
フィンランドの小型モジュール炉(SMR)開発企業ステディ・エナジー(Steady Energy)社と同国電力大手フォータム(Fortum)社は1月13日、ステディ社による地域暖房向けSMRの開発のために、フォータム社が幅広く原子力関連サービスを提供する枠組み契約を締結したことを明らかにした。フォータム社は特に、運転・保守コンセプトの設計などを支援する。ステディ社は、地域暖房向け熱供給専用SMR「LDR-50(出力5万kWt)」を開発中。高さ約10mの地下埋設型で、その他重要な安全機能を備え、地域暖房ネットワークに近い都市部での立地が可能である。現在、フィンランドのヘルシンキ、クオピオ、ケラヴァで3プロジェクトに取り組んでおり、2025年12月には、韓国最大の地域熱供給会社である韓国地域暖房公社と協力協定を締結している。今回の契約により、フォータム社は将来、フィンランドとスウェーデンにおいて、ステディ社のSMRに必要な運転・保守サービスを独占的に提供できるようになる。なお、フォータム社は既にLDR-50のプロセス設計と原子炉モデリングのシミュレーションに参加しており、さらに、210万ユーロ(約3.9億円)を投じて、開発を支援する。フォータム社のA. ヤーリネン原子力サービス担当副社長は、「当社は、原子力発電所を安全に所有・運転してきた約50年の実績があり、長きにわたり、運転・保守の開発と自社の運転の効率化に投資してきた。ステディ社の新たな地域暖房炉の最適な運転・保守コンセプトの開発は非常に興味深い」と本提携に期待を示した。ステディ社のT. ナイマンCEOによると、2028年までにLDR-50の設計を完了し、初号機を着工したい考え。同国では、SMR導入に対応する改正原子力法が、今年後半に議会で採択される見込みであるという。欧州連合(EU)では地域暖房向けの熱供給の75%を化石燃料に依存。現在、天然ガスと石炭から生産されている熱供給は、LDR-50の出力に換算すると、約800基分に相当するという。
22 Jan 2026
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オランダ南西部のゼーラント州は1月8日、同地域への小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を調査した報告書「SMR Zeeland 2050」を公表した。州政府の委託を受けて昨年12月に最終報告としてとりまとめられたもので、SMR導入のメリットを整理するとともに、実現に向けた政府の関与や支援の必要性を指摘している。ゼーラント州はオランダ有数の工業集積地域であり、同国で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR、51.2万kW)が立地する。オランダ政府は、新規大型炉2基の建設構想についても、ゼーラント州のボルセラ・サイト周辺を有力候補地として検討しており、原子力を巡る議論が活発な地域となっている。今回の報告書では、SMRを導入した場合のメリットとして、①地域での発電に加え、産業に必要な熱供給や水素製造用電源としての活用、②再生可能エネルギーを補完するベースロード電源としての機能、③脱炭素化の促進、などを挙げた。一方で、SMRは世界的に多様な設計案が存在するものの、本格的な商用導入は今後の課題としており、北米や欧州で進むプロジェクトの動向を踏まえつつ、導入の現実的な時期を2035~2040年ごろと想定している。報告書は、州としての対応について、以下の3段階で準備を進めることを提言した。2026~2027年: 公的・民間パートナーによる協力体制の構築、地域エネルギー戦略の見直し、候補地調査などの基盤整備。2028~2029年: 技術検討やインフラ準備、許認可プロセスの整備、人材育成・教育体制の構築。2030年以降: 外部プロジェクトとの協業や地域内での実装に向けた実行体制の整備。地元企業については、SMR導入に一定の関心を示しているものの、単独でプロジェクトを主導する資金力やノウハウには限界があると指摘しており、州政府や国レベルでの政策支援が不可欠との見方を示した。オランダ政府は、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換し、新規大型原子炉の建設を巡る議論を進めている。2022年12月には、新設サイトとしてボルセラ・サイトが最適との見解を示した。政府は、2035年までに出力100万~165万kW級×2基を新設する計画で、最終的には最大4基の新設を検討している。ゼーラント州では、国主導で進む大型原子炉の新設検討と並行して、SMRを将来の補完的な選択肢として位置づけており、地域の脱炭素戦略における多様な電源構成の一環として検討を進めている。
21 Jan 2026
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米国の先進原子力エネルギー企業であるナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuclear Energy)社は1月12日、韓国のダンソク社(DS Dansuk)と、ナノ社製マイクロモジュール炉(MMR)を韓国における開発、現地化、展開協力に向けた覚書(MOU)を締結した。ダンソク社は、バイオエネルギーやリサイクル事業を手掛ける、韓国有数の資源循環企業。本MOUにより、同社はナノ社の主要な現地産業コーディネーターとして、サイト選定、サプライチェーンの現地化、規制・制度面における関係者との連携を支援するとしている。特に、ダンソク社はナノ社に、以下へのアクセスを支援するという。信頼性が高く、排出ゼロのベースロード電力を求める韓国の産業顧客候補ナノ社が開発する高温ガス炉技術の中核であるモジュール化・複製可能な設計を活用した現地化を支援する、国内製造およびサプライチェーンパートナー主要な規制・制度関係者および規制環境に関する知見人材育成や原子力イノベーションを支援する大学・研究機関ナノ社は、ダンソク社のネットワークを活用することで、世界でも最先端の原子力産業市場の一つである韓国において、ナノ社が開発するKRONOS MMRを含むMMRの設計から展開までの移行を加速させる方針だ。KRONOS MMRは、TRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料とヘリウム冷却を使用する第4世代の小型モジュール式の高温ガス炉。設置面積は5エーカー(約0.02平方キロメートル)未満とコンパクトで、最大4.5万kWt(1.5万kWe)の出力により、地域グリッドや再生可能エネルギーシステム、プロセス熱供給などと柔軟に連携可能とされる。運転員の介入や外部電源なしに自動的に停止し安全状態を維持する「walk-away safe」設計を特徴とし、停電時にも独立して稼働可能な完全自律マイクログリッド機能の確立を目指している。ナノ社は現在、米国とカナダにおいてもMMRの市場投入に向け、建設ならびに許認可プロセスを進める取組みを行っているところだ。なお韓国では、工場や産業施設にマイクロ炉を直接併設し、電力網に負担をかけることなく常時稼働のクリーン電力を供給する「ワン・ファクトリー、ワンMMR」構想が進められている。本MOUの下、両社は同構想を推進するため、韓国の産業用途向けKRONOS MMRの最適化韓国の原子力基準に沿った認可・認証プロセスの構築工場および産業キャンパスにおけるパイロットならびに初号機(FOAK)のサイト候補地の特定現地製造および人材育成パイプラインの確立韓国およびアジア市場全体を見据えた商業化・展開戦略の策定についても協力するとしている。ナノ社はダンソク社との協力をアジアへの戦略的ゲートウェイと位置づけ、韓国での成功を日本や東南アジアなど、アジアを中心としたエネルギー集約型経済圏への展開につなげたい考え。ナノ社のJ. ユー会長は、「本MOUは、通常であれば数年を要する産業基盤、規制機関、地域ネットワークへの扉を一気に開くものだ」とその意義を強調した。
21 Jan 2026
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英サマセット州で建設中のヒンクリー・ポイントC原子力発電所2号機(欧州加圧水型炉:EPR、170万kW級)について、原子炉圧力容器(RPV)がフランスから現地に到着し、建設サイトに搬入された。運営するEDFエナジー社が1月12日に発表した。2030年の営業運転開始に向けた重要な節目となる。今回搬入された圧力容器は仏フラマトム社製で、重さ約500トン、全長約13メートルにも及ぶ。2025年11月28日、フランス東部サン=マルセルの工場で完成し、関係者が出席する式典が行われた。完成後は海上輸送で工場から英ブリストルのエイボンマウス埠頭へ運んだ後、サマセット州のパレット川をさかのぼり、コムウィッチ埠頭に到着するルートで輸送された。最終区間では、建設現場まで約6.4キロメートルを約6時間かけて陸上輸送した。ヒンクリー・ポイントCは、欧州加圧水型炉(EPR)2基を建設する計画で、英国における約30年ぶりの大型炉新規建設プロジェクトとなる。2号機は2019年12月に着工し、2025年7月には原子炉建屋ドーム屋根の据付が完了している。EDFエナジー社は、このプロジェクトについて「ビルド・アンド・リピート」の利点を強調。2018年12月に着工した1号機の建設で得られたノウハウを2号機に反映し、作業手順の効率化によって建設工程を約2~3割短縮できているという。配管や機器類を工場であらかじめ製作するプレハブ工法も進んでおり、その割合は現在、全体の約6割に達しているとしている。また、ヒンクリー・ポイントCで蓄積された建設ノウハウは、建設準備が進むサイズウェルCプロジェクトにも活用される見通しで、EDFエナジー社は工期短縮が可能になるとの見方を示している。
20 Jan 2026
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米国とカザフスタンは12月22日、民生用原子力エネルギー分野における協力関係を拡大し、小型モジュール炉(SMR)導入に向けた取組みを開始すると発表した。同取組みは、米国務省が主導する「SMRの責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」プログラムの枠組みの下で実施される。FIRSTプログラムの下で、カザフスタンのアルマティにある核物理研究所に教室型SMRシミュレーターを、国際科学技術センター(ISTC)を通じて提供する。同シミュレーターは、米国のホルテック・インターナショナル社と、カーチス・ライト社傘下のシミュレーション技術開発会社WSCによって製造される。駐カザフスタン米大使館によると、カザフスタンでは2022年からFIRSTプログラムが開始され、同国は中央アジア初のパートナー国であるという。同シミュレーターは、カザフスタンおよび中央アジア全域におけるSMRの安全かつ着実な展開を支える地域トレーニング拠点としての役割が期待されている。人材育成を通じてSMR導入を後押しする重要な取組みと位置づけられ、米国は今後、最高水準の核セキュリティ、安全、核不拡散基準を満たす信頼できるベンダーと連携しながら、原子力エネルギー分野でのパートナーシップを拡大していく方針である。さらに、FIRSTプログラムでは、米エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社と提携し、カザフスタンでSMRの実行可能性調査(F/S)を開始した。カザフスタンの電力網、地理的条件、予測される電力需要の観点から、カザフスタンの潜在的な設置場所に適した米国製SMRの候補を絞り込むとしている。一方、カザフスタンでは大型炉の建設計画も進められている。2025年6月、ロシアの国営原子力企業ロスアトムが同国初となる原子力発電所(バルハシ発電所)の主契約者に選定された。アルマティ州のジャンブール地区、バルハシ湖近くのウルケン村にVVER-1200(PWR、120万kWe)×2基を建設する計画で、現在、サイトではエンジニアリング調査が実施されている。第2発電所も同地区での建設が計画され、中国核工業集団(CNNC)による建設が有望視されており、2025年12月にウルケン村にて公聴会が開催された。カザフスタンは化石燃料資源が豊富にあるため、総発電電力量の約6割を石炭火力、約3割を天然ガス火力に依存している。また、世界のウラン生産の約40%を占め、回収可能なウラン資源量の約11%を保有し、世界有数のウラン資源国でもある。政府は2060年までのカーボンニュートラルの達成とともに、高度なデジタル化と人工知能(AI)の広範な導入に適した環境を作り出すため、エネルギーのポテンシャルを高め、今後数十年にわたるダイナミックな経済発展と生活の向上には原子力発電が必要であると強調している。K.-J. トカーエフ大統領は1月5日、同国の新聞社とのインタビューで「複数の原子力発電所の建設は、ウラン生産の世界的リーダーでありながら原子力発電所が1つも建設されていないという歴史的な不条理を正すものである」と述べ、原子力発電所の建設に伴う、新たな技術者や専門家の育成に期待を寄せた。
19 Jan 2026
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米IT大手のメタ・プラットフォームズ(Meta)社は2026年1月9日、米電力大手のビストラ(Vistra)社、先進炉開発企業のテラ・パワー(TerraPower)社、オクロ(Oklo)社の3社と、電力調達や開発支援を含む契約を相次いで締結した。データセンターやAIインフラの稼働に必要な電力の安定的な確保を目的としており、オハイオ州ニューアルバニーで建設が進む大規模AIインフラ「プロメテウス」など、同社の事業を支える次世代データセンター向けに電力を供給する。「プロメテウス」は、大規模なAI計算設備を集約した計算拠点で、Meta社の大規模AIモデルの学習や運用を支える基盤となる。ニューアルバニーではすでにMeta社のデータセンターが稼働しており、プロメテウスはその拡張・増設計画の一環。M. ザッカーバーグCEOは2025年7月、SNSへの投稿で、同施設を1GW(100万kW)級規模として言及している。Meta社は2025年6月にも電力大手のコンステレーション・エナジー社と、イリノイ州で運転するクリントン原子力発電所(BWR、109.8万kW)から電力を20年間購入する電力購入契約(PPA)を締結しており、データセンター稼働を見据えた原子力の活用を拡大している。3社の契約内容は以下の通り。ビストラ(Vistra)社Meta社は、同社が運営するペリー原子力発電所(BWR、131.6万kW)、デービス・ベッセ原子力発電所(PWR、95.3万kW)、ビーバー・バレー原子力発電所1号機、2号機(PWR、1号機98.7万kW、2号機97.6万kW)から210万kW超の電力を20年間購入するとともに、3原子力発電所で合計43.3万kWの出力増強を支援する。テラ・パワー(TerraPower)社ナトリウム冷却高速炉「Natrium炉」の商用化を目指しており、現在ワイオミング州で建設計画が進行中。2025年12月には、Natrium炉が米原子力規制委員会(NRC)の最終安全評価を完了している。Meta社は、この技術を用いた2基の新たなNatriumユニット(計最大69万kW)の開発を支援し、早ければ2032年の供給開始を見込む。さらに、2035年までに納入予定の最大6基、計210万kW分の発電能力に相当するエネルギー使用権も取得する。オクロ(Oklo)社開発中の「オーロラ(Aurora)」は、高速炉設計を採用し、構造を簡素化することで長期間の安定運転を目指す小型炉で、金属燃料を用いる点が特徴。現在、アイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設準備が進められている。Meta社との契約では、オハイオ州パイク郡で新たな原子力エネルギー開発を進め、先進的な原子力技術キャンパスを整備する計画。早ければ2030年の稼働を目指し、最大120万kWの電力を同州含む米東部の電力網に供給する。これら一連の取り組みにより、Meta社は2035年までに最大660万kWの電源を確保する見通しだ。同社最高対外関係責任者のJ.B. カプラン氏は、「当社は米国史上、最も重要な原子力エネルギー購入企業の一つとなった。最先端のデータセンターとAIインフラは、米国がAI分野で世界的リーダーであり続けるために不可欠であり、原子力はその基盤を支える」とコメントした。同社は、データセンターで使用するエネルギー・コストは全額同社が負担し、一般消費者に転嫁されることはないとしている。
19 Jan 2026
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米国のスタートアップ企業であるスタンダード・ニュークリア社は1月7日、テネシー州オークリッジにある同社施設で、米エネルギー省(DOE)から高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)を受領したと発表した。DOEからHALEUの実物を受け取った燃料製造事業者としては初の事例となる。スタンダード社はHALEUを原料として、TRISO(3重被覆層燃料粒子)燃料を製造する。同社は2025年8月、先進試験炉向けの燃料製造を加速することを目的とした、DOEの燃料製造ラインのパイロットプログラムにおいて、実証対象計画の実施主体に選定されている。今回受領したHALEUは、DOEから先進炉開発企業であるラディアント・インダストリーズ社に割当てられたもので、スタンダード社がTRISO燃料へ加工する。ラディアント社が2026年に計画する先進炉実証に向けた炉心全装荷分の製造に十分な規模であり、スタンダード社は米国における先進炉の迅速な展開を支える燃料供給体制を整えた。スタンダード社のK. テラーニCEOは、「今回のHALEUの受領は、当社が先進燃料サプライチェーンの最前線に立つことを示す画期的なもの。当社はDOEから認可を受けた初の燃料製造企業として、米国製の信頼性の高い先進炉の実用化を実現するために不可欠なTRISO燃料の本格生産へと踏み出せたことを誇りに思う」とコメントした。TRISO燃料は、濃縮ウラン粒子をセラミックと炭素層で3重に被覆した構造を持ち、①極めて高い耐熱性、②優れた被覆保持性能、③想定外事象に対する高い安全性、を備えることから、「地球上で最も堅牢な原子炉燃料」とも称される。ラディアント社が開発する電気出力約0.12万kWのヘリウム冷却マイクロ炉「Kaleidos」は、2025年8月にDOEによる先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉に選定され、DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)が運営するマイクロ炉実験機の実証(DOME)テストベッドで試験を行う計画である。HALEUは、国家核安全保障局(NNSA)ならびにY-12国家安全保障複合施設を運営管理するConsolidated Nuclear Services(CNS)による綿密な調整と専門的管理のもと、バージニア州リンチバーグから安全に輸送された。本プロジェクトは、スタンダード社とDOEのアイダホ・オペレーション・オフィスとの間で締結された、その他取引契約(Other Transaction Agreement: OTA)の枠組みの下で実施されている。スタンダード社は、本取組みが2025年5月に発令された一連の大統領令が目的とする戦略的優先事項に合致し、国家のエネルギー安全保障および強固な国内燃料サプライチェーンの確立に向けた重要な一歩になるとしている。
16 Jan 2026
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米国に本社を置くカナダ発の原子力企業テレストリアル・エナジー社は1月6日、米エネルギー省(DOE)と、一体型溶融塩炉(IMSR)プラントのパイロット炉建設・運転に関するOTA(Other Transaction Authority)契約を締結したと発表した。同社のIMSRは、2025年8月、DOEが進める先進炉の実用化を目的とした「原子炉パイロットプログラム」に選定されており、今回のOTA契約により、検討段階から実証段階へ移行する。テレストリアル社が開発中のIMSRは次世代技術を用いた溶融塩炉。発電に加え、産業利用への熱供給も想定している。主な特徴は、①5%未満に濃縮した低濃縮ウラン燃料を使用すること、②炉心を一体化した交換型設計を採用していること、③溶融塩を冷却材として常圧に近い条件で運転でき、安全性や運用の柔軟性を高めている点が挙げられる。低濃縮ウラン燃料を用いることで、供給網の整備が課題となっている高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)燃料への依存を避け、燃料供給面での制約を抑える設計としている点も特徴だ。OTAは、先進炉など開発途上にある技術の実証を想定し、米政府が通常の調達契約とは異なる柔軟な枠組みで締結する契約方式で、設計変更や段階的な実施を認めている。DOEの原子炉パイロットプログラムでは、国立研究所以外の場所で試験炉を建設・運転することを想定しており、民間主導による技術実証を後押しする狙いがある。同社は、IMSRの実証を通じて、将来的な商用展開に向けた技術的知見の蓄積を進めるとしている。なお、先進原子力分野の開発を手がけるオクロ社も1月7日、医療や研究に用いるラジオアイソトープの商用生産基盤の構築を目的としたパイロットプラントについて、DOEとOTA契約を締結したと発表している。DOEは、発電用途にとどまらず、医療や研究分野も含めた原子力技術の実証を支援し、パイロット事業を通じて国内供給体制の強化を進めている。
16 Jan 2026
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米ホルテック・インターナショナル社は12月31日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「SMR-300」(PWR、30万kWe)×2基から構成される「パイオニア発電所」の建設許可申請(CPA)の第一部を米原子力規制委員会(NRC)に申請した。同発電所は、ホルテック社が所有・運転再開に向けて作業を進めるパリセード原子力発電所を含む、パリセード・エネルギー・センター(PEC)に建設される。NRC規則10 CFR Part 50に基づくCPAの第一部には、地盤締固め、埋め戻し、基礎設置などの限定作業許可(LWA)の申請、第二部に基づく完全なCPAの発給前に特定の建設作業の開始を可能にする複数の規制上の適用除外の申請、および包括的な環境報告書(ER)の提出が含まれている。ホルテック社はNRCに対し、2026年12月31日までに第一部の審査と承認を要請。一方、NRCは現在、処理に十分な内容か申請書の審査を行っており、申請書が十分であると認められた場合に申請書を受理し、ホルテック社に対し、詳細な技術審査に要するNRCスタッフの予定リソースとスケジュール(18か月以内)を通知するとしている。ホルテック社のK. シンCEOは、「本申請は、米国における新たな原子力配備を現実のものとするための15年近くにわたる努力の集大成。クリーンなベースロード電力をミシガン州にもたらし、増大する電力需要を満たすために世界中に展開する能力を示していく」と述べ、同社のK. トライス社長は、「パリセード発電所の歴史的な運転再開に続き、パイオニア発電所は2030年初頭に電力供給が可能になる」との見通しを示した。SMR-300は2025年12月、米エネルギー省(DOE)による、先進的な第3世代+(プラス)軽水炉SMRの米国内導入を加速する「ファースト・ムーバー・チーム支援(First Mover Team Support)」の対象に選定され、4億ドルの助成金を獲得している。なお、ホルテック社によると、パリセード発電所は当初のスケジュールより数か月前倒しで、かつ予算を大幅に下回る費用で、2026年2月末までに送電開始を見込んでいるという。
15 Jan 2026
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核融合発電の商用化を目指す米国のスタートアップ企業、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)社は1月6日、独シーメンス社および米NVIDIA社と協同し、核融合研究の開発プロセスを大幅に加速するため、人工知能(AI)を活用した「デジタルツイン」を開発すると発表した。 デジタルツインは、現実世界から収集した多様なデータを基に、対象となる装置やシステムをデジタル空間上に再現する技術。今回の取組みでは、CFS社が開発を進める核融合実証装置「SPARC(Smallest Possible ARC)」の設計データや運用データを、シーメンス社の産業用ソフトウェアで構成される「エクセラレーター(Xcelerator)」ポートフォリオと統合し、一元的に管理・連携させる。さらに、NVIDIA社が開発した3次元アプリケーションやサービス構築向けのプラットフォーム「オムニバース(Omniverse)」と組み合わせることで、SPARCの高精度なデジタルツインを構築できるとしている。 構築されるデジタルツインでは、SPARCにおける磁場やプラズマ挙動、機器配置などの設計条件や運転条件を仮想空間上で再現し、その影響を検証できる。仮想空間上でのシミュレーションを高速かつ大規模に実施できるため、実機試験に先立って設計や運転条件を絞り込むことが可能となる。CFS社のB. マンガードCEOは、「デジタルツインを活用することで、何年もかかる手作業中心の実験を、数週間単位へと圧縮できる」と述べ、統合デジタルエンジニアリングへの期待を示した。 CFS社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ企業。現在、磁場閉じ込め方式(トカマク型)によるフュージョンエネルギー発電炉の設計・開発中。2030年代前半の運転開始を目指し、商業用フュージョンエネルギー発電炉「ARC(アーク)」発電所をバージニア州に建設する計画を掲げている。同社は2018年の設立以来、これまでに約30億ドル(約4,200億円)の資金を調達している。2025年9月には、三井物産や三菱商事などでつくる日本企業12社で構成されたコンソーシアムから、総額8億6,300万ドル(約1,200億円)の出資を受けた。
14 Jan 2026
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韓国の原子力安全委員会(NSSC)は12月30日、韓国水力・原子力(KHNP)が蔚山広域市に建設中のセウル原子力発電所3号機(旧: 新古里5号機)(PWR=APR1400、140万kWe)の運転認可を発給した。同機は今年8月にも営業運転を開始する予定。セウル3号機の稼働により、国内総発電電力量の約1.7%、蔚山地域の電力需要の約37%を供給する。本認可発給を受けKHNPのD. チョン暫定CEOは、「安全性と品質を最優先に、セウル3号機による安定かつクリーンな電力供給に最善を尽くす」と述べた。セウル3号機は、現在運転中のセウル1-2号機(旧: 新古里3-4号機)、新ハヌル1-2号機(旧: 新蔚珍1-2号機)と基本設計を同じくする、韓国が独自開発した最新鋭の第3世代炉APR1400で、設計寿命は60年。KHNPは、2016年6月にNSSCから建設許可を受け、2020年8月に運転認可を申請した。韓国原子力安全技術院(KINS)は、APR1400同一炉型の先行機の安全性審査経験を基に、先行発電所との設計差異や運転能力、施設性能、運転時および仮定される事故時の放射線影響などの観点から、原子力安全法に基づく許可基準を満たしていることを確認。その後、15名の分野別専門家で構成される原子力安全専門委員会でKINSの審査結果について検討を行い、審査結果が妥当であると判断した。なおセウル4号機(旧: 新古里6号機)は2018年9月に着工し、2026年後半の完成を目指している。セウル3-4号機は、航空機衝突や最新技術基準を考慮した設計を反映して耐震性能を向上させるなど、安全性を大幅に強化。原子力事故管理の強化基準を満たすためにより多くの時間が必要となり、プロジェクト期間は延長された。新ハヌル1-2号機との主な設計の違いとしては、▽国内初の航空機衝突防護設計を適用し、壁厚を増強: 原子炉格納建屋+15cm、補助建屋+30cm、使用済み燃料プール+60cm▽地震などによる電源喪失に備え、代替交流ディーゼル発電機を増設: 2基につき1台→1基につき1台▽使用済み燃料プールの貯蔵容量の拡大: 20年分→60年分、がある。韓国では2025年末時点で26基の原子炉が稼働中であり、総発電設備容量は約2,600万kWe。2024年の実績では、原子力シェアは30.7%と、エネルギー供給において基幹電源としての役割を担っている。韓国の原子力政策は、①既存プラントの稼働率の最大化、②新規建設プロジェクト、特に新ハヌル3-4号機(旧: 新蔚珍3-4号機、各APR1400)プロジェクトの予定通りの完遂、③原子力輸出市場における優位性の確保、の三つの柱に基づく。特に、原子力輸出市場については、2030年までに10件の海外プロジェクト獲得という野心的な目標を掲げている。新ハヌル3-4号機は2024年に建設許可を取得、サイト造成工事を開始し、3号機は2025年5月に着工した。営業運転開始はそれぞれ2032年と2033年を目標としている。新ハヌル3-4号機をめぐっては、KHNPが2016年1月、NSSCに両機の建設許可申請を行ったが、当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領による脱原子力政策下で、2017年の「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に基づき、建設計画が一時白紙化されていた。その後、ユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の政権下で両機の新設計画が復活した。また、既存プラントの長期的活用に向けた古里(コリ)2号機(PWR、65万kWe)の運転期間延長が、2025年11月にNSSCにより認可された。古里3-4号機についても、運転期間延長に向けた審査手続きが進行中である。
14 Jan 2026
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米原子力規制委員会(NRC)は1月5日、米大手電力会社コンステレーション・エナジー社が運営するペンシルベニア州のリメリック原子力発電所1,2号機(BWR、各119.4万kWe)について、運転許可を改正し、安全関連計測制御(I&C)システムを従来のアナログ方式から最新のデジタル制御システムへ全面的に置き換える計画を承認した。複数の安全系統を統合する包括的なデジタル化は、米国で運転中の原子力発電所としては初の事例となる。リメリック発電所は、1号機が1986年、2号機が1990年に運転を開始した。コンステレーション社は2025年7月、ペンシルベニア州における原子力関連プロジェクトに対し、約51億ドル(約7,650億円)規模の投資計画を発表。このうちリメリック発電所には、2040年代までの運転継続と2基合計で最大34万kWeの出力増強を見据え、約24億ドル(約3,600億円)を投じる方針を示している。これにより、両機の運転期間はそれぞれ2044年、2049年まで延長されている。今回承認されたデジタル化は同社の投資計画の中核をなす取り組みだ。約1億6,700万ドル(約250億円)を投じ、安全管理を含む一部のアナログ計装・制御装置を最先端のデジタルプラットフォームに更新する。制御室のデジタル化や安全機能の統合、表示機能の高度化を進めることで、設備監視性能や自動化機能を向上させるとともに、信頼性と運用の柔軟性の強化を図る。プロジェクトは段階的に実施され、デジタル制御室の物理的設置は、今後の燃料交換停止期間中に行われる予定だ。米国では、最先端のデジタル計装制御システムを備えた次世代炉の開発が進む一方、既存の稼働中の原子炉の多くは依然としてアナログ制御に依存している。NRCは今回の承認について、既存炉の安全性と運転継続性を高める上で重要なマイルストーンになると評価している。米エネルギー省(DOE)の原子力エネルギー担当次官補であるT. ガリッシュ氏は、「既存原子炉の継続的な運転は米国のエネルギー安全保障に不可欠であり、原子力発電所を先進的なデジタルシステムで更新することで、国民が安価で安定したエネルギーにアクセスし続けることができる」と述べた。
13 Jan 2026
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米エネルギー省(DOE)は1月5日、今後10年間にわたり総額27億ドル(約4,000億円)を投じ、米国内のウラン濃縮能力の強化を支援すると発表した。低濃縮ウラン(LEU)と、次世代原子炉向け燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))の供給体制を構築し、燃料サプライチェーンの強化を図る。支援の対象となったのは以下の3社で、各社に9億ドルずつ、随時発注契約を付与する。契約はマイルストーンベースで、段階的な成果の達成が求められる。・American Centrifuge Operating社(セントラス・エナジー社の子会社)HALEU濃縮能力の構築を担う。同社は2019年以降、DOEと連携して遠心分離機技術の実証を進め、2023年にHALEUの実証生産を開始した。昨年12月には、将来的な商業規模の濃縮事業に対応するため、遠心分離機の製造を開始している。今回の支援を通じて設備を段階的に増設し、2029年ごろの商業規模の稼働を目指す。・General Matter(ゼネラル・マター)社HALEU濃縮能力の構築を担う。ケンタッキー州パデューカにある、ガス拡散法を用いたウラン濃縮工場跡地(2013年閉鎖)を活用し、HALEU濃縮施設を建設・運用する計画。・Orano Federal Services(オラノ)社LEU濃縮能力の拡大を担う。米テネシー州オークリッジに新設する大型ウラン濃縮施設に約50億ドル(約7,500億円)を投資する計画で、DOEからの資金もこの事業に充てられる。さらにDOEはグローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社に対しても約2,800万ドル(約42億円)を配分し、レーザー濃縮など次世代ウラン濃縮技術の開発の支援も同時に発表している。従来の遠心分離方式とは異なる技術の実用化を後押しする狙いだ。米国は海外企業の濃縮サービスに依存しており、現時点で米国内にて稼働する商業用ウラン濃縮施設はニューメキシコ州ユーニスのウレンコUSAの工場のみ。また、2028年以降米国ではロシアからの低濃縮ウランの輸入が原則禁止される予定で、供給源の多様化と国内生産体制の確立が課題となっている。DOEのC. ライト長官は、「今回の投資は、既存の原子力発電所と将来の先進原子炉に必要な燃料を生産できる体制を回復させるため、政府が全力で取り組んでいることを示すものだ」と述べ、原子力分野の再建を通じ、エネルギー安全保障と米国の競争力強化を図る姿勢を強調した。
09 Jan 2026
1296
中国甘粛省の酒泉市の北山(Beishan)地区における高レベル放射性廃棄物(HLW)処分研究施設「北山地下研究所」の建設プロジェクトにおいて、12月26日、螺旋状スロープの工事が完了。「スロープ+3本のシャフト+2層の試験用トンネル」からなる地下の主体構造が完成した。北山地下研究所建設プロジェクトは2016年3月、中国の「国家経済社会開発第13次5か年長期計画」における100の主要プロジェクトの一つに指定された。HLWの処分問題解決を目的とし、包括的な機能を有する世界最大規模の研究開発のプラットフォームとして、同国北西部のゴビ砂漠地帯で計画が進められている。同建設プロジェクトは2019年5月に国家原子能機構(CAEA)による認可を経て、中国核工業集団(CNNC)傘下にある北京地質研究院が設計・建設を担当して進められている。2021年6月に起工式が開催。中国が自主開発した極硬岩掘削機「北山1号」にて2023年1月に正式に掘削を開始した。周囲の岩石損傷を最小限に抑えながら、断面直径7mのスロープ約7,000mを掘削、最大掘削距離21.6m/日、342m/月を達成した。北京地質研究院が2020年6月に作成した同建設プロジェクトの環境影響(評価)報告書によると、同施設は螺旋状のスロープと3本のシャフト(1本は人員用、2本は換気用)、地下280mと560mに設置のトンネルで試験を行う構造。受入れ可能な廃棄物容量は51万4,250㎥。2027年の建設完了を予定し、施設としての耐用年数は50年、総工費は27億2,313万元(約613億円)と見込む。なお、建設工事と科学研究試験の同時展開が北山地下研究所の特徴であり、CAEAの支援の下、建設中に9つの科学的研究プロジェクトが同時に実施され、サイト特性の精緻な評価、ならびに深部岩盤掘削および現地試験にむけた主要な技術の研究開発が実施されている。CAEAは、HLWを長期的に管理する科学研究モデルの開発に取り組んでいるが、地下研究所の研究開発等に基づいてHLWを地層処分する革新的なシステムの確立を目指し、国内外の研究者と交流を進めている。こうした中、国際原子力機関(IAEA)は2021年10月、北京地質研究院を「IAEA高レベル放射性廃棄物地質処理協力センター」に指定。中国はIAEAとの交流・協力を継続し、HLW地質処分場の選定・評価、地下試験室の設計・建設、緩衝材の研究開発を行い、科学研究の骨幹や専門家を育成していく方針である。中国は、北山施設での研究・試験(~2040年)を経て、地層処分施設の建設を2041~2050年に計画している。
09 Jan 2026
883
ブルガリアの首都ソフィアに拠点を置く原子力発電プロジェクトのデベロッパーであるブルーバード・エナジー社(BBE)は12月22日、ポーランドの大手化学素材メーカーであるシントス社のグループ企業シントス・グリーン・エナジー(SGE)社と基本合意書(LOI)を締結した。ブルガリアにおいて最大6基の米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(BWR、30万kWe)の配備に向けて合弁企業を設立する。ブルガリアの産業に炭素を排出せず安価なベースロード電力を供給し、AI向けのデータセンターを支援、地域暖房の脱炭素化をねらう。BBE社の主な株主は、ブルガリア最大かつ欧州南東地域で有力な建設・エンジニアリンググループのグラブボルガルストロイ社と同国最大の銅採掘・加工会社のアサレル・メデット社。設立される合弁企業は、サイト選定と準備、許認可取得作業、建設・プロジェクト管理、資金の調整などを実施する。一方のSGE社は、2018年に設立された中東欧地域のSMR開発プラットフォームで、PKNオーレン社と折半出資する合弁会社オーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社を2022年に設立している。OSGE社は2023年12月に気候環境省から国内6地点における合計24基のBWRX-300を建設する原則決定(decision-in-principle=DIP)を取得。現在、3地点で開発作業を進めており、内、同国中部にあるブウォツワベク(Włocławek)において、初号機を2032年までに完成させる予定である。なおSGE社はGVH社との合意に基づき、中東欧地域におけるBWRX-300プロジェクトデベロッパーとしての役目を担っており、ブルガリアのほか、ハンガリー、スロバキアでもパートナーシップを構築している。さらに同社は12月11日、韓国の建設大手であるサムスンC&T社(サムスン物産)とSMR展開協力に関する覚書を締結。これにより、SGE社の原子力技術導入の専門知識とサムスンC&T社の原子力およびエネルギーインフラの提供におけるグローバルなエンジニアリング、建設、プロジェクトの実行能力を組合わせ、中東欧地域におけるBWRX-300展開で将来のパートナーシップの機会を探る。また、サムスンC&T社はSGE社のSMR開発プラットフォームに戦略的投資の検討も行うという。本協力の一環として、両者は実行可能性調査、現地データ、環境評価、評価報告書などの関連情報を共有し、サムスンC&T社のエネルギーインフラプロジェクト遂行におけるノウハウも活用することとしている。
08 Jan 2026
900
2026年1月1日、中国核工業集団(CNNC)は、福建省で試運転を行っていた漳州(Zhangzhou)原子力発電所2号機(PWR=華龍一号〈HPR1000〉、出力112.6万kWe)の営業運転を開始した。漳州2号機は、中国が自主開発した第三世代のPWRである「華龍一号」を採用。2020年9月に着工し、11月に初臨界し、同月より送電を開始していた。漳州原子力発電所では、1号機が昨年1月1日に営業運転を開始しており、2基の稼働により年間発電量は合計で約200億kWh規模となる。漳州サイト内では計6基の原子炉建設が計画され、現在は2基が建設中。全6基が完成すれば、年間発電量は600億kWhを超える見通しだ。CNNCは、華龍一号を主力輸出炉と位置づけており、国内で同型炉の建設・運転実績を積み上げる方針だ。
08 Jan 2026
802
中国の広西チワン族自治区で12月22日、国家電力投資集団(SPIC)の白龍(Bailong)原子力発電所第1期プロジェクト1号機(PWR=CAP1000、125万kWe)が着工した。1-2号機では、米ウェスチングハウス社製AP1000の中国版標準炉モデルのCAP1000を採用。両機の稼働による年間発電量は約200億kWhを見込む。後続のプロジェクトでは「国和一号」(PWR=CAP1400、153万kWe)を採用した4基の建設が計画されており、同発電所全体で計6基、合計設備容量862万kWeとなる。投資総額は約1,200億元(約2.7兆円)。同サイトは、ベトナム国境から約24km、中国広核集団(CGN)の防城港原子力発電所から南西へ約30kmに位置する。同じく22日、広東省では中国広核集団(CGN)の陸豊(Lufeng)原子力発電所2号機(CAP1000、124.5万kWe)が着工した。陸豊原子力発電プロジェクトは、100万kW級PWRを6基建設する計画で、5-6号機(PWR=華龍一号〈HPR1000〉、各120万kWe)はそれぞれ2022年9月、2023年8月に着工。1-2号機は2024年8月に中国国務院が承認し、うち1号機(CAP1000、124.5万kWe)は2025年2月に着工している。
07 Jan 2026
1070
ロシア西部のクルスク州(ウクライナに隣接)で建設中のクルスクⅡ原子力発電所1号機(PWR=VVER-TOI、125.5万kWe)が12月31日、24万kWe出力に達し、送電を開始した。今後、出力を徐々に35~40%まで引き上げ、その後、100%までの出力調整を実施する。同機は2018年4月に着工され、2026年中に営業運転を開始予定。ロシアの原子力産業界はその持続的発展のため、クルスクⅡ発電所の建設を戦略的に重視。VVER-TOI(標準化・最適化・高度情報化を特徴とするVVER設計)は、安全性が強化された第3世代+(プラス)炉に位置付けられる。前世代の原子炉(VVER-1000)と比較して、出力は25%増加し、レニングラードⅡやノボボロネジⅡ両発電所で稼働中のVVER-1200(120万kWe)の出力を上回り、現時点でロシアでは最大の軽水炉である。主要設備の耐用年数は2倍に延長され、受動的安全システムと能動的安全システムの組合せを採用。ロシア独自の炉心溶融物封じ込め装置(ULR)を備え、安全性の更なる向上を図っているという。クルスクⅡ-2号機は2019年5月に着工しており、同1-2号機による年間発電量は195億kWhを見込む。なお、クルスクⅡサイトでは、軽水冷却黒鉛減速炉RBMK-1000を代替する4基のVVER-TOIの建設が計画されている。RBMK-1000を採用した1-2号機は、45年の運転期間を経て、それぞれ2021年、2024年に閉鎖済みで、残る3-4号機は1984年、1986年の運転開始以降、現在も稼働中である。
06 Jan 2026
810
米電力大手のデューク・エナジー社は1月2日、ノースカロライナ州ストークス郡にあるべリューズ・クリーク火力発電所の近接地について、米原子力規制委員会(NRC)に事前サイト許可(ESP)申請した。同社がESPを申請するのは今回が初めて。べリューズ・クリーク発電所は1974年に運転を開始した火力発電所(石炭と天然ガスの混焼)。2030年代後半に閉鎖される予定となっており、同社は将来の電源構成を見据え、同サイトの活用可能性を検討してきた。ESP申請に向けた準備は約2年前から進められていたという。ESPは、将来原子力発電所を建設する場合に備え立地の安全性や環境適合性を事前に確認する制度で、承認されればその後の許認可や建設段階での遅延リスクを低減できる。今回のESPでは、小型モジュール炉(SMR)4炉型と非軽水炉2炉型の計6炉型を想定しており、特定の炉型に限定してはいない。同社ノースカロライナ州責任者のK・ボウマン氏は、同州における原子力の役割の重要性を強調したうえで、「事前サイト許可申請は、べリューズ・クリーク・サイトにおけるSMR建設の可能性を評価する上で重要な次のステップになる」と述べた。同社は昨年10月、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州を対象としたエネルギーの長期計画「2025カロライナ資源計画」を、両州の規制当局に提出している。同計画では、両州の電力需要が今後15年間で過去の約8倍の伸び率で増加すると予測しており、この値は2023年に初めて示された同計画の想定を大きく上回っている。電力需要の急増を背景に、計画では原子力に関する評価対象を拡大し、SMRに加えて大型軽水炉も検討対象に含めている。また、新たな原子力発電所の候補地として、べリューズ・クリーク(SMR)と、サウスカロライナ州チェロキー郡のW.S.リー(大型軽水炉)を挙げていた。同社は現時点で新規の原子力発電所の建設を決定していない。追加評価の結果、べリューズ・クリークにおけるSMRが顧客負担の観点から妥当と判断された場合、合計出力約60万kWe規模の先進的な原子力発電所として最初のSMRを2036年に稼働させる計画としている。
06 Jan 2026
887
スウェーデンの新規原子力発電プロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」は12月23日、ヴェーロー半島における小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトに係る資金調達とリスク分担に関する申請書をスウェーデン政府に提出した。これは、同国で今年施行された新制度に基づく初の申請となる。ビデバーグ・クラフト社は、スウェーデン国営電力会社バッテンフォールが、国家補助申請のために今年4月に設立したプロジェクト会社で、ヴェーロー半島での新規炉の開発・所有を目的とする。スウェーデン議会(リクスダーゲン)は今年5月、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案「新規原子力発電プラント建設の資金調達とリスク分担に関する法案」を採択した。本制度は、低利な政府融資の利用により、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減を目的としている。新法は今年8月1日に施行されており、ビデバーグ・クラフト社による今回の申請が制度運用の第一号案件となる。なおバッテンフォールは11月に、同国の産業コンソーシアムであるインダストリクラフト(Industrikraft)と、自社が運転するリングハルス原子力発電所での新規原子力発電プラント増設に向け、共同投資および協力を行うことで合意。インダストリクラフトを構成する国内主要企業17社のうち9社が、ビデバーグ・クラフト社の株式20%を保有する契約をバッテンフォールと締結している。バッテンフォールは、リングハルス3-4号機(PWR、各110万kWe級)に隣接して建設を計画しているSMRについて、供給候補4社から米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と英ロールス・ロイスSMR社の2社に最終候補を絞りこんでいる。ビデバーグ・クラフト社はGVH社製であれば5基、ロールス・ロイスSMR社製であれば3基の、合計出力約150万kWeを建設予定である。現在、両社について集中的な評価を実施中であり、最終的なサプライヤーの決定は2026年に予定しているという。プロジェクトに適用される条件に関する交渉は、スウェーデン政府が申請を受理後に開始される。政府とビデバーグ・クラフト社間で合意に達した場合、政府は欧州委員会に国家補助の承認を申請することとなる。
24 Dec 2025
1063
ウレンコUSA社は12月11日、ニューメキシコ州ユーニスにある同社濃縮プラントで、濃縮度8.5%のU-235を初生産した。米国の商用ウラン濃縮施設でこの濃縮度の生産は初めて。U-235を5~10%に濃縮した低濃縮ウランプラス(LEU+)の生産能力を実証したもので、2026年半ばに顧客向けの商業生産を開始する予定だ。ウレンコUSA社は2025年9月、ユーニス濃縮プラントのすべての遠心分離機でU-235濃縮度最大10%以下のウランを生産する認可を米原子力規制委員会(NRC)から取得した。これにより、米国で初めて商業用のLEU+を生産可能な施設となった。LEU+は、既存の軽水炉フリートにおいてより長い運転サイクルを可能にし、運転・保守コストの低減や、事故耐性燃料(ATF)などの新型燃料設計の展開を後押しするとされる。また、小型炉向けの先進燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の原料としても活用可能で、将来的なHALEU生産への布石となる点も注目される。同社は2024年10月、2027年までに生産能力を約15%増の約700tSWU/年の拡張プロジェクトを発表。その一環として、2025年中に新型遠心分離機カスケード3基を追加設置。このうち3基目となるカスケードが12月16日にLEUの生産を開始した。各カスケードとも予定より早く稼働を開始。米国市場で拡大する需要に対応するとともに、ロシアからの濃縮ウラン輸入への依存を排除する米政府の取組みを支援する。ウレンコUSA社は、2010年に操業開始した米国唯一の商業規模の濃縮ウラン製造企業。米国の商用原子力発電所の濃縮需要の約1/3を供給している。
24 Dec 2025
1042
米国のバックエンド大手ホルテック・インターナショナル社は12月8日、台湾で閉鎖済みの金山(Chinshan)および國聖(Kuosheng)両原子力発電所(いずれもBWR)において、屋内型の乾式使用済み燃料貯蔵施設を設置するためのターンキー供給契約を、厳格な入札プロセスを経て、台湾電力(TPC)と締結したと発表した。ホルテック社は、本プロジェクトをアジア太平洋地域における最も重要な使用済み燃料貯蔵関連の調達案件の一つと位置づけている。同社は35年以上前にも両発電所での湿式貯蔵プロジェクトでTPCと協力した実績がある。今回の契約下でホルテック社は、150体以上の多目的キャニスター型の乾式貯蔵システムおよび関連機器を供給するほか、両発電所サイトで屋内型の乾燥貯蔵施設の設計、設置、試運転サービスを提供する。これらの施設は、台湾の環境および原子力規制当局によって認可を受ける予定。採用される乾式貯蔵システムは米国における適合証明(Certificate of Compliance)に基づき、ブラジル、メキシコ、スロベニア、スペインなど複数の規制当局によって既に認可・運用実績があるという。なお、ホルテック社は台湾のエンジニアリングおよび建設会社と協力するほか、現地に地域オペレーションセンターとして機能する、ホルテック台湾を設立する。金山発電所と國聖発電所は、いずれも台湾北部に立地するBWR。与党・民進党政権の掲げる「2025年の脱原子力国家(非核家園:原子力発電のないふるさと)の実現」政策により、金山1、2号機はそれぞれ2018年12月、2019年7月に閉鎖。國聖1、2号機は2021年12月、2023年3月に閉鎖された。なお台湾電力は、國聖発電所は運転再開の可能性があると評価しており、運転再開の計画を2026年3月に、核能安全委員会(原子力安全委員会)に提出する予定。
24 Dec 2025
881
ノルウェー原子力廃止措置局(NND)は12月10日、放射性廃棄物貯蔵施設の立地決定プロセスへの参加について、国内22自治体に対し関心の有無を確認する書簡を送付した。現時点で特定の候補地を決定するものではなく、「放射性廃棄物施設の立地に関するさらなる調査、対話、計画プロセスへの参加に関心があるかどうか」を把握することを目的としている。ノルウェーは原子力発電所を保有していないが、過去に研究炉を運転していた。ハルデン市のエネルギー技術研究所(IFE)のハルデン炉(BWR、2.5万kWt)は2018年6月、オスロ近郊リレストロム市のシェラー地区にある研究炉「JEEP-II」は2019年4月に閉鎖されており、これらに伴い発生した放射性廃棄物の管理・処分が課題となっている。NNDは、低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、使用済み燃料の貯蔵施設、廃棄物を選別・処理・加工する施設、さらに地層処分を含む最終処分場など、複数の施設整備を計画している。今回対象となった22自治体は、地質の安定性、自然災害のリスク、交通アクセス、事業実現性などを含む18の評価基準に基づき選定された評価適地。ハルデン市やリレストロムも含まれている。立地選定プロセスは、①施設と評価基準の定義②適地の特定③詳細調査による特性評価④立地の推奨―の4段階で構成されており、現在は第2段階に位置づけられている。今回の要請に対し、参加を希望しない自治体は特段の対応行う必要はなく、NNDが返答を受け取らなかった自治体は、受け入れ検討を希望していないものと見なされる。一方、参加を表明した自治体については、今後さらに調査や対話が進められる。NNDのコミュニケーション担当ディレクター、M. アンドレアッソン氏は、「これは自治体に対し、具体的な場所や施設について最終的な『是非』を問うものではない。将来のプロセスに参加する意思があるかを確認するためのものだ」と説明している。ノルウェーでは近年、原子力の導入に向けた議論が進展している。2024年6月には将来的な原子力発電導入の可能性について幅広く検討・評価する政府委員会を設置。さらに2025年4月には、国内企業が提案した小型モジュール炉(SMR)導入計画について、建設の可否の前提となる環境影響評価(EIA)プログラムの策定を関係機関に委託するなど、制度面の整備が進められている。
24 Dec 2025
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米ニューヨーク州は12月16日、最新の州エネルギー計画を公表した。計画は、州のエネルギー関連の指針と位置づけられ、現行のエネルギーシステムと2040年までの将来のエネルギー需要に関する評価結果に基づく提言を盛り込んでいる。電力供給において原子力が重要な役割を果たすとの認識を明確にし、脱炭素目標の達成や安定した電力供給、電力料金の抑制を両立するためには、再生可能エネルギーだけでなく、原子力を含む多様な電源構成が不可欠としている。同計画は、州が策定し、実行主体としてニューヨーク州電力公社(NYPA)が中心的な役割を担う。電力需要の増加が見込まれる中で「手頃で、信頼性が高く、クリーンな電力供給」の確保を目的とする。既存の原子力発電所については、長年にわたりゼロエミッション電源として州の電力供給を支えてきたと評価し、今後の継続運転を支援する政策の重要性を指摘した。さらに、「責任ある先進原子力開発のためのマスタープラン」の下、公的主体であるNYPAが新たな原子力発電所について、技術、立地、財務の観点から評価を進めることも盛り込んでいる。州はゼロエミッション達成目標を2040年と定めており、原子力の長いリードタイムを踏まえ、早期着手が不可欠としている。こうした方針の具体策として、ニューヨーク州のK.ホークル知事は12月9日、原子力インフラの残る同州北部で先進原子力を支える人材育成を進めるため、NYPAが今後4年間で総額4,000万ドル(約60億円)の資金を投入すると発表した。これは同日、NYPA理事会により承認されている。知事は今年6月、電力需要の増加を背景に、州北部で少なくとも合計100万kW以上の先進炉を導入する目標を示しており、資金投入はこの取り組みをさらに前進させる。NYPAは来年以降、工業高校やコミュニティカレッジ、大学、労働組合などと連携し、原子力技術に関する講座や見習い制度を通じて、先進原子力分野に就業する労働者の育成を進める。NYPAのJ.E. ドリスコルCEOは、「州のクリーンエネルギーへの移行は、地域住民の雇用が伴わなければ成功しない。これまで再生可能エネルギー分野を支えるために年最大2,500万ドル(約38億円)を投資してきた実績を基に、先進原子力を支える人材の育成を進めていく」とコメントしている。
23 Dec 2025
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