クロアチア 原子力導入に向けて議会に法案を提出
03 Mar 2026
クロアチアのA. シュシュニャル経済大臣は2月17日、政府が議会に「民生用原子力エネルギー開発法案」を提出したことを受け、政府会合で法案を説明。同法案は同国における原子力開発のための法的枠組みを初めて体系的に整備するものであり、エネルギー・セキュリティの強化、経済競争力の向上、電力システムの長期的な持続可能性確保にむけた戦略的な一歩であると強調した。
同大臣は、電力消費が増加し気候目標がますます厳しくなる中、原子力発電が安定的で低炭素、かつ長期にわたって低コストなエネルギー源であると指摘。そのうえで、同法が必要とされる理由について、クロアチアが経済競争力、エネルギー・セキュリティ、カーボンニュートラルの達成という3つの課題に直面していることを挙げ、「2040年までに電力需要の少なくとも30%を原子力でまかなうことを目標とする」と述べた。
同法は今後の手順も定めており、エネルギー担当大臣が法律採択後6か月以内に、専門的調査・分析の基礎となる活動プログラムを策定することを規定。政府はその後12か月以内に、包括的な原子力開発計画を採択する。原子力発電所の立地については、すべての専門的・規制上の手続きを経た後、特別法によって決定する。
「本法により、クロアチアは新たなエネルギー源を選択するだけでなく、エネルギー・セキュリティ、気候変動への責任、技術進歩へのコミットメントを示す戦略的決定を行う」と述べ、必要な調査、分析、戦略の準備、そしてクロアチアにおける将来の原子力発電所建設計画を実現するための活動を開始すると説明した。
クロアチア経済省は2025年2月、同省関係者に加え、産官学の原子力専門家らが参加する原子力作業部会を設立している。原子力発電に関する法的枠組みの整備や独立した原子力機関の設立に向けた条件整備、原子力オプションを含むエネルギー開発シナリオの策定・分析を行う。また、従来型大型炉または小型モジュール炉(SMR)の潜在的な立地調査の準備のほか、最適炉型の選択にむけ、従来型大型炉と比較したSMRの財務的・経済的側面からの分析を実施する。さらに経済省は、原子力専門知識の維持・発展、人材育成を確実に実施する緊急措置が必要とし、官学が連携して原子力分野の教育プログラム設立を推進するイニシアチブを推進している。
クロアチアには原子力発電所がなく、隣国のスロベニアのクルスコ原子力発電所(PWR、72.7万kWe)をクロアチアの国営電力会社のHrvatska elektroprivreda(HEP)と国営スロベニア電力(GENエネルギア)が共同所有。同発電所はクロアチアの総発電電力量の約16%をまかなっている。スロベニアではクルスコ増設(JEK2)プロジェクトが進められているが、クロアチアは現在、参加していない。





