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韓国の熔融塩炉搭載のLNG運搬船が認証取得 世界初

02 Oct 2025

桜井久子

MSR搭載のLNG船の完成予想図 Ⓒ KAERI

韓国のサムスン重工業(SHI)は、99日から12日までイタリアのミラノで開催された世界最大のガス・エネルギー展示会「Gastech 2025」において、小型モジュール炉の熔融塩炉(MSR)を搭載した、積載容量174,000㎥級LNG運搬船の基本設計認証(AiP)を取得したことを明らかにした

世界初となるMSR搭載LNG運搬船は、船の安全性と技術的妥当性を認証する米国船級協会(ABS)ならびにリベリア海事当局から技術認証を受けた。AiPは、新造船の設計や技術を審査し、国際規制や安全基準に適合すると評価する象徴的なプロセスであり、実際の船舶開発の第一歩。同技術はSHIと韓国原子力研究院(KAERI)が共同で開発した概念設計中のMSRを動力源としている。

KAERIによると、MSRは安全性とエネルギー効率が高い液体燃料として、燃料と冷却剤を混合した熔融塩を使用するため、船舶用エンジンとして注目されているという。LNG運搬船の動力となるMSRの設備容量は10kWth、単基のみの設置でも船舶の寿命期間中に燃料交換が不要になるように設計されている。両者は、2023年から科学技術情報通信部と海洋水産部の支援を受けて推進中のMSR基盤・革新技術開発事業に主管研究開発機関として参加し、2026年までに海洋用MSRの概念設計を完成させることを目標に研究を進めている。本プロジェクトの実現により、海洋部門の炭素中立達成に貢献したい考えだ。

SHI社のH. ジャン技術開発本部長(副社長)は、「我々の次世代エネルギーバリューチェーンにより、造船およびオフショア産業における競争力を実証し、引き続き世界市場をリードしていく」と語った。

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