
スロバキアのモホフチェ原子力発電所4号機(VVER-440, 47.1万kWe)は8月6日、初臨界を達成した。同機では6月29日に燃料装荷が始まった。今後、様々な出力レベルでの試験を実施し、運転条件下における発電所の全システムの挙動を検証、送電網に接続する準備を整える。モホフチェ4号機が稼働を開始すれば、スロバキアの電力消費量の77.5%を原子力発電が賄うことになり、スロバキアは世界で最も原子力発電の割合が高い国の一つとなる。スロバキアでは現在、モホフチェ発電所で3基(1~3号機、VVER-440)、ボフニチェ発電所で2基(3~4号機、VVER-440)の計5基が運転中。両発電所の運転者はスロバキア電力で、2024年3月には石炭火力発電所をすべて閉鎖し、原子力発電、水力発電、太陽光発電による脱炭素電源100%を達成している。また、電力需要の増加を受け、政府はボフニチェ発電所5号機に最大出力120万kWeの新設を計画。米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000の採用が有力視されており、今年4月末、米国、スロバキア、WE社間で基本設計(Front-End Engineering Design, FEED)調査の開始で合意されている。
12 Aug 2026
252
ギリシャの閣僚会議において7月30日、原子力発電の役割を評価し、政府に正式な勧告を行うための省庁間委員会の設置が閣議決定された。K. ツォタキス首相は閣議決定に際し、原子力発電所の建設そのものではなく、同国が国際的な動向に後れを取らないよう早期に科学的調査を行う、明確な枠組みの策定の必要性を強調。多くの国が小型モジュール炉(SMR)に注目する中、省庁間委員会が中心となりあらゆる情報を把握し、精査する役割を担うと述べた。同首相は今年3月にパリでフランス政府と国際原子力機関(IAEA)が共催した第2回「原子力エネルギー・サミット」に出席し、ギリシャが特に小型モジュール炉(SMR)を同国のエネルギーミックスに組込むことを検討していくと表明した。電力需要の増大が予測される中、再生可能エネルギーの拡大に加え、長期的には予測可能なベースロード電源が必要であり、エネルギー自立、経済的競争力、脱炭素化の達成には、原子力が不可欠と強調。政府へ具体的な提言を行うハイレベルな閣僚委員会を設置すると述べた。さらにSMRの活用事例として、海運における原子力利用が海運業界の脱炭素化に寄与する解決策になると指摘し、世界有数の海運国として主導的役割を担っていく考えを示している。ギリシャでは1960年代~1970年代にかけて原子力導入の可能性が検討されたが、安価な褐炭の利用が可能であったため、原子力発電への転換には至らなかった。また、1986年のチョルノービリ事故は、同国で原子力発電利用に反対する気運を高め、近隣諸国の事故から影響を受けることへの懸念も強まった。現在は再生可能エネルギーに注力し、発電量の半分以上を風力および太陽光発電で賄い、電力の純輸入国から純輸出国となっている。一方で、AIを支えるデータセンターと電化の進行により、ギリシャは再生可能エネルギーだけに頼らないエネルギー戦略の再考を迫られており、今回、政府が原子力発電を正式に検討する決定をしたことは歴史的な転換点といえる。
12 Aug 2026
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フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)は8月4日、ポシバ社による地上の使用済み燃料封入プラントと地下の最終処分施設の操業許可申請について、安全要件を満たしているとする意見書を雇用経済省に提出した。STUKは、オルキルオトに整備された同施設が原子力法および関連政令で定める安全基準に適合しており、放射線・原子力安全の観点から操業許可の付与を妨げる要因はないと結論付けた。操業許可の最終的な判断は政府が下すが、事前にSTUKが処分場の長期的な安全性評価を実施し、雇用経済相への意見書の提出が必要となる。STUKは操業許可の審査にあたり、施設の設計・建設状況、試験操業の結果に加え、長期安全評価や品質保証体制、運転組織・人員、放射線防護、核物質防護、緊急時対応など、多岐にわたる項目を総合的に審査。その結果、通常操業時だけでなく、施設閉鎖後の長期にわたる安全性についても十分な根拠が示されていると評価した。一方で、処分開始後も継続的な規制・監督を通じ、許認可条件の遵守状況や安全性が維持されることを確認していくこととしている。操業許可が交付されれば、最終処分施設は世界で初めて商業規模で使用済み燃料を地層処分する施設となる。STUKの安全評価を受け、ポシバ社のI. ポイコライネンCEOは、40年以上にわたって積み重ねてきた最終処分事業の成果が実を結びつつあると強調。さらに、世界で初めて商業規模で使用済み燃料を地層処分するプロジェクトであり、その技術や知見はフィンランド国内だけでなく、最終処分を進める各国にとっても重要な先例となるとし、2026年末までに操業を開始できる状態にしたいと述べた。政府は2015年11月にポシバ社に最終処分場の建設許可を発給。2016年12月に総工費約5億ユーロの建設工事が開始された。使用済み燃料は最終処分前に約40年間冷却後、地上の使用済み燃料封入プラントで二重構造のキャニスターに封入され、400〜450mの深さに建設された最終処分施設に恒久的に設置される。同社は2021年12月、最終処分場の2024年3月から2070年末までの操業許可を雇用経済省に申請。STUKは2022年5月に評価作業を開始した。雇用経済省はSTUKに対し、2023年末までに意見書を提出するよう求めていたが審査対象が複雑で、長期安全性などに関する追加確認や資料の精査に時間を要したため、STUKは提出期限を複数回にわたり延長していた。
10 Aug 2026
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仏パリに拠点を置く先進炉開発企業のニュークレオ社は7月17日、同社が開発する鉛冷却高速炉(LFR)用MOX燃料製造施設の建設に向けた安全設計・対策の基本方針について、現段階において安全確保の考え方は概ね妥当とする仏原子力安全・放射線防護局(ASNR)の見解を明らかにした。ASNRは、ニュークレオ社が2024年12月に提出した原子力安全プログラムの詳細を審査した。特に多重の安全対策(深層防護)や安全側に立った決定論的アプローチの適用、十分に高い一般安全目標の設定、および類似施設の運転経験や過去の教訓の設計への反映などから、フランスの原子力安全規制の要求を満たす見通しがあると評価した。一方で、航空機墜落の影響評価、火災の進展分析、および封じ込め原則の遵守について追加検討を求め、ニュークレオ社は今後、ASNRのこれらの勧告を施設設計に組み込み、2027年末までに予定している設置許可申請(DAC)に向けて準備を進める方針である。同社は今回の評価がフランスにおけるMOX燃料製造施設の実現に向けた重要な規制上の節目と位置付けており、現在は同様の規制審査が進められているLFRの設計についても、ASNRの見解を待っている段階である。ニュークレオ社のLFRおよびMOX燃料製造施設プロジェクトについて、国家公開討論委員会(CNDP)は同プロジェクトが環境に重大な影響を及ぼし、国土整備、社会、経済の各分野において国家的な課題を有していることから公開討論の実施を決定し、今年4月~7月にかけて実施された。同社はステークホルダー関与段階を完了した初の革新炉開発事業者となり、今後、CNDPの結論を慎重に評価し、得られた知見をプロジェクトの継続的な開発と計画に反映させるとしている。同社が開発する第4世代の鉛冷却高速炉の原型炉「LFR-AS-30」(3万kWe)は、フランス中部のアンドル=エ=ロワール県で、フランス電力(EDF)が運転するシノン原子力発電所(PWR、95.4万kW×4基)に隣接したサイトに建設される計画。2033年末までに稼働開始を目指している。LFRの燃料となるMOX燃料製造施設については、フランス東部のオーブ県に建設する計画。同施設はモジュール施設として設計されており、必要に応じて生産能力を拡大、最終的には3つの生産ラインを含む可能性があり、最初のラインは2032年に稼働を予定している。さらに、ニュークレオ社は、米国市場においてもLFRおよびMOX燃料製造施設プロジェクトの実現を目指し、今年2月下旬、これら施設の将来的な許認可取得に向け、米原子力規制委員会(NRC)に事前申請の協議に係わる意向書を提出。以後、規制プロセスに本格的に着手し、商業炉LFR-AS-200(20万kWe)の導入に向け、今年7月中旬、規制上の不確実性を早期に減らして審査プロセスを円滑にするため、審査の方向性と課題解決を事前に整理する規制協議計画(REP)をNRCに提出した。続けて8月6日にはMOX燃料製造施設の建設に関するREPを提出した。同社は使用済み燃料から回収したプルトニウムと劣化ウランを再利用したMOX燃料を自社で製造し、それを鉛冷却高速炉で利用する「燃料サイクル一体型」の事業モデルを米仏両国で確立したい考え。
10 Aug 2026
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中国国務院の常務会議は7月31日、4サイトで計8基の新設を承認した。同会議では、原子力安全の確保を大前提とし、世界最高水準の安全基準に沿った建設・運転、全分野にわたる安全管理を強化する必要性が強調された。今回承認された新設8基は、以下のとおり。■中国核工業集団(CNNC)浙江省 金七門(Jinqimen)原子力発電所(第Ⅱ期)3-4号機(「華龍一号2.0版」実証プロジェクト、各120.0万kW級)遼寧省 庄河(Zhuanghe)原子力発電所(第Ⅰ期)1-2号機(「華龍一号(HPR1000)」、各125.0万kWe)■中国広核集団(CGN)広東省 太平嶺(Taipingling)原子力発電所(第Ⅲ期)5-6号機(「華龍一号2.0版」実証プロジェクト、各120.0万kW級)■国家電力投資集団(SPIC)山東省 萊陽(Laiyang)原子力発電所(第Ⅰ期)1-2号機(「国和一号(CAP-1400)」、各154.3万kWe)「華龍一号」は、中国核工業集団(CNNC)と中国広核集団(CGN)が、40年以上にわたる原子力発電の研究開発、設計、製造、建設および運転経験を基盤として開発した、中国が知的財産権を有する第3世代PWR。今回、金七門第Ⅱ期と太平嶺第Ⅲ期にて採用が決定された「華龍一号2.0版」は、「華龍一号」の建設・運転経験から得られた知見を取り入れ、独自イノベーションと最適化を通じて開発された第3世代+(プラス)の先進型PWR。中国独自の設計基準と国産ソフトウェアを採用し、能動的・受動的安全システムを最適化。高度な自動制御技術やモジュール建設工法を取り入れ、工期を大幅に短縮、安全性、経済性を向上させ、より高い競争力を備えているという。
06 Aug 2026
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中国の広東省で8月3日、中国広核集団(CGN)の太平嶺(Taipingling)原子力発電所2号機(PWR=華龍一号「HPR1000」、112.6万kWe)が営業運転を開始した。広東・香港・マカオ大湾区初となる「華龍一号」採用の原子力発電所である。華龍一号は、中国が独自開発した第3世代炉。太平嶺原子力発電所プロジェクトは、3期に分けて建設が進められ、最終的に6基の華龍一号を建設する計画。今年7月初めに送電を開始。同型の1号機は、今年4月に営業運転を開始している。海南省では8月1日、昌江(Changjiang)原子力発電第Ⅱ期プロジェクトとなる3号機(華龍一号、120.0万kWe)が送電を開始した。同機は2021年3月に着工。同プロジェクトでは同省初となる華龍一号を2基建設、年間最大180億kWhの発電が見込まれている。同発電所第Ⅱ期は、中国華能集団(CHNG)51%、中国核工業集団(CNNC)49%の共同出資で建設され、CHNG主導の華能海南昌江核電がプロジェクト所有者として、建設・運営管理を行う。運転中の第Ⅰ期の1-2号機は、PWR=CNP-600(65.0万kWe)を採用。CNNCが51%、CHNGが49%を出資し、CNNC主導の海南核電がプロジェクトを担う。
05 Aug 2026
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スペイン原子力安全委員会(CSN)は7月16日、ポルトガル国境に近いエストレマドゥーラ州カセレス県にあるアルマラス原子力発電所(米ウェスチングハウス社製PWR, 100万kW級×2基)の運転認可更新について、2030年までの運転継続は条件付きで妥当とする肯定的評価を示した。スペインの原子力事業者であるアルマラス・トリリョ原子力発電会社(Centrales Nucleares Almaraz-Trillo= CNAT)は2025年10月、環境移行・人口問題省(MITECO)に対し、同発電所の運転期間を2030年6月まで延長するよう正式に要請。1号機は1983年9月、2号機は1984年7月に営業運転を開始しており、現行の運転認可はそれぞれ2027年11月と2028年10月までとなっている。今回のCSNによる審査では、安全関連設備の経年劣化管理、使用済み燃料の管理計画、環境条件への適合性、定期安全審査で求められた改善措置の実施状況などを総合的に評価。認可期間中も安全関連に十分な要員の確保などの運転継続に必要な条件を満たし、安全確保を前提として両機の運転継続は可能と結論付け、同評価報告書をMITECOに送付した。CSNの判断は技術・安全面に関する勧告であり、MITECO が2030年6月までの運転延長の可否を決定する。CSNの評価を受け、スペインの原子力産業団体であるForo Nuclearは、アルマラス発電所の稼働継続は、電力供給の安定性を高め、気候目標の達成に寄与するとともに、系統運用の安定性を強化すると指摘している。アルマラス発電所は、イベルドローラ(53%)、エンデサ(36%)、ナチュルジー(11%)の3社が共同所有。同発電所および関連事業を含め約4,000人が就業し、燃料交換時期には約1,200人の雇用が追加されるなど、地域経済を支える重要な雇用基盤となっている。スペインでは現在、5サイト・計7基、合計出力計739.7万kWeが運転中で、全基が40年超の運転認可を取得済み。2025年の原子力シェアは約19%を占め、稼働率は約83%。一方で、政府の脱原子力政策のもと、現行計画では2027~2035年までに順次閉鎖が予定されており、2030年までに約320万kWに縮小し(現在運転中の7基中4基が閉鎖)、2035年には0となる見込み。
05 Aug 2026
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韓国のサムスン重工業(SHI)は7月21日、米国の原子力設計・エンジニアリング大手であるサージェント&ランディ(Sargent & Lundy, S&L)社と、浮揚型小型モジュール炉(FSMR)プラットフォームの開発に向けて、戦略的業務提携(MOU)を締結した。両社は特定の炉型に依存しない「技術中立型FSMR標準プラットフォーム」を共同開発し、多様なSMR技術を搭載可能な汎用性の高い設計を目指す。SHI社は2025年12月に韓国製の一体型PWRのSMR「SMART100」×2基を搭載したFSMRの基本設計承認(AiP)を米国船級協会(ABS)から取得後、FSMR標準プラットフォームの本格的な開発に着手。同FSMRは、原子炉と発電設備の配置に区画設計方式を適用したのが特徴で、SMRが配置された区画だけ設計変更し、多用なSMRの搭載が可能。まだ多くのSMRの実用化が不透明な中、特定の炉型に依存しないために商業的に有利になると見込む。今回の提携により、SHI社の海洋プラントのEPC(設計・調達・建設)能力と、S&L社の原子力設計・エンジニアリングの知見を組合わせ、標準プラント設計、許認可取得支援、建設計画、海上展開戦略など、商用化に向けた主要段階全般で協力し、米国の海上原子力発電市場をターゲットに、早期実用化を図る方針だ。また両社は、進化する国際的および米国の規制枠組みに沿って、FSMRの技術的成熟度を高め、世界中の発電事業者や顧客に、様々な炉型の統合が可能な、柔軟な選択肢を提供していきたい考え。AIデータセンターの拡大などによる電力需要の爆発的な増加を背景に、陸上での発電所の立地確保や送電網への接続に困難な沿岸部や島しょ地域向けの有効なエネルギーインフラ需要に応えたいとしている。
04 Aug 2026
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チェコ電力(ČEZ)は7月14日、テメリン原子力発電所1-2号機(ロシア製PWR=VVER-1000、各108.6万kWe)の運転期間を80年とする運転期間延長に向けた、大規模な設備更新と近代化作業を実施することを明らかにした。タービン発電機の更新、計装制御(I&C)システムの近代化、大型機器の保守を行うための新たなメンテナンス棟の建設、冷却水配管の更新などが予定されている。これにより、同1-2号機のそれぞれ2080年と2082年までの運転を目指す。1985年から1987年にかけて順次運転を開始したドコバニ原子力発電所(VVER-440×4基、各51.2万kWe)においても80年の長期運転に向けた取組みが進められている。両発電所の運転による原子力シェアは、約4割を占める。ČEZは運転開始当初、両発電所を60年間運転する計画であったが、同社が数年間取り組んできた経済的・技術的分析に基づき、20年の運転期間延長に向けた作業の実施を決定した。ドコバニ発電所では、タービン建屋の主要設備の更新、配電盤や各種バルブの更新に加え、テメリン発電所と同様に、制御・安全システムの近代化が段階的に進められる。同社のD. ベネシュCEOは、「世界では80年運転がトレンドになりつつある。機器の状態や運用の安全性が定期的に評価される限り、現実的な対応である」との考えを示した。両発電所の長期運転の前提として、原子炉圧力容器や主要構造物などの交換が困難な設備の健全性を非破壊検査や材料劣化評価などにより定期的に確認。ČEZは安全性を最優先に、技術的・経済的条件を継続的に検証しながら作業を進める方針である。同社は両発電所での近代化と安全性強化作業に年間70億コルナ(約525億円)を投じ、雇用機会の増加、チェコ企業の長期的な受注と将来的な輸出機会の拡大に期待を寄せている。チェコの原子力発電所には法令上の運転年数の上限はなく、主要設備の技術的な状態が重要な基準となる。運転延長には、事業者が10年ごとに実施する定期的な安全評価を通じて設備の健全性や安全要件への適合性、十分な人的・財政的資源を有することを証明する必要がある。チェコの規制当局である国家原子力安全局(SÚJB)が、事業者による評価について厳格に審査を実施する。■SMR建設向け 追加2サイトを開発へČEZは7月21日、チェコ政府および英ロールス・ロイスSMR社と、小型モジュール炉(SMR)の追加建設サイトの開発に向けて覚書を締結した。現在、テメリン・サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの初期エンジニアリング作業が進行中であるが、これに加え、同国北東部のジェトマロヴィツェ(Dětmarovice)および北西部のトゥシミツェ(Tušimice)にある石炭火力発電所の跡地を想定している。これら3サイトで最大6基(総出力約300万kWe)のロールス・ロイス社製SMR(PWR, 47万kWe)を建設し、電力供給に加え地域熱供給にも活用する計画である。ČEZは2024年10月にロールス・ロイスSMR社の株式約20%を取得して戦略的パートナーとなっており、初号機は2030年代後半にテメリン・サイトに隣接して建設予定。
04 Aug 2026
536
欧州を襲う熱波の影響で、東欧全域でドナウ川の水位が急激に低下している。歴史的な低水準となった同河川の水位低下により十分な冷却水用の水を確保できず、ハンガリーとルーマニアの原子力発電所が停止や出力制限に至った。ドナウ川はドイツ南部から黒海に注ぐ国際河川。欧州ではボルガ川に次いで2番目に長く、川沿いの原子力発電所の冷却用水に利用されている。ハンガリーの首都ブダペストの南約125キロメートルに位置するパクシュ原子力発電所(ロシア製PWR=VVER-440、各50万kWe級×4基構成)は、同国唯一の原子力発電所。1983~87年に営業運転を開始し、同国の総発電電力量の約5割を供給している。同発電所は7月30日、2号機の出力を50%に制限。翌31日、P. マジャル首相は同発電所で記者会見し、「来週半ばには水位が非常に低下し、エネルギー危機の状況が生じる可能性がある」と述べた。同発電所の運転史上、初めて全面停止が必要となる見込みであるとして、国民や大口電力需要者に対して電力消費の抑制を呼びかけた。一方で、原子力安全にかかわる緊急事態は存在しないとも強調。当面は、大口電力需要者の消費抑制や一般家庭や公共部門の節約に加え、電力輸入で不足分を補う考えだ。パクシュ発電所によると、7月27日には同1号機の出力を50%に制限、8月1日には停止。7月28日には同3号機の出力を50%に制限、翌29日には停止、同31日には4号機の出力を50%に制限、8月2日に停止した。現在、2号機だけが出力を下げて運転している状態。温排水による過度の水温上昇から川の生態系を保護する規制に従い、6月末から一部の炉で出力制限して運転していたが、7月中旬には解除され、定格出力で運転が再開されていた。今回の措置の背景には、川底の土砂流出や浚渫により川床が深くなったことに加え、記録的な熱波と少雨に伴う流量の低下がある。水位が低下すると、取水ポンプの吸込口が水面より高くなり、取水できない。一方で、同発電所では、吸込配管をより深い位置へ移設するための技術的対応を開始しており、数年以内には現在よりさらに低い水位でも運転を継続できるようになると説明している。また、原子炉停止時の冷却には4基で最大2.5㎥/秒、運転時には100㎥/秒の水量が必要とされるが、水位がさらに極端に低下した場合でも、複数台の非常用ポンプの利用により、停止中の冷却状態を維持するために必要な水量は常に確保できるとしている。下流にあるルーマニアでは、首都ブカレストの東160キロメートルに位置するチェルナボーダ原子力発電所(CANDU6, 70万kW級×2基)の1号機が、ドナウ川の流量低下を受け、冷却ポンプを保護する予防的措置から7月28日に運転を停止した。2号機は水文予測と技術的パラメータの評価後、運転を継続している。ブルガリアのコズロドイ原子力発電所5-6号機(VVER-1000, 各104.0万kWe)もドナウ川から取水するが、取水ポンプ場が川岸を掘り込んで造られた取水池に設置され、川の水位が低い場合でも安定した稼働を確保。さらに、ルーマニア・セルビアが共同管理するダムの放流調整を受けて発電所付近の水位を維持し、運転を継続する方針である。今夏の熱波はフランスやスイスの原子力発電所の運転にも影響を及ぼしており、6月下旬の熱波到来以降、運転停止や出力制限が実施されている。温排水による河川の水温上昇を防ぐ環境規制に従い、フランスではガロンヌ川沿いのゴルフェッシュ2号機(PWR, 136.3万kWe)、ローヌ川沿いのビュジェイ2号機(PWR, 94.5万kWe)、ムーズ川沿いのショーB-1, B-2(PWR, 各156.0万kWe)が、スイスではアーレ川沿いのベツナウ1-2号機(PWR, 各38.0万kWe)が運転停止に至った。
03 Aug 2026
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米エネルギー省(DOE)は7月28日、国内の原子燃料サイクルの強化・近代化を目的とする「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス(Nuclear Lifecycle Innovation Campuses)」の候補地として、ユタ州、テネシー州、オクラホマ州、ルイジアナ州、アイダホ州の5州を選定したと発表した。同5州と覚書を締結し、ホストサイトとしての可能性を引き続き検討する。今回の決定は、DOEが今年1月、燃料サプライチェーンの強化、燃料サイクル全体の刷新を目的に、同キャンパスの誘致に関心を持つ全米の各州を対象に実施した情報提供要請(RFI)の結果を受けたもの。各州は2026年4月までに構想を提出。その中で、誘致を希望する活動のほか、労働力開発、インフラ投資、経済多様化、技術リーダーシップなどの推進に向けた方策について提示した。全米26州から28件の応募があり、DOEは今後、誘致を進めると選択した州と本格的な実施段階に向けたホスティング契約を締結予定。キャンパスは、燃料製造、濃縮、使用済み燃料の再処理、およびその最終処分を含む、原子燃料サイクルの活動を支援するように設計。州が誘致する活動や地域の能力に応じて、先進炉の導入、発電設備、高度製造拠点、データセンターの併設も想定されている。DOEは、1拠点当たり最大500億ドル(約7.8兆円)の民間投資を呼び込み、州・地方税収約100億ドル(約1.6兆円)、約2.5万人の雇用創出につながる可能性があると指摘している。
03 Aug 2026
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セルビアのD. ハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー相は7月13日、IAEAの支援を受けて開催された原子力計画実施国家機関(NEPIO)の役割と責任に関するワークショップの開会にあたり、2024年11月の原子力発電所建設モラトリアム撤廃後の、本格的な原子力導入に向けた工程を明らかにした。2035年までに同国初の原子力発電所の建設を開始し、2040年以降の運転開始をめざす。同大臣は、セルビアが国際原子力機関(IAEA)の19項目からなる「原子力発電のための国家インフラ開発におけるマイルストーン」アプローチの基準に従い、段階的に原子力プログラムを推進中と紹介。工程では、2027年半ばまでに原子力発電開発の実施可否について判断を下すために必要なすべての情報を揃える、マイルストーン(フェーズ1)の完了を想定。併せて、基本的な法的・規制的枠組みの確立と、原子力プログラムの実施を担う専任機関(NEPIO)を設立し、2032年までに、制度面、規制面、技術面のすべてにおいて準備を整えた上で、炉型の選定を開始(フェーズ2)。2040年以降に同国初となる原子力発電所を導入すべく、2035年までに建設を開始する考えを示した。なお、フランス電力(EDF)が実施した予備的技術調査の結果が2025年7月にセルビア側に提出されている。現在市場にある大型炉や小型モジュール炉(SMR)について、その技術・商業面での成熟度やサプライチェーンの信頼性、国家的ニーズとの整合性などを分析したという。また、最も懸念されていたセルビアの電力システムと原子力施設の統合に問題はないと評価され、2045年以降にはセルビアが電力の純輸出国となる可能性も指摘。なお、原子力プログラムのフェーズ1と2の完了に5~7年を要し、推計約3,000万ユーロ(55億円)が必要になると示されている。鉱業・エネルギー省は、フェーズ1でさらに4件の調査の実施をEDFに依頼し、残りの14件の調査については、他国での原子力プログラムに参画・開発の実績があり、セルビアの原子力プログラムに関心を表明した様々な企業と協議して委託先を検討するとしている。こうした中、セルビア政府は7月29日、EDFとフランス開発庁(AFD)とパートナーシップ協定を締結。AFDは、セルビアの原子力プログラムへの初の支援として50万ユーロ(約9,200万円)の助成金を供与し、フェーズ1と2の実施に係わる原子力人材の育成(行政・規制当局・技術者の能力強化)、安全文化の醸成などを支援する。セルビア政府は、電力需要の増加やエネルギー安全保障、脱炭素化への対応には原子力の活用が不可欠との認識を示しており、国内産業と地域経済の発展や原子力人材の育成に相乗効果を生み出したい考えだ。初となる原子力発電所の建設は、国家戦略「セルビア2035」のインフラ開発計画の中に位置づけられており、約30億ユーロ(5,500億円)が割り当てられている。
31 Jul 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は6月中旬から7月上旬にかけて、規制制度をリスク情報に基づき、より効率的で予見可能かつ合理的なものへ見直すため、複数の重要な規則改正案を相次いで公表した。2024年制定の先進的な原子力展開の加速化法(ADVANCE法)、2025年5月の「NRC改革に関する大統領令」を踏まえたもの。同大統領令ではNRCに対し、規則および指針文書の検討と抜本的な改正を指示。発令日から9か月以内に規則改正案を公示し、18か月以内に最終規則及び関連する指針を整備するよう指示しており、NRCは一連の規則改正の取組みを続けている。NRCのH. ニー委員長は、現行の規制が新技術や米国のエネルギー需要に追いついていないと指摘。一連の規則改正により硬直的な枠組みや不必要な保守主義を取り除き、安全性を堅持しながら、許認可手続きに要する時間と負担を減らし、先進炉を含む新たな原子力発電所の導入や既設炉の活用を促進するため、米国の原子力利用拡大を支える規制基盤を構築する意向を示した。以下のような重要な規則改正案について現在、パブコメや公開協議が実施されている。■環境審査プロセスの大幅な近代化2023年6月の国家環境政策法(NEPA)の改正に基づき、環境保護の水準を維持しつつ、原子力施設の許認可に伴う環境審査の効率化を目的に、環境保護規則を大幅に改正。現行規則は数十年間、包括的な見直しが行われておらず、今回の改定で、NEPAの要求にはないがNRCが実施している環境影響評価(EIS)草案の作成・公表を廃止し、重大な環境影響を通常は生じないとNRCが判断する行為についてEISやEA(環境アセスメント)を不要とする「カテゴリー除外」(CatEX)の適用を拡大。2度目の運転期間延長、出力増強、廃止措置に加え、新設炉計画についても、一定の条件を満たし、通常は重大な環境影響を生じないと判断されるものをCatEXの適用対象として検討する。また、これまで案件ごとに審査期間が大きく異なっていた環境審査について、NEPA改正を反映し、原則としてEAは1年以内、EISは2年以内に完了することを明確化。NRCによる環境審査の対象を、法的権限によって防止・緩和できる放射線安全や核セキュリティに関する影響に大幅に限定、権限外の一般的な非放射線影響は原則として審査対象外とする。審査期間を短縮して手続きの予見可能性を高め、申請者・NRC双方の規制負担の軽減を図る。■放射線防護規則の近代化放射線防護規則に最新の国際的な科学的知見や運用実態を反映、規制体系の簡素化・明確化を目的とする規則改正。現行の職業被ばく線量限度や一般公衆の線量限度などの安全の根幹となる数値基準は変更しないものの、長年採用されてきた「ALARA(As Low As Reasonably Achievable: 合理的に達成可能な限り低く)」の考え方を一律の規制要求とする考え方を見直し、より客観的でリスク情報に基づく規制へ移行する。規制をより明確で実効的なものとし、不要な規制負担を減らして審査や運用の効率化を図り、規制対象者の手続き負担を軽減する。■原子炉許認可制度の包括的な近代化原子炉の設計、建設、運転、運転延長、廃止措置に至るまでの多数の規制分野に及び、ここ数十年の間で最も包括的な規則改正。現在の技術と次世代炉の双方に合わせ、リスク情報を活用した柔軟で性能重視の規制に転換することが目的。新設の迅速化に向け、審査を安全上重要な設備に重点化し、一部の建設準備作業を早期に開始できるようにする。また、安全解析や設計変更について、リスク情報に基づく規制手法による審査の合理化を図り、炉の設計に応じた柔軟な緊急時計画区域の設定や防災計画を導入。品質保証では国際的な品質保証基準に整合した制度も選択できるようにし、革新的な技術の導入やサプライチェーンの多様化を支援する。加えて、運転認可期間の延長、立地基準や廃止措置費用の積立要件も、先進炉など多様な炉型に対応して柔軟に設定できるようにする。さらに、高純度低濃縮ウラン(HALEU)や事故耐性燃料(ATF)などの先進燃料の利用について、その特性を踏まえ、安全上重要なリスクに重点を置いた合理的な安全規制へ見直す。■放射性廃棄物処分規則の大幅な改正クラスCを超える低レベル放射性廃棄物Greater-Than-Class-C(GTCC, 炉内構造物相当の放射性核種濃度の廃棄物)の処分に関する規則改正。現行制度ではGTCC廃棄物の明確な処分方法が定められていないため、低レベル放射性廃棄物の処分制度を見直し、施設ごとの立地条件や廃棄物の特性を踏まえたリスク情報に基づく柔軟な規制を導入。GTCC廃棄物についても、浅地中処分を含む複数の処分オプションを整備する。科学・工学や廃棄物管理技術の進展を反映した規制に改め、作業員、公衆、環境への十分な防護を維持しながら、事業者に予見性の高い処分制度を設定し、原子力利用を支える燃料サイクル全体の基盤整備を目指す。■核セキュリティ要件の大幅な近代化原子力施設の警備・核物質防護および職務適性に関する大幅な規則改正。実際の脅威やリスク情報に応じた性能重視の規制に移行し、安全保障や公衆の安全を損なうことなく、不要な規制負担を軽減する。先進炉をはじめ多様な原子力施設について、施設ごとの特性やリスクに応じた警備・核物質防護ならびに職務適性管理を可能とし、最新の監視技術やデジタル技術の活用にも対応した、より効率的で実効性の高い核セキュリティ規制の構築を目指す。■先進的な燃料インフラ整備を加速燃料サイクルおよび燃料に関する許認可規制を大幅に改正。燃料サイクル施設や核燃料物質等に関する許認可制度の近代化や、次世代原子力技術の導入の加速を目的とした先進炉用燃料に関する要件を更新。また、燃料の製造、貯蔵、利用および核セキュリティに関する規制を近代化し、安全基準を維持しながら不要な規制負担を軽減、国内の燃料サプライチェーンの強化と先進燃料の利用促進を図る。
31 Jul 2026
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韓国の建設大手である現代E&C(現代建設)社は7月13日、米国の先進炉開発企業First American Nuclear Company(FANCO)と、FANCOが開発する鉛ビスマス冷却高速炉「EAGL-1」の実用化に向けた枠組み協定を締結した。EAGL-1は出力24万kWe級の第4世代鉛ビスマス冷却高速炉。米国で唯一、鉛ビスマス液体金属を冷却材とする小型モジュール炉(SMR)である。現代E&C社は、急速に成長する米国SMR市場において、グローバルなSMR事業基盤を強化する方針だ。両社は今後、タービン発電機などのBOP機器の最適設計や施工性の検討、モジュール化戦略など、事業初期段階での協力を進める。現代E&C社は将来的なEPC(設計・調達・建設)契約の獲得を視野に、プロジェクト初期段階から参画することで、建設コストや工期の最適化に貢献したい考え。FANCOは2025年11月、本社をインディアナ州に置き、州内に製造施設と原子力エネルギーパークの建設を進める計画を発表した。今後10年間で約40億ドル(約6,500億円)を投じ、約5,000人の雇用の創出を見込む。同州にとって原子力発電の導入は初。M. ブラウン知事は、同州をクリーンで信頼できる原子力発電のリーダーとしての地位を確固たるものにすると期待を表明している。FANCOは今年5月、カナダのエンジニアリング会社アトキンス・リアリス(AtkinsRéalis)社と20年間の戦略提携を締結しており、同社が設計や許認可、建設管理(EPCM)などを担う体制を構築している。今回の現代E&C社の参画により、技術・設計面を支えるアトキンス・リアリス社と、建設分野を担う現代E&C社が連携し、EAGL-1の実用化を加速させる方針。FANCOは米原子力規制委員会(NRC)に規制協議計画(REP)を提出済みで、商用化に向けた基盤整備を進めている。現代E&C社は、米ホルテック・インターナショナル社の「SMR-300」プロジェクトでの提携に続き、米テラパワー社のナトリウム冷却高速炉「Natrium」やオランダのトライズン(Thorizon)社の熔融塩炉「Thorizon One」など、海外の先進炉の開発企業からのオファーを受けてSMRや先進炉分野での事業拡大を進めており、今回のFANCOとの提携を通じて次世代原子力市場での競争力を強化し、グローバルな原子力EPC事業の拡大につなげていくとしている。「EAGL-1」は6基構成を標準とし、約150万世帯に電力供給が可能。工場で製造・組立て、モジュール化されているため、段階的に導入でき、柔軟に規模を拡大できる。鉛ビスマスは非常に高い沸点(約1,670℃)を持ち、電源喪失時にも炉心冷却を維持し、安全性を確保するのが特徴。また鉛ビスマスは鉛に比べて融点(約125℃)が低く、運転停止中の保温が容易。低圧で動作し、空気や水と触れても反応しないため、シンプルでコンパクトな原子炉設計が実現可能になるという。燃料には酸化ウラン(UO2)に加え、MOX燃料、超ウラン(TRU)燃料、回収ウランなどを利用。燃料を何度もリサイクル・再利用し、処理が困難な長寿命放射性廃棄物を95%以上減容するという。旧ソ連のアルファ級原子力潜水艦の動力炉として運用されていた実績がある。一方、ビスマスは生産地が限られ調達面で難があり、中性子を吸収すると非常に毒性の強いα線放出核種のポロニウム-210を生成するため被ばく管理に注意を払う必要がある。
28 Jul 2026
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米エネルギー省(DOE)は7月22日、米国とサウジアラビアが民生用原子力協力に関する協定(通称123協定)、およびこれに伴う二国間保障措置協定を締結した。DOEのC. ライト長官とサウジアラビアのアブドルアジーズ・ビン・サルマン・エネルギー・産業・鉱物資源相が署名した。DOEは同協定を、数十年にわたる数十億ドル規模の協力の枠組みであり、サウジアラビアの原子力発電導入を米国製の技術と産業が支援する道を開くものと位置づける。DOEによると、本協定は2025年5月の大統領令「国家安全保障強化のための先進炉技術の導入」のうち、特に1954年原子力法第123条(改正)に基づく米国の民間原子力協力の国際パートナー拡大を支援する第8条(米国の原子力輸出促進)を基盤としている。米政府は、サウジアラビアの経済多角化や電力需要の拡大に対応するため、原子力安全、核セキュリティ、核不拡散の基準を堅持しながら、米企業が原子炉建設や関連インフラ整備に参画すると同時に、国内の原子力産業の育成や雇用拡大を図る方針。また、中東地域における米国の戦略的関与を強化し、中国やロシアに対する競争力を高めたい考えだ。サウジアラビア側も、原子力の平和利用におけるノウハウ、技術の交換を促進し、原子力安全、核セキュリティ、不拡散に関する国際基準を順守しながら、両国の相互利益に資する協力と投資の機会の拡大に期待を寄せている。本協定は今後、米議会での審議を経て正式に発効する見通し。現時点で協定本文は公開されていないが、D. トランプ米大統領は自身のソーシャルメディアで、協定ではサウジアラビアによるウラン濃縮を認めていないとしている。また、協定の承認の条件として、サウジアラビアが、「アブラハム合意」((2020年にイスラエルと複数のアラブ諸国が結んだ国交正常化協定の総称。2020年8月にアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの間で締結された外交合意により、両国は平和条約を結び、国交を正常化。その後、バーレーン、スーダン、モロッコも同様にイスラエルとの関係正常化に踏み切り、合意の枠組みは複数国に拡大した。第一次トランプ政権の仲介によって実現した。))に加盟することが必須であると述べている。
27 Jul 2026
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英EDFエナジー社は7月9日、イングランドのサフォーク州に所有・運転するサイズウェルB(SZB)原子力発電所(PWR単機, 125.0万kWe)の20年間の運転期間延長に向けて、英政府と差金決済契約(CfD)の締結で基本合意したことを明らかにした。同発電所は1995年に営業運転を開始。当初は2035年までの運転を予定していたが、英政府と2035年以降20年間、CfDの下でストライクプライス70.50ポンド/MWh(2025年価格ベース)を適用し、2055年まで運転を続ける方針である。今年後半にCfDを最終決定する予定。SZBは英国で稼働する原子炉の中で唯一の加圧水型炉(PWR)。年間平均90億kWhを発電、250万世帯に電力を供給し、英国の総電力需要の約3%を供給している。EDFエナジー社は今後15年間、18か月ごとの定検期間中に約8億ポンド(約1,740億円)をかけて大規模な改修工事を実施する。建設中のヒンクリー・ポイントC原子力発電所(欧州加圧水型炉: EPR、170万kW級×2基採用)に導入される新しい環境モニタリングシステムや自動プラント監視システムの導入に加え、サイト内の配管、バルブ、ポンプの交換や、詳細な技術分析やプラント点検を継続的に行うこととしている。また、EDFエナジー社の20%の株式を保有する、英エネルギー企業のセントリカ社から投資支援を受ける予定。この運転期間延長により、現地で約900名の熟練者の雇用を支える見込みだ。EDFエナジー社は現在、SZBを含め5サイトで計9基の原子炉を運転している。2025年の総発電電力量は329億kWhで、英国の総電力消費量の約12%を占めた。ランカシャー州にあるヘイシャムB発電所(1-2号機, 改良型ガス冷却炉: AGR, 各68.0万kWe)ならびにスコットランドにあるトーネス発電所(1-2号機, AGR, 各68.2万kWe)が当初2023年3月に閉鎖予定であったが、2024年12月の見直しに基づき、運転期間が2030年3月まで延長されている。また、当初2014年3月に閉鎖予定だったヘイシャムA発電所(1-2号機, AGR, 各62.5万kWe)ならびにティーズサイド地域にあるハートルプール発電所(1-2号機, AGR, 各65.5万kWe)は、2025年9月の見直しに基づき、2028年3月に閉鎖を予定していたが、7月22日、さらに2年間延長し、2030年3月まで運転することが決定された。これらAGR×8基の運転継続に向け、EDFエナジー社とセントリカ社は今後3年間(2026-2028年)で合計12億ポンド(約2,610億円)を投資することとしている。英国における原子力発電所の運転終了時期に関する決定は、規制当局や政府とは独立して行われるが、終了時期はあくまで予測であり、最終判断は定期的な黒鉛の検査結果を受け、EDFおよび原子力規制庁(ONR)が行う。AGRは、マグノックス炉と呼ばれる旧式のガス冷却炉(GCR)の改良型。EDFエナジー社は2009年、GCR以外の英国内すべての原子力発電所をブリティッシュ・エナジー社から取得。AGRはいずれも2023年初頭までに閉鎖する予定だった。一連の運転期間延長により現在、上記4サイトで運転中。その他、3サイト(ハンターストンB、ヒンクリー・ポイントB、ダンジネスB)は閉鎖済み。EDFエナジー社は、AGR寿命の継続的な検証により、さらなる運転延長が可能かどうか判断するとしている。
24 Jul 2026
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国際エネルギー機関(IEA)は7月16日、年次報告書の2026年版「世界の重要鉱物見通し(Global Critical Minerals Outlook 2026)」を発表した。銅やリチウム、希土類(レアアース)など主要エネルギー鉱物の需給・投資動向を分析するとともに、「原子力サプライチェーン」を重点テーマの一つとして取り上げ、原子燃料サイクル全体を通じた供給保証について詳細に分析した。報告書は、原子力発電の再拡大によるウランおよび原子燃料サイクル全般にわたる多額の投資の必要性を指摘している。世界の原子力発電設備容量は2025年時点で約4億2,000万kW、建設中は約7,800万kWと過去30年で最高水準にある。IEAの公表政策シナリオ(STEPS)では、2050年までに設備容量は約8億kWまで拡大し、原子力発電量は倍増する見通し。こうした需要拡大への期待を背景にウラン価格は2020年以降大幅に上昇し、ウラン精鉱(U3O8)のスポット価格は酸化ウラン換算で1kg当たり約60米ドルから2024年には200米ドル超まで上昇した。報告書では「最も差し迫った制約は、採掘以降の工程、とりわけウラン転換の分野で顕在化している」とし、能力逼迫の解消には追加投資が不可欠と強調。濃縮能力も当面は充足するものの、中期的には需要増によりボトルネックになり得るとした。次世代炉向けの燃料供給も課題に挙げた。報告書によると、小型モジュール炉(SMR)などで使用が見込まれる燃料のHALEU (高アッセイ低濃縮ウラン)1は、濃縮度が高いほど燃料1トン当たりのウラン投入量が最大4倍、濃縮作業量が最大5倍に増えるケースもあるという。現在、商業規模のHALEUの供給はロシアと中国に限られ、多くのプロジェクトが本格供給を始めるのは2030年代初頭以降と見込まれることから、SMR導入需要との間にタイミングのギャップが生じる可能性があると指摘している。さらに燃料製造能力については、従来型燃料では概ね充足するが、認証済み燃料設計が限られるロシア型加圧水型炉(VVER)向け、とりわけVVER-1200炉には現在代替燃料の選択肢がなく、ロシアの国営原子力企業ロスアトム社傘下の燃料製造企業TVEL社への依存継続を課題としている。報告書はまた、原子燃料サイクル全体で供給が特定の国・地域に集中していることを安全保障上の重要リスクと位置付けた。上位3か国がウラン採掘では約4分の3、転換・濃縮能力ではそれぞれ約70%を占めていると分析。さらに、ロシアと中国という2大供給国を除くと、利用可能な転換能力は需要の80%、濃縮能力は約90%にとどまると試算した。短期的には在庫や長期契約で補えるものの、需要増を見据えれば供給源の多様化を急ぐ必要があると指摘した。さらに、原子力発電所は非ウラン鉱物の消費量こそ少ないものの、燃料被覆管に用いるジルコニウムや制御棒に使うハフニウムなど、サプライチェーンが高度に集中し、代替の限られる特殊鉱物にも依存している点もリスクとして挙げている。本報告書では、U235の濃縮度が8~20%の低濃縮ウランをHALEUとしている。↩︎
24 Jul 2026
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米ニュージャージー州のM. シェリル知事は7月13日、同州の増大するエネルギー需要に応えるため、新規原子力発電所の建設に向けて競争的な調達プログラムを設定する法案(パワーNJ法)に署名した。州は少なくとも110万kWeの新規原子力発電の調達をめざす。同法案は超党派の支持を受けて、州議会の上下両院を全会一致で通過。電力料金高騰の現状やAI・データセンターなどによる電力需要の急増を見据え、安定した脱炭素電源として先進原子力を将来の電力供給の柱の一つに位置付け、競争プロセスを通じて具体的な導入プロジェクトの検討を本格化させる。米国では近年、電力需要の増加や脱炭素化の進展を背景に、原子力発電所の新設を制限してきた州レベルの「原子力モラトリアム(禁止・制限措置)」を見直す動きが広がっている。ニュージャージー州もその一つ。2026年4月、約50年間続いた実質的な新規原子力発電所の建設禁止措置を解除し、原子力タスクフォースを発足させた。資金調達、サプライチェーンと技術開発、労働力の育成と訓練、規制・許認可枠組み、住民の信頼醸成を重点5分野として、新たな原子力エネルギーの推進に取り組む。今回成立した調達制度の下で、州公益事業委員会(NJBPU)と州経済開発局(NJEDA)が共同で、先進炉を含む新規建設プロジェクトの開発事業者を競争入札方式で募集・評価する。同法案は電力料金支払者を強力に保護しているのが特徴で、プロジェクトが完成するまで、電力料金支払者に対して建設費用の負担やコスト超過の負担を負わせないと明言。開発事業者は発電開始後、信頼できる容量証書(Reliable Capacity Certificate: RCC、いわゆる安定供給能力)を変動する市場価格ではなく、予め交渉で定めた固定価格で小売電気事業者に販売する。固定価格による長期販売契約のため、事業の予見可能性を高め、投資促進が期待されている。NJBPUは2027年1月に開発事業者の募集を開始し、NJEDAと共同で仮選定された事業者とその後1年間かけて正確なコスト見積や価格面などの条件交渉を行い、2028年7月までに事業者を最終決定する方針である。決定の条件として、プロジェクトが電力料金支払者に正味の利益をもたらし、その負担コストが不当または過大ではないことや連邦政府からの資金調達を確保している必要がある。ニュージャージー州では現在、電力会社のPSEG社がセーレム原子力発電所(PWR×2基, 各120万kWe級)とホープクリーク原子力発電所(BWR単機, 124.0万kWe)の3基を運転中。原子力発電は、州内発電電力量の約4割、クリーン電力の8割を占め、稼働率90~95%の安定した運転を継続している。PSEG社は米原子力規制委員会(NRC)に対し、両発電所の運転認可更新申請を2027年第2四半期に提出する予定。承認されれば、セーレム1-2号機の運転期間はそれぞれ2056年と2060年に延長、ホープクリークの運転期間は2066年に延長され、いずれも80年運転の認可となる。
23 Jul 2026
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フィンランドの小型モジュール炉(SMR)開発企業ステディ・エナジー(Steady Energy)社は7月3日、同社製の地域熱供給向け小型モジュール炉(SMR)「LDR-50(出力5万kWt)」に対する国際合同早期レビュー(Joint Early Review: JER)について同国の放射線・原子力安全庁(STUK)が取りまとめた概要報告を明らかにした。フィンランド、スウェーデン、ポーランド、チェコ、ウクライナの5か国の規制当局が、それぞれの安全規制に基づいてLDR-50の設計概念を評価した結果、各国の安全要件に従って開発を進める上で根本的な障害は確認されなかったと結論付けている。今回のJERは、ステディ社が概念設計に対する早期の規制当局からのフィードバックを目的に、STUKに要請して実施されたもの。5つの原子力安全規制当局-フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)、スウェーデン放射線安全局(SSM)、ポーランド国家原子力機関(PAA)、チェコ国家原子力安全局(SÚJB)、およびウクライナ国家原子力規制検査局(SNRIU)―が、それぞれの国内規制枠組みに照らして、LDR-50の原子炉コンセプトを独立して評価した。なお、JERは自発的かつ拘束力のない活動であり、共通の規制上の立場や拘束力のある決定を導き出すことを目的とはしていない。評価は、2025年初頭にステディ社が公開したLDR-50の設計文書と、同年夏に完了したSTUKによる概念設計の安全性評価に基づいて行われた。審査の結果、設計文書は初期の概念設計段階としては適切だが、許認可レベルの結論を下すには不十分とする一方で、どの規制当局においても、開発が次の段階へ進むことを妨げるような根本的な原子力安全上の問題は確認されなかった。また今回のレビューでは、多重防護を軸とした安全哲学や固有・受動的安全機能を広く採用し、事故初期段階で運転員の迅速な対応への依存を低減する設計を強みとして評価。一方で、今後の許認可に向けては詳細設計や安全解析、技術文書などの整備が必要とされた。今回のJERは、複数の規制当局が先進的なSMRのコンセプトを評価するにあたり、他の規制当局が実施した初期段階の安全性評価を参考資料に活用した先駆的な取組みである。ステディ社は、この経験が今後の国際的な規制協力の強化につながると期待しており、フィンランドおよび国際市場での実装に向けた詳細設計および将来の許認可手続きを念頭に、LDR-50の開発を引き続き推進していく方針だ。LDR-50は、地域暖房向け熱供給専用SMR。高さ約10mの地下埋設型で、複数の重要な安全機能を備え、地域暖房ネットワークに近い都市部での立地が可能である。現在、フィンランドのヘルシンキ、クオピオ、ケラヴァで3プロジェクトに取り組んでおり、昨年12月には、韓国最大の地域熱供給会社である韓国地域暖房公社と協力協定を締結。今年1月には、フィンランドの電力会社フォータム社とフィンランドとスウェーデンで運転・保守サービスの協力を得ることで合意している。
22 Jul 2026
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リトアニアのイグナリナ原子力発電所(INPP)の廃止措置を進める国営企業Altraは7月8日、イグナリナ原子力発電所1-2号機(軽水冷却黒鉛減速炉: RBMK-1500×2基、各150万kWe)の炉心解体工事を対象とする国際入札を開始した。契約には、解体工法の設計、規制当局の許認可取得を支援、特殊装置の製造・供給、炉心解体作業、放射性廃棄物の管理までが含まれる。本事業は世界で初めてRBMK-1500を完全に廃止措置する事例となり、国際的にも前例のない大規模プロジェクトとなる。Altraは2027年に請負契約者を決定し、その後、設計・許認可取得を経て本格的な炉心解体に着手する計画だ。原子炉の中心部である炉心(R3ゾーンとも呼ばれる)は、断面が21m×21m、高さが25mの鉄筋コンクリートシャフト内に位置している。黒鉛スタックや周囲の金属構造物、および様々な充填材料(砂、砂利、砕石、スチールショットなど)で構成。2基の原子炉全体で、合計約25,500トンの資材の解体を想定している。資材の大部分は長寿命の放射性廃棄物で構成されており、解体作業は遠隔操作機器を用いて実施。解体プロセスは専門的な技術的知識を必要とし、厳格な原子力・放射線安全要件を満たさなければならない。なお、原子炉シャフトの上部構造および下部構造(それぞれR1およびR2ゾーンと呼ばれる)の解体および除染はAltra自身で実施している。R3解体の契約額は約4億ユーロ(742億円相当)と推定。欧州復興開発銀行(EBRD)が管理するイグナリナ国際廃止措置支援基金(IIDSF)を通じて、欧州委員会(EC)が資金を提供する。入札は、EBRDの電子調達ポータル(ECEPP)を通じて2段階で行われ、第1段階では参加者が技術提案書を提出し、第2段階では価格提案書を提出する。2027年に契約が締結される見込みだ。契約発効日からプロジェクトの完了までに約16年を要すると推定されている。同社は7月1日、発電所の管理区域内で初めて解体工事を開始すると発表した。対象は原子炉建屋ではなく、両機の気水分離器。同発電所の廃止作業の中でも最も技術的に複雑な作業の一つとされている。2024年の国際入札を通じて選定されたウェスチングハウス・エレクトリック・スウェーデンABとウェスチングハウス・エレクトリック・スペイン(S.A.U.)のコンソーシアムと原子力施設の廃止措置に実績のあるスロバキア企業ROBO Piešťanyが作業を開始する。本契約は、スウェーデン、スペイン、フランス、フィンランド、ドイツ、スロバキアの企業やコンソーシアムの参加による国際入札の結果である。気水分離器は長さ約30m、直径約3m、両機に合計8基が設置されており、合計重量は約6,000トン。放射線管理区域内での大規模な国際共同作業の第一歩となる。今後の炉心(R3ゾーン)解体に向けて経験の蓄積が期待されている。イグナリナ発電所は、リトアニアで稼働していた唯一の原子力発電所。1号機が1983年、2号機が1987年から稼働していたが、欧州連合(EU)は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所と同型であるRBMKの安全性への懸念から閉鎖を要求、リトアニアはEU加盟と引き換えに同発電所を2009年までに閉鎖した。同発電所は閉鎖されるまで、リトアニアの電力の70%を供給していた。イグナリナ発電所の廃止措置は即時解体方式を採用しており、原子炉の解体は2043年までに、原子炉建屋の最終的な原状回復を含むすべての廃止措置作業は2050年までに完了を予定している。
21 Jul 2026
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アルゼンチンのA. ラビエル大統領報道官は7月7日の記者会見で、米企業のマイトナー・エナジー社が12億ドル(約1,940億円)を投じ、首都ブエノスアイレスから約120kmに位置するアトーチャ原子力発電所サイトに出力30万kWeの小型モジュール炉(SMR)を建設する計画を明らかにした。同計画は100%民間資本で資金調達されるもので、同国初の民間資本による原子炉建設となる。J. ミレイ大統領は2024年12月、同国の原子力計画を発表。まず、アトーチャ・サイトに新型SMRを建設して国内の電力需要を賄い、次に国内ウラン資源を開発して国内需要分を満たすとともに、高付加価値の燃料輸出国としての地位確立をめざす。最終的には、人工知能(AI)の普及に伴う電力需要の拡大を見据え、パタゴニア地域の冷涼な土地環境を活かして、アルゼンチンをデータセンターのハブとする構想を掲げている。アトーチャ・サイトに建設されるSMRは、同国リオネグロ州政府所有のハイテク企業INVAPが設計開発した第3世代+(プラス)の「ACR-300」(PWR, 30万kWe)。政府は最終的にアトーチャ・サイトに4基建設し、原子力発電設備容量をほぼ倍増させる計画である。アルゼンチンでは現在、アトーチャ発電所1-2号機(PHWR, 1号機: 36.2万kWe、2号機: 74.5万kWe)、エンバルセ発電所(PHWR単機, 65.6万kWe)が運転中で、原子力シェアは7.3%(2025年実績)。INVAPは2024年に米国でACR-300の特許を取得している。INVAPの米国登録企業ブラックリバーテクノロジー(BRT)(出資比率40%)が米企業アンサリ・グループ(出資比率60%)とともにマイトナー社の共同オーナーであり、マイトナー社はアルゼンチンの国産技術であるACR-300の商業展開・製造に関する権利と特許を共同保有している。アルゼンチンでは、同炉の開発、建設、試運転、運転の各段階で2,000名の直接雇用が創出される見込みだ。アトーチャ・サイトに隣接して、国産のSMR原型炉のCAREM25(PWR, 3.2万kWe)が2014年からCNEA(原子力委員会)によって建設されていたが、2019年に政府の支払遅延や設計変更等により工事は中断。2021年に新たな建設契約の締結により工事は再開され、2022年末時点で77%まで進捗していたが、その後の設計見直し、予算削減と人員削減を背景に、2024年9月から建設工事が再度中断された。現政権は、CAREMの開発・建設で培った技術を基盤に、新型SMRであるACR-300の開発を進めるとしている。国内企業や原子力関連企業と連携して大規模な原子力プロジェクトを遂行できる体制を整え、国内サプライチェーンを強化、将来的にはSMR技術や関連機器の輸出を推進する方針だ。
17 Jul 2026
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医療や産業向けの原子力電源を開発する米企業City Labsは7月7日、トリチウムを利用した超小型電源を搭載する人工衛星「BOHR(Betavoltaic Orbital High-Reliability)」を、米宇宙企業SpaceX社のライドシェア(相乗り)打ち上げミッション「Transporter-17」で打ち上げたと発表した。City Labs社によると、民間企業が開発した商業用原子力電源を搭載する衛星としては世界初となる。今回打ち上げられたBOHRには、同社が開発した「NanoTritium」と呼ばれる超小型電源が搭載されている。トリチウムが自然に放出するベータ線を半導体で直接電気に変換する仕組みとなっている。発電量は小さいものの、装置を小型化しやすく、長期間にわたり安定して電力を供給できることが特徴だ。衛星はSpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられ、軌道上で電源性能の実証を行う。衛星本体の運用には従来の太陽電池を使用し、NanoTritiumは搭載した実験機器への電力供給に用いられる。宇宙では太陽光が利用できない場面が少なくないことから、放射性同位体を利用した電源が長年活用されてきた。惑星探査機「ボイジャー」は、プルトニウム238の崩壊熱を電気に変える放射性同位体熱電気転換器(RTG)を搭載し、50年近くにわたり稼働を続けている。BOHRは、こうした宇宙用原子力電源を小型衛星向けに応用し、民間利用への展開を目指す。またBOHRは、米連邦航空局(FAA)の原子力打ち上げ承認制度を利用した初の商業ミッションとなった。打ち上げに必要な安全審査を経て認可を取得したことも、商業利用に向けた大きな前進となる。
17 Jul 2026
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ハンガリーの首都ブダペスト市で地域熱供給を運営するブダペスト公共事業会社(BKM)は7月1日、ブダペスト工科経済大学と共同で、パクシュ原子力発電所の廃熱をブダペストの地域暖房に利用する可能性に関する調査を開始したことを明らかにした。パクシュ発電所とブダペストの地域熱供給網を結ぶ長距離熱供給パイプラインの技術的・経済的な実現可能性を評価し、将来の投資判断の基礎資料にしたい考え。パクシュ発電所は、旧ソ連時代に建設されたロシア製PWR=VVER-440、各50万kWe級×4基構成の同国唯一の原子力発電所。1983~87年に運転を開始し、同国の総発電電力量の約5割を供給している。公式運転期間の30年を超過したため運転期間が20年延長され、同サイトに隣接して建設中のパクシュⅡ(ロシア製VVER-1200, 各120万kWe×2基)に順次リプレースしていく方針。発電所が所在するパクシュ市では1980年代から発電所の熱を地域暖房に利用しており、その実績を広域利用に発展させる構想である。原子炉で発生する熱の一部は発電に利用されず、冷却水を通じてドナウ川へ放出されている。今夏の欧州を襲う熱波により、パクシュ発電所では6月末~7月上旬にかけて、河川の水温に関する環境規制への対応から出力制限を行っている。BKMによると、ブダペストの地域暖房システムの冬季ピーク需要は約100万kWtで、夏季においても家庭用温水の熱需要は約10万kWtある。パクシュ発電所から発生する熱(温水)は、地域暖房用の輸送パイプライン約125kmを経由し、年間を通じて首都のニーズの大部分を提供できる可能性があるとしている。過去数十年の間に熱供給パイプライン技術は大きく進歩しており、熱損失は最小限に抑えられ、プロジェクトの経済性に実質的な影響を与えることはないという。また、再生可能エネルギー発電の割合の増加に伴い、国内の電力系統の制御が課題となる中、余った電力を温水などの熱に変換して蓄えるなど、高い柔軟性と蓄熱能力を備えた地域熱供給システムが電力系統の需給調整になると指摘している。このパイプライン構想が実現すれば、ドナウ川の水温上昇の抑制や電力系統の安定化に加え、CO₂排出量の大幅な削減や、天然ガス輸入依存(輸入ガスの74%がロシア産)の緩和が期待されている。また、パクシュとブダペストを結ぶパイプライン沿線の都市の地域熱供給システムや産業用需要家の接続も可能であり、エネルギー効率と経済効率の向上が見込まれている。BKMは、近年の夏季高温による原子力発電所の運転への影響やエネルギー安全保障の重要性の高まりを背景に、本構想が「今まさに検討すべき段階にある」としている。予備的な試算では、本構想の実現により、年間約3億㎥の天然ガスの輸入を代替すると予測している。調査は今年第4四半期に完了予定。
16 Jul 2026
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米ホルテック・インターナショナル社は7月2日、ミシガン州南西部にあるパリセード原子力発電所(PWR, 85.7万kW)の運転再開プロジェクトが大きな節目を迎えたと発表した。主要な改修・更新工事はすべて完了し、現在は保守点検や各種試験、検査、運転準備など最終段階の作業へ移行。運転開始に向けた仕上げのフェーズに入ったとしている。ホルテック社は、長期にわたり安全かつ安定して運転できる準備が整った時点で運転再開すると説明しており、具体的な運転開始予定日は示していない。最終段階において、タービン・発電機を大規模点検・補修後にターニングギアで低速回転させる段階への移行、新型燃料取扱機の据付・試験完了などを達成。また、原子炉圧力容器の検査、原子炉容器上蓋の重要機器の交換、原子炉冷却系の配管内部の化学洗浄や腐食防止処理、蒸気発生器の熱交換管の補修と内部洗浄、新燃料の受入れ・検査に加え、運転員の再教育・再資格取得など、運転再開に必要な重要工事や準備を完了した。当初は2025年末~2026年初めにかけて送電開始を予定していたが、大がかりな工事により運転再開は遅延している。今後は運転指令センター(OCC)が中心となり、安全な起動に向けて、24時間体制で残る試験や確認作業を進めていくとしている。米原子力規制委員会(NRC)は2025年7月、技術審査を完了し運転再開に必要な主要許認可および規制措置を承認したが、原子炉を起動するには、最終的な試験や点検、保守を終え、NRCの検査・監督により、すべてが安全基準を満たしていると確認される必要がある。パリセード発電所は1971年に営業運転を開始。2022年5月の永久閉鎖後、翌6月に当時の所有・運転者であったエンタジー社からホルテック社に売却された。当初は廃止措置を前提とした取得だったが、脱炭素化の動きや新たに電力販売契約が成立したことなどにより採算性の見通しが立ち、方針を転換。ホルテック社は運転再開に向けた整備作業を進めるにあたり、米エネルギー省(DOE)から最大15.2億ドル(約2,400億円)の融資保証や州政府の支援を受けている。NRC委員や超党派の議員代表団も視察に訪れるなど、運転再開への関心も高い。ホルテック社は、すべての連邦規制要件と業界基準を満たしたうえで、運転再開を目指すとしており、このプロジェクトは米国初の商業炉の運転再開事例として、今後のモデルケースになると期待を示している。
15 Jul 2026
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