フィンランド フォータム社が海外ベンダ―3社と先行作業契約を締結
04 Jul 2025
フィンランドの電力大手フォータム社は6月25日、フィンランドおよびスウェーデンでの新規原子力発電所プロジェクトに関して、大型炉のベンダーである、フランス電力(EDF)および米ウェスチングハウス(WE)社-韓・現代E&C(現代建設)社、さらに小型モジュール炉(SMR)の開発企業である米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と、それぞれ先行作業契約(Early Works Agreements: EWA)を締結したことを明らかにした。これにより、各陣営との選定プロセスを継続し、協力関係を正式化する。
フォータム社は2022年10月に、フィンランドとスウェーデンの2か国における新規原子力発電所の商業面、技術面、社会面での前提条件を調査する、実行可能性調査(F/S)を開始。2年間にわたる調査では、複数のベンダーやパートナー候補、顧客、社会的利害関係者と詳細な協議を重ね、2025年3月にF/Sの結果を発表した。将来の北欧地域における電力需要に応えるための長期的選択肢として、既存原子力発電所のリプレースを視野に、原子力発電開発の継続を決定した。その一環として、フォータム社は、大型炉では仏EDFおよび米WE社-韓・現代E&C(現代建設)社 、さらにSMRでは米GVH社との連携を強化する意向を示していた。
今回締結したEWAには、初期プロジェクト計画、サイトおよび設計の適応性、さらにフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)およびスウェーデン放射線安全局(SSM)などの原子力安全規制当局との予備的な許認可活動なども含まれる。各陣営はそれぞれ、EDFはEPR、WE社はAP1000、GVH社はSMRのBWRX-300の導入をめざす。
フォータム社のL. レベグル副社長(新規原子力担当)は、「投資決定に先立ち、技術への信頼性を強化し、国別の設計変更のリスクを最小限に抑え、開発段階からベンダーの能力を評価することが不可欠。EWAに基づく作業は、プロジェクトリスクの軽減に大きく貢献する」と指摘した。
フォータム社は現在、VVER-440(PWR、53.1万kW×2基)で構成されるロビーサ発電所を運転中。同発電所はフィンランド初の原子力発電所であり、現在、同国の総発電電力量の10%を供給している。1号機は1977年、2号機は1981年に営業運転を開始。両機は2023年2月、20年間の運転期間延長の認可を取得し、2050年末までの運転が可能となった。なお同社は、フィンランドのオルキルオト原子力発電所(1,2号機:BWR、92.0万kW×2基、3号機:PWR=EPR、166.0万kW)のほか、スウェーデンのオスカーシャム原子力発電所(3号機:BWR、145.0万kW)、フォルスマルク原子力発電所(BWR、100万kW級×3基)の共同所有者でもある。