
米戦争省(国防総省)とエネルギー省(DOE)は2月15日、Valar Atomics社の試験用マイクロ炉Ward 250(燃料未装荷)を米空軍のC-17グローブマスターIII機に搭載し、カリフォルニア州のマーチ空軍予備役基地から、ユタ州のヒル空軍基地に輸送した。「Operation Windlord」と名付けられた同プロジェクトは、原子炉の空輸として米国史上初となる。Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWのマイクロ炉。試験と評価のため、ユタ州にあるサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)へ運搬される。戦争省は、「Ward 250のようなマイクロ炉は、軍事基地のエネルギー安全保障を確保し、民間の電力網への依存を低減する。さらに、海外での軍事作戦においても、敵による燃料供給の途絶を懸念することなく米軍の活動を可能にする」と指摘。また、米国全体のエネルギー安全保障の向上にも資するとし、2025年5月に発出された一連の大統領令「原子力産業基盤の再活性化」、「エネルギー省における原子炉試験の改革」、「原子力規制委員会の改革」、「国家安全保障のための先進原子炉技術の配備」に沿った取組みであると強調している。調達・維持を担当するM. ダフィー戦争省次官は、大統領の原子力イニシアチブの推進には、エネルギー省と戦争省のパートナーシップが不可欠と述べ、「このパートナーシップにより、エネルギーレジリエンスと国家安全保障の強化、先進的な原子力技術の開発、評価、配備が可能になる」と評価。また、AIデータセンターや指向性エネルギー兵器、宇宙およびサイバーインフラなど、次世代の戦争に必要な能力に言及し、敵よりも速く動き、驚異的な速さで勝利させるシステムの構築には、軍独自のエネルギーインフラが必要、との認識を示した。そのうえで、「今日は、そのシステムの構築に向けた記念すべき一歩。産業基盤とそのイノベーション能力を支援し、必要とされる場所への回復力のある電力供給を加速する」と語った。DOEのC. ライト長官は、米国は今回のようなマイクロ炉の活用により原子力ルネサンスを目指しているとし、「米国の原子力ルネサンスは、民間資本と米国のイノベーションと決意をもって、迅速かつ慎重にボールを再び動かすことだ」と強調。今年7月4日までに3基の試験炉の臨界達成、順調に稼働することへの期待を示した。Valar Atomics社は2025年8月、DOEが支援する先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」に参加する10社の1社に選定された。翌9月には、同プログラムを支援する燃料製造ライン構築のパイロットプログラムに参加する4社のうちの1社にも選ばれている。また同月、USRELサイトにおいて、Ward 250の起工式を開催した。
05 Mar 2026
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英国政府は2月4日、国内で民間主導の先進原子力プロジェクトを推進する政策パッケージ「先進原子力フレームワーク(Advanced Nuclear Framework)」を公表した。小型モジュール炉(SMR)などの革新炉技術の開発・商業化を支援する枠組みを整備し、投資判断の透明性を高めることで、民間資金の参入を促す狙い。フレームワークは、民間主導のSMRや先進モジュール炉(AMR)、マイクロ炉(MMR)などを対象とする。柱となるのは「パイプライン」制度で、民間からの提案を技術成熟度や資金計画などの観点で評価する。基準を満たした案件は政府の原則的支持を受け、投資家の信頼向上や将来的な収益支援・リスク軽減措置の検討対象となる。審査はエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)とGreat British Energy – Nuclear(GBE-N)が共同で担う。 原則的支持は、政府による事前審査を経た案件であることを示すもので、投資家にとっては政策的不確実性の低減につながる。ただし、将来の収益安定策や重大リスクへの対応についてはDESNZと協議する余地を残す。また、英政府系ファンドのNational Wealth Fund(国家投資基金)が、民間資金を呼び込む目的で出資などに関与する可能性があるとしている。 さらに、事業者向けに設計審査や立地許認可手続きの円滑化を支援する「コンシェルジュ型サービス」を提供する。英国の計画制度や規制要件などへの適合に向けた助言を行い、制度面の不確実性の低減をはかる。パイプライン制度と並行して案件形成を支援する。 P. ヴァランス科学・イノベーション・研究・原子力担当大臣は、「先進原子力分野で先行する機会を捉え、産業が発展するための環境整備を進めている」と強調した。EDFエナジー社のSMR開発ディレクター、J. ボウイ氏も、政府の枠組みが資金調達環境の改善に資するとの見方を示し、策定を歓迎した。パイプラインへの申請は3月から受け付ける予定。政府は本フレームワークを、近年強化されている原子力投資政策の一環と位置付け、原子力分野への投資拡大を奨励する方針だ。
04 Mar 2026
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クロアチアのA. シュシュニャル経済大臣は2月17日、政府が議会に「民生用原子力エネルギー開発法案」を提出したことを受け、政府会合で法案を説明。同法案は同国における原子力開発のための法的枠組みを初めて体系的に整備するものであり、エネルギー・セキュリティの強化、経済競争力の向上、電力システムの長期的な持続可能性確保にむけた戦略的な一歩であると強調した。同大臣は、電力消費が増加し気候目標がますます厳しくなる中、原子力発電が安定的で低炭素、かつ長期にわたって低コストなエネルギー源であると指摘。そのうえで、同法が必要とされる理由について、クロアチアが経済競争力、エネルギー・セキュリティ、カーボンニュートラルの達成という3つの課題に直面していることを挙げ、「2040年までに電力需要の少なくとも30%を原子力でまかなうことを目標とする」と述べた。同法は今後の手順も定めており、エネルギー担当大臣が法律採択後6か月以内に、専門的調査・分析の基礎となる活動プログラムを策定することを規定。政府はその後12か月以内に、包括的な原子力開発計画を採択する。原子力発電所の立地については、すべての専門的・規制上の手続きを経た後、特別法によって決定する。「本法により、クロアチアは新たなエネルギー源を選択するだけでなく、エネルギー・セキュリティ、気候変動への責任、技術進歩へのコミットメントを示す戦略的決定を行う」と述べ、必要な調査、分析、戦略の準備、そしてクロアチアにおける将来の原子力発電所建設計画を実現するための活動を開始すると説明した。クロアチア経済省は2025年2月、同省関係者に加え、産官学の原子力専門家らが参加する原子力作業部会を設立している。原子力発電に関する法的枠組みの整備や独立した原子力機関の設立に向けた条件整備、原子力オプションを含むエネルギー開発シナリオの策定・分析を行う。また、従来型大型炉または小型モジュール炉(SMR)の潜在的な立地調査の準備のほか、最適炉型の選択にむけ、従来型大型炉と比較したSMRの財務的・経済的側面からの分析を実施する。さらに経済省は、原子力専門知識の維持・発展、人材育成を確実に実施する緊急措置が必要とし、官学が連携して原子力分野の教育プログラム設立を推進するイニシアチブを推進している。クロアチアには原子力発電所がなく、隣国のスロベニアのクルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kWe)をクロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivreda(HEP)と国営スロベニア電力(GENエネルギア)が共同所有。同発電所はクロアチアの総発電電力量の約16%をまかなっている。スロベニアではクルスコ増設(JEK2)プロジェクトが進められているが、クロアチアは現在、参加していない。
03 Mar 2026
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米ソルスティス(Solstice Advanced Materials)社は2月10日、イリノイ州に立地するメトロポリス・ワークス(MTW)プラントにおいて、2026年に六フッ化ウラン(UF₆)の生産量を10,000トン(10kt)へ拡大することを発表した。これは、2024年に計画していた生産能力から約20%の増加となる。ソルスティス社は先端材料の専門企業。2025年10月、米国の多国籍企業であるハネウェル社からスピンオフし、MTWの所有・操業ライセンスを引き継いだ。MTWは60年以上の操業実績がある米国で唯一のUF₆転換施設であり、世界各地の鉱山から供給されるウラン精鉱をUF₆へ転換している。転換後のUF₆は、他事業者による濃縮や燃料加工により、原子炉用燃料として利用。米原子力規制委員会から2060年まで有効な操業許可を取得済みである。同社は、UF₆に対する高い需要を受け、2023年の操業再開以降、MTWでのボトルネック解消プロジェクトに投資。今回の生産規模の拡張は、20億ドル超の受注残高に支えられており、その多くは国内の電力会社など長期顧客からの注文だという。米国が掲げる「2050年までに原子力発電能力を4倍にする」という目標が後押ししていると見ている。MTWは2017年~2023年にかけて、市場環境の悪化により一時的に操業を停止していたが、2023年7月に操業を再開した。米エネルギー省の支援も一部受けながら、ソルスティス社はMTWにおける生産能力増強に向けた新規プロジェクトを検討中。並行して、大手エンジニアリング・調達・建設(EPC)企業を起用し、能力拡張に向けた初期エンジニアリング分析を実施しており、顧客と長期供給に関する協議も開始した。ソルスティス社とゼネラル・アトミックス社の折半出資の合弁会社であるコンバーダイン(ConverDyn)社が、MTWで生産されるすべてのUF₆の独占的販売代理を務めている。
03 Mar 2026
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昨年12月30日に臨界を達成した、インドのタラプール原子力発電所1号機(BWR、16万kWe)が2月16日、送電網に接続、定格出力を達成した。同機は運転期間延長に向けた大規模改修工事のため、2020年1月以降、運転を停止していた。改修工事では、原子炉再循環配管の高耐食性材料への交換、3Dレーザースキャン、タービン発電システム改修、電気システム改良などを実施した。同機は1969年10月に営業運転を開始したインド最古の原子力発電所であると同時に、世界で現在運転中の原子炉の中でも最長の運転実績を有する。同2号機も同型で、両機は同時に営業運転を開始しており、現在は改修工事中だ。なお両機は、インドの商用炉では唯一のBWRである。同サイトではほかに3・4号機(国産加圧重水炉=PHWR、各56万kWe)が、2005~2006年から運転中。また、政府が掲げる「原子力エネルギーミッション」の下、バーバ原子力研究所(BARC)において開発中の実証用SMRのBSMR-200(PWR、20万kWe)、SMR-55(PWR、5.5万kWe)の先行炉の建設が提案されている。同発電所を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)は、タラプール1号機の運転再開をインドの原子力発電の歴史における画期的な出来事とし、クリーンエネルギー、技術的強靭性、そして国家の長期的なエネルギー安全保障上における重要な一歩であるとしている。カイガ5・6号機が着工3月1日には、カイガ原子力発電所5・6号機(PHWR、各70万kWe)が着工した。NPCILは、同日の初コンクリート打設から約60か月で、5号機の初臨界達成を見込んでいる。同建設プロジェクトでは初の取組みとして、掘削、原子炉建屋、タービン建屋、原子力計装などそれぞれの工事を少数の大規模EPC契約に集約する方式を採用、工期短縮と業者間のインターフェース問題の低減を図っている。現在、同サイトでは1~4号機(PHWR、各22万kWe)が2000~2010年代初めから運転中である。70万kW級の国産PHWRのうち、カクラパー3・4号機、ラジャスタン7号機はすでに営業運転中。NPCILは、計16基からなる70万kW級PHWRをすべて、2031年までに運開予定だ。インド原子力省(DAE)は同年までに原子力発電設備容量を現在の888万kWeから、PFBR(高速増殖原型炉、50万kWe)を含めて、2,248万kWeに増強する計画である。
02 Mar 2026
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フランス政府は2月12日、第3次エネルギー複数年計画(PPE3:2026〜2035年)の政令を発表した。PPE3は、原子力比率引き下げ方針を事実上撤回し、既存炉の長期運転と新設を軸に据える戦略へと大きく舵を切った点が最大の特徴だ。PPEは、2015年8月のエネルギー転換法の制定を受け、今後10年のエネルギー政策や戦略的優先事項・施策を規定するもの。PPE3は、2022年から開始された国会・地方議員との長期間の協議、2025年春の国会討議に加え、2025年12月に送電系統運用者RTEが公表した将来シナリオなどに基づき策定された。脱炭素化され、主権的かつ競争力のあるエネルギーシステムを構築するため、2035年までに電力生産を拡大する計画を通じ、2050年までのカーボンニュートラル達成への道筋を示すものである電力生産と脱炭素目標については、2035年の脱炭素電力生産目標を6,500億〜6,930億kWh(2023年は4,580億kWh)化石燃料由来のエネルギー消費を2035年には約3,300億kWeまで削減する(2023年は約9,000億kWh)2030年にエネルギーの60%を脱炭素化、2035年には70%にを掲げている。この目標達成には、大幅な電化も不可欠であり、産業、建築、輸送、デジタル分野を支援するため、政府は国家電化計画を始動。原子力と再生可能エネルギーを組み合わせた、バランスの取れたエネルギーミックスをめざすとしている。なお、エネルギー施設の設置、生産、送電網への接続および配電に関連する総コストを考慮に入れたコスト管理の徹底と、エネルギー主権に根差した、バリューチェーンの確保および欧州内での一体管理のため、欧州製の設備に基づく生産方式の優先を強調している。前回の第2次PPE(2019~2028年対象)では、再生可能エネルギーの大幅な導入と並行して、原子力依存度の引き下げが柱とされた。2035年までに原子力比率を当時の71%から50%へ低減する方針を掲げ、90万kW級原子炉14基の閉鎖を想定。最も古いフェッセンハイム発電所の2基は2020年に閉鎖された。今回のPPE3では、原子力重視への明確な転換が示され、原子力発電量目標(2030〜2035年)を3,800億〜4,200億kWh/年(2023年の3,200億kWhに対して)としている。フランス電力(EDF)は2月20日、今後数年の原子力発電量の展望として、2026~2027年に3,500〜3,700億kWh、2028年には3,450〜3,750億kWhと示している。また、PPE3では、既存原子炉の運転期間延長:50年または60年EPR2×6基建設(初号機は2038年に稼働開始)追加8基の建設判断を2026年に実施2030年代初頭に小型モジュール炉(SMR)初号機の着工燃料サイクルのバックエンド事業の施設更新目標の具体化を掲げ、原子力分野への政策的コミットメントを示した。また、PPE2では原子炉14基の閉鎖方針を示していたが、新規建設と既存炉の運転期間延長の方針を明確にした。再生可能エネルギーについては、水力発電への投資の再活性化、洋上風力発電の加速、および陸上の再生可能エネルギー(太陽光、風力発電)の開発を合理的かつ現実的に推進。電化が困難なエネルギー部門については、バイオメタン、水素、再生可能熱、バイオ燃料などの脱炭素代替エネルギーの利用を推進するとしている。また政府は、再生可能エネルギーへの支援を最適化し、総コストを削減。平均的な電気料金に関するモデルにおいて再生可能エネルギー支援の国家負担額が約半減すると予測している。さらに政府はPPE3の実施により、年間約600億ユーロに及ぶ化石燃料(石油とガス)の輸入依存を低減、2030年までに12万人以上の新規雇用創出(特に原子力、太陽光発電、洋上風力発電分野で顕著)などの経済・雇用効果を見込んでいる。原子力産業界は、電力システムのバランスを考慮した可視性のあるPPE3を高く評価し、原子力産業の持続可能性と発展に対する国の強力な支援を歓迎した。EDFは、EPR2建設、既存炉の運転期間延長、水力発電への投資の再活性化を進めるとともに、再生可能エネルギー分野、とりわけ洋上風力における技術と専門性を維持していくとし、オラノ社は、燃料サイクル全体における長期的な投資の見通しを評価している。
02 Mar 2026
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米イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は2月18日、新規原子力発電の導入加速に向けた州知事令(Executive Order 2026-01)を発出。イリノイ州電力庁(IPA)およびイリノイ州商務委員会(ICC)に対し、60日以内に新規原子力発電所の建設を検討する事業者を対象とした照会通知(NOI, Notice of Inquiry)を行うよう指示した。照会項目には、設備容量および小型モジュール炉(SMR)を含む炉型、資金調達の枠組み、候補サイト、系統接続の可否、建設コストおよび運転開始時期、労働力需要、廃棄物処分を含む燃料管理計画などが含まれる。既設サイトの拡張や出力増強も対象としており、最終的に新設または既設炉の出力増強により合計出力200万kW超の原子力設備を導入することを目標とし、2033年までに着工する方針だ。また、ICCは新規原子力施設の立地受入れに関心を示す地域社会を対象とする第2のNOIを発出し、有望な候補地を少なくとも1か所選定する方針。土地や水資源の確保状況、地元コミュニティの支持、経済開発上の特性、既存送電インフラ(閉鎖あるいは閉鎖予定の発電所を含む)の活用可能性などに関する情報提供を要請する。さらに、IPA、ICC、商務経済機会局(DCEO)など関係機関およびイリノイ大学を含む省庁横断ワーキンググループを設置し、新設または出力増強を想定した制度・規制面の課題を検討、NOI公表から120日以内に州知事室へ報告する。必要に応じて、立法措置を検討する。その他、DCEOは新規原子力発電所の建設・運転に必要な人材需要を洗い出し、トレーニング計画を策定するほか、2027会計年度(26年10月~27年9月)に原子力関連の訓練アカデミー設立への予算措置を検討する。州内サプライチェーンの強化に向けた報告書も2026年9月までに作成する。イリノイ州では現在、6サイトで11基の原子炉が運転中で、全米最大の原子力発電電力量を誇る。今回の州知事令により、約40年ぶりとなる新規導入に向けた具体的検討が本格化する。同州では2021年制定の「Climate and Equitable Jobs Act(CEJA)」に基づき、2050年までに100%クリーンエネルギーを実現する目標を掲げている。2023年にはSMRに限り建設禁止を解除したが、大型炉については需要家負担増への懸念から州知事が拒否権を行使していた。しかし今年1月、「Clean and Reliable Grid Affordability Act(CRGA)」に知事が署名し、新規原子炉建設に関する州内モラトリアムを全面的に解除された。2月の施政方針演説では、州内の原子力発電の優位性を強調し、需要増および電力価格抑制の観点から、追加的な原子力導入の必要性を表明した。
27 Feb 2026
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韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は2月12日、「小型モジュール炉(SMR)の開発促進および支援に関する特別法」制定案が同日、国会本会議で可決されたことを発表した。政府が5年単位のSMR研究開発の基本計画を策定し、財源調達やサプライチェーンの構築などを後押しする。人工知能やデータセンターの電力需要の急増、カーボンニュートラル目標の達成に向け、無炭素電源としてSMRが世界的に注目されている。一方、韓国の原子力法体系は大型原子力発電所を中心に構成されており、SMRを集中的に支援する法的基盤は存在せず、韓国の原子力産業界はSMR政策の一貫性を確保し、研究開発にスピード感を与える特別法の制定を継続的に要求していた。特別法の制定により、SMRに対する明確な法的支援根拠を整備し、SMRの技術開発の全過程を体系的に支援することで、エネルギー安全保障の強化およびグローバル市場での競争力の向上をめざす。今回可決された特別法は、科学技術情報通信・国防委員会に提出されたSMR関連法案3件を、国会審査過程において与野党合意により一つの法案に統合して整備したもの。MSITは今回の特別法について、SMRの研究開発と実証が加速化され、韓国がグローバル市場において主導権を握るための基盤になるとしている。特別法で定める政府による支援施策は以下のとおり。―MSITはSMR開発の政策目標、研究開発推進戦略、財源調達、サプライチェーン構築に係る基本計画を5年ごとに策定、その実効性を高める施行計画は1年ごとに策定(第5条~第7条)―MSIT長官が委員長を務め、省庁横断的なSMR研究開発政策の司令塔となるSMRシステム開発促進委員会の設置・運営(第8条)―SMR関連法令および制度改善の根拠を明文化(第9条)―民間企業と研究機関によるSMR研究開発と迅速な技術実証に向けたサイトと財源確保の支援(第10条~第11条)―民間企業、公共機関などによる共同出資会社設立への支援。民間主体によるSMR関連研究組合の設立・運営支援(第12条)―大学・研究所・企業が密集した地域を開発特区に指定し集積効果を最大化するSMRシステム研究開発特区の指定(第13条)―専門人材育成機関の指定、教育および訓練に要する費用支援などを通じた専門人材の育成(第14条)―国際協力促進による民間の標準化事業の推進を支援(第15条)―広報および教育コンテンツなどの開発・普及を通じた社会的受容性確保施策の推進(第16条)などがある。本特別法は、国務会議および大統領の裁可を経て公布され、公布後6か月に施行される予定。MSITは法施行までに下位法令を整備し、施行後1年以内に「第1次SMR開発基本計画」を策定する。また、民間企業とともにSMRの技術開発と設計を完了させ、商用化への移行を加速するため、新規大型プロジェクトも早期に推進する方針だ。韓国原子力産業協会(KAIF)は本特別法成立への歓迎を表明。原子力産業界がSMRを将来の重要な成長エンジンと認識し、韓国が世界市場をリードする取組みに積極的に参加・協力していく意向を示している。原子力安全委員会は2030年までにSMR規制体系構築へ原子力安全委員会(NSSC)は同12日、2030年までにSMR規制体系を整備する「SMR規制体系構築ロードマップ」を発表した。既存の大型軽水炉中心の現行規制を見直し、船舶搭載や熱供給、水素生産など多様な用途に対応する設計特性をふまえた安全審査制度を構築する。NSSCは「原子力規制の独立性と安全最優先の原則を前提に、世界的なSMR開発競争で遅れを取らないよう、先制的に安全規制体系を整えていく」としている。NSSCは2023年に「SMRの安全性規制の方向性」を発表後、詳細な規制体系の改善に着手。関係省庁、開発者、専門機関、産官学の専門家などの意見を取入れ、ロードマップを策定した。NSSCは2030年までの今後5年間で、既存の大型炉ベースの安全規制体系を段階的に改編する。まず、発電用・研究用・教育用の原子炉と規定された既存の認可体系を、船舶用、熱供給用、水素生産用など多様な目的と設計を包括できるよう大幅に改編。併せて、SMRごとに設計が異なり、新規かつ革新的な技術を適用する特性を考慮し、これに適合した安全性を検証する方式を導入する。このため、許認可技術基準はコア機能・要件を中心に規定し、事業者が当該原子炉に適した方法論の設定や基準を提示して安全性を立証できるように「(仮称)SMR技術基準に関する規則」の制定も推進することとしている。そのうえで、2027年までに原子力安全規制体系の詳細な改編案を策定、2028年から利害関係者の多角的かつ広範な意見聴取を経て、関連法令と基準を順次改正していく計画だ。なお、新たな設計・技術に対する許認可の予見性を高めるため、事業者(開発者)とのコミュニケーションを一層強化、認可申請前であっても規制機関の審査を受けられる事前審査制度の今年中の導入をめざし、法制度化の準備中である。規制者、開発者、研究者などが共に安全課題を議論する炉型別の規制研究グループも今年前半に運営を開始する予定であるという。NSSCはさらに、2026年に予定されている韓国製SMR「i-SMR」(電気出力17万kWの一体型PWR)の標準設計承認(SDA)申請に向けて、審査指針を年内に作成するとしている。i-SMRの設計前審査は2022年から継続実施しており、SDA審査の効率性向上を図っている。NSSCは、2030年頃に見込まれる「i-SMR」の国内建設と非水冷却型SMRの認可に備え、規制システムの合理化を図り、中長期的に原子力安全規制の全領域を段階的にカバーしたい考え。このため、規制専門機関の人員・組織体制を補強し、国際機関やSMR開発国との規制経験の共有の協力を拡大する方針だ。
25 Feb 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は2月4日、原子力技術の許認可審査の効率化と迅速な導入に向けて、意思決定の合理化および業務機能の統合を柱とする大規模な組織再編に着手すると発表した。再編では、①新規原子炉、②運転中原子炉、③核物質および廃棄物の3つの中核事業分野を中心とする体制へ移行する。各事業分野の中にライセンス(許認可)と検査機能を統合し、プロジェクトの初期段階から両部門が一体的に対応することで責任の所在を明確化するとともに、NRCの管理・支援部門についても統合を進め、組織全体の効率向上を図る方針。NRCのホー・ニエ委員長は、「本再編は、原子力技術の安全な導入を加速するという国家的優先事項に沿ってNRCの組織構造を見直すものであり、より効率的かつ迅速な意思決定を可能にする。地域事務所間で安全プログラムの運用の一貫性向上もめざしている」と述べた。今回の再編は、2025年5月の大統領令「原子力規制委員会改革の命令」および、同年2月の「政府効率化に向けた人員最適化の実施」に基づく要件をふまえたもの。当面は、原子炉安全プログラムの主要ポストの任命を進めるほか、今後60日以内に新たな組織図と変更管理計画を策定し、9月末までの実施をめざす。NRCは、既存施設の安全とセキュリティを最優先に維持しつつ、米国民への説明責任と奉仕を確実にする組織文化を築いていく考えだ。
24 Feb 2026
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米上院のJ. リッシュ議員(共和、アイダホ州)とR. ガイエゴ議員(民主、アリゾナ州)は2月10日、商業用原子炉の建設に伴うコスト超過リスクを抑制し、投資を加速させることを目的とした「Accelerating Reliable Capacity(ARC)法案」を提出した。初号機(FOAK)特有の不確実性を限定的に政府が吸収することで、民間資金の呼び込みを図り、先進炉の商業化を後押しする狙いがある。初号機の建設では、想定外の工期遅延やコスト超過のリスクが大きく、資金調達面での不確実性が高まることから、投資家の参入をためらわせる要因となっている。同法案は、予期せぬ工期遅延やコスト増大に備える保護措置を設けるとともに、融資条件の改善や限定的な連邦政府の費用分担を通じて、プロジェクトの金融リスクを低減する仕組みを創設する。少なくとも3件以上の先進炉プロジェクトを支援対象とすることが想定されている。具体的には、米エネルギー省(DOE)融資プログラム局(LPO)内に最大36億ドル(約5,500億円)の予算措置を可能とする枠組みを整備する。また、プロジェクトの実際の建設費が当初の基準見積額(予備費等を含まないベース見積)の120%を超えた場合、一定の条件下で連邦政府が費用の一部を負担する仕組みを設ける。支払額は、基準見積額の30%または最大12億ドルのいずれか低い額を上限とし、発電所の運転開始後に保証融資の負担軽減に充てられる。そのほか、対象プロジェクトに対する優遇措置として、当初の基準見積額の最大200%まで融資保証を可能とする特例が含まれる。リッシュ議員は「米国が原子力分野で世界のリーダーであり続けるためには、国内の電力需要増に対応し、海外市場にも供給可能な先進炉の展開が不可欠だ」と強調。ガイエゴ議員も「急増する電力需要に対応する上で原子力は重要だが、新規プロジェクトには企業単独では負いきれない金融リスクがある」と述べ、超党派での法案提出の意義を訴えた。法案は、ClearPath Action、米原子力エネルギー協会(NEI)、Nuclear Innovation Allianceなどが支持。アイダホ国立研究所(INL)のJ. ワグナー所長は、初号機に対するコスト超過への保護は商業展開の加速と産業競争力の強化につながるほか、原子力分野における米国のリーダーシップを維持、強化するものと評価した。
24 Feb 2026
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ハンガリーのパクシュ原子力発電所増設(パクシュⅡ)プロジェクトの5号機(ロシア製PWR=VVER-1200、120万kWe)で2月5日、原子炉建屋の基礎スラブへの初コンクリート打設が開始された。同日、着工式典が開催され、国際原子力機関(IAEA)のR. グロッシー事務局長、ハンガリーのP. シーヤールトー外務貿易相、ロシア国営原子力企業のA. リハチョフ総裁らが出席した。パクシュⅡプロジェクトは、ロシア設計の第3世代+(プラス)炉のVVER-1200を2基導入する、欧州連合(EU)初の原子力発電所となる。グロッシー事務局長は、「数百もの障害を乗り越えなければならなかったプロジェクトを一つ挙げるとすれば、それはパクシュII。今日はハンガリーだけでなく、世界の原子力産業および持続可能なエネルギー生産にとり重要な一歩だ」と指摘。シーヤールトー外務貿易相は、「パクシュIIは最先端プロジェクトであり、原子力ルネサンスのフラッグシップ。パクシュIIの稼働により、ハンガリーは電力消費量の最大70%を自国で賄うことが出来る」とその意義を強調した。パクシュⅡプロジェクトは、ロシアとの政府間合意により2014年に開始され、プロジェクトコストの大部分がロシアの低金利融資によって支えられている。2022年8月には、ハンガリー原子力庁(HAEH)が同2基の建設に関する主要建設許可を発給。翌7月には大規模なサイト準備工事が開始され、全長2.7kmの遮水壁の建設や掘削ピット下の地盤改良が行われた。HAEHは2025年11月、5号機の基礎スラブへの初コンクリート打設および「ニュークリア・アイランド」(原子力部)の建設許可を発給した。パクシュⅡプロジェクトは、最大40%の現地調達率が見込まれ、ハンガリーとロシアに加え、欧州、アジア、米国の主要企業がパクシュⅡプロジェクトに参加している。ロシアのウクライナ侵略に対する対抗措置としてロシアに大規模な制裁を科しているEUは2024年6月、パクシュⅡプロジェクトを制裁対象から除外。2025年11月には、米国も対ロシア制裁から、パクシュⅡプロジェクトに関連する取引を除外する例外措置を公式に発表しており、同プロジェクトの進展に弾みを与えた。パクシュⅡは、旧ソ連時代に建設されたパクシュ1〜4号機(ロシア製VVER-440、各50万kWe級)に隣接する。同4基は1983~87年に運転を開始し、総発電量の約5割を供給している。公式運転期間の30年を超過したため運転期間が20年延長され、容量の大きい増設2基に徐々にリプレースしていく方針だ。ハンガリーは米国との原子力協力も強化米国のM. ルビオ国務長官は2月16日、ハンガリーのブダペストでV. オルバーン首相と会談し、民生用原子力協力協定を締結した。本協定は、2025年11月に署名された原子力エネルギーに関する覚書に続くもので、「ハンガリーを中東欧地域における小型モジュール炉(SMR)開発の拠点とする」という米国の取組みを強調。加えて、ハンガリーにおける米国製SMRの採用の促進、米ホルテック・インターナショナル社によるハンガリーの乾式使用済み燃料貯蔵の管理を支援する計画を確認している。米国務省は本協定履行により、米国のベンダーに150億ドル以上のビジネスチャンスが生まれ、米国で数千人の雇用創出の見通しを示している。なお、ルビオ国務長官は2月15日、スロバキアのブラチスラバを訪問し、R. フィツォ首相と会談した。今年1月に締結された米スロバキア政府間協定の具体化として、米国の資金提供による、米ウェスチングハウス(WE)社製大型炉の建設にむけた基本設計(FEED)作業の開始に言及。フィツォ首相は、スロバキアが2040年までに出力120万kWeを導入するために、多国籍コンソーシアムの設立への強い関心を表明した。米国は中東欧において、米国の最先端原子力技術導入による地域のエネルギー安全保障の向上、産業力強化を推進していく考えだ。
20 Feb 2026
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米エネルギー省(DOE)の環境管理局(EM)は2月4日、サウスカロライナ州のサバンナ・リバー・サイト(SRS)にあるHキャニオン(H Canyon)施設でウラン回収事業を再開すると発表した。DOEは、米国の原子力産業基盤の強化とエネルギー自立の推進に向けた戦略的な一歩と位置付けている。再開により、現在国内供給が限られている貴重な同位体の回収が可能となり、科学研究や医療、商業利用を支える体制が強化される。同施設はサイトのクリーンアップ任務の一環として使用済み燃料の処理を継続し、その化学分離能力を活用して再びウランや貴重な同位体の回収を行う。Hキャニオンは、米国で唯一稼働中の生産規模の放射線遮蔽化学分離施設で、1950年代初頭に操業を開始した。同施設は歴史的に、SRSにある原子炉の使用済み燃料からウランとネプツニウムを回収し、核兵器向けの放射性核種を生産してきたが、冷戦終結後は核不拡散と環境浄化を主な任務としている。今回の再開により、先進炉に必要な高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)を生産するほか、供給が限られている貴重な同位体を回収し、燃料サイクル全体を管理する米国の能力を示すものとされる。これは2025年5月の大統領令「原子力産業基盤の再活性化」および「国家安全保障強化のための先進原子炉技術の導入」に即したものである。現在、SRSに保管されている使用済み燃料には、最大で19MT(メートルトン)のHALEUを製造できる量の高濃縮ウランが含まれており、これは複数の小型モジュール炉(SMR)を稼働させるのに十分な量であるとしている。DOEは、最終処分前に使用済み燃料からウランを回収することで、高レベル放射性廃棄物キャニスターを削減し、長期的なリスクとコスト削減も図られ、EMのクリーンアップの前進にも寄与するとしている。
20 Feb 2026
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英原子力廃止措置機関(NDA)傘下で原子力輸送を専門とするニュークリア・トランスポート・ソリューションズ(NTS)社と、米ウェスチングハウス(WE)社は1月22日、NTS社が開発を進める高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)向け輸送容器「ペガサス」の共同開発に関する戦略的協定を締結した。両社の協力のもと開発を加速し、先進炉向け燃料のサプライチェーンにおけるロシア依存からの脱却をはかる。ペガサスは、先進炉での利用が見込まれるHALEUの輸送専用容器。現在、製造および商業化を見据えた評価作業が進められている。今回の協定により、両社は実用化に向けて開発を加速する。NTS社の共同CEO、B. ウィッタード氏は「提携により先進燃料の安全な輸送に関する当社の専門知識を提供できる」と述べた。WE社も協定について、英米でHALEUを利用可能にする重要な一歩であるとの認識を示した。HALEUをめぐっては、露テネックス社の独占状態にあり、英米両国が濃縮、再転換、輸送インフラ整備を含むサプライチェーンの自立化を進めている。燃料そのものの製造能力だけでなく、安全輸送体制の確立もサプライチェーン構築の重要な要素となる。英国政府は2024年、HALEUの国内輸送能力開発を目的としてNTS社に1,050万ポンド(約19.5億円)を交付。エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は原子燃料基金(NFF)を通じ、HALEU製造や濃縮能力強化、輸送容器開発など国内8件のプロジェクトに総額2,230万ポンド(約41.5億円)を拠出すると発表しており、NTS社への支援もその一環。一方、米国ではWE社が2024年10月、米エネルギー省(DOE)からHALEUの再転換サービスを提供する事業者の一社に選定された。WE社はHALEU燃料を使用するeVinciマイクロ炉も開発中だ。今回の協定は、英米先進炉市場の拡大に向けた、燃料供給基盤整備の一環と位置付けられる。
19 Feb 2026
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米エネルギー省(DOE)は2月2日、DOE管理権限下にある先進炉の「認可、サイト選定、建設、運転、再認可、廃炉」について、国家環境政策法(NEPA)の適用除外リストに加える制度変更を発表した。この結果、一部の先進炉プロジェクトでは、NEPAで定めている環境評価書(EA)や環境影響評価書(EIS)の作成が不要となる可能性がある。すでにC. ライトDOE長官は、改定されたNEPA実施手続き文書に1月28日に署名。DOEは来月3月4日まで一般からの意見募集を行っている。1969年に制定されたNEPAは、人間・環境に著しい影響を与える連邦政府の活動について、代替案の検討を含む環境影響評価書(EIS)の作成と公表、それに対して住民が意見を提出するなどの住民参加手続を政府に義務づけている。DOEは今回の制度変更について、「DOEおよび他の連邦機関の知見、現在の技術、規制要件、業界内の慣行」に基づくものだと説明。2025年5月の原子力関連の大統領令のうち、「DOEにおける原子炉試験の改革」ではDOE長官に対し、NEPA遵守に関するDOE規則を見直し、環境影響審査を削減または迅速化するための措置を講じるように指示。一定条件を満たすDOE管理権限下にある先進炉について、NEPAの適切な「適用除外」を求めており、その背景について、「数十年にわたる研究開発により、受動的安全性を備え、設計構造を改善、運転の柔軟性と性能を向上させ、燃料処分リスクを低減する先進炉の試作機が生み出されてきたため」と説明している。DOEのNEPA実施手続きは10 CFR Part 1021に基づき運用されている。今回の改定もその枠組みの中で実施される。DOEは個別案件ごとに、NEPAの適用除外の基準を満たすかどうか、また、通常は除外される行為であっても重大な環境影響をもたらす特別な状況が存在しないかを確認するとしている。必要に応じ、他の連邦機関、州・地方政府などと協議することもある。DOEがNEPAの適用除外と認める先進炉プロジェクトは、核分裂生成物の量、燃料の種類、原子炉設計、運転計画が、放射性物質や有害物質の放出によるサイト外への悪影響リスクを十分に低減していると判断される場合に限られ、有害廃棄物、放射性廃棄物や使用済み燃料が適切に管理できることも示さなければならない。なお、これまで先進炉プロジェクトは、実験・試験・実証目的に限られてきたが、多くの企業が近い将来の実用化を目指す中、DOEは「先進燃料、本質的に安全な設計などの特性から、発電や産業用途向けに開発される原子炉も、この適用除外の対象として適切である」との考えを示している。
19 Feb 2026
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中国の広東省恵州市で2月13日、中国広核集団(CGN)の太平嶺(Taipingling)原子力発電所1号機(PWR=華龍一号<HPR1000>、112.6万kWe)が送電を開始した。広東・香港・マカオ大湾区初となる「華龍一号」である。華龍一号は、中国が独自開発した第3世代炉で、中国の主力輸出炉としても位置付けられている。太平嶺原子力発電所プロジェクトでは、最終的に6基の華龍一号を建設する計画で、総投資額は1,200億元(約2.7兆円)を超えると見込まれている。今後、負荷試験運転段階に入り、その後、出力引上げや各種性能試験を進め、2026年前半の営業運転開始を計画している。太平嶺サイトでは、同2-3号機がそれぞれ、2020年10月、2025年6月に着工している。広東・香港・マカオ大湾区のエネルギー需要は現在、人工知能(AI)などの産業の急速な発展を受けて持続的に増加しており、エネルギー構造の最適化が急務となっている。同1号機の稼働後は広東・香港・マカオ大湾区に年間約81億kWhのクリーンな電力を供給し、標準石炭換算で約245万トンの消費削減に寄与するという。また、浙江省温州市で2月14日、CGNの三澳(Sanaocun)発電所1号機(華龍一号、120.8万kWe)が初臨界を達成した。三澳プロジェクトは2007年にサイト調査が開始され、2015年に国家能源局が計6基の「華龍一号」を建設するサイト取得・整備作業等の実施を承認。I期工事の1-2号機はそれぞれ2020年12月、2021年12月に着工。Ⅱ期工事の3号機も2025年11月に着工された。1号機の運転認可は2025年12月、国家核安全局(NNSA)が発給している。プロジェクト完成後、浙江省および長江デルタ地域に年間540億kWh超の電力供給が見込まれている。
18 Feb 2026
603
韓国水力原子力(KHNP)は1月30日、大型炉2基と小型モジュール炉(SMR)1基の建設候補地を選定するための公募手続きを開始した。公募は地方自治体の自主応募方式で実施し、3月30日まで応募を受け付ける。計画では2027年までに候補地を選定。その後、約5~6か月の評価手続きを経て、2030年代前半の建設許可取得、2037~2038年の完成をめざすとしている。同社は、公平かつ客観的な候補地選定を担保するため、外部専門家で構成する選定評価委員会を設置した。1月26日には、気候エネルギー環境部のK. ソンファン長官が記者会見で、第11次電力需給基本計画に基づく原子力発電所の新規建設について「計画通り推進する」と述べている。同計画は2025年2月に産業通商資源部(MOTIE)が発表したもので、確定直後の政権交代の影響で見直しの可能性も指摘されていたが、政府は方針を維持する姿勢を明確にした。今回の候補地公募はこの方針に基づく措置である。K. ソンファン長官は、気候変動対策にはあらゆる分野でのCO2排出削減が不可欠だと指摘。電力部門では石炭火力の削減が必要だとしたうえで、再生可能エネルギーと原子力を中心とする電力システム構築の必要性を強調した。次期第12次電力需給基本計画では、AIや電気自動車の拡大などによる電力需要の増加を見込み、これをふまえたエネルギーミックスを策定する方針も示した。また政府は1月、国民3,024人を対象とした世論調査を実施。再生可能エネルギーと原子力を将来の主要電源と位置づける回答が多数を占めたという。80%以上が原子力の必要性を認め、60%以上が新規建設計画の実施を支持したとしている。
18 Feb 2026
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アルメニアのN. パシニャン首相は2月9日、首都エレバンで、同国を公式訪問した米国のJ. ヴァンス副大統領と会談し、原子力の平和的利用に関する協力協定(123協定)の交渉完了に関する共同声明に署名した。ヴァンス副大統領は、これまでアルメニアを訪問した米国高官としては最高位となる。交渉の完了は、2025年8月に米ワシントンD.C.で締結された両政府間のエネルギー安全保障パートナーシップ覚書の主要な柱である「民生用原子力パートナーシップの深化」に向けた重要な節目と位置づけられる。今後、協定署名に向けた両国それぞれの国内承認の手続が進められる。パシニャン首相は共同記者会見で、「本協定は両国のエネルギーパートナーシップに新たな章を開くものであり、安全で革新的技術の導入により、アルメニアのエネルギー源の多様化に寄与する」と強調。一方、ヴァンス副大統領は、「協定の締結後、両国の企業が民生用原子力プロジェクトで契約を締結する道が開かれる」と期待を示した。米国側は、特に小型モジュール(SMR)の輸出を想定している。初期輸出額が最大50億ドルとなることに加え、燃料供給および保守契約を含む長期支援は40億ドル規模になるとの見通しも示された。そして、米国内での雇用創出にもつながるとして、両国にとって「Win-Win」の関係になると強調した。ロシアも包括的協力を提案一方、本会談に先立つ2月6日、ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は、ロシアを公式訪問したアルメニア国民議会のA. シモヤン議長と会談。アルメニア西部のメザモールで唯一稼働する、アルメニア原子力発電所2号機(ロシア製PWR=VVER440、44.8万kWe)の運転期間延長に向けた改修作業の進捗状況について説明した。併せて、アルメニアに対し、大型・中型または小型の原子力発電所の建設、および非原子力分野を含む関連プロジェクトの実施を含む、包括的な協力実施を提案している。同2号機は1980年5月に営業運転を開始。1988年のスピタク地震後に一時停止したが、深刻な電力不足を背景に1995年に再稼働した。2021年10月、アルメニア原子力規制機関(ANRA)は同2号機の2026年9月までの運転期間延長を認可しており、現在は2036年9月までのさらなる延長を目指し、ロスアトムの支援の下で2度目の大規模改修が進められている。アルメニアの人口はおよそ300万人。自国資源に乏しく、天然ガスや石油の大半をロシアから輸入している。総発電電力量の約3分の1を原子力が担っており、既存炉の運転期間延長と再生可能エネルギーの拡大がエネルギー政策の柱だ。旧ソ連構成国であるアルメニアは、これまで政治・経済・軍事的にロシアとの関係はこれまで緊密であった。しかし、2020年にナゴルノ・カラバフで発生したアゼルバイジャンとの軍事衝突を機に、ロシア離れを志向。パシニャン政権は親欧米路線をとり、欧米との関係強化が加速している。今回の米国との原子力分野における関係構築もその流れといえる。
17 Feb 2026
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米ウェスチングハウス(WE)社、加ノルディオン社、米PSEGニュークリア社の3社は1月27日、米国の加圧水型炉(PWR)で初の商業規模となるコバルト60生産に向けた共同イニシアチブを発表した。コバルト60は、米国で毎年160億以上の使い捨て医療機器の滅菌や定位放射線手術によるがん治療、食品照射などに使用される重要な同位体。今回、3社はPSEG社が米ニュージャージー州で運転するセーレム原子力発電所1-2号機(PWR、各120万kWe級)で、WE社とノルディオン社が新たに開発したPWR用コバルト60の生産技術導入に関する長期契約を締結。ノルディオン社は医療用放射性同位体(RI)の大手販売企業であり、セーレム発電所で生産されたコバルト60は同社に供給される計画である。米原子力規制委員会(NRC)は現在、PSEG社による運転認可変更申請(LAR)を審査中で、2026年中の導入を目指している。ノルディオン社のR. バンダリ社長は、「コバルト60の需要が増加する一方で、加速器ベースの照射技術の導入と普及が大きな課題に直面している重要な時期に、供給の信頼性確保が可能になる」と今回の協力の意義を強調。PSEGニュークリア社のC. マクフィーターズ社長兼最高原子力責任者は、「原子力エネルギーにとって革新的な機会であり、世界の医療を強化する上で重要かつ新たな役割を示すものである」と述べ、ウェスチングハウス原子燃料社のS. ルメア暫定共同社長は、「商業用原子力がコバルト60の世界的な供給を強化し、いかに重要な医療インフラを支えることができるかを示すもの」と指摘した。米国は現在、コバルト60の供給源を完全に海外に依存しており、その20~50%をロシアに依存している。近年の地政学的緊張やサプライチェーンの混乱は、こうした供給体制の脆弱性を浮き彫りにしている。さらにCOVID-19パンデミックは、滅菌インフラの脆弱さをさらに露呈させ、医療手続きの不足や遅延を引き起こした。セーレム発電所での導入が成功すれば、世界の商業用原子炉の70%以上を占めるPWRフリート全体への展開の基盤を築き、大規模かつ強靭なコバルト60の供給ネットワークを支えることになるとしている。セーレム発電所は、PSEG社が57%所有(残り43%はコンステレーション社が所有)。同1-2号機はそれぞれ1977年、1981年に運転を開始し、2036年、2040年まで運転期間延長が認められている。ニュージャージー州では、PSEG社が100%所有するホープ・クリーク原子力発電所(BWR単機、124万kWe)も運転中であり、両発電所は同州の総発電電力量の約40%を担っている。
17 Feb 2026
806
加オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は2月2日、自社が所有・運転するダーリントン原子力発電所4号機(カナダ型加圧重水炉=CANDU炉、93.4万kWe)の改修工事を終了、これにより同型の全4基の改修工事が予定より4か月早く完了し、改修コストも当初予算を1.5億加ドル下回ったことを明らかにした。改修により、今後少なくとも30年間、2055年までの運転期間の延長が可能になる。2016年10月の同2号機の改修開始を皮切りに、総額128億加ドルを投じて実施され、支出の96%が州内に留まったという。改修工事全体では、合計1,920の燃料チャンネルと3,840の給水管の交換など、延べ数百万時間に及び作業が行われた。4号機は数週間以内に営業運転を再開予定。改修工事や運転継続による雇用創出は年平均14,200人と見込まれ、州への経済効果は900億加ドルに達すると予想されている。OPG社は、今回の成功は主要プロジェクトパートナーやベンダーなどの何千人もの熟練労働者との連携、そして各炉改修から得られた効率化と教訓の成果によるものであると強調。複雑な原子力プロジェクトを予定より早く、予算内で成功裡に完了できることを世界に示したとしている。本改修工事を通じて得られた8,000もの教訓や技術を活用して、今後はピッカリング原子力発電所5-8号機(CANDU炉、各54万kWe)の改修、ダーリントン・サイトでの小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(BWR、30万kWe)×4基の建設、ポートホープ自治体で提案している大規模原子力開発など、将来のプロジェクトを進めていく方針だ。なお、OPG社は2月12日、ポートホープ自治体にあるウェスリービル・サイトで最大1,000万kWeの新規原子力発電の導入可能性検討に向け、同自治体と協力推進に関する覚書を締結した。同社は今年1月、同サイトにおける原子力発電所新設計画について、初期プロジェクト概要(Initial Project Description: IPD)をカナダ環境影響評価庁(IAAC)に提出。これにより、同計画は連邦政府による影響評価(Impact Assessment: IA)手続きの初期段階に入っている。ウェスリービル・サイトはオンタリオ湖沿岸に位置する約1,300エーカー(約5.26㎢)の敷地で、1970年代に石油火力発電所の建設を検討していた。既に電源開発地に分類され、送電網や鉄道、道路などのインフラにも近接している。
16 Feb 2026
603
ルーマニア国営原子力発電会社ニュークリアエレクトリカ(SNN)は2月12日、南部ドゥンボビツァ県ドイチェシュティ(Doicesti)で計画されている小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトの最終投資決定(FID)を承認した。これによりプロジェクトは分析段階から実施段階へ移行し、順調に進めば欧州初のSMR導入例となる見通しだ。同プロジェクトは、ドイチェシュティの旧石炭火力発電所跡地に、米ニュースケール・パワー社製SMRである出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)を建設するもの。SNNと民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社の合弁企業のロパワー・ニュークリア(RoPower Nuclear)社が中心となり、EPC(設計・調達・建設)大手でニュースケール社の大株主でもある米フルアー(Fluor)社、韓サムスンC&T社(サムスン物産)、米サージェント&ランディ(Sargent & Lundy)社などが参画している。プロジェクトは2022年9月に正式に開始され、2023~2024年に基本設計の第1・第2段階(FEED1、FEED2、Front-End Engineering and Design)が完了。IAEAによる独立評価も実施され、サイトの妥当性が確認されている。今後、ロパワー・ニュークリア社は2026年5月までに地質調査、許認可手続き、長納期機器の契約交渉、サプライチェーン整備など、第3段階(Pre-EPC)入りに向けた準備作業を進める。続く約15か月のPre-EPCでは施工体制の確立を図り、並行して投資・資金調達の枠組みを構築、2030年代初頭の運転開始をめざす。ルーマニアのB. イワン・エネルギー大臣は今回のFID について、「欧州の新たな原子力産業の最前線に立つ重要な一歩だ」と強調。開発段階では約4,000人の雇用創出が見込まれ、長期的な国内産業の発展にも寄与するとした。また、ニュークリアエレクトリカのC. ギータCEOは、世界の計画中のSMR設備容量が2021年以降65%増の2,200万kWに達したと指摘し、「SMRはエネルギー安全保障と脱炭素の現実的な解となりつつある」と述べた。同プロジェクトは、ルーマニアのエネルギー安全保障、脱炭素、電力供給の安定化を同時に達成する国家戦略に合致したものであり、建設・製造・運転を通じた、国内産業の拡大や関連投資の誘致も期待されている。なお本プロジェクトは、ルーマニア政府に加え、米国貿易開発庁(USTDA)の技術支援金、米輸出入銀行(US EXIM)および米国際開発金融公社(US DFC)による資金支援など、米国政府からの後押しを受けている。さらに、日本企業ではIHIがサムスンC&T社から原子炉建屋用鋼製モジュールのモックアップ製作を受注するなど、国際的な協力体制の下で進められている。
16 Feb 2026
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米エネルギー省(DOE)は1月28日、燃料サプライチェーンの強化、燃料サイクル全体の刷新を目的に、全米の各州に対し、原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパス(Nuclear Lifecycle Innovation Campuses)を誘致する関心を問う、情報提供要請(RFI)を開始した。締切は2026年4月1日。DOEは、今回の措置について、地域経済の活性化を図るとともに、連邦政府と州政府が連携して国内の原子力エネルギー戦略を構築するための第一歩になるとの考えを示した。DOEのC. ライト長官は、「原子力ライフサイクル・イノベーション・キャンパスは、トランプ大統領の米国の原子力基盤再生に向けた優先事項であり、州と直接協力する機会をもたらすもの」と指摘した。同キャンパスでは、燃料の製造、濃縮、使用済み燃料の再処理、廃棄物処分など、燃料のライフサイクル全体にわたる活動を実施。州の優先事項や能力に応じて、これらのサイトで、先進炉の配備、発電、先進技術による製造、データセンターの共同設置なども支援できる可能性があるとしている。DOEは州に対し、同キャンパスの誘致への関心表明に加え、州が担える人材育成、インフラ整備、経済の多様化、技術的リーダーシップといった戦略的優先事項や、州が想定する活動の範囲を示すなど、建設的なフィードバックを求めている。また同キャンパスの設立・維持に必要な資金調達構造、リスク共有案、その他必要な支援やインセンティブ、連邦政府との連携についても意見を求めている。なおDOEは、本キャンパスの実現に民間資本と州資本を優先、連邦による支援は対象を限定した条件付きかつ期間限定とし、大規模な人材育成、環境保護対策、核不拡散に配慮した運営を想定。同キャンパスが多大な利益を生み出し、エネルギー安全保障を向上させ、原子力分野における国際的なリーダーシップを強化する可能性を秘めていると強調する。DOEは、米国の電力需要が消費者のニーズ、データセンターの成長、AI利用の増加、産業部門の恒常的な電力需要によって、今後数年間で急増すると予測し、2050年までに原子力発電設備容量を4億kWeに拡大する野心的な目標を掲げている。一方で、使用済み燃料の蓄積・滞留や放射性廃棄物の最終処分地の問題は未解決のままである。今回の措置により、州との連携を強化してこれらの問題を解決し、原子力拡大路線を堅持したい考えだ。また、DOE原子力局は2月5日、使用済み燃料・放射性廃棄物を大幅に減容し、エネルギー資源を最大限に活用するために、米国企業5社に合計1,930万ドルを助成して使用済み燃料のリサイクル技術の初期段階の研究開発を支援すると発表した。2024年12月に使用済み燃料リサイクル技術の研究開発活動を支援するとしたDOEの発表を受けたもの。DOEは、米国の既存炉はウランのエネルギーポテンシャルの5%未満しか使わないが、使用済み燃料のリサイクルにより、資源利用率を約95%まで高め、廃棄物量を約90%削減、必要な新規ウラン量を減らすことができ、さらに、医療・産業・防衛分野で利用可能な放射性同位体の回収可能性もあると指摘。本取組みは、2025年5月の大統領令「国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入」「原子力産業基盤を再活性化」に即したものであり、T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「使用済み燃料は、米国にとって未活用の貴重な資源。リサイクルは資源を無駄なく使い、エネルギー自立と経済成長につなげる現実的な政策だ」と強調している。助成先に選定された5社は以下のとおり。国の厳格な核不拡散基準の遵守が前提。助成条件として、プロジェクトの期間は最大3年間、コストシェアリング(最低20%が企業側負担)となる。アルファ・ヌール社(Alpha Nur Inc.)研究炉由来の使用済み燃料から高濃縮ウランを回収し、小型モジュール炉(SMR)向け燃料(高アッセイ低濃縮ウラン: HALEU)に変換する技術を研究。キュリオ・ソリューションズ社(Curio Solutions, LLC)使用済み燃料から六フッ化ウランガスを製造する技術を開発。フリベ・エナジー社(Flibe Energy Inc.)電気化学的方法による使用済み燃料処理を研究。オクロ社(Oklo Inc.)熔融塩中での重元素の挙動を調べ、乾式処理施設の最適化を研究。シャイン・テクノロジーズ社(Shine Technologies, LLC)使用済み燃料のハイドロプロセシングと併せ、輸送・貯蔵・処分を一体化したプロセス設計を開発。先進炉やSMRの普及、脱ロシア依存政策によるHALEUの供給危機のため、使用済み燃料のリサイクルは、燃料供給を確保するとともに、使用済み燃料の蓄積・滞留や最終処分場が決まらない中、廃棄物管理の長期的持続可能性を支援する対応といえる。
13 Feb 2026
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英国で原子力発電所を所有・運転するEDFエナジー社は1月21日、今後の重点施策をまとめたレポートを公表し、2026年から3年間で12億ポンド(約2,300億円)を投じ、運転期間延長を図る方針を示した。同社は現在、英国で9基の原子炉を運転している。2025年の総発電電力量は329億kWhで、英国の総電力消費量の約12%を占めた。前年を下回ったものの、2009年のブリティッシュ・エナジー社買収時の想定の3倍超の発電量を確保した。2026年は約360億kWh、2027年は約370億kWhを見込む。1995年に営業運転を開始したサイズウェルB(PWR、125万kW)は高い設備利用率を維持。2025年の設備利用率は99%、発電量は104億kWhで、英国の原子力発電量の約3割を占めた。2035年までとされる運転期間については、事業性の確保を前提に2055年までの延長を検討している。残りの改良型ガス冷却炉(AGR)についても、トーネス1、2号機(各68.2万kWe)およびヘイシャムB 1、2号機(各68万kWe)は2030年3月まで、ヘイシャムA 1、2号機(各62.5万kWe)およびハートルプール1、2号機(各65.5万kWe)は2028年3月までの延長が決定している。同社は、各炉が寿命後半にあることも踏まえ、安全性と経済性が確保される範囲で延長の可否を判断していくとしている。さらに、ヘイシャム(イングランド北西部)とトーネス(スコットランド)についても、既存インフラと人材基盤を備えるサイトとして将来的な活用可能性に言及した。政府や民間企業と連携しての既存サイトを活用した新規原子力開発も進めており、ノッティンガムシャー州の旧コッタム火力発電所跡地では、EDFエナジー社が参画する小型モジュール炉(SMR)とデータセンターの統合構想が進行中。ハートルプールでは、英セントリカ社と米X-エナジー社が高温ガス炉の導入を検討しており、EDFエナジー社は技術的知見の提供を通じて関与している。
13 Feb 2026
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米大手電力会社でフロリダ州に本拠地のあるネクストエラ・エナジー社は1月27日、2025年第4四半期の決算説明会を開催。AIやクラウドサービスの拡大に伴い急増する電力需要を背景に、同社が所有する複数の既存サイトや新規サイトを開発し、最大600万kWeの小型モジュール炉(SMR)の追加配備を検討していることを明らかにした。ネクストエラ社は現在、フロリダ州以外に所有する既存サイトについて、先進原子力導入に適した状態にあるとし、様々なSMR炉型の詳細評価を実施。2025年10月に発表した米IT大手のGoogle社との25年間の電力購入契約(PPA)により実現した、アイオワ州デュアン・アーノルド原子力発電所(BWR、62.4万kWe)の運転再開に向けた作業も進めている。同PPAにより、Google社が25年間にわたり電力を固定価格で購入するため、ネクストエラ社は運転再開に必要な巨額投資を長期収益で回収できる見通しを得た。今回のGoogle社とのPPAは、政府補助に依存しない事例として注目を集めており、今後同社とは全米で原子力発電の展開についても検討することで合意している。アイオワ州唯一の原子力施設であるデュアン・アーノルド発電所は、1975年に運転開始。45年以上にわたり稼働したのち、経済性の悪化を理由に2020年に閉鎖された。当初は2034年までの運転が認可されていたが、地域電力会社との売電契約期間の短縮と同年の自然災害による設備損傷により、閉鎖が前倒しされた。AIやデータセンター需要の急拡大により電力不足が顕在化し、ネクストエラ社は運転再開の可能性を模索。2025年1月に米原子力規制委員会(NRC)への運転再開を申請しており、2029年第1四半期をメドに送電を開始したい考え。運転再開にあたっては、地元の合意も重要。今年1月初め、発電所が立地するリン郡の監督委員会は、ネクストエラ社とのホストコミュニティ協定の締結を承認した。同協定は、住民と公共の安全を最優先に考え、プロジェクトに関連する財政的影響が納税者ではなく、原子力プロジェクト会社への帰属を確認するもの。また同委員会は、ネクストエラ社によるサイトの再区画設定の申請を承認し、農地用途から原子力発電施設と廃棄物貯蔵専用として認定するなど、運転再開に向けた動きが着実に進められている。ネクストエラ・エナジー社は、傘下にフロリダ・パワー・アンド・ライト社ならびにネクストエラ・エナジー・リソーシズ社を所有。これら傘下企業を通じ、フロリダ州でターキーポイント3、4号機(PWR、各82.9万kWe)とセントルーシー1、2号機(PWR、各105万kWe級)、ニューハンプシャー州でポイントビーチ1、2号機(PWR、各64万kWe)、ウィスコンシン州でシーブルック発電所(PWR、129.6万kWe)を運転している。
12 Feb 2026
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ロシア国営原子力企業ロスアトムのA. リハチョフ総裁は1月27日、ウズベキスタンの首都タシケントを公式訪問し、同国のS. ミルジヨーエフ大統領と会談した。会談では、ウズベキスタン東部のジザク州で進められている同国初の原子力発電所建設プロジェクトの状況について報告が行われた。ロスアトムが建設に協力する同プロジェクトでは、当初予定よりも前倒しで、今年3月にSMR初号機の原子炉建屋基礎部分への初コンクリート打設を実施する予定である。同プロジェクトは、低出力の先進炉と実績のある大型原子炉を同一サイトで導入する計画で、ロシア製SMR「RITM-200N」の2基に加え、大型炉VVER-1000を2基建設する。RITM-200Nは、舶用炉を陸上用に改良したPWRで、熱出力19万kW、電気出力5.5万kW。設計運転年数は60年。ロシア製SMRの初となる海外輸出プロジェクトで、2025年10月に、SMR初号機の原子炉建屋の基礎掘削工事が開始されている。ロシア国内では、サハ共和国北部のウスチ・クイガ村で同炉型の建設プロジェクトが進められている。会談では、2030年までにクリーンエネルギーの割合を52%に引き上げるというウズベキスタンの目標達成において、原子力発電が重要な要素であることが確認された。本プロジェクトは、2035年までに1.7倍に増加すると予想されるウズベキスタンの電力需要の増大に対応するもので、同発電所の稼働により、国内電力需要の最大14%を賄う見込み。建設ピーク時に約13,000人の雇用創出が期待され、社会経済的にも重要視されている。会談に併せ、ウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)のA. アフメドハジャエフ長官との実務会議も開催され、具体的なタスクや管理ポイント、期限を決定。IAEAの要件を含む国際的な原子力安全基準を完全に遵守し、スケジュール通りに事業を厳密に実施していく方針が示された。会議では、医療(診断と治療)、農業(種子と農産物の処理加工)、産業、科学など、電力以外での原子力の平和利用についても討議。リハチョフ総裁は、原子力発電所を拠点とし、エネルギー、科学、ハイテク生産、地域創成の社会プロジェクトを組合わせた原子力クラスターを構築する考えを示した。なお、両者は人材育成における協力を特に重視。ロシアの国立原子力大学/モスクワ工科物理大学(MEPhI)やロスアトムが拠点とする大学でのウズベキスタンの若手専門家向け訓練の継続・拡大に加え、タシケントにあるMEPhI支部の発展を支援することで合意した。現在、ロシアの大学やタシケントのMEPhI支部で数百人のウズベキスタンの学生の研修が行われているという。また、ロスアトムの燃料部門TVEL社はウザトムと、放射性廃棄物管理および原子力施設の廃止措置の協力に関する覚書を締結した。TVEL社は、情報交換のほか、ウズベキスタンにおける放射性廃棄物管理システムの開発や専門家育成を支援する。TVEL社とウズベキスタン科学アカデミー核物理研究所は、研究炉向けの燃料供給分野で既に協力の実績を有する。TVEL社は、独立国家共同体(CIS)加盟国との活動の枠組みの中で、合同セミナーや研修、技術視察の定期的な開催を通じ、放射性廃棄物管理問題に関する加盟国間の連携構築に取組んでいる。ベラルーシでは、ロシアの放射性廃棄物管理(最終処分)に関する国家オペレーター(NO RWM)に倣い、BelRAOが設立された。ベラルーシでは、放射性廃棄物の最終処分地を整備し、将来の施設操業に必要な人員の専門的な訓練を行うため、ロシアとの共同作業が進行中である。2025年11月、TVEL社はカザフスタンの国立原子力センターと、バックエンド分野における協力およびカザフスタンにおける放射性廃棄物処理のための国家システムの構築を目的とした覚書を締結している。
10 Feb 2026
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