原子力産業新聞

国内NEWS

伊方発電所 乾式貯蔵施設の運用開始

02 Jul 2025

中西 康之助

伊方発電所 乾式貯蔵建屋の全体鳥瞰図 ©四国電力

四国電力は7月1日、伊方原子力発電所の敷地内で、「乾式貯蔵施設」の運用を開始したと発表した。同施設は、キャスクに入れた使用済み燃料を空気で冷却しながら保管する施設で、青森県の六ケ所再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵される。

同発電所は、年間およそ3540体の使用済み燃料が発生し、これまで主に水中で冷却・保管(湿式貯蔵)されてきた。電力各社で進められている乾式貯蔵は、2011年の東日本大震災時、福島第一原子力発電所でもその頑健性が確認されており、原子力規制委員会でもその普及を推奨している。

伊方発電所は現在、3号機(PWR、89.0万kWe)が運転中で、12号機はすでに廃止措置に入っている。20209月にサイト内での乾式貯蔵施設設置に係る原子炉設置変更許可を取得し、202111月に工事を開始していた。

運用開始となった乾式貯蔵施設は、鉄筋コンクリート造り(東西約40m、南北約60m、高さ約20m)の建屋で、貯蔵容量は、乾式キャスク45基分、最大約1,200体の燃料集合体を収納できる。使用される乾式キャスクは、4つの安全機能(閉じ込め、臨界防止、遮へい、除熱)を有し、六ヶ所再処理工場等への輸送容器としても転用できるため、容易に発電所外へ搬出することが可能だ。

四国電力は、「更なる安全性・信頼性向上に向けて不断の努力を重ね、一層の安全確保に万全を期してまいります」とコメントしている。

 

 

cooperation