ワークショップを通じて原子力科学、工学、技術の認知度を高めるために、原子炉リソースを共有。ペンシルベニア州立大学の放射線科学・工学センターの原子炉共有アウトリーチプログラム: 教員ワークショップや実験を支援する助成を通じて既存の教育・アウトリーチプログラムを拡大。ノースカロライナ州立大学のPULSTAR原子炉アウトリーチ&シェアリング(K-12機関対象): 原子力に関心のある高校生向けの短期コースを開発し、労働力育成を促進。DOEは2009年以降、原子力分野における研究の推進と次世代の原子力分野のリーダー育成のために、学生や教員に累計10億ドル以上の資金を供与。今後も各種助成を通じて、大学やカレッジが原子力エネルギー研究開発施設へのアクセスを増やすための方法を模索し続けていくとしている。
12 Mar 2026
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フランス・パリで3月10日、フランス政府と国際原子力機関(IAEA)共催による第2回「原子力エネルギー・サミット」が開催された。原子力エネルギー利用に対する世界的な関心が高まる中、国家元首や政府首脳、国際機関や金融機関のリーダー、業界の専門家が一堂に会し、主要なエネルギーおよび気候課題に対処する上での民生用原子力エネルギーの役割について議論した。原子力は現在、世界の総発電電力量の約10%を占めており、多くの国で低炭素かつ安定した電源として、再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担っている。2025年9月、IAEAは5年連続で原子力拡大の予測を上方修正し、世界の原子力発電設備容量が2050年までに倍増する可能性があるとの見通しを発表。電力需要の増加、脱炭素化の必要性、エネルギー・セキュリティを背景に、同サミットは国際協力を強化し、民生用原子力の安全かつ持続可能な発展にむけた具体的な解決策を模索する重要な機会と位置付けられた。2024年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された前回のサミットをふまえ、本サミットでは原子力発電国と、原子力導入を検討している新興国との間で国際協力を推進するとともに、国家、国際機関、金融界、産業界間のパートナーシップを促進させて、気候目標に沿った、安全で経済的に実現可能な民生用原子力エネルギーの開発の基盤を築くことを目的としている。さらに、2026年春に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、最高レベルの安全、安全性、核不拡散の確保という国際的な公約に沿った原子力エネルギーの平和利用を強調している。サミット冒頭、フランスのE. マクロン大統領は、民生用原子力発電がエネルギー・セキュリティの確保に寄与しており、「フランスの2025年の原子力発電電力量は約3,700億kWhを記録し、900億kWh以上のカーボンフリー電力を輸出した。原子炉の国内における新規建設プログラムも前進している。より不安定で、断片化し、不確実な世界において、それは主権の選択であり、競争力の選択であり、未来への保証でもある。フランスはこの選択をした」と強調した。続けて、IAEAのR. グロッシー事務局長は、「原子力は、低炭素で天候や燃料供給の混乱の影響を受けにくい安定した電源として、エネルギー・セキュリティと電力システムの安定に寄与する。再生可能エネルギーの導入を支えるベースロード電源として、AIの普及などによる電力需要の増加にも対応可能。現在、約60か国が導入を検討しており、原子力の拡大には予測可能な政策、強固なサプライチェーン、資金調達、標準化の推進が重要となる。IAEAは国際金融機関と連携し、各国の原子力導入を支援している」と語った。欧州委員会のU. フォンデアライエン委員長は、欧州は、化石燃料を高価で不安定な輸入に完全に依存し、現在の中東危機はその脆弱性を痛烈に思い知らせたと言及。「1990年は欧州の電力の3分の1が原子力由来だったが、現在は15%程度に過ぎない。欧州が、信頼性が高く廉価な低排出電源である原子力に背を向けたのは戦略的な誤りだった」と述べた。「欧州には自国産の低炭素エネルギー源が必要だ。原子力と再生可能エネルギーの組み合わせが重要であり、原子力は24時間、年間を通じて電力供給が可能である」と原子力の優位性を強調。そのうえで、「欧州には主導権を握るための全てが揃っている。原子力分野には50万人の高度な技能を持つ労働者がいる。欧州が次世代原子力エネルギーの世界的拠点となるために、我々は迅速かつ大規模に前進する意欲がある」とし、「2030年代初頭までにSMRの欧州における実用化を支援するため、革新的原子力技術への民間投資を後押しする2億ユーロの保証枠を創設する」と新たなSMR戦略を明らかにした。その後、各国首相および政府首脳の声明が行われ、午後には、パネルおよび円卓会議で、エネルギー転換およびカーボンフリー電力へのアクセスにおける原子力の役割、特に新規導入を検討する諸国の原子力プロジェクトを支える資金調達、SMRを含む先進炉技術とイノベーション、産業利用の可能性のほか、燃料供給保証、使用済み燃料や廃棄物の管理、施設の建設・運営に必要なスキルやサプライチェーンの開発などについて議論された。なお、同サミットにおいて、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28、於UAE・ドバイ)で署名された、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍にするという「原子力の三倍化宣言」にあらたに、ブラジル、ベルギー、中国、イタリアが署名した。今年3月初めに署名した南アフリカと併せ、署名国は38か国((アルメニア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、日本、カザフスタン、ケニア、韓国、コソボ、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ナイジェリア、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、セネガル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、アメリカ合衆国 (以上38か国)))に拡大した。
11 Mar 2026
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米GEベルノバ日立ニュクリアエナジー(GVH)社とポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は2月24日、GVH社製小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」のポーランド向けの汎用設計を進める契約を締結した。「Poland Generic Design Agreement(PGDA)」と呼ばれる契約締結後、OSGE社はBWRX-300の詳細設計の開発に投資。同設計は、ポーランド国内でSMRプロジェクトを進める際の基準設計(リファレンス設計)となる。契約署名式典に参加したポーランドのM. モティカ・エネルギー相は、「ポーランドは、SMR技術において欧州のリーダーとなる潜在力を持っており、今回の契約締結は、その目標に向けた重要な一歩。安定した脱炭素の電力システムと産業向けの予測可能な市場環境の確保に向け、ポーランドは大型炉とSMRの両方の開発を並行して進めている。SMRはエネルギー多消費型産業にとって重要なベースロード電源となり、電力価格の安定に寄与、国内の原子力サプライチェーンの成長を促す。電力需要が増加し続ける中、両方の技術の導入が不可欠である」と強調。同省のW. ヴロースナ次官兼エネルギー・インフラ担当政府全権代表も、「汎用設計は、同型の原子炉を標準化して多数展開するための基盤となり、建設コストを下げ、競争力を高めることができる。ポーランド企業が先進的な原子力プロジェクトに参加する大きな機会にもなる」と語った。OSGE社は、ポーランドの規制に適合した設計を同国内の複数の地点におけるBWRX-300の展開に適用し、設計の標準化とサプライチェーン整備を通じてコスト削減を実現、電力価格の低減に貢献したい考えだ。BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代BWR。2014年にNRCから設計認証(DC)を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)のダーリントン・サイトでBWRX-300初号機が2020年代末までに完成予定だ。原子炉圧力容器などの主要部品は製造中であり、現場工事は計画通りに進んでいる。米原子力規制委員会(NRC)は、テネシー峡谷開発公社(TVA)がテネシー州オークリッジ近郊に所有するクリンチリバー・サイトに米国初のBWRX-300を建設する申請を受理し、審査中である。
10 Mar 2026
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チェコと韓国は、チェコのドコバニ原子力発電所の増設プロジェクトの調整を行う閣僚級の共同運営委員会の設立で合意し、2月16日にチェコの首都プラハで初会合を開催した。同会合では、同プロジェクトのサプライチェーンにチェコ企業が参加する契約も締結された。チェコは既存のドコバニ発電所(ロシア製PWR=VVER-440×4基、各51万kWe)の隣に2基を増設する計画だ。2024年7月、韓国水力・原子力(KHNP)はドコバニとテメリン両原子力発電所における最大4基の増設プロジェクトの主契約者をめぐる優先交渉権を獲得し、2025年6月、プロジェクト会社のドコバニⅡ原子力発電会社(EDU II、政府が80%、チェコ電力ČEZが20%所有)とドコバニ発電所5・6号機向けにAPR1000×2基の増設契約を締結した。総事業費は1基あたり約2,000億コルナ(約1.5兆円)を想定。2027年には建設許可を取得し、2029年に建設を開始、2036年に5号機の稼働開始を見込んでいる。チェコのK. ハヴリーチェック産業貿易相兼第一副首相は、増設はチェコの家庭や企業が廉価で安定したエネルギーを確保するために不可欠とし、「ドコバニ増設プロジェクトは、前政権のもとで推進され、当時の工程表は今も維持されている。今後も予算とスケジュールを厳格に守る。チェコ企業の参画も重要。そのため、金長官とともに閣僚級の運営委員会を設立し、プロジェクトの進行、財務計画、チェコ企業の建設参加進捗を継続的に監督していく」と述べた。韓国の金正官・産業通商部長官は、「本プロジェクトは単なるインフラプロジェクトではなく、今後数十年にわたり両政府と企業間の強い連帯と協力の象徴であり、アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所建設プロジェクトに続き、韓国の原子力発電所建設の競争力を世界に再び証明する機会となる」と述べ、テメリン発電所の増設でも協力することへの期待を示した。本運営委員会は、両産業省間で設立されたサプライチェーン・エネルギー対話(SCED)の枠組みの下で活動を開始。両国の産業大臣に加え、主契約者である韓国水力・原子力(KHNP)とプロジェクト会社であるドコバニⅡ原子力発電会社(EDU II)の代表が参加する。EDUⅡのP. ザボドスキーCEOは、「チェコ企業の参加は、数十年にわたる運転や保守の観点からも重要。停止期間や近代化への柔軟性、問題発生時の迅速な対応、自立した高い能力維持につながる」と指摘した。チェコは、プロジェクトへの自国企業の関与を建設完了までに60%達成を目標にしている。KHNPによると、現時点でチェコの約160企業がドコバニ5・6号機向けのサプライヤーとして登録手続きを行っているという。なお、今回締結された主な契約は以下のとおり。KHNP-ÚJV Řež : ÚJV Řež(原子力研究・技術企業)傘下のEnergoprojekt Prahaが許認可・ライセンス手続きを支援韓・斗山エナビリティ-斗山シュコダ・パワー(チェコ・プルゼニ): 蒸気タービンおよびタービン制御システムを供給(3,200億ウォン、約352億円規模)斗山エナビリティー社は、斗山シュコダ・パワー社との初の共同原子力新建設プロジェクトとして重要な節目であるとし、シュコダ・パワー社の豊富な製造経験と、韓国の原子力部品関連の専門知識を組み合わせた相乗効果をめざしている。150年以上の歴史を持つシュコダ・パワー社は、チェコ、スロバキア、フィンランドの3か国の原子力発電所向けに合計26基の蒸気タービンの供給実績を有しており、2009年に斗山グループが買収した。今回の初会合では、第三国市場での共同事業の可能性やテメリン発電所における増設、原子力分野の研究開発協力などについても協議したという。
10 Mar 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は3月4日、米先進炉開発ベンチャーのテラパワー社傘下のUS SFR Owner(USO)に対し、ワイオミング州に建設予定のケンメラー発電所1号機(ナトリウム冷却高速炉「Natrium」、34.5万kWe)の建設許可を発給した。商用炉としてはアルビン・W・ボーグル3・4号機(PWR=AP1000、125.0万kW×2基)以来、10年ぶりの建設許可発給。非軽水炉としては、40年以上ぶりとなる。NRCのホー・ニエ委員長は、「米国における先進原子力にとって歴史的な前進であり、厳格かつ独立した安全審査に基づき、適時かつ予見可能な判断を下すという当委員会の取組みを示すもの」と語った。テラパワー社は2024年3月、既存の石炭火力発電所近傍のサイトへのNatrium炉の建設を計画し、建設許可申請をNRCに提出。NRCは2024年5月に申請を受理し、正式な審査を開始、当初予定の27か月の審査スケジュールを短縮し、18か月未満で技術審査を完了した。なお、発電所の運転には別途、運転認可の申請とNRCによる承認が必要である。「Natrium」は出力34.5万kWeで、必要に応じて最大50.0万kWeまで出力を高める熔融塩を用いたエネルギー貯蔵システムを備えている。同1号機は、米エネルギー省(DOE)の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)を通じて官民連携により開発され、2030年に完成予定だ。Natrium炉およびエネルギー貯蔵システムについては、テラパワー社は2025年10月、英国の安全・環境基準への適合性を確認する包括的設計審査(GDA)に申請しており、2026年2月、英政府により受理された。GDAは、英国で初めて導入される炉型に対して実施される設計認証審査。Natrium炉にとっては、国際市場での展開を見据えた最初の規制上のステップである。テラパワー社は今後数か月間、エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)、原子力規制庁(ONR)、環境庁(EA)と連携し、最終的に英国へのNatrium炉導入に向けた取組みを推進していくとしている。
09 Mar 2026
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デンマークの原子力技術開発企業、コペンハーゲン・アトミクス社は2月9日、同社施設で実施している熔融塩ポンプおよび試験ループの2年間の連続運転の達成を発表した。同社によると、高温熔融塩環境下での長期耐久試験としては世界最長級としている。同社が開発中の小型トリウム熔融塩炉(MSR)に不可欠な主要機器の信頼性を裏付け、商用化や将来の規制審査に向けた重要な節目となる。同社は2010年代から熔融塩炉の開発を進め、2030年代初頭の商業展開を目指している。同社の原子炉はコンテナ型モジュールとして工場で製造され、1基あたり10万kWの熱出力を供給する設計。将来的に組立ライン方式による量産を想定し、1つの生産ラインで1日1基以上の製造を目標としている。2023年には英国の包括的設計審査(GDA)を申請しており、今回の長期連続運転実績は、こうした規制プロセスを見据えた技術的裏付けの一つとみられる。熔融塩炉では、液体燃料または冷却材を600度超の高温で長期間循環させる必要があり、ポンプの長期安定運転の実証は設計の妥当性を確認する基礎となる。今回の試験は核分裂反応を伴わないものの、実機で想定される条件を再現した統合試験設備で実施し、データを蓄積してきたという。また同社は2月19日、ノルウェーのレア・アース・ノルウェー社と基本合意書(LoI)を締結した。同社は欧州最大級のレアアース鉱床の一つとされるフェンスフェルテット鉱床の開発を進めている。同鉱床はレアアースとともにトリウムを含むことが知られており、合意は炉の燃料サイクルに関わるトリウム資源への将来的なアクセス確保を目的とする。今回の基本合意書では、両社が技術、商業、規制面で協力する枠組みを定めている。フェンスフェルテット鉱床ではレアアース採掘に伴い副産物としてトリウムが発生する。同社はトリウム資源へのアクセス確保を図る一方、レアアース開発側にとっても資源の有効活用となる。
09 Mar 2026
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米戦争省(国防総省)とエネルギー省(DOE)は2月15日、Valar Atomics社の試験用マイクロ炉Ward 250(燃料未装荷)を米空軍のC-17グローブマスターIII機に搭載し、カリフォルニア州のマーチ空軍予備役基地から、ユタ州のヒル空軍基地に輸送した。「Operation Windlord」と名付けられた同プロジェクトは、原子炉の空輸として米国史上初となる。Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWeのマイクロ炉。試験と評価のため、ユタ州にあるサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)へ運搬される。戦争省は、「Ward 250のようなマイクロ炉は、軍事基地のエネルギー安全保障を確保し、民間の電力網への依存を低減する。さらに、海外での軍事作戦においても、敵による燃料供給の途絶を懸念することなく米軍の活動を可能にする」と指摘。また、米国全体のエネルギー安全保障の向上にも資するとし、2025年5月に発出された一連の大統領令「原子力産業基盤の再活性化」、「エネルギー省における原子炉試験の改革」、「原子力規制委員会の改革」、「国家安全保障のための先進原子炉技術の配備」に沿った取組みであると強調している。調達・維持を担当するM. ダフィー戦争省次官は、大統領の原子力イニシアチブの推進には、エネルギー省と戦争省のパートナーシップが不可欠と述べ、「このパートナーシップにより、エネルギーレジリエンスと国家安全保障の強化、先進的な原子力技術の開発、評価、配備が可能になる」と評価。また、AIデータセンターや指向性エネルギー兵器、宇宙およびサイバーインフラなど、次世代の戦争に必要な能力に言及し、敵よりも速く動き、驚異的な速さで勝利させるシステムの構築には、軍独自のエネルギーインフラが必要、との認識を示した。そのうえで、「今日は、そのシステムの構築に向けた記念すべき一歩。産業基盤とそのイノベーション能力を支援し、必要とされる場所への回復力のある電力供給を加速する」と語った。DOEのC. ライト長官は、米国は今回のようなマイクロ炉の活用により原子力ルネサンスを目指しているとし、「米国の原子力ルネサンスは、民間資本と米国のイノベーションと決意をもって、迅速かつ慎重にボールを再び動かすことだ」と強調。今年7月4日までに3基の試験炉の臨界達成、順調に稼働することへの期待を示した。Valar Atomics社は2025年8月、DOEが支援する先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」に参加する10社の1社に選定された。翌9月には、同プログラムを支援する燃料製造ライン構築のパイロットプログラムに参加する4社のうちの1社にも選ばれている。また同月、USRELサイトにおいて、Ward 250の起工式を開催した。
05 Mar 2026
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英国政府は2月4日、国内で民間主導の先進原子力プロジェクトを推進する政策パッケージ「先進原子力フレームワーク(Advanced Nuclear Framework)」を公表した。小型モジュール炉(SMR)などの革新炉技術の開発・商業化を支援する枠組みを整備し、投資判断の透明性を高めることで、民間資金の参入を促す狙い。フレームワークは、民間主導のSMRや先進モジュール炉(AMR)、マイクロ炉(MMR)などを対象とする。柱となるのは「パイプライン」制度で、民間からの提案を技術成熟度や資金計画などの観点で評価する。基準を満たした案件は政府の原則的支持を受け、投資家の信頼向上や将来的な収益支援・リスク軽減措置の検討対象となる。審査はエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)とGreat British Energy – Nuclear(GBE-N)が共同で担う。 原則的支持は、政府による事前審査を経た案件であることを示すもので、投資家にとっては政策的不確実性の低減につながる。ただし、将来の収益安定策や重大リスクへの対応についてはDESNZと協議する余地を残す。また、英政府系ファンドのNational Wealth Fund(国家投資基金)が、民間資金を呼び込む目的で出資などに関与する可能性があるとしている。 さらに、事業者向けに設計審査や立地許認可手続きの円滑化を支援する「コンシェルジュ型サービス」を提供する。英国の計画制度や規制要件などへの適合に向けた助言を行い、制度面の不確実性の低減をはかる。パイプライン制度と並行して案件形成を支援する。 P. ヴァランス科学・イノベーション・研究・原子力担当大臣は、「先進原子力分野で先行する機会を捉え、産業が発展するための環境整備を進めている」と強調した。EDFエナジー社のSMR開発ディレクター、J. ボウイ氏も、政府の枠組みが資金調達環境の改善に資するとの見方を示し、策定を歓迎した。パイプラインへの申請は3月から受け付ける予定。政府は本フレームワークを、近年強化されている原子力投資政策の一環と位置付け、原子力分野への投資拡大を奨励する方針だ。
04 Mar 2026
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クロアチアのA. シュシュニャル経済大臣は2月17日、政府が議会に「民生用原子力エネルギー開発法案」を提出したことを受け、政府会合で法案を説明。同法案は同国における原子力開発のための法的枠組みを初めて体系的に整備するものであり、エネルギー・セキュリティの強化、経済競争力の向上、電力システムの長期的な持続可能性確保にむけた戦略的な一歩であると強調した。同大臣は、電力消費が増加し気候目標がますます厳しくなる中、原子力発電が安定的で低炭素、かつ長期にわたって低コストなエネルギー源であると指摘。そのうえで、同法が必要とされる理由について、クロアチアが経済競争力、エネルギー・セキュリティ、カーボンニュートラルの達成という3つの課題に直面していることを挙げ、「2040年までに電力需要の少なくとも30%を原子力でまかなうことを目標とする」と述べた。同法は今後の手順も定めており、エネルギー担当大臣が法律採択後6か月以内に、専門的調査・分析の基礎となる活動プログラムを策定することを規定。政府はその後12か月以内に、包括的な原子力開発計画を採択する。原子力発電所の立地については、すべての専門的・規制上の手続きを経た後、特別法によって決定する。「本法により、クロアチアは新たなエネルギー源を選択するだけでなく、エネルギー・セキュリティ、気候変動への責任、技術進歩へのコミットメントを示す戦略的決定を行う」と述べ、必要な調査、分析、戦略の準備、そしてクロアチアにおける将来の原子力発電所建設計画を実現するための活動を開始すると説明した。クロアチア経済省は2025年2月、同省関係者に加え、産官学の原子力専門家らが参加する原子力作業部会を設立している。原子力発電に関する法的枠組みの整備や独立した原子力機関の設立に向けた条件整備、原子力オプションを含むエネルギー開発シナリオの策定・分析を行う。また、従来型大型炉または小型モジュール炉(SMR)の潜在的な立地調査の準備のほか、最適炉型の選択にむけ、従来型大型炉と比較したSMRの財務的・経済的側面からの分析を実施する。さらに経済省は、原子力専門知識の維持・発展、人材育成を確実に実施する緊急措置が必要とし、官学が連携して原子力分野の教育プログラム設立を推進するイニシアチブを推進している。クロアチアには原子力発電所がなく、隣国のスロベニアのクルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kWe)をクロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivreda(HEP)と国営スロベニア電力(GENエネルギア)が共同所有。同発電所はクロアチアの総発電電力量の約16%をまかなっている。スロベニアではクルスコ増設(JEK2)プロジェクトが進められているが、クロアチアは現在、参加していない。
03 Mar 2026
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米ソルスティス(Solstice Advanced Materials)社は2月10日、イリノイ州に立地するメトロポリス・ワークス(MTW)プラントにおいて、2026年に六フッ化ウラン(UF₆)の生産量を10,000トン(10kt)へ拡大することを発表した。これは、2024年に計画していた生産能力から約20%の増加となる。ソルスティス社は先端材料の専門企業。2025年10月、米国の多国籍企業であるハネウェル社からスピンオフし、MTWの所有・操業ライセンスを引き継いだ。MTWは60年以上の操業実績がある米国で唯一のUF₆転換施設であり、世界各地の鉱山から供給されるウラン精鉱をUF₆へ転換している。転換後のUF₆は、他事業者による濃縮や燃料加工により、原子炉用燃料として利用。米原子力規制委員会から2060年まで有効な操業許可を取得済みである。同社は、UF₆に対する高い需要を受け、2023年の操業再開以降、MTWでのボトルネック解消プロジェクトに投資。今回の生産規模の拡張は、20億ドル超の受注残高に支えられており、その多くは国内の電力会社など長期顧客からの注文だという。米国が掲げる「2050年までに原子力発電能力を4倍にする」という目標が後押ししていると見ている。MTWは2017年~2023年にかけて、市場環境の悪化により一時的に操業を停止していたが、2023年7月に操業を再開した。米エネルギー省の支援も一部受けながら、ソルスティス社はMTWにおける生産能力増強に向けた新規プロジェクトを検討中。並行して、大手エンジニアリング・調達・建設(EPC)企業を起用し、能力拡張に向けた初期エンジニアリング分析を実施しており、顧客と長期供給に関する協議も開始した。ソルスティス社とゼネラル・アトミックス社の折半出資の合弁会社であるコンバーダイン(ConverDyn)社が、MTWで生産されるすべてのUF₆の独占的販売代理を務めている。
03 Mar 2026
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昨年12月30日に臨界を達成した、インドのタラプール原子力発電所1号機(BWR、16万kWe)が2月16日、送電網に接続、定格出力を達成した。同機は運転期間延長に向けた大規模改修工事のため、2020年1月以降、運転を停止していた。改修工事では、原子炉再循環配管の高耐食性材料への交換、3Dレーザースキャン、タービン発電システム改修、電気システム改良などを実施した。同機は1969年10月に営業運転を開始したインド最古の原子力発電所であると同時に、世界で現在運転中の原子炉の中でも最長の運転実績を有する。同2号機も同型で、両機は同時に営業運転を開始しており、現在は改修工事中だ。なお両機は、インドの商用炉では唯一のBWRである。同サイトではほかに3・4号機(国産加圧重水炉=PHWR、各56万kWe)が、2005~2006年から運転中。また、政府が掲げる「原子力エネルギーミッション」の下、バーバ原子力研究所(BARC)において開発中の実証用SMRのBSMR-200(PWR、20万kWe)、SMR-55(PWR、5.5万kWe)の先行炉の建設が提案されている。同発電所を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)は、タラプール1号機の運転再開をインドの原子力発電の歴史における画期的な出来事とし、クリーンエネルギー、技術的強靭性、そして国家の長期的なエネルギー安全保障上における重要な一歩であるとしている。カイガ5・6号機が着工3月1日には、カイガ原子力発電所5・6号機(PHWR、各70万kWe)が着工した。NPCILは、同日の初コンクリート打設から約60か月で、5号機の初臨界達成を見込んでいる。同建設プロジェクトでは初の取組みとして、掘削、原子炉建屋、タービン建屋、原子力計装などそれぞれの工事を少数の大規模EPC契約に集約する方式を採用、工期短縮と業者間のインターフェース問題の低減を図っている。現在、同サイトでは1~4号機(PHWR、各22万kWe)が2000~2010年代初めから運転中である。70万kW級の国産PHWRのうち、カクラパー3・4号機、ラジャスタン7号機はすでに営業運転中。NPCILは、計16基からなる70万kW級PHWRをすべて、2031年までに運開予定だ。インド原子力省(DAE)は同年までに原子力発電設備容量を現在の888万kWeから、PFBR(高速増殖原型炉、50万kWe)を含めて、2,248万kWeに増強する計画である。
02 Mar 2026
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フランス政府は2月12日、第3次エネルギー複数年計画(PPE3:2026〜2035年)の政令を発表した。PPE3は、原子力比率引き下げ方針を事実上撤回し、既存炉の長期運転と新設を軸に据える戦略へと大きく舵を切った点が最大の特徴だ。PPEは、2015年8月のエネルギー転換法の制定を受け、今後10年のエネルギー政策や戦略的優先事項・施策を規定するもの。PPE3は、2022年から開始された国会・地方議員との長期間の協議、2025年春の国会討議に加え、2025年12月に送電系統運用者RTEが公表した将来シナリオなどに基づき策定された。脱炭素化され、主権的かつ競争力のあるエネルギーシステムを構築するため、2035年までに電力生産を拡大する計画を通じ、2050年までのカーボンニュートラル達成への道筋を示すものである電力生産と脱炭素目標については、2035年の脱炭素電力生産目標を6,500億〜6,930億kWh(2023年は4,580億kWh)化石燃料由来のエネルギー消費を2035年には約3,300億kWeまで削減する(2023年は約9,000億kWh)2030年にエネルギーの60%を脱炭素化、2035年には70%にを掲げている。この目標達成には、大幅な電化も不可欠であり、産業、建築、輸送、デジタル分野を支援するため、政府は国家電化計画を始動。原子力と再生可能エネルギーを組み合わせた、バランスの取れたエネルギーミックスをめざすとしている。なお、エネルギー施設の設置、生産、送電網への接続および配電に関連する総コストを考慮に入れたコスト管理の徹底と、エネルギー主権に根差した、バリューチェーンの確保および欧州内での一体管理のため、欧州製の設備に基づく生産方式の優先を強調している。前回の第2次PPE(2019~2028年対象)では、再生可能エネルギーの大幅な導入と並行して、原子力依存度の引き下げが柱とされた。2035年までに原子力比率を当時の71%から50%へ低減する方針を掲げ、90万kW級原子炉14基の閉鎖を想定。最も古いフェッセンハイム発電所の2基は2020年に閉鎖された。今回のPPE3では、原子力重視への明確な転換が示され、原子力発電量目標(2030〜2035年)を3,800億〜4,200億kWh/年(2023年の3,200億kWhに対して)としている。フランス電力(EDF)は2月20日、今後数年の原子力発電量の展望として、2026~2027年に3,500〜3,700億kWh、2028年には3,450〜3,750億kWhと示している。また、PPE3では、既存原子炉の運転期間延長:50年または60年EPR2×6基建設(初号機は2038年に稼働開始)追加8基の建設判断を2026年に実施2030年代初頭に小型モジュール炉(SMR)初号機の着工燃料サイクルのバックエンド事業の施設更新目標の具体化を掲げ、原子力分野への政策的コミットメントを示した。また、PPE2では原子炉14基の閉鎖方針を示していたが、新規建設と既存炉の運転期間延長の方針を明確にした。再生可能エネルギーについては、水力発電への投資の再活性化、洋上風力発電の加速、および陸上の再生可能エネルギー(太陽光、風力発電)の開発を合理的かつ現実的に推進。電化が困難なエネルギー部門については、バイオメタン、水素、再生可能熱、バイオ燃料などの脱炭素代替エネルギーの利用を推進するとしている。また政府は、再生可能エネルギーへの支援を最適化し、総コストを削減。平均的な電気料金に関するモデルにおいて再生可能エネルギー支援の国家負担額が約半減すると予測している。さらに政府はPPE3の実施により、年間約600億ユーロに及ぶ化石燃料(石油とガス)の輸入依存を低減、2030年までに12万人以上の新規雇用創出(特に原子力、太陽光発電、洋上風力発電分野で顕著)などの経済・雇用効果を見込んでいる。原子力産業界は、電力システムのバランスを考慮した可視性のあるPPE3を高く評価し、原子力産業の持続可能性と発展に対する国の強力な支援を歓迎した。EDFは、EPR2建設、既存炉の運転期間延長、水力発電への投資の再活性化を進めるとともに、再生可能エネルギー分野、とりわけ洋上風力における技術と専門性を維持していくとし、オラノ社は、燃料サイクル全体における長期的な投資の見通しを評価している。
02 Mar 2026
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米イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は2月18日、新規原子力発電の導入加速に向けた州知事令(Executive Order 2026-01)を発出。イリノイ州電力庁(IPA)およびイリノイ州商務委員会(ICC)に対し、60日以内に新規原子力発電所の建設を検討する事業者を対象とした照会通知(NOI, Notice of Inquiry)を行うよう指示した。照会項目には、設備容量および小型モジュール炉(SMR)を含む炉型、資金調達の枠組み、候補サイト、系統接続の可否、建設コストおよび運転開始時期、労働力需要、廃棄物処分を含む燃料管理計画などが含まれる。既設サイトの拡張や出力増強も対象としており、最終的に新設または既設炉の出力増強により合計出力200万kW超の原子力設備を導入することを目標とし、2033年までに着工する方針だ。また、ICCは新規原子力施設の立地受入れに関心を示す地域社会を対象とする第2のNOIを発出し、有望な候補地を少なくとも1か所選定する方針。土地や水資源の確保状況、地元コミュニティの支持、経済開発上の特性、既存送電インフラ(閉鎖あるいは閉鎖予定の発電所を含む)の活用可能性などに関する情報提供を要請する。さらに、IPA、ICC、商務経済機会局(DCEO)など関係機関およびイリノイ大学を含む省庁横断ワーキンググループを設置し、新設または出力増強を想定した制度・規制面の課題を検討、NOI公表から120日以内に州知事室へ報告する。必要に応じて、立法措置を検討する。その他、DCEOは新規原子力発電所の建設・運転に必要な人材需要を洗い出し、トレーニング計画を策定するほか、2027会計年度(26年10月~27年9月)に原子力関連の訓練アカデミー設立への予算措置を検討する。州内サプライチェーンの強化に向けた報告書も2026年9月までに作成する。イリノイ州では現在、6サイトで11基の原子炉が運転中で、全米最大の原子力発電電力量を誇る。今回の州知事令により、約40年ぶりとなる新規導入に向けた具体的検討が本格化する。同州では2021年制定の「Climate and Equitable Jobs Act(CEJA)」に基づき、2050年までに100%クリーンエネルギーを実現する目標を掲げている。2023年にはSMRに限り建設禁止を解除したが、大型炉については需要家負担増への懸念から州知事が拒否権を行使していた。しかし今年1月、「Clean and Reliable Grid Affordability Act(CRGA)」に知事が署名し、新規原子炉建設に関する州内モラトリアムを全面的に解除された。2月の施政方針演説では、州内の原子力発電の優位性を強調し、需要増および電力価格抑制の観点から、追加的な原子力導入の必要性を表明した。
27 Feb 2026
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